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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の混同 登録しない W03
審判 査定不服 標章の同一 登録しない W03
管理番号 1336284 
審判番号 不服2015-23031 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-15 
確定日 2017-12-19 
事件の表示 商願2014-88774拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願標章
本願標章は、「JUST DO IT」の欧文字を標準文字で表してなり、登録第4206837号の2商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章として、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,その他の香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成26年10月22日に登録出願されたものである。

第2 原登録商標
原登録商標は、「JUST DO IT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年7月28日に登録出願、同10年10月30日に設定登録された登録第4206837号商標の商標権の分割に係るものであって、第25類「洋服(イブニングドレス,学生服,子供服,作業服,ジャケット,スーツ,スカート,ズボン,スモック,礼服を除く。),セーター類,ワイシャツ類(開きんシャツ,カフス,カラー,ブラウス,ワイシャツを除く。),寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同20年6月26日に商標権の分割移転の登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「『JUST DO IT』の文字よりなる本願標章の使用の態様は、出願人又は出願人の取扱いに係る商品との関係が直接かつ明確に示されていると認め得るものが少ないため、本願標章は、単なるスポーツ関連イベントの一キャンペーン名として看取されるものであり、出願人の取扱いに係る商品について周知著名な商標であるとは認めることができない。また、本願標章に係る指定商品は、出願人の製造、販売に係る商品と用途、原材料、流通系統よりするも極めて関連が少なく、競業関係にある商品とは認められない。したがって、本願標章は、他人がこれを本願指定商品に使用しても、商品の出所について混同を生じさせるほどに需要者間に広く認識されているものとは認められず、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審における審尋(要旨)
当審において、審判長は、請求人に対し、平成28年10月3日付けで、要旨以下のとおりの審尋をし、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
1 原登録商標が請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるか否かについて
請求人提出の証拠からは、「JUST DO IT.」の文字が表示された「Tシャツ」、「パンツ」及び「レギンス」が存在することが見受けられるが、販売者が不明である上、これらの商品の売上げ、市場占有率(シェア)、広告宣伝の方法等を把握し得るような証拠の提出はなく、原登録商標が、これらの商品を表示するものとして、どの程度知られているかを把握することができない。
また、「スポーツウェア」や「スポーツ用品」に関連して、株式会社ナイキジャパン(以下「ナイキジャパン」という。)が「JUST DO IT.」の文字を使用して、雑誌広告、屋外広告、テレビCMを複数回実施していることは把握できるが、原登録商標に係る指定商品についての広告であるかは明らかではない。
さらに、ナイキジャパン主催により、「JUST DO IT.」の文字を使用したイベントも開催されているが、当該文字は、イベント名に使用されていると理解されるものであって、原登録商標に係る指定商品についての広告とはいえないものである。
そうすると、既に提出された証拠によっては、原登録商標が、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っているとは認めることができない。
2 原登録商標に係る指定商品と本願標章に係る指定商品との関連性について
請求人提出の証拠は、本願標章とは異なる商標について、請求人の防護標章が登録されていることを表すにとどまるものである。
3 提出を求める証拠について
請求人は、原登録商標が、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていることを証する(i)原登録商標を使用した指定商品の範囲、使用開始時期、使用期間、使用地域、(ii)原登録商標を使用した指定商品の市場占有率(シェア)、営業の規模、(iii)原登録商標を使用した指定商品に関する広告宣伝の方法、回数及び内容等を示す証拠を提出されたい。
