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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z010304141630
管理番号 1356162 
審判番号 取消2018-300055 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-01-31 
確定日 2019-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4261833号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4261833号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、黒地の四角形内にやや図案化された「X」と「one」の白抜きされた欧文字をハイフンを介して結合してなり、平成9年4月1日に登録出願、第1類「化学品,植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),肥料,写真材料,試験紙,人工甘味料,陶磁器用釉薬」、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きべンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」、第4類「工業用油,工業用油脂,固体燃料,液体燃料,気体燃料,ろう,靴油,固形潤滑剤,保革油,ランプ用灯しん,ろうそく」、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,装飾塗工用ブラシ,観賞魚用水槽及びその附属品,紙製簡易買物袋」、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,酒かす」並びに第5類、第6類、第8類、第10類、第11類、第18類、第19類、第20類、第21類、第24類、第26類、第27類、第28類及び第32類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同11年4月16日に設定登録され、その後、同21年6月2日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録(予告登録)は、平成30年2月8日になされたものである(以下、本件審判の請求の登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第3類「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン」、第4類「固形潤滑剤」、第14類「貴金属」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」、第30類「アイスクリーム用凝固剤」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その請求に係る商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 平成30年6月7日付け審判事件弁駁書による主張
(1)被請求人は、平成30年4月9日付審判事件答弁書において、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品中、少なくとも第1類「化学品」の範ちゅうに含まれる「ブリーチ・ブリーチ」及び「フレ・シャス」の各商品について使用されている旨を主張している。
しかしながら 、以下に述べる理由により、被請求人の主張は失当であり、本件商標は、その請求に係る商品について取り消されるべきである。
(2)商品「ブリーチ・ブリーチ」について
被請求人は、乙1の1、乙1の5及び乙4の1ないし3に掲載された商品「ブリーチ・ブリーチ」は、その商品概要紹介文の冒頭の記載から、第1類の「台所用漂白剤」(類似群01A01)であり、第1類「化学品」の下位概念たる「化学剤」に該当する、と主張している。
ア 乙1の1第83頁に掲載の商品「ブリーチ・ブリーチ」にあっては、「衣類、食器、台所用品から、排水パイプまで、幅広く使える漂白剤。」との記載があるのみであり、当該商品が「漂白剤」であることは理解できるものの、これを以て直ちに「台所用漂白剤」であるとはいえない。
「漂白剤」に限らず、様々な用途に使用することができる商品は少なくなく、そのような商品については、実務上も当該商品の主たる用途に着目して商標の出願登録及び審査がなされている。
この点についてみれば、被請求人の商品「ブリーチ・ブリーチ」は、第1類に属する「台所用漂白剤」ではなく、第3類に属する「洗濯用漂白剤」に該当すべきものである。
まず、甲2は、被請求人が作成した電子カタログである。甲2の第1頁には、「お洗濯編 Laundry」の下に商品「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ写真が掲載されている。
イ 甲2の第4頁には、商品「ブリーチ・ブリーチ」の商品説明が記載されているところ、「強力漂白でしつこいシミ、黄バミもスッキリと。衣類の白さや輝きが甦ります。」との文言が読み取れる。
さらに、同頁においては、商品「ブリーチ・ブリーチ」と一緒に洗濯用柔軟剤「ソフナーAC」が掲載されている。
このような甲2の記載からすれば、商品「ブリーチ・ブリーチ」が被服等の漂白を目的として洗濯時に洗濯用洗剤や洗濯用柔軟剤と併せて用いられる「洗濯用漂白剤」であることは明らかである。
ウ 甲3は、洗濯用と食器用(台所用)の「漂白剤」の違いを説明するサイトの写しである。甲3中「漂白剤の衣類用と食器用の違いとは」の項目によれば、「衣類用の漂白剤と食器用の漂白剤の違い」は、その成分にあり、一般的に「衣類用漂白剤」は『酸素系漂白剤』のことを表し、「食器用漂白剤」は『塩素系漂白剤』のことを表す。すなわち、甲3の「まとめ」項目に記載されているように、「台所用漂白剤と洗濯用漂白剤の違いは、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤の違い」である。
