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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W163541
審判 査定不服 外観類似 登録しない W163541
審判 査定不服 観念類似 登録しない W163541
管理番号 1350777 
審判番号 不服2018-4676 
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-06 
確定日 2019-03-25 
事件の表示 商願2017-4737拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第16類「出版物,印刷物,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,文房具,紙製文房具,筆記用具,事務用品(家具を除く。),写真,写真立て」,第35類「世界的な持続可能事業の課題解決に関する指導及び助言,市場調査,市場分析,市場に関する調査の実施,事業経営に関するコンサルティング,事業の管理,事業に関する助言,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,新商品の開発・販売・販売促進に関する経営の助言・指導,新商品の開発の企画に関する助言及び指導,職業のあっせん,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,求人情報の提供」及び第41類「セミナーの企画・運営又は開催,セミナー・会議の企画・運営又は開催に関するコンサルティング,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行又はスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,電子出版物の制作,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書籍の制作 」を指定商品及び指定役務として,平成29年1月20日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5621630号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成25年4月17日登録出願,第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,哺乳用具,魔法哺乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用美容マッサージ器,医療用機械器具,医療用手袋,しびん,病人用差込み便器」及び第35類「医業に関する経営の診断又は経営に関する助言,医療経営に関するコンサルティング及びそれに関する情報の提供,医療に関する市場調査,医薬品・医療機器等の商品の在庫管理,医療機関の事業の管理,商取引の受注管理,商品の受注・発注事務の代行,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同年10月11日に設定登録されたものである。
(2)登録第5949878号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成28年10月6日登録出願,第41類「テレビジョン番組及び映画の制作及び配給,ファッションショーの企画・運営(娯楽のためのもの),娯楽イベントの運営,文化のためのイベントの企画・運営」を指定役務として,同29年5月26日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1及び2をまとめて「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は,別掲1のとおり,顕著に表した彩色を施した図形部分と,その直下に大きく「SHIP」の欧文字を配し,最下段には,「SHIP」の欧文字に比してかなり小さく「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして,顕著に表された図形部分は,中央の隙間を垂直な線と見立てて,白い複数の水平線により区切られた多色の図形を左右に配してなり,輪郭はないものの,全体として,船の帆のような形状を有するものである。
また,本願商標は,その構成中の「SHIP」の欧文字が,「船,艦」の意味を有する良く知られた英語であり(参照:ランダムハウス英和大辞典 第2版),該語の表音「シップ」が,「船」の意味を表す外来語として一般に親しまれている語ということができる(参照:株式会社岩波書店 広辞苑第六版,コンサイスカタカナ語辞典 第4版 三省堂)。
他方,本願商標の構成中,最下段に小さく表された「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字部分は,請求人提出の添付資料1及び2によれば,「SDGs」が国連が採択した「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」を,また,続く「Holistic Innovation Platform」が, 「Holistic」,「Innovation」及び「Platform」の各語を表し,それぞれ「全体的」,「革新」及び「壇」等の意味を有する既成の英語であるとしても(参照:ランダムハウス英和大辞典 第2版),これらの語を結合した全体が我が国において親しまれているということもできず,これらの文字に接する取引者,需要者が直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難い。
そうすると,本願商標の構成中「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字部分は,特定の観念を生ずることのない造語であるとみるのが相当である。
イ 本願商標の構成中「SHIP」の欧文字は,すべて大文字のつづりからなるところ,その下に表された「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字で構成される4つの各語は,それらの語頭がすべて大文字で表されていることから,見る者に,最下段の欧文字部分の頭字語として表されたものという印象を与える場合もあるということができる。
しかしながら,本願商標は,上記アのとおり,「SHIP」の欧文字が,我が国においては「船,艦」を表す広く知られた英語で,外来語としても馴染みがあること及び該文字が図形と一体となって看者に帆船のような印象を与えるのに対し,最下段の欧文字部分は,直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難く,「SHIP」の文字列が最下段の欧文字からなる4つの単語の略語として広く知られていると見るべき事情もない。
そうすると,本願商標は,その構成中の「SHIP」の欧文字が,最下段の頭字語として認識されるというより,むしろ「船,艦」の意味を表す,馴染みのある英語「SHIP」を表したものと認識されるとみるのが自然である。
ウ 以上を踏まえてみると,本願商標は,図形と文字から構成される結合商標であるが,その構成中圧倒的に大きく表された図形部分と「SHIP」の欧文字部分(以下これらを「図形SHIP部分」という場合がある。)は,視覚的に看者の注意を惹くばかりでなく,船の帆のような図形部分の特徴と「SHIP」の語義とが相まって,全体として,図形部分を帆として「SHIP」の欧文字部分を船体に見立てた,あたかも帆船のように印象形成されるのに対して,最下段の欧文字部分は特定の観念を生ずることもなく,上段の図形SHIP部分との間に関連性を有するものではないことからすると,本願商標は,図形SHIP部分と最下段の欧文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。
してみれば,本願商標は,図形SHIP部分と最下段の欧文字部分とが,それぞれ独立して出所識別機能を果たす部分として認識されるものといえるものであり,特に構成中ひときわ大きく顕著に表されてなる図形SHIP部分が見る者の注意を引くものであるから,図形SHIP部分が,取引者,需要者に対し,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
