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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W37 審判 全部申立て 登録を維持 W37 審判 全部申立て 登録を維持 W37 審判 全部申立て 登録を維持 W37 |
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管理番号 | 1340381 |
異議申立番号 | 異議2017-900362 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-29 |
確定日 | 2018-05-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5985296号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5985296号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5985296号商標(以下「本件商標」という。)は、「オムニビルダー」の片仮名を標準文字により表してなり、平成29年3月13日に登録出願、第37類「野球場・サッカ-場・テニスコ-ト等の各種運動場施設工事,建築工事に関する助言及び技術指導」を指定役務として、同年9月1日に登録査定、同年10月6日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。 1 引用商標等 (1)使用商標 申立人が、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するとして引用する商標は、「OMNICOURT」(決定注:甲各号証によれば、使用している商標は、2文字目の「M」は小文字の「m」の態様である。以下、使用している「OmNICOURT」を「使用商標1」という。)の欧文字及び「オムニ」(以下「使用商標2」という。)の片仮名を横書きした構成からなるものであり、本件商標の出願日前から、申立人及び株式会社住ゴム産業が自己の業務に係る役務「テニスコート施設工事、建築一式工事」について使用しているものである。 なお、使用商標1及び使用商標2をまとめていうときは「使用商標」という。 (2)引用商標 申立人が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の2件である。 ア 登録第3112990号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第37類「建築一式工事,舗装工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリ?ト工事,内装仕上工事,造園工事」を指定役務として、同8年1月31日に特例商標として設定登録され、その後、同18年1月31日及び同28年1月12日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、現在、有効に存続しているものである。 イ 登録第3112994号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示したとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第37類「建築一式工事,舗装工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリ?ト工事,内装仕上工事,造園工事」を指定役務として、同8年1月31日に特例商標として設定登録され、その後、同18年2月7日及び同28年1月12日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、現在、有効に存続しているものである。 なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは「引用商標」という。 2 商標法第4条第1項第10号該当性 株式会社住ゴム産業及び申立人は、本件商標の出願日前から、役務「テニスコート施設工事、建築一式工事」に使用商標を使用しており、日本において周知・著名となっている。 このことは、陳述書にあるように(甲9)、2012年から2016年までの「オムニコート」(テニスコートの施設工事、建築一式工事及びその材料)の売上高が35億3800万円となっており、年間受注件数が300から500件あり、毎年DUNLOPワールドチャレンジテニス(愛知県)へ10万円の広告をしていること、「OMNICOURT」、「オムニコート」、「オムニ」を使用した商品カタログ(甲1?甲5、甲7、甲8、甲12、甲13)、クリアファイル(甲10)、申立人が砂入り人工芝製造業者として、製品名「オムニコート」と共に公認されていること(甲6)、商品サンプルの写真(甲11)、甲第16号証の2013年DUNLOPワールドチャレンジテニスにOMNICOURT/オムニコートの広告が掲載され、甲第17号証の2014年DUNLOPワールドチャレンジテニスにOMNICOURT/オムニコートの広告が掲載され、甲第18号証の日本ソフトテニス連盟公認証で砂入り人工芝製造業者であることを認められていること(平成25年?