商品「ブリーチ・ブリーチ」の成分について見るに、乙1の1及び乙4の2、3には、商品名「ブリーチ・ブリーチ」の上に「酸素系漂白剤」と記載されており、乙4の1には、パッケージの中央に「酸素系漂白剤」と記載されている。さらに、甲第2号証には、配合成分の項目に「過酸化ナトリウム(酸素系漂白剤)」と記載されている。
これらの記載が示すように、商品「ブリーチ・ブリーチ」は「酸素系漂白剤」であり、一般需要者は「酸素系漂白剤」の表示から当該商品を「洗濯用漂白剤」と認識するものである。
エ 乙1の1、乙1の5、乙4の1に記載されている商品「ブリーチ・ブリーチ」の「ご使用方法」を見ると、最初に衣類の洗剤・漂白に関する説明が記載されており、当該商品の主たる用途が衣類の洗剤や漂白にあることがわかる。
また、甲4は、インターネットのショッピングサイト(楽天市場)の写しである。甲4によれば、商品「ブリーチ・ブリーチ」が「洗濯用漂白剤」のカテゴリーで販売されていることがわかる。
オ 上記の事実を総合的に勘案すれば、商品「ブリーチ・ブリーチ」が衣類の漂白等の用途に使用される漂白剤であると理解するのが当然の解釈であり、仮に、商品「ブリーチ・ブリーチ」が他の用途に使用できる商品であるとしても、一般需要者は、当該商品を「洗濯用漂白剤」として認識し、購入すると考えるのが自然である。
以上のとおり、被請求人の商品「ブリーチ・ブリーチ」は、第1類の「化学剤」に属する「台所用漂白剤」ではなく、第3類に属する「洗濯用漂白剤」である。
(3)商品「フレ・シャス」について
被請求人は、乙1の1、乙1の5、乙1の6、乙4の2、乙4の3に掲載された商品「フレ・シャス」は、第1類の「洗浄効果・除菌効果等を有する食品の鮮度保持剤」(類似群01A01)であり、第1類「化学品」の下位概念たる「化学剤」に該当する、と主張している。
しかしながら、被請求人が提出した証拠資料から明らかなように、商品「フレ・シャス」は、「除菌・鮮度保持効果等を有する食材用洗浄剤」(類似群04A01)であって、第3類の「せっけん類」に属する商品である。
ア 乙1の1、乙4の2、乙4の3によれば、商品「フレ・シャス」の商品説明の見出し部分に「野菜や果物の洗浄・除菌と鮮度保持も兼ね備えた食材用洗剤」と記載されている。
イ 乙1の6においては、リーフレット表面右頁右下部分に、商品「フレ・シャス」の説明文として、「人にやさしく、地球にやさしく、環境問題を考えた食材用洗浄剤」と記載されており、リーフレット表面左頁左上には、「貝殻から生まれた食材用洗浄剤フレ・シャス」と記載されている。
ウ 乙1の6に掲載された商品パッケージを見ると、商品ラベル上部には「焼成カルシウムのはたらきで、野菜や果物の洗浄、除菌と鮮度保持も兼ね備えた食材用洗浄剤」の記載も読み取れる。
これらの商品説明によれば、商品「フレ・シャス」が「食材用洗浄剤」として販売されていることは明らかな事実であり、このような商品説明に接した需要者が、商品「フレ・シャス」を「食品の鮮度保持剤」としてではなく、「食材用洗浄剤」として認識し、購入するのは明白である。
エ J-PLAT PATの商品・役務名検索によれば、「食品用洗浄剤」「果物・野菜の洗浄剤」は、いずれも第3類に属する商品(類似群04A01)である(甲5及び甲6)。
したがって、商品「フレ・シャス」は、「洗浄効果・除菌効果等を有する食品の鮮度保持剤」ではなく、「除菌・鮮度保持効果等を有する食材用洗浄剤」(類似群04A01)であり、第3類の「せっけん類」(類似群04A01)に属する商品である。
(4)まとめ
以上述べたとおり、答弁書において本件商標が使用されていると主張する商品は、第3類に属する商品「洗濯用漂白剤」及び「せっけん類」であって、第1類の商品「化学品」ではないことから、被請求人が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品について使用していることは何ら証明されていない。
したがって、請求の趣旨のとおり、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品・役務中、第1類 「化学品、のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第3類 「かつら装着用接着剤、つけまつ毛用接着剤、洗濯用でん粉のり、洗濯用ふのり、家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンジン」、第4類 「固形潤滑剤」、第14類 「貴金属」、第16類 「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」及び第30類 「アイスクリーム用凝固剤」についての登録は取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、審判事件答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙4(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、本件商標を要証期間内に、日本国内において請求に係る指定商品中、少なくとも第1類「化学品」について、商標権者たる被請求人により商品に使用しており、取り消されるべきものではない。
2 商標使用の証拠
(1)商品第1類「化学品」に関する広告における本件商標の使用
乙1の1は、本件商標の商標権者たる被請求人が2017年(平成29年)4月に発行し、顧客に対して頒布した通年用の取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」2017年版の一部を抜粋した写しであるところ、当該カタログ裏表紙の左下端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
