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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117 |
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管理番号 | 1356905 |
審判番号 | 取消2018-300578 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-07-30 |
確定日 | 2019-10-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2165531号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2165531号の1商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2165531号の1商標(以下、「本件商標」という。)は、「ACE」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年3月28日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品」を指定商品として、平成1年8月31日に設定登録されたものであるが、その後、同29年2月14日に分割移転がなされた結果、指定商品は、第17類「被服、布製身回品但し、指定商品である被服,布製身回品の内、寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,エプロン,えり巻,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆いを除く他の全ての指定商品を除く」となったものである。 また、本件商標の商標権者は、平成23年8月29日に旭繊維株式会社に移転され、その後、同28年11月4日にサンリッチ株式会社(被請求人)に移転されたものである。 なお、平成11年8月24日及び同21年8月11日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成30年(2018年)8月10日にされている。 また、本件審判請求の登録前3年以内の期間である平成27年(2015年)8月10日から同30年(2018年)8月9日までの期間を、以下、「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 以下、証拠については、「甲1」「乙1」のように表示する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、本件商標の商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせない。 加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない(甲2)。 したがって、本件商標はその請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1) 乙10について 乙10は「靴下」の商品カタログと見受けられるが、発行者も日付も一切記載されておらず、乙10が本件商標の前商標権者である旭繊維株式会社(以下「前商標権者」という場合がある。)のカタログであるか、いつ発行されたものであるか不明である。 (2) 乙11について 乙11に記載の指定品番と乙10のカタログの記載から、乙11が、同カタログに掲載された商品に関する納品書であることは推測できるものの、納品時に乙2ないし乙9にみられるような「ACE」の文字を表した吊下用タグ(以下「タグ」という。)が付されていたかどうか明らかでない。 また、乙11には「平成27年11月30日」という日付があるが、前商標権者は、平成27年4月1日付けで大阪地方裁判所より破産手続開始決定がなされている(甲3及び甲4)。破産手続が開始されると、破産者である法人の財産は破産管財人が管理・処分し、破産者自身が自由に管理・処分することができず、また、自らの意思決定によって事業を継続することはできない。 上記事実を踏まえると、乙11の納品書の存在自体に疑義が生じるとともに、前商標権者が本件商標を付した商品を業として販売したことを示す証拠にはならない。 (3) 乙12及び乙13について 乙12に記載の商品名と乙10のカタログの記載から、乙12が、乙10に掲載された商品に関する納品書であることは推測できるものの、納品時に乙2ないし乙9にみられるような「ACE」の文字を表したタグが付されていたかどうか明らかでない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は、成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙13を提出した。 1 答弁の理由 (1) 本件商標の使用の要点 本件商標の前商標権者は、要証期間内に、その請求に係る指定商品中「靴下」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している。 (2) 本件商標の使用の事実 ア 被請求人について 被請求人は、昭和53年11月17日に設立された大阪府大阪市に本社を置く法人であり、その事業内容は、繊維製品製造業、不動産賃貸管理業及び免税店事業等、多岐に渡っている(乙1)。被請求人は、本件商標を前商標権者より譲り受け、平成28年11月4日付けで商標登録原簿に登録されたことをもって、正式な商標権者となった。 