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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2018890073 審決 商標
不服201810015 審決 商標
異議2018900240 審決 商標
無効2018890072 審決 商標
不服20187002 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W293043
審判 査定不服 外観類似 登録しない W293043
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W293043
管理番号 1357781 
審判番号 不服2018-10016 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-23 
確定日 2019-11-14 
事件の表示 商願2017- 39178拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成29年3月22日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成30年1月23日付け手続補正書及び当審における同年7月23日付け手続補正書により、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと,炊き込みごはんのもと」、第30類「すし,弁当」及び第43類「飲食物の提供,出張して行う飲食物の提供,ケータリング」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
なお、これらをまとめて、「引用商標」という場合がある。
(1)登録第3329732号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定役務:第42類「展示施設の貸与」を含む商標登録原簿記載の指定役務
登録出願日:平成5年2月15日
設定登録日:平成9年7月4日
最新更新登録日:平成29年7月18日
(2)登録第5753553号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「みやび」(標準文字)
指定商品:第30類「パスタソース」
登録出願日:平成26年11月21日
設定登録日:平成27年3月27日
(3)登録第5762482号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第30類「ます寿し,すし,ぎょうざ,しゅうまい,たこ焼き,弁当,ラビオリ」
登録出願日:平成26年12月15日
設定登録日:平成27年5月1日
(4)登録第5769098号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
指定役務:第43類「飲食物の提供」
登録出願日:平成26年11月20日
設定登録日:平成27年6月5日
(5)登録第5769106号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
指定役務:第43類「飲食物の提供」
登録出願日:平成26年11月28日
設定登録日:平成27年6月5日
(6)登録第5852586号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「雅」(標準文字)
指定商品:第30類「味噌だれ」
登録出願日:平成27年12月14日
設定登録日:平成28年5月20日

