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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服202012437 | 審決 | 商標 |
不服20159838 | 審決 | 商標 |
不服201419393 | 審決 | 商標 |
不服201425142 | 審決 | 商標 |
不服201414373 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W17 審判 全部申立て 登録を維持 W17 審判 全部申立て 登録を維持 W17 審判 全部申立て 登録を維持 W17 |
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管理番号 | 1351650 |
異議申立番号 | 異議2018-900011 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-01-11 |
確定日 | 2019-05-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5990609号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5990609号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5990609号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ワンタッチニップル」の片仮名を標準文字で表してなり、平成29年3月28日に登録出願、第17類「農業用灌水チューブ用管継ぎ手(金属製のものを除く。),管継ぎ手(金属製のものを除く。)」を指定商品として、同年9月28日に登録査定、同年10月20日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第1号、同項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項第1号 本件商標は、「一つの操作で装着できる管継手」を意味する本願指定商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章に該当することは明らかである。市場においても、KVK、東栄管機株式会社、株式会社水生活製作所によって、「ワンタッチニップル」が商品「管継手」の普通名称として使用されている。 よって、本件商標は、商品の出所表示機能がなく、独占にも適さないので、商標法第3条第1項第1号に該当する。 (2)商標法第3条第1項第3号 本件商標は、「一つの操作で装着できる管継手」を意味し、商品「管継手」の特徴を表していることは明らかである。市場においても、KVK、東栄管機株式会社、株式会社水生活製作所によって、「ワンタッチニップル」が商品「管継手」の特徴としても使用されている。 よって、本件商標には、商品の出所表示機能がなく、独占にも適さないので、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)商標法第3条第1項第6号 本件商標は、「一つの操作で装着できる管継手」を意味し、商品「管継手」の特徴をも表していることは明らかである。市場においても、KVK、東栄管機株式会社、株式会社水生活製作所によって、「ワンタッチニップル」が商品「管継手」の特徴としても使用されている。 よって、本件商標は、商品の出所識別機能がなく、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第16号 本件商標には、「一つの操作で装着できる管継手」の意味があるので、本件商標の指定商品中、「一つの操作で装着できない管継手」に使用された場合には、商品の品質の誤認を生ずることは明らかである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し登録されるべきでない。 (5)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第16号に該当する商標であるから、同法第43条の2の規定に基づきその登録は取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)申立人の提出する証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 甲第1号証及び甲第2号証は、広辞苑第6版(岩波書店)及びコンサイスカタカナ語辞典第3版(三省堂)の抜粋であり、「ワンタッチ」の文字は、「一回触れること。一つの操作。また、機器などの操作が極度に簡単であること。」の意味を、「ニップル」の文字は、「継ぎ管。両端にネジを切ったごく短い鋼管。バルブの接合などに用いる。」の意味をそれぞれ有する語である。 イ 甲第3号証は、ウィキペディアの「ニップル(機械)」の記事であり、そこには、「管継手として使用するニップル」として、「ホースを接続するためのホース継手もニップルと呼ばれることがある」旨の記載がある。 ウ 甲第4号証はKVKの商品情報のウェブサイト及び株式会社MonotaROの通販サイトの写しであり、そこには「水回り補修パーツ」として「ワンタッチニップル」の記載があるが、KVKのウェブサイトの掲載時期は明らかでなく、また、通販サイトの掲載時期は明らかでないが、紙出力は本件登録査定後の2018年2月6日である。 エ 甲第5号証は、東栄管機株式会社のウェブサイトの写しであり、その2頁めの「製品リスト:農業関連」の項に「ワンタッチニップル」、続く3頁めの「ワンタッチニップル」とされる拡大写真画像の下には、「塩ビ管から灌水チューブへの変換継手」の記載がある。同ウェブサイトの紙出力は本件登録査定後の2018年2月6日であるが、1頁めに記載された新製品情報の履歴によれば、「ワンタッチニップル」に関する情報は、2016年4月1日又は同年7月11日に更新されたものと認められる。 オ 甲第6号証は、株式会社水生活製作所のウェブサイトの写しであり、商品情報として「ワンタッチニップル13」の記載があるが、当該ウェブアドレスと「(最終確認2017/12/22 09:08)」の記載からは同ウェブサイトの掲載時期は確認できない。 カ 甲第7号証は、Rakutenのウェブサイトの写しであり、「ワンタッチニップル(ブラス)|ガーデニングの水栓用。