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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y42
管理番号 1343972 
審判番号 取消2017-300784 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-10-17 
確定日 2018-08-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4941075号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4941075号商標(以下「本件商標」という。)は,「B-tech」の欧文字を標準文字で表してなり,平成17年3月9日に登録出願,第35類「広告,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として,同18年3月31日に設定登録,その後,同27年10月27日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年10月31日にされたものである。
また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成26年10月31日から同29年10月30日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定役務中,第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証を提出した。
本件商標は,その指定役務中,上記の指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人の答弁に対し,何らの意見も述べていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を,審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)及び「疎乙第3号証」及び「疎乙第4号証」(注:「疎」の付された号証を,先に提出した証拠に続けて,以下「乙第4号証」及び「乙第5号証」という。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,本件商標を,第42類の指定役務「電子計算機用プログラムの提供」について現に使用している。
(1)B-techについて
本件商標「B-tech」は,被請求人の社内カンパニーであり,半導体等の電子機器の構成部品や電子機器に組み込まれるプログラムの提供,設計などを主に取り扱う部門である「ブリリアント テクノロジー カンパニー(Brilliant Technology Company)」の別称として,商標権者によって永年に渡り使用されてきた商標である。
(2)商標使用者
本件商標は,被請求人による事業部門の一つである「ブリリアント テクノロジー カンパニー(Brilliant Technology Company)」が用いるものであるから,本件商標の使用者は被請求人自身である。「ブリリアント テクノロジー カンパニー(Brilliant Technology Company)」が被請求人による社内カンパニーである旨は,乙第1号証及び同第1号証の2として提出する証拠に記載されたとおりである。
(3)使用証拠
乙第2号証として提出する証拠は,「B-tech」ブランドとして販売される商品又は提供されるサービスを紹介したパンフレットである。
このうち,「Mpression」は,半導体デバイスの開発・設計,ものづくり支援,ネットワークセキュリティなどの広範な役務に関して使用されるものであり,ネットワークセキュリティの強化に関連して,「Mpression Cyber Security Service」として,ソフトウェアの提供も行われている。
すわなち,商標権者は,本件商標「B-tech」に含まれるブランドのうち「Mpression」に関して,第42類「電子計算機用プログラムの提供」に関する役務の提供を行っており,当該役務に関する広告に標章を付して展示・頒布するとともに,電磁的方法によって提供を行っている。
かかる広告における本件商標の使用は,商標法第2条第3項第8号に規定される商標の使用行為に該当する。
また,乙第2号証は,その1頁目に「2017-2018」と記載されているとおり,2017年から2018年にかけて使用されているパンフレットであり,本件不使用取消審判における要証期間内に被請求人のホームページにて掲載されたものである。
2 被請求人の回答書
(1)審尋(平成30年2月14日付)の要旨
乙第2号証には「『半導体デバイスの開発設計』,『モノづくり支援』,『ネットワークセキュリティ』などの幅広い課題,アイディアから開発,製品化までいたる様々なフェーズに応じた,サービス及びシステムレベルソリューション」,「設計・開発ソリューション」,「IP(ソフトウェア/ハードウェア)」等と記載されているが,その業務の内容と指定役務「電子計算機用プログラムの提供」との関係が不明である。
(2)被請求人からの回答書(平成30年3月16日付け)
乙第4号証は,被請求人ホームページにおける,「Mpression」ブランドうち「Mpression Threat Intelligence Platform」に関する説明ページである。
同ソフトウェアは,専用ポータルサイトにおいて,疑わしいファイルやURL,IPアドレス等を検索することで,標的型攻撃かの観点で脅威インテリジェンスを照合し,脅威レベルを即時に確認することを可能とするものである。
このようなソフトウェアを提供する役務は,第42類の指定役務「電子計算機用プログラムの提供」に該当し,被請求人の「B-tech」に含まれるブランドのうち「Mpression」に関する業務の内容と,指定役務「電子計算機用プログラムの提供」との関係が立証されたものである。
乙第5号証は,「Mpression Threat Intelligence Platform」が,要証期間内である2017年5月31日から使用されていた事実を示すプレスリリースを掲載した電子版「日本経済新聞」のプリントアウトである。
乙第2号証は,要証期間内に発行され,電磁的方法によって提供された「Mpression」も含まれる本件商標「B-tech」に関する広告であることから,これらの証拠によって,被請求人が第42類「電子計算機用プログラムの提供」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及びその主張によれば,以下とおりである。
(1)乙第1号証は,被請求人ホームページにおける「ブリリアント テクノロジー カンパニー」に関する説明頁である。
そして,これには,「弊社は社内カンパニー制を導入しております。ブリリアント テクノロジー カンパニーは株式会社マクニカのディビジョンカンパニーです。」,その下に,「カンパニー名 ブリリアント テクノロジー カンパニー」,「事業所 〒222-8561横浜市港北区新横浜1-6-3マクニカ第1ビル」の記載がある。
(2)乙第1号証の2は,「iPROS製造業」のウェブページにおける,「最終更新日:2011/01/29」と記載された「マクニカ ブリリアントテクノロジーカンパニー B-tech」の紹介記事であり,「Brilliant Technologies Company」,「株式会社マクニカ ブリリアントテクノロジーカンパニー」の記載とともに,「マクニカ ブリリアントテクノロジーカンパニー B-techのホームページへ」のリンク表示がある。
(3)乙第2号証は,被請求人のホームページで公開されている「B-tech」ブランドのもとで販売される商品又は提供されるサービスを紹介したパンフレットである。
