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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
管理番号 1347761 
審判番号 不服2018-6115 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-07 
確定日 2018-12-13 
事件の表示 商願2016-144574拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「日本橋かに福」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成28年12月26日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した登録第5470584号商標(以下「引用商標」という。)は、「蟹福」の文字を標準文字で表してなり、平成23年5月18日に登録出願、第30類「かにを使用した穀物の加工品,かにを使用したぎょうざ,かにを使用したしゅうまい,かにを使用した肉まんじゅう,かにを使用した小籠包,かにを使用したべんとう,かにを使用した菓子,かにを使用した中華ちまき,かにを使用したおこわ,かにを使用した混ぜごはん」及び第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同24年2月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「日本橋かに福」の文字からなるところ、その構成中の「日本橋」の文字部分は、「東京都中央区の一地区」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)を意味する地名を表したものと認識されるものであり、地名は一般に自己の取扱に係る商品の産地、販売地又は店舗の所在地などの役務の提供地を表すものとして採択使用されているものであるから、それ自体、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るとはいえないものである。
また、本願商標の構成中の「かに福」の文字部分は、一般的な辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解されるものである。
そうすると、本願商標の構成中「日本橋」の文字部分は出所識別標識としての称呼、観念が生じないものであるから、本願商標は、その構成中後半の「かに福」の文字部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として、強く印象付けられる要部であるといえ、当該文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるものであり、当該文字部分が独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって、本願商標は、その構成文字全体から「ニホンバシカニフク」の称呼を生じるほか、その構成中の「かに福」の文字部分から「カニフク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「蟹福」の文字からなるところ、当該文字は、一般的な辞書に掲載がなく、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解されるものである。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「カニフク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、外観においては、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、両者は、その構成文字に差異を有するものであるから、外観上、相違するものである。
次に、称呼においては、本願商標から生じる称呼は「ニホンバシカニフク」及び「カニフク」であり、引用商標から生じる称呼は「カニフク」であるから、両者は、「カニフク」の称呼を共通にするものである。
また、観念においては、両者は特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
そして、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したりすることが一般的に行われていること、また、本願商標及び引用商標が、いずれも標準文字で表され、外観に格別の特徴を有しないものであることを併せて考慮すれば、本願商標の構成中の要部である「かに福」の文字部分と引用商標の文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいい難く、さらに、両者がいずれも特定の観念を有しないものであることからすれば、両者の類否判断において、称呼が重要な役割を果たすものというのが相当である。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観において差異を有するとしても、両者の類否判断において重要な役割を果たす称呼を共通にするものであり、その外観における差異が称呼の共通性を凌駕するものとはいい難く、両者の外観、観念、称呼によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務と引用商標の指定役務中「飲食物の提供」とは、同一の役務である。
オ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定役務は、引用商標の指定役務と同一のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「本件商標は、取引者・需要者から『日本橋』と『かに福』とを結合したものとして認識され、結合商標に当たると解されるところ、前半の『日本橋』の部分は、東京又は大阪の地名を表記したものと容易に理解、把握し得るものであるものの、指定役務『飲食物の提供』において『日本橋』との語を店名の前半に採用する店が複数存在し、それらが『日本橋』の文字も含めて全体として一つの自他役務識別標識として機能している事実がある上、後半部分の『かに福』が何らかの周知・著名商標を認識させるものではないことから、『かに福』の文字部分の識別力だけが強く支配的であるとまではいえないので、本件商標がその指定役務『飲食物の提供』に使用された場合、その構成に対応して『ニホンバシカニフク』の称呼が生じ、『日本橋』の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないというのは相当でないといえる。」旨主張し、甲第1号証ないし甲第24号証を提出している。
しかしながら、商標の類否判断に当たって考慮すべき取引の実情とは、その指定役務全般についての一般的・恒常的なものであるところ、請求人の提出した甲第2号証ないし甲第22号証は、店名に「日本橋」の文字を含む飲食店のウェブサイトの写しであり、当該証拠からは、「日本橋」の文字を含む飲食店の店名がある程度の数存在することがうかがえるとしても、これらの店名が、常に「日本橋」の文字を含め全体として自他役務の識別標識として機能しているとはいい難いものである。
そして、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中「日本橋」の文字が、役務の提供の場所を表示するものとして需要者に認識されるものであるから、該文字部分からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものであり、「かに福」の文字部分を要部として分離し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-10-12 
結審通知日 2018-10-16 
審決日 2018-10-31 
出願番号 商願2016-144574(T2016-144574) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石塚 文子野口 沙妃 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 木住野 勝也
鈴木 雅也
商標の称呼 ニホンバシカニフク、ニッポンバシカニフク、カニフク 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

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