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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W30 |
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管理番号 | 1356918 |
審判番号 | 取消2017-300939 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-12-27 |
確定日 | 2019-10-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5729642号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 登録第5729642号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年8月6日に登録出願、第9類、第28類、第35類及び「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,チョコレート」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同26年12月26日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録がされたのは、平成30年1月17日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年1月17日から同30年1月16日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,チョコレート」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、上記の指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何らの意見も述べていない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。 1 答弁の理由 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中の「チョコレート」について、本件商標の使用をしている。 (1)被請求人について 被請求人は、「遊戯機器及び遊戯機器に関連する原材料、部品、半製品、電子応用機器等の製造、売買、斡旋、賃貸借及び管理」のほか「美術館及び関連施設の経営・運営・管理並びに美術に関する展覧会、講演会等の開催」等の事業を行う株式会社である(乙1)。 岡田美術館(神奈川県足柄下郡箱根町)は、被請求人の創業者が収集した美術品を展示する目的で設立された美術館であり、被請求人が、その管理及び運営を行っている(乙2?乙9)。 また、岡田美術館内には、関連施設として、岡田美術館限定商品等を販売するミュージアムショップがあり、被請求人は、それら事業の管理及び運営を行っている(乙5、乙7、乙8)。 (2)本件商標について 本件商標は、7つの正円を六角形状に配した図形商標であるところ、被請求人は、本件商標と同一の商標を、岡田美術館及び関連施設のシンボルマークとして採択し、商品の出所識別標識として使用している(乙4、乙5)。 (3)要証期間内の指定商品についての本件商標の使用であること ア ウェブサイト上の記事について 平成27年2月5日ないし同29年11月20日のウェブサイト上の記事は、被請求人が販売する「岡田美術館チョコレート」が紹介されており、その包装に本件商標が付されている(乙10?乙18)。 上記の事実によれば、被請求人は、チョコレートの包装に本件商標を付し、チョコレートの包装に本件商標を付したものを販売等しており(商標法第2条第3項第1号及び同第2号)、複数のウェブサイト上の記事が公開された時期より、要証期間内に、被請求人が本件商標を指定商品中の「チョコレート」に使用していることは容易に理解できる。 イ ウェブサイト広告について 被請求人の公式ウェブサイト(乙4)の各頁の右下部に配され、又は「文化・芸術活動」のページに配された岡田美術館に係るバナーをクリックすると、岡田美術館の公式ウェブサイト(乙5)に飛ぶことができる。 また、岡田美術館の公式ウェブサイトの「施設案内」をクリックすると(乙5)、岡田美術館内に「ミュージアムショップ」があることを示す地図を確認することができ(乙7)、かつ、「ショップ」をクリックすると、岡田美術館ミュージアムショップの各種商品の画像とともに、「岡田美術館チョコレート」の画像が掲載されているページを確認することができる(乙8)。 さらに、岡田美術館のバナー及び岡田美術館の公式ウェブサイトには、本件商標が使用されている。 加えて、前述のとおり、被請求人は、チョコレートの包装に本件商標を付し、チョコレートの包装に本件商標を付したものを販売等している(商標法第2条第3項第1号及び同第2号)。 自社の商品が掲載されるウェブサイトにあっては、使用されている商標が商品と具体的関係において表示されている場合には、それがウェブサイト中に掲載されている個々の商品についても、その出所を表示する機能を果たしているものと認められ、その場合、当該個々の商品について当該商標が使用されていると解されるものである。 そして、本件商標は、被請求人の公式ウェブサイト(乙4)及び岡田美術館の公式ウェブサイト(乙5)において、ウェブサイト中に掲載されている個々の商品についても、その出所を表示する機能を果たしているものと認められる使用態様といえる。 