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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1354364 
異議申立番号 異議2019-900047 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-08 
確定日 2019-08-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6099420号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6099420号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6099420号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年9月15日に登録出願、第25類「被服,下着,パジャマ,水泳着,ワイシャツ類及びシャツ,スーツ,外衣,コート,スポーツシャツ,スポーツコート,ティーシャツ,ズボン,スカート,靴,ブーツ,ベルト,手袋(被服),えり巻き,ソックス,スカーフ,帽子,ハット,キャップ,衣服用フード」を指定商品として、同30年10月9日に登録査定、同年11月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5623868号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 I R O PARIS
指定商品 第25類「フランス製の被服,フランス製の履物,フランス製の帽子」を含む第14類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成24年10月17日
設定登録日 平成25年10月18日
(2)国際登録第1311473号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 IRO .JEANS
指定商品 第25類「Clothing, headgear, shirts, clothing of leather or imitation leather, furs (clothing), gloves (clothing), all these goods made of jeans; footwear; belts (clothing); scarves, neckties; hosiery; socks; bedroom slippers; beach, ski or sports footwear, underwear.」(被服,帽子,ワイシャツ類及びシャツ,革製又は人工皮革製被服,毛皮製被服,手袋(被服),これらのすべての商品はジーンズ製のものである,履物及び運動用特殊靴,ベルト,スカーフ,ネクタイ,メリヤス下着、メリヤス靴下,ソックス,寝室用スリッパ,ビーチ用・スキー用又は運動用の履物,下着)並びに第3類及び第18類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日 2016年(平成28年)6月29日
設定登録日 平成30年5月11日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。以下、証拠については、「甲1」のように記載する。
(1)本件商標から生じる称呼について
本件商標は、5色に色分けされた縦長矩形図形の下に欧文字にて「iROO」と書されてなる。
該構成において、図形部分と文字部分は明瞭に分離しており、これを常に一体不可分として認識しなければならない事情も存在しないので、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標中の文字部分「iROO」にのみ着目し、これを認識・記憶することもあるというべきである。
商標「iROO」は造語であるが、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的とされている。「i」はローマ字風に読むと「イ」であり、「RO」は同様に「ロ」と読まれる。四文字目の「O」は前音の「ロ」音の母音と同じ音であるので、「RO」に続いて称呼された場合は「ロ」音と一体化し、あたかも長母音のように称呼される。よって、本件商標からは「イロー」の称呼が生じる。
(2)引用商標から生じる称呼について
引用商標1は、欧文字にて「IRO PARIS」と書してなり、その構成中「PARIS」部分は地名であって自他商品識別機能の脆弱な部分であるので、要部は「IRO」である。そして「IRO」よりは「イロ」の称呼を生じる。
引用商標2は、欧文字にて「IRO.JEANS」と書してなり、その構成中「JEANS」部分は指定商品との関係では「ジーンズ」を想起させるものであって自他商品識別機能が脆弱な部分であるので、要部は「IRO」となり「イロ」の称呼が生じる。
(3)取引の実情について
商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならず、「取引の実情」には引用商標の周知・著名性も含まれる。そして、引用商標の周知・著名性は、具体的な取引状況の下では、出所の混同のおそれを増幅させるものとなる。(東京高裁:平成13年(行ケ)第277号。甲4)
この点、引用商標の要部に当たる「IRO」をブランド名とする申立人商品は、そのデザイン性の高さから我が国においても人気を博しており、主要なファッション誌にしばしば紹介されている(例えば、甲5ないし甲8)。また、インターネットの通信販売サイトでも人気の商品となっている(甲9及び甲10)。
このように、引用商標は、申立人の「IRO」ブランドにかかる商標として我が国において一定程度の周知性を有するに至っている。
(4)対比
本件商標と引用商標を対比すると、本件商標の称呼「イロー」と引用商標の称呼「イロ」では、語尾における長音の有無にしか相違がない。語尾における長音の有無は、称呼全体に大きい影響を与えるものではないので、両商標の音構成が短いことを考慮しても、なお両商標の聴別が難いことは明らかである。よって、本件商標と引用商標は称呼において相紛らわしいものといえる。
また、外観においても本件商標の「iROO」の文字部分と引用商標の要部を対比すると、欧文字「I(i)」「R」「O」を構成要素とする点が共通であるので、外観においても紛らわしいものといわざるを得ない。
さらに、観念においては本件商標も引用商標も共に特定の観念を生じない造語であるので、両者を観念において区別することは不可能である。
