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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25
管理番号 1343165 
審判番号 取消2017-300635 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-08-24 
確定日 2018-08-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5163790号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5163790号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成20年2月18日に登録出願,第25類「下着,トランクス,アンダーウェアー,アンダーパンツ,アンダーシャツ,洋服,帽子」を指定商品として,同20年9月5日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年9月6日にされたものである(以下,本件審判の請求の登録前3年以内を「本件要証期間内」という。)。

2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第25類「下着,トランクス,アンダーウェアー,アンダーパンツ,アンダーシャツ,洋服」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,本件審判の請求に係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 本件商標と被請求人使用の商標の同一性について
被請求人は,本件商標と社会通念上同一の商標に当たる標章として,本件商標とは異なる「BELLO」の欧文字をゴシック体風の書体で表した標章(以下「被請求人使用標章1」という。)又は「Bello」の文字を標準文字に準じる書体により表した標章(以下「被請求人使用標章2」という。また,被請求人使用標章1及び2を併せて「被請求人使用標章」という。))を挙げる。
しかし,被請求人使用標章は,いずれも本件商標と社会通念上同一ではない。
(ア)本件商標の構成
本件商標の外観は,別掲のとおり,特徴的なデザインで「Bello」を図形化した標章であり,「Bello」という欧文字は特定の観念を生じないし,特定の称呼も生じない。
(イ)被請求人使用標章1
被請求人使用標章1は,ゴシック体風の「BELLO」という標章であるところ,本件商標の特徴的なデザインにより図形化された態様とゴシック体風の標章であるという点において本件商標と同一とはいえない。
また,「Bello」ないし「BELLO」という単語はイタリア語であるところ,当該単語は我が国内において広く知られているものではないため,その文字の形状による自他識別機能は大きく,文字の形状が異なる以上,需要者が看取する印象は大きく異なるものである。
加えて,被請求人使用標章1と本件商標とは,いずれも特定の観念を生じるものではなく,かつ,特定の称呼を生じるものではない。
したがって,被請求人使用標章1と本件商標とは,外観から生じる印象が大きく異なり,かつ,特定の称呼及び観念を生じるものではないため,商標として類似すらせず,社会通念上同一ということはできない。
(ウ)被請求人使用標章2
被請求人使用標章2については,「Bello」の欧文字の使用である。
被請求人使用標章2と本件商標を比較するに,被請求人使用標章2は,「Bello」の欧文字であり,「Bello」という文字を伝達するだけの態様となっている。他方,本件商標は,デザイン化された1つの図形として,線が流れるようにつながっており,細く,古典的で上品な印象を生じるものである。したがって,被請求人使用標章2と本件商標との態様から生じる印象は大きく異なる。また,「Bello」ないし「BELLO」という単語はイタリア語であるところ,当該単語は我が国内において広く知られているものではないため,その文字の形状による自他識別機能は大きく,文字の形状が異なる以上,需要者が看取する印象は大きく異なるものである。
加えて,被請求人使用標章2と本件商標とは,特定の観念を生じるものではなく,かつ,特定の称呼を生ずるものではない。
したがって,被請求人使用標章2と本件商標とは,外観から生じる印象が大きく異なり,かつ,特定の称呼及び観念を生じるものではないため,商標として類似するかどうかの議論を呼ぶことはあっても,社会通念上同一ということはできない。
イ 被請求人によるタグ付け行為について
被請求人は,本件商標ないしは被請求人使用標章1を付した紙製タグ(以下「本件各紙タグ」という。)を,トランクスについては平成26年10月8日から,下着(レギンス)については同27年2月10日から,ボクサーパンツについては同28年6月24日から,それぞれ現在に至るまで付していたこと(乙30)により本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを主張している。
