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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20146769 審決 商標
不服201512325 審決 商標
不服201515350 審決 商標
不服201815972 審決 商標
不服201316303 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W182125
管理番号 1344025 
審判番号 不服2017-8311 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-07 
確定日 2018-08-30 
事件の表示 商願2016-35197拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第18類「旅行かばん,トランク,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類」、第21類「水筒,台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),化粧用具,清掃用具及び洗濯用具,紙タオル取り出し用金属製箱,せっけん用ディスペンサー,香炉,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」及び第25類「洋服,着物,水泳着,スカーフ,ストール,帽子,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成28年3月29日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、その構成中に、日本人女性の氏名、例えば『島田順子』『嶋田淳子』『嶋田純子』『島田純子』『島田淳子』『嶋田潤子』の欧文字表記である『JUNKO SHIMADA』の文字を含むものであり、かつ、一部の承諾を得ているとしても、当該全ての他人の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
ア 商標法第4条第1項第8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」については、商標登録を受けることができない旨を規定している。
そして、「商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護すること,すなわち,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがないという利益を保護することにあると解される(最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決・裁判集民事214号373頁,最高裁平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号595頁参照)。そうすると,ある氏名を有する他人にとって,その氏名を同人の承諾なく商標登録されることは,同人の人格的利益を害されることになると考えられる。」と判示されている(知的財産高等裁判所平成28年(行ケ)第10065号、平成28年8月10日判決)。
イ また、「他人の名称を含む商標については,他人の承諾を得ているものを除いては,商標登録を受けることができないというべきであって,出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか,いずれが著名あるいは周知であるといったことは,考慮する必要がないというべきである。」と判示されている(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号、平成21年2月26日判決)。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、赤色の図形と文字との組み合わせからなるものであるところ、その構成中の文字部分についてみると、「PART2」の文字部分と「BY JUNKO SHIMADA」の文字部分とは、その文字の大きさ及び書体を異にしており、視覚上、分離して看取し得るものである。
ところで、我が国においては、クレジットカードや名刺等に見られるとおり、氏名をローマ字表記すること及び氏名をローマ字表記するに当たって、欧米の語順に合わせ、名及び氏の順に表すことが、氏名の表記方法として一般に広く親しまれている(別掲2)。
上記の我が国における氏名表記の実情に加え、下記イに示すとおり、氏名をローマ字表記したときに、「JUNKO」に照応する名及び「SHIMADA」に照応する氏の者が少なからず存在することに照らせば、本願商標の看者をして、その構成中の「BY JUNKO SHIMADA」の文字部分のうち、「JUNKO SHIMADA」の文字部分は、「JUNKO」が名を表し、「SHIMADA」が氏を表し、その全体が「JUNKO SHIMADA」という氏名を表したものとして認識するというのが相当である。
イ そして、「JUNKO SHIMADA」に照応する者が、以下の(ア)ないし(エ)のとおり、ウェブサイトに掲載されている。
(ア)「群馬大学」のウェブサイトにおいて、「大学院保健学研究科医学部保健学科教員一覧」に、「嶋田 淳子」(「しまだ じゅんこ」「Junko Shimada」)を氏名とする者が掲載されている。
(http://www.health.gunma-u.ac.jp/unit/392.html)
(イ)「カラーアトリエ ミルクルール」のウェブサイトにおいて、代表のプロフィール欄に、「嶋田 淳子」を氏名とする者が掲載されている。
(http://mille-couleur.com/profile/junko_shimada/)
(ウ)「Yoga Jaja」のウェブサイトにおいて、講師の欄に「島田 純子」を氏名とする者が掲載されている。
