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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0119 |
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管理番号 | 1357049 |
異議申立番号 | 異議2018-900346 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-11-21 |
確定日 | 2019-11-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6086907号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6086907号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6086907号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成29年11月7日に登録出願,第1類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする化学品,コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる化学品,コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる粉粒状の化学品」及び第19類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同30年9月20日に登録査定され,同年10月5日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標が商標法第8条第1項に該当するとして引用する商願2017-168681(以下「引用商標」という。)は,「TAKEcite」の文字を標準文字で表してなり,第1類「石灰の代替材料であって生コンクリートのスラッジを原材料とする排煙脱硫用の触媒,石灰の代替材料であって生コンクリートのスラッジを原材料とする紙用・プラスチック用の充填剤,モルタル添加用の炭酸カルシウム,生コンクリートのスラッジを原材料とする炭酸カルシウム,生コンクリートのスラッジを原材料とし、炭酸カルシウムを主とする石灰代替用の化学品,生コンクリートのスラッジを原材料とし、炭酸カルシウムを主成分とする化学品,農業用石灰,化学品」を指定商品として,平成29年12月25日に登録出願されたものである。 第3 登録異議申立ての理由(要旨) 本件商標に係る登録出願(以下「本件出願」という。)についての平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書をもってした補正はいずれも要旨を変更するものであるから,本件出願は,商標法第9条の4の規定により,同月19日にしたものとみなされる。 他方,引用商標は,平成29年12月25日に登録出願したものである。 そして,本件商標と先願に係る引用商標は同一又は類似の商標であり,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似のものであるから,本件商標の登録は,商標法第8条第1項に違反し,同法第43条の2第1号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人は,上記第3のとおり,本件出願についての平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書をもってした補正が,願書に記載した指定商品の要旨を変更するものであることを前提とした上で,本件商標の指定商品についての登録は,商標法第8条第1項に違反してされたものである旨主張するので,その主張に係る具体的な理由の適否について検討する。 (1)申立人は,本件出願の指定商品中,第19類「乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,平成30年9月10日提出の手続補正書において,第1類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする化学品」及び第19類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする建築材料」に補正されているとし,この補正は,商品の範囲を変更するものであること明らかであるから,要旨の変更である旨主張する。 ア しかしながら,商品は常にいずれか一つの分類に属するべきものであって,二つの分類に属することはありえないとするのは相当ではなく,登録商標の使用されている当該商品の実質に則して,それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば,当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差し支えない(東京高裁昭和57年(行ケ)第67号同60年5月14日判決参照)ものである。 イ 本件出願の願書に記載された指定商品中,第19類「乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,原審において,主原料が不明確であり,商品の内容及び範囲が明らかでない漠然とした商品であって,広範な商品である可能性があるから,商標法第6条第1項(指定商品の内容及び範囲が不明確)に該当するとしたものである。 ウ 本件商標権者は,同人のホームページの「製品一覧」(乙1,乙5)及び同人の主張によれば,主成分が炭酸カルシウムで粒子サイズが0.05μm?0.5μmの微粉末及び生コンクリート圧送用先行剤(前記の微粉末の炭酸カルシウムにセルロースファイバー及び着色剤を混合して水で練ったもの)を製造,販売していることが認められる(以下,当該製品を「本件製品」という。)。 エ そうすると,本件商標権者は,本件商標を本件製品に使用するために登録出願したものと推認でき,本件製品の内容や範囲が明確になるように,平成30年9月10日提出の手続補正書において,上記指定商品を,第1類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする化学品」及び第19類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする建築材料」と2つに分けて補正したものといえる。 