しかし,請求人が平成29年9月1日にアマゾンにおいて購入した被請求人の販売する帽子には,被請求人が主張する本件各紙タグはいずれも付されていなかった(甲2)。
また,請求人が平成29年11月17日にアマゾンにおいて購入した被請求人の販売する帽子(甲3)及び同月20日に楽天において購入した被請求人の販売するニット帽,ボクサーパンツ及びネックウォーマー(甲4)には,いずれも被請求人が主張する本件各紙タグが付されていたが,本件各紙タグのうち,被請求人使用標章1が付されたもの全ての裏には,「原材料 PVC 100%/取り扱い上の注意/火のそばに置かないで下さい/バックル部分の塗装は衝撃等により傷がつきやすいので取り扱いには十分注意してください」との記載があった(甲5?8)。請求人が購入した商品は,帽子が綿(甲5),ニット帽がアクリル及びウール(甲6),ボクサーパンツがポリエステル,ポリウレタン及び綿(甲9),そして,ネックウォーマーがウール,アクリル,ナイロン,ポリエステル,綿及びポリウレタン(甲8)を材料とするものであることから,被請求人従業員が購入した帽子に付されていた被請求人使用標章1の付された本件各紙タグは,明らかに他の商品に付されていた取扱い上の注意喚起の紙製タグを転用したものである。
加えて,請求人が平成29年11月17日及び同月20日にそれぞれアマゾン及び楽天において購入した被請求人の商品には,上記のとおり本件各紙タグが付されていたが,本件各紙タグのうち被請求人使用標章1の付された紙製タグの付し方は,ボクサーパンツについてのものを除いて,各写真(乙30)のものとは大きく異なり,本件商標の付された紙タグの穴にさらにタグピンを通すことにより付されていた(甲5?8)。そうすると,本件各紙タグは,既に付されていた他のタグに事後的に付されたものと考えるのが自然である。
また,被請求人はTシャツにも本件各紙タグを付していたと主張するが(乙30),被請求人が平成29年1月29日より掲載しているという楽天市場のウェブページにおいては,被請求人使用標章1を付した紙製タグは確認できない(乙27)。
そして,上記の事実からは,被請求人が,本件審判請求を受けて,被請求人の販売する商品に,あたかも従前から本件商標ないしは被請求人使用標章1を被請求人の商標として使用していたかのような事実を作出する目的で,あわてて本件各紙タグを付けようとしたものの,平成29年9月1日に被請求人従業員が購入した商品にまで本件各紙タグをつけるだけの時間的余裕がなかったことから,本件各紙タグのない商品が被請求人従業員の手元に届いたこと,また,時間がないために新たなタグを作成することができず,他の取扱い上の注意喚起のタグにシールを貼って流用し,既に商品につけられていた他のタグの穴にタグピンを通すことによって,簡易に本件各紙タグを付し始めたと考えることが自然である。
また,ボクサーパンツ及び下着(レギンス)については,本件各紙タグが1つのタグピンに付されていたが,使用されていたタグピンは乙第30号証とは異なるほか,乙第30号証からも明らかであるように,本件商標の付されたタグは他の商品とは異なるものであった。ボクサーパンツ及び下着自体には被請求人使用商標1のみが元々ウエスト部分に付されているところからすると,ボクサーパンツ及び下着には,元々本件各紙タグは付されていなかったところ,本件審判請求を受けて,他の商品用のタグを流用することにより,簡易に本件各紙タグを付し始めたと考えることが自然である。
したがって,被請求人は,少なくとも平成29年9月1日の時点まで,本件各紙タグを指定商品に付してはいなかったことが強く推認されるのである。
また,トランクスについては,本件各紙タグを付した証拠は一切存在しない。すなわち,被請求人がトランクスに本件各紙タグを付したとする証拠は,被請求人が「ボクサーパンツ」と説明する商品の写真である。
したがって,トランクスには本件各紙タグは付されていない。
以上より,被請求人は,そもそもトランクスに被請求人が付したと主張する,本件各紙タグを付したことはなく,また,その他の商品についても,本件審判請求を受けて,被請求人があたかも従前から本件各紙タグを商品に付して販売していたかのような偽装工作をしているにすぎない。
ウ 被請求人主張の間接事実
被請求人は,「その他の間接事実」として,本件審判の請求の登録後の平成29年9月における靴下及びTシャツの販売の事実を主張するが,これらの事実は,いずれも本件要証期間内の事実でないから,本件商標の取消しを免れるに足りない。
エ 使用商品について
被請求人が「トランクス」としてあげる下着(乙14(3枚目))は,アマゾンにおいて,「服&ファッション小物>メンズ>下着・インナー>ボクサー」というカテゴリとして登録されており(甲10),「ボクサーパンツ」の範ちゅうに入るものであり,「トランクス」ではない。
また,「ボクサーパンツ」は「トランクス」の範ちゅうに入るものではない。
オ まとめ
