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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1353361 
異議申立番号 異議2019-900010 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-15 
確定日 2019-06-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6090040号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6090040号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6090040号商標(以下「本件商標」という。)は,「V-ISA-Method」の文字を標準文字で表してなり,平成29年5月28日に登録出願,第9類「光センサーの機能を利用して製品外観の欠陥の可能性のある箇所を検出する視覚検査装置(外観検査装置)」を指定商品として,同30年8月29日に登録査定,同年10月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第3200011号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月29日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同8年9月30日に設定登録されたものである。
2 登録第3253066号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ビザ」の文字を横書きしてなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月29日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同9年1月31日に設定登録されたものである。
3 登録第3253068号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成4年9月30日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同9年1月31日に設定登録されたものである。
4 登録第3253069号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し,平成4年9月30日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,特例商標として,同9年1月31日に設定登録されたものである。
5 登録第4774456号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,平成15年8月1日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同16年5月28日に設定登録されたものである。
6 登録第4993862号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,平成17年3月9日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同18年10月6日に設定登録されたものである。
(引用商標1ないし引用商標6をあわせていうときは,以下,単に「引用商標」という。)

第3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
1 引用商標の著名性について
申立人は,クレジットカード会社として1958年,米国のバンク・オブ・アメリカがBANK AMERICARDを設立したことに端を発し,その後,1976年に査証になぞらえて,国際的な意味を持たせた現在の名称に変更し,世界及び日本において活発な企業活動を行っている。
引用商標にかかるクレジットカード等は,世界レベルで加盟店が非常に輻広く,日本でも主要クレジット会社としてのブランドイメージが確立されている。申立人は,日本法人を設立し,長年にわたり,日本のカード発行会社,加盟店,消費者等に多彩なサービスを提供している(甲8?甲14)。
したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時において,申立人に係る役務,商品を表示するものとして,既に我国において著名であった。
2 本件商標と引用商標との類否
本件商標は,「V-ISA-Method」の文字からなり,かかる文字に相応して「ヴィーアイエスエイメソッド」,「ヴィーザメソッド」,の称呼が生じるが,本件商標は比較的長い文字列からなり,「Method」が「方法,方式」を意味する英語の既成語であることから,指定商品との関係では,「V-ISA」の部分が商標の要部として把握され,「ビザ」,「ヴイザ」の称呼が生じる。
一方,引用商標は,「VISA」ないし「ビザ」の文字からなり,その文字に相応して,同じく「ヴィーザ」,「ビザ」,「ヴィザ」の称呼が生じる。
したがって,本件商標と引用商標は,本件商標の要部である「V-ISA」にかかる称呼が共通することから,本件商標は引用商標に称呼上類似する。
また,外観において,本件商標は,「V」とそれに続く「ISA」との間に「-」(ハイフン)を配してなるが,ハイフンはその前の文字・語とその後に続く文字・語とを結合させる働きを有する記号として用いられており,ハイフンで結合される文字「V」と「ISA」は引用商標と同一の文字からなるので,本件商標と引用商標は外観においても類似する。
また,観念について比較すると,本件商標の構成中「V-ISA」は,申立人に係る役務・商品を示す商標として著名に至っている商標「VISA」と同じ文字からなるものであることから,本件商標と引用商標は申立人の使用に係る商品・役務を示す商標を容易に観念することができ,両商標は,観念においても類似する。
以上のことから,本件商標と引用商標は外観・称呼・観念のいずれにおいても類似する。
3 商標法第4条第1項第15号について
申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者・需要者をして,その商品が申立人の提供にかかわるものであるかのごとく,あるいは,申立人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され,出所混同を生ぜしめるおそれがある。
「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」等のクレジットカード決済にかかる役務は,クレジットカード利用者である需要者の範囲に相応して実に多くの商品・役務と密接に関連しているといえる。すなわち,電子商取引が非常に発達した今日において,さまざまな層の需要者は,例えば,外観検査装置を購入する際,支払の多くをクレジットカード等の電子決済手続によって行う場合が多く,その際,日本はもとより国際的にも非常に高い評価を得ているクレジットカードの国際ブランドともなっている申立人の使用にかかる引用商標を冠したクレジットカードを使用することが考えられる。また,電子決済手続において,申立人の使用にかかる引用商標がパソコン等の電子決済手続画面において表示されることが多いことから,引用商標は,電子商取引において対象となるあらゆる商品・役務との間で,関連性を有する。