ここで、本件商標においては黒地背景に白抜きで「X-one」の欧文字が書された構成であるのに対して、上記カタログ裏表紙における使用商標は白地背景にライムグリーンの配色で「X-one」の欧文宇が書された構成である点、色彩につき相違があるものの、かかる色彩の相違のみを有する使用商標にあっては、商標法第70条にいう「その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの」に他ならず、ゆえに、上記カタログ裏表紙における欧文字「X-one」の表示は、商標法第50条の規定に基づく本件審判の審理において、「登録商標の使用」として認められるべきものといえる。
そして、上記カタログには被請求人の各種取扱商品のパッケージ写真と、各商品概要の紹介文とが併せて掲載されているところ、当該カタログ第83頁及び第84頁に掲載された商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」及び商品番号705「フレ・シャス」の各商品については、本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群 01A01)の範疇に含まれるものであることが各商品概要紹介文に照らして明らかである。
すなわち、上記カタログ第83頁に掲載の商品「ブリーチ・ブリーチ」にあっては、その商品概要紹介文の冒頭に「衣類・台所・住居用にと多目的に使える酸素系漂白剤。」とあることから、現行国際分類における分類区分第1類の「台所用漂白剤」(類似群01A01)に他ならず、また、カタログ第84頁に掲載の商品「フレ・シャス」にあっては、その商品概要紹介文の冒頭に「食品添加物としても使用されている焼成カルシウムを主原料とした除菌・洗浄・鮮度保持剤。」とあることから、現行国際分類における分類区分第1類の「洗浄効果・除菌効果等を有する食品の鮮度保持剤」(類似群 01A01)に他ならないのであって、いずれも上記第1類「化学品」(類似群 01A01)の下位概念たる「化学剤」に該当するものといえる(乙2)。
してみれば、かかる商品カタログを被請求人が2017年(平成29年)4月に発行し、顧客に対して頒布した行為は、商標法第2条第3項第8号に規定の「商品に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」に他ならないものであるから、これをもって本件審判の請求に係る指定商品についての要証期間内の「使用」に該当するものということができる。よって、本件商標はその登録取消を免れるものである。
(2)要証期間中の商品取引書類における本件商標の使用
乙3は各々、上述(1)の商品カタログ掲載商品中の商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」又は商品番号705「フレ・シャス」を被請求人が顧客の注文に応じて販売し、納品した際に実際に発行した納品書のうちの一部の写しであるところ、当該各納品書の右上端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
ここで、本件商標においては黒地背景に白抜きで「X-one」の欧文字が書された構成であるのに対して、上記各納品書における使用商標は白地背景に黒の配色で「X-one」の欧文字が書された構成である点、色彩につき相違があるものの、上述(1)の商品カタログにおけるのと同様、かかる色彩の相違のみを有する使用商標にあっては、商標法第70条にいう「その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの」に他ならず、ゆえに、上記各納品書における欧文字「X-one」の表示は、商標法第50条の規定に基づく本件審判の審理において、「登録商標の使用」として認められるべきものといえる。
そして、上記各納品書における「ご注文日」及び「発行日」の箇所の日付の記載をみるに、商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」については少なくとも2017年(平成29年)4月18日、同年7月26日及び同年8月14日の3件、日本国内各地に在住の顧客による注文がなされ、これに応じて被請求人がいずれも即日付けにて商品出荷を行なったことが明らかである。 また、商品番号705「フレ・シャス」についても、少なくとも2017年(平成29年)4月28日、同年5月2日及び同年6月15日の3件、日本国内各地に在住の顧客による注文がなされ、これに応じて被請求人がいずれも即日付けにて商品出荷を行なったことが明らかである。
しかるに、上記計6件の納品書の発行日はいずれも、本件審判の請求の登録前3年以内、すなわち平成27年(2015年)2月6日から同30年(2018年)2月6日までの期間内に他ならず、なおかつ、これらの納品書を被請求人が顧客の注文に応じた商品出荷に際して顧客宛に発行・送付した行為は、商標法第2条第3項第8号に規定の「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に他ならないものであるから、これらをもって本件審判の請求に係る指定商品についての要証期間内の「使用」に該当するものということができる。よって、本件商標はその登録取消を免れるものである。
(3)商品第1類「化学品」の包装における本件商標の使用
乙4の1は、上述(1)の商品カタログ掲載商品中の商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」につき、被請求人における在庫品現物を撮影した写真画像の写しであるところ、当該商品現物のパッケージ包装表面部分をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
なお、本件商標においては黒地背景に白抜きで「X-one」の欧文字が書された構成であるのに対して、上記写真中の商品パッケージ包装における使用商標は青地背景に白抜きで「X-one」の欧文字が書された構成である点、色彩につき相違があるものの、上述(1)の商品カタログ及び上述(2)の納品書におけるのと同様、かかる色彩の相違のみを有する使用商標にあっては、商標法第70条にいう「その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの」に他ならず、ゆえに、上記商品パッケージ包装における欧文字「X-one」の表示は、商標法第50条の規定に基づく本件審判の審理において、「登録商標の使用」として認められるべきものといえる。
また、上記乙4の1の写真の撮影日付は本件審判の請求の登録後の2018年(平成30年)3月17日であって、要証期間外であるものの、当該写真と上述(1)の当該カタログ第83頁に掲載された商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ写真とを比較するに、パッケージ包装表面部分においてはなんらの差異も見出すことができない。したがって、遅くとも上述(1)の商品カタログ発行時期たる2017年(平成29年)4月以降現在に至るまで、本件審判請求の登録前後を通じて当該商品「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ包装表面部分につきデザイン変更は行なわれておらず、上記乙第4号証の写真におけるのと同じく、その商品パッケージ包装表面部分に青地背景に白抜きで「X-one」の欧文字がプリントされていたものということができる。
しかるに、上述(2)の納品書によれば、商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」については少なくとも2017年(平成29年)4月18日、同年7月26日及び同年8月14日の3件、日本国内各地に在住の顧客による注文がなされ、これに応じて被請求人がいずれも即日付けにて商品出荷を行なったことが明らかであるところ、当該商品のパッケージ包装表面部分に本件商標をプリントする行為自体、商標法第2条第3項第1号に規定の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に他ならず、なおかつ、かかるパッケージ包装を伴って当該商品を顧客に販売し、納品する行為は商標法第2条第3項第2号に規定の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡しする行為」に他ならないものであるから、これをもって本件審判の請求に係る指定商品についての要証期間内の「使用」に該当するものということができる。よって、本件商標はその登録取消を免れるものである。
(4)証拠の説明
ア 株式会社エックスワンが2017年4月に発行した通年用の取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」2017年版の一部抜粋写し(乙1の1 )
上記(1)にて詳述したように、乙1の1は、本件商標の商標権者たる被請求人が2017年(平成29年)4月に発行し、顧客に対して頒布した通年用の取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」2017年版の一部を抜粋した写しであるところ、当該カタログ裏表紙の左下端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されており、かつ、当該カタログ第83頁ないし第84頁に掲載された商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」及び商品番号705「フレ・シャス」の各商品については、本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることから、当該カタログは、本件商標が本件請求の登録前3年以内に第1類「化学品」について使用された事実を証明するものといえる。
イ 株式会社エックスワンから佐川印刷株式会社に宛てた2017年2月15日付の印刷物発注書写し(乙1の2)
乙1の2は、前掲乙1の1のカタログの発行に際して、被請求人が印刷業者たる佐川印刷株式会社宛に送付した印刷物発注書の写しである。
当該印刷物発注書写しにおいては、当初2016年(平成28年)12月5日付にて、被請求人の広報・ITプロモーション部に所属の担当者から佐川印刷株式会社の担当者に宛てて送付されたのち、発注部数の変更が生じたために2017年(同29年)2月15日に再送されており、この再送に対して、佐川印刷株式会社の担当者による発注受領確認のための受領印が捺印されたうえ、同日付にて被請求人宛にFAX返信されたものを被請求人が社内確認用に保管していたものである。
なお、FAX送信元につき「エスピータック」との記載がなされているが、これは後掲乙第1号証の4の佐川印刷株式会社ウェブサイトを併せみるに、当該会社の関連会社であるエスビータック株式会社を表したものであることが分かる。
ウ 佐川印刷株式会社から株式会社エックスワンに宛てた2017年3月28日付の請求書写し(乙1の3)
乙1の3は、前掲乙1の1のカタログに関し、前掲乙1の2の印刷物発注書による発注を受けた印刷業者である佐川印刷株式会社が印刷及び納品を完了したのち、発注主である被請求人に対して2017年(平成29年)3月28日付で発行・送付した請求書の写しである。
エ 佐川印刷株式会社ウェブサイト記事の一部抜粋写し(乙1の4)
乙1の4は、前掲乙1の1のカタログにつき印刷を行なった印刷業者である佐川印刷株式会社の会社ウェブサイト記事の一部を抜粋した写しである。
オ 株式会社エックスワンウェブサイト記事の一部抜粋写し(乙1の5)
乙1の5は、本件被請求人である株式会社エックスワンの会社ウェブサイト記事の一部を抜粋した写しである。
前掲乙1の3の請求書宛先等に記載された株式会社エックスワンの住所「東京都港区芝2-7-17 住友芝公園ビル14F」について、本件請求に係る登録第4261833号商標の商標登録名義人住所「東京都港区南青山5-4-27」とは異なるところ、当該ウェブサイト中の会社概要ページをみるに、各々「芝オフィス」及び「本店所在地」に相当するものであることが分かる。