同28年)、甲第19号証の日本テニス協会推薦状にあるようにコート会社として申立人が継続的に推薦されていること(平成25年?同30年)、甲第20号証の2015年ITFパンフレットInternational Tennis Federationの公認コート名称リストにOmniCourtXPが公認されていること、甲第21号証の2016年の雑誌「月間体育施設」にOMNICOURT/オムニコートの広告が掲載され、甲第22号証の2012年オムニコートカタログに施設実績が多数掲載されていること(公共運動公園77か所、ホテル・リゾート・健康公園45か所、テニスクラブ27か所、学校83か所、)、甲第23号証の2015年オムニコートカタログに製品・役務の紹介があることからも明らかである。 また、甲第24号証のカタログ改訂費用(2015年請求書及び2015年納品書)、甲第25号証のカタログ印刷代(2012年?2017年)、甲第26号証の日本ソフトテニス連盟年間維持会費(2012年?2017年)、甲第27号証の日本テニス協会コート推薦料(2012年?2017年)、甲第28号証のDUNLOPワールドチャレンジテニス広告掲載料金(2012年?2015年)、甲第29号証のオムニコート30周年記念オリジナル時計請求書(2013年)からも、実際の広告費用がかかっていることが明らかである。 そこで、本件商標「オムニビルダー」と使用商標1「OMNICOURT/オムニコート」(決定注:「OmNICOURT」の誤記と思われる。)を比較すると、「オムニ」の部分が共通する。本件商標の「ビルダー」の部分は建築業者を意味し、使用商標1の「COURT/コート」(決定注:「COURT」の誤記と思われる。)の部分は、テニスコートのコートを意味し、いずれも識別力の弱い語であるから、要部は「OMINI/オムニ」(決定注:「OmNI」の誤記と思われる。)の部分となる。よって、本件商標は使用商標1と要部が一致する類似の商標であることは明らかである。 同様に、本件商標の要部は使用商標2「オムニ」と一致するから、両商標が類似することは明らかである。 以上より、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第11号該当性 本件商標「オムニビルダー」は、引用商標1と要部である「OmNI」の称呼の部分が一致し、両商標は商標が類似し、役務も同一であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 また、本件商標は、引用商標2と要部「オムニ」の部分が一致し、両商標は商標が類似し、役務も同一であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 商標法第4条第1項第15号該当性 最高裁は、レールデュタン事件(最判平成12年7月11日)において、混同を生ずるおそれの有無は、「当該商標と他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間に性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」と判示している。 これを本件についてみると、使用商標が周知著名であることは、上記で述べたところより明らかである。 使用商標は、建築一式工事等には一般に使用されない独創性のある商標である。 本件商標の指定役務と使用商標の役務は「テニスコートの施設工事、建築一式工事」で一致する。 取引者及び需要者もテニスコートの施設関係者で一致する。 本件商標が使用商標と類似することは上記で述べたとおりである。 よって、本件商標が指定役務に使用されれば、申立人の業務に係るものであると誤信されるおそれ(狭義の混同)、又は、申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品(決定注:役務の誤記と思われる。)等であると誤信されるおそれ(広義の混同)があることは明らかである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 5 商標法第4条第1項第19号該当性 使用商標が、役務「テニスコートの施設工事、建築一式工事」について日本において、本件商標の出願日前から周知・著名になっていたことは上記で述べたところより明らかである。 本件商標が使用商標と類似であることは、上記で述べたとおり明らかである。 本件商標は、周知・著名な使用商標と同じ役務に使用することにより、使用商標の出所識別力を希釈化するものであり、不正の目的があることは明らかである。 また、商標権者は、2017年9月11日の時点で、商標権者が運営するウェブサイト(以下「商標権者のウェブサイト」という。)のhtmlファイルのメタタグに「オムニコート」なる標章(以下「本件標章」という。)を記載し、その結果として、検索サイトでのキーワード検索結果ページ上に商標権者のウェブサイトのタイトルの一部として本件標章が表示され、また、商標権者のウェブサイトのタイトルタブにも本件標章が表示されるようにするとともに、本件標章を検索サイトでキーワード検索した場合に商標権者のウェブサイトが検索されるようにし、もって、本件標章を商標権者の役務に関する広告情報の電磁的方法による提供に使用している(甲30?甲32)。かかる行為からも商標権者に不正の目的があることは明らかである。 以上より、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。 