• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W0105
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0105
管理番号 1348818 
審判番号 不服2018-9865 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-19 
確定日 2019-01-16 
事件の表示 商願2016-103738拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「植物性フェカリス菌」の文字を標準文字で表してなり,第1類,第3類,第5類,第29類,第30類,第32類及び第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年9月26日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年8月24日受付及び当審における同30年7月19日受付の手続補正書により,最終的に,第1類「エンテロコッカス・フェカリスの食品又は飲料製造用菌株」及び第5類「エンテロコッカス・フェカリスを主原料とした粒状・錠剤状・顆粒状・粉末状・液状の加工食品,エンテロコッカス・フェカリスを含有したサプリメント,エンテロコッカス・フェカリスを含有した薬剤」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『植物性フェカリス菌』の文字を表してなるところ,その構成中の『植物性』の文字は『植物から得られる,植物由来の』の意味を有する語であり,また,その構成中の『フェカリス菌』の文字は『乳酸菌の一種』を表す語として指定商品を取り扱う分野において使用されている。そうすると,本願商標は,全体として『植物由来の乳酸菌の一種であるフェカリス菌』程の意味を認識させるというのが自然であるから,これを本願の指定商品に使用したときは,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認められる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記意味に照応する商品,例えば『植物性のフェカリス菌を含有した商品』以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨を認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は,第1のとおり「植物性フェカリス菌」の文字からなるところ,その構成中「植物性」の文字は「植物から得られるものであること。」の意味を有する語(「大辞林 第3版」 株式会社 三省堂)として広く知られているものであり,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,「植物性の乳酸菌」の文字が,原審において示した例に加え,以下(1)のインターネット情報のとおり,原材料として配合していることをうたった商品が多数販売されている事実がある。
また,原審において示した例に加え,「フェカリス菌」の文字は,「乳酸菌の一種」であり,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,商品の原材料を表すものとして,以下(2)のインターネット情報及び新聞記事のとおり,掲載されている事実がある。
(1)「植物性の乳酸菌を配合した商品」であることを謳った商品が販売されている例
ア カゴメ健康直送便のウェブサイトにおいて,「植物性乳酸菌ラブレ カプセル」という商品の紹介ページに,「日本人と相性が良い,植物性乳酸菌『ラブレ』。腸で生きぬく力が強いラブレ菌を,いつでもどこでも。1粒(1日の目安量)で,手軽にラブレ菌をお摂りいただけるカプセルタイプ。快調な毎日を送りたい方や,変化を実感したい方におすすめします。」との記載がある
(https://shop.kagome.co.jp/lineup_supple/labre-capsule/)
イ Amazonのウェブサイトにおいて,「メディセレクト 植物性乳酸菌K-1 60粒(30日分)」という商品の紹介ページに,「・2粒で200億個の植物性乳酸菌K-1。・植物性乳酸菌K-1に,難消化性デキストリンとフラクトオリゴ糖も配合。」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/mediselect-41080-%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88-%E6%A4%8D%E7%89%A9%E6%80%A7%E4%B9%B3%E9%85%B8%E8%8F%8CK-1-60%E7%B2%92%EF%BC%8830%E6%97%A5%E5%88%86%EF%BC%89/dp/B01NAIZ570)
ウ 薬事日報のウェブサイトにおいて,「植物性乳酸菌を配合のドクターズサプリを発売 ファーストブランド」との見出しの下,「大学や専門研究機関等との協同開発による高機能健康食品(ドクターズサプリ)を製造販売するFirst Brand(ファーストブランド,東京都港区)はこのほど,植物性乳酸菌でアンチエイジングをサポートするサプリメント『ヴェリレア』を新発売した。当面は自社通販で展開し,将来的には販売ルートを拡大していく考え。」との記載がある。
(https://www.yakuji.co.jp/entry166.html)
エ 第一三共ヘルスケア株式会社のウェブサイトにおいて,「パンラクミン プラス」という商品の紹介ページに,「植物性乳酸菌と納豆菌でキレイな腸内環境に」との見出しがあり,「特長」の項に,「その1 緑麦芽由来の植物性乳酸菌『ラクボン』は,過酷な環境でも耐える強い菌で,悪玉菌を減少させます。」との記載がある。
(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/panlacmin_plus/)
オ サンドラッグ サンドラッグ東府中店・サンドラッグe-shop本店のウェブサイトにおいて,「ユウキ製薬 ファイバー&植物性乳酸菌粒 240粒 ※7?11日でのご発送予定。」の見出しの下,「成分/分量」の項に「10粒中 難消化性デキストリン 1250mg,セルロース 1125mg,植物性ナノ型乳酸菌 1000億個。」との記載がある。
(2)本願商標の指定商品との関係において,「フェカリス菌」の文字が「乳酸菌の一種」を表すものであって,商品の原材料の1つとして掲載されている例(下線は合議体による。以下,同じ。)
ア アサヒグループ食品のウェブサイトにおいて,「エビオス整腸薬」という商品の紹介ページに,「商品特長」の見出しの下,「1.3種の乳酸菌(ビフィズス菌,フェカリス菌,アシドフィルス菌)が腸内環境を整えます 。」との記載がある。
