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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z35
管理番号 1346016 
審判番号 取消2017-300462 
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2018-10-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4160821号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4160821号商標の指定役務中、第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4160821号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなる立体商標であり、平成9年4月1日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同10年6月26日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年7月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年7月11日ないし同29年7月10日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書等において、要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証(枝番号を含む。ただし、甲1?甲4、甲9、甲12、甲15、甲17、甲20、甲21及び甲24は欠番である。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項に基づき、その指定役務中、上記役務について、商標登録を取り消すべきである。
2 弁駁の理由
(1)商標法第50条が規定する「登録商標(中略)の使用」は、商標法第1条が定める商標法の目的「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」に沿って解釈されなければならないところ、公序良俗に違反する商標登録の使用は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持」を図る必要はなく、「産業の発達に寄与」するものでなく、かつ、「需要者の利益を保護する」ものではないから「使用」にあたらない。
本件商標の使用は、以下の理由から他人の知的創作を剽窃するものであり、公序良俗に違反するものであって、商標法の保護を受ける「使用」にあたらない。
すなわち、他人の知的創作を剽窃する使用は、公序良俗違反の使用であるから商標法第50条の使用ではない。
ア 本件商標は、本件商標の登録出願前に周知・著名であった、ローズ・オニール作成の人形の図形とその名称と類似する。
そして、本件商標の登録出願前に、「キューピー人形の図形」及び「Kewpie」、「キューピー」標章は、日本全国において老若男女を問わず周知・著名であった。
イ 本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの立体商標である。
本件商標の特徴は、ほぼ直立の人形であり、乳幼児の体型であり、頭部が全身と比較して大きく、概ね三頭身であり、裸であり、性別がはっきりせず、中性的であり、全体にふっくらとしているものなどであり、ローズ・オニールの創作にかかる人形の特徴と一致する。
したがって、本件商標は、ローズ・オニールの創作にかかる人形と類似する。
なお、被請求人は、答弁書において、「本件商標は、キューピー人形の立体形状(以下「立体形状」という。)を表したもの」と、「キューピー人形の立体形状」が描かれていることを自認するものである。
ウ 本件商標の使用は多数の法律・条約等に違反する。
(ア)著作権法
本件商標を使用する行為は、現行著作権法に違反し、民事・刑事の責任を負う違法行為であるから、本件商標は著作権法に違反して作成、複製されてきたものであり、著作者の人格的利益・著作財産権を侵害し、その使用は公序良俗に違反する。
(イ)不正競争防止法
周知な商品表示であるローズ・オニール作成のキューピー人形の図形あるいはその名称を使用して、キューピー人形と関係があるかのような混同を生じさせる行為、又は、著名な商品表示であるローズ・オニール作成のキューピー人形の図形あるいはその名称を使用する行為は、不正競争に他ならない。
したがって、本件商標は、不正競争防止法に違反して使用されてきたものであり、公序良俗に違反する。
(ウ)工業所有権の保護に関するパリ条約
「工業所有権の保護に関するパリ条約」は、1883年3月20日成立し、我が国は、明治32年(1899年)に加入し、また、大正14年(1925年)に合意された工業所有権の保護に関するパリ条約(以下「パリ条約」という。)のヘーグ改正条約に合意し、1934年に「工業所有権の保護に関するパリ条約ヘーグ改正条約」を批准し、1967年7月14日に成立したストックホルム改正パリ条約では、第6条の2において、周知商品表示を冒用する行為の禁止と、かかる商標登録について5年間の無効請求の期間の設定と、悪意の登録・使用については無効請求の期間を制限しないことが合意されたものである。
そして、本件商標は、上記パリ条約第6条の2第1項に違反するものであり、悪意の登録・使用であるから無効請求の期間制限を受けないものである。
(エ)その他
本件商標は、1995年1月1日に発効した「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(通称:TRIPS協定)、1971年7月24日に成立し1975年4月24日に我が国で発効した文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約、及び社団法人日本経済団体連合会「知的財産権に関する行動指針」に違反するものである。
また、本件商標は、剽窃的出願により登録され、その使用は剽窃行為「他人の詩歌・文章などの説または文句をぬすみとって、自分のものとして発表する」ものに他ならない。
(オ)被請求人による全区分出願・登録
被請求人は、本件商標の他、「キューピー人形の図形」、「キユーピー」、「KEWPIE」などからなる、キューピー関連商標を619件を出願し、登録し、あるいは譲り受けたものである(甲30)。
「日本語で分かり、英語で書けて、しかも絵に描けるもの。この三つ」を満たすものとして、被請求人の創業者は「私の希望にぴったりのトレードマークです。それを頂きます」と、日本で初めて製造販売するマヨネーズを「キユーピーマヨネーズ」と命名した(甲25)。
他人の知的創作である「キューピー人形の図案」「キューピーの名称」を「自分のものとして商標登録すること」の被請求人の創業者の決意を、その後、商品役務区分の全区分において出願、登録したものである。かかる商標出願・登録の行為は、他人の著名標章を自己のものとする知的財産の剽窃に他ならず、商標法制度の根幹を揺るがす不法行為である。
(カ)特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、種苗法等の知的財産権法の基本は「他者の知的財産を尊重する」という根本理念を実現するものである。他人の知的財産を剽窃して使用する行為は、「他者の知的財産を尊重する」という理念に違反することであり、我が国の「公序」である知的財産法制の根本理念に違反するものといわざるを得ない。 国際的に視点を移せば、パリ条約、ペルヌ条約、WIPO条約、万国著作権条約、TRIPS協定等個々の国際条約を挙げるまでもなく、知的財産をめぐる国際的ハーモナイゼーションの元においては、「他者の知的財産を尊重する」という根本理念は、我が国のみならず全世界において知的財産に係わる公序を形成するものである。
