• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1333390 
審判番号 取消2016-300536 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-04 
確定日 2017-10-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5412004号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5412004号商標の指定商品中、第9類「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)・音楽・音声・文字データ」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5412004号商標(以下「本件商標」という。)は、「フィギー」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年11月2日に登録出願、第9類「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)・音楽・音声・文字データ,コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な携帯電話機の待ち受け画面用の画像(動画・静止画を含む),コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な携帯電話機の待ち受け画面作動用の携帯電話機のプログラム,その他のコンピュータソフトウェア」を指定商品として、同23年5月13日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により、指定商品中「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な携帯電話機の待ち受け画面用の画像(動画・静止画を含む)」について取り消すべき旨の審決がされ、同29年1月17日にその確定審決の登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年8月17日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)・音楽・音声・文字データ」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 被請求人の主張について
被請求人は、乙第3号証の態様で、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に、被請求人により本件商標が使用されている旨主張する。
この点、被請求人が、商標法第2条第3項に記載のいずれの使用を主張しているかは判然としないため、適切に反論することは困難である。
以下では、被請求人が、乙第3号証にある「フィギー」について、商標法第2条第3項第8号の使用を主張していることを前提として、反論を加えることとする。
イ 商標法第2条第3項第8号の使用について
被請求人の提出した証拠によっては、以下のとおり、要証期間において、商標法第2条第3項第8号の使用があったことの証明はなされていない。
商標法第2条第3項第8号の「商品」とは独立して商取引の対象として流通に供される物をいい、「広告」とは顧客を誘致するために、商品などについて、多くの人に知られるようにすることをいうものと解される(甲2)。
すなわち、乙第3号証が、要証期間において、商取引の対象たるフィギー関連のダウンロード可能な画像(以下「本件商品」という。)の顧客を誘致するためになされている場合には、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」に該当するものと解されるが、既に本件商品の販売が終了しており、単に本件商品に関する過去の広告が削除されることなく放置されていたにすぎないような場合には、これに該当しないものと解される。
この点、被請求人は、要証期間において、乙第7号証の方法で本件商品が販売されていた旨主張している。
しかし、乙第7号証中の「紹介ページ」欄及び「コンテンツDB」欄には、「○月×日UP!」とあるのみで具体的な日付の記載はなく、要証期間において、乙第7号証の方法で本件商品が販売されていたか否かは不明である。
他に、要証期間において、本件商品が販売されていたことを示す客観的な証拠も存しない。
むしろ、以下のとおり、