イ 使用に係る商品 乙2ないし乙9の商品写真に示された商品が、本件商標の使用に係る「靴下」である。当該靴下は、一足の靴下を重ね合わせて足型の台紙を入れ、タグとともにタグピンにて結束した状態で販売されるものである。 ウ 商標の使用 乙2ないし乙9に示すとおり、本件商標と社会通念上同一の商標である「ACE」が「靴下」のタグの表面に付されている。また、タグの裏面には製造元として前商標権者の社名「旭繊維株式会社」が記載されている。 エ 商品の販売の事実 (ア)本件商標を使用した「靴下」が販売された事実は、前商標権者の商品カタログ(乙10)及び納品書(乙11)により示される。 乙10は、本件商標を使用した前商標権者が作成した商品カタログである。当該商品カタログには、「靴下」のタグ付け前の商品写真、品番、カラー等が掲載されている。 当該商品カタログからは、乙2ないし乙9の商品写真と対比することで、当該各商品の品番等を特定することができる。 乙11は、本件商標が付された「靴下」が前商標権者によって顧客であるサンリッチ株式会社に納品されたことを示す平成27年11月30日付けの納品書の写しである。当該納品書により、乙2ないし乙9に係る「靴下」がそれぞれ納品されたことが明らかである。 (イ)前商標権者よりサンリッチ株式会社が仕入れた「靴下」は、その後他社に卸売され、その販売の事実は、サンリッチ株式会社の納品書(乙12)及び送り状(乙13)により示される。 乙12は、上述した「靴下」がサンリッチ株式会社によって顧客である株式会社イトウに納品されたことを示す平成27年12月22日付けの納品書の写しであり、乙13は、当該納品書に記載の商品をサンリッチ株式会社が発送したことを示す同日付けの送り状の写しである。 (3) まとめ ア 使用に係る商品 乙2ないし乙10に示すように、使用に係る商品は「靴下」であり、商品「靴下」は、請求に係る指定商品に該当するものである。 イ 商標の使用 乙2ないし乙9の靴下に結束されたタグには、黒色の背景に白抜きで「ACE」が表示されている。また、乙10の前商標権者の商品カタログの上部の黒字の長方形状の中央部分には、白抜きで「ACE」が表示されている。 使用商標と本件商標とは、「ACE」の文字が同一であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。 ウ 使用時期について 乙11に示すように、本件商標が付された「靴下」は、平成27年11月30日に前商標権者からサンリッチ株式会社に納品され、乙12及び乙13に示すように、前商標権者から仕入れた「靴下」は、同年12月22日にサンリッチ株式会社から株式会社イトウに販売されたことがわかる。 上述する平成27年11月30日及び同年12月22日は、要証期間に含まれる。 エ 小括 以上によれば、前商標権者を通じて、要証期間内にその請求に係る指定商品中「靴下」に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、譲渡が行われていたといえる(商標法第2条第3項第2号)。 (4) 結語 以上のとおり、本件商標は、要証期間内に我が国において、前商標権者により、本件審判の請求に係る指定商品中「靴下」について使用されているものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。 第4 当審における審尋 審判長は、令和1年6月17日付け審尋にて、被請求人に対し、商標法第50条第2項の規定による被請求人の証明について、審判事件答弁書の内容についての釈明及び更なる主張立証を求めた。 これに対し、被請求人は、何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 不使用取消審判について 商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、同条第2項において、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。 2 被請求人提出の証拠の内容 被請求人は、本件商標の前商標権者が、要証期間内に、その請求に係る指定商品中「靴下」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用(商標法第2条第3項第2号)している旨主張し、乙2ないし乙13を提出した。 そこで、被請求人の提出に係る答弁の全趣旨及び上記乙各号証について、以下検討する。 (1) 被請求人の提出に係る乙2ないし乙9は、「靴下(紳士フットカバー)」の写真であるところ、いずれの商品「靴下(紳士フットカバー)」にもタグが付されており、そのタグの表面には白抜きの「ACE」の文字及びその裏面には「製造元 旭繊維株式会社」の記載がある。 また、上記各乙号証の下部には、撮影日:平成30年10月3日、撮影場所:事務所会議室、撮影者:被請求人代理人の記載が認められるが、当該撮影日は、要証期間の経過後である。 (2) 乙10は、被請求人の主張によれば、前商標権者が作成した商品カタログの写しであり、そこには「ACE」及び「MENS FOOT COVER」の記載がある。 また、上記商品カタログには、乙2ないし乙9の「靴下(紳士フットカバー)」と同じ種類の商品と認められる5つの「靴下(紳士フットカバー)」の写真が掲載されている。 そして、上記5つの「靴下(紳士フットカバー)」の写真には、「AE35-7251」ないし「AE35-7255」の品番が付されており、品番「AE35-7251」のカラーの項には「(3)Dブルー」及び「(4)Dブラウン」の記載、品番「AE35-7252」のカラーの項には「(4)Dブラウン」及び「(16)Lグレー」の記載、品番「AE35-7253」のカラーの項には「(2)チャコール」及び「(4)Dブラウン」の記載、品番「AE35-7254」のカラーの項には「(1)ブラック」及び「(3)Dブルー」の記載、並びに品番「AE35-7255」のカラーの項には「(1)ブラック」、「(3)Dブルー」、「(2)チャコール」及び「(4)Dブラウン」の記載がある。 