加えて、引用商標は、申立人の「IRO」ブランドにかかる商標として我が国において一定程度の周知性を有するに至っている事情もある。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、さらに上記取引の実情を考慮すると、観念において比較できないとしても、外観が類似し、取引上必要な役割を果たす称呼も類似するものであるから、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)むすび
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば、我が国において、商標「IRO」、「Iro」又は「イロ」が使用をされた被服及び靴が、2013年(平成25年)10月ないし2014年(平成26年)4月頃に発行された雑誌で計4回紹介されたこと(甲5ないし甲8)、及び本件商標の登録査定後であるが、2019年(平成31年)4月に2つの通販サイトで販売されていたこと(甲9及び甲10)が認められる。
しかしながら、それら商品の販売実績、及び同商品が申立人の業務に係る商品であることを示す証拠は見いだせない。
また、引用商標については、それらが使用をされたことを示す証拠も見いだせない。
イ 前記アのとおり、引用商標は、それらが使用をされたことを示す証拠は見いだせないから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、商標「IRO」、「Iro」又は「イロ」については、それらが我が国において平成25年頃から被服等について使用をされていることは認められるものの、それら商標の使用をした商品の販売実績、及び同商品が申立人の業務に係る商品であることを示す証拠は見いだせないから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、5色に色分けされた縦長長方形の図形(以下「図形部分」という。)とその下に表された「iROO」の文字からなるものであり(なお、「i」の文字は斜体文字で表されている。)、その構成態様から、図形部分と「iROO」の文字部分とがそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが自然である。
そして、「iROO」の文字部分は、我が国において親しまれているローマ字の読み又は英語における発音に倣って、「アイロー」、「アイル-」、「イロー」及び「イルー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、前記2(1)のとおり、「I R O PARIS」の文字からなるものであり、その構成文字に相応して「アイアールオーパリス」又は「イロパリス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標1は、その構成中「PARIS」文字が、その指定商品との関係から、商品の産地を表したものと認識させるものであるから、「I R O」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字に相応して「アイアールオー」又は「イロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(イ)引用商標2は、前記2(2)のとおり、「IRO .JEANS」の文字からなるものであり、その構成文字に相応して「アイアールオージーンズ」又は「イロジーンズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標2は、その構成中「JEANS」の文字が、その指定商品との関係から、商品の原材料(生地)又は品質を表したものと認識させるものであるから、「IRO」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字に相応して「アイアールオー」又は「イロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とを比較すると、外観において、まず、いずれも独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る、本件商標の構成中「iROO」の文字部分と引用商標の構成中「I R O」又は「IRO」の文字部分との比較において、両者は、「iRO(IRO)」のつづりを共通にするとしても、語尾において「O」の文字の有無という差異を有するから、その差異が4文字又は3文字という少ない文字構成である両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。また、本件商標及び引用商標の構成全体同士の比較においては、相紛れるおそれのないこと明らかである。
次に、称呼においては、まず、本件商標から生じる「イロー」の称呼と引用商標から生じる「イロ」の称呼とは、語尾において長音「(ロ)ー」の有無という差異を有し、その差異が3音又は2音という極めて短い音構成である称呼全体に与える影響は小さくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。また、両者から生じる他の称呼の比較においては、いずれも語調語感が異なり相紛れるおそれのないこと明らかである。
さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものと判断するのが相当である。
また、他に本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるとしても、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標(色彩については原本参照。)



異議決定日 2019-08-14 
出願番号 商願2017-123830(T2017-123830) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 彩紀子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
山田 啓之
登録日 2018-11-16 
登録番号 商標登録第6099420号(T6099420) 
権利者 イルー インターナショナル カンパニー リミテッド
商標の称呼 アイルー、イルー、ルー、アアルオオオオ、イーロ 
代理人 幡 茂良 
代理人 橋本 良樹 
代理人 小出 俊實 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 田島 壽 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 

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