第3 当審の判断 1 使用商標の周知性について (1)申立人の提出する証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 甲第1号証ないし甲第5号証は、申立人及び株式会社住ゴム産業作成のカタログであり、そこには「OmNICOURT」の記載がある。さらに、「条件に合わせた様々な改修プランをご用意しています。専門のスタッフが調査・お見積りにお伺いしますのでご連絡ください。標準改修プラン以外にも条件に応じてプランをご提案させていただきます。」、「PLAN1●面積:約100m2/面●標準施工日数:1?2日/面●ベースラインまわり張り替え」等の記載(甲3)、「標準価格※標準スペック 材工一式(円/m2)」、「●施工面積は同一敷地内の1,500m2以上・・・・●工期:1,500m2/5日」※表層人工芝工事のみ」等の記載(甲4)「工事の基本条件 ●施工面積は同一敷地内の1,500m2以上・・・●工期:1,500m2/5日(人工芝工事のみ)」、「特殊工事のため、住友ゴムグループの住ゴム産業による材工一式での請負工事となります。」等の記載(甲5)があることから、申立人及び株式会社住ゴム産業は、「OmNICOURT」の表示をテニスコートの施設工事に使用しているということができる。 また、「オムニコート」(甲1?甲5)及び「オムニ」(甲2及び甲3)の記載が確認できることから、申立人及び株式会社住ゴム産業は、「オムニコート」及び「オムニ」の表示をテニスコートの施設工事に使用しているということができる。 イ 甲第6号証として提出された平成29年4月1日付け公益財団法人日本ソフトテニス連盟の公認証には、「住友ゴム工業株式会社殿 貴社は、(公財)日本ソフトテニス連名公認の砂入り人工芝製造業者であることを認めます。よって、ここに公認証を交付いたします。製品名『オムニコート』」との記載がされている。これからは、申立人が、製品名「オムニコート」の人工芝製造業者として公認されたことがわかる。 また、同じく甲第6号証として提出された平成29年4月1日付けの公益財団法人日本テニス協会の推薦状には、「当協会では、公認・推薦規程第9条により貴社を『コート会社』としてここにご推薦申し上げます。」との記載はあるが、使用商標に関する記載は見いだせず、「コート会社」がいかなるものを表すのかも不明である。 ウ 甲第7号証は、申立人作成のカタログであり、そこには、「・・・おなじみの砂入り人工芝『オムニコート』に結実。」、「国内初の砂入り人工芝『オムニコート』」との記載はあるが、テニスコートの施設工事に関する記載は見いだせない。 エ 甲第8号証は、申立人及び株式会社住ゴム産業作成のカタログであり、そこには、「OmNICOURT」の表示及び「砂入り人工芝 オムニコート[硬式/ソフトテニス両用]」の記載はあるが、テニスコートの施設工事に関する記載は見いだせない。 オ 甲第9号証は、申立人のブランド管理部長の2017年7月28日付け陳述書であり、そこには、2012年度から2016年度までの売上高、年間受注件数及びDUNLOPワールドチャレンジテニス(愛知県)へ10万円の広告を出した旨の記載はあるが、その数値等を裏付けるような証拠の提出はなく、また、商品「人工芝」と「テニスコートの施設工事」等の売上高の内訳も明らかでない。 カ 甲第10号証は、住友ゴムグループ作成のクリアファイルの写しであり、そこには、「OmNICOURT」の表示が確認できる。しかし、当該表示とテニスコート施設工事との関係は不明である。 キ 甲第11号証は、人工芝のサンプルの写真であり、そこには「OmNICOURT」の表示が確認できる。しかし、当該表示とテニスコート施設工事との関係は明らかでない。 ク 甲第12号証は、申立人及び株式会社住ゴム産業作成の商品カタログであり、そこには、「OmNICOURT」、「オムニコート」の表示及び「標準価格※標準スペック 材工一式(円/m2)」、「●施工面積は同一敷地内の1,500m2以上・・・●工期:1,500m2/5日」※表層人工芝工事のみ」「特殊人工芝の為、住友ゴムグループの住ゴム産業による材工一式の請負工事となります。」等の記載があることから、申立人及び株式会社住ゴム産業は、使用商標1をテニスコートの施設工事に使用しているということができる。 ケ 甲第13号証は、「オムニコート使用上の注意」と題する注意書であり、そこには、「OmNICOURT」、「オムニコート」の表示が確認できる。しかし、当該表示とテニスコート施設工事との関係は明らかでない。 コ 甲第16号証及び甲第17号証は、2013年の「DUNLOP WORLD CHALLENGE TENNIS TOURNAMENT」及び2014年の「DUNLOP SRIXON WORLD CHALLENGE」のパンフレットであり、そこには、「オムニコート」、「OmNICOURT」の表示が確認できる。しかし、テニスコートの施設工事に関する記載は見いだせない。 サ 甲第18号証は、平成25年4月1日、平成26年4月1日、平成27年4月1日及び平成28年4月1日付け公益財団法人日本ソフトテニス連盟の公認証であり、そこには、「住友ゴム工業株式会社殿 貴社は、(公財)日本ソフトテニス連名公認の砂入り人工芝製造業者であることを認めます。よって、ここに公認証を交付いたします。製品名『オムニコート』」との記載がされている。これからは、申立人が、製品名「オムニコート」の人工芝製造業者として公認されことがわかる。 