しかし、当該商品カタログには、その作成日及び作成者は記載されていない 。 (3) 乙11は、納入者「旭繊維株式会社」から、「サンリッチ株式会社」あての平成27年11月30日付け納品書であるところ、当該納品書における指定品番「AE35 7251-5」の品名の欄には「紳士フットカバー」の記載、カラー明細の欄には「(3)(4)」の記載がある。同様に「AE35 7252-5」の品名の欄には「紳士フットカバー」の記載、カラー明細の欄には「(4)(16)」の記載、「AE35 7253-5」の品名の欄には「紳士フットカバー」の記載、カラー明細の欄には「(2)(4)」の記載、「AE35 7254-5」の品名の欄には「紳士フットカバー」の記載、カラー明細の欄には「(1)(3)」の記載、「AE35 7255-5」の品名の欄には、「紳士フットカバー」の記載、カラー明細の欄には「(1)、(2)、(3)、(4)」の記載がある。 当該納品書によれば、要証期間内において、前商標権者である旭繊維株式会社よりサンリッチ株式会社に、商品「紳士フットカバー」が納品されたということができる。 しかし、当該納品書の宛先には、「ACE事業部」の記載はあるものの、納品された商品に本件商標が付されていたかは明らかではない。 (4) 乙12は、「サンリッチ株式会社」から「株式会社イトウ」あての平成27年12月22日付け納品書であるところ、商品の欄には、「紳士フットカバー」の記載がある。 上記納品書からは、要証期間内である平成27年12月22日において、サンリッチ株式会社より株式会社イトウに商品「紳士フットカバー」が納品されたということができる。 しかし、平成27年12月22日の時点における本件商標の商標権者は、旭繊維株式会社であり、サンリッチ株式会社ではない。また、サンリッチ株式会社は、専用使用権者ではなく、旭繊維株式会社から通常使用権を許諾されたというべき事情は見いだせない。 したがって、サンリッチ株式会社は、平成27年12月22日の時点において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにも該当しない。 (5) 乙13は、依頼主「旭繊維株式会社」及び「サンリッチ(株)」から、届け先「株式会社香賀」あての平成27年12月22日付け宅配便の送り状であるところ、そこの品名の欄には、「レギンス、タイツ他」の記載が確認できる。 上記送り状からは、品名「レギンス、タイツ」を内容品とする宅配便が、要証期間に「旭繊維株式会社」から「株式会社香賀」あてに送付されたことが認められるが、「レギンス、タイツ」以外の内容品は不明であり、また、送付された内容品に本件商標が付されているかは明らかではない。 (6) 上記各証拠以外に、本件商標の使用を証明する証拠は、提出されていない。 3 前記2によれば、要証期間内である平成27年11月30日に、当時商標権者であった旭繊維株式会社が、サンリッチ株式会社に対して、乙10の商品カタログに掲載されている「靴下(紳士フットカバー)」(以下「使用商品」という。)を譲渡したことが認められる。 しかしながら、乙10の商品カタログ(広告)の表題部分及び乙11の納品書(取引書類)の宛先欄に「ACE」の文字の記載は認められるものの、使用商品又は使用商品の包装に本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が付されているとは認められない。 また、使用商品と同様の「靴下(紳士フットカバー)」であると認められる乙2ないし乙9の写真の商品には、商品の包装(タグ)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標(以下「使用商標」という。)が付されている。 しかしながら、当該写真の撮影日が平成30年10月3日であることから、これをもって、平成27年11月30日に譲渡された使用商品の包装にも、使用商標が付されていたとは認めることができない。 そうすると、商標法第2条第3項第2号にいう「・・・商品の包装に標章を付したものを譲渡・・・する行為」があったとはいえない。 その他、被請求人(商標権者)によって、請求に係る指定商品について、本件商標の商標法第2条第3項にいう使用があった事実を示す証拠はなく、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにされていない。 4 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件審判の取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-08-08 |
結審通知日 | 2019-08-14 |
審決日 | 2019-09-04 |
出願番号 | 商願昭59-31365 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(117)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
小出 浩子 山田 啓之 |
登録日 | 1989-08-31 |
登録番号 | 商標登録第2165531号の1(T2165531-1) |
商標の称呼 | エイス、エース、エイシイイイ |
代理人 | 山口 慎太郎 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |