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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20189866 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1356899 
審判番号 不服2017-17175 
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-20 
確定日 2019-10-17 
事件の表示 商願2015-129548拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「やわらか密封ボトル」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成27年12月29日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、当審における平成29年12月26日付けの手続補正書により、第30類「調味料」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『やわらか密封ボトル』の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、その構成全体として、『柔らかく、すきまのないようにぴったりと封がされたボトル』ほどの意味合いを容易に理解させるものであり、また、本願の指定商品中の『調味料』に係る『やわらかい容器』及び『密封の容器』についての実情や、本願商標が『やわらか』、『密封』及び『ボトル』という平易な語の組合せであることを考慮すると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを理解し、商品の包装の形状及び品質を表示したものと認識するとみるのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、上記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、平成30年10月16日付け審尋で、本願商標は、本願の指定商品を取り扱う業界における実情に照らせば、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、請求人による主張及びその主張に係る甲各号証を見ても、本願商標が、その使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるようになっているとは認められない旨の見解を示した上で、相当の期間を指定して、当該見解に対する回答を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記第3の審尋に対し、平成30年12月3日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張し、その主張を裏付けるものとして、本件審判の請求に併せて提出した甲第1号証ないし甲第115号証に加えて、甲第116号証ないし甲第125号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本願の指定商品を取り扱う業界において、近年、鮮度保持及び使用量の調節の容易化を図るべく、商品容器(ボトル)に空気が入らないように密封し、かつ、容器(ボトル)自体を柔らかくするといった工夫がなされているものがあり、また、そのような工夫を商品の特長としてうたうなどしている商品が見受けられることは請求人も否定しないが、「やわらか密封ボトル」の文字が、当該業界において、商品の包装の形状、品質表示として、取引上、一般に使用されている事実はない。
そうすると、「やわらか」の文字と「密封ボトル」の文字とを結合してなる本願商標は、何かが「柔らかな」な品質、特徴をもった密封ボトルであることを暗示させる場合があるとしても、商品の品質等を具体的に表示するものとして、直ちに理解されるとはいい難く、むしろ、その構成全体をもって、一体不可分の一種の造語として捉えられ、記憶に残るものと認識すべきである。
2 請求人が本願商標を採択し、使用を開始したのは、2011年当初であり、その後、請求人は、企業としての技術能力を本願商標により見える化し、継続的に使用することにより、他社製品との差別化を図り、優位性を保ってきたところ、本願商標の使用に係る製品を取り上げた新聞やウェブ記事において、「やわらか密封ボトル」の文字自体が、商品の品質表示として使用された事実はなく、製品の機能性(特徴)に言及されてはいるものの、本願商標が請求人の商品を指称する識別標識として認識された上で、その文字の表示がされている。
また、一般の需要者が利用するブログにおいても、需要者が、「やわらか密封ボトル」の文字を請求人の商品を指称する識別標識として認識していることが確認できる。
3 製品には、営業標識として使用される「ハウスマーク」、シリーズ又はカテゴリー名称に使用される「ファミリーネーム」、個別の商品名称に使用される「ペットネーム」等、複数の商標が付されて取引に資される場合があることは、経験則上、明らかである。
そうすると、たとえ、本願商標が「いつでも新鮮」や「キッコーマン」などといった文字からなる標章とともに使用され、また、商品の機能性(特徴)の告知とともに使用されたものがあったとしても、本願商標は、長期にわたる継続的な使用により、請求人の商標として認知され、現実に自他商品の識別標識として機能している。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「やわらか密封ボトル」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、その文字構成から「やわらか」、「密封」及び「ボトル」の各語を組み合わせてなるものと容易に看取、理解されるものであり、その構成全体から「柔らかで密封されたボトル」ほどの意味合いを想起させるものである。
ところで、本願の指定商品を取り扱う業界においては、別掲のとおり、商品の鮮度保持及び使用量の調節の容易化を図るべく、商品容器(ボトル)について、空気が入らないように密封し、かつ、容器(ボトル)自体をやわらくするといった工夫をすることが一般に行われており、そのような工夫を商品の特長としてうたうなどしている事実がある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって、その商品が、鮮度の保持や使用量の調節の容易性などといった特長に適した、柔らかで密封されたボトルに入っているものであること、すなわち、商品の品質、形状を表したものと認識するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 本願商標が使用により自他商品識別機能を有するに至っている旨の主張について
請求人は、本願商標について、仮に、生来的な自他商品識別力が弱いとしても、長年にわたる継続的な使用と宣伝活動により、請求人の商標として認知され、自他商品識別機能を有するに至っている旨主張するとともに、その主張に係る証拠を提出している。
そこで、上記請求人の主張及び同人提出の証拠について、以下検討する。
(1)使用期間
