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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013890044 審決 商標
不服20187002 審決 商標
不服201615639 審決 商標
不服20179616 審決 商標
無効2018890072 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
管理番号 1346826 
審判番号 不服2018-580 
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-16 
確定日 2018-11-14 
事件の表示 商願2017- 34382拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成29年3月14日に登録出願されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4325846号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成10年9月8日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同11年10月15日に設定登録され、その後、同21年5月26日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否については、「同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号)、また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、「商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される」旨判示されている(最高裁判決:昭和37年(オ)第953号、平成3年(行ツ)第103号、平成19年(行ヒ)第223号)。
そこで、上記の観点から本願商標と引用商標の類否について、以下検討する。
(2)本願商標について
本願商標は、上記第1のとおり「マントクラーメン」の文字を太字で横書きした構成からなるところ、構成中の「ラーメン」の文字は、「中華そば」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を意味する語として広く親しまれた語であり、本願の指定役務との関係においては、提供される料理の名称と理解されるものであるから、本願商標に接する取引者、需要者をして、提供する料理を表したもの、すなわち役務の質を表示したものと認識させるにとどまり、当該文字部分は、役務の出所識別標識としての機能を有しないか、又は極めて弱いものといえる。
そうすると、本願商標は、その構成中「マントク」の文字部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く印象付けられるものということができる。
してみれば、本願商標は、その構成中「マントク」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるものであり、当該文字部分が独立して、役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって、本願商標は、その構成文字全体から「マントクラーメン」の称呼を生じるほか、その構成中「マントク」の文字部分から「マントク」の称呼を生じ、かつ「マントク」の称呼を生じる唯一の既成語である「万徳(多くの徳行)」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)の観念を生じるものというべきである。
(3)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり「万」及び「徳」の漢字を、その漢字2文字分ほどの間隔を空けて配し、それぞれの漢字の上段に、「まん」及び「とく」の文字を、振り仮名のように配した構成からなるところ、その構成文字に相応して、「マントク」の称呼及び「万徳(多くの徳行)」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標との類否について検討すると、両商標は、外観においては、上記第1及び第2のとおりの構成からなるところ、その全体の構成において差異を有するものである。
次に、称呼においては、両商標からは、共に「マントク」の称呼が生じるものであるから、称呼上、同一である。
そして、観念においては、両商標からは、共に「万徳(多くの徳行)」の観念が生じるものであるから、観念上、同一である。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、称呼及び観念を同一にするものであるから、外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務「ラーメンを主とする飲食物の提供」は、引用商標の指定役務「飲食物の提供」に含まれるものであるから、両者は、同一又は類似する役務である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標に係る指定役務と同一又は類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、(ア)本願商標は、同書、同体、同間隔でまとまりよく、比較的短い音数で構成され、「マントクラーメン」の一体不可分の称呼のみが生じ、(イ)「廉価で満腹になって徳をするラーメン店」の観念を生じさせる造語として機能している、(ウ)ラーメン業界にあっては、一部が共通する文言を有する複数の商標が存在する場合に、需要者は、「ラーメン」の文言の有無、又はその配置位置によって各商標を明確に識別している(甲12?甲14)から、各商標中「ラーメン」の文字部分には大きな識別力が備わっており、「ラーメン」の文言とそれ以外の文言とは、分離することができない、(エ)「ラーメンWalker福岡2010」(甲1及び甲15)に本願商標が掲載されたこと、及び検索エンジン「Google」における「マントクラーメン」の検索結果の1/2頁(甲16)において、「マントクラーメン」のみがヒットしていることから、本願商標は、周知性を得るに至っている、として、本願商標は一体不可分であり、「マントクラーメン」の一連の称呼のみを生じる旨を主張している。
しかしながら、本願商標が、これに接する取引者、需要者に、常に「廉価で満腹になって徳をするラーメン店」の観念を認識させるものと認めるに足りる証左は見いだせず、また、全国に多数のラーメン店が存在し、「ラーメン○○」、「○○ラーメン」(○○は共通する文字)という異なるラーメン店が存在することは認められるものの、これらの存在をもって、直ちに取引者、需要者が、「ラーメン」の文字の有無やその配置位置によって、各商標を識別しているということはできないし、本願指定役務との関係において、「ラーメン」の語に強い識別力があるということもできない。
加えて、上記の雑誌の掲載と検索エンジンの検索結果の証拠によっては、出願人の営業規模や役務の提供数、広告宣伝の規模や回数等を量的に把握することはできず、本願商標が、一体不可分の商標として、出願人の業務を表すものとして、取引者、需要者に周知であるという状況を確認することもできない。
してみれば、本願商標は、取引者、需要者に、常に一体不可分のものとしてのみ認識されるものということはできない。
(2)請求人は、過去の登録例を挙げているが、本願商標とそれらの登録例とは、商標の構成等において相違し事案を異にするものであるから、同一に論ずることは適切ではなく、また、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品、指定役務の取引者、需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例の存在をもって、本件の判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)


審理終結日 2018-09-06 
結審通知日 2018-09-10 
審決日 2018-10-02 
出願番号 商願2017-34382(T2017-34382) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青野 紀子旦 克昌 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 真鍋 恵美
鈴木 雅也
商標の称呼 マントクラーメン、マントク 
代理人 原 信海 

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