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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W0344 |
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管理番号 | 1341211 |
審判番号 | 取消2017-300380 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-06-05 |
確定日 | 2018-05-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5513164号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5513164号商標の指定商品及び指定役務中、第3類「全指定商品」及び第44類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5513164号商標(以下「本件商標」という。)は、「FACE GYM」の欧文字と「フェイスジム」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成24年2月15日に登録出願、第3類「アフターシェーブローション,化粧品,スキンホワイトニングクリーム,歯磨き,脱毛剤,オーデコロン,ヘアーローション,リップグロス,美顔用パック,マッサージ用ジェル(医療用のものを除く。),薬用せっけん,香水,シャンプー,ひげそり用剤,ひげそり用せっけん,せっけん,口臭消臭スプレー,日焼け止め用化粧品,日焼け用化粧品,化粧用綿棒,化粧水」、第44類「アロマテラピーの提供,美容,医業,日焼け施設の提供,セラピー」を含む、第3類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成29年6月21日である。 なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年6月21日ないし同29年6月20日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第3類「全指定商品」及び第44類「全指定役務」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)「La Maison Blanche」(以下「本件店舗」という。)の営業及び本件商標の使用について 被請求人によると、通常使用権者である合同会社イマジンは、本件店舗において、エステティックサロンの運営をしており、本件商標を使用しているとのことである。 しかしながら、請求人は、被請求人が提出した証拠によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえないと考えるため、その理由を説明する。 ア インターネット上の本件店舗の情報について 全国には業種を問わず本件店舗と同一称呼の名称の店舗が多数存在する。このため、インターネットで本件店舗を検索するにあたり地区を限定して検索したところ、本件店舗に関連する情報は2件しかヒットしない(甲1)。これら2件は、「torakore」サイト(全国の美容関係の店舗情報を提供するポータルサイト)における本件店舗ページの情報であるが、1件は本件店舗ページ内の「店舗情報」タブで開くページであり、他方の1件は同ページ内の「地図」タブで開くページである。このうち、請求人は、後者の「地図」タブで開くページのコピーを乙第1号証として提出している。 ところが、実際に「torakore」サイトに入って本件店舗の名称を入力して検索しても、本件店舗ページは検索されない(甲2)。また、乙第1号証で示されている予約日カレンダーは空欄であるが(甲3)、「torakore」サイトで登録されている他店舗の予約日カレンダーを見ると、相応に埋まっているものが多い(甲4)。このような事実に鑑みると、現時点で、本件店舗の情報は「torakore」サイトでは登録が抹消されていることが推測され、乙第1号証のページは過去に存在したページの残骸と考えられる。 さらに、乙第1号証では、本件店舗のURLが掲載されているが(甲3)、当該URLリンクをクリックしても何らの情報も出てこない(甲5)。 これらの事実に鑑みると、本件店舗は、少なくとも、請求人がネット検索を行った平成29年9月上旬時点で営業してないことが強く推測される。また、いつから営業していない状態が継続しているのかも不明である。 