そして,そのパンフレットの表紙上部には,レタリングされた「B-tech」の文字とともに,「from MACNICA」及び「2017-2018」の記載がある。
また,その2頁には,「Macnica Corporate Data」の見出しのもと,「■会社名 株式会社マクニカ MACNICA, Inc.」「■設立 1972年10月30日」「■代表者 代表取締役社長 中島潔」「■資本金 111億9,426万円(2017年3月31日現在)」「■事業内容 半導体・集積回路などの電子部品の輸出入、販売、開発、加工」及び「電子機器並びにそれらの周辺機器および付属品の開発、輸出入、販売」の記載がある。
その下には,「マクニカグループ組織体制」の図において,「支社 営業所」の一として「ブリリアント テクノロジー カンパニー」の記載がある。
その3頁には,「Mpression」の項目のもと,「Mpressionでは、『半導体デバイスの開発設計』『IoT』『モノづくり支援』『ネットワークセキュリティ』などお客様の幅広い課題、アイディアから開発・製品化にまでいたる様々なフェーズに応じた、サービス及びシステムレベルソリューションを提供します。」の記載があり,また,「◆設計・開発ソリューション」として「・IP(ソフトウェア/ハードウェア)」の記載がある。
(4)乙第3号証は,被請求人ホームページにおける「Mpression Cyber Security Service」に関する説明頁であり,「Mpression Cyber Security Service」の見出しの下,「2017.05.09」の記載とともに,「この度、Mpressionが提供を開始する『クイックトリアージサービス』は、お客様環境でマルウェアを検知した際、弊社にてマルウェア解析ツールおよび、インテリジェンスやセキュリティデータベースとの照合を行い、マルウェアの緊急度を一定期間内に判定するとともに、マルウェアの動作を調査し、マルウェアの概略及び解析結果を迅速に報告するサービスです。」の記載がある。
(5)乙第4号証は,被請求人ホームページにおける「Mpression Threat Intelligence Platform」に関する説明頁であり,「Mpression Threat Intelligence Platform」の見出しの下,「Mpression Threat Intelligence Platformのご利用は、専用ポータルにて、疑わしいファイル、URL/FQDN/IPアドレスを入力いただくことで標的型攻撃かどうかの観点で脅威レベルを即時に無償で判定いたします。」の記載がある。
(6)乙第5号証は,2017年5月31日付けの電子版「日本経済新聞」における,「マクニカネットワークス,『Mpression Threat Intelligence Platform』を提供開始」と題するプレスリリースにおいて,「発表日:2017年5月31日」として,マクニカネットワークス株式会社が,独自のサイバーセキュリティサービス「Mpression Threat Intelligence Platform」の提供を開始した旨の記載とともに,「マクニカネットワークス会社概要」として,「マクニカネットワークスは、・・・ネットワーク機器・ソフトウェアを提供する技術商社です。」「※株式会社マクニカ100%出資子会社」等の記載がある。
2 判断
(1)被請求人の使用商標について
乙第1号証及び乙第2号証によれば,被請求人は,社内カンパニー名である「ブリリアント テクノロジー カンパニー」に由来する「B-tech」ブランドとして提供される役務を紹介するパンフレットを作成し,ホームページに掲載しているところ,当該パンフレットの表紙には,レタリングされた「B-tech」の文字(以下「使用商標」という。)が表示されている(乙2)。
(2)使用役務について
乙第2号証のパンフレットの2頁には,被請求人の事業内容として「半導体・集積回路などの電子部品の輸出入、販売、開発、加工」及び「電子機器並びにそれらの周辺機器および付属品の開発、輸出入、販売」と記載されており,同パンフレットの3頁には,「B-tech」のサブブランドと理解される「Mpression」の項目のもと,「『半導体デバイスの開発設計』『IoT』『モノづくり支援』『ネットワークセキュリティ』などお客様の幅広い課題、アイディアから開発・製品化にまでいたる様々なフェーズに応じた、サービス及びシステムレベルソリューションを提供します。」と記載されており,さらに,乙第3号証ないし乙第5号証に係るカタログ,ホームページ及びウェブ記事の記載内容によれば,被請求人は,「B-tech」のサブブランドのもとにおいて,「専用ポータルサイトにおいて,疑わしいファイルやURL,IPアドレス等を検索することで,標的型攻撃かの観点で脅威インテリジェンスを照合し,脅威レベルを即時に確認することを可能とするソフトウェアの提供」を行っているものと判断できる。
そして,これらの役務は,いずれも,本件商標の指定役務中「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうに含まれるものであるから,被請求人は,「電子計算機用プログラムの提供」を行っているものといえる。
(3)本件商標と使用商標との社会通念上の同一について
本件商標は,前記第1のとおり,「B-tech」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字からは,「ビーテック」の称呼を生じ,また,特定の観念を生じないものである。
そして,使用商標は,上記(1)のとおり「B-tech」の文字からなり,本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(4)使用商標の使用時期について
乙第2号証のパンフレットの表紙には,「2017-2018」と記載されており,2017年から2018年にかけて使用されていたパンフレットであると理解され,少なくとも要証期間が終了する2017年(平成29年)10月30日までに作成,公表されていたと考えるのが自然である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば,本件商標の使用者である被請求人(商標権者)は,要証期間内である2017年(平成29年10月30日まで)に本件審判請求に係る指定役務「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうに含まれる「専用ポータルサイトにおいて,疑わしいファイルやURL,IPアドレス等を検索することで,標的型攻撃かの観点で脅威インテリジェンスを照合し,脅威レベルを即時に確認することを可能とするソフトウェアの提供」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標をパンフレット(広告)に表して頒布したものと推認することができる。
そして,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告」に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が,その請求に係る指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-06-18 
結審通知日 2018-06-20 
審決日 2018-07-05 
出願番号 商願2005-20440(T2005-20440) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
鈴木 雅也
登録日 2006-03-31 
登録番号 商標登録第4941075号(T4941075) 
商標の称呼 ビイテック、テック、テク 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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