以上のとおり,被請求人使用標章は,本件商標と社会通念上同一とはいえず,かつ,被請求人による本件各紙タグをトランクス及び洋服に付する行為は,本件要証期間内において存在しないから,少なくとも,本件商標の指定商品中「第25類 トランクス,洋服」についての登録は取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第50号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標権者について
ア 本件商標権者は,平成21年7月1日に「Karma(カルマ)」という屋号で服飾雑貨の製造・輸入・卸・OEM生産の事業を開始した(乙1,2)。
そして,本件商標権者は,上記事業のホームページを制作し,公開するとともに,帽子,トランクス,下着,かばん等の服飾雑貨につき,オリジナルブランドである「Bello」を商標として,商品等に付す等して卸売販売等の取引を行ってきた(乙2)。
イ 本件商標権者は,楽天市場の店舗のウェブページからも直接,一般消費者に対して本件商標が付された商品等を販売している(乙2)。さらに,本件商標権者は,アマゾンにおいても,「Boutique De Bonheur(ブテッイック・ド・ボヌール)」と題する本件商標権者の店舗にて出店し,直接,一般消費者に対して本件商標が付された商品等を販売している(乙19)。
(2)本件商標の指定商品における使用について
ア トランクスの小売店への販売
(ア)本件商標権者は,平成26年10月8日に,「Bello」の標章が付された商品番号「B-001 Bello千鳥格子」及び「B-002 Bello パイソン」に係る商品「トランクス」を,株式会社ファイブに納品した(乙8?10)。
当該商品は,本件商標権者が毎年半期ごとに作成し,取引先である小売店に配布していた商品カタログ「Bello 2013 Spring&Summer Collection」に,写真とともに掲載されている(乙14の3頁)。
本件商標権者の商品には,そのタグに本件商標が付されており,トランクスについてもタグが付されている(乙30の項番6-1)。
(イ)商標の使用者及び使用時期について
本件商標権者は,平成26年10月8日,株式会社ファイブに商品「トランクス」を納品したのであるから,本件要証期間内に本件商標を使用したことは明らかである。
(ウ)使用商品について
上記(ア)において使用している商品「トランクス」は,本件審判の請求に係る指定商品「下着,トランクス」の範ちゅうに含まれる商品である。
(エ)使用商標について
商品「トランクス」の写真の上部のゴムの部分に記載された標章及び当該商品のパッケージに付された筆記体の「Bello」の標章(乙14の3頁の下部右端の写真)は,本件商標と同一の商標である。また,当該商品の写真(乙30の項番6-1)には,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標がタグとしても付されている。
(オ)小括
以上より,上記の本件商標権者による本件商標の使用行為は,本件要証期間内に本件審判請求に係る中の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為(商標法第2条第3項第2号)」に該当することは明らかである。
イ 下着(レギンス)の楽天市場での販売
(ア)本件商標権者は,「Bello」の標章が付された商品番号「BL-005」に係る商品「レギンス」1個を,楽天市場において一般消費者から受注し,平成27年2月12日に,宅配便で送付した(乙16,17)。
当該商品は,本件商標権者が毎年半期ごとに作成し,取引先である小売店に配布していた商品カタログ「Bello 2014 Spring&Summer Collection」に写真とともに記載されている(乙18)。
当該商品は,そのタグに本件商標が付されている(乙30の項番6-2)。
また,本件商標権者は,平成23年10月には,レギンス,トランクス,Tシャツ,靴下等を含むアンダーウェアーについてのプラスチック製のパッケージのデザインを依頼して,これらのアンダーウェアーのパッケージデザインを作製してもらい,現在に至るまでこれを上記のアンダーウェアーを販売する際に包装容器として用いている(乙30の項番6-2,同8-1,同8-2)。
(イ)商標の使用者及び使用時期について
本件商標権者は,楽天市場において一般消費者から商品「レギンス」の注文を受け,本件要証期間内である平成27年2月12日に発送した。
(ウ)使用商品について
上記(ア)において使用している商品「レギンス(LEGGINGS)」は,本件審判の請求に係る指定商品「下着」の範ちゅうに含まれる商品である。
(エ)使用商標について
受注明細票(乙16)の商品名に記載された「Bello」の標章,レギンス(乙18)のゴムの部分の「BELLO」の標章,アンダーウェアーについてのプラスチック製のパッケージの包装容器に付された「BELLO」の標章(乙30の項番6-2,同8-1,同8-2)は,本件商標とアルファベットの書体や文字の大きさが異なるのみで同一のつづりであり,同一の称呼を生じるものであるから,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標である。
(オ)小括