以上より,本件商標がその指定商品「光センサーの機能を利用して製品外観の欠陥の可能性のある箇所を検出する視覚検査装置(外観検査装置)」に使用された場合,取引者・需要者をして申立人の著名商標「VISA」と出所混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人使用商標の周知著名性及び独創性の程度について
申立人の「VISA」の文字よりなる商標(特に,引用商標1(別掲1)に代表される態様のややデザイン化された「VISA」の文字からなる商標。以下「申立人使用商標」という。)が,申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に変わってする支払代金の精算,旅行者用小切手の発行及び買取り」等について使用され,本件商標の登録出願日(平成29年5月28日)には既に,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたことは,顕著な事実といえる。
しかしながら,申立人使用商標は,「VISA」の文字が「査証」を意味する既成の語であるから,独創性は高いものではない。
(2)本件商標と申立人使用商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり,「V」の文字と「ISA」の文字と「Method」の文字とをそれぞれハイフン記号を介して「V-ISA-Method」と標準文字で表してなるところ,その構成文字及び記号は,同じ書体,同じ大きさで等間隔にまとまりよく一体に表されているものであって,その構成文字及び記号全体から生じる「ブイイサメソッド」又は「ブイアイエスエイメソッド」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
また,その構成中の「Method」の文字が「方法,方式,手法」の意味を有する語であるとしても,上記のとおりのまとまりよい構成からなる本件商標においては,商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難いところであるから,その構成全体を一体不可分のものとして認識し,把握されるとみるのが自然である。
そして,本件商標は,当該文字及び記号が,辞書等に掲載されていないものであるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応した,「ブイイサメソッド」又は「ブイアイエスエイメソッド」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 申立人使用商標について
申立人使用商標は,ややデザイン化された「VISA」の文字から,なるものであり,当該文字に相応して「ビザ」の称呼を生じ,「ビザ,査証」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人使用商標との類否について
本件商標と,申立人使用商標を対比すると,外観においては,それぞれ上記ア及びイのとおりの構成であるから,同じつづり字を含むとしても,ハイフン記号の有無,「Method」の有無という明らかな相違等により,本件商標と申立人使用商標とは,外観上,判然と区別し得るものである。
また,称呼においては,本件商標から生じる「ブイイサメソッド」又は「ブイアイエスエイメソッド」の称呼と,申立人使用商標から生じる「ビザ」の称呼とは,その音構成及び音数において明白な差異を有するものであるから,両者は,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
そして,観念については,本件商標からは特定の観念を生じないものであるのに対し,申立人使用商標は,「ビザ,査証」の観念を生じるから,両商標は,観念において相紛れるおそれはない。
以上からすれば,本件商標と申立人使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであって,類似性の程度は高いものではない。
(3)本件商標の指定商品と申立人使用商標が使用される役務との関連性並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品である第9類「光センサーの機能を利用して製品外観の欠陥の可能性のある箇所を検出する視覚検査装置(外観検査装置)」は,画像センサなどの機械で製品の外観を検査する装置であって,該商品の需要者は,電子部品,半導体,自動車など各種製品の製造メーカーといえる。
申立人使用商標が使用される役務の典型である「クレジットカ?ド利用者に代わってする支払代金の清算」は,消費者信用をもとにクレジットカード会社が提供する役務であって,その提供者はクレジットカ?ド会社であること,提供を受けるためには入会のための審査を通過する等一定の制限があり,需要者もある程度限定されること,などから本件商標の指定商品とは自ずと性質、性格が異なるものである。
そうすると,本件商標の指定商品と申立人使用商標が使用される役務とは,産業分野を異にするものであるばかりでなく,それぞれの取扱業者,流通・取引系統,用途,目的等が著しく相違し,需要者も相違するものといえるから,今日のクレジットカード等電子決済の普及度等を考慮したとしても,両者の関連性の程度は低いといわざるを得ない。
(4)出所の混同を生ずるおそれについて
上記(1)のとおり,申立人使用商標が,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において取引者,需要者の間に広く認識されているとしても,その取引者,需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すれば,本件商標は,構成中に「V-ISA」の文字を有するとしても,これに接する取引者,需要者をして申立人使用商標を連想又は想起することがないものと判断するのが相当である。
してみれば,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして申立人使用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれがないものといわなければならない。
2 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから,その登録は,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標1


別掲2 引用商標3(色彩については,原本参照。)


別掲3 引用商標4


別掲4 引用商標5


別掲5 引用商標6(色彩については,原本参照。)


異議決定日 2019-06-18 
出願番号 商願2017-71661(T2017-71661) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 大森 友子
平澤 芳行
登録日 2018-10-19 
登録番号 商標登録第6090040号(T6090040) 
権利者 マシンビジョンライティング株式会社
商標の称呼 ブイイサメソッド、ブイアイサメソッド、ブイアイエスエイメソッド、ブイイサ、ブイアイサ、ブイアイエスエイ、メソッド、イサメソッド、アイサメソッド、アイエスエイメソッド、イサ、アイサ、アイエスエイ 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 森本 久実 
代理人 石田 昌彦 

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