したがって、乙第1号証によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 イ 通常使用権者による本件店舗の経営について 請求人は、乙第6号証によって通常使用権者の住所が「大阪市西区北堀江一丁目15番5号」であることがわかり、乙第4号証及び乙第2号証によって当該住所に被請求人が所有する物件が立てられていることがわかると主張する。 しかしながら、乙第4号証によると、当該物件の所在は「大阪市西区北堀江一丁目20番5号」となっており、乙第6号証で示す住所と異なっているため、この主張は成り立たない。また、乙第2号証からは、当該画像が前記物件のものかどうかは確認できない。 加えて、上記アに記載のように、そもそも本件店舗がいつから営業していない状態が継続しているのかが不明であるため、前記物件の一部が本件店舗として使用されたのかも不明である。そして、前記物件の一部が本件店舗として使用されていることを示す証拠方法としては、乙第3号証の「物件使用許諾に関する陳述書」しか提出されておらず、しかも、当該陳述書の署名日は本件審判請求の登録日より後であるため、証拠力が高いとはいえない。 以上より、乙第2号証ないし乙第4号証及び乙第6号証によっては、通常使用権者による要証期間の本件店舗の経営について証明されたとはいえない。 ウ 通常使用権者による本件商標の使用について 被請求人は、乙第5号証の「商標使用許諾に関する陳述書」をもって、通常使用権を許諾したと主張するが、以下の事実より、通常使用権者による本件商標の使用が証明されたとはいえない。 (ア)サービスについての本件商標の使用について a チラシについて 上記アに記載のように、本件店舗がいつから営業していない状態が継続しているのか不明であるところ、乙第7号証のチラシには、発行年月日等が明記されていない。 したがって、このチラシによっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 b サービスメニューの写真について 上記アに記載のように、本件店舗がいつから営業していない状態が継続しているのか不明であるところ、乙第8号証の写真は、撮影日時が不明である。 また、この写真において、本件店舗と本件商標とを関連付けるものは背景ボードと卓上メニューだけであるが、これらは容易に設置できるものであるため、いつ、どの場所で撮影されたのかを特定できる程度の証拠力があるとはいえない。 したがって、当該写真によっては、通常使用権者による要証期間に本件店舗で本件商標が使用されていることが証明されたとはいえない。 c 乙第11号証の施術記録について(甲6) (a)乙第11号証の施術記録の写しの最下部には、「スキン&ケア クリエイティブ」の表示がある。この「スキン&ケア クリエイティブ」は、被請求人の家族と思われる人物が代表取締役及び取締役を務める「株式会社コリゼ」が運営していた店舗の名称である。エステティックサロンで使われる施術記録には、その店舗の名称が表示されるのが通常であると思われるため、当該施術記録は、「スキン&ケア クリエイティブ」で作成されたものであり、本件店舗で作成されたものではないことが推測される。そして、「スキン&ケア クリエイティブ」の営業が確認されたのは、平成25年10月が最後である(甲8)。 (b)1枚目の記録日「H28年7月1日」は手書きされているが、「28」の字体は、2枚目の「28」の字体と比較すると、一見して筆跡が異なることが見てとれ不自然である。 (c)1枚目及び3枚目の「face gym」及び「ESTHETIQUE」の表示はゴム印等で押印されたような字体であるが、押印されたとしたらその時期が不明である。また、2枚目と4枚目には「face gym」の表示がないのも不自然である。 (d)2枚目で「フェイスジムオイル100ml×1」と手書きされた時期が不明である。 (e)1枚目から4枚目までが1セットであることを示す関連付けの情報がどこにもない。 以上のように、当該施術記録には疑義点が多く、当該施術記録によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 d 乙第12号証の施術記録について(甲7) (a)乙第12号証の施術記録の1枚目の最上部には、「Montertherapie」の表示がある。この「Montertherapie」は、上記「株式会社コリゼ」がかつて加盟していた「一般社団法人モンテセラピー協会」が使用している表示である(甲8)。一方、本件店舗は、「一般社団法人モンテセラピー協会」に加盟している様子がない(甲9)。 (b)1枚目ないし3枚目上部の「face gym」の表示も、2枚目最下部の「La Maison Blanche」の表示も、ゴム印等で押印されたような字体であるが、押印されたとしたらその時期が不明である。 (c)1枚目から3枚目までが1セットであることを示す関連付けの情報がどこにもない。 