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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W37 |
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管理番号 | 1343980 |
審判番号 | 取消2017-300315 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-05-10 |
確定日 | 2018-08-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5537689号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5537689号商標の指定商品及び指定役務中、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,空調機械器具の設置工事及び修理,空調設備の保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5537689号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIRSYS」の欧文字を横書きしてなり、平成24年4月25日に登録出願、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,建築用又は構築用のアルミニウム製専用材料,非鉄金属及びその合金,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製金具,金属製建具,金庫,金属製の可搬式家庭用温室」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,空調機械器具の設置工事及び修理,空調設備の保守,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,金属加工機械器具の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、同年11月22日に設定登録されたものである。 なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年5月23日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年5月23日ないし同29年5月22日(以下「要証期間」という場合がある。)である。 第2 本件審判事件に係る手続の経緯 1 本件商標は、上記第1のとおり、「AIRSYS」の欧文字を横書きしてなるところ、被請求人の平成29年7月18日付け答弁書における主張及び証拠方法(乙1、乙2)は、全て「AIRSIS」の文字からなる商標に関するものであり、また、請求人の同年8月31日付け審判事件弁駁書における主張及びその反論も全て「AIRSIS」に関するものであったため、合議体は、同年10月5日付け「審尋」において、被請求人に対し、本件商標「AIRSYS」の使用を証明する書面及び証拠を答弁書として提出するように求めた。 2 そして、被請求人から、上記(1)の審尋に対して、平成29年11月22日付けで「審判事件回答書」が提出されたので、合議体は、請求人に対して、その副本を送付した。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,空調機械器具の設置工事及び修理,空調設備の保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」(以下「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)被請求人は、2013年2月21日頃には本件商標を付した商品の販売活動が行われていたとして乙第3号証を提出しているが、当該日付は要証期間外である。 また、本件商標を付した「商品」がどのようなものかは一切立証がなく、さらに、取消請求役務は、「建築工事」等の役務であることを勘案すれば、どのような商品であっても、取消請求役務では無いことは明らかである。 そのため、乙第3号証をもって、本件商標が、取消請求役務について要証期間に使用されていたとは立証されていない。 (2)被請求人は、本件商標を要証期間に、取消請求役務について使用したことの証拠として、2015年7月28日付のEメール及びその添付資料を乙第4号証の1及び同2として提出している。 しかしながら、Eメールの送信日時は容易に改ざんできるものであり、Eメールによって日付の立証は出来ず(甲7)、また、乙第4号証の3として提出された資料の日付も容易に改ざんできるものである(甲8)。 