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標1及び引用商標6について
本願商標の指定商品及び指定役務は、前記1のとおり補正された結果、引用商標1の指定役務及び引用商標6の指定商品と同一又は類似の商品及び役務は削除されたものである。
その結果、本願商標と引用商標1及び引用商標6とは、その指定商品及び指定役務において互いに類似しないものとなった。
したがって、引用商標1及び引用商標6との関係において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原審の拒絶の理由は解消した。
(2)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、そのためには、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、経験則上、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合、取引の実際において、一部の構成部分のみによって称呼、観念されることも少なくないといえる。このことから、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、最高裁平成3年(行ツ)第103号、最高裁平成19年(行ヒ)第223号、知財高裁平成27年(行ケ)第10079号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標2ないし引用商標5との類否について判断する。
(3)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「神田明神下」の漢字を楷書体で横書きし、その右に、この文字に比べて4倍以上に大きく、「みやび」の平仮名を筆書き風に横書きしてなるものである。
そして、本願商標の構成中の「神田明神」は、「東京都千代田区外神田にある元府社。祭神は大己貴命・少彦名命。平将門をもまつる。神田神社。」を意味する語であり、また、本願商標の構成中「下」は、「裏、底、下方等の他、影響が及ぶ範囲」等を意味する語(いずれも、「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)であり、これらの語を結合した「神田明神下」の文字は、「東京都千代田区外神田二丁目」付近で営業する飲食店等が、その所在地を表示する際に使用している実情があることから、需要者、取引者が商品の販売地や役務の提供地を認識するといえるため、この文字部分は、出所識別標識としての称呼、観念を生じないものである。
一方、本願商標の構成中「みやび」の文字は、大きく、筆書き風に表してなるものであり、本願商標の全体構成において、「みやび」の文字部分が、看者の目を惹くことから、本願商標においては、この文字部分が強く支配的な印象を与えるものと認められる。
また、「優美で上品なこと。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)を意味する「みやび」の文字部分が、本願商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品の品質等や役務の質等を表すものと直ちに認識させるものであるとはいえない。
そうすると、本願商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、本願商標の構成中「みやび」の文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであるから、本願商標は、「みやび」の文字部分から「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標2ないし引用商標5について
(ア)引用商標2について
引用商標2は、「みやび」の文字からなるところ、これより、「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を生ずるものである。
(イ)引用商標3について
引用商標3は、別掲3のとおりの構成からなるところ、その構成中、大きく書された「雅」の漢字が、これに接する取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められ、また、「雅」の漢字の右側の上部に、小さく縦書きされた「みやび」の平仮名は、「雅」の読みを特定したものと認められることから、引用商標3は、「雅」の漢字及び「みやび」の平仮名から、「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を生ずるものである。
(ウ)引用商標4について
引用商標4は、別掲4のとおり、水平直線の上に、筆文字風の書体で大きく「MIYABI」(「M」及び「A」の文字の一部は水平直線と交わっている。以下同じ。)の文字を書し、「MIYABI」の文字の左側に「京都」の文字を、右側に「祇園」の文字を、「京都」及び「MIYABI」の構成中の「MI」の文字部分の上部に「究極の食パン」の文字をそれぞれ配してなる結合商標であり、構成全体は黄色系の色合いで配色されている。
そして、引用商標4の構成中、「京都」及び「祇園」の文字は、「京都の祇園(京都の八坂神社の旧称。また、その付近の地名で、遊里。)」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の地名を表示したものと容易に理解でき、これらの文字は、需要者、取引者に対し、引用商標4の指定役務「飲食物の提供」の提供場所であることを認識させるにすぎない。
また、「究極の食パン」の文字部分は、食パンの品質の誇称表示と理解できるため、これは、需要者、取引者に対し、引用商標4の指定役務「飲食物の提供」との関係において、その役務の提供の用に供する物を表したものと認識させるにすぎない。
一方、引用商標4の構成中の「MIYABI」の文字部分は、「優美で上品なこと。」を意味する「みやび」のローマ字表記であって、引用商標4の指定役務との関係において、役務の質等を直ちに認識させるとはいえない。 また、「MIYABI」の文字部分は、他の構成要素と比較しても、一際大きく目立つ態様で表示されており、引用商標4の全体構成において、看者の目を惹くことからすると、「MIYABI」の文字部分は、強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標4は、本願商標との類否を判断するに当たって、その構成中「MIYABI」の文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであるから、引用商標4は、「MIYABI」の文字部分から、「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を生ずるものである。