また、取扱商品紹介ページをみるに、キッチン関連用品のカテゴリーにて、「ブリーチ・ブリーチ」及び「フレ・シャス」の各商品のパッケージ写真と、各商品概要の紹介文が掲載されており、前掲乙1の1のカタログにおけるのと同様、各商品概要紹介文の冒頭に、「ブリーチ・ブリーチ」にあっては「衣類・台所・住居用にと多目的に使える酸素系漂白剤。」との記載があり、「フレ・シャス」にあっては「食品添加物としても使用されている焼成カルシウムを主原料とした除菌・洗浄・鮮度保持剤。」との記載がある。なお、当該ウェブサイト記事写しは本件審判の請求の登録後の2018年(平成30年)3月28日にプリントアウトされたものであって、要証期間外ではあるが、現在における本件商標の使用の事実を示す参考資料として提示する次第である。
カ 株式会社エックスワンが2017年3月に増刷発行した取扱商品「フレ・シャス」にかかる広告リーフレット写し(乙1の6)
乙1の6は、前掲乙1の1の総合カタログ第84頁に掲載された被請求人の取扱商品である商品番号705「フレ・シャス」についての、単独商品広告用リーフレットの写しである。
見開き両面印刷の当該広告リーフレットの表面左下端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。また、当該リーフレット裏面の商品概要紹介文においても、前掲乙1の1の総合カタログにおけるのと同様、「食品添加物としても使用されている焼成カルシウムを主原料とした除菌・洗浄・鮮度保持剤」との記載があることから、当該商品「フレ・シャス」につき、本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれる「食品鮮度保持剤」に該当するものであることが明らかである。
そして、当該広告リーフレットについては、後掲乙1の7ないし乙1の9と併せみるに、2017年(平成29年)3月に増刷がなされていることから、これを以て本件商標が本件請求の登録前3年以内に第1類「化学品」について使用された事実を証明するものといえる。
キ 株式会社エックスワンからジャパンプリント株式会社に宛てた2017年2月25日付の印刷物発注書写し(乙1の7)
乙1の7は、前掲乙1の6の広告リーフレットを2017年(平成29年)3月に増刷するに際して、被請求人が印刷業者たるジャパンプリント株式会社宛に送付した印刷物発注書の写しである。
当該印刷物発注書写しにおいては、2017年(平成29年)2月25日付にて、被請求人の広報・ITプロモーション部に所属の担当者からジャパンプリント株式会社の担当者に宛てて送付されたのち、ジャパンプリント株式会社の担当者による発注受領確認のための受領印が捺印されたうえ、納品予定日の追記と併せて、同年3月1日付にて被請求人宛にFAX返信されたものを被請求人が社内確認用に保管していたものである。
ク ジャパンプリント株式会社から株式会社エックスワンに宛てた2017年3月10日付の請求明細書写し(乙1の8)
乙1の8は、前掲乙1の6の広告リーフレットの増刷に関し、前掲乙1の7の印刷物発注書による発注を受けた印刷業者であるジャパンプリント株式会社が増刷及び納品の完了時に、発注主である被請求人に対して2017年(平成29年)3月10日付で発行した請求明細書の写しである。
ケ ジャパンプリント株式会社から株式会社エックスワンに宛てた2017年3月25日付の請求明細書写し(乙1の9)
乙1の9は、前掲乙1の6の広告リーフレットの増刷に関し、前掲乙1の7の印刷物発注書による発注を受けた印刷業者であるジャパンプリント株式会社が増刷及び納品を完了したのち、発注主である被請求人に対して2017年(平成29年)3月25日付で発行・送付した請求書の写しである。
当該請求書における請求費用の内訳の箇所に「別紙明細添付」との記載があるところ、これは前掲乙1の8の請求明細書を指したものに他ならない旨、各々の記載金額が一致することに照らしても明らかである。
コ ジャパンプリント株式会社ウェブサイト記事の一部抜粋写し(乙1の10)
乙1の10は、前掲乙1の6の広告リーフレットにつき増刷を行なった印刷業者であるジャパンプリント株式会社の会社ウェブサイト記事の一部を抜粋した写しである。
サ J-PlatPat特許情報プラットフォーム[Online]「商品・役務名検索」による「台所(AND)漂白剤」をキーワードとした検索結果一覧写し(乙2の1)
乙2の1は、独立行政法人工業所有権情報・研修館がインターネット上で提供する知的財産情報サービスである「J-PlatPat特許情報プラットフォーム」において、商標に関する「商品・役務名検索」を用いて、キーワードを「台所」及び「漂白剤」としてAND検索にて検索を行なった結果表示一覧の写しである。
当該検索結果一覧をみるに、「食器・調理器具等の台所用漂白剤」及び「台所用漂白剤」が現行国際分類における区分第1類に属し、かつ、特許庁の類似商品・役務審査基準における類似群コード01A01に属する旨が示されており、後掲乙2の3とも併せみるに、「台所用漂白剤」は本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることが明らかである。
そして、前掲乙第1号証の1のカタログにおける商品概要紹介文も併せみるに、被請求人の取扱商品の一つである「ブリーチ・ブリーチ」については、当該「台所用漂白剤」に該当するものに他ならず、ゆえに、第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることが明らかである。
シ J-PlatPat特許情報プラットフォーム[Online]「商品・役務名検索」による「食品 (AND) 鮮度保持剤」をキーワードとした検索結果一覧写し(乙2の2)
乙2の2は、前掲乙2の1と同様に、独立行政法人工業所有権情報・研修館の「J-PlatPat特許情報プラットフォーム」において、商標に関する「商品・役務名検索」を用いて、キーワードを「食品」及び「鮮度保持剤」としてAND検索にて検索を行なった結果表示一覧の写しである。