そうすると、被請求人は、チョコレートに関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供しているといえ(商標法第2条第3項第8号)、本件商標が要証期間内において被請求人の公式ウェブサイト(乙4)及び岡田美術館の公式ウェブサイト(乙5)において使用されていることは、過去のウェブサイトのページを閲覧できるサービス「Wayback Machine(ウェイバックマシン)」(https://archive.org/)を用いれば確認することができる(乙19、乙20)。 2 被請求人の回答書 平成30年7月10日付け審尋に対し、被請求人は、同月31日付けで回答書を提出し、以下のとおり、証拠の追加を行った。 (1)三越日本橋店のパンフレット 三越日本橋店(株式会社三越伊勢丹)が発行した商品パンフレット「三越のバレンタイン」の51頁には、被請求人が販売するチョコレートが掲載されており、その表紙及び裏表紙に記載されたバレンタインのイベントの日時等(表紙の「2017.2.14」の記載等)から、同パンフレットが2017年2月14日(バレンタインデー)前に配布されたものであることが理解できる(乙21)。 (2)「三越バレンタイン2017」の提案書等 乙第22号証は、「三越バレンタイン2017」の催物企画の提案書(株式会社三越伊勢丹作成)及び費用負担に関する同意書であり、上記三越日本橋店の催物に関するものである。また、乙第23号証は、被請求人が販売するチョコレート等に係る買掛金支払明細表(株式会社三越伊勢丹作成)であり、同明細表の「洋菓子」はチョコレートであり、被請求人が同商品を販売した事実を示す。 (3)岡田美術館チョコレートの広告物 商品パンフレット「三越バレンタイン」(乙21)の被請求人が販売するチョコレートの包装に付された本件商標について、不明瞭と思われるため、補充する目的で被請求人が販売するチョコレートに関する広告物を提出する(乙24)。 (4)ウェイバックマシンに関する証拠 被請求人の公式ウェブサイト(乙4)について、ウェイバックマシンを用いて確認した画面の写し(平成29年8月23日及び同年12月1日に保存された情報)を提出する(乙25、乙26)。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及びその主張によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証は、被請求人の「履歴事項全部証明書」の写しであり、その事業の目的には、「美術館及び関連施設の経営・運営・管理」の記載がある。 乙第2号証は、被請求人の「有価証券報告書」の写しであり、「【設備の状況】」のタイトルの下、「事業所名(所在地)」として「岡田美術館(神奈川県足柄下郡箱根町)」の記載がある。 乙第3号証は、「ウィキペディア」の「岡田美術館」に関する情報の写しであり、「2013年10月4日 実業家でユニバーサルエンターテインメント創業者が収集した、東洋・日本美術コレクションを展示する目的で設立された美術館である」旨の記載がある。また、施設情報として、「管理運営」の項目に「株式会社ユニバーサルエンターテインメント」の記載がある。 乙第9号証は、「岡田美術館の公式ウェブサイト」(http://www.okada-museum.com/:以下「美術館ウェブサイト」という。)の一部の写しであり、「利用規約」の項に、「このウェブサイトは、岡田美術館の運営者管理者である株式会社ユニバーサルエンターテインメントによって開設され、管理・運営されている当館の公式サイトウェブサイトである」旨の記載がある。 (2)乙第26号証は、「Wayback Machine(ウェイバックマシン)」を用いて確認した美術館ウェブサイトについての「2017年12月1日」時点の情報の写しであり、毛筆体の「岡田美術館」の文字の左側に、7つの青緑色の円を六角形状に配した図形が表示されている(別掲2:以下「使用商標」という。)。また、同頁には、「岡田美術館 ミュージアムショップ」のタイトルの下、「岡田美術館のミュージアムショップは、正面玄関脇に位置しています」、「ミュージアムチョコレート・・・は、岡田美術館でしか買えないお土産です。」の記載がある(1葉目)。さらに、「岡田美術館チョコレート ボンボンショコラセレクション(5個入り)2,600円 失恋チョコレートバー 1,800円」の記載と共に、当該チョコレートの写真が掲載されている。 (3)乙第21号証は、「三越日本橋本店」が発行した商品カタログの写しであり、その表紙(1葉目)には、「三越のバレンタイン」の表題の下、「1月25日(水)?2月14日(火)日本橋三越本店 本館・新館各階」の記載、「ショコラセレクション」の表題の下、「1月25日(水)?31日(火)日本橋三越本店 本館1階 中央ホール」の記載があり、その左に、「VALENTINE/2017/2.14/tue」の記載がある。 また、2葉目には、その上部に「1月25日(水)?31日(火)本館1階 中央ホール」の記載があり、その記載の下に、日本画の一部と思しき色彩付きの図柄が掲載され、「岡田美術館チョコレート」の表題の下、「上は琳派の伝統美を近代に復活させた神坂雪佳の作品『燕子花図屏風』をモチーフにした日本橋三越本店先行販売。下は伊藤若冲の『孔雀鳳凰図』の世界観を表現。いずれもアートピースと呼ぶにふさわしい、優美な色彩のチョコレートに仕上がりました。」の記載があり、その右側には「日本橋店先行」、「ボンボンショコラセレクション雪佳燕子花図屏風チョコレート 2,601円5個入、日本製」、「ボンボンショコラセレクション若冲孔雀鳳凰図チョコレート 2,601円5個入、日本製」の記載とともに、当該チョコレートの写真が掲載されている。 (4)乙第22号証は、2016年12月16日付けで、「株式会社 三越伊勢丹 日本橋本店」の「食品統括部担当者」から、被請求人の「岡田副館長秘書」に宛てた、「催物企画についてのご提案」と題する書面の写しであり、そこには、「1.