また、請求人は、本願標章に係る指定商品と原登録商標に係る指定商品について、生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の見地からみて、同一の企業から出たものと一般的に認識される又は商品の出所につき請求人と密接な関連がある商品と一般的に認識されるとすべき証拠を提出されたい。

第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
上記第4の審尋に対し、請求人は、平成29年1月30日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張し、甲第18号証ないし甲第26号証を提出した。
1 原登録商標を使用した指定商品の範囲、使用開始時期、使用期間、使用地域
原登録商標に係る主な使用商品は、アパレル(洋服、ワイシャツ類、運動用特殊衣服等)、シューズ(靴類、運動用特殊靴)であり(甲8、甲18)、スポーツ関係のイベントにも使用されている(甲8、甲19)。
また、ナイキジャパンの配布物、封筒等にも原登録商標が表示されており(甲20)、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックと連動して行われた「JUST DO IT.#身の程知らず」と銘打ったキャンペーンでは、原登録商標が掲げられて大々的に使用された(甲21)。
原登録商標の使用開始は、1988年であり(甲3の4)、30年間近く使用しており、使用地域は、日本全国であり、オフィシャルストアのサイトから各地域のストア(店舗)を検索できる。
2 原登録商標を使用した指定商品の市場占有率(シェア)
NIKE,Inc.(以下「米ナイキ社」という。)は、売上規模で全世界のスポーツメーカーの中で1位であるところ(甲22)、原登録商標は、米ナイキ社の著名な図形商標「Swoosh」とほとんどの商品及びほとんどの場面で併記されているコーポレートスローガンとして、同じくスポーツブランドの中で全世界のトップシェアといってよい。
3 原登録商標を使用した指定商品に関する広告宣伝の方法、回数及び内容等
原登録商標を使用した指定商品は、各種スポーツイベントを通じて、広告宣伝されている(甲8、甲21等)。
4 原登録商標を使用した指定商品の売上高
1994年から2016年までの間の我が国における原登録商標を使用した商品(アパレル、運動用具、シューズ)の合計売上高は、50,139,190米ドル(約57億円)に上る。2016年売上高は、9億3,000万以上である(甲23)。
5 本願標章に係る指定商品と原登録商標に係る指定商品との密接関連性については、審判請求書において述べたとおりであるが、請求人が世界各国で重要商標を第3類で出願、登録していることからも、他人の使用を排除する必要性が理解されるだろう(甲24)。

第6 当審の判断
1 防護標章登録の要件(商標法第64条第1項)について
商標法第64条第1項は、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品・・・について他人が登録商標を使用することによりその商品・・・と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品・・・について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定している。
これによれば、本願標章が本願の指定商品について防護標章登録を受けるためには、(i)本願標章と原登録商標とが同一のものであること、(ii)請求人と原登録商標の商標権者とが同一人であること、(iii)原登録商標が請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること、(iv)他人が、原登録商標をそれに係る指定商品とは非類似の本願の指定商品に使用したときに、その商品と請求人の業務に係る指定商品とが出所の混同を生ずるおそれがあること、という要件を具備する必要がある。
2 本願標章が商標法第64条第1項に規定する要件を具備するか否かについて
(1)本願標章と原登録商標との同一性及び請求人と原登録商標の商標権者との同一性について
当審において職権をもって調べたところ、本願標章は、原登録商標と同一のものであり、また、請求人は、原登録商標の商標権者と同一人である。
(2)原登録商標が請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているか否かについて
ア 請求人の主張及びその提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第2号証の3は、「ポンパレモール」のウェブサイト(2015年2月19日紙出力)であり、「ウィメンズ JUST DO IT Vネック 646579ナイキ(アパレル)」の記載とともに、「JUST」、「DO」及び「IT.」の各文字が三段に表されたTシャツの画像が掲載されている。
また、甲第2号証の5は、「Nike Store JP」のウェブサイト(2015年2月19日紙出力)であり、「ナイキ Just Do It メンズTシャツ」の記載とともに、「JUST」及び「DO IT.」の各文字が二段に表されたTシャツの画像が掲載されている。
(イ)甲第7号証は、2007年2月から2012年6月までの間の本願標章に係るキャンペーンの新聞、ウェブ、雑誌その他の広告記録とされるものであって、その6葉目表面下段には、「Media:Gekkan Baseball(PR)」及び「Date:Apr.24.2010」の記載とともに、「JUST」、「DO」及び「IT.」の各文字が三段に表されたTシャツの画像が掲載されている記事がある。