請求人のグループ会社であるキッコーマン食品株式会社(以下「キッコーマン食品」という。)は、2010年(平成22年)9月に発売した商品「しょうゆ」等の「『いつでも新鮮』シリーズ」について、消費者のニーズに応えるべく、中身の劣化を防ぐ等のため、当初、パウチタイプの容器(500ml入り)を採用したが、その後、中身の劣化を防ぐことに加え、注ぐ量の自在な調節、持ちやすさ、使いやすさなどといった各種機能をより向上させるべく、中身が空気に触れにくくする「ダブル逆止弁キャップ」やボトルの中に中身が詰められた内袋を入れた二重構造を用いた手になじむ柔らかな素材の密封容器を他社と共同開発し、その容器を採用した新商品として、2011年(平成23年)8月に200ml入りの「しぼりたて生しょうゆ」等の商品(「いつでも新鮮 卓上ボトル」シリーズ)を発売した。そして、2012年(平成24年)8月には、同種商品の450ml入りのものを発売するとともに、当該容器を「やわらか密封ボトル」と称するようになった。当該容器を採用した上記シリーズに係る商品は、その後、その中身や内容量の種類を増やしつつ、継続して販売されているところ、専らその容器の胴部にシリーズ商品名を表した「いつでも新鮮」の文字からなる標章や、商品の出所を表したと看取、理解される「キッコーマン」の文字からなる標章及び亀甲形の中に「萬」を配してなるいわゆるのれん記号からなる標章(以下「請求人のれん記号」という。)が付されているほか、その容器の首部に「酸化を防ぐ」、「やわらか」及び「密封ボトル」の各文字を三段に表してなる標章が付されている(甲14?甲24、甲26?甲30、甲32、甲34、甲36?甲38、甲40、甲42、甲43?甲48、甲50?甲59、甲61?甲71、甲73?甲77、甲79?甲83、甲85?甲89、甲91、甲93?甲121、甲123、甲124)。
(2)本願商標の使用に係る商品の販売状況
本願商標は、上記(1)のとおり、キッコーマン食品が製造、販売する「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しょうゆ」等の商品に使用されているところ、当該シリーズに係る商品全体の売上げは、2011年(平成23年)10月ないし2012年(平成24年)9月の期間で約17.0億円、2012年(平成24年)10月ないし2013年(平成25年)9月の期間で約31.9億円であったものが、その後も増加し、2015年(平成27年)11月ないし2016年(平成28年)10月の期間では90.5億円に達したとされ、また、2016年度では、105億円に達したとされる。そして、近年、家庭用の「しょうゆ」について浸透、拡大しているとされる酸化を防ぐための「密封容器」入りのものの売上げにおいて、上記シリーズに係る商品全体の売上げが占める割合(シェア)は、2014年(平成26年)4月ないし2015年(平成27年)3月の期間及び2015年(平成27年)11月ないし2016年(平成28年)10月の期間では、8割を超えるとされる(甲25、甲28、甲30、甲89、甲101、甲102、甲105、甲106、甲109、甲110、甲113)。
(3)本願商標の使用に係る商品の広告宣伝
ア 請求人によるニュースリリース
(ア)請求人は、2012年(平成24年)7月4日に、「しょうゆが“いつでも新鮮”なまま! “キッコーマン いつでも新鮮”シリーズに、『やわらか密封ボトル』450ml新登場!?使いやすさと鮮度を保つ機能を兼ね備えた新容器!?」の見出しの下、当該見出しに係る商品の画像とともに、次のとおりの記載内容からなるニュースリリースを発した(甲70)。
「キッコーマン食品株式会社は、新たに開発した容器“いつでも新鮮 やわらか密封ボトル”を使った、『しぼりたて生(なま)しょうゆ』『しぼりたて丸大豆生(なま)しょうゆ』『塩分ひかえめ丸大豆生(なま)しょうゆ』『味わいリッチ減塩しょうゆ』(各450ml)を、8月6日より、全国で新発売します。今回、当社が開発した“いつでも新鮮 やわらか密封ボトル”は、『新鮮なしょうゆのおいしさ』と『使いやすさ』を追求した新しいタイプのボトルです。ボトルの中にしょうゆが詰められた内袋が入っている『二重構造』と、しょうゆは通すが、しょうゆが詰められた内袋には空気が入らない『ダブル逆止弁キャップ』を採用しました。手になじむやわらかな素材で、押すとしょうゆが出て、戻すと止まる『押し出し式』にすることで、一滴から欲しい量まで、注ぐ量を自在に調節できます。開栓後もしょうゆの酸化を防ぎ、常温で90日間しょうゆの鮮度を保つことができ、最初から最後まで使いやすさを保つことができる新容器です。・・・当社は、10年以上に渡り密封容器を研究してまいりました。2010年9月に500mlサイズのパウチタイプの密封容器に、それまで常温では販売が難しかった生しょうゆを入れた“いつでも新鮮シリーズ”を発売しました。2011年8月には、生しょうゆのおいしさをより手軽に楽しんでいただくために、“フレッシュキープ”と“食卓での使いやすさ”を追求した“いつでも新鮮 卓上ボトル”シリーズを発売しました。」
(イ)請求人は、上記(ア)のニュースリリース以降も、「いつでも新鮮」シリーズの商品の発売に際し、ニュースリリースを発しているところ、その内容は、当該商品の中身についての説明とともに、その商品の容器として、中身の劣化防止、注ぐ量の自在な調節、持ちやすさ、使いやすさといった各種機能性を備えた新容器である「やわらか密封ボトル」を採用した旨の説明等がされているものであり、また、「いつでも新鮮」や「キッコーマン」などといった文字からなる標章や請求人のれん記号が容器胴部に付され、「酸化を防ぐ」、「やわらか」及び「密封ボトル」の各文字を三段に表してなる標章が容器首部に付された当該商品の画像も掲載されている(甲71、甲73?甲77、甲79?甲83、甲85?甲89、甲91、甲93?甲95)。
イ 請求人による商品カタログ
請求人は、少なくとも2012年(平成24年)7月から2017年(平成29年)1月までの間に年2回(「春夏」及び「秋冬」)、商品カタログを発行し、また、少なくとも2013年(平成25年)から2017年(平成29年)までの間のお中元及びお歳暮の時期に、ギフト用商品のカタログを発行したことがうかがえるところ(甲96?甲115)、これらのカタログには、「『いつでも新鮮』シリーズ」の商品に係る項目が設けられており、その中で、例えば、「2012年秋冬商品カタログ」(甲96)においては、「大好評のキッコーマン『いつでも新鮮』シリーズが、これまでにない使いやすさを実現し、生まれ変わります。」の大見出しの下、「新鮮な生しょうゆのおいしさと、使いやすさを徹底追求。密封パウチから、『やわらか密封ボトル』に進化します。」の小見出しとともに、「酸化を防ぐ『やわらか密封ボトル』」について、「しょうゆが空気に触れない二重構造」、「常温保存で開けて90日間いつでも新鮮」、「内袋だけ小さくなるので、最後までボトルの形状が変わりません。」の記載及びその記載に応じた容器の構造を示す絵図があり、また、「あらゆるシーンでの使いやすさを実現し新たな価値を提供します。」、「一滴から欲しい分まで調節自在」、「狙った所に思い通りに注げる」、「スムーズな料理の流れを止めない」の記載及びその記載に応じた容器の構造を示す絵図がある。
また、その後に発行されたカタログにおいても、「いつでも新鮮」シリーズの商品について、例えば、「新鮮な生しょうゆのおいしさと、使いやすさを徹底追求した『やわらか密封ボトル』が好評です!」、「酸化を防ぐ『やわらか密封ボトル』」の見出しとともに、「酸化を防ぐ『二重構造』。使いやすい『押し出し式』。」、「一滴から欲しい分まで調節自在。」の記載及びそれぞれの記載に応じた容器の構造を示す絵図があるもの(甲97、甲98)、「密封ボトル入りなので、開栓後も90日間開けたてのおいしさをお楽しみいただけます。」の記載や「酸化を防ぐ『やわらか密封ボトル』!」の見出しとともに、「しょうゆが空気に触れないから、いつでも開けたてのおいしさ。」、「しょうゆが空気に触れない二重構造」、「調節自在な使いやすい押し出し式」の記載及びそれぞれの記載に応じた容器の構造を示す絵図があるもの(甲99、甲100)など、その全てに同様の機能性(特長)に係る記載及びその記載に応じた容器の構造を示す絵図がある。