そして,本件出願の願書に記載された指定商品中,第19類「乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,これらの補正によって,主原料が「炭酸カルシウム」であり,これを主原料とする「化学品」又は「建築材料」であることが明らかとなり,上記指定商品の内容及び範囲が明確となったものと認められる。 オ 本件製品は,上記ウのとおり,「主成分が炭酸カルシウムで粒子サイズが0.05μm?0.5μmの微粉末」及び当該粉末を使用した「生コンクリート圧送用先行剤」であって,「主成分が炭酸カルシウムで粒子サイズが0.05μm?0.5μmの微粉末」が化学品として販売されること,及び当該粉末を使用した「生コンクリート圧送用先行剤」が建築材料として販売されることも容易に推認できる。 そうすると,本件商標は,本件商標を本件製品に使用するために登録出願されたものであるから,本件製品が2つの分類に属する二面性を有し,2つの区分(第1類及び第19類)に分けて補正されたものであっても,これは願書に記載された指定商品の要旨の変更をするものとはいえない。 カ したがって,平成30年9月10日提出の手続補正書による上記補正は,願書に記載された指定商品の要旨を変更したものとはいえない。 (2)申立人は,本件出願の指定商品中「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」及び「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の粉粒状コンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書において,第1類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる化学品」及び「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる粉粒状の化学品」に補正されているとし,この2度の補正は,商品の範囲を変更するものであること明らかであるから,要旨の変更である旨主張する。 ア しかしながら,願書に記載された指定商品中,第19類「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」及び「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の粉粒状コンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,原審において,主原料が不明確で商品の内容及び範囲が明らかでない漠然とした商品であって,広範な商品である可能性があり,さらに,他の区分に属する商品である可能性があるから,商標法第6条第1項(指定商品の内容及び範囲が不明確)及び同法第6条第2項(政令で定める商品の区分に従っていない)に該当するとしたものである。 イ 本件商標権者は,上記(1)ウのとおり,本件製品を製造している。 ウ そうすると,本件商標権者は,本件商標を本件製品の商標を使用するために登録出願したものと推認でき,本件製品の内容や範囲が明確になるように,平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書において,上記指定商品を,第1類「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる化学品」及び「コンクリートスラッジ又は生コンクリートスラッジを乾燥させ粉砕して生ずる炭酸カルシウムを主原料とする、生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材の原材料となる粉粒状の化学品」に補正したものといえる。 そして,本件出願の願書に記載された指定商品中,第19類「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の乾燥させ粉砕したコンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」及び「生コンクリートの圧送又は打設開始時に、生コンクリートがポンプ又はホース内を流れやすくなるように、生コンクリートに先行して流す先行材用の粉粒状コンクリートスラッジ又は生コンスラッジ」は,これらの補正によって,主原料が「炭酸カルシウム」であり,これを主原料とし,先行材の原材料となる「化学品」及び先行材の原材料となる粉粒状の「化学品」として使用されることが明らかとなり,上記指定商品の内容,範囲及び定められた区分が第1類の商品であることが明確となったものと認められる。 エ これは,指定商品の主原料や用途が明らかとなったため,登録出願時に不明確であった商品が,補正によりその内容及び範囲が明確な商品となったために登録されたものであるから,これは願書に記載された指定商品の要旨の変更をするものとはいえない。 オ したがって,平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書による上記補正は,願書に記載された指定商品の要旨を変更したものとはいえない。 2 上記1のとおり,申立人が,平成30年9月10日及び同月19日提出の手続補正書による補正が,願書に記載された指定商品の要旨を変更するものであると主張する理由は,いずれも採用することができないものであるから,本件出願は,商標法第9条の4の規定により,同年9月19日にしたものとみなすことができないものである。 したがって,本件出願に対して,申立人の主張する引用商標は先願に当たるものではないから,本件異議の申立て理由をもって,本件異議の申立てに係る指定商品についての登録が,商標法第8条第1項違反してされたものとはいえない。 3 まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第8条第1項に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標:色彩については原本参照。) |
異議決定日 | 2019-11-07 |
出願番号 | 商願2017-146341(T2017-146341) |
審決分類 |
T
1
651・
4-
Y
(W0119)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 赤澤 聡美 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 平澤 芳行 |
登録日 | 2018-10-05 |
登録番号 | 商標登録第6086907号(T6086907) |
権利者 | タケ・サイト株式会社 |
商標の称呼 | テークサイト、タケサイト、テーク、タケ、サイト |
代理人 | 篠田 貴子 |
代理人 | 澁谷 啓朗 |
代理人 | 林 栄二 |