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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1354354 
異議申立番号 異議2018-900399 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-28 
確定日 2019-08-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6088737号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6088737号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6088737号商標(以下「本件商標」という。)は、「アンチオキシーシャンプー」の文字を横書きしてなり、平成30年1月10日に登録出願、第3類「シャンプー」を指定商品として、同年9月5日に登録査定、同年10月12日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が申立ての理由に引用する登録商標は、次のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5385469号商標(以下「引用商標」という。)は、「オキシー」の文字を標準文字で表してなり、平成20年2月6日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,おしろい,化粧水,クリーム,紅,髪油,すき油,セッティングローション,びん付け油,ヘアークリーム,ヘアースプレー,ヘアートニック,ヘアーフィクサー,ヘアーラッカー,ヘアーリンス,ベーラム,ポマード,香水類,アイシャドウ,あぶらとり紙,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去剤,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル,ベビーパウダー,マスカラ,まゆ墨,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同23年1月21日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品、第3類「シャンプー」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「アンチオキシーシャンプー」を普通に用いられる方法で表示してなるところ、「抗酸化シャンプー」の意味を有する「アンチオキシダントシャンプー」を単に簡略化したものにすぎないから、自他商品識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、他人の周知著名商標「オキシー」に「反」や「抗」の意味を有する「アンチ」を冒頭に付加し、その後に「シャンプー」を結合させることは、「オキシー」のシャンプーを否定するものであるから、競業社会の道徳観念に反し、公序良俗に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標「アンチオキシー」は、他人の著名な商標「オキシー」に他の文字「アンチ」及び「シャンプー」とを結合した商標であり、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、他人の周知商標「オキシー」と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標に該当するから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
申立人の主張において、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号の各号について引用する商標が不明確なところがあるが、当審は、上記各号について引用する商標は、引用商標と「OXY」(以下「申立人使用商標」という。また、引用商標と申立人使用標章を合わせて「引用商標等」という。)と認定し、判断した。
(1)引用商標等の著名性について
引用商標等の著名性に関する申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、申立人の子会社が米国で事業展開をしていたブランド「OXY」を、日本において2006年3月に新ブランド「OXY(オキシー)」として立ち上げ、「OXY」又は「オキシー」を付した「男性化粧品」(以下「申立人使用商品」という。)を薬局・薬店で発売した(甲22、甲23)。
イ 申立人は、「シャンプー」を含む第3類の商品について商標「オキシー」を出願し、登録5385469号商標として、平成23(2011)年1月21日に登録された(甲24)。
ウ 申立人は、申立人使用商品の、販売当初から2019年1月20日までの累計は、販売個数が65,471,929個であり、販売金額が25,517,487,094円であって、実に250億円を超える金額となっていると述べ、それぞれの数値は申立人あてに送付された社内メールの写しに記載されている(甲27)。また、申立人は、洗顔の分野で、「オキシー」が、14.73%のシェアを占め、(甲26)、また、化粧水の分野では、5.9%のシェアを占め、いずれの分野においてもれぞれ「ウーノ」、「ギャツビー」に次ぐ第3位に位置していると述べ、前記の各種数値は申立人あてに送付された社内メールの写しに記載されている(甲27)。
エ 申立人使用商品は、日本国内において、販売当初からタレントを起用したテレビCMにより広告宣伝された(甲22)。また、申立人使用商品は、ウェブ上で、2015年から2018年にYouTubeによる動画広告が行われた(甲31)。
オ 株式会社電通マクロミルインサイトを通じて、2018年11月から12月にかけて6000人を対象に行われたブランド調査(複数回答可)において、男性の約39%、女性の約31%が、スキンケアのブランド(「OXY」、「ギャツビー」、「メンズビオレ」)の中で、申立人使用商品を知っていると答えた(甲30)。