(https://yogajaja.com/ja/teachers/)
(HTTPS://YOGAJAJA.COM/JA/TEAM/JUNKO-SHIMADA/)
(エ)「日本旅行業協会 トラベル・カウンセラー制度」のウェブサイトにおいて、「デスティネーション・スペシャリスト認定者(2017年3月現在)」の表に「島田 潤子」を氏名とする者が掲載されている(91/137ページ)。
(http://www.traco.jp/pdf/DS-Certification.pdf)
以上によれば、「JUNKO SHIMADA」に照応する者が、複数現存しているといえる。
ウ 「JUNKO SHIMADA」に照応する者の承諾の有無
フランス国パリ市在のファッションデザイナー島田順子氏による承諾書(甲1)によれば、請求人は同人から、平成28年9月30日付けで本件商標登録出願について、請求人が商標登録を受けることの承諾を得ているものと認められる。
しかしながら、上記イのとおり、ファッションデザイナーの島田順子氏とは別に、「JUNKO SHIMADA」に照応する者が複数現存しているといえるところ、これらの者による承諾書は提出されていないから、ファッションデザイナーの島田順子氏以外の、「JUNKO SHIMADA」に照応する者が、本件商標登録出願について、請求人が商標登録を受けることを承諾しているとは認められない。
エ 上記アないしウによれば、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含む商標であって、かつ、その他人の承諾を得ているものとは認められないものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、我が国では氏名は漢字又は平仮名で表記されるのが通常であるから、「JUNKO SHIMADA」の文字は、氏名を特定しているものとはいえない旨主張する。
しかしながら、我が国において、氏名をローマ字表記すること及び氏名をローマ字表記するに当たって、欧米の語順に合わせ、名及び氏の順に表すことが、氏名の表記方法として一般に広く親しまれていることに照らせば、本願商標の構成中の「JUNKO SHIMADA」の文字部分について、「JUNKO SHIMADA」なる氏名を表したものとして認識されるというのが相当であること、上記(2)アのとおりである。
イ 請求人は、請求人のブランドを表示するものとして長年使用している「JUNKO SHIMADA」の文字が本願の指定商品について使用された場合は、これに接する需要者は、著名なファッションデザイナーである「島田順子」を想起、連想するものであるし、原審で示された他人は、請求人とは全く異なる事業に関連する者であるから、これらの者が本願商標に接したとしても、自己の氏名を表したものと考えないから、不快に感じることもないとして、本願商標が登録されたとしても、他人の人格権を毀損するおそれはない旨主張する。
しかしながら、上記(1)イのとおり、商標法第4条第1項第8号について、「他人の名称を含む商標については,・・・出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか,いずれが著名あるいは周知であるといったことは,考慮する必要がないというべきである。」旨判示されていることに照らせば、たとえファッションデザイナーの「島田順子」が、著名あるいは周知であったり、他人が請求人とは異なる事業に関連する者であったとしても、同号の適用に当たっては、これを考慮する必要がないというべきである。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標 ※色彩は原本参照。

別掲2
(1)「三井住友カード」のウェブサイトにおいて、「クレカの基礎知識 クレジットカードの券面。表と裏に書かれている情報の見方」の見出しの下、「(6)登録者名 ローマ字で名前が書かれています。」との記載があり、クレジットカード見本の(6)に該当する欄には、「ICHIRO KOKUSAI」との記載がある。
(https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/knowledge/face-data.jsp)
(2)名刺デザイン会社「スタジオキューブ」のウェブサイトにおいて、「姓名の順」の見出しの下、「世界の人々の名前の形式は、『名-姓』のもの、『姓-名』のもの、 『名』のみのもの、自分の『名』と親の『名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり、 それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものです。・・・名刺にお入れするローマ字でのご要望は、現状では圧倒的に『Taro Yamada』など『名-姓』の順が多いです。」との記載がある。
(http://www.studio-cube.com/bizinfo/rhyouki.html)


審理終結日 2018-06-28 
結審通知日 2018-07-03 
審決日 2018-07-17 
出願番号 商願2016-35197(T2016-35197) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (W182125)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
商標の称呼 エスピイツー、エスピイニ、パートツーバイジュンコシマダ、パートニバイジュンコシマダ、パートツー、パートニ、パート、バイジュンコシマダ、ジュンコシマダ、シマダジュンコ 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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