(https://www.asahi-fh.com/products/pharma/ebios/ebios02.html)
イ サンドラッググループのウェブサイトにおいて,「新ビオラクミンW 240錠」という商品の紹介ページに,「効能/効果」の見出しの下,「ラクトミン(乳酸菌)65mg,(フェカリス菌)45mg,(アシドフィルス菌)25mg,ビフィズス菌20mg,糖化菌(納豆菌)100mg,ビオヂアスターゼ200020mg,チアミン硝化物(ビタミンB1)10mg,ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)12mg」との記載がある。
(https://cs.sundrug.co.jp/cs/goods/4954391104365/)
ウ 株式会社ニッドのウェブサイトにおいて,「ビオルト整腸薬 360錠」という商品の紹介ページの,「【成分・原材料】」の項に,「<成分>」の見出しの下,「コンクビオゼニン(フェカリス菌)・・・27mg(主に小腸にすみつき,乱れた腸内細菌叢を整えます。)」との記載がある。
(http://pb.nidrug.co.jp/goods/sku/detail?productId=728421)
エ e健康ショップのウェブサイトにおいて,「腸内常在フェカリス菌FK-23(180粒)」という商品の紹介ページに,「商品の説明」の見出しの下,「●本品一日分には乳酸菌(フェカリス菌)4000億個が含まれています」との記載がある。
(http://www.ekenkoshop.jp/category/supplement/nyuusan/goods.html?PROD_CD=4515748001166&PROD_CD_SKU=TH075100279)
オ 1996年8月1日付けの毎日新聞朝刊の11ページにおいて,「売れてます,乳酸菌整腸剤 『O157』禍で,にわかに注目--検査キットの注文も」の見出しの下,「病原性大腸菌O(オー)157被害の全国的広がりで,腸の働きを活性化させ,抵抗力を強める乳酸菌整腸剤への関心が高まっている。薬局・薬店や薬剤メーカーへの問い合わせが急増,メーカーによっては7月だけで通常の月の3倍近い売り上げを記録したところもある。・・・ 薬局・薬店で販売している乳酸菌整腸剤は,新ビオフェルミンS(ビオフェルミン製薬),パンラクミン錠(三共),新ラクトーン(アサヒビール薬品),ヤクルト整腸薬・ヤクルトBL整腸薬(ヤクルト本社),ビオスリーHシリーズ(東亜薬品工業),ラッパ整腸薬BF(大幸薬品)など。各整腸剤ともカゼイ菌,フェカリス菌,ビフィズス菌,アシドフィルス菌,ラクボンなどの乳酸菌を配合。価格は1瓶(1箱)1000?3000円前後。」との記載がある。
カ 2013年5月5日付け日経産業新聞7ページにおいて,「タカラバイオ,健康サプリの乳酸菌を増量。」の見出しの下,「【京都】タカラバイオは,主力の健康サプリメント『フコイダンサプリ50』の乳酸菌を増量し,7日から発売すると発表した。新たに乳酸菌の『フェカリス菌』を配合することでガゴメ昆布に由来する成分『フコイダン』の免疫効果を高めたという。」との記載がある。
そうすると,上記のインターネット情報等によれば,「乳酸菌には植物性のものがあること」及び「フェカリス菌が乳酸菌の一種であること」が認められるものであることからすれば,本願商標の文字からは,「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌」との意味合いを認識するというのが自然であり,本願商標が付された商品が,「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌の食品又は飲料製造用菌株の菌株」又は「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を配合してなる商品」という商品の品質(原材料)を表したものとして理解されるものである。
してみれば,本願商標をその指定商品に使用したときは,これに接する需要者は,自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,その商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標の指定商品中,「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌の食品又は飲料製造用菌株」又は「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を配合してなる商品」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「需要者は,『フェカリス菌』が『動物性の乳酸菌』であることを認識しているから,『植物性フェカリス菌』は相矛盾する語を組み合わせた造語と捉えられ,自他商品の識別標識としての機能を果たしうる。」旨を主張している。
しかしながら,上記1のとおり,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,「乳酸菌には植物性のものがあり,それが配合された商品が存在すること」及び「フェカリス菌は乳酸菌の一種であること」について広く知られているから,本願商標に接する需要者には,本願商標が「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌の菌株」又は「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を配合してなる商品」という商品の品質(原材料)を表したものとして理解するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能が果たしうるものとは,認めることはできない。
仮に,「フェカリス菌」に,植物性のものが存在しないのであれば,上記1のとおり本願商標を「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌の食品又は飲料製造用菌株」又は「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を配合してなる商品」以外の商品に使用することになるから,本願商標は,取引者,需要者にあたかもその商品が植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を用いたものであるかの如く,商品の品質を誤認させるおそれがある。
(2)請求人は,「新ビオフェルミンSのTV・CMを挙げ,該CMが『人にはヒトの乳酸菌』を標語として使用し始めており,その後10年以上経過した現在に至っても当該標語を使用し続けていることが確認される。また,新ビオフェルミンSの乳酸菌には『フェカリス菌』が含まれ,そのことはラベルにも記載されているから,需要者は『フェーカリス菌=ヒト由来の乳酸菌=動物性乳酸菌』と連想し,その連想は,需要者が『フェーカリス菌』についてさらに調べることで,強固な認識へと変化する。」旨を主張している。