そのため、いずれの乙第4号証からも、要証期間に本件商標を使用したことは立証されていない。 さらに、乙第4号証が真正なものであるとしても、乙第4号証の1は、Eメールの写しであるところ、本件商標を使用している商品・役務の関係が不明確であり、乙第4号証の2は「遮熱断熱材」についての社内作成資料に、「エアシス」「AIRSYS」を表示しているにすぎず、取消請求役務について商標として使用しているとは認められない。 よって、乙第4号証をもって、本件商標を要証期間内に取消請求役務について使用されていたことは立証されていない。 (3)被請求人は、乙第4号証の補足となる資料として、2017年11月12日付のEメール写しと、平成24年12月25日付の見積書を乙第5号証として提出している。 しかしながら、乙第5号証の見積書は要証期間外であり、また内部でいかようにも作成出来る見積書などの証拠力は極めて低く、さらに、この見積書をもってしても本件商標を取消請求役務のうち何れの役務について使用しているのか全く不明である。 そもそも、上記(2)で述べたとおり、乙第4号証をもって、要証期間に本件商標を取消請求役務について使用していたとは認められないことから、乙第5号証が、本件商標を要証期間に取消請求役務について使用されていたとの補足になることはあり得ない。 乙第5号証のEメールにおいて、被請求人の代表者は「私のYとIの間違いで大変な事になってしまいました。」とのコメントを代理人へ送っていることからも、前回提出の各乙号証に加え、今回提出の各乙号証の信憑性も非常に怪しいといわざるを得ない。 (4)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、取消請求役務について、要証期間に使用されているとは認められない。 第4 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由(平成29年11月22日付け回答書及び同30年2月26日付け答弁書) (1)本件商標の使用について ア 乙第3号証について (ア)乙第3号証は、本件商標を付した商品の販売コンサルティングを行っていた「有限会社マイティーワン」から送信された電子メールの写しである。 この電子メールのタイトルは、「ERSIS 概略資料添付の件」となっており、使用商標の錯誤が見られ、その送信日は2013年2月21日であり、要証期間前の日付となっている。 しかしながら、乙第3号証は、本件商標を付した商品の販売活動が実際に行われていたことを間接的に証明することができる。 すなわち、この電子メールの送信者である「有限会社マイティーワン」は、被請求人からの依頼に基づいて、本件商標を付した商品の販売コンサルティングを行っていた者であり、送信先である「S社長」は、永和床株式会社(大阪府東大阪市)に本件商標を付した商品を販売する際の窓口担当者である。またCCの送信先である「M」氏は、病院関係の建築業者に本件商標を付した商品を販売するための窓口担当者である。 よって、乙第3号証では、件名に錯誤が見受けられ、また予告登録日前3年よりも古い日付となってはいるが、少なくとも電子メールの送信日である2013年2月21日頃において、本件商標を付した商品の販売活動が行われていた事実を証明することができるものである。 (イ)請求人は、乙第3号証について、要証期間外であること及び取消請求役務でないことを反論している。 しかしながら、乙第3号証は、要証期間の使用を補足する間接的な証拠であり、直接的に本件商標の使用を証明するものではない。乙第3号証においても、本件商標は「ERSIS」と誤って記載されているが、少なくとも被請求人以外の者が、本件商標を特定するべく、同じ称呼の「ERSIS」を使用していることをうかがい知ることができる。 イ 乙第4号証について (ア)乙第4号証の1は、乙第3号証と同じように、本件商標を付した商品の販売コンサルティングを行っていた「有限会社マイティーワン」から送信された電子メールの写しである。 ただし、この電子メールは、本件商標を片仮名表記した「エアシス」をタイトル欄に記載しており、また送信日は2015年7月26日(審決注:28日の誤り。以下同じ)であり、本件審判の予告登録日から3年以内の日付となっている。 この電子メールには、乙第4号証の2として提出する「断熱材用の資料」も添付されている。これは、本件商標を本件指定商品及び指定役務について使用している内容となっており、さらに、乙第4号証の3は、「断熱材用の資料」(乙4の2)の詳細情報であり、これにより、上記資料が、K・M氏によって2010年11月22日に作成され、2015年7月28日に更新されたことが示されている。 よって、乙第4号証から、本件商標を取消請求役務について、2015年7月26日に使用していたことが明らかになっている。 (イ)請求人は、乙第4号証の1の電子メールの写し及び乙第4号証の2の詳細である乙第4号証の3について、日時などは容易に改ざんできると反論している。 