以上より,本件商標権者による上記の本件商標の使用行為は,本件要証期間内に本件審判請求に係る中の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為(商標法第2条第3項第2号)」に該当することは明らかである。
ウ ボクサーパンツの楽天市場での販売
(ア)本件商標権者は,商品番号「BU-001」に係る商品「ボクサーパンツ」1個を,楽天市場において一般消費者から受注し,平成27年6月24日に発送した(乙48,49)。
当該商品は,本件商標権者が毎年半期ごとに作成し,取引先である小売店に配布していた商品カタログ「BELLO UNDER WEAR COLLECTION」に写真とともに記載されている(乙29)。
当該商品は,そのタグに本件商標が付されている(乙30の項番6-1)。
(イ)商標の使用者及び使用時期について
本件商標権者は,本件要証期間内である平成27年6月24日に,楽天市場において一般消費者から商品「ボクサーパンツ」を受注し,同日に発送した。
(ウ)使用商品について
上記(ア)において使用している商品「ボクサーパンツ」は,本件審判の請求に係る指定商品「下着,トランクス」の範ちゅうに含まれる商品である。
(エ)使用商標について
商品カタログ(乙29の2頁)の写真のボクサーパンツのゴムの部分に付された「BELLO」の標章は,本件商標とアルファベットの書体や文字の大きさが異なるのみで同一のつづりであり,同一の称呼を生じるものであるから,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標である。
(オ)小括
以上より,本件商標権者による上記の本件商標の使用行為は,本件要証期間内に本件審判請求に係る中の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為(商標法第2条第3項第2号)」に該当することは明らかである。
エ その他の間接事実(平成29年9月におけるTシャツの楽天市場での販売)
本件商標権者は,楽天市場において一般消費者から商品「Tシャツ」を受注し,平成29年9月25日に発送した(乙25,26)。
(3)商品に関する広告等に標章を付して展示等する行為による「使用」(商標法2条3項8号)について
ア 商品カタログの作成,頒布及び使用時期について
本件商標権者は,「Bello」の標章を使用したトランクス,レギンス,ボクサーパンツを掲載した商品カタログ(乙14,15,18,44,7,45?47)を毎年半期ごとに作成し,取引先である小売店に広告,及び価格表の役割で配布していた。
本件商標権者は,取引先である株式会社クロップに対して,平成26年2月から現在に至るまで本件商標権者の商品カタログを配布していた(乙42,43)。
イ ホームページや楽天市場における広告
(ア)本件商標権者は,「Bello」の標章を使用した帽子,トランクス等の下着などの服飾雑貨を掲載したホームページを制作し,商品の宣伝広告をするとともに商品を販売している(乙2,28)。
本件商標権者は,楽天市場の店舗のウェブページにおいても,直接,一般消費者に対して本件商標が付された商品等を販売しており(乙2),楽天の「みんなのレビュー」というページにおいて,本件商標権者の楽天市場における店舗「Boutique de Bonheur(ブテッイック・ド・ボヌール)」のショップレビューとして,本件商標権者の販売するボクサーパンツについて,平成27年6月26日付で購入者からコメントが寄せられている(乙28)。
本件商標権者は,楽天ショップの更新・制作代行を行っている株式会社対策室(乙34)に依頼をし,「Bello」の標章を使用した靴下及びTシャツについての宣伝広告及び商品販売のウェブページを制作代行,更新をしてもらい,同ページが平成29年1月30日以降現在に至るまで,上記ウェブ上で公開されている(乙33,35)。
(イ)商標の使用者及び使用時期について
本件商標権者は,本件要証期間内である平成29年1月30日以降,現在に至るまで商品に関する広告,価格表等に標章を付して電磁的方法により提供した。また,本件商標権者は,本件要証期間内である平成27年6月26日時点に,商品「ボクサーパンツ」に関する広告等に本件商標を付して電磁的方法により提供した。
(ウ)使用商品について
これらのウェブページに記載された商品は,Tシャツ,ボクサーパンツであり,本件審判の請求に係る指定商品「下着,トランクス,アンダーシャツ,洋服」の範ちゅうに含まれる商品である。
(エ)使用商標について
これらのウェブページに記載された商品であるTシャツに付された「Bello」の標章や商品名としてウェブページに付された「Bello」の標章(乙33,35),ボクサーパンツのゴムの部分に付された「BELLO」の標章(乙28)は,本件商標と同一又は社会通念上同一である。
(オ)小括
本件商標権者の上記の行為は,本件要証期間内に本件審判請求に係る中の「使用商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)」に該当する。

4 当審の判断
(1)証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者について