このように、上記カタログにおいては、「いつでも新鮮」シリーズの商品について、容器の進化を告知しつつ、その容器が、密封ボトルによる中身の劣化(酸化)防止や容器の柔らかさによる注ぐ量の自在な調節などといった機能性(特長)を備えた構造からなるものであることをうたい、それを「やわらか密封ボトル」と称している。
なお、上記カタログは、店舗での商品の陳列又は展示方法に係る提案、テレビコマーシャルの強化、商品の取扱いが酒類販売免許店に限定されるか否か等についての記載が含まれていることから、主に小売店等の販売業者向けのものであることがうかがえるが、その具体的な頒布先や頒布数量は不明である。
ウ 請求人によるテレビCM
請求人は、2012年(平成24年)10月1日から、「いつでも新鮮 やわらか密封ボトル」についての新たなテレビCMの全国オンエアを順次始めたとされる(甲41、甲42)。当該テレビCMは、「空気が入らず、しょうゆの鮮度、風味を保つ新容器の特徴をユーモラスに表現している。」とされるものであり、女優が「いつでも新鮮」シリーズの「しぼりたて生しょうゆ」の商品を手に持った映像などとともに、「二重構造の密封ボトルに入った、最後まで新鮮な生しょうゆのことですよ。むに、むに。」の台詞に合わせて、「二重構造 → 最後まで新鮮」の字幕及び商品容器を手で握ってしょうゆを押し出している様子を表した絵図並びに実際の商品を同様に手で握ってしょうゆを押し出している様子を表した映像が映し出され、その後、「ボトルが進化したキッコーマンいつでもしぼりたて生しょうゆ新発売」の台詞に合わせて、パウチタイプの容器からボトルタイプの容器へ切り替わる映像が映し出されるものであるが、その内容において、視聴者が、実際の商品容器の首部に付されている「酸化を防ぐ」、「やわらか」及び「密封ボトル」の各文字を三段に表してなる標章以外に「やわらか密封ボトル」の文字又は音声に接する機会は見いだせない(甲40)。
そして、請求人は、少なくとも2016年(平成28年)8月頃までの間、「いつでも新鮮」シリーズの各種商品に係るテレビCMを継続的に制作したことがうかがえるところ(甲43?甲59)、当該テレビCMにおいても、例えば、「密封ボトルだから最後まで(いつでも)新鮮」の台詞に合わせて、実際の商品を手で握ってしょうゆを押し出している様子を表した映像並びに「密封ボトル → 最後まで新鮮」の字幕及び商品容器を手で握ってから放したときの様子を表した絵図の映像が映し出され、さらに、「量、調節自在。」の字幕及び食品にしょうゆをかけている映像が映し出されたり、当該シリーズの商品が並べられた映像中に「密封ボトルで新鮮」の字幕及び商品容器を手で握って中身を押し出している様子を表した絵図が映し出されたりしていることは見受けられるものの、その内容において、視聴者が、実際の商品容器の首部に付されている「酸化を防ぐ」、「やわらか」及び「密封ボトル」の各文字を三段に表してなる標章以外に「やわらか密封ボトル」の文字又は音声に接する機会は見いだせない。
なお、請求人は、キッコーマン食品が製造、販売する「いつでも新鮮」についてのテレビCMを受託した者による広告実績(回数、秒数)に係る証拠(甲60)を提出しているが、その内容によれば、「札幌テレビ放送」、「北海道放送」、「北海道テレビ放送」、「宮城テレビ放送」、「東北放送」、「仙台放送」、「テレビ金沢」、「北陸放送」、「石川テレビ放送」、「北陸朝日放送」、「広島テレビ放送」、「中国放送」、「広島ホームテレビ」、「南海放送」、「あいテレビ」、「テレビ愛媛」、「西日本放送」、「山陽放送」、「瀬戸内海放送」、「福岡放送」、「RKB毎日放送」及び「九州朝日放送」が、2015年(平成27年)9月1日から9月7日までの間に甲第50号証に係るテレビCMを、同じく、9月24日から9月30日までの間に甲第51号証に係るテレビCMを、それぞれ放映したとはいえるものの、それら以外については、放映されたとするテレビCMの具体的な内容、地域又は時期が不明である。
エ 請求人による新聞広告
請求人は、2012年(平成24年)12月1日付け「読売新聞」において全面広告を掲載したところ、その上段には、請求人のれん記号及び「生しょうゆのおいしさのために、容器もここまで進化しました。」の記載とともに、女優が「いつでも新鮮」シリーズの「しぼりたて生しょうゆ」の商品を手に持った画像が配され、その中段には、「パウチが進化してボトルへ 二重構造の『やわらか密封ボトル』」の見出しの下、商品容器の構造を図解したものと、その容器の特長である「酸化を防いで最後まで新鮮 『やわらか密封ボトル』は、しょうゆが出ても空気が入らない二重構造。」及び「片手でスムーズ、調節自在 押し出し式の『やわらか密封ボトル』は、片手で注ぐ量を調節できる・・・」の記載とともに、その記載に応じた「→ 押して出す。」及び「→ 内袋だけ減っていく。」の各記載を間に挟んで、中身が充満した状態の容器の絵図、手で握って中身を押し出している様子が表された容器の絵図及び内袋だけがしぼんだ状態を表した絵図を並べて配した図解がされており、その下段には、「新発売『いつでも新鮮』シリーズ」の表示とともに、そのシリーズに係る「しぼりたて生しょうゆ」、「しぼりたて丸大豆生しょうゆ」、「塩分ひかえめ丸大豆生しょうゆ」及び「味わいリッチ減塩しょうゆ」(各450ml)の商品の画像が配されているほか、「kikkoman」の文字からなる標章及び請求人のれん記号等が表示されている(甲61)。
なお、請求人は、上記新聞広告と上記ウのテレビCMとの両方による接触効果により、需要者層に「やわらか密封ボトル」を浸透させるに至ったことは甲第62号証に係る調査結果における広告触媒率(81.5%)及び「(広告に登場した女優名)の笑顔と『やわらか密封ボトル』の図解がとても印象深く記憶に残っており、すぐに思い出しました」との自由回答によっても裏付けられる旨述べているが、当該調査の詳細(調査方法や人数等)が不明である上、その結果には、「今回の広告は、これまでのパウチタイプがボトルタイプになったことを告知するもので、なぜ可能になったのかが図解されています。ボトルは二重構造になっており、使った分だけ内袋が減り空気が入らない状態が維持できるというわけです。」、「広告による態度変容では、『あらためて「キッコーマン『生しょうゆ』」に注目した』(55.5%)、『店頭で確認しようと思った』(29.9%)が高く」といった記載があることや、請求人が挙げた自由回答も一個人によるものであることからすれば、これをもって、需要者層に本願商標「やわらか密封ボトル」が浸透するに至ったとはいい難い。
オ その他
請求人は、2012年(平成24年)8月から2013年(平成25年)6月までの間に、インターネットや雑誌又は新聞を通じて、「いつでも新鮮」シリーズの商品をプレゼントするキャンペーンを行ったことがうかがえるところ(甲63?甲66)、それらにおいては、プレゼント対象商品について、例えば、「“いつでも新鮮 やわらか密封ボトル”は、<新鮮なしょうゆのおいしさ>と<使いやすさ>を追求した新しいタイプのボトル。ボトルの中にしょうゆが詰められた内袋が入った『二重構造』で、内袋には空気が入らず、注いだしょうゆと同量の空気がボトルと内袋の間に入る『ダブル逆止弁キャップ』を採用したことで、開栓後常温保存で90日間しょうゆの鮮度を保つことができ、使い切る最後までボトルの形状が変わらないので使いやすいのも大きな特徴です。また、押し出し式のやわらかな密封ボトルなので、押すとしょうゆが出て、戻すと止まり、一滴から思い通りの量が注げるのも嬉しい。」(甲63)、「『しぼりたて生(なま)しょうゆ』は、新たに開発された容器“いつでも新鮮 やわらか密封ボトル”が使われていて、『新鮮なしょうゆのおいしさ』『使いやすさ』を追求したしょうゆ。手になじむ柔らかい素材で、押すとしょうゆが出て、戻すと止まる『押し出し式』にすることで、1滴からほしい量まで注ぐ量を調節できる。開栓後もしょうゆの酸化を防ぎ、常温で90日間しょうゆの鮮度を保つことができます。」(甲66)といった説明がされている。