以上のように、当該施術記録には疑義点が多く、当該施術記録によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 なお、エステティックサロンを営業していれば、通常、施術記録は多数存在すると思われるが、施術記録として、それぞれ形式の異なる乙第11号証及び乙第12号証の1通ずつしか提出されていない点も不自然である。 (イ)商品についての本件商標の使用について a 「マッサージオイル」及び「オイルローション」の写真について (a)乙第9号証及び乙第10号証の写真では、「マッサージオイル」及び「オイルローション」のそれぞれのボトルの背面側のラベルに「サロン専売品」との記載がある。これら商品がサロンでしか用いられず、商取引の対象となりうる流通性を有しないものであれば、そもそも商標法上の「商品」といえるか疑義がある。 また、上記アに記載のように、本件店舗がいつから営業していない状態が継続しているのか不明であることに鑑みると、サロンでしか用いられない商品であるならば、これら商品についてもいつから用いられていない状態が継続しているのか不明である。また、これら写真の撮影日時も不明である。 (b)仮に、これら商品が流通性を有するものであるとした場合、化粧品では、同じシリーズ商品であっても、種類が異なれば、各商品のラベルにはその種類を明記する記載があるのが通常である。ここで、乙第9号証は「マッサージオイル」の写真であり、乙第10号証は「オイルローション」の写真であるとされている。 「マッサージオイル」は、マッサージを行う際に使用されるオイルを指し、「オイルローション」は、通常、乳液のことを指し、両者は使用の状況及び目的が異なるため、明確に種類が異なる記載がラベルに表示されるのが自然である。 しかしながら、乙第9号証及び乙第10号証とでは、商品のラベルは完全同一であるように見える。種類が異なる「マッサージオイル」と「オイルローション」とで、「original aroma oil」と明記された同一のラベルを使用しているのは、需要者に混乱を生じさせる原因となりかねず、極めて不自然である。したがって、これらの商品又はラベルが真正なものであるか、疑義を感じざるを得ない。 以上の事実に鑑みると、これら写真によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 (2)むすび 以上より、請求人が提出した証拠によっては、通常使用権者による要証期間の本件商標の使用が証明されたとはいえない。 したがって、本件商標登録は取り消されるべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 証拠の説明 (1)乙第1号証は、インターネット情報サイト「torakore」が提供しているエステティックサロン「La Maison Blanche」の紹介ページを出力したものである。乙第1号証には、本件店舗の所在地が「大阪市西区北堀江1丁目15番5号 2F」であること及び本件店舗の称呼が「ラ メゾン ブランシュ」であることが記載されている。 (2)乙第2号証は、グーグル株式会社が提供している地図ソフトにおける本件店舗の所在地を示す画像である。 (3)乙第3号証は、本件店舗に係る建物の物件使用許諾に関する陳述書の写しであり、被請求人が大阪市西区北堀江一丁目15番5号に住所を置く建物を所有し、同建物の一部の使用を合同会社イマジンに許諾している旨が記載されている。 (4)乙第4号証は、本件店舗に係る建物の全部事項証明書の写しであり、被請求人が本件店舗に係る建物を所有している旨が記載されている。 (5)乙第5号証は、本件商標の使用許諾に関する陳述書の写しであり、被請求人が平成27年12月21日より合同会社イマジンに対して本件商標の使用を許諾している旨が記載されている。 (6)乙第6号証は、本件店舗を運営する合同会社イマジンの履歴事項全部証明書の写しであり、同社の目的の一つは、業としてエステティックサロンの運営を行うものである旨が記載されている。 (7)乙第7号証は、本件店舗において顧客向けに配布されているチラシであり、標章「face gym」(以下、被請求人の主張の項においてのみ「使用標章1」という。)が付されており、使用標章1のもと、本件店舗でアロマテラピーの提供その他の美容に関するサービスの提供が行われる旨が記載されている。 (8)乙第8号証は、本件店舗に設置されているサービスメニューの写真であり、標章「FACE GYM」(以下、被請求人の主張の項においてのみ「使用標章2」という。)が付されており、本件店舗において、使用標章2のもと、美容に関するサービスの提供が行われる旨が記載されている。 (9)乙第9号証は、本件店舗に来店した顧客専用に販売されているマッサージオイルの写真であり、このマッサージオイルには使用標章1が付されている。 (10)乙第10号証は、本件店舗に来店された顧客専用に販売されているオイルローションの写真であり、このオイルローションに使用標章1が付されている。 (11)乙第11号証は、本件店舗における顧客の施術記録の写しであり、4枚のシートで1組の施術記録を構成している。乙第11号証の1枚目及び3枚目の左肩には、使用標章1が付され、2枚目には、施術者の手書きで「フェイスジムオイル100ml×1」と記載されている。この施術記録の1枚目の右上の日付け(H28年7月1日)は、顧客へのサービスを開始した日である。 (12)乙第12号証は、本件店舗における顧客の施術記録の写しであり、3枚のシートで1組の施術記録を構成している。乙第12号証の1枚目及び3枚目の左肩には、使用標章1が付され、3枚目には、施術者の手書きで「フェイスジムオイル100ml×1」及び「オイル100ml×1」と記載されている。この施術記録の1枚目の右肩の日付け(「来店日H29.2.5」)は、顧客へのサービスを開始した日である。 2 本件商標の使用の事実の説明 (1)本件商標の商標権者である被請求人と、本件店舗を運営する合同会社イマジンの代表社員であるAとは、親子関係にある。合同会社イマジンは、Aの父親である被請求人から本件商標の使用許諾を受けている(乙5)。被請求人と合同会社イマジンとの間で本件商標の使用許諾契約契約書は特に交わされていないが、被請求人は、合同会社イマジンの設立と同時(平成27年12月21日)に、同社に対して、本件商標をその指定商品及び指定役務の全てについて使用することを許諾しており、平成29年7月28日にこの事実について確認をしている(乙5)。 したがって、合同会社イマジンは、本件商標に係る通常使用権者である。 (2)合同会社イマジンの住所は、大阪市西区北堀江一丁目15番5号であり(乙6)、当該住所には、被請求人が所有する物件が建てられている(乙2、乙4)。被請求人と合同会社イマジンとの間で当該物件の賃貸契約書は特に交わされていないが、被請求人は、合同会社イマジンの設立と同時に、同社に対して、上記物件の一部を「La Maison Blanche」なる名称で本件店舗の運営のために使用することを許諾しており、平成29年7月28日にこの事実について確認をしている(乙3)。 また、合同会社イマジンは、エステティックサロンの運営を目的の一つとし(乙6)、この目的に基づいて本件店舗を運営している。つまり、合同会社イマジンは、定款の範囲内で業としてエステティックサロンを運営している。 したがって、合同会社イマジンは、日本国内において「La Maison Blanche」を業として運営している。 (3)インターネット情報サイト「torakore」に「La Maison Blanche」(ラ メゾン ブランシュ)の広告が掲載されており(乙1)、その住所の記載から、当該広告が本件店舗であることは明らかである。 (4)本件店舗内には、使用標章1が付されたチラシ(乙7)が、顧客向けに配布されている。このチラシには、本件店舗の名称、住所、電話番号が記載されており、使用標章1が、本件店舗で提供されるエステティック、セラピーその他の美容に関するサービスを表す商標であることは明らかである。この事実は、本件商標に係る通常使用権者が、商品又は役務に関する広告、価格表に、商標として使用標章1を付して展示する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。また、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標であることも明らかである。 (5)本件店舗内には、顧客に向けて提供するサービスメニューが置かれており、このメニューに使用標章2が付されている(乙8)。この使用標章2は、本件店舗で提供されるエステティック、セラピーその他の美容に関するサービス及びそのバリエーションについて使用されており、この事実は、本件商標に係る通常使用権者が、商品又は役務に関する広告、価格表に、商標として使用標章2を付して展示する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。また、使用標章2は、本件商標と社会通念上同一の商標であることも明らかである。 (6)本件店舗内では、マッサージオイル(乙9)及び化粧品であるオイルローション(乙10)が、店舗に来店した顧客専用に販売されている。このマッサージオイル及びオイルローションには、それぞれ使用標章1が付されている(乙9、乙10)。この事実は、使用標章1が本件店舗で販売される化粧品に使用されていることにほかならず、かかる行為は、本件商標に係る通常使用権者が、商品又は商品の包装に商標として使用標章1を付す行為に該当する。また、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標であることも明らかである。 (7)乙第11号証に記載のとおり、本件店舗内でエステティックサービスが提供されていることは、施術記録により明らかである。この施術記録の左肩には使用標章1が付されており、これは、本件店舗で提供されるエステティックその他の美容に関するサービスを表すものである。 具体的なサービス内容は、まず、顧客に対して施術記録の用紙を見せながら、施術記録3枚目に記載の項目に沿って体調等のカウンセリングを行い、そして、当該顧客の肌質等に応じてどのような施術を行うかを当該顧客と合意のうえ決定する。すなわち、この施術記録は、医師が病院内においてのみ使用する内部文書としての「カルテ」とは本質的に異なり、顧客がそれを見ながら、本件店舗内でエステティックその他の美容に関するサービスを受けることになる。 したがって、この施術記録に使用標章1を付す行為は、本件商標に係る通常使用権者が、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に、商標として使用標章1を付した物を用いて役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)に該当する。また、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標であることも明らかである。 乙第11号証に記載された顧客は、平成28年7月1日から本件店舗にてエステティックサービスを受けている。 したがって、使用標章1は、本件店舗にて同日から、エステティックサービス(美容)について商標として使用されていることが明らかである。 (8)上記のように、施術記録(乙11)の2枚目には、施術者の手書きで「フェイスジムオイル100ml×1」と記載されており、かかる記載は、平成28年8月26日に、当該顧客が本件店舗内でエステティックサービスを受けると共に、オイルローション(100ml)を1本購入したことを示している。すなわち、使用標章1は、同日から本件店舗において、本件商標に係る通常使用権者によって、オイルローション(化粧品)について商標として使用されていることが明らかである。 (9)乙第12号証に記載のとおり、本件店舗内でセラピーサービスが提供されていることが、施術記録により明らかである。この施術記録の左肩には、使用標章1が付されていおり、これは、本件店舗で提供されるセラピーに関するサービスを表すものである。 具体的なサービス内容は、上記(7)に記載のとおり、顧客が施術記録を見ながら、本件店舗内でセラピーサービスを受けることになる。 したがって、この施術記録に使用標章1を付す行為は、本件商標に係る通常使用権者が、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に、商標として使用標章1を付した物を用いて役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)に該当する。また、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標であることも明らかである。 乙第12号証に記載された顧客は、平成29年2月5日から本件店舗にてエステティックサービス及びセラピーサービスを受けている。 したがって、使用標章1は、本件店舗にて同日から、セラピーサービス及びエステティックサービス(美容)について商標として使用されていることが明らかである。 (10)施術記録(乙12)の3枚目には、施術者の手書きで「フェイスジムオイル100ml×1」及び「オイル100ml×1」と記載されており、かかる記載は、平成29年2月5日に、顧客が本件店舗内でエステティックサービスを受けると共に、オイルローション(100ml)を1本購入したこと、並びに、平成29年6月20日に、当該顧客が本件店舗内でセラピーサービスを受けると共に、マッサージオイル(100ml)を1本購入したことを示している。すなわち、使用標章1は、同日から本件店舗にて、本件商標に係る通常使用権者によって、オイルローション(化粧品)についても商標として使用されていることが明らかである。 (11)本件審判の請求の登録の日は平成29年6月21日であるから、要証期間は、平成26年6月21日から同29年6月20日であるところ、乙第11号証の施術記録に記載された顧客は、平成28年7月1日、同月21日、同年8月26日、同年9月23日、同年10月28日、同年11月23日と、ほぼ定期的に本件店舗にてエステティックサービスを受けており、乙第12号証の施術記録に記載された顧客は、平成29年2月5日、同年3月7日、同年5月10日、同年6月20日と、ほぼ定期的に本件店舗にてセラピーサービスを受けている。 したがって、要証期間に、本件商標と同一の商標が本件店舗内にて本件商標に係る通常使用権者によって、連続して繰り返し使用されていることは明らかである。 