カ 上記アないしオの事実からすれば、申立人は、日本国内において2006年から引用商標等を付した申立人商品の販売を開始し、その後現在まで、数種類の申立人商品を薬局等で販売するとともに、テレビによるCM広告やYouTubeによる動画広告を行っていたことが認められる。
しかしながら、申立人商品の累計販売個数や販売金額は、申立人あての社内メールの写しに記載された数値でしかなく、その数値を客観的に証明できる証拠(作成者及び統計方法等)の提出はないことから、販売実績等は明らかではなく、また、申立人商品の宣伝広告にしても、テレビCMやYouTubeで広告されたことはうかがえるものの、それに関する広告代理店による統計資料には、引用商標等が何ら掲載されていないことからすれば、これを申立人商品の広告に関する資料と特定することはできず、広告宣伝の規模等の詳細は不明であるといわざるを得ない。
加えて、申立人商品に関するブランド調査では、申立人商品が3種のブランドの中で3位であることからすれば、他社の製品と比較して、認知度の数値は必ずしも高いとはいい難い。
そうすると、申立人に係る商品に使用されている引用商標等は、申立人の業務に係る商品(男性用化粧品)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ほかに、引用商標等が、本件商標の登録出願の日及び登録査定日において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足る証拠は見いだせない。
以上のことからすれば、引用商標等は、いずれも本件商標の登録出願の日及び登録査定日において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 申立人の提出する甲各号証及び同人の主張は、次のとおりである。
(ア)申立人は、次の証拠から、本件商標「アンチオキシーシャンプー」は、「抗酸化シャンプー」を意味すると容易に認識できる「アンチオキシダントシャンプー」を単に簡略化したにすぎないから、指定商品「シャンプー」の機能、効能を記述するものであって、独占適応性はなく、自他商品識別機能を果たすものでないと主張する。
(イ)インターネットによる「アンチオキシダントシャンプー」の検索結果において、「アンチオキシダントシャンプー」の文字が表示されているとともに、「シャンプー」(並行輸入品)の画像及び「アンチオキシダントシャンプー」の文字が表示されている(甲3)。
(ウ)インターネットによる「抗酸化シャンプー」及び「英語」の検索結果画面において、日本語「抗酸化シャンプー」及び英語「Antioxidant Shampoo」が相互に変換されて表示されている(甲4)。
(エ)インターネットによる「アンチオキシダントシャンプー」及び「抗酸化」の検索結果画面において、それぞれの文字が表示されている(甲5)。
(オ)インターネットによる「抗酸化シャンプー」の検索結果画面において、「抗酸化シャンプー」の文字が表示されている(甲6)。
(カ)日本や海外におけるウェブサイトの画面において、「Anti-Oxi、Anti-oxi、AntiOxi、anti/oxi、ANTI/OXI」の文字が表示され(甲7?甲19)、また、「Anti-Oxi」の文字の検索結果は、約78000件である(甲20)。
(キ)「京都百貨」と称するウェブサイトにおいて、商品「ワイン栓」に「アンチオキシ」の文字が表示されている(甲21)。
イ 判断
上記、申立人主張及び証拠からすれば、(イ)のとおり、並行輸入品の「シャンプー」を紹介する際に「アンチオキシダントシャンプー」の文字が使用されていることは確認できるものの、それはわずか1件にすぎないうえに、そこに「抗酸化」の文字は見当たらず、また、ほかの証拠については、「アンチオキシダントシャンプー」の検索結果が10件余り表示されているにすぎず、これより当該文字と申立てに係る商品との関係をうかがい知ることもできないことからすれば、これらの証拠をもって「アンチオキシダントシャンプー」の文字が申立てに係る商品の品質を具体的に表示する語であるとは認められない。
加えて、(ウ)のとおり、「抗酸化シャンプー」を英語表記すると「Antioxidant Shampoo」であること、及び「抗酸化シャンプー」の文字が「シャンプー」を取引する際に使用されている様子はうかがえるとしても、(カ)のように、インターネット上における「Anti-Oxi、anti/oxi、ANTI/OXI」等の表示は、大半が海外製品における表示であって、これらが全て「Antioxidant」を簡略化したものであるとか、我が国における申立てに係る商品の需要者に対しても、「アンチオキシダント」の簡略表示であると理解させるといったような事情は見いだせない。なお、「アンチオキシ」の文字が、商品「ワイン栓」に使用されてはいるものの、申立てに係る商品とは相違するうえに、わずか1件にとどまる。
そうすると、申立人主張及び証拠をもって、「アンチオキシダントシャンプー」の文字が、申立てに係る商品の品質を表示する語とは認められないことから、これを前提とした申立人の主張は採用できず、加えて、「アンチオキシダントシャンプー」の簡略表示が、本件商標である「アンチオキシーシャンプー」ということもできない。
また、当審において職権をもって調査したが、本件商標の登録査定時に、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「アンチオキシー」又は「アンチオキシーシャンプー」の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も見当たらない。
以上のことからすれば、本件商標は、申立てに係る商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、その構成全体をもって、又は「シャンプー」の文字部分を捨象して「アンチオキシー」の文字部分をもって、いずれも特定の意味合いを有しない一種の造語と理解されると判断するのが相当であるから、本件商標を申立てに係る商品について使用しても、本件商標の登録査定時において、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