したがって、本件商標の使用は、かかる知的財産に係わる公序に違反するものである。
(キ)小括
以上のとおり、他人の知的創作を剽窃する行為は、公序良俗に違反するものであり、本件商標の使用は、商標法の保護を受ける「使用」にあたらない。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第3号証について
被請求人が主張する「キューピー人形の図形のみ、又は、その図形の横や下に『キユーピー』の片仮名を表記したもの」は、乙第3号証には4箇所に表示されているが、いずれも、第35類の「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について使用されるものではない。
乙第3号証は、その体裁から、1枚目の下半分を表紙、2枚目をその裏面、1枚目の上半分を裏表紙としてなる、中央から縦に二つ折りの裏表印刷のパンフレットであろうと推測される。
(ア)表紙には、6個の円の中央部に、ローズ・オニールの創作にかかるキューピー人形と類似する人形が記載されている。このキューピー人形は周囲の6個の円とほぼ等大に描かれており、6個の円と一体として意匠的に使用されたものにすぎず、特定の商品や役務を識別する機能を有するものではない。
すなわち、この「キューピー人形の図形」は、自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
(イ)表紙の右上には、「キューピー人形とその図形の横に『キユーピー』の片仮名を表記したもの」が記載されている。
被請求人の社名は、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」の後に、法人の種類を表示する「株式会社」を付したものであるところ、本標章は被請求人の社名の一部「キューピー」と、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称と、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形を接して配置したものであることから、本標章は一体として被請求人の会社をシンボル的に表示する機能を果たすにすぎず、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能を有するものではない。
すなわち、本標章は、自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
(ウ)2枚面の左頁の下段には、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形が配置され、サービスの対象である顧客と被請求人との関係が示されている。このキューピー人形は、被請求人の会社をシンボル的に表示するものとどまるものにすぎず、商品や役務を識別する機能として使用されるものではなく、商標の「使用」ではない。
(エ)二つ折りの裏表印刷のパンフレットの裏表紙と思われる1枚目の左側には、大きな楕円の円周上に、左回りに「調味料事業」、「タマゴ事業」、「ファインケミカル事業」、「サラダ・惣菜事業」、「加工食品事業」の5つの事業が記載されており、その中心に「キューピー人形の図形」とその下に「キユーピー」からなる標章が記載されている。
前述のとおり、被請求人の社名は、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」の後に、法人の種類を表示する「株式会社」を付したものであるところ、本標章は被請求人の社名の一部「キューピー」とローズ・オニールの創作にかかる人形の名称と、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形を接して配置したものであることから、本標章は一体として被請求人の会社をシンボル的に表示する機能を果たしているものであり、この画像が表現するところは、被請求人が楕円の円周上に記載された5つの事業を行っていることを示すにすぎない。
それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。
すなわち、本標章は、自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
以上のとおり、乙第3号証について、被請求人が主張する「キューピー人形の図形のみ、又はその図形の横や下に『キユーピー』の片仮名を表記したもの」は、いずれも自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
イ 乙第4号証について
本件商標は、どこにも表示されておらず、使用証拠となる余地がない。
ウ 乙第5号証について
商標の「使用」の意義については、商標法第2条第3項が定義するところであるが、そのいずれにおいても取引行為において使用されること、すなわち取引性が必要であるところ、本件においては取引性の立証がない。
被請求人は、乙第5号証は、「被請求人が提供している食生活に関する『市場調査』のレポート」であるとするが、この「『市場調査』のレポート」が有償で第三者のために提供された役務であること、すなわち取引性は立証されていないものであって、商標として「使用」されたことの立証はない。
エ 乙第6号証ないし乙第8号証について
乙第6号証ないし乙第8号証の各号証は、被請求人のウェブサイト(乙8)から、関連会社である「株式会社トウ・キユーピー」(乙7)の運営するオンラインショッピングサイト(乙6)ヘリンクを張っていることを示すにすぎない。
このような「リンクを張る」にすぎないことは「商品の販売に関する情報の提供」の役務ではない。また、商標の使用については取引性が必要であるところ、被請求人が主張する「リンクを張る」行為が、有償で第三者のために提供された役務であること、すなわち取引性は立証されていないものであって、商標として「使用」されたことの立証はない。
さらに、「キューピー人形の図形のみ、又は、その図形の横や下に『キユーピー』の片仮名を表記したもの」は、乙第8号証において、3箇所に表示されているが、いずれも商標的使用でない。
ウェブページの左上隅には、ローズ・オニールが創作した名称である「kewpie」の欧文字の右側に接して、ローズ・オニールの創作にかかるキューピー人形と類似する人形が配置されてなる標章が表示されている。
この標章の表示は、その表示されている位置から、ウェブページの作成者が被請求人であることを表示するものと解され、その限度における使用にとどまるものであって、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。
すなわち、本標章は自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、本標章は「商品の販売に関する情報の提供」の識別標識として使用されているものではなく、取消請求役務について商標を「使用」するものではなく、また、有償で第三者のために提供された役務であること、すなわち取引性は立証されていない。
ウェブページの上部左方には、ローズ・オニールの創作にかかるキューピー人形と類似する人形が表示されているが、意匠的に使用されたものであるとしてもその限りでしかなく、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。また、有償で第三者のために提供された役務であること、すなわち取引性は立証されていない。