3 むすび 以上のように、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標に係る通常使用権者が、その請求に係る指定商品又は指定役務中、第3類「化粧品」、第44類「アロマテラピーの提供,美容,セラピー」に、本件商標の使用をしていることを、被請求人は証明している。 したがって、本件商標は取り消されるべきではない。 第4 手続の経緯 審判長は、口頭審理を行うべく、被請求人及び請求人に対し、「被請求人が提出した証拠によっては、商標法第50条第2項の証明をしたものとは認められない。」旨の暫定的見解や審理事項を示した審理事項通知書を平成29年11月13日付けで送付したところ、被請求人からは、「答弁書において主張を尽くしており、書面審理を希望する。」と述べる平成29年12月8日付け上申書が提出され、請求人からも、「書面審理を希望する。」と述べる平成29年12月14日付け上申書が提出されたため、指定した口頭審理期日を職権により取り消し、本件審判についての審理を書面審理によるものとした。 第5 当審の判断 1 被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務中の第3類「化粧品」及び第44類「アロマテラピーの提供,美容,セラピー」について、本件商標を要証期間に使用していると主張しているところ、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、本件商標の使用について、以下のとおりである。 (1)乙各号証について ア 乙第7号証は、エステティックサロン「La Maison Blanche」によるチラシであり、表面上部には「face gym」(以下「使用商標1」という。)、「Produced by La Maison Blanche」の記載、下部には「・・・当サロンでは独自に開発した天然アロマオイルを用い優しくマッサージする施術を提供しています。・・・フェイスジム施術であの若い頃の輝きを取り戻しましょう。」の記載、裏面には「大阪市西区北堀江1-15-5」の記載がある。 イ 乙第8号証の1葉目は、使用商標1及び「original aroma oil」と表示されたラベルが付された容器とその背後に「original aroma oil」、「100ml 5400JPY」、「La Maison Blanche」の記載のほか、「FACE GYM」(以下「使用商標2」という。)と記載されたメニューの写真の写しであり、2葉目は、1葉目の容器とメニューとともに「menu」、「facial massage 800JPY?」、「La Maison Blanche」及び使用商標2の記載があるメニューの写真の写しである。 ウ 乙第9号証及び乙第10号証は、形状が異なる容器の写真であり、いずれの容器にも使用商標1、「original aroma oil」、「スポーツジムでからだの筋肉を鍛えるようにお顔の筋肉をほぐしましょう」、「サロン専売品」、「発売元 La Maison Blanche」、「大阪市西区北堀江1-15-5」と表示されたラベルが付されている。 エ 乙第11号証は、全4葉からなる書面であり、1葉目には、使用商標1が表示され、「ESTHETIQUE」、「Beauty Counseling Advice」、「H28年7月1日」、「スキン&ケア クリエイティブ」の記載、2葉目には、「フェイシャルシート」の表題の下、「H28」、「7/1」、「7/21」、「8/26」、「9/23」、「10/28」、「11/23」の記載、「8/26」の欄には「フェイスジム オイル 100ml×1」の記載がある。 オ 乙第12号証は、全3葉からなる書面であり、1葉目には、使用商標1が表示され、「Montertherapie」、「来店日 H29.2.5」の記載、2葉目には、「フェイス」の表題の下、「●希望」の欄に使用商標1の記載、右下に「La Maison Blanche」の記載、3葉目には、左上部に使用商標1の記載、「サロントリートメント記録」の表題の下、「2月5日」、「<備考> フェイスジムオイル 100ml×1」、「6月20日」、「<備考> オイル 100ml×1」の記載がある。 (2)上記(1)によれば、当審の判断は、以下のとおりである。 ア 乙第7号証について、被請求人は、エステティックサロン「La Maison Blanche」によるチラシであり、顧客向けに配布されていることから、これは、商品又は役務に関する広告、価格表に、商標として使用商標1を付して展示する行為に該当すると主張する。 上記(1)アのとおり、乙第7号証には使用商標1が表記され、当該サロンにおいてアロマオイルを使用したマッサージが提供されている旨記載されていることが確認できる。 