そのほか、本件商標が、申立てに係る商品の品質等を表示すると認めるに足る証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標等の周知性
上記(1)のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願の日及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標等の類似性
(ア)本件商標は、上記1のとおり、「アンチオキシーシャンプー」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「シャンプー」の文字は、本件の指定商品を表示したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、この部分を捨象する場合もあり得ることから、本件商標から「アンチオキシーシャンプー」の称呼のほかに「アンチオキシー」の称呼をも生じ、また、上記(2)イのとおり、「アンチオキシーシャンプー」及び「アンチオキシー」は、いずれも造語であるから特定の観念は生じない。
(イ)引用商標は、上記2のとおり、「オキシー」の文字を標準文字で表し、これより「オキシー」の称呼を生ずること明らかであり、また、上記(2)イのとおり、造語であるから、特定の観念は生じない。
また、申立人使用標章は、「OXY」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「オキシー」の称呼を生じ、「鋭い、とがった、酸素」の意味を有する連結詞(「小学館ランダムハウス英和大辞典〈特装版〉」2002年1月10日株式会社小学館発行」)、ではあるものの、一般に広く知られているともいえないことから、一種の造語と理解されて特定の観念は生じない。
(ウ)本件商標と引用商標等の類否
本件商標は、上記(ア)のとおり、「アンチオキシーシャンプー」の文字を横書きしてなり、一方、引用商標等は、上記(イ)のとおり、「オキシー」又は「OXY」の文字からなるものであるところ、両者は、構成される文字数に大きな差異があることから、明確に判別できるものである。
次に、本件商標は、上記(ア)のとおり、「アンチオキシーシャンプー」及び「アンチオキシー」の称呼が生じ、一方、引用商標等は、上記(イ)のとおり、「オキシー」の称呼が生じ、両者は、構成音数が大きく異なることから、これらを一連に称呼するときは、明瞭に聴別できるものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標等は、上記(ア)及び(イ)のとおり、いずれも造語であるから、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標等とは、観念において比較できないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標と判断するのが相当であり、類似性の程度は低いといえる。
ウ 出所の混同を生ずるおそれ
上記(1)のとおり、引用商標等は、いずれも本件商標の登録出願の日及び登録査定日において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、上記イのとおり、本件商標と引用商標等とは、別異のものであって、類似性の程度は低いといえるものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
ほかに、本件商標が商品の出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(3)ウのとおり、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は、引用商標等に化体した信用、名声及び顧客吸引力を毀損させるものとはいえず、その他不正の目的をもって使用すると推認すべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(3)ウのとおり、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は、申立人の引用商標等を誹謗しているとか、競業秩序を乱すものとはいえず、社会一般の道徳に反するともいえない。
また、本件商標は、「アンチオキシーシャンプー」の文字を横書きしてなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、これを申立てに係る商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、また、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでものでもない。
さらに、本件商標が引用商標等の信用力及び顧客吸引力にフリーライドするものとはいえず、また、ほかに、本件商標が出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-07-31 
出願番号 商願2018-2328(T2018-2328) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W03)
T 1 651・ 13- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 222- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
小田 昌子
登録日 2018-10-12 
登録番号 商標登録第6088737号(T6088737) 
権利者 株式会社コスメステーション
商標の称呼 アンチオキシーシャンプー、アンチオキシシャンプー、アンチオキシー、アンチオキシ 
代理人 竹内 耕三 

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