(ウ)甲第8号証は、2013年2月から2015年3月までの間の本願標章の需要者への露出を示す広告記録とされるものであって、その3葉目には、「-5kgやせる本」(「DATE:Apr.22.2013」の記載あり。)における広告として、「JUST DO IT.」の文字が表示されたパンツを着用した女性の写真が掲載され、「ブラトップ・・・パンツ・・・シューズ・・・すべてナイキ(ナイキジャパンお客様相談室)」の記載がある。
また、その57葉目ないし59葉目には、「KICKS」(「DATE:Apr.4.2014」の記載あり。)、「STREET JACK」(「DATE:Apr.24.2014」の記載あり。)及び「441」(「DATE:Apr.10.2014」の記載あり。)における広告として、「JUST DO IT.」の文字が表示されたスニーカーの画像が掲載されている記事がある。
(エ)甲第18号証は、原登録商標を使用した商品の例とされるものであって、その1葉目ないし3葉目は、2016年8月の「身の程知らず」と称するイベントにおいて参加者へプレゼントしたとされるTシャツ(大書された「#身」、「の程」及び「知らず」の各文字を三段に表してなるものの下方に、極めて小さく「JUST DO IT.」の文字が表されているもの。)の画像である。
また、その4葉目ないし14葉目は、2016年5月の「NIKE+TRAINING CLUB TOUR」と称するイベント及び2017年2月の「NIKE WOMENS TOKYO」と称するイベントにおいて使用したとされるトレーニングシャツ(肩ひもの一部に「JUST DO IT.」の文字が表されているもの。)の画像である。
さらに、その15葉目及び16葉目は、2016年12月の「Winter cup」と称するイベントにおいてプレゼントしたとされるリストバンド(表面に小さく「JUST DO IT.」の文字が表されているもの。)の画像である。
(オ)甲第22号証は、「Apparel Business Magazine」の記事を紹介した、「Fashionsnap.com The Posts」のウェブサイト上の2016年4月21日付けの記事であり、「【レポート】スポーツメーカー世界1位を独走『ナイキ』の財務状況を分析」の見出しの下、「日本円で連結売上高がおよそ3兆4,000億(1米ドル=113円で換算)におよぶNike,Inc.(ナイキ社)。売上げ規模やその影響力において、スポーツメーカーでは世界1位を独走している。」との記載がある。
(カ)甲第23号証は、原登録商標を使用した商品に関する1994年から2016年の日本売上高(米ドル)とされるものであって、「Net Sales of Products Using JUST DO IT Mark in Japan」の見出しの下、1994年から2016年までの期間における「Apparel」、「Equipment」及び「Footwear」の各商品(Product)についての各年の売上高を示す数字のほか、その全ての商品の売上高の各年の合計及びその商品ごとの当該期間における合計を表す数字の記載があり、当該期間における全ての商品の売上高として、「50,139,190.00」との記載がある。
(キ)甲第5号証の2、甲第5号証の3、甲第11号証及び甲第12号証は、いずれも日経BPコンサルティングがまとめた「企業メッセージ調査」の結果であって、それぞれ2012年(甲5の2)、2014年(甲5の3)及び2015年(甲11、甲12)に係るものであるところ、これらによれば、「JUST DO IT.」の文字を提示された者が発信企業としてナイキジャパンと回答できた正答率(想起率)は、2012年が21.8%、2014年が16.5%、2015年が15.4%である。
(ク)上記(ア)ないし(キ)のほか、請求人の提出に係る甲各号証においては、「JUST DO IT.」の文字の表示が見受けられるものもあるが、それらは、例えば、原登録商標の指定商品以外の商品に使用しているもの、ナイキジャパンによるキャンペーンやイベントにおけるスローガン(企業メッセージ)等として掲げられているものの、原登録商標の指定商品についての使用との具体的な関係が明らかでないもの等であり、また、画像や説明文等が不鮮明であるため、その内容を把握することができないものも含まれている。
イ 上記アの事実によれば、以下のとおり、判断すべきである。
(ア)原登録商標は、上記第2のとおり、「JUST DO IT」の欧文字を標準文字で表してなるものであるのに対し、我が国において、主にナイキジャパンが商品の広告やキャンペーン及びイベント等において用いた標章は、上記アのとおり、「JUST DO IT.」の文字からなるもの(二段書き及び三段書きのものを含む。以下「使用標章」という。)であって、両者は、僅かに「.」(ピリオド)の有無という差異が存するものであるところ、「.」(ピリオド)とは、文の終わりを示す符号であり、それ自体は意味を有さず、通常、発音もされないものである。
そうすると、原登録商標と使用標章とは、それぞれから生じる称呼、想起される意味合いを同じくするといえるものであり、「.」(ピリオド)の有無が両者を別異のものと認識させるほどに強く印象付けられるともいい難い。
してみれば、原登録商標と使用標章とは、これに接する者をして、必ずしも容易に区別し得るものではないというべきであるから、原登録商標が請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているか否かについて検討するに当たっては、両者は、同一のものとみるのが相当である。