しかしながら、被請求人は、本件商標の使用実績に関する事実を、当該乙第4号証の書証に基づいて主張しているのである。 そして、請求人は、乙第4号証の3について、「『遮熱断熱材』についての社内作成資料」と主張しているが、被請求人は建築業を営んでおり、当該「遮熱断熱材」を使用した建築工事についても、本件商標を使用している。この事実は、さらに補足的な位置づけで提出する乙第6号証でも確認することができる。 すなわち、乙第6号証は、「エアシス1 成田 くすの木幼稚園施工予定」「エアシス2」に関する資料であり、天井裏の換気を行う施工方法(工法)について「エアシス」を使用している。乙第6号証の日付は、2014年6月25日であり、本件商標を「建築工事」の役務に使用していたことを間接的に証明する資料となっている。 ウ 乙第5号証について (ア)乙第5号証は、被請求人から受信した電子メールと、この電子メールに添付されていた「決定見積書」である。この「決定見積書」は、取消請求役務について、本件商標を使用した内容ではあるが、作成日付が平成24年12月25日であり、要証期間前となっている。 したがって、乙第5号証は、直ちに証拠となり得るものではないが、乙第4号証における使用を補足するための資料として提出する。 実際には多くの営業活動を行っていたのも事実であるが、この電子メールに記載されているように、「この頃使用してた、PCもハードディスクが壊れてしまい・・・当時の情報が少なく提供が難しいです」との状況となっている。 しかしながら、本件商標の使用実績は、上記乙第4号証が示すとおりであるから、これにより、本件商標は取り消されるべきではない。 (イ)請求人は、乙第5号証の電子メールの写しと「見積書」について「乙第5号証の見積書は要証期間外であり、また内部でいかようにも作成できる見積書などの証拠力は極めて低く」との反論をしている。 しかしながら、この「見積書」も実際に「株式会社まるい農園」(以下「まるい農園」という。)に提出したものであり、内部でいかようにも作成できるものではない。 確かに、乙第5号証における「見積書」は、作成日付が平成24年12月25日であり、要証期間前となっているが、被請求人における本件商標の使用の事実を推認させ得るものである。 エ まとめ 上記のとおり、被請求人は、本件商標を、要証期間において、取消請求役務について実際に使用しているものであり、本件商標は維持されるべきものである。 2 合議体からの審尋に対する回答書(平成30年5月19日付け) (1)合議体からの審尋の要旨 被請求人は、乙第5号証において、「内訳明細書」を提出し、その内容によれば、これは、取消請求役務について、本件商標を使用したものである旨を主張しているところ、その作成日である平成24年12月25日は、要証期間の日付ではないものの、その記載内容から、被請求人が、設置工事や接続工事に係る役務を提供していたことがうかがわれる。 そこで、被請求人は、要証期間に本件商標を使用して設置工事や接続工事を行った事実があるのであれば、これを客観的に証明する書面、例えば、「見積書」、「契約書」、「納品書」、「請求書」を提出されたい。 (2)被請求人の主張 被請求人は、乙第5号証に関連して、その見積日(平成24年12月25日)以降における本件商標の使用に関する証拠を、乙第7号証ないし乙第9号証として提出する。 ア 乙第7号証について 乙第7号証は、乙第5号証の見積にかかる建築工事の設計図面(パネル割り図面)であり、その設計日付は平成25年3月3日となっている。そして、この設計図面では図面名に施工工事名である「AIRSYSパネル割り図」として本件商標を使用している。本件商標権者は、この設計図面をもとに、役務の提供を受ける者である「まるい農園」に対して建設工事の役務を提供しているから、これは商標法第2条第3項第6号の商標の使用行為に該当するものである。 なお、乙第7号証も要証期間前であり、これも補足的な証拠といわざるを得ない。 イ 乙第8号証について 乙第8号証は、乙第5号証の見積にかかる建築工事の「工程表」であり、平成25年6月25日から平成25年7月25日までの期間で実施する工程が記載されている。この乙第8号証も要証期間外であることから補足的な位置づけでしかないが、設置工事の工程について「エアシス」の商標を使用しており、さらにダクトの配管工事についても「エアシス」の商標を使用して、他の配管工事とは異なる本件商標権者の役務であることを識別するために使用されている。 よって、本件商標権者は、この工程表をもとに、役務の提供を受ける者である「まるい農園」に対して建設工事の役務を提供しているので、これは商標法第2条第3項第6号の商標の使用行為に該当するものである。 ウ 乙第9号証について 乙第9号証は、乙第5号証の見積にかかる建築工事の「請求書」であり、平成25年7月25日に発行しており、その工事件名には、施主である「まるい農園」に続いて、エアシスで特定される設備設置工事を示す「エアシス設備設置工事」を明示している。