(ア)本件商標権者は,個人事業主であり,帽子,ベルト,サングラス,マフラー等の服飾雑貨の輸入・卸しの事業を,屋号を「Karma(カルマ)」の名称で,平成21年7月1日に開業した(乙1)。
(イ)本件商標権者は,平成26年9月27日に,インターネット上のショッピングサイトである「楽天市場」において,「Boutique de bonheur(ブティック・ド・ボヌール)」と称する店舗(以下「本件店舗」という。)を開設した(乙2の12葉目及び14葉目)。
イ 商品「レギンス」への使用について
(ア)本件店舗は,平成27年2月10日に,「愛知県名古屋市中村区」在住の者(以下「本件注文者」という。)から代金引換及び配達日時指定(同年月12日,12時?14時)にて,商品名を「Bello」,商品番号を「BL-005ppll」とする商品「レギンス」1点の注文を受けたこと,そして,当該商品を指定された配達日時に代金引換にて,本件注文者に配達するよう宅配業者に依頼したことが認められる(乙16,17)。
(イ)本件商標権者が作成した同社の2014年春夏向けの商品カタログ「Bello 2014 Spring&Summer Collection」(「Bello」は本件商標と同じ。)(乙18の5葉目の下段中央)には,品番を「BL-005」とする商品「レギンス」(以下「本件使用商品1」という。)の画像が掲載されている。本件使用商品1は,その腰周りの幅広のゴム部分に,ゴシック体で「BELLO」の欧文字(以下「本件使用商標」という。)が1文字程度の空白を介して繰り返し付されている。
(ウ)上記(ア)及び(イ)認定の事実によれば,本件商標権者が平成27年2月10日に本件店舗にて注文を受けた商品「レギンス」は,当該商品カタログ(乙18)に掲載されている商品「レギンス」とは,商品の内容(「レギンス」),商品名(「Bello」と「BELLO」のつづり)及び品番(「BL-005」部分)が一致していることから,本件使用商品1と同一の商品であると認められる。
したがって,本件商標権者は,平成27年2月10日,自社製品である本件使用商標を付した本件使用商品1について,本件注文者から1点注文を受け,同月12日までに,当該商品を本件注文者に譲渡し又は引き渡したものと推認できる。
ウ 商品「ボクサーパンツ」に係る広告について
(ア)本件商標権者が作成した同社の2015年春夏向けの商品カタログ「Bello 2015 Spring&Summer Collection」(「Bello」は本件商標と同じ。)(乙44の7葉目)には,品番を「BU-001」とする商品「ボクサーパンツ」(以下「本件使用商品2」という。)の写真が掲載されている。本件使用商品2は,その腰周りの幅広のゴム部分に,本件使用商標が1文字程度の空白を介して繰り返し付されている。
(イ)本件店舗において,本件商標及び「BU-001」の見出しの下,本件使用商品2の画像が掲載されているところ(甲9の3頁,乙28),当該商品に関して「この商品を購入された方のレビュー」の見出しの下,平成27年6月26日に投稿されたコメントには「画像の印象よりもツルツルした生地感でした」との記載がある(甲9の7頁,乙28)。
(ウ)上記(ア)及び(イ)認定の事実によれば,本件商標権者は,遅くとも平成27年6月26日には,インターネット上のショッピングサイトである本件店舗において,自社製品である本件使用商標を付した本件使用商品2について,その画像を掲載するとともに,その販売広告を内容とする情報に本件商標を付していたものと認められる。
(2)判断
ア 商品「レギンス」への使用について
(ア)使用者及び使用時期について
上記(1)イ(ウ)認定のとおり,本件商標権者は,平成27年2月10日,自社製品である本件使用商標を付した本件使用商品1について,本件注文者から1点注文を受け,同月12日までに,当該商品を本件注文者に譲渡し又は引き渡したものと認められる。
したがって,本件使用商標の使用者は,本件商標権者であり,その使用時期は,本件要証期間内である。
(イ)本件使用商品1について
本件使用商品1は,「レギンス」であるところ,これはインナーウェアないしアウターウェアとして販売・使用されている商品であるから,本件審判の請求に係る指定商品中,第25類「下着,アンダーウェアー,アンダーパンツ,洋服」のいずれかに含まれる商品であると認められる。
(ウ)本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は,別掲のとおり,「Bello」の欧文字を筆記体風の書体で横書きしてなるものである。
本件使用商標は,「BELLO」の欧文字をゴシック体で横書きしてなるものである。
そうすると,本件使用商標は,全て大文字で表されているものの,本件商標とはつづりが同一であるから,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標に準じて,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