当該検索結果一覧をみるに、「洗浄効果・除菌効果等を有する食品の鮮度保持剤」及び「食品鮮度保持剤」等が現行国際分類における区分第1類に属し、かつ、特許庁の類似商品・役務審査基準における類似群コード01A01に属する旨が示されており、後掲乙2の3とも併せみるに、「食品鮮度保持剤」は本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることが明らかである。
そして、前掲乙1の1のカタログにおける商品概要紹介文も併せみるに、被請求人の取扱商品の一つである「フレ・シャス」については、当該「食品鮮度保持剤」に該当するものに他ならず、ゆえに、第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることが明らかである。
ス 特許庁ホームページ[Online]「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2017版対応〕平成29年1月1日適用」における分類区分第1類の該当商品リスト一部抜粋写し(乙2の3)
乙2の3は、特許庁がインターネット上で提供する「『商品及び役務の区分』に基づく 類似商品・役務審査基準 〔国際分類第11-2017版対応〕平成29年1月1日適用」において、分類区分第1類に属する商品の具体例が列挙された箇所を抜粋した写しである。
当該リスト中、第3-1頁ないし第3-23頁において、本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれる商品の具体例が列挙されているところ、第3-11頁をみるに、「食物保存剤」及び「漂白剤(洗濯用のものを除く。)」の記載がある。これを前掲乙第2号証の1及び乙第2号証の2の検索結果と併せみるに、被請求人の取扱商品中、上述の「ブリーチ・ブリーチ」及び「フレ・シャス」について、第1類「化学品」(類似群01A01)の範疇に含まれるものであることが明らかである。
セ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)4月18日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980238716)写し(乙3の1)
ソ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)7月26日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980258541)写し(乙3の2)
タ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)8月14日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980262921)写し(乙3の3)
チ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)4月28日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980240385)写し(乙3の4)
ツ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)5月2日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980241313)写し(乙3の5)
テ 株式会社エックスワン発行2017年(平成29年)6月15日付の顧客宛て納品書(出荷番号:980249997)写し(乙3の6)
乙3の1ないし乙3の6は各々、前掲乙1の1のカタログ掲載商品中の商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」又は商品番号705「フレ・シャス」を被請求人が顧客の注文に応じて販売し、納品した際に実際に発行した納品書について、被請求人が社内確認用に保管している控のうちの一部の写しであるところ、当該各納品書の右上端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
そして、当該計6件の納品書の発行日はいずれも、本件審判の請求の登録前3年以内、すなわち平成27年(2015年)2月6日から同30年(2018年)2月6日までの期間内であって、かつ、各納品書に記載された納品対象商品のうち、商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」及び商品番号705「フレ・シャス」については、本件審判請求に係る指定商品中の第1類「化学品」(類似群01A01)の範ちゅうに含まれるものであることから、これらの納品書写しを以て、本件商標が本件請求の登録前3年以内に第1類「化学品」について使用された事実を証明するものといえる。
なお、当該各納品書写しにおいて、納品先・発送宛先である各顧客の氏名・住所等については、個人情報保護の観点から、今般これらを証拠資料として提出するに際して被請求人がマスキング処理を行なったものである。
ト 株式会社エックスワンの取扱商品である台所用漂白剤「ブリーチ・ブリーチ」にかかる商品パッケージ包装を撮影した写真画像データ写し(乙4の1)
乙4の1は、前掲乙1の1のカタログ第83頁に掲載された被請求人の取扱商品である台所用漂白剤商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」につき、被請求人における在庫品現物を撮影した写真画像の写しであるところ、当該商品現物のパッケージ包装表面部分をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