また、請求人は、「いつでも新鮮」シリーズの商品について、レシピサイトの「クックパッド」や料理教室とタイアップしたことがうかがえるところ(甲67、甲68)、例えば、前者においては、当該シリーズの「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」を用いたレシピなどとともに、商品紹介の一部において、「使いやすさで大好評! 『やわらか密封ボトル』」の見出しの下、「新鮮 開栓後、常温保存で90日間、しぼりたてのおいしさ」、「使いやすい ピタッと止まる!調節自在の注ぎ口」の記載及び商品容器を手で握ってしょうゆを押し出している様子を表した絵図等が表示されている。
(4)本願商標の使用に係る商品の紹介等
ア 新聞、雑誌又はウェブサイトにおける記事等での紹介
キッコーマン食品の製造、販売に係る「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しょうゆ」等の商品は、遅くとも請求人が2012年(平成24年)7月4日に発した上記ニュースリリース(甲70)以降、新聞、雑誌又はウェブサイトにおける記事等で紹介されているところ、その内容は、次のとおり、概ね請求人又はキッコーマン食品による「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しょうゆ」等の商品について採用されている容器(ボトル)が、柔らかさによる注ぐ量の自在な調節といった使いやすさや、密封ボトルによる鮮度保持などといった機能性(特長)を備えたものであり、それを「やわらか密封ボトル」と称していることを看取、理解させるものといえる。
(ア)新聞
a 2012年7月6日付け「日本食糧新聞」(甲15)
「キッコーマン食品、醤油の容器・形状を深化 “やわらか密封ボトル”独自価値で差別化」の見出しの下、「キッコーマン食品は新開発の“やわらか密封ボトル”を使った『いつでも新鮮』シリーズの450ml商品、・・・を8月6日から全国発売し、醤油の新たな容器・形状提案を深化させる。・・・“やわらか”独自の使いやすさで差別化し、人気の密封カテゴリーを活性化。・・・“やわらか”は、既存の『おさしみ生しょうゆ』などの卓上タイプと同構造。強いうまみと弱い塩味という現代ニーズに合致した生醤油の風味を、開栓後・常温で90日間保つ。容器の形状は安定したままで持ちやすく、押す力の加減によって一滴単位で注ぐ量が調節できる。450ml品は、鮮度維持と同時に調理での使いやすさを実現。中容量品は調理用途が多いが、密封商品では従来パウチのみを展開。パウチは両手がふさがってキッチンで使いにくいと判断し、女性が片手でも扱いやすい“やわらか”を開発した。使い勝手の良さを追求した結果、容量は中容量の定番である500mlでなく450mlに設定。包装は柔らかな感触で手になじみ、キャップの開閉、料理への注入が片手で自由にでき、料理の流れを止めない。既存の500mlパウチは終売し、『いつでも新鮮』シリーズはすべて“やわらか密封ボトル”で展開。」の記載がある。
b 2012年7月18日付け「日本経済新聞」(甲18)
「New Face」のうちの1つとして、「密封ボトルで鮮度保つ」の見出しの下、「キッコーマン食品・・・の密封ボトル入りしょうゆ『いつでも新鮮 しぼりたて生(なま)しょうゆ』など4種 新開発の450ミリリットル入り『やわらか密封ボトル』を採用。内袋に空気が入らない構造で、開栓後もしょうゆが空気に触れず、90日間常温で鮮度を守る。片手で握って押すだけで注ぐ量を調節でき、料理にも使いやすい。」の記載がある。
なお、2012年7月26日付け「日経産業新聞」(甲19)において、「新製品マーケティング」のうちの1つとして、「90日間常温で鮮度を保つ」の見出しに係る記事があるが、その内容は、甲第18号証と同じである。
c 2012年8月1日付け「日本食糧新聞」(甲16)
「キッコーマン食品、『いつでも新鮮』450ml新ボトルを投入 流通筋も好評」の見出しの下、「キッコーマン食品は7月24日に都内で『いつでも新鮮』シリーズの新たな450ml商品の流通向け発表会を開催し、“やわらか密封ボトル”で実現した使いやすさなどの商品価値を共有した。・・・独自開発した新容器『やわらか』(特許申請済)を採用した450ml商品は8月6日から発売する。現代ニーズに合ったライト感覚の生醤油の風味を、開栓後・常温で90日間保存。直立して安定した形状、片手で扱え、手になじむ柔らかな包装は、狙った所へ1滴単位で注げる。」の記載がある。
d 2012年11月10日付け「読売新聞」(甲21)
「yomimo便り」のうちの1つとして、「鮮度を保つ密封ボトル」、「しぼりたて生しょうゆ(キッコーマン食品・・・)」の見出しの下、「空気を通さない『やわらか密封ボトル』を使用。しょうゆの酸化を防ぐため、開封後も約90日は、鮮度が保たれるという。押し出し式で、注ぐ量も自在に調節できる。」の記載がある。
e 2012年12月21日付け「日本食糧新聞」(甲22)
「全国醤油特集:主要メーカー動向=キッコーマン食品」の見出しの下、「●前年並み実績維持『いつでも新鮮』シリーズが貢献・・・家庭用は市場縮小に伴って1リットル商品を中心とした既存商品が苦戦。『いつでも新鮮』をはじめとした好調な付加価値商品がカバーしている。『いつでも新鮮』は8月、『やわらか密封ボトル』を採用した450ml商品を新発売。まろやかな味わいの生醤油の風味を維持する機能は従来のまま、直立安定して片手で扱えるなど使い勝手を改良。」の記載がある。
f 2013年9月11日付け「日本食糧新聞」(甲37)
「◆日食優秀食品機械資材・素材賞特集:第16回日食優秀食品機械資材・素材賞 3部門10製品に栄誉」の見出しの下、「<資材部門>」のうちの1つとして、「いつでも新鮮 やわらか密封ボトル キッコーマン食品・吉野工業所」の記載がある。
g 2013年11月13日付け「朝日新聞」(甲36)
「GOOD DESIGN AWARD 2013」の受賞対象の1つとして、「家庭用品・機器・設備 液体調味料容器[いつでも新鮮シリーズ]450ml」、「酸化を防ぐやわらか密封ボトル」の見出しの下、「『いつでも新鮮』シリーズの『やわらか密封ボトル』は、しょうゆが空気に触れない二重構造の密封容器で、逆止弁付きキャップを採用。常温保存で開けて90日間、酸化しません。だから、『生しょうゆ』ならではの鮮やかな色ややわらかくライトな味わいを最後まで楽しめます。また片手で扱える押し出し式なので、ボトルの押し加減で注ぐ量を一滴単位から調節できます。」の記載とともに、「しょうゆが空気に触れない二重構造」の見出しの下、甲第61号証と同様の「→ 押して出す。」及び「→ 内袋だけ減っていく。」の各記載を間に挟んで、中身が充満した状態の容器の絵図、手で握って中身を押し出している様子が表された容器の絵図及び内袋だけがしぼんだ状態を表した絵図を並べて配した図解がある。
h 2013年12月18日付け「日本食糧新聞」(甲23)
「全国醤油特集:主要メーカー動向=キッコーマン食品」の見出しの下、「●今期売上げ前年上回り推移『いつでも新鮮』計画超え・・・10年9月発売の『いつでも新鮮』は11年8月に『やわらか密封ボトル』を採用した200ml、12年に450ml商品を導入して、特に成長傾向を加速している。素材の色合いを生かす鮮やかな色、食材の風味を引き立てる柔らかな塩味、おだやかな香りという生醤油で現代の消費ニーズに対応。さらに、密封ボトルによる醤油の劣化防止、注ぐ量の自在な調節、持ちやすさ、使いやすさといった各種の機能性が、消費者に好評を博している。」の記載がある。
i 2014年1月1日付け「日本食糧新聞」(甲25)
「新年号1部:14年わが社はこう動く=キッコーマン・堀切功章社長CEO」の見出しの下、「高付加価値商品の『いつでも新鮮』シリーズは生醤油のおいしさ、独自の『やわらか密封ボトル』の使い勝手の良さでお客さまから好評。市場全体では微減傾向が続く中、当社の今期売上げは『いつでも新鮮』がけん引し、前年実績を上回っている。最近では他社も同様のコンセプトの商品を導入し、密封容器への認識が高まっている。相乗効果で消費ニーズが高まり、密封カテゴリーは今後、家庭用容器のうち30?50%まで成長するのではと思う。」の記載がある。
