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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2018900240 審決 商標
無効2018890073 審決 商標
不服201810016 審決 商標
不服20187002 審決 商標
不服201810015 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W051042
審判 査定不服 外観類似 登録しない W051042
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W051042
管理番号 1356185 
審判番号 不服2017-650042 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-06 
確定日 2019-08-15 
事件の表示 国際商標登録第1247430号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第1類,第3類,第5類,第10類,第16類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として,2014年(平成26年)10月25日に国際商標登録出願されたものである。
その後,指定商品及び指定役務については,原審における平成28年2月22日付け手続補正書及び当審における2017年(平成29年)9月11日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果,第5類「Pharmaceutical preparations used in treatment of diabetics,renal disorder,cancer,heart disease.」,第10類「Medical and veterinary instruments and apparatus,namely insulin pens,insulin cartridges,injection.」,及び第42類「Pharmaceutical research and development;medical and scientific research services in the field of cancer treatment and diagnosis,cardiology,nephrology,endocrinology;chemical,biochemical,biological and bacteriological research and analysis.」とされたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりである。
(1)登録第5245948号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成19年10月24日
設定登録日:平成21年7月10日
更新登録日:平成31年3月5日
指定商品:第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,高級脂肪酸,人工甘味料,工業用粉類」,第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用おしめ,防虫紙,乳糖,乳幼児用粉乳」及び第29類「乳製品,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」
(2)国際登録第997305号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2009年(平成21年)1月16日
設定登録日:平成23年12月9日
指定商品:第10類「Therapeutic apparatus for urinary incontinence,obstetric apparatus,physiotherapy apparatus,physical exercise apparatus for medical purposes,electric acupuncture instruments,ultrashort wave therapy apparatus,ultrasonic therapy apparatus,catheters,electric massage apparatus.」
以下,これらをまとめて「引用商標」という。
3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,両端及び屈折部を丸く膨らませたW字状の線図形を上下方向にややずらして縦に並記した図形(以下「本願図形部分」という。)を構成中の左側に配し,その右側には「Biocon」の欧文字を太いゴシック体で横書きした構成からなるところ,本願図形部分と文字部分とは,間隔を空けて配置されており,外観上分離して観察されるものである。
そして,本願図形部分は,我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,本願図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じない。
一方,本願商標構成中の「Biocon」の文字部分についてみるに,「Biocon」の文字は,辞書等に載録のない語であって,特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる造語にあっては,これに接する取引者,需要者をして,我が国において広く親しまれているローマ字又は英語読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるから,当該「Biocon」の文字は,ローマ字読みで「ビオコン」の称呼を生じ,英語読みでは,例えば,「生物学」を意味する「biology」が「バイオロジー」と発音されることを踏まえると,「Bio」の欧文字部分を「バイオ」と称呼し,全体として「バイオコン」の称呼をも生じ得るものである。
そうすると,本願図形部分と文字部分は,外観上,明確に分離して看取されるだけでなく,称呼上,観念上の関連性を有するものでもないことからすると,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから,本願図形部分と文字部分は,それぞれが独立して出所識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