なお、当該写真の撮影日付は本件審判の請求の登録後の2018年(平成30年)3月17日であって、要証期間外であるが、当該写真と前掲乙1の1のカタログ第83頁に掲載された商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ写真との比較により、本件審判請求の登録前後で当該パッケージ包装表面部分につきデザイン変更がなされていないことを明らかにする趣旨にて証拠資料として提出するものである。
ナ 株式会社エックスワンが2016年4月に発行した通年用の取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」2016年版の一部抜粋写し(乙4の2)
乙4の2は、被請求人が2016年(平成28年)4月に発行し、顧客に対して頒布した通年用の取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」2016年版の一部を抜粋した写しであるところ、当該カタログ裏表紙の左下端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
そして、当該カタログ第79頁には、被請求人の取扱商品である台所用漂白剤商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ写真が掲載されているところ、これを前掲乙第4号証の1における同一商品のパッケージ写真と比較するに、本件審判請求の登録前後で当該パッケージ包装表面部分につきデザイン変更等がなされていないことが明らかである。
ニ 株式会社エックスワンが2015年5月に発行した通年用の取扱商品総合カタログ「Collection」[ヘルスケア・ホームケア編]2015年版の一部抜粋写し(乙4の3)
乙4の3は、被請求人が2015年(平成27年)5月に発行し、顧客に対して頒布した通年用の取扱商品総合カタログ「Collection」[ヘルスケア・ホームケア編]2015年版の一部を抜粋した写しであるところ、当該カタログの表紙左下端部をみるに、本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字が表示されている。
そして、当該カタログ第23頁には、被請求人の取扱商品である台所用漂白剤商品番号768「ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ写真が掲載されているところ、これを前掲乙1の1及び乙4の1ないし4の2における同一商品のパッケージ写真と比較するに、本件審判請求の登録前後で当該パッケージ包装表面部分につきデザイン変更等がなされておらず、なおかつ、要証期間中遅くとも2015年(平成27年)5月以降継続して、被請求人がその取扱商品である台所用漂白剤「商品番号768 ブリーチ・ブリーチ」のパッケージ包装表面部分に本件商標と同一の態様にて「X-one」の欧文字を付して当該商品の広告・販売を行ってきたことが明らかである。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者たる被請求人により、本件審判請求に係る指定商品のうち少なくとも第1類「化学品」について、日本国内にて使用されていたことが明らかであるから、請求人の主張には理由がない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(1)被請求人の取扱商品の総合カタログ「Collection[ヘルスケア・ホームケア編]」には、表紙の右下端部に「2015年5月作成」と記載され、表紙左下端部には、別掲2のとおり、緑色で表した本件商標と構成が同一の「X-one」の文字(「以下、「使用商標」という。)、裏表紙には「株式会社エックスワン」及び「東京都港区南青山5-4-27」の記載がある(乙4の3)。また、同カタログ23頁には、商品番号768ブリーチ・ブリーチの写真とともに、「衣類、食器、台所用品から、排水パイプまで、幅広く使える漂白剤。」(以下、「使用商品」という。)との記載がある。
(2)被請求人の取扱商品の総合カタログ「X-one All Items Collection」には、表紙の右下端部に「2016年4月作成」と記載され、裏表紙左下端部には使用商標、「株式会社エックスワン」及び「東京都港区南青山5-4-27」の記載がある(乙4の2)。同カタログ79頁には、使用商品の記載がある。
(3)被請求人の取扱商品の総合カタログ「X-one All Items Collection」には、表紙の右下端部に「2017年4月作成」と記載され、前記(2)と同様に裏表紙左下端部には使用商標、「株式会社エックスワン」及び「東京都港区南青山5-4-27」の記載がある(乙1の1)。同カタログ83頁には、使用商品の記載がある。
(4)前記(3)のカタログの印刷物発注書は、株式会社エックスワンから佐川印刷に宛てたものであり、「コレクション(総合カタログ)」印刷部数34,000部、2016年12月5日発注と記載されている。同発注書は、発注部数の変更により2017年(平成29年)2月15日に佐川印刷に再送され、担当者の確認後、佐川印刷の関連会社であるエスピータックから被請求人にFAX送信された。同印刷物発注書には納品希望日として、2017年3月14日(火)AM ジャパンプリント様指定先(バラ)、2017年3月23日(木)AM 岩槻配送センター(セット組商品)と記載されている(乙1の2)。また、ジャパンプリント様指定先(バラ)には、プリパック封入用4,300部、エクスプレス封入用22,400部、計26,700部と手書きされており、岩槻配送センター(セット組商品)には、400セット+バラ納品6,900部、合計34,000部と手書きされている(乙1の2)。
(5)佐川印刷株式会社から株式会社エックスワンに対する請求書には、コレクションカタログ(エクスプレス用)22,400部及び納品日が「3.14」と記載され、請求金額の記載とともに、請求書の右上には2017年3月28日の記載がある(乙1の3)。