お庭の蛇口用」の記載があるが、当該ウェブアドレスと「(最終確認2017/12/22 09:12)」の記載からは同ウェブサイトの掲載時期は確認できない。 キ 甲第8号証ないし同第10号証は、takagi(タカギ)の取り扱う商品に関するウェブサイトの写しであり、そこには、たとえば「ワンタッチでホースをつなぐ」の表示の下「ホースジョイントニップル」の記載(甲8)、「ネジ付蛇口につなぐ」の表示の下「ネジ付蛇口ニップルセット」「ホースの取りはずしがワンタッチに」の記載(甲9)、「散水栓につなぐ」の表示の下「地下散水栓ニップルセット」「ホースの取りはずしがワンタッチに」等の記載(甲10)があるが、同ウェブサイトの情報は、本件登録査定後の2018年2月8日に紙出力されたインターネット上のものである。 (2)本件商標について 本件商標は、「ワンタッチニップル」の片仮名を標準文字で表してなるものである。 そして、その構成中前半の「ワンタッチ」の文字部分は、「1回触れること。一つの操作。また、機器などの操作が極度に簡単であること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)等の、また「ニップル」の文字部分は、本件商標の指定商品との関係においては「両端に雄ねじを切った短いパイプで、バルブ接合用の管継ぎ手」(小学館 ランダムハウス英和大辞典第二版)等の意味を、それぞれ有する語である。 (3)商標法第3条第1項第1号該当性について 商標法第3条第1項第1号は、「その商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」については商標登録を受けることができない旨定めているところ、その「普通名称」とは、取引界において、その名称が特定の業務を営む者から流出した商品を指称するのではなく、その商品の一般的な名称であると意識されるに至っているものをいうと解される。 そこで、「ワンタッチニップル」の文字についてみるに、該文字は、上記(1)エ のとおり、本件商標の登録査定の日の前と認め得る時期に「変換継手」について該語が使用されている例があるとしても、申立人が主張する「一つの操作で装着できる管継手」のような、特定の商品を指称するものとして一般に広く使用されているといった事実は認められないものであり、また、上記(1)ウ、オ及びカに挙げたその他の「ワンタッチニップル」の文字の使用例もその使用時期が本件商標の登録査定の日前のものであると認めることができないものであるから、これらの使用例をもって、直ちに該文字が「管継手」の一種を表す普通名称であると認識されていると認めることはできない。 してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当しない。 (4)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 上記(3)のとおり、「ワンタッチニップル」の文字については、「一つの操作で装着できる管継手」を指称する普通名称とは認められず、また、職権において調査するも、「ワンタッチニップル」が、「一つの操作で装着できる管継手」というような特定の品質等を表示するものとして、業界において、取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品「農業用灌水チューブ用管継ぎ手(金属製のものを除く。),管継ぎ手(金属製のものを除く。)」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「ワンタッチ」の語に「管継ぎ手」を意味する「ニップル」の語を結合した商標と認識し、「一つの操作の管継ぎ手」程の意味合いを暗示させる場合があるとしても、一つの操作で管継手をどのように働かせるのか、その操作の内容が必ずしも明らかでなく、具体的な商品の品質を表示するものと認識するとはいい難いものである。 そうすると、本件商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえない。 また、本件商標は、上記のとおり、具体的な商品の品質等を表示するものではないから、その指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 (5)商標法第3条第1項第6号該当性について 本件商標は、「ワンタッチニップル」の文字からなり、上記(4)のとおり、全体として「一つの操作の管継ぎ手」ほどの意味合いを暗示させる場合があるとしても、商品の具体的な品質、効能を表したものとして認識されるとはいえず、その他商品の特性を直接的に表示したものとして認識されることはないというべきものである。 そうすると、本件商標は、その構成自体が商標としての体をなしていないなどということはできず、また、商標法第3条第1項第1号ないし第5号のいずれにも該当せず、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないということもできないものである。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であること認識することができない商標とはいえない。 したがって、本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当しない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-05-17 |
出願番号 | 商願2017-41771(T2017-41771) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W17)
T 1 651・ 11- Y (W17) T 1 651・ 272- Y (W17) T 1 651・ 16- Y (W17) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 冨澤 美加、山田 啓之 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
小出 浩子 板谷 玲子 |
登録日 | 2017-10-20 |
登録番号 | 商標登録第5990609号(T5990609) |
権利者 | 住化農業資材株式会社 |
商標の称呼 | ワンタッチニップル、ニップル |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 中田 和博 |