シ 甲第19号証は、平成25年4月1日、平成26年4月1日、平成27年4月1日、平成28年4月1日及び平成29年4月1日付け公益財団法人日本テニス協会の推薦状であり、そこには、「当協会では、公認・推薦規程第10条(9条)により貴社を『コート会社』としてここにご推薦申し上げます。」との記載はあるが、使用商標に関する記載はない。 ス 甲第20号証は、2015年ITF(International Tennis Federation)パンフレットであり、そこには、「OmnicourtXP(sand-fillsd)」の記載があるものの、これが具体的に何を表すものであるのか不明である。また、当該パンフレットの作成枚数、配布先、配布枚数等も不明である。 セ 甲第21号証は、月間体育施設の増刊号2016.NOVであり、そこには、「オムニコート」、「OmNICOURT」の表示がされていること並びに「製品名又は工法名」として、「オムニコートXP」、「オムニコートBlue」及び「オムニコートLT」の表示がされていることから、申立人及び株式会社住ゴム産業は、使用商標1をテニスコートの施設工事に使用しているということができる。 ソ 甲第22号証及び甲第23号証は、申立人の作成に係る「OmNICOURT」と題するカタログであり、そこには、「オムニコート」、「OmNICOURT」の記載及び「スポーツ舗装の主流、サンド・フィル・システム 世界のテニス界に受け入れられたサンド・フィル・システムは、砂入り人工芝の国際仕様です。『オムニコート』はしなやかで耐候性に優れた人工芝に、粒度を特殊調整した目砂を充填してコートに仕上げるスポーツ舗装工法。人工芝は目砂の重さだけで基盤上に固定する置き敷き工法です。」との記載があるから、申立人は、使用商標1をテニスコートの施設工事に使用しているということができる。 甲第22号証の「OmNICOURT」と題するカタログには、施工実績(公共運動公園、77カ所、ホテル・リゾート・健康公園45カ所、テニスクラブ27カ所、学校84カ所)が掲載されている。 しかし、同業他社の施工実績等は立証されていないから、その数の多寡について評価することはできない。 タ 甲第24号証は、申立人あての2015年2月28日付け作成者不詳の請求書及び納品書であり、そこには「オムニコート総合カタログ改訂」、「税抜額1,320,000」、「消費税額 105,600」、「合計1,425,600」の記載がある。 チ 甲第25号証は、申立人あての2012年から2017年までの作成者不詳の納品書であり、そこの品番・品名の欄には、「SP234Bオムニコート総合カタログ改訂」、「SP234オムニコート総合カタログ改訂」、「SP234オムニコート総合カタログ増刷」、「SP102Hオムニコートカタログ」、「SP102Gオムニコートカタログ」、「SP102Fオムニコートカタログ」、「SP102Eオムニコートカタログ」との記載があり、数量の欄には、「1,000」又は「1,500」の記載がある。 ツ 甲第26号証は、申立人あて公益財団法人日本ソフトテニス連盟発行の平成24年度から平成29年度「年間維持会費(公認継続料)について(請求)」と題する書面であり、そこには、「業種 砂入り人工芝製造業者」、「製品 オムニコート」の記載があるが、テニスコート施設工事に関する記載は見いだせない。 テ 甲第27号証は、申立人あての2012年から2015年までの請求書であり、そこには、「金額 108,000円(消費税を含む)」、「ダンロップスリクソンワールドチャレンジ 広告掲載料金として」又は「金額 105,000円(消費税を含む)」、「ダンロップワールドチャレンジテニストーナメント 広告掲載料金として」との記載があるが、使用商標に関する広告であるのかは不明である。 ト 甲第28号証は、申立人あての公益財団法人日本テニス協会発行の平成24年度から平成29年度までの請求書であり、そこには、「推薦料として『コート会社』」の記載があるが、使用商標に関するものであるのかは不明である。 ナ 甲第29号証は、2013年4月30日付けの書面であり、そこには「オムニコート30周年記念オリジナル時計」の記載が確認されるが、宛先、作成者は不明であり、また、テニスコート施設工事との関係も明らかでない。 (2)判断 前記(1)アないしナを総合勘案すれば、申立人は、本件商標の登録出願時には、使用商標を「テニスコートの改修・張替え工事」(以下「申立人役務」という。)等に使用していたものと認められる。 しかしながら、申立人及び株式会社住ゴム産業による使用商標に係る申立人役務の市場占有率(シェア)は不明であり、売上高、年間受注回数については、それを裏付ける具体的な資料の提出もなく、顧客の数、カタログ作成数、宣伝広告の範囲と回数等についても、決して多いものとはいえない。 また、使用商標2のみの使用に関する資料はほとんど提出されていない。 