j 2014年8月14日付け「日刊工業新聞」(甲14)
「深層断面/容器“ひとひねり”で差別化」の見出しの下、「食品メーカーが味や食感などと並び開発に力を入れているのが容器だ。物流コスト引き下げのための軽量化をはじめ、ガラス瓶からペットボトルへのシフト、使いやすさを重視した新容器の投入も活発化している。・・・容器の持つ機能を高めたことが、売り上げ増加に結び付けるケースもある。代表例がキッコーマンの『しぼりたて生しょうゆ』だ。商品容器の『いつでも新鮮 やわらか密封ボトル』は、・・・自炊する人の減少に伴ってしょうゆ全体の消費量がマイナス傾向な中、しぼりたて生しょうゆは新鮮な味を求める消費者の支持を得て販売は好調だ。」の記載がある。
なお、請求人が別個に提出した甲第27号証は、甲第14号証と同一のものである。
k 2014年12月19日付け「日本食糧新聞」(甲28)
「◆全国醤油特集:消費回復へ明るい兆し 密封容器を中心に新提案」の見出しの下、「市場は一般家庭用と業務・加工用に二分され、家庭用では密封容器が着実に浸透し、需要の活性化と市場の正常化が進む。ヤマサ醤油が09年に発売した『鮮度の一滴』、キッコーマン食品の『いつでも新鮮』が密封商品の代表格。2シリーズとも毎年成長を続け、『いつでも』は特に11年から独自の『やわらか密封ボトル』を採用して以後、売上げを倍増している。・・・密封容器は酸化を防いで品質を常温維持し、液量が調整しやすく、液だれ・づまりしない使い勝手の良さが特徴。・・・密封商品の認知度は高いが、ノン・ライトユーザーも多く、さらなる成長が見込まれる。ヒガシマル醤油やイチビキ、ヒゲタ醤油、ヤマモリなど追随企業の密封商品も伸長。」の記載がある。
l 2015年9月23日付け「日本食糧新聞」(甲13)
「戦後70年報道特集:キラリ光る企業・OVER70=キッコーマン 醤油革新、海外で先駆け」の見出しの下、「醤油は『いつでも新鮮』シリーズが現代の味覚に合った生醤油、酸化を防ぐ独自の密封容器を開発、採用してヒット。・・・容器も61年発売の卓上瓶、77年のPETボトル採用を代表格にイノベーションを続け、『いつでも』の『やわらか密封ボトル』を生み出した。」の記載がある。
m 2015年10月6日付け「FujiSankei Business i.」(甲29)
「調味料容器 利便性で販促 食品各社 使いすぎ防止や鮮度保持など」の見出しの下、「食品各社が、調味料などの使いすぎを防いだり、鮮度を保ったりできる便利な容器を相次いで開発、採用している。・・・便利容器採用の先駆けとなったのが、キッコーマンだ。2011年に『生しょうゆやわらか密封ボトル』を導入。押す力の加減で一滴単位で注ぐ量を調整できるようにしたほか、特殊構造の採用で鮮度も保てるようにした。・・・■各社の主な調味料容器(商品/特徴)・・・キッコーマン『生しょうゆやわらか密封ボトル』/しょうゆは通すが、中に空気が張らない構造を採用」の記載がある。
n 2015年12月16日付け「日本食糧新聞」(甲30)
「◆全国醤油特集:消費回復に一服感 密封に続くイノベーションを」の見出しの下、「好材料は密封商品の定着。鮮度保持などの機能性、生醤油といった品質提案が支持され、単価上昇を果たしている。・・・市場は一般家庭用と業務・加工用に二分され、家庭用では酸化を防ぐ、密封容器が着実に浸透。・・・密封商材の代表格はキッコーマン食品の『いつでも新鮮』とヤマサ醤油の『鮮度の一滴』。特に『いつでも』は11年から独自の『やわらか密封ボトル』を採用して急速に拡大し、今期売上げは80億円を予想。ヤマサとの2社だけで100億円規模を築く。常温保存でき、液量が調整しやすい使い勝手の良さは、消費者に浸透。」の記載がある。
o 2016年8月2日付け「日刊工業新聞」(甲32)
「ニュース拡大鏡/キッコーマン食品、新容器の採用拡大」の見出しの下、「キッコーマン食品・・・は、新容器の商品を拡大する。『削りたてかつおぶし香るしょうゆ』と『旨み豊かな贅沢白だし』で二重構造の“やわらか密封ボトル”・・・8日に発売する。家族の少人数化や家庭調理の減少でしょうゆ需要が厳しい中、同社の密封ボトル商品は差別化戦略が消費者に支持され、売り上げを増やしている。・・・キッコーマン食品のやわらか密封ボトルは、2010年発売の『いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ』などで採用。ボトルの内側にしょうゆを詰めた袋が入った二重構造により空気が入るのを防ぎ、開栓後も新鮮な香りと味を長く保てる。」の記載がある。
p 2017年7月1日付け「ダイヤモンド・チェーンストア」(甲34)
「MD EDITION MDスペシャル 減塩マーチャンダイジング」の見出しの下、「健康志向の高まりにより、シニア層だけでなく、一般の人も病気予防のために減塩醤油を使うようになり、減塩醤油市場は順調に右肩上がりを続けている。その市場をリードしているのがキッコーマンで、シェアは73%を占めるまでに拡大している。同社ではさまざまな減塩醤油を展開しているが、なかでも好調に推移しているのが食塩分40%カットの『いつでも新鮮味わいリッチ減塩しょうゆ』。・・・同商品には、醤油の鮮度を保つ二重構造の『やわらか密封ボトル』を採用。新鮮なおいしさをキープするのはもちろん、押し出し式ボトルなので、一滴ずつ使う量が調節でき、かけすぎ防止にもつながると好評だ。」の記載がある。
q 2017年8月16日付け「日本食糧新聞」(甲35)
「キッコーマン食品、地域対応を深化 九州限定『九州うまくちまろやかしょうゆ』好評」の見出しの下、「キッコーマン食品が21日から九州で限定発売する『いつでも新鮮 九州うまくちまろやかしょうゆ』が好評だ。ロングセラーの『九州うまくちまろやかしょうゆ』を、人気の“やわらか密封ボトル”に入れた。・・・“やわらか密封ボトル”に詰め、開栓後も常温で90日間、品質を保つ。先行品と同様に液切れが良く、手になじみ、一滴単位で量が調節できる。」の記載がある。
(イ)雑誌
a 「Asahi Shinbun Weekly AERA 2016.2.22」(甲17)
「注ぎ口にもイノベーション パッケージ改良で売り上げ好調 いまや味や量だけではなく、パッケージやユーザビリティ(使いやすさ)で食品が選ばれる時代。各社は『注ぎ口』でも変革を迫られている。」の見出しの下、「しょうゆの消費量が減少するなか、プラスチックボトルに入ったキッコーマン食品の『いつでも新鮮』シリーズが好調だ。発売から毎年、倍々ゲームで売り上げが伸び、今年度は80億円を超える見込みだ。容器を二重構造にし、内袋のしょうゆを空気に触れさせないパウチタイプの発売では他社に先を越されたが、2011年に片手で注げる『やわらか密封ボトル』を開発し、巻き返した。・・・生しょうゆは火入れをしないため、味はフレッシュでフルーティ-。ただ、発酵が早く、風味が落ちやすい。一般の流通経路で販売するのは難しいとされていた。・・・そこで開発したのが『ダブル逆止弁キャップ』。二重構造なのはパウチタイプと同じだが、内袋からしょうゆが出ると、そのぶん空気が外袋に入り、内袋がつぶれて、ボトルの形が保たれる仕組みになっている。・・・一滴から注ぐことができ、常温で90日間鮮度を保てる。」の記載がある。
b 「投資手帖 2012.9」(甲20)
「話題の新商品」のうちの1つとして、「密封ボトルを採用、常温で90日間鮮度を保つしょうゆ キッコーマン」の見出しの下、「キッコーマン食品は、使いやすさと鮮度を保つ機能を兼ね備えた新開発の“やわらか密封ボトル”入りしょうゆ『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』など四種・・・を八月六日に発売した。やわらか密封ボトルは、ボトルの中にしょうゆが詰められた内袋が入っている二重構造と、しょうゆは通すが、しょうゆが詰められた内袋には空気が入らないダブル逆止弁キャップを採用。一滴から注ぐ量を自在に調節でき、また開栓後もしょうゆの酸化を防ぎ、常温で九十日間鮮度を保つ。」の記載がある。