そして,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,本願商標のような図形と文字からなる商標に接する取引者,需要者は,その構成中,称呼しやすい文字部分に着目し,これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないというのが相当である。
そうすると,本願商標においては,その構成中の「Biocon」の文字部分を要部として抽出し,これをもって引用商標と比較し,商標そのものの類否の判断をすることも許されるというのが相当である。
そうすると,本願商標からは,構成中の「Biocon」の文字に相応して,「ビオコン」又は「バイオコン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(3)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は,別掲2のとおり,「BIOCON」の欧文字と「バイオコン」の片仮名を上下二段に表してなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを一連に表したものと無理なく理解されるものである。
そして,「BIOCON」及び「バイオコン」の文字は,いずれも,辞書等に載録のない語であって,特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものであるから,引用商標1からは,その構成文字に相応して,「バイオコン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は,別掲3のとおり,「BioCon」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,辞書等に掲載のない語であって,特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる造語にあっては,これに接する取引者,需要者をして,我が国において広く親しまれているローマ字又は英語読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるから,当該「BioCon」の文字は,ローマ字読みで「ビオコン」の称呼を生じ,英語読みでは,例えば,「生物学」を意味する「biology」が「バイオロジー」と発音されることを踏まえると,「Bio」の欧文字部分を「バイオ」と称呼し,全体として「バイオコン」の称呼をも生じ得るものである。
そうすると,引用商標2からは,その構成文字に相応して「ビオコン」又は「バイオコン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
ア 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標と引用商標1との類否について検討すると,その全体の外観においては相違するものの,本願商標構成中の「Biocon」の文字部分と引用商標1の構成中の「BIOCON」の文字部分とは,書体の相違や構成文字の大文字と小文字の差異はあるものの,構成文字のつづりを共通にするものであるから,両者は,外観上類似するというのが相当である。
次に,称呼においては,両者は「バイオコン」の称呼を同一にするものである。
そして,観念においては,両者は特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。
そうすると,本願商標と引用商標1とは,観念において比較できず,全体の外観において相違するものの,本願商標の要部である「Biocon」の文字部分と引用商標1の「BIOCON」の文字部分とが,外観上類似するものであって,「バイオコン」の称呼を同一にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
イ 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2との類否について検討すると,その全体の外観においては相違するものの,本願商標構成中の「Biocon」の文字部分と引用商標2の「BioCon」の文字とは,書体の相違や構成文字の大文字と小文字の差異はあるものの,構成文字のつづりを共通にするものであるから,両者は,外観上類似するというのが相当である。
次に,称呼においては,両者は「ビオコン」及び「バイオコン」の称呼を同一にするものである。
そして,観念においては,両者は特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。
そうすると,本願商標と引用商標2とは,観念において比較できず,全体の外観において相違するものの,本願商標の要部である「Biocon」の文字部分と引用商標2の「BioCon」の文字とは,外観上類似するものであって,「ビオコン」及び「バイオコン」の称呼を同一にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否について
ア 引用商標1の指定商品との類否について
本願商標の指定商品及び指定役務中,第5類「Pharmaceutical preparations used in treatment of diabetics,renal disorder,cancer,heart disease.」は,引用商標1の指定商品中の第5類「薬剤」に包含されるものであるから,両者は同一又は類似するものである。
イ 引用商標2の指定商品との類否について
本願商標の指定商品及び指定役務中,第10類「Medical and veterinary instruments and apparatus,namely insulin pens,insulin cartridges,injection.」は,引用商標2の指定商品である第10類「Therapeutic apparatus for urinary incontinence,obstetric apparatus,physiotherapy apparatus,physical exercise apparatus for medical purposes,electric acupuncture instruments,ultrashort wave therapy apparatus,ultrasonic therapy apparatus,catheters,electric massage apparatus.」とは,生産部門や販売部門及び需要者の範囲等が一致するものであるから,両者は類似するものである。