そうすると、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び外国において、使用商標が申立人の業務に係る役務を表すものとして、需要者に広く認識されるものであったとまでは認めることができない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「オムニビルダー」の文字からなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、これより生じる「オムニビルダー」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標は、たとえ、構成中の「ビルダー」の文字部分が、「建築業者」を意味する語であるとしても、全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く、かつ、いずれかの文字部分が独立して、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるともいい難いものであることから、これに接する需要者等は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。 そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「オムニビルダー」の称呼のみが生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標 引用商標1は、別掲1のとおり、黒塗り長方形の中に「OmNICOURT」の欧文字を白抜きで横書きしてなるところ、構成各文字は同じ書体で一連一体に書されており、外観上も極めてまとまりよく一体的に表されているばかりでなく、これより生ずる「オムニコート」の称呼も格別冗長とはいえないものであって、無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、引用商標1は、たとえ、構成中の「COURT」の文字部分が、「テニスコート」を意味する語であるとしても、全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く、かつ、かかる構成においては、いずれかの文字部分が独立して、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるともいい難いものであることから、これに接する需要者等は、引用商標1の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。 そうすると、引用商標1からは、その構成文字に相応して「オムニコート」の称呼のみが生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。 さらに、引用商標2は、別掲2のとおり、黒塗り長方形の中に「オムニ」の片仮名を白抜きで横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「オムニ」の称呼を生ずるものである。 そして、当該文字は、「多く複合の形で用い、全体の、すべての、の意を表す」(デジタル大辞泉)ものであるが、当該意味合いで「オムニ」の片仮名が一般に使用されている実情は見いだせないから、かかる構成からは、むしろ、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。 そうすると、引用商標2からは、その構成文字に相応して「オムニ」の称呼が生ずるものであって、特定の観念は生じないというのが相当である。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標の構成は、それぞれ前記したとおりの構成からなるものであるから、外観においては、容易に区別し得るものである。 次に、称呼については、本件商標から生じる「オムニビルダー」の称呼と、引用商標から生じる「オムニコート」又は「オムニ」の称呼とは、「ビルダー」と「コート」の有無という顕著な差異を有することから、本件商標と引用商標とは、称呼において明確に聴別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標と引用商標とは、いずれも共に特定の観念が生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。 (4)小括 したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)本件商標 本件商標は、「オムニビルダー」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「オムニビルダー」の称呼のみが生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。 (2)使用商標 使用商標1は、「OmNICOURT」の欧文字を横書きした構成よりなり、その構成文字に相応して、「オムニコート」の称呼が生ずるものである。そして、たとえ、構成中の「COURT」の文字部分が、「テニスコート」を意味する語であるとしても、全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く、これに接する需要者は、その構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。 そうすると、使用商標1からは、その構成文字に相応して「オムニコート」の称呼のみが生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。 使用商標2は、「オムニ」の片仮名を横書きした構成からなるものであり、その構成文字に相応して、「オムニ」の称呼を生ずるものである。 そして、当該文字は、前記2(2)のとおり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。 