(イ)使用標章は、原登録商標の指定商品との関係においては、2010年4月にTシャツ、2013年4月にパンツ、2014年4月にスニーカー、2015年2月にTシャツといった商品の広告において用いられたことは認められるが、2016年ないし2017年における使用標章が表示されたTシャツ、トレーニングシャツ、リストバンドは、イベントでの使用又は参加者へのプレゼントとしてのものにすぎず、2009年以前に、我が国において、使用標章が、原登録商標の指定商品について、具体的に使用されていた事実は見いだせない。
また、請求人は、原登録商標を使用した指定商品の市場占有率(シェア)や売上高について、米ナイキ社の売上規模が全世界のスポーツメーカーの中で1位であること、1994年から2016年までの期間における我が国での原登録商標を使用した商品の合計売上高が50,139,190米ドル(約57億円)に上ることを述べているが、米ナイキ社の全世界の売上規模をもって、我が国における原登録商標ないし使用標章の使用に係る原登録商標の指定商品についての市場占有率(シェア)を推し量ることはできず、さらに、当該合計売上高に係る商品として挙げられている「Apparel」、「Equipment」及び「Footwear」のそれぞれが原登録商標の指定商品のいずれに該当するものであるかが明らかでない上、それぞれの商品についての原登録商標ないし使用標章の使用の具体的態様も明らかでないことからすれば、これらをもって、我が国における原登録商標を使用した指定商品の市場占有率(シェア)や売上高を認定することは困難である。
(ウ)使用標章は、日経BPコンサルティングがまとめた調査結果によれば、2012年に回答者の約22%、2014年に回答者の約17%、2015年に回答者の約15%が、そのメッセージの発信企業としてナイキジャパンを挙げたとされることから、我が国において、ナイキジャパンが発信する企業メッセージを表す文字として、需要者の間で一定程度認識されているとはいえる。
しかしながら、上記調査からは、使用標章が原登録商標の指定商品に使用されたかは不明であるから、これをもって、原登録商標が請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとはいい難い。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえない。
(3)他人が、原登録商標をそれに係る指定商品とは非類似の本願の指定商品に使用したときに、その商品と請求人の業務に係る指定商品とが出所の混同を生ずるおそれがあるか否かについて
上記(2)のとおり、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとはいえないため、他人が、原登録商標をそれに係る指定商品とは非類似の本願の指定商品に使用したとしても、その商品と請求人の業務に係る指定商品とが出所の混同を生ずるおそれがあるものとはいえない。
(4)小括
上記(2)及び(3)のとおり、本願標章は、商標法第64条第1項に規定する要件を具備しないものである。
3 請求人の主張について
請求人は、自らを我が国における米ナイキ社の全ての商標の権利者であるとし、また、米ナイキ社の商品は、我が国において、ナイキジャパンを通じて販売されているとした上で、本願標章について、米ナイキ社のコーポレートスローガン、キャッチフレーズ、キャンペーンの名称及び企業メッセージとして需要者の間で受け止められており、このようなコーポレートスローガン等の位置付けの商標は、広告やキャンペーン、イベント等で使用されることにより周知化するものであり、日経BPコンサルティングの調査結果にあるように、本願標章と米ナイキ社との結びつきが明らかであれば、本願標章は、米ナイキ社の商品について出所表示機能、広告宣伝機能等を発揮しているといえるから、請求人の取扱いに係る商品について周知、著名な商標であり、防護標章登録を認められるべきである旨主張する。
確かに、上記2のとおり、使用標章は、ナイキジャパンが発信する企業メッセージを表す文字として、需要者の間で一定程度認識されているといえるものの、請求人の業務に係る指定商品を表示する商標として、需要者の間に広く認識されているとはいえないものであるから、本願標章について防護標章登録を認めることはできない。
したがって、上記請求人の主張は、採用できない。
4 むすび
以上のとおり、本願標章は、商標法第64条第1項に規定する要件を具備しないものであるから、防護標章として登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-06-06 
結審通知日 2017-06-30 
審決日 2017-07-12 
出願番号 商願2014-88774(T2014-88774) 
審決分類 T 1 8・ 82- Z (W03)
T 1 8・ 81- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子赤星 直昭 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 尾茂 康雄
田中 敬規
商標の称呼 ジャストドゥーイット 
代理人 田畑 浩美 
代理人 宮永 栄 
代理人 西村 雅子 

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