ウェブページの下段には、ローズ・オニールの創作にかかるキューピー人形と類似する人形が表示されているが、「他では販売していない可愛いキユーピーオリジナルグッズを取り揃えました。」と表示されているとおり、かかる物品の識別標識として使用されているものであるとしても、その限りでしかなく、被請求人が提供する「商品の販売に関する情報の提供」という役務を識別する機能として使用されるものではなく、また、有償で第三者のために提供された役務であること、すなわち取引性は立証されていない。
3 口頭審理陳述要領書(平成30年2月19日)
(1)悪意の出願排除に向けての国際的取り組み
特許庁のウェブページには、「2014年5月13日、特許庁は、香港で開催された第136回国際商標協会(INTA)年次総会の場において、『第2回悪意の商標出願セミナー』を開催しました。このセミナーは、日米欧中韓の商標五庁(TM5)の協力枠組みにおいて、我が国がリードして取り組んでいる『悪意の商標出願対策プロジェクト』の一環として開催したもの」と記述されている(甲31)。
すなわち、日米欧中韓の商標5庁(TM5)の協力枠組みにおいて、我が国が悪意の商標出願対策プロジェクトをリードして取り組んでいることを宣明したものである。
外国の著名な他人の知的財産を剽窃した多数のキューピー商標が、我が国の知的財産の歴史における大きな汚点であることは、心ある商標実務家・商標法研究者の共通の認識である。かかる「不正の目的」もった商標の使用に商標法の保護を与えては、日米欧中韓の商標5庁(TM5)において「悪意の商標出願対策プロジェクトを我が国がリードして取り組んでいる」とはいえず、我が国の知的財産行政は世界の信頼を受けることができない。
(2)乙第4号証について
乙第4号証の最上段には「4.サービス内容?品質コンサルティング」との記載があるので、「これのみ独立した資料として頒布されるものではない」ことは明らかである。しかしながら、いかなる冊子の一部であるか、このページを含む冊子全体の提出がない限り、誰がいつ作成したものであるか、どのように使用されたものであるか不明である。
また、乙第4号証の表中には、左欄に種々のサービスが提示されており、右欄にその対価が記載されているものの、いずれのサービスにおいても本件商標はどこにも表示されていないものであるから、本件商標の使用を証明するものではない。
のみならず、料金表(乙4)において、本件商標がコンサルティング業務の名称として記載されていないことは、被請求人は、本件商標をコンサルティング業務の名称として使用しなかったことを示すものに他ならない。
(3)乙第9号証について
ア 乙第9号証の表紙中央部には、6個の円の中央部に、ローズ・オニールの創作にかかるキューピー人形と類似する人形が記載されている。このキューピー人形は周囲の6個の円とほぼ等大に描かれており、6個の円と一体として意匠的に使用されたものにすぎず、特定の商品や役務を識別する機能を有するものではない。
すなわち、この「キューピー人形の図形」は自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
イ 乙第9号証の表紙の右上には、「キューピー人形とその図形の横に『キユーピー』の片仮名を表記したもの」が記載されている。
被請求人の社名は、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」の後に、法人の種類を表示する「株式会社」を付したものであるところ、本標章は、被請求人の社名の一部「キューピー」と、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称と、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形を接して配置したものであることから、本標章は一体として被請求人の会社をシンボル的に表示する機能を果たすにすぎず、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能を有するものではない。
すなわち、本標章は自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
ウ 見開き左ページの下段には、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形が配置され、サービスの対象である顧客と被請求人との関係が示されている。このキューピー人形は、被請求人の会社をシンボル的に表示するにとどまるものにすぎず、商品や役務を識別する機能として使用されるものではなく、商標の「使用」ではない。
エ 裏表紙には、大きな楕円の円周上に、左回りに「調味料事業」、「タマゴ事業」、「ファインケミカル事業」、「サラダ・惣菜事業」、「加工食品事業」の5つの事業が記載されており、その中心に「キューピー人形の図形」とその下に「キューピー」からなる標章が記載されている。
前述のとおり、被請求人の社名は、ローズ・オニールの創作にかかる人形の名称である「キューピー」の後に、法人の種類を表示する「株式会社」を付したものであるところ、本標章は被請求人の社名の一部「キューピー」とローズ・オニールの創作にかかる人形の名称と、ローズ・オニール作品の人形に類似する人形を接して配置したものであることから、本標章は一体として被請求人の会社をシンボル的に表示する機能を果たしているものである。本標章が表現するところは、楕円の円周上に記載された5つの事業を被請求人が行っていることを示すものである。
それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。すなわち、本標章は自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
以上のとおり、乙第9号証について、被請求人が主張する「キューピー人形の図形のみ、又は、その図形の横や下に『キューピー』の片仮名を表記したもの」は、いずれも自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではない。
また、乙第9号証については、網野商標(甲33)の基準に沿えば「単に会社自体の名前やマークを広告・宣伝するためのみの目的でなされている場合」は「商品に関して使用があったといわれない。」ものであり、最高裁判決の判示に沿えば「その役務との具体的関係において使用されている」ものではないので、「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものではない。
(4)乙第29号証及び乙第30号証について
本件「コンサルティング業務委託契約書」2通は、被請求人と第三者の間で、コンサルティングの業務委託契約を締結したことはうかがえるものの、被請求人が提供したコンサルティング業務の名称、あるいは、識別標識として本件商標を使用したとの事実を証明するものではない。
本件「コンサルティング業務委託契約書」2通において、いずれも、コンサルティング業務の名称として本件商標が表示されていないことは、被請求人は本件商標をコンサルティング業務の名称として使用しなかったことを示すものに他ならない。
(5)乙第31号証及び乙第32号証について
乙第31号証と乙第32号証は、文字部分の印字位置はぴったり重なりあうものの、(a)キューピーの図形の大きさが相違する、(b)キューピーの図形の印字位置が相違する、(c)キューピーの図形の鮮明さが相違するものであり、文字部分の印刷とキューピ一の図形の印刷が同時ではないことをうかがわせ、キューピーの図形は文字部分の印刷の後に印字されたものであるとの疑念を生じさせるから、被請求人が使用証拠とする乙第31号証及び乙第32号証のいずれについても、請求人はそれらの成立の真正を争う。