(6)以上からすると、被請求人は、その取扱商品に係る総合カタログに使用商標、使用商品、被請求人の名称及び住所を記載したものを少なくとも2015年(平成27年)5月から毎年作成し、2017年(平成29年)4月作成の総合カタログ22,400部を佐川印刷から2017年(平成29年)3月14日に受領したことが認められる。
2 判断
上記1によれば、次のとおり認めることができる。
(1)使用商品について
被請求人は、その取扱い商品の一つである「ブリーチ・ブリーチ」が化学品に該当するものであるから本件商標の請求に係る指定商品について使用している旨主張しているので以下検討する。
「ある商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は難しい場合があり、二つの指定商品に属する二面性を有することすらあり得る・・・。・・その判断に当たっては、本件使用商品の名称、表示、原材料、機能、用途、使用実態等のほか、取引者・需要者の認識や薬事法等の取扱いを含む取引の実情を考慮するのが相当である。」(東京高裁 平成12年(行ケ)第447号 平成13年7月12日判決)
以上を前提として検討するに、昭和34年法の商品区分の第1類は、商標法施行規則別表によれば、「化学品」の範ちゅうに「化学剤」があり、その例示として、「食物保存剤、漂白剤(洗濯用のものを除く。)」が記載されている。他方、「洗濯用漂白剤」は第3類に分類されその用途が洗濯用とされていることからすれば、用途が洗濯用に限定されない台所用漂白剤や食品の漂白剤は、第1類「化学品」の範ちゅうに属する商品であるといえる。
ここで、被請求人の発行する取扱商品総合カタログ「X-one All Items Collection」及びその他の提出証拠によれば、「ブリーチ・ブリーチ」の商品概要の用途説明中に「衣類、食器、台所用品から、排水パイプまで、幅広く使える漂白剤」との記載があることから、当該商品は漂白剤として洗濯用にも使用でき、かつ用途が洗濯用に限定されていない漂白剤ということができる。そうすると、被請求人の使用商品は、用途として第3類の「洗濯用漂白剤」に属する商品の一面を有するとともに、第1類の化学品である「漂白剤(洗濯用のものを除く。)」としての用途・機能を有する商品ということもでき、この観点からは被請求人が本件使用商品を化学品として全く使用をしていないとまではいうことはできない。
なお、請求人は、酸素系漂白剤は一般的に衣類用漂白剤に使用されていることから、「ブリーチ・ブリーチ」は衣類用漂白剤と認識される旨主張するが、確かに酸素系漂白剤が衣類用漂白剤として主に使用されることがあるとしても、酸素系漂白剤又は塩素系漂白剤の相違は、商品の表示規制の観点から酸化剤の構成成分の相違によるものであり(消費者庁、雑貨工業品品質表示規定)、必ずしも酸素系漂白剤の表示によって洗濯用商品であることを限定するとまではいえず、この主張は認められない。
また、請求人は、被請求人作成の電子カタログにおいて、「ブリーチ・ブリーチ」が「お洗濯編 Laundry」の下に紹介されていることにより(甲2)、請求人は本件使用商品は衣類用漂白剤である旨主張する。しかしながら、前記のとおり、本件使用商品が洗濯用漂白剤としての機能をも有することを否定するものではないが、本件使用商品の用途として、「色・柄物の衣類、台所・食器・浴室・換気扇・洗濯槽」との記載があることから、衣類以外の用途にも使用できる漂白剤であることは明らかであるから、この主張も認められない。
(2)使用者及び使用時期について
2017年4月に、株式会社エックスワンが作成した使用商品に関する総合カタログ「X-one All Items Collection」においては、裏表紙に使用商標を付し(乙1の1)、同カタログは34,000部(内エクスプレス用22,400部)印刷され、2015年(平成27年)から同カタログを継続して毎年印刷していることを考慮すれば、被請求人(商標権者)が、要証期間に同カタログを頒布したことは優に推認できるものであり、これを覆すに足りる証拠はない。
(3)使用商標について
本件商標は、黒地の四角形内にやや図案化された「X」と「one」の白抜きされた欧文字をハイフンを介して結合してなるところ、使用商標は緑色にてやや図案化された「X」と「one」の欧文字をハイフンを介して結合してなるものであるが、本件商標とは 、やや図案化された「X」と「one」をハイフンを介してなる点において同一の構成であり、これからは、同一の称呼を生じ、観念も紛れるところがないこと、そして本件商標の黒地の四角形部分は一般に背景的要素としてしか認識されないことからすれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(4)小括
以上(1)ないし(3)によれば、本件商標権者は、要証期間に、請求に係る指定商品「化学品」の範ちゅうに含まれる「漂白剤」のカタログに本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標権者が、その請求に係る指定商品中「化学品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 使用商標(色彩は原本参照。)




審理終結日 2019-04-26 
結審通知日 2019-05-08 
審決日 2019-05-23 
出願番号 商願平9-100590 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z010304141630)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 豊田 純一
木村 一弘
登録日 1999-04-16 
登録番号 商標登録第4261833号(T4261833) 
商標の称呼 エックスワン、ワン、オオエヌイイ 
代理人 鈴木 和弘 
代理人 篠原 泰司 
代理人 柴田 雅仁 
代理人 特許業務法人篠原国際特許事務所 
代理人 柏原 三枝子 
代理人 藤中 雅之 
代理人 市位 嘉宏 

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