(6)小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標と引用商標の外観においては,本願商標は,その図形部分と文字部分の構成態様から,両部分が一体として認識,把握される商標であるのに対して,引用商標は,文字のみからなる商標であるという差異がある。加えて,構成文字の特徴及びそれらの特徴から受ける印象においても明らかに相違するものであるから,本願商標と引用商標とは,外観上相紛れるおそれはない旨,主張する。
しかしながら,前記(2)のとおり,本願商標については,本願図形部分と文字部分とが,外観上明確に分離して看取されるものであり,これらは,称呼上,観念上の関連性を有するものでもないことからすると,本願図形部分と文字部分とは常に一体不可分のものとしてのみ認識,把握される商標とはいえないというのが相当である。
また,本願商標の要部となり得る「Biocon」の文字部分と,引用商標1の「BIOCON」の文字部分及び引用商標2の「BioCon」の文字部分とは,書体や大文字と小文字の差異はあるものの,構成文字のつづりは全て同じであり,いずれも,さほど特徴のある書体とはいえないことから,そのつづりを共通にすることによる両者の類似性を凌駕する程の外観上の顕著な相違があるとはいえない。
してみれば,本願商標と引用商標とは,外観上相紛れるおそれのないものということはできない。
イ 請求人は,本願商標は,我が国及び世界中で請求人のハウスマークとして広く認識,把握されているものであり,請求人のハウスマークとしての「インドを代表するバイオ企業であるBiocon」程の観念を生じ得るものであるから,特定の観念を生じない引用商標とは,観念上,相紛れるおそれはない旨主張し,証拠方法として第1号証ないし第53号証を提出している(なお,請求人の提出に係る証拠(第1号証ないし第53号証)については,以下,「甲」を付して,例えば「甲第1号証」と読み替えるものとする。)。
そこで,請求人提出の証拠及び主張について検討するに,請求人は,インドのバイオ産業をリードする大手医薬品メーカーであり,米国企業と医薬品の共同開発や業務提携を行っていること,我が国やその他外国企業とも提携していること,及び請求人の会長が,我が国の日本経済新聞社主催の「第14回日経アジア賞」を受賞したことが,我が国においても報じられている(甲4?甲5,甲7?甲14,甲20?甲22,甲35?甲37)。
また,請求人は,我が国の医薬品メーカーである富士フイルムファーマ株式会社と提携し,両者が共同開発した医薬品の製造販売が,平成28年3月28日に承認された(甲21,甲24?甲29)。
そして,請求人の商標を紹介したとするウェブサイト,我が国企業向けのインボイスとされる書類,請求人の公式ウェブサイト・公式Twitter・公式YouTubeと主張する英文のウェブサイトには,本願商標と同様の特徴からなる標章が記載されている(甲1,甲15?甲19,甲30?甲32)。
さらに,本願商標に係る国際登録第1247430号は,60ヶ国以上を指定している(甲53)。
しかしながら,これらのウェブサイト等のページは,英文で作成されていることから,我が国の需要者を対象としたものと直ちには認められず,また,インボイスとされる書類からも,本願商標の我が国における使用状況についての具体的な事実を確認することはできない。
そして,本願商標の使用状況については,他に,請求人の取扱いによる本願商標を付した商品に係る取引書類や広告宣伝物の提出はなく,請求人に係る本願商標の使用期間,並びに本願商標を付した商品の販売数,シェア,広告宣伝の規模及び範囲を把握することはできない。
さらに,請求人の会長が,我が国において賞を受賞したことや,請求人が海外企業と提携していること,及び本願商標が60ヶ国以上を指定する国際登録に係るものであることをもって,直ちに本願商標が,我が国や世界中で周知,著名であるということはできない。
また,職権をもって調査するも,本願商標が我が国において周知性を獲得しているものというに足りる事実を見いだすことはできなかった。
以上からすれば,本願商標が請求人の取扱いに係る商品及び役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとは認められないから,本願商標から「インドを代表するバイオ企業であるBiocon」の観念が生じ得るとはいい難く,本願商標は,引用商標と観念において相紛れるおそれがないものということもできない。
ウ 請求人は,我が国において,糖尿病患者向けインスリン製剤を販売する認可を取得しており,今後,請求人商品のさらなる流通が見込まれるところ,本願商標の独占使用が認められないことの弊害は大きく,称呼において共通する場合があることのみをもって,本願商標の登録を認めないとするのは妥当ではなく,我が国を含む世界中における本願商標の周知,著名性を考慮すれば,商標の国際的な保護を推し進める観点から,本願商標は登録されて然るべきものである旨,主張する。
しかしながら,請求人が商品の販売許可を取得していることや,今後,請求人商品の流通が見込まれること等は,商標の類否判断を左右する事情とはいえず,また,上記イのとおり,本願商標の周知性は認められないものである。
エ したがって,上記請求人の主張は,いずれも採用できない。
(8)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】



審理終結日 2019-03-14 
結審通知日 2019-03-15 
審決日 2019-04-04 
国際登録番号 1247430 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W051042)
T 1 8・ 262- Z (W051042)
T 1 8・ 263- Z (W051042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱田 佐代子宮川 元鈴木 駿也 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 真鍋 恵美
鈴木 雅也
商標の称呼 バイオコン、ビオコン、コン、シイオオエヌ、バイオ、ビオ、ビイアイオオ 
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 

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