これに対し,請求人は,本件商標の特徴的なデザインにより図形化された態様と本件使用商標のゴシック体風の態様とでは,外観から生じる印象が大きく異なり,かつ,「Bello」ないし「BELLO」という単語はイタリア語であり,当該単語は我が国において広く知られているものではないため,その文字の形状による自他識別機能は大きく,文字の形状が異なる以上,需要者が看取する印象は大きく異なるものであって,本件商標と本件使用商標とは,いずれも特定の観念及び称呼を生じるものではないから,商標として類似すらせず,社会通念上同一ということはできない旨主張する。
しかしながら,本件商標は,ややデザイン化されているとしても「Bello」の欧文字を表したものと容易に理解できるから,上記認定のとおり,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
(エ)小括
以上によれば,本件商標権者は,本件要証期間内に日本国内において,本件注文者に対し,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付した本件使用商品1を譲渡し又は引き渡したものと認めることができる。この行為は,商標法第2条第3項第2号の「商品…に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,…する行為」に該当する。
イ 商品「ボクサーパンツ」に係る広告について
(ア)使用者及び使用時期について
上記(1)ウ(エ)認定のとおり,本件商標権者は,遅くとも平成27年6月26日には,インターネット上のショッピングサイトである本件店舗において,自社製品である本件使用商標を付した本件使用商品2について,その画像を掲載するとともに,その販売広告を内容とする情報に本件商標を付していたものと認められる。
したがって,本件商標及び本件使用商標の使用者は,本件商標権者であり,その使用時期は,本件要証期間内である。
(イ)本件使用商品2について
本件使用商品2は,「ボクサーパンツ」であるところ,これは「トランクス」に該当しないとしても,本件審判の請求に係る指定商品中,第25類「下着,アンダーウェアー,アンダーパンツ」のいずれかに含まれる商品であると認められる。
(ウ)本件商標と本件使用商標の同一性について
上記ア(ウ)のとおり,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(エ)小括
以上によれば,本件商標権者は,本件要証期間内に日本国内において,本件使用商品2に関する広告を内容とする情報に本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付して,電磁的方法(本件店舗)により提供したものと認めることができる。この行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品…に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(3)むすび
以上のとおり,被請求人は,本件要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中,第25類「下着,アンダーウェアー,アンダーパンツ,洋服」のいずれかに含まれる本件使用商品1(レギンス)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,また,同じく第25類「下着,アンダーウェアー,アンダーパンツ」のいずれかに含まれる本件使用商品2(ボクサーパンツ)に本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,それぞれ,本件商標権者が使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
なお,請求人は,少なくとも,本件審判の請求に係る指定商品中,第25類「トランクス,洋服」についての登録は取り消されるべきである旨主張しているが,商標法第50条第1項の規定による商標登録の取消し審判の請求があった場合においては,被請求人は,その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用の事実を証明すれば足りるから(同条第2項),請求人の上記主張は理由がない。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2018-04-24 
結審通知日 2018-04-27 
審決日 2018-06-27 
出願番号 商願2008-15357(T2008-15357) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅沼 結香子金子 尚人 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2008-09-05 
登録番号 商標登録第5163790号(T5163790) 
商標の称呼 ベッロ、ベリョ、ベルロ、ベロ 
代理人 富田 詩織 
代理人 塩田 千恵子 
代理人 平野 惠稔 
代理人 松村 信夫 

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