エ したがって,本願商標は,その構成中図形SHIP部分のみを要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標としての類否を判断することも許されるものであるから,当該部分に相応して「シップ」の称呼及び「船,艦」の観念も生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は,上記2(1)のとおりゴシック体で大きく「SHIP」の欧文字を横書きしてなり,その下段に上段の文字に比して極めて小さく「“生命を守る人の環境づくり”を、これからも。」の文字と記号を横書きしてなるところ,その構成中「SHIP」の欧文字部分は,大きく顕著に表されて外観上看者の注意を引くことに加えて,下段の文字部分と文字種を異にし,上段の文字部分と下段の文字部分との関連性も見いだせないことからすれば,上段と下段の文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,上段に大きく表された「SHIP」の欧文字部分が視覚上強い印象を与えるものであるといえる。
そうすると,本願商標は,その構成の「SHIP」の欧文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して商標としての類否を判断することが許されるものであり,当該部分に相応した「シップ」の称呼及び「船,艦」の観念が生じる。
イ 引用商標2は,上記2(2)のとおりゴシック体で「SHIP」の欧文字を横書きしてなるから,その構成文字に相応して,「シップ」の称呼及び「船,艦」の観念が生じる。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標の要部であるSHIP図形部分と引用商標(ただし,引用商標1については,その要部である「SHIP」の欧文字部分)とを対比すると,両者は,図形の有無において差異を有するが,「SHIP」のつづりを共通にし,「シップ」の称呼及び「船,艦」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標は,その要部における引用商標との外観,称呼及び観念の共通性を総合的に勘案すれば,両商標は,同一又は類似の役務に使用されるときは,相紛らわしい類似する商標というべきである。
(4)本願商標と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務中,第35類「世界的な持続可能事業の課題解決に関する指導及び助言,市場調査,市場分析,市場に関する調査の実施,事業経営に関するコンサルティング,事業の管理,事業に関する助言,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,新商品の開発・販売・販売促進に関する経営の助言・指導,新商品の開発の企画に関する助言及び指導,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行又はスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」は,引用商標1の指定役務中,第35類「医業に関する経営の診断又は経営に関する助言,医療経営に関するコンサルティング及びそれに関する情報の提供,医療に関する市場調査,医薬品・医療機器等の商品の在庫管理,医療機関の事業の管理,商取引の受注管理,商品の受注・発注事務の代行」及び引用商標2の指定役務中,第41類「ファッションショーの企画・運営(娯楽のためのもの),娯楽イベントの運営,文化のためのイベントの企画・運営」と,同一又は類似するものといえる。
(5)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,かつ,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,「SHIP」という文字を船体とし,右側図形及び左側図形を帆とする船を想像させることから,外観上まとまりよく一体的な印象を強く与え,特定の部分が分離,抽出される構成態様でない旨を主張する。
しかし,本願商標の図形部分と「SHIP」の欧文字部分は,船の帆のような図形部分の特徴と「SHIP」の語義とが相まって,全体として,図形部分を帆として「SHIP」の欧文字部分を船体に見立てた,あたかも帆船のように印象形成されるものであることは,請求人の主張どおりであるとしても,図形SHIP部分と「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字部分とは視覚的又は観念的に関連性があるとはいいがたく,図形SHIP部分を要部として抽出し,これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されることは,上記(1)ウのとおりである。
イ 請求人は,引用商標の構成中,「SHIP」という文字には,「船;飛行船;宇宙船;を送る,輸送する,を発送する,出荷する;…を船積みする,船で運ぶ[送る],…を出荷する;追い払う;を入手[購入]可能にする,発売する;船に乗る,乗船する;出航する;水夫になる,乗り組む;発送[出荷]される,発売される」という多数の意味があり,引用商標からは特定の観念は生じない旨を主張する。
しかし,上記(1)アのとおり,「SHIP」の欧文字は,「船,艦」の意味を有する英語であり,該語の表音「シップ」が「船」の意味を表す外来語としても一般に親しまれていることからすれば,引用商標から,「船,艦」の観念が生じるというべきである。
ウ 請求人は,本願商標中「SHIP」の文字は,その下の「SDGs Holistic Innovation Platform」という文字の頭字語であり,本願商標の文字部分から「持続可能な開発目標(SDGs)の達成をイノベーションの機会として捉え,企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決を目指す,オープンイノベーション・プラットフォーム」が想起されるのに対し,引用商標からは特定の観念は生じない旨を主張する。
しかし,たとえ本願商標構成中の「SDGs Holistic Innovation Platform」の欧文字が,「持続可能な開発目標(SDGs)の達成をイノベーションの機会として捉え,企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決を目指す,オープンイノベーション・プラットフォーム」の意味をもって使用される場合があるとしても,上記(1)ア及びウのとおり,当該欧文字は,特定の意味合いを直ちに想起させるものではないのに対し,「船,艦」の意味を有する英語「SHIP」は良く知られた英単語であり,我が国で親しまれていることに加え,「SHIP」の欧文字部分に隣接する船の帆のような図形部分の特徴と「SHIP」の語義とが相まって,「帆船」が印象形成されることからすれば,「SHIP」の欧文字は,下段の頭字語として認識するというより,良く知られた英単語「SHIP」を想起させるとみるのが自然である。
また,引用商標(ただし,引用商標1については,その要部である「SHIP」の欧文字部分)から,それぞれ「船,艦」の観念が生じることは上記(2)のとおりである。
エ 以上のとおり,請求人の主張はいずれも採用,採択できない。
(7)まとめ
したがって,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定役務も,引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標(色彩は原本参照。)




別掲2 引用商標1




別掲3 引用商標2




審理終結日 2019-01-23 
結審通知日 2019-01-24 
審決日 2019-02-12 
出願番号 商願2017-4737(T2017-4737) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W163541)
T 1 8・ 261- Z (W163541)
T 1 8・ 262- Z (W163541)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小出 浩子
瀬戸 俊晶
商標の称呼 シップエスデイジイエスホリスティックイノベーションプラットフォーム、シップ、エスデイジイエスホリスティックイノベーションプラットフォーム、エスデイジイエス、エスデイジイ、ホリスティックイノベーションプラットフォーム 
代理人 磯田 志郎 

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