なお、乙第31号証及び乙第32号証の成立が真正であるとしても、乙第31号証ないし乙第33号証のいずれも、ローズ・オニールの創作にかかる人形の図形からなる本標章は、被請求人の社名と本社住所地の左側に近接して配置されており、本標章は被請求人の社名・住所と一体をなす態様で使用されているものである。
すなわち、本標章が被請求人の会社をシンボル的に表示するものであるとしても、本標章の使用は、その限度における使用にとどまるものであって、それを超えて、被請求人が販売する商品や役務を識別する機能として使用されるものではない。
また、乙第31号証及び乙第32号証のいずれにおいても、役務の「件名」欄には、本件商標は使用されていない。
以上のとおり、本標章は「その役務との具体的関係において使用されている」ものではなく、「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものではない。
4 上申書(平成30年4月2日)
(1)乙第31号証及び乙第32号証について
ア 被請求人は、上申書にて、「品質保証本部で作成した、これらの見積書は、エクセルソフトで作成した書式のものであり、キューピーマークは図柄を画像添付しているため、図形の大きさや位置がずれたにすぎないものである。」と釈明する。
被請求人の「キューピーマークは図柄を画像添付しているため、図形の大きさや位置がずれたにすぎない」との釈明は、請求人が口頭陳述要領書にて指摘した事実にすぎない。
イ 陳述書(乙38)には次のとおり記載されている。
「冒頭の各事件において、品質保証本部で作成した見積書(乙31、乙32)に疑念を抱かれているようですが、これらの見積書は、エクセルソフトで作成した書式のもので、キューピーマークは図柄を画像添付しています。そのため、意図せず位置がずれる場合もありますが、見積書としての有効性に影響はありません。」、「エクセルソフトで作成した書式のもの」、「キューピーマークは図柄を画像添付する」、「意図せず位置がずれる」ということでは、請求人が口頭陳述要領書にて主張した「キューピーの人形図形は文字部分の印刷の後に印字されたものであるとの疑念」を払拭することはできない。
むしろ、「キューピーの人形図形」は「エクセルソフトで作成した書式のもの」であって、見積書作成後に「キューピーマークの図柄を画像添付した」ため、「意図せず位置がずれ」たものである、との疑念を増加させるものである。
(2)キューピー商標が我が国の知的財産の歴史の汚点であることについて
ア 請求人の主張は、弁駁書において主張したとおり、「第1に、他人の知的創作を剽窃する行為は、公序良俗に違反するものであり、商標法が保護する『使用』にあたらない。」ことを主位的な取消理由とするものである。
不使用取消審判の審決取消訴訟において、東京高等裁判所判決(昭和35年(行ナ)第41号)昭和36年4月11日判決は、同趣旨の判決をしたものであって、「そのような主張が本件商標登録の取消事由を構成する余地すらなく、筋違いの主張」であることはない。
イ 被請求人による「キューピー人形の図案」、「キューピーの名称」からなる「キューピー関連商標」の使用は、創業者の不正の目的をその当時から現在に至るまでそのまま綿々と引き継ぐものに他ならず、「キューピー関連商標」を、正に「不正の目的をもって使用するもの」である。かかる不正の目的による商標の「使用」はいかなる時点においても、商標法の保護を受けることはない。
ウ 被請求人の創業者が「外国の著名な他人の知的財産を剽窃した多数のキューピー商標」を出願・登録し、その後、現在に至るまで被請求人による多数のキューピー関連商標の登録・使用が継続しているという事態が「我が国の知的財産の歴史における汚点である」ことは、心ある商標実務家・商標法研究者のみならず、被請求人自身、及び、文部科学省検定済教科書「WORLD TREK English Communication I」を学んだ高校生を始め、誰の目にも明らかである。
(3)結び
以上のとおり、第1に本件商標の使用は公序良俗に違反するものであり、商標法が保護する「使用」にあたらず、第2に被請求人が提出する各証拠はいずれも本件商標の使用を証明するものではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を、答弁書、口頭審理陳述要領書等において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第38号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、その商標権者によって、第35類の指定役務「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について、要証期間に、日本国内において使用されており、本件審判請求は成りたたないものである。
(1)本件商標の商標権者(被請求人)について
被請求人は、東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号に所在する「キユーピー株式会社」であり、マヨネーズソースなどの調味料を中心として、各種食料品の製造販売等を主な事業内容としている会社である(乙1)。
また、被請求人は、これらの業務に加え、消費者の食生活に関する実態動向を把握するための市場調査や、自社で培った食品製造の品質管理や品質保証のノウハウを生かして、他の企業に対して製造工程の改善、リスク管理及び人材育成に関するコンサルティング等の業務も行っている。
さらに、被請求人の上記住所は本社所在地の住所であり、被請求人は全国各地に事業所(支店、営業所、工場、関連施設)を有しており、上記コンサルティング業務等は、主に東京都調布市仙川町2丁目5番地7に所在する「仙川キユーポート」の品質保証部門で行われている(乙2)。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証は、被請求人が提供している食品製造の品質管理や品質保証に関するコンサルティング業務のサービス案内の抜粋である。当該書類には、提供しているサービス内容として、工程改善のサポート、品質改善、リスク予防、食品法令アドバイス及び品質人材育成の支援などが列挙されており、お問い合わせ先として、被請求人であるキユーピー株式会社の品質保証本部が記載されている。
また、乙第4号証は、上記サービス内容に対する料金表であり、他社から対価を得て役務を提供していることを示すものである。
これらの書証によれば、被請求人が、日本国内において「経営の診断及び指導」、特に「品質管理の向上に関する経営の指導及び助言」に係るサービスを提供していることは明らかである。
イ 乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が提供している食生活に関する「市場調査」のレポートである。当該レポートには、日本全国の女性1200名を対象としてインターネットを通じて調査がなされた旨が記載されており、被請求人により、相当な規模のサンプル数に基づいて調査・分析が行われていることがわかる。
ウ 乙第6号証ないし乙第8号証について
乙第6号証は、被請求人の関連会社である「株式会社トウ・キユーピー」の運営するオンラインショッピングサイト(キユーピーアヲハタネットショップ)のプリントアウトである。この会社はインターネットを含め通信販売を中心とした無店舗形式でキユーピー栄養補助食品(サプリメント)やその他の健康食品、キューピーグッズの販売を行っている会社であり(乙7)、そのショッピングサイトである「キユーピーアヲハタネットショップ」へは、被請求人のウエブサイト(乙8)からも導かれるものである。