(エ)引用商標5について
引用商標5は、別掲5のとおり、水平直線の上に、筆文字風の書体で大きく「MIYABI」(「M」及び「A」の文字の一部は水平直線と交わっている。以下同じ。)の文字を書し、その「MI」の文字部分の上部に「GION/KYOTO」の文字を、下部に「究極の食パン」の文字を、「BI」の文字部分の上部に「GINZA/TOKYO」の文字を、下部に「みやび」の平仮名を、それぞれ配してなる結合商標である。
そして、引用商標5の構成中、「GION/KYOTO」の文字部分は、「GION」が「祇園」を、「KYOTO」が「京都」をローマ字で表したものと容易に認識できるため、京都の祇園の地名を表示したものと理解できる。
また、引用商標5の構成中、「GINZA/TOKYO」の文字部分は、「GINZA」が「銀座」を、「TOKYO」が「東京」をローマ字で表したものと容易に認識できるため、「東京の銀座(東京都中央区の繁華街。京橋から新橋まで北東から南西に延びる街路を中心として高級店が並ぶ。)」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の地名を表示したものと理解できることから、これらは、需要者、取引者に対し、引用商標5の指定役務「飲食物の提供」の提供場所であることを認識させるにすぎない。
さらに、「究極の食パン」の文字部分は、食パンの品質の誇称表示と理解できるため、これは、需要者、取引者に対し、引用商標5の指定役務「飲食物の提供」との関係において、その役務の提供の用に供する物を表したものと認識させるにすぎない。
一方、引用商標5の構成中の「MIYABI」の文字部分と「みやび」の文字部分は、共に、「優美で上品なこと。」を意味する語のローマ字表記又は平仮名表記であって、引用商標5の指定役務との関係において、役務の質等を直ちに認識させるとはいえない。
また、「MIYABI」の文字部分は、他の構成要素と比較しても、一際大きく目立つ態様で表示されており、「みやび」の文字部分もその読みを表示しているものと認識できる。
そうすると、引用商標5は、本願商標との類否を判断するに当たって、その構成中「MIYABI」の文字及び「みやび」の文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであるから、引用商標5は、「MIYABI」及び「みやび」の文字部分から、「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を生ずるものである。
ウ 本願商標と引用商標2ないし引用商標5の類否について
上記ア及びイのとおり、本願商標と引用商標2ないし引用商標5とは、その外観を異にするとしても、「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと。」の観念を共通にするものである。
してみれば、これら外観、称呼及び観念の要素を総合勘案すれば、本願商標と引用商標2ないし引用商標5とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標2ないし引用商標5の指定商品又は指定役務の類否について
(ア)本願商標の指定商品及び指定役務中第29類「カレー・シチュー又はスープのもと,炊き込みごはんのもと」と引用商標2の指定商品である第30類「パスタソース」は、類似の商品と認められる。
(イ)本願商標の指定商品及び指定役務中第30類「すし,弁当」と引用商標3の指定商品である第30類「ます寿し,すし,ぎょうざ,しゅうまい,たこ焼き,弁当,ラビオリ」は、同一又は類似の商品である。
(ウ)本願商標の指定商品及び指定役務中第43類「飲食物の提供,出張して行う飲食物の提供,ケータリング」と引用商標4及び引用商標5の指定役務である第43類「飲食物の提供」は、同一又は類似の役務である。
オ 小括
以上によれば、本願商標と引用商標2ないし引用商標5は、類似の商標であって、引用商標2及び引用商標3の指定商品、引用商標4及び引用商標5の指定役務は、本願商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、「本願商標は、江戸、東京で、著名な『神田明神』を想起、連想させる独特な漢字の書体で表した『神田明神下』なる文字と、独特な書体で表した平仮名の『み』を大きく書し、これより若干小さく『やび』と書し、『神田明神下』と『みやび』とを、一体・不可分に、一体不離に組み合わせ、『かんだみょうじんしたみやび』なる一連の外観、称呼、観念を生じる。また、本願商標は、ロゴ商標、あるいは少なくともロゴ的な商標であり、全体として独特な、特徴あるロゴマークを構成しており、単なる『みやび』や『ミヤビ』なる称呼、観念を生じる商標(標章)ではない。」旨主張する。
しかしながら、上記(3)アのとおり、本願商標の構成中の「神田明神下」の文字は、「東京都千代田区外神田二丁目」付近で営業する飲食店等が、その所在地を表示する際に使用している実情があり、需要者、取引者がこれを商品の販売地や役務の提供地を認識するにすぎないものといえるため、この文字部分は、出所識別標識としての機能を果たし得ないものである。一方、本願商標の構成中「みやび」の文字は、大きく、筆書き風に表してなるものであり、本願商標の全体構成において、「みやび」の文字部分が、看者の目を惹くことから、本願商標においては、この文字部分が強く支配的な印象を与えるものと認められるため、本願商標に接する需要者、取引者は、本願商標の構成中の「みやび」の文字部分が、自他商品の識別標識及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部といえるものであるから、本願商標から「みやび」の文字部分のみを抽出し、この部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標3)


別掲4(引用商標4)(色彩は、原本を参照。)


別掲5(引用商標5)

審理終結日 2019-08-14 
結審通知日 2019-08-20 
審決日 2019-09-30 
出願番号 商願2017-39178(T2017-39178) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W293043)
T 1 8・ 262- Z (W293043)
T 1 8・ 263- Z (W293043)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
豊田 純一
商標の称呼 カンダミョージンシタミヤビ、カンダミョージンシタ、ミョージンシタ、ミヤビ 
代理人 下田 憲雅 
代理人 下田 容一郎 

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