c 「サンキュ!(2013.12.28発売)」(甲24)
「次にくる調味料はコレ!」のうちの1つとして、「キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」の見出しの下、「加熱処理なしの搾りたて生しょうゆ。フレッシュな味わいで料理の味が引き立ちます。酸化を防ぐ二重構造の『やわらか密封ボトル』が開栓後90日間鮮度をキープ。」の記載がある。
d 「女性セブン(2014.4.17発売)」(甲26)
「ヒットな秘密」(連載第78回)として、「容器を変えたら鮮度長持ち&3倍売れた“生しょうゆ”」、「奇跡の“やわらか密封ボトル”」、「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ<キッコーマン> しょうゆといえば、1l入りのペットボトルが定番だった。しかしそのボトルに革命が起きた。パウチからやわらか密封ボトルへ-鮮度と使いやすさを突き詰めたら、この形が生まれた。」、「革命的な密封ボトル パウチタイプが進化して、ボトルタイプに。2重構造で、しょうゆを出すと、外側に空気が入り膨らむ仕組みに。しょうゆが空気に触れず、最後まで使える。」、「“こんなの待ってた! 使って気持ちいいボトル”」の見出しの下、「やわらかいボトルを片手で握って軽く押すとしょうゆが出て、戻すとピタッと止まり、液だれしない。このボトルの前身は2010年に登場したパウチタイプ。『従来のペットボトルは開封して空気に触れるとしょうゆが酸化し、色や風味が変わってしまうことも。密封のパウチ容器にすることで空気に触れず、鮮度が長持ち。しかし、中身が減ると自立しないなど、改善点もありました。そこで、この“やわらか密封ボトル”を開発したんです』とキッコーマン食品・茂木篤さん。2011年に200mlの卓上ボトル、1年後に450mlボトルを発売すると、爆発的ヒット。『中身は一切変えず、パッケージの変更で、約3倍売り上げが伸びました。目指したのは“気持ちのいい使い心地”。中が2重構造で使った分だけ外側に空気が入り、しょうゆの密封状態が保たれます。微妙な力加減で出る量を調整できますよ』(茂木さん)」の記載がある。
(ウ)ウェブサイトにおける記事等
a 2013年11月26日「FoodWatchJapan」(甲117)
「しょうゆ容器の開発競争」の見出しの下、「しょうゆは開栓後に酸化による劣化が起きる。これはしょうゆメーカーにとっては長年の課題だったが、2009年、これを解決する酸化防止容器を用いた画期的な製品『ヤマサ 鮮度の一滴』が発売された。新機能を備えた製品が現れると、他メーカーも負けてはいられない。工夫してさらに使いやすい新製品が登場するものである。・・・2009年8月に同社(審決注:ヤマサ醤油)が発売した『ヤマサ 鮮度の一滴』シリーズは、柔らかなフィルム製の二重袋構造の容器(PID/Pouch in dispenser)で、注ぎ口を逆止弁としたものだった。・・・この容器からしょうゆを注ぎ出すと袋はしぼむが、逆止弁のおかげで内部に空気が入りにくい。したがってしょうゆの酸化を防ぐことができ、開栓後も品質は保たれるのである。・・・遅れること1年1カ月の2010年9月、『生しょうゆ「いつでも新鮮」』シリーズで追随する。このパックはヤマサ醤油採用のPID容器によく似ているが、独自特許である。倒してもこぼれることなく、横置きも可能なキャップ付きという特徴を持つ。・・・ただし、キッコーマンのこのパックも、先行容器と同様の扱いにくいという問題が残っていた。2012年7月、キッコーマンは吉野工業所・・・と共同開発で既存の問題を解決した新容器第二世代『やわらか密封ボトル』を採用した商品を発売した。この容器は、柔軟性と剛性を併せ持った外部容器の内側にフィルム製の袋を収め、袋の中にしょうゆを充填している。外部容器を押すと、注ぎ口からしょうゆが出て、押す力を弱めると外部容器と内部袋の隙間に外気が流入し、外部容器は元の形状に戻る。これは従来のしょうゆ差しに似た円柱形で持ちやすく、注ぎ出す量も容器の押し方でコントロールできる。」の記載がある。
b 2014年6月8日「SankeiBiz」(甲118)
「しょうゆ容器、熾烈な開発競争 空気に触れず常温長期保存」の見出しの下、「和食に欠かせない万能調味料の代表格、しょうゆの容器が変化している。これまではペットボトル型が主流だったが、空気に触れずに鮮度を保つ容器が登場。各社が開発に力を入れ、こだわりのしょうゆを販売している。・・・しょうゆは開栓後に空気が触れることで酸化が進み、色が少しずつ濃くなり、風味も落ちる。しょうゆ情報センター(www.soysouce.or.jp)などでは開栓後は1カ月以内に使い切ることを推奨している。しかし、食文化の多様化や核家族化などで、『1カ月では使い切れない』という家庭も多く、保存方法が課題になっていた。こうした中、ヤマサ醤油(しょうゆ)(千葉県銚子市)は平成21年、PID(パウチ イン ディスペンサー)と呼ばれる薄膜フィルムを使った、注ぎ口から空気が入らないパウチ型のしょうゆ『鮮度の一滴』の販売を開始。キャップはなく、常温で120日間、保存できる。使用するプラスチック樹脂原料はペットボトルの3分の1。小さく畳んで廃棄できることから、しょうゆ容器のイメージを一変させ、日本デザイン振興会主催のグッドデザイン賞も受賞した。キッコーマン(野田市)も23年から『やわらか密封ボトル』シリーズを販売。同社では、加熱しないやわらかい口当たりの『しぼりたて生(なま)しょうゆ』の色と風味を保つため、密封容器を採用。ペットボトル型だが柔らかく、ボトルを押すとしょうゆが出て、戻すと止まる構造だ。常温で90日間の保存が可能。一滴一滴出せるため、卓上しょうゆとして子供や塩分を取り過ぎたくない高齢者に人気という。・・・昨年8月には、ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市)が『超特選丸大豆うすくち吟旬芳醇(ぎんしゅんほうじゅん)』を販売した。『フレッシュボトル』と呼ばれる容器は、ペットボトル型の外容器とやわらかいプラスチック袋(中袋)の二重構造。しょうゆを注ぐと中袋だけ縮小するしくみだが、うすくちしょうゆは調理に使うことが多いため、傾けただけで流れ出る構造にした。・・・『注ぎ口はラムネのように球で密閉しているので、しょうゆが空気に触れません。小さじ1など微妙なさじ加減もできる』と話す。」の記載がある。
c 2017年9月28日付け「財経新聞」(ウェブ)(甲38)
「キッコーマンの『いつでも新鮮』しょうゆがJAXAにより宇宙食に認定」の見出しの下、「キッコーマン食品の『キッコーマン いつでも新鮮 塩分ひかえめ丸大豆生しょうゆ』が宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)によって、『宇宙日本食(しょうゆ)』に認定された。・・・キッコーマンの『いつでも新鮮』シリーズは、2010年9月に第1弾が発売された、独自特許の容器を用いたしょうゆである。倒してもこぼれない、横置きも可能、鮮度が保たれる、などの特徴をもっている。今回宇宙日本食に認定された製品は『いつでも新鮮』シリーズの商品としては第二世代にあたるタイプの容器『やわらか密封ボトル』を用いたものである。この容器は、吉野工業所との共同開発によるものであり、2012年7月から市販されている。柔軟性と剛性を併せ持ち、容器とフィルム製の袋の二重構造を取ることで、『醤油さし』に近い形を取りつつ、鮮度のキープもできるという優れものだ。」の記載がある。
イ ブログにおける紹介等