ここで、乙第8号証についてみると、その中で「オンラインショッピング キユーピーアヲハタネットショップ」というタイトルの下、「キユーピーアヲハタネットショップは株式会社トウ・キユーピーが運営しております。株式会社トウ・キユーピーはキユーピーグループの通信販売会社です。」との記述があり、「キユーピーアヲハタネットショップトップページへ」の部分をクリックすると、乙第6号証のサイトに導かれることになる。
また、乙第8号証の下の方には、「安心で豊かな食生活のお手伝い」というタイトルの下、「栄養補助食品」「スキンケア商品」「青汁・雑穀・くろ酢」「キユーピーグッズ」の区分けがあり、それぞれをクリックすると、「キユーピーアヲハタネットショップ」のそれぞれの販売項目へと導かれるものである。
上記の状況において、株式会社トウ・キユーピーは、被請求人より業務委託を受けて「キユーピーアヲハタネットショップ」を運営しており、被請求人のサイト(乙8)は、株式会社トウ・キユーピー(「キユーピーアヲハタネットショップ」)に対して、その運営等をサポートするために、「商品の販売に関する情報の提供」という役割を果たしているのであり、被請求人は、自己のウエブサイト(乙8)を介して、株式会社トウ・キユーピーの運営をサポートするために、「商品の販売に関する情報の提供」を行っているものである。
エ 本件商標と各書証で使用されている商標の同一性について
本件商標は、キューピー人形の立体形状(以下「立体形状」という。)を表したものである。これに対して、乙第3号証、乙第5号証及び乙第8号証で使用されている商標は、キューピー人形の図形(以下「平面商標」という。)のみ、又はその図形の横や下に「キユーピー」の片仮名を表記したものである。
両商標は、平面図形と立体形状という相違はあるものの、いずれもキューピー人形が表されているという点での認識において相違はなく、両商標からは「キューピー」の観念が生じ、かつ、そこから生じる「キューピー」の称呼も同じくするものである。
さらに、両商標における平面図形と立体形状に着目した場合、両者は、単に、キューピー人形が表されているという点を同じくするだけではなく、平面図形から立体形状が、立体形状から平面図形が導き出せるという関係にあり、この状況に照らしたときには、両者は、外観上も同視できると考えられて然るべきものである。
したがって、上記各書証で使用されている商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(3)小括
乙第3号証ないし乙第8号証によれば、被請求人は、第35類の「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」に係るサービスを提供していることが明らかであり、また、当該サービスの提供を示す乙第3号証、乙第5号証及び乙第8号証の各書証には、それぞれ本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
したがって、乙第3号証ないし乙第8号証は、被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標を第35類の指定役務「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について使用していることを証明するものである。
(4)以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合的に勘案すれば、本件商標は、商標権者により、要証期間に日本国内において継続して使用されているものである。
2 口頭審理陳述要領書(平成30年1月25日)
(1)乙第3号証及び乙第4号証について
ア 乙第3号証の態様について
答弁書では、この書証を「キユーピーエキスパート品質サポートのサービス案内抜粋」と表記していたが、実際には、折り畳んだ形のA4見開きの両面で一つの「パンフレット」になっている(乙9)。
したがって、乙第3号証については、今後、「パンフレット」(乙9)という形で述べることにする。
イ 「パンフレット」(乙9)の「頒布」の実態について
当該「パンフレット」は、乙第10号証ないし乙第12号証から、食の安心・安全に関する展示会やイベントにおいて、被請求人が行っている食品製造の品質管理や品質保証に関するコンサルティング業務の宣伝広告用として、また、その内容を説明するための資料として、被請求人の展示ブース等を訪れた見込み顧客に対して配布していることがうかがい知れる。
乙第10号証ないし乙第12号証は、被請求人の子会社である株式会社トウ・ソリューションズが2016年5月26日に東京都で開催した「第5回食の安全・安心ソリューション展 in アキバ」(乙13)における会場の様子を撮影した写真である。この展示会には、被請求人会社の品質保証本部も出展しており、その展示ブースのテーブルの上には、乙第9号証に係る「パンフレット」が置かれており(乙11、乙12)、さらに、乙第12号証からは、スタッフがこの「パンフレット」を手にして、ブースを訪れた見込み顧客と商談している様子も分かる。
また、被請求人は、2016年9月28日から9月30日に東京ビッグサイトで開催された「フードセーフティジャパン2016」にも出展しており(乙14)、乙第15号証ないし乙第18号証は、その際の被請求人会社の出展ブースを撮影した写真である。これらの写真より、被請求人の展示ブースには、工程改善のサポート、品質改善、リスク予防、食品法令アドバイス及び品質人材育成の支援など、品質の取り組みをサポートする旨のサービスを示したパネルが掲示されているのが分かる。そして、この掲示の内容は、「パンフレット」(乙9)に示された内容と同様の内容であり、さらには、当該「パンフレット」それ自体も、展示ブースのカウンターに置かれているのが分かる。
これらの書証より、「パンフレット」(乙9)は、被請求人が出展する展示会やイベントにおいて、食品製造の品質管理や品質保証に関するコンサルティング業務の宣伝広告用として、また、その内容を説明するための資料として、被請求人の展示ブース等を訪れた見込み顧客に対して配布しているという状況を認識し得るものである。
ウ 「パンフレット」(乙9)の作成について
この「パンフレット」は被請求人からの依頼により(乙19)、株式会社ナカタパブリシティによって印刷がされ、その後、被請求人に納品されたものである(乙20、乙21)。そして、この「パンフレット」が、前記「第5回食の安全・安心ソリューション展 in アキバ」の展示会で使用され(乙11、乙12)、また、「フードセーフティジャパン2016」のイベント会場でも使用されたものである(乙16?乙18)。
なお、本件の要証期間(2014年7月11日ないし2017年7月10日)からは外れるものの、被請求人は、「フードセーフティジャパン2017」への出展(乙22)に合わせて2017年度版のパンフレットも作成している(乙23?乙25)。つまり、被請求人は、現在も、「食品製造の品質管理や品質保証についてのコンサルティング」に関する業務を引き続き行っており、これらのイベントに積極的に出展することにより、今後の業務の拡大を図っているものである。
エ 「品質の取り組みへのサポート」について