そうすると、使用商標2からは、その構成文字に相応して「オムニ」の称呼が生ずるものであって、特定の観念は生じないというのが相当である。 また、前記1のとおり、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び外国において、使用商標が申立人の業務に係る役務を表すものとして、需要者に広く認識されるものであったとまでは認めることができない。 (3)本件商標と使用商標の類否 本件商標と使用商標の構成は、それぞれ前記したとおりであるから、外観においては、容易に区別し得るものである。 次に、称呼については、本件商標から生じる「オムニビルダー」の称呼と、使用商標から生じる「オムニコート」又は「オムニ」の称呼とは、「ビルダー」と「コート」の有無という顕著な差異を有することから、本件商標と使用商標とは、称呼において明確に聴別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標と使用商標とは、いずれも共に特定の観念が生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。 (4)本件商標に係る指定役務と申立人役務の類似性 申立人役務は、「テニスコートの改修・張替え工事」であり、本件商標の指定役務「野球場・サッカ-場・テニスコ-ト等の各種運動場施設工事,建築工事に関する助言及び技術指導」と同一又は類似の役務である。 (5)判断 これらを総合的に判断するに、本件商標の指定役務と申立人役務は同一又は類似であるものの、本件商標と使用商標は、非類似の商標であり、かつ、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び外国において、申立人の業務に係る役務を表すものとして、需要者に広く認識されるものであったとまでは認めることができない。 (6)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 使用商標は、前記1のとおり、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び外国において、申立人の業務に係る役務を表すものとして、需要者に広く認識されるものであったとまでは認めることができない。 また、本件商標と使用商標とは、前記3(3)のとおり、互いに相紛れるおそれのない別異の商標である。 してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 使用商標は、前記1のとおり、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び外国において、申立人の業務に係る役務を表すものとして、需要者に広く認識されるものであったとまでは認めることができない。 また、本件商標と使用商標とは、前記3(3)のとおり、互いに相紛れるおそれのない別異の商標である。 そして、申立人は、「商標権者は、2017年9月11日の時点で、商標権者のウェブサイトのhtmlファイルのメタタグに本件標章を記載し、その結果として、検索サイトでのキーワード検索結果ページ上に商標権者のウェブサイトのタイトルの一部として本件標章が表示され、また、商標権者のウェブサイトのタイトルタブにも本件標章が表示されるようにするとともに、本件標章を検索サイトでキーワード検索した場合に商標権者のウェブサイトが検索されるようにし、もって、本件標章を商標権者の役務に関する広告情報の電磁的方法による提供に使用している。かかる行為からも商標権者に不正の目的があることは明らかである。」と主張しているが、この主張から、商標権者が、不正の利益を得る目的や使用商標の出所表示機能を希釈化させ、その名声等を毀損させる目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めることはできない。 さらに、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であることを認めるに足りる証拠の提出はないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標1(登録第3112990号) ![]() 別掲2 引用商標2(登録第3112994号) ![]() |
異議決定日 | 2018-04-26 |
出願番号 | 商願2017-41298(T2017-41298) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W37)
T 1 651・ 25- Y (W37) T 1 651・ 26- Y (W37) T 1 651・ 271- Y (W37) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 安達 輝幸、小島 玖美 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
冨澤 美加 鈴木 雅也 |
登録日 | 2017-10-06 |
登録番号 | 商標登録第5985296号(T5985296) |
権利者 | 株式会社平安京 |
商標の称呼 | オムニビルダー |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 中田 和博 |