しかしながら、被請求人は、要証期間に使用商標1について上記行為が行われたことを裏付ける証拠を提出しておらず、当該チラシの配布先、配布時期、配布個数などを証明する客観的な事実は見いだせないから、被請求人の主張は認められない。 イ 乙第8号証について、被請求人は、エステティックサロン「La Maison Blanche」の店舗内に使用商標2が付されたサービスメニューが置かれたものであることから、これは、商品又は役務に関する広告、価格表に、商標として使用商標2を付して展示する行為に該当すると主張する。 しかしながら、乙第8号証においては、使用商標2が記載されたメニューは確認できるものの、被請求人は、要証期間に使用商標2について上記行為が行われたことを裏付ける証拠を提出しておらず、当該メニューの作成日、作成者、展示期間、展示方法、展示場所などを証明する客観的な事実は見いだせないから、被請求人の主張は認められない。 ウ 乙第9号証及び乙第10号証について、被請求人は、エステティックサロン「La Maison Blanche」の店舗内でマッサージオイル(乙9)及びオイルローション(乙10)が販売されていることから、これは、商品又は商品の包装に商標として使用商標1を付す行為に該当すると主張する。 しかしながら、上記(1)ウのとおり、乙第9号証及び乙第10号証は容器の写真であり、その容器のラベルの記載において、発売元が「La Maison Blanche」であり、使用商標1が表示されていることは確認でき、また、この商品が「化粧品」の範ちゅうに属する商品である「マッサージ用オイル」であることは推認できるものの、被請求人は、要証期間に使用商標1について上記行為が行われたことを裏付ける証拠を提出しておらず、当該商品の製造日、販売先、販売時期、販売個数などを証明する客観的な事実は見いだせないから、被請求人の主張は認められない。 エ 乙第11号証及び乙第12号証について、被請求人は、「La Maison Blanche」の店舗内でエステティックサービス及びセラピーサービスが提供される時に使用する施術記録であり、いずれの施術記録にも使用商標1が付されていることから、これは、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に、商標を付した物を用いて役務を提供する行為に該当すると主張する。 しかしながら、乙第11号証の施術記録においては、その出所(「La Maison Blanche」)についての記載がなく、乙第12号証の施術記録からは、いかなる役務を提供しているのかを特定することができず、また、実際にエステティックサービス及びセラピーサービスが提供されたことを明らかにするための顧客との取引書類を提出していないから、被請求人の主張は認められない。 また、乙第11号証においては、平成28年8月26日に、顧客がオイルローション(100ml)を1本購入したこと、乙第12号証においては、平成29年2月5日に顧客がオイルローション(100ml)を1本購入したこと、並びに、平成29年6月20日に、マッサージオイル(100ml)を1本購入したことを示していると主張するところ、この主張を裏付ける証拠を提出していないから、被請求人の主張は認められない。 オ 小活 上記アないしエのとおり、使用商標1及び使用商標2が本件商標と社会通念上同一と認められるものであるとしても、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、請求に係る商品及び役務について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。 2 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。 また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中、「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-28 |
結審通知日 | 2018-04-02 |
審決日 | 2018-04-19 |
出願番号 | 商願2012-14112(T2012-14112) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W0344)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
豊泉 弘貴 小松 里美 |
登録日 | 2012-08-10 |
登録番号 | 商標登録第5513164号(T5513164) |
商標の称呼 | フェイスジム、フェースジム、フェース、ジム、ジイワイエム |
代理人 | 松田 朋浩 |
代理人 | 廣田 美穂 |
代理人 | 西木 信夫 |
代理人 | 山田 強 |