そして、この建設工事に使用する設備や機材についても「エアシス」の用語を使用している。 よって、かかる行為は建設工事の役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物である設備を構成する設備や機材に標章を付したものを用いて役務を提供しているので、商標法第2条第3項第4号の使用行為に該当するものである。 なお、乙第9号証も要証期間前であり、補足的な証拠といわざるを得ない。 エ その他 以上のとおり、先に提出した乙第5号証に関連する乙第7号証ないし乙第9号証は、何れも要証期間外の資料ではあるが、本件商標を、建設工事に実際に使用していたことをうかがい知ることができるものである。 このような使用の実績は、要証期間においては、先の乙第6号証に示すように、成田市の「くすの木幼稚園」の施工予定でも使用している。 さらに、パソコンデータが損壊しながらも僅かに残っていた証拠の中において、乙第3号証及び乙第4号証に示すように、有限会社マイティーワンのM氏とともに、営業活動を行うなど商標法第2条第3項第8号の商標の使用行為を行っているので、本件商標は実質的に要証期間に建設工事に使用していたものと認めることができるものである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。 (1)乙第4号証の1は、2015年(平成27年)7月28日を送信日とする、有限会社マイティーワンから被請求人の社長に宛てたメールを、2017年(平成29年)11月12日に、該社長から代理人へ送信したメールの写しである。 これには、該社長宛のメールの表題として、「エアシス断熱材資料」と記載され、また、「・・・断熱材用の資料添付いたします。」の記載がある。 乙第4号証の2は、「特許取得済/エアシス遮熱断熱材の概要」を表題とする印刷物であり、その表紙には「AIRSYS」の文字及び「株式会社 タカショー」の表示があり、また、2葉目以降には、「エアシス遮熱断熱材の特徴」の表題の下、当該商品について、用途に応じて組み合わせが可能であること、材質の種類が「プラスチック、アクリル、ポリカーボネイト」などであること、高い遮熱効果と断熱効果を併せ持つミルフィーユ構造であること等の商品の紹介が記載され、各頁の右上に「AIRSYS」の文字が表示されているが、その作成日の記載はない。 乙第4号証の3は、乙第4号証の2に係る「断熱材用の資料」の詳細情報とされるものであり、「情報/エアシス遮熱断熱材概要書 2015 7」の表題の下、データのサイズ、スライド数等の項目が表示され、「関連する日付」として「更新日時」には「2015/07/28」、「作成日時」として「2010/11/22」の表示がある。 (2)乙第5号証は、被請求人から代理人宛に送信された電子メールの写し及び当該メールに添付されていた決定見積書とされるものである。 そして、その2葉目及び3葉目は、被請求人が「まるい農園」宛てに、平成24年12月25日付けで作成した「内訳明細書」であって、「下記の通り御見積申し上げます。」の記載とともに、「工事件名」として「まるい農園AIRSYS設備設置工事」の表示がある。 また、見積金額の下部には「名称」、「単位」、「数量」、「単価」、「金額」及び「備考」の項目からなる表があり、「名称」欄には、「1.AIRSYS・ロスナイ配管部材」、「2.AIRSYS・ロスナイ取付・施工費」、「3.AIRSYS内エアーポンプ接続工事」、「4.AIRSYSタンク設置工事」及び「6.AIRSYSパネル工事」などの記載がある。 (3)乙第6号証は、「エアシス1 成田 くすの木幼稚園施行予定」及び「エアシス2」に関する資料とされる何らかの建物の図面と、手書きで簡単な説明及びコメントが記載された書面であり、書面の右下には、「(株)タカショー/藤井」の表示があるが、本件商標の表示はない。 (4)乙第7号証は、「シンプルライン建築設計室」が作成した、乙第5号証にかかる建築工事の「設計図面(パネル割り図面)」であり、「名称」欄には「まるい農園新工場計画」、「図面名」欄には「AIRSYSパネル割り図」の表示があり、その設計日は「平成25年3月3日」である。 (5)乙第8号証は、乙第5号証にかかる建築工事の「工程表」であり、「まるい農園工程表」、「AIRSYSパネル 予定工程表」、「2013/6/25?7/25」及び「株式会社 タカショー」の表示がある。 (6)乙第9号証は、乙第5号証にかかる建築工事の「御請求書」であり、被請求人が「まるい農園」宛てに、平成25年7月25日付けで作成したものであって、乙第5号証の「内訳明細書」と同様の内容であるが、これには、「エアシス」の文字は記載されているものの、「AIRSYS」の文字の記載はどこにも認められない。 2 判断 (1)使用役務について 被請求人は、本件商標を、「建設工事」に使用していると主張している。 