催物企画について」の項目名下の表において、「催物の名称」の欄に「三越のバレンタイン2017」、「期間」の欄に「2017/01/25?2017/02/14」と記載され、「2.貴社に費用負担いただきたい金額」の項目名下の表において「金 108,000円(消費税8,000円を含む) 下記の通り使用いたします。」の記載、及びその下段に「使途」の欄があり、広告費、装飾費等の費用が計上されている。 また、同号証の2葉目は、「費用負担に関する同意書」と題する書面の写しであり、そこには「当社は、2016年12月16日付、貴店からの『催物企画についてのご提案』に同意し、下記の通り記載のタイアップ金を支払います。」の記載とともに、「1.施策の具体的内容」として「(1)店名 三越伊勢丹日本橋本店 (2)催物名 三越のバレンタイン2017 (3)場所 1階・7階(2/1?2/14) (4)期間 2017年1月25日 ? 2017年2月14日」の記載がある。 2 判断 上記1によれば、以下のことが認められる。 (1)使用者について 被請求人の事業の目的は、「美術館及び関連施設の経営・運営・管理」を含むものであり、被請求人は、その創業者が収集したとされる東洋・日本美術コレクションを展示する「岡田美術館」(神奈川県足柄下郡箱根町)の経営、管理、運営を行うとともに、同美術館の公式ウェブサイトとして、美術館ウェブサイトを管理、運営している(乙1?乙3、乙9)ことが認められる。 そして、美術館ウェブサイトには、毛筆体の「岡田美術館」の文字の左側に、7つの青緑色の円を六角形状に配した図形(使用商標)が表示されている(乙26)。 そうすると、美術館ウェブサイトにおける使用商標の使用者は、同サイトを管理、運営している被請求人ということができる。 (2)本件商標と使用商標の同一性について 本件商標は、別掲1のとおり、7つの黒色の円を六角形状に配した図形であるのに対し、美術館ウェブサイトにおける使用商標は、別掲2のとおり、7つの青緑色の円を六角形状に配した図形である。 してみれば、使用商標は、本件商標に類似する商標であって、色彩を本件商標と同一にするものとすれば本件商標と同一の商標であると認められるから、商標法第50条に規定する「登録商標」に当たるというべきである(同法第70条第1項)。 (3)使用商品について 美術館ウェブサイトには、上記1(2)のとおり、「ミュージアムチョコレート・・・は、岡田美術館でしか買えないお土産です。」、「岡田美術館チョコレート ボンボンショコラセレクション(5個入り)2,600円 失恋チョコレートバー 1,800円」の記載や、当該チョコレートの写真があることから、「岡田美術館チョコレート」と称する被請求人の業務に係る商品「チョコレート」が美術館内の「ミュージアムショップ」において販売されており、被請求人は、美術館ウェブサイトにおいて「岡田美術館チョコレート』と称するチョコレートについての広告をしていたとみることができる(乙26)。 また、上記1(3)及び(4)によれば、被請求人は、2017年1月25日(水)ないし同年2月14日(火)に開催された「三越伊勢丹 日本橋本店」の「三越のバレンタイン2017」において、「岡田美術館チョコレート」を販売していたことが推認できる。 (4)使用時期について 上記1(3)及び(4)によれば、平成29年(2017年)に「三越伊勢丹日本橋本店」で開催された催物「三越のバレンタイン2017」の商品カタログで、「岡田美術館チョコレート」に関する広告が掲載されていることからすれば、同カタログは、平成29年のバレンタインデー前に同商品が販売されていた証拠といえるものであり、その後、継続して販売していることも優に認められるものであって、「岡田美術館チョコレート」の広告が掲載されている美術館ウェブサイト(乙26)は、要証期間内である平成29年(2017)12月1日時点のものである。 (5)小括 上記(1)ないし(4)によれば、被請求人(商標権者)は、要証期間内に、同人が管理、運営する美術館ウェブサイトにおいて、美術館内の「ミュージアムショップ」等で販売されていた被請求人の業務に係る商品チョコレートに関する広告を内容とする情報に、本件商標と同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供していたものと認められる。 そして、上記の使用行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用に該当するものである。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中「チョコレート」について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標)![]() 別掲2(使用商標:色彩は乙第26号証参照。) ![]() |
審理終結日 | 2019-05-21 |
結審通知日 | 2019-05-23 |
審決日 | 2019-06-07 |
出願番号 | 商願2014-66339(T2014-66339) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W30)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷村 浩幸 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 山田 正樹 |
登録日 | 2014-12-26 |
登録番号 | 商標登録第5729642号(T5729642) |
代理人 | 村田 実 |
代理人 | 神林 恵美子 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 飯島 紳行 |