キッコーマン食品の製造、販売に係る「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しぼりたて生しょうゆ」等の商品は、ブログにおいて言及される場合があるところ、その内容は、次のとおり、上記アにおける新聞、雑誌又はウェブサイトにおける記事等と同様、概ね「キッコーマン」に係る「いつでも新鮮」シリーズの商品「しょうゆ」について採用されている容器(ボトル)が、柔らかさによる注ぐ量の自在な調節といった使いやすさや、密封ボトルによる鮮度保持などといった機能性(特長)を備えたものであり、それを「やわらか密封ボトル」と称していることを看取、理解させるものといえる。
(ア)2014年3月21日「『むらさき』の香り活き活き密封醤油ボトル/食生活のこれは革命といってもいい」(甲119)の見出しの下、「◆とことん鮮度追求 醤油容器の開発競争・・・味・香りの劣化の原因、酸化を防ぐ二重構造の密封容器にし、しかも注ぎ口にも逆止弁を用いて、空気の侵入をふせぐ。・・・最初に手がけたのは、ヤマサ『鮮度の一滴』。もちろん大ヒットであった。つづいて、キッコーマン『いつでも新鮮』やわらか密封ボトルが加わって、卓上新鮮容器ムードを一気に加熱。・・・設備投資では大手にかなわないメーカーも『デラミボトル』という名称の容器で、商戦に参入してきた、というところが、ただいまの状況である。」の記載がある。
(イ)2014年6月3日「しょうゆ容器、各社で開発競争 空気に触れず常温長期保存」(甲120)の見出しの下、上記ア(ウ)bにおける甲第118号証と同じ内容の記載がある。
(ウ)2015年7月1日「醤油の保管方法@やわらか密封ボトルの再利用」(甲121)の見出しの下、「生醤油は賞味期限内に使い切るのはもちろんの事だが封を切った瞬間に酸化が加速する! つまり、空気に触れると酸化してしまうのだ・・でも、醤油一本買って、使い切るのに一般家庭で何日掛かりますか?使い切る前に酸化してお終りじゃないですか?自分の経験だと封を切って冷蔵庫に保管しても生醤油は1週間くらいで色が悪くなってしまいました・・・そんな時 最近、開発されたキッコーマンのやわらか密封ボトルは醤油業界では異例の大ヒット! 醤油は進化してきてます。 自分宅の食卓にも並ぶようになりました。(やわらか密封ボトルについてのリンク)やわらか密封ボトルとは? さあ! もう、分かりましたね? やわらか密封ボトル! 再利用しちゃえ!」の記載がある。
(エ)2015年11月29日「キッコーマンしぼりたて生しょうゆ」(甲122)の見出しの下、「鮮度が落ちないように、二重構造の『やわらか密封ボトル』に入っています。・・・密封容器なので、お醤油を出すと、一度へこみ、その後、息を吸うように、容器の中に空気が入っていきます。」の記載がある。
(オ)2016年3月27日「キッコーマンいつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」(甲123)の見出しの下、「キッコーマンいつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ これすごく、気になってたしょうゆ♪ 通常の醤油と違うのは、現代の味覚にマッチしたライト感覚な味わいで、『鮮やかな色』と『さらりとしたうまさ』が特長 しょうゆの鮮度を保つ機能がすっごいいい パウチ容器から使いやすさを進化させた、二重構造の『やわらか密封ボトル』で安心できる 90日間も鮮度を保てるボトルになっていていい♪ しかも押さないと出ないのです!!!!! 逆さまにしても!!! だから、こんなボトルなのに、ちゃんと量を調節しながら出せる♪ 子どもの食べるものにも、チョンチョンと数滴落とせる♪ 注ぎすぎる心配がなくなりますね♪ 片手で簡単にフタもあくし、押すと出るし、お料理にも使いやすかったなぁぁぁ♪」の記載がある。
(カ)2018年5月8日「キッコーマンおさしみ生しょうゆの『やわらか密封ボトル』[2.道具(その他)]」(甲124)の見出しの下、「おさしみ生しょうゆ(キッコーマン)を使い終わりました。『ボトルを押すとしょうゆが出て、戻すと止まる『押し出し式』で内側の袋だけが小さくなっていく2重構造。最初から最後まで容器が変形しないので、使いやすさが変わりません。』(『いつでも新鮮』シリーズ キッコーマン)として解説され、原理はわかっていましたが、『具体的に容器としてどのように設計されているのだろう?』と好奇心が湧いて、分解を試みました。・・・アイディアを実際の形にする設計の難しさを『やわらか密封ボトル』の分解を通して思い出しました。」の記載がある。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本願商標は、キッコーマン食品が2012年8月に発売した「いつでも新鮮」シリーズの「しぼりたて生(なま)しょうゆ」等の450mlの商品について採用された新開発の商品容器であって、需要者のニーズに応えるべく、密封ボトルによる中身の劣化(酸化)防止や容器の柔らかさによる注ぐ量の自在な調節などといった機能性(特長)を備えたものを称する語句などとして、同年7月4日にされた請求人によるニュースリリース以降、当該商品容器を採用したキッコーマン食品の「いつでも新鮮」シリーズの商品に関して継続的に使用されているとはいえる。
しかしながら、その使用に際し、例えば、請求人による広告宣伝においては、専ら上記商品容器が備える機能性(特長)についての説明又は解説等が同時になされており、また、実際の商品に付される場合も、専ら当該機能性(特長)に係る「酸化を防ぐ」の語句を冠して、「酸化を防ぐ」、「やわらか」及び「密封ボトル」の各文字を三段に表してなる標章として表示されている。
さらに、本願商標の使用に係る商品は、新聞、雑誌又はウェブサイトにおける記事等で紹介されることはあるものの、その紹介によっては、概ね請求人又はキッコーマン食品による「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しょうゆ」等の商品について採用されている容器(ボトル)が上記機能性(特長)を備えたものであり、それを「やわらか密封ボトル」と称していることを看取、理解させるものであり、このような看取、理解がされることは、当該商品について言及している個人のブログの内容からもうかがえる。
そして、本願商標は、上記1のとおり、その構成全体から「柔らかで密封されたボトル」ほどの意味合いを想起させるものであり、また、本願の指定商品を取り扱う業界においては、商品の鮮度保持及び使用量の調節の容易化を図るべく、商品容器(ボトル)について、空気が入らないように密封し、かつ、容器(ボトル)自体を柔らかくするといった工夫をすることが一般に行われており、そのような工夫を商品の特長としてうたうなどしている事実がある。
以上を総合勘案すれば、本願商標の使用に係る商品が、年々売上げを伸ばし、また、近年、家庭用の「しょうゆ」について浸透、拡大しているとされる酸化を防ぐための「密封容器」入りのものの売上げにおいて、請求人又はキッコーマン食品による「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る商品全体の売上げが占める割合(シェア)が、2014年(平成26年)ないし2016年(平成28年)頃には8割を超える状況にあることを鑑みてもなお、本願商標は、取引者、需要者をして、いまだその使用に係る商品が鮮度保持及び使用量の調節の容易化といった機能性(特長)を備えた柔らかで密封されたボトルに入っているものであることを表示したものとして認識されるにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として認識されるに至っていないというべきである。
してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっているとは認められない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本願の指定商品を取り扱う業界において、「やわらか密封ボトル」の文字が商品の包装の形状、品質表示として、取引上、一般に使用されている事実がないことからすれば、「やわらか」の文字と「密封ボトル」の文字とを結合してなる本願商標は、商品の品質等を具体的に表示するものとして、直ちに理解されるとはいい難く、むしろ、その構成全体をもって、一体不可分の一種の造語として認識されるというべきものである旨主張する。
しかしながら、「やわらか密封ボトル」の文字自体が、取引上、商品の品質表示などとして一般に使用されていないとしても、当該文字は、その構成全体から「柔らかで密封されたボトル」ほどの意味合いを想起させるものである上、本願の指定商品を取り扱う業界においては、需要者のニーズに応えるべく、商品の鮮度保持及び使用量の調節の容易化を図るべく、商品容器(ボトル)について、当該意味合いに相応する工夫が施され、そのような工夫が商品の特長としてうたわれているといった実情があることを踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が、鮮度の保持や使用量の調節の容易化などといった特長に適した、柔らかで密封されたボトルに入っているものであるという商品の品質、形状を表したものと認識するとみるべきこと、上記1のとおりである。
したがって、上記請求人による主張は、採用することができない。
(2)請求人は、本願商標の使用に係る製品を取り上げた新聞やウェブ記事においては、製品の機能性に言及されているものの、本願商標が請求人の商品を指称する識別標識として認識された上で、その文字の表示がされており、また、一般の需要者が利用するブログにおいても、同様である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張に係る新聞やウェブ記事の内容は、それに接する者をして、概ね請求人又はキッコーマン食品による「『いつでも新鮮』シリーズ」に係る「しょうゆ」等の商品について採用されている容器(ボトル)が、柔らかさによる注ぐ量の自在な調節といった使いやすさや、密封ボトルによる鮮度保持などといった機能性(特長)を備えたものであり、それを「やわらか密封ボトル」と称していると看取、理解されるものとはいえるものの、上述した本願商標の構成全体から「柔らかで密封されたボトル」ほどの意味合いが想起されることや、商品に付された本願商標の使用態様や本願商標の使用に係る商品の広告宣伝の内容をも鑑みれば、その記事内容をもって、直ちに本願商標が請求人の商品を指称する識別標識として認識された上で、その文字の表示がされているとはいい難く、このことは、請求人の主張に係るブログの内容についても、何ら変わらない。
したがって、上記請求人による主張は、採用することができない。
(3)請求人は、たとえ、本願商標が「いつでも新鮮」や「キッコーマン」などといった文字からなる標章とともに使用され、また、商品の機能性(特徴)の告知とともに使用されたものであったとしても、本願商標は、長期にわたる継続的な使用により、請求人の商標として認知され、現実に自他商品の識別標識として機能している旨主張する。
しかしながら、本願商標が、その文字構成及び本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情を鑑みたときに、商品の品質、形状を表したものと認識されるにすぎず、また、そのような認識が、本願商標の使用に係る請求人の主張及び立証によって影響を受けるとは認められないこと、上記1及び2のとおりである。
したがって、上記請求人による主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、その使用の結果、需要者が何人かの業務に係るであることを認識することができるものになっているとも認められないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
平成30年10月16日付け審尋で示した事実
(1)「SOKEN.SHA」のウェブサイトにおいて、「丸島醤油 純正醤油こいくち(デラミボトル)200ml」の見出しの下、「特長、セールスポイント」の項に、「○空気に触れない密封ボトルだから、開栓後常温保存でもおいしさを90日間キープします。」、「○押すと一滴から出て放すと止まるやわらかいボトルなので、押し加減で注ぐ量が調節できます。」の記載がある。
(http://www.sokensha.co.jp/products/product_detail/260020.html)
(2)「笛木醤油」のウェブサイトにおいて、「濃口醤油 新型ボトル 200ml」の見出しの下、「押し出し式のやわらかな密封ボトルなので、押すとしょうゆが出て、戻すと止まり、一滴から欲しい量まで、注ぐ量は自在に調節!」の記載がある。
(http://fueki.oi-shi.jp/?pid=118079768)
(3)「新井商店」のウェブサイトにおいて、「[千葉]タイヘイ醤油 木桶仕込み低塩醤油 200ml」の見出しの下、「密封ボトルで空気に触れにくいから鮮度が長持ち!柔らかボトルなので、しょうゆの量の調整が可能。」の記載がある。
(http://www.arainet.co.jp/item/370041/)
(4)「有限会社今野醸造」のウェブサイトにおいて、「<美味しさ長持ち鮮度密封> 吟醸デラミボトル200ml」の見出しの下、「美味しさ長持ち 新鮮密封ボトル」の文字が付されたパッケージの画像が掲載されている。また、商品の説明として、「新鮮密封ボトルが醤油の酸化を防ぎ『開封後90日間鮮度キープ。』」、「柔らかい素材のボトルで、1滴から出しやすい注ぎ口ですので使いたい量だけご使用になれます。」の記載がある。
(http://www.e-miso.com/ginzyouderami.html)
(5)「柴沼醤油醸造」のウェブサイトにおいて、「鮮度保持ボトルシリーズ」の見出しの下、「開栓後も酸化を防ぐ鮮度保持ボトル」の説明として、「中味と空気が触れにくく鮮度が長く保たれるボトルです。柔軟性があるやわらかボトルなので、一滴から適量をしぼり出すことができます。」の記載がある。
(https://www.shibanuma.com/product/bottle/)
(6)「SOKEN.SHA News 通巻494号 2014 April」において、「今話題!空気に触れにくいボトルはこんなに便利」の見出しの下、「先日新発売いたしました『金笛濃口醤油ボトル 200ml』は、開封後も醤油の色や香りが長期に保たれるだけでなく、使い勝手の良さが好評です。」、「デラミボトルとは? デラミボトルはボトルの中に内袋が入っている2層構造のソフト容器です。・・・空気に触れにくく酸化しにくいため、鮮度と風味を保つことができます。」、「とっても便利、新製品にも。 ボトルを押して出す方式のため、力の加減で1滴から連続的に必要な量だけ注ぐ事ができます。」の記載がある。
(http://www.sokensha.co.jp/products/data/1404.pdf)

審理終結日 2019-08-07 
結審通知日 2019-08-13 
審決日 2019-08-29 
出願番号 商願2015-129548(T2015-129548) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W30)
T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 中束 としえ
有水 玲子
商標の称呼 ヤワラカミップーボトル、ヤワラカミップー、ヤワラカ、ミップーボトル、ミップー 
代理人 森川 邦子 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 黒川 朋也 

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