「パンフレット」(乙9)や乙第16号証中のパネルに記述されている「品質の取り組みをサポートする」という点について触れると、被請求人は、調味料事業(マヨネーズ・ドレッシング・ソース)、加工食品事業(調理食品、缶詰・レトルト、ベビーフード、介護食、冷凍食品)、サラダ・惣菜事業(惣菜・カット野菜、植物工場)、タマゴ事業(タマゴ原料、タマゴ加工品)、ファインケミカル事業(ヒアルロン酸等、機能性素材)というように、各種事業を行っており(乙26)、それぞれの事業において培った品質管理の取り組み(手法)に基づき、各企業の要望に応じて、各種事業に関しての品質面からの管理や品質保証について、そのコンサルティングを行う(サポートする)というものである。
また、乙第16号証中のテーブルの上に「パンフレット」(乙9)とともに、「キユーピー『品質サポート』のご紹介」という資料も置かれており、ここに置かれている資料が、乙第27号証に示す資料である。この資料中の第3頁には、「品質サポート全体像」が示されており、この全体像は「製造の流れ」(「工場設計 →マーケティング/研究開発 →原料選定・購入 →表示・仕様書作成 →製造 →物流・販売 →アフターサービス」)に即したものとなっている。このような「製造の流れ」の中で、いずれかの場面で支障が生じたときには、企業経営に直接影響を与えるものであるから、被請求人が行っているコンサルティング業務は、企業経営を踏まえた上での品質面からの管理や品質保証について、そのコンサルティング業務を行っているものである。
さらに、この資料(乙27)中の「食の安全」についての新聞記事において、食品衛生管理の国際標準であるHACCP(ハサップ)の食品関連企業への導入義務化に向けた議論の中で、日本でも奨励されてきたが、導入が進んでいない理由として、「経営上のメリットがない」「費用が掛かる」といった点が挙げられている。このことは、食品関連企業において、食品衛生管理と経営とは切り離して考えられないことを示すものである。
加えて、この資料(乙27)は、さらなる顧客獲得に向けて、それぞれの企業向けのプレゼン資料としても使用しているものでもある(乙28)。なお、料金表(乙4)は、このようなプレゼンをする際に、必要に応じて、参考までに示す資料であり、これのみ独立した資料として頒布されるものではないので、乙第4号証はこのような位置付けとしてのみ認識されるにすぎないものである。
オ 業務委託契約について
上記のような「品質管理や品質保証についてのコンサルティング」に関して、被請求人は、それを望む企業との間で、実際に業務委託契約を結んで事業展開を進めている(乙29、乙30)。
このようにコンサルティング業務を進めている中で、それぞれの業務に対して見積書(乙31、乙32)を発行しており、また、遂行した業務については、請求書(乙33)を発行している。
なお、この請求書は要証期間外のものであるが、乙第32号証に係る見積書に対応する請求書になるものである。
カ 取消請求役務に係る指定役務「経営の診断及び指導」について
ここでいう「経営の診断及び指導」については、経営コンサルタントが行うサービスを指すという捉え方をしている(乙34)。一般に、コンサルティングという場合、理論的なアドバイスに留まる形でのコンサルティングや、特定分野のみのアドバイスに留まる形でのコンサルティングが多い中で、被請求人の行っているコンサルティングは、品質と銘打っているものの、顧客の課題を聞き、それに対して、実際の現場に出て、状況を把握した上で、業務改善や、あるべき姿を提言し、さらにそれを組織全体に浸透させるための方策を立案するというものである。この点は、見積書(乙31)中に、件名として、「品質保証体制のあるべき姿への取り組み、品質人材育成への取り組み」といった記載があり、さらに具体的には、「現状把握と理解、業務改善、課題抽出とあるべき姿・ありたい姿の作成、組織浸透策の立案、品質人材育成への取り組み」ということを挙げている点や、前記の品質サポートに関する資料(乙27)からも認識し得るところである。
上記に照らせば、被請求人が、このような形で提供しているコンサルティングについて、それが「経営の診断及び指導」に当たらないなどといえるものではなく、むしろ、日本国内において「経営の診断及び指導」、特に「品質管理の向上に関する経営上の指導及び助言」(乙35)に係るサービスを提供しているとの認識に至るはずである。
そして、乙第9号証に係る「パンフレット」は、被請求人のこのようなコンサルティングサービスの提供へ繋げるためのスタートとなる広告案内としての役割を果たすものなのである。
キ 本件商標と各書証で使用されている商標の同一性について
本件商標と社会通念上同一の商標が使用され、かつ、要証期間の書類として、「パンフレット」(乙9)、「見積書」(乙31、乙32)が挙げられる。
「パンフレット」(乙9)の表面の右上には、キューピー人形の図形とその左横に「キユーピー」の片仮名が表記されている。また、「見積書」(乙31、乙32)の右上のキユーピー株式会社の表示の左側にキューピー人形の図形が表示されている。
これらのキューピー人形の図形(平面図形)とキューピー人形の立体形状を表した本件商標とは、平面図形と立体形状という相違はあるものの、いずれもキューピー人形が表されているという点において相違はなく、両者より「キューピー」の観念が生じ、かつ、そこから生じる「キューピー」の称呼も同じくするものである。
このような状況であるにも拘わらず、合議体の暫定的見解として、平面図形と立体形状とは、社会通念上同一の商標と認めることはできない旨指摘されている。
しかしながら、平面図形と立体形状に着目した場合、両者は、単に、キューピー人形が表されているという点を同じくするのみならず、平面図形から立体形状が、立体形状から平面図形が導き出せるという関係にあり、この状況に照らしたときには、両者は、外観上も同視できるものである。
したがって、上記各書証で使用されている商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標と考えられて然るべきものである。
ク 小括
被請求人(商標権者)は、日本国内において、要証期間に、「品質管理の向上に関する経営上の指導及び助言」という役務(品質管理や品質保証についてのコンサルティング業務)の広告(パンフレット:乙9)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、それを食の安心・安全に関する展示会やイベントにおいて、被請求人の展示ブース等を訪れた見込み顧客に対して配布したものである。
この使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。
上記に加えて、被請求人(商標権者)は、日本国内において、要証期間に、「品質管理の向上に関する経営上の指導及び助言」という役務の提供(「品質管理や品質保証についてのコンサルティング」業務の提供)に係る取引書類に当たる見積書(乙31、乙32)に本件商標と社会通念上同一の商標を付してそれを取引先に交付したものである。
この使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
(2)乙第5号証ないし乙第8号証について
合議体の暫定的見解では、「商品の販売に関する情報の提供」について最高裁判決を示しているが、本件においては、最終的な消費者に対して「商品の情報の提供」を行っているのは、「キユーピーアヲハタネットショップ」を運営している「株式会社トウ・キユーピー」であって、被請求人ではない。被請求人は、自己のサイト(乙8)を介して株式会社トウ・キユーピー(「キユーピーアヲハタネットショップ」)に対して、その運営等をサポートするために、「商品の販売に関する情報の提供」をしているのである。
また、合議体の暫定的見解では、「クリックを介して」という点も指摘されているが、「クリック」というのは単なる手段にすぎず、本質を見たときには、被請求人は、自己のサイト(乙8)を介して「キユーピーアヲハタネットショップ」を運営する「株式会社トウ・キユーピー」をサポートするために、「商品の販売に関する情報の提供」を行っているのである。
