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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1357038 |
異議申立番号 | 異議2019-900101 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-03-25 |
確定日 | 2019-10-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6111561号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6111561号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6111561号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年4月2日に登録出願、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年11月22日に登録査定、同年12月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第3248875号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:天 登録出願日:平成5年11月26日 設定登録日:平成9年1月31日 指定商品 :第33類「日本酒」 (2)登録第5145983号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:天(標準文字) 登録出願日:平成19年12月12日 設定登録日:平成20年6月27日 指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (3)登録第5145984号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成19年12月12日 設定登録日:平成20年6月27日 指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 (4)登録第5402493号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成22年8月4日 設定登録日:平成23年4月1日 指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第74号証を提出した。 (1)引用商標の著名性 引用商標は、提出する甲第6号証ないし甲第65号証に示すとおり、申立人の100%出資に係る子会社である、宝酒造株式会社(以下「宝酒造」という。)により、商品「清酒」について、2003年9月の販売開始より現在に至るまで、継続して使用されており、本件商標の登録出願前には既に、同社の商標として広く知られるに至っていたものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、その構成中、左部に表された「天」の文字を有する図形部分は、外観上、他の構成部分から離れて表され、分離して看取されるから、この部分も独立して出所識別標識としての機能を果たし得るといえる。 そして、当該図形部分のうち、「天」の文字は、中央前面に黒色の筆文字で、白色の縁取りにより背景から浮き立たせた表現手法で、大きく顕著に表されているのに対し、背後の、円内に羽団扇の文様を配した図形は茶色で表され、その下の小さな「TAKA」の文字は、赤色のゴシック体で表されており、これらの構成要素の間に、外観上も観念上も、分離観察が取引上不自然なほどの強い関連性はみられないから、その結合の程度は強いとはいえない。 そうとすれば、色彩を違えて中央前面に黒々と明瞭に表された「天」の文字部分が、看者の目を惹き、出所識別標識として強く印象付けられるといえるから、結合商標の類否判断の考え方に照らしてみても、当該「天」の文字を含む図形部分から、「天」の文字部分を分離抽出して他人の商標と比較し、商標の類否を判断することは妥当なものといえる。 これに加えて、本件商標の指定商品を含む酒類業界においては、メインブランド等の下で複数のサブブランド等の商品がシリーズ展開され、メインブランドの商標とサブブランドの商標等が併記されて使用されることは広く行われており、それぞれの部分が商品の出所識別標識として機能している実情があることは、周知の事実である。 現に、本件商標が商品について使用された際に、中央の「天狗舞」の文字は、メインブランドとして、「天」の文字は、サブブランドとして把握され、「天」の文字に着目して取引されている事実がある(甲66?甲74)。 したがって、本件商標は、その構成中「天」の文字部分から、これに相応した「テン(天)」の称呼及び観念を生じる。 他方、引用商標は、「天」の文字よりなるか、「天」の文字が顕著に表された構成からなるから、構成文字に相応して、「テン(天)」の称呼及び観念を生じることは明らかである。 してみれば、本件商標は、引用商標と、「テン(天)」の称呼及び観念と「天」の構成文字を共通にする類似の商標といわざるを得ない。 そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は、宝酒造により、その業務に係る商品「清酒」について、継続して使用された結果、本件商標の登録出願前には既に、取引者・需要者において広く認識されるに至っていたものである。 そして、同商品「天」は、通常品のみならず、複数の商品シリーズを擁しブランド展開を行っている。 そうとすれば、「天」の文字を含む本件商標が、その指定商品について使用された場合、これに接する取引者・需要者は、「天」の部分に着目し、周知・著名な清酒ブランドの「天」のシリーズ商品を想起して、当該商品があたかも、宝酒造の業務に係る商品であるかのごとく誤認して取引に当たる蓋然性が極めて高く、商品の出所につき混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 申立人は、その業務に係る商標として引用商標を申立人の周知・著名商標であると主張しているが、以下では、引用商標3に「松竹梅」及び「てん」の文字を加えた商標(別掲4、容量や色彩等は異なるが、実質的に同一の構成からなるものを含む。以下「使用商標」という。)についても、検討し、判断する。 (1)引用商標及び使用商標の周知・著名性について ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人の100%出資に係る子会社である宝酒造は、「松竹梅 天」と称する「清酒」(以下「申立人商品」という。)について、2003年9月には紙パック、2011年にはエコパウチのものを販売開始した(甲6?甲9、甲25)。 そして、使用商標は、申立人商品のパッケージに付して使用されており、同様に商品カタログ、テレビ及びインターネットにおける広告等についても現在まで継続して使用されている(甲6?甲41)。 (イ)2007年度下半期から2017年度上半期までの注目カテゴリーランキング(甲52?甲62)には、日本酒のカテゴリー内売上シェアトップ20の中に「松竹梅 天パック 2L 宝酒造」が3位に位置している。また、2014年2月26日の「SankeiBiz」のウェブサイト(甲65)には「日本酒(紙パック)の13年12月?14年1月購入理由?日本酒のブランド別ランキングトップは『月桂冠つき』」の見出しの下、「・・・5位は『宝酒造 松竹梅 天』・・・」の記載がある。 (ウ)申立人商品の販売数量は、平成15年度から平成19年度にかけて、約350万本(約7,000kl)から約760万本(約15,000kl)へと漸増したが、その後、平成29年度までの間は約800万本(約16000kl)前後で推移し(甲42)、また、販売金額も、平成15年度から平成19年度にかけて、約34億円から約74億円へと漸増したが、その後、平成29年度までの間は約80億円前後で推移している(甲43)。 (エ)2003年度以降、申立人商品の広告、宣伝には俳優を起用し、テレビCMの放送、インターネットの動画配信、プレゼントキャンペーンを行い、新聞や雑誌にも掲載された(甲45?甲48、甲51)。 イ 以上によれば、申立人商品は、紙パックの「清酒」として2003年9月に販売を開始して以降、使用商標がパッケージに付して使用され、また、テレビ及びインターネット等の媒体を介し継続して使用されており、さらに、2007年度から約10年間の日本酒のカテゴリー内売上シェアにおいて高い順位に位置することやその販売数量及び販売金額などを併せみると、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、その商品の需要者の間である程度知られているものといえる。 一方、申立人の提出に係る証拠によれば、「天」の文字のみからなる引用商標1及び引用商標2が使用されている例はごくわずかであり、また、引用商標3及び引用商標4のみで使用されている例は確認できないものであるから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、その商品の需要者の間に広く認識されていたということはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、二重の円輪郭内に羽団扇様(以下、同様の図形を「羽団扇」という。)の金色図形を金色四角形輪郭内の右上角と左下角に配し、該四角形内中央には、筆文字風で大きく表した「天狗舞」の漢字、その左側には、円輪郭内に羽団扇の金色図形と重なるようにデザイン化した「天」の漢字を中央に配した円図形、該円図形の下に「TAKA」の赤色欧文字を配してなる構成からなるものである。 そして、本件商標の構成中、金色四角形輪郭内の左側に配された円図形(以下「左側円図形」という。)は、中央に大きく表された「天狗舞」の文字と視覚的に分離して看取されるというべきである。 また、左側円図形は、デザイン化した「天」の漢字を有するものの、羽団扇と重なるように配されているため、その構成が一体のものと看取され、まとまりのある一体不可分の図形とみるのが相当であるから、これより、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、本件商標は、その構成中にある「天狗舞」及び「TAKA」の文字に相応して、「テングマイ」及び「タカ」の称呼を生じること明らかであって、特定の観念を生じるとはいえない。 なお、申立人は、本件商標の構成中、左側円図形について、その中央全面に黒々と明瞭に表された「天」の文字部分が看者の目をひき、本件商標の構成全体からサブブランドとして把握されるもの(甲66?甲74)であるから、該「天」の文字部分からこれに相応した「テン(天)」の称呼及び観念が生じる旨主張する。 しかしながら、左側円図形中、「天」の文字部分は、デザイン化して羽団扇と重なるように配されていることから、その構成が一体のものと看取され、まとまりのある一体不可分の図形とみるのが相当であることは先に判断したとおりであり、また、申立人の提出した証拠には「天」の文字部分が「天狗舞」のサブブランドであることを明記したものは一切ないことから、これが独立して出所識別標識としての機能を果たし得るものとはいうことができない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 イ 引用商標について 引用商標1及び引用商標2は、「天」の文字からなり、引用商標4は、その構成中に「てん」の文字を有する商標であるところ、引用商標1及び引用商標2の文字部分から「テン(天)」の称呼及び観念を生じ、引用商標4の「てん」の文字部分から、「テン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというべきである。 また、引用商標3は、別掲2のとおり、赤色の縦長四角形内に白抜きで「天」の文字を模したと思しきいびつな円と線の組合せと雲状の模様を描いた図形からなり、全体としてまとまりのある一つの図形として認識し、把握されるとみるのが相当であるから、これより、特定の称呼及び観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標とは、外観において、明らかな差異を有するものであるから、本件商標と引用商標とは、外観上相紛れるおそれのないものである。 また、本件商標は、上記アのとおり、「テングマイ」及び「タカ」の称呼を生じ、その構成中、左側円図形からは、特定の称呼及び観念は生じないのに対し、引用商標は、上記イのとおり、引用商標1及び引用商標2からは、「テン(天)」の称呼及び観念を生じ、引用商標4からは、「テン」の称呼を生じるものの、特定の観念は生じることはなく、引用商標3からは、特定の称呼及び観念を生じない。 そうすると、本件商標は、「テン(天)」の称呼及び観念を生じるとはいえないから、引用商標とは称呼及び観念において紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないことが明らかであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。 したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものである。 エ 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 オ 小括 上記アないしエによれば、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、その商品の需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。 そして、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標であって、その類似性は低いものである。 また、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、その商品の需要者の間である程度知られているものである。 そして、使用商標は、別掲4のとおり、「松竹梅」及び「てん」の各文字並びに図形から構成されるところ、これより、「ショウチクバイ」及び「テン」の称呼を生じ、使用商標全体としては特定の観念を生じないものであるから、本件商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観において明らかな差異を有するものであり、称呼において相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は非類似の商標であって、その類似性も低いものである。 そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者に申立人又は宝酒造の使用に係る引用商標又は使用商標を連想、想起させることはなく、その商品が申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 別掲(いずれも:色彩については原本参照。) 1(本件商標) ![]() 2(引用商標3) ![]() 3(引用商標4) ![]() 4(使用商標) ![]() |
異議決定日 | 2019-10-23 |
出願番号 | 商願2018-41128(T2018-41128) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W33)
T 1 651・ 271- Y (W33) T 1 651・ 262- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 上山 達也、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
半田 正人 中束 としえ |
登録日 | 2018-12-28 |
登録番号 | 商標登録第6111561号(T6111561) |
権利者 | 合名会社車多 |
商標の称呼 | テングマイ、テン、アマ、タカ |
代理人 | 宮田 正道 |
代理人 | 宮田 誠心 |
代理人 | 特許業務法人みのり特許事務所 |