しかしながら、「特許取得済/エアシス遮熱断熱材の概要」(乙4の2)は、「遮熱断熱材」の特徴等を説明した資料であり、該遮熱断熱材を「エアシス遮熱断熱材」及び「エアシス遮熱材」と記載しているものであって、各頁の右上に表示されている「AIRSYS」の文字は、該遮熱断熱材に使用されているということができても、建設工事に使用しているとみることはできない。 そして、「内訳明細書」(乙5)には、「まるい農園AIRSYS設備設置工事」、「AIRSYS・ロスナイ配管部材」、「AIRSYS・ロスナイ取付・施工費」、「AIRSYS内エアーポンプ接続工事」、「AIRSYSタンク設置工事」及び「AIRSYSパネル工事」の記載があるものの、これらの表示は、「まるい農園の『AIRSYS設備』の設置工事」、「『AIRSYS』と『ロスナイ』の配管部材」、「AIRSYS内のエアーポンプの接続工事」、「『AIRSYSタンク』の設置工事」及び「『AIRSYSパネル』の工事」等と理解できるものであり、使用商標を付した建築部材を使用した工事、あるいは使用商標を付した建築部材から構成される設備を設置する工事について、その工事名の一部に当該商品の名称として「AIRSYS」の文字(使用商標)を組み込んだものにすぎない。 そうしてみると、使用商標は、当該工事に使用される建築部材の名称を表示する商品名として理解されるものであって、上記各工事に係る役務の名称として認識されるとはいえないものである。 してみれば、使用商標は、商品である「建築部材」の名称として使用されていたといえるものの、「建設工事」等の取消請求役務について使用されていたものと認めることができないものである。 (2)小括 上記(1)によれば、要証期間に、被請求人(商標権者)が、「建設工事,建築工事に関する助言,空調機械器具の設置工事及び修理,空調設備の保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」の役務に本件商標を使用したものと認めることができない。 してみれば、商標の使用時期等に言及するまでもなく、被請求人(商標権者)が、取消請求役務について、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用したものと認めることができない。 その他、被請求人(商標権者)が、取消請求役務について、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用したことを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 被請求人の主張 被請求人は、「被請求人は建築業を営んでおり、当該『遮熱断熱材』を使用した建築工事についても、本件商標を使用している。この事実は、・・・乙第6号証でも確認することができる。」旨を主張している。 しかしながら、乙第6号証は、「エアシス1成田 くすの木幼稚園施行予定」及び「エアシス2」に関する資料とされる何らかの建物の図面と思しきものであるところ、これがいかなるものであるかが明らかでなく、これをもっていかなる役務を提供したのか明らかではなく、かつ、乙第6号証には、本件商標の表示はないものであるから、これをもって、被請求人が、「建築工事」の役務に本件商標を使用したということはできないものである。 したがって、被請求人の上記主張は認めることができない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定役務である、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,空調機械器具の設置工事及び修理,空調設備の保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、上記取消請求役務についての登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-06-11 |
結審通知日 | 2018-06-13 |
審決日 | 2018-07-02 |
出願番号 | 商願2012-33441(T2012-33441) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W37)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 椎名 実 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 山田 正樹 |
登録日 | 2012-11-22 |
登録番号 | 商標登録第5537689号(T5537689) |
商標の称呼 | エアシス |
代理人 | 鈴木 亜美 |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 和田 光子 |
代理人 | 黒沼 吉行 |