つまり、被請求人が行っている「情報の提供」は、「商業等に従事する企業(株式会社トウ・キユーピー)に対して、そのネットショップの管理、運営等を援助するために行っている」ものであり、正に前記最高裁判決の説示に符合するものである。
(3)審判事件弁駁書の主張に対する反論
ア 商標の使用態様について
請求人は、乙第3号証の1枚目の下半分の右上に表記されているキューピー人形の図形について、この標章は自他商品・役務の識別機能を有さないものであり、商標の「使用」ではないと主張している。
乙第3号証は、「パンフレット」(乙9)に置き換わるものであるが、乙第9号証、乙第31号証、乙第32号証に表示されている「キューピー人形」の図形は、請求人を容易に看取させる著名な商標であり(乙36)、また、取消請求役務について防護標章登録を受けているところでもある(乙37)。
したがって、通常有する注意力をもって、これらの書証に表示されている「キューピー人形」の図形を見たときには、被請求人がその広告や取引書類に表された役務の提供を行っていると誰しもが認識するものであり、この表示(「キューピー人形」の図形)が出所識別標識として機能しないなど、あり得ない話であり、請求人の主張が失当であることは明らかである。
不使用取消審判における取消の要件について
請求人は、被請求人による本件商標に係る商標権の取得又はその使用が、公正な競争秩序ないし公平の観念に反した不正の目的であるという点をもって、商標法における「使用」には当たらないということを主張しているようであるが、被請求人による本件商標に係る商標権の取得又はその使用について、公正な競争秩序ないし公平の観念に反した不正の目的など全く存在しないのみならず、そもそも不使用取消審判におけるそのような主張が本件商標登録の取消事由を構成する余地すらない。
したがって、請求人によるこのような主張が、全く筋違いの主張であることは明らかである。
(4)まとめ
被請求人(商標権者)は、要証期間に日本国内において、取消請求役務中の「経営の診断及び指導」との関係で、「品質管理の向上に関する経営上の指導及び助言」という役務の広告(パンフレット:乙9)に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布しており、また、当該役務の提供に係る取引書類に当たる見積書(乙31、乙32)に本件商標と社会通念上同一の商標を付してそれを取引先に交付している。これらの行為は、それぞれ「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
さらに、乙第8号証は、「商品の販売に関する情報の提供」との関係で、役務の提供を受ける者の利用に供する物に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して使用されているものである(商標法第2条第3項第3号)。
3 上申書(平成30年3月22日)
(1)見積書(乙31、乙32)について
乙第31号証及び乙第32号証に係る「見積書」は、被請求人会社の品質保証本部より発行されたものであるが、その責任者である「キユーピー株式会社 品質保証本部長」の陳述書(乙38)を提出する。
ここでの陳述より明らかなように、品質保証本部で作成した、これらの見積書は、エクセルソフトで作成した書式のものであり、キューピーマークは図柄を画像添付しているため、図形の大きさや位置がずれたにすぎないものである。
(2)請求人の口頭審理陳述要領書に対する反論
請求人は、書証も提出することなく、「外国の著名な他人の知的財産を剽窃した多数のキューピー商標が、我が国の知的財産の歴史における汚点であることは、心ある商標実務家・商標法研究者の共通の認識である」旨主張しているが、被請求人においては、そのような共通の認識が生じているなど、一度も耳にしたことはない。そもそも今回のような不使用取消審判事件において、そのような主張が本件商標の取消事由を構成する余地すらなく、筋違いの主張である。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人である本件商標の権利者は、1919年(大正8年)11月に設立され、「マヨネーズソース」をはじめとする各種食料品の製造販売等を主な事業内容とする会社である(乙1)。
(2)乙第9号証は、表題を「キユーピーエキスパート品質サポート」とするパンフレットである。
そして、これは、横長のA3サイズの紙を折り畳み縦長のA4サイズの見開きの両面で一つの「パンフレット」になっているものであって、その表紙には、右上に「キユーピー」の片仮名と「キューピー人形」の図形からなる商標(以下「使用商標」という。:別掲2)の表示があり、キューピー人形の写真を中心に「工程改善」、「リスク予防」、「食品法令・表示」、「お客様対応」、「ISO/FSSC取得」及び「品質人材育成」の文字が記載された6個の円形が表示されている。
また、裏表紙には、「当社エキスパートが『チーム体制』で皆様の品質の取り組みをサポートします。」及び「FSSC22000をグループ82事業所で取得済(2016年4月末現在)」の記載があり、問い合わせ先として、「キユーピー株式会社 品質保証本部」の担当者名、電話番号、住所等の記載がある。
(3)乙第14号証は、2016年9月28日から同月30日まで東京ビッグサイトで開催された「フードシステムソリューション2016/フードセーフティジャパン2016/フードファクトリー2016」の「結果報告書」である。
これには、その18ページに、「出展者セミナー」として、9月30日に被請求人の研究開発本部が「加熱変性リゾチームの抗ノロウイルス性とこれを含むアルコール系製剤の開発」を行った記載がある。
また、乙第15号証ないし乙第18号証は、上記の「フードシステムソリューション2016」等の会場である東京ビッグサイトにおいて、平成28年9月28日に被請求人の展示ブースを撮影した写真とされるものである。
これには、「卵の研究が生み出したエタノール製剤」、「加熱変性リゾチームの抗ノロウイルス効果」と記載されたパネルが展示され、また、「当社エキスパートが『チーム体制』で皆様の品質の取り組みをサポートします。」の見出しの下「工程改善」、「リスク予防」、「食品法令・表示」、「人材育成」、「第三者認証」、及び「お客様対応」の項目に分けた乙第9号証のパンフレットと同様の内容のパネルが掲示されており、さらに、台の上には、乙第9号証と思しきパンフレットが置かれている。
(4)乙第20号証は、株式会社ナカタパブリシティが被請求人宛に、2016年5月27日付けで作成した「請求書」である。
これには、「伝票番号」欄に「246557」の記載があり、「商品名」、「数量」、「単位」、「単価」、「金額」など7項目に分かれているところ、その2行目には、「商品名」欄に「品質サポートパンフレット」、「数量」欄に「200」の記載がある。
また、乙第21号証は、株式会社ナカタパブリシティが被請求人宛に、2016年5月27日付けで作成した「納品書」である。
これには、「伝票番号」欄に「246557」の記載があり、「商品名」、「数量」、「単位」、「単価」、「金額」など7項目に分かれているところ、その2行目には、「商品名」欄に「品質サポートパンフレット」、「数量」欄に「200」の記載がある。
2 上記1によれば、以下の事実が認められる。
株式会社ナカタパブリシティは、商品名を「品質サポートパンフレット」とするパンフレット200部を平成28年5月27日に被請求人へ納品した。
そして、乙第9号証のパンフレットには、その表紙に使用商標が表示され、また、その裏表紙に「2016年4月末現在」の記載あること及び乙第9号証のパンフレットは、そのタイトル名「キユーピーエキスパート品質サポート」から品質サポートのパンフレットであるといえるものである。