しかしながら,「ヒトの乳酸菌」の語が直ちに動物性乳酸菌であるといった証拠の提出はないばかりか,当該需要者が「フェーカリス菌」あるいは「フェカリス菌」がどのような菌であるのかをさらに調べるかどうかについては,請求人独自の主張であって,根拠となる証拠等の提出もない。
他に本願商標の指定商品の需要者が,これらの新ビオフェルミンSなる商品に関する情報から,「フェカリス菌」の文字が「ヒト由来の動物性乳酸菌であって,植物性のものは存在しない」という認識をもつと認められるべき事情もない。
(3)請求人は「指定商品を取り扱う業界において,『植物性フェカリス菌』が商品の品質等を表示するものとして,取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実がない。・・・本願商標をあくまで構成全体でみたとき,指定商品を取り扱う業界において,『植物性フェカリス菌』なる文字が商品の品質等を表示するものとして,取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実は見いだせない。したがって,本願商標は,指定商品について使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。」旨主張している。
しかしながら,商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては,「商標法3条1項3号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が,商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか,現実に使用されている等の事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)76号 平成12年9月4日判決参照)と判示されている。
そして,上記1のとおり,本願商標の構成中の「植物性」及び「フェカリス菌」の各語の有する語意及び本願商標の指定商品を取扱う業界におけるそれらの使用の実情からすれば,本願商標は,「植物性の乳酸菌であるフェカリス菌」のという商品の品質(原材料)を表示するものとして理解されるものというべきであるから,たとえ,「植物性フェカリス菌」の文字が,本願商標の指定商品の品質を表すものとして一般的に使用されていないとしても,それによって直ちに,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないとすることはできない。
(4)請求人は,「原審審査官の認定手法は,植物由来の乳酸菌が広く一般需要者に知られている事実を前提に(注:請求人はこの事実を認めるものではない),本願商標を『植物性』と『フェカリス菌』とに分離したうえで,『フェカリス菌』が『乳酸菌』の一種であることを根拠に,『植物性フェカリス菌』が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと結論づけるものである。しかしながら,本願商標は,あくまでその構成全体をもって自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標全体としては,辞書等に掲載がないところ,上記1のとおり,「植物性」の文字は「植物から得られるものであること。」の意味を有する語として,「フェカリス菌」の文字は「乳酸菌の一種」を表す語として,本願商標の指定商品を取り扱う業界において広く知られているものである。
加えて,本願商標の指定商品は,前記第1のとおり,「エンテロコッカス・フェカリスの菌株」及び「エンテロコッカス・フェカリスを含有した商品」であり,「エンテロッカス・フェカリス」の通称が「フェカリス菌」である(請求書の資料10)ことから,本願商標の構成中の「フェカリス菌」の文字部分は,その指定商品のとの関係では品質(原材料)を表した文字であることは明白である。
してみれば,本願商標に接する需要者は,本願商標が「植物性」及び「フェカリス菌」の語が結合したものであると容易に認識すると判断するのが相当である。
そして,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,上記1のとおり,「植物性の乳酸菌を配合した商品」及び「乳酸菌の一種であるフェカリス菌を原材料とする商品」が多数存在し,「植物性乳酸菌が存在すること」及び「フェカリス菌が乳酸菌の一種であること」が広く知られていることが認められることからすれば,本願商標全体からは,「植物性の乳酸菌の一種であるフェカリス菌の食品又は飲料製造用菌株」又は「植物性の乳酸菌の一種であるフェカリス菌を配合してなる商品」という品質を認識するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであると判断するのが相当である。
(5)請求人は,「植物性馬油」の文字からなる登録商標を含む過去の登録例や審決例を示し,本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品,指定役務との関係や,その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた登録例は,商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点及びその指定商品も異なる点において,本願とは,事案を異にするものというべきであり,また,過去の登録例が存在することをもって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項16号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-11-19 
結審通知日 2018-11-20 
審決日 2018-12-05 
出願番号 商願2016-103738(T2016-103738) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0105)
T 1 8・ 272- Z (W0105)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦辺 淑絵小川 敏 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 須田 亮一
大森 友子
商標の称呼 ショクブツセーフェカリスキン、ショクブツセー、フェカリスキン、フェカリス 
代理人 伴 昌樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