そうすると、株式会社ナカタパブリシティが被請求人に納品したパンフレットは、乙第9号証のパンフレットとみるのが自然であり、これが、当時の写真によれば、2016年(平成28年)9月28日から同月30日まで東京ビッグサイトで開催された「フードシステムソリューション2016/フードセーフティジャパン2016/フードファクトリー2016」で自身の展示ブースに置かれていたことから、当該パンフレットは、顧客に頒布されたものと推認されるものである。
3 判断
(1)商標の使用者について
使用商標が表示されたパンフレット(乙9)には、「キユーピー株式会社」と表示されていることから、当該パンフレットの作成者は、商標権者(被請求人)であるといえる。
そうすると、使用商標の使用者は、商標権者(被請求人)であると認められる。
(2)使用時期について
商標権者(被請求人)が、使用商標の付されたパンフレット(乙9)を2016年(平成28年)9月28日から同月30日まで頒布したことが推認できる。
そして、上記日付は、要証期間である。
(3)使用商標について
商標権者(被請求人)は、「パンフレット」(乙9)からすれば、別掲2のとおりの構成からなる使用商標を表示して使用していたものと認められる。
(4)使用商標が本件商標と社会通念上同一であるかについて
商標法第50条に規定する商標登録の取消審判における「登録商標」には、いわゆる「社会通念上同一の商標」を含むものであり、「その社会通念上同一の商標」と認められるものは、例えば、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」などである(商標法第50条第1項)。
そこで、本件商標と使用商標を比較してみるに、パンフレット(乙9)には、「キユーピー」の片仮名と「キューピー人形」の図形からなる商標(使用商標:別掲2)が平面で表示されているが、本件商標は、別掲1のとおり、「キューピー人形」を正面、背面及び右斜め前側面から描いた立体形状の立体商標であり、上記パンフレット(乙9)に平面で表示されている使用商標と立体形状の本件商標とは、社会通念上同一とはいえないものである。
また、たとえ、使用商標の「キューピー人形」の図形部分を要部として捉えて、本件商標と比較しても、使用商標の「キューピー人形」の図形部分は、平面図形として表示されているものであり、本件商標は立体商標であるから、平面図形と立体形状の差があり社会通念上同一の商標とはいえないものである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができない。
なお、パンフレット(乙9)には、本件商標と同一視できる態様の「キューピー人形」の写真が掲載されているが、これは平面の写真であり、「キューピー人形」を正面、背面及び右斜め前側面から描いた立体形状の立体商標である本件商標と同一又は社会通念同一の商標とは認められないものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、商標権者(被請求人)が、要証期間に本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を取消請求役務に使用した事実を認めることができない。
その他、商標権者(被請求人)が、上記役務について、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用したことを認めるに足りる証拠の提出はない。
4 その他の証拠について
被請求人は、本件商標を取消請求役務中の「市場調査」及び「商品の販売に関する情報の提供」について使用している旨主張し証拠を提出しているが、これらの証拠において、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を見いだすことができないから、その使用に係る役務等について言及するまでもなく、商標権者(被請求人)が、上記指定役務について、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用したものと認めることができない。
5 被請求人の主張について
被請求人は、「『パンフレット』(乙9)の表面の右上には、キューピー人形の図形とその左横に『キユーピー』の片仮名が表記されている。・・・キューピー人形の図形(平面図形)とキューピー人形の立体形状を表した本件商標とは、平面図形と立体形状という相違はあるものの、いずれもキューピー人形が表されているという点において相違はなく、両者より「キューピー」の観念が生じ、かつ、そこから生じる『キューピー』の称呼も同じくするものである。・・・平面図形と立体形状に着目した場合、両者は、単に、キューピー人形が表されているという点を同じくするのみならず、平面図形から立体形状が、立体形状から平面図形が導き出せるという関係にあり、この状況に照らしたときには、両者は、外観上も同視できるものである。」旨を主張している。
しかしながら、前記3(4)のとおり、本件商標は、別掲1のとおり、「キューピー人形」を正面、背面及び右斜め前側面から描いた立体形状の立体商標からなるものであり、パンフレット(乙9)に平面で表示されている使用商標と立体形状の本件商標とは、商標法第50条にいう「外観において同視される図形からなる商標」とは認められない。
また、被請求人は、本件商標及び使用商標からは、「キューピー」の称呼及びの観念を生じると主張するが、図形は文字とは異なり、必ずしも両者の図形から上記の称呼及び観念を生ずるとはいい難いものであり、商標法第50条でいうところの「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」とは、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」及び「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するもの」であるから、これは文字からなる商標であって、図形からなる商標には当てはまるものではなく、使用商標は、本件商標とは社会通念上同一の商標とはいえないものである。
よって、被請求人の上記主張は、採用できないものである。
6 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、その請求に係る指定役務である「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)
第1図



第2図



第3図




別掲2(使用商標)(色彩は乙第9号証を参照。)



審理終結日 2018-07-27 
結審通知日 2018-07-31 
審決日 2018-09-06 
出願番号 商願平9-101582 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 1998-06-26 
登録番号 商標登録第4160821号(T4160821) 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 中村 行孝 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 柏 延之 
代理人 本宮 照久 
代理人 永井 浩之 
代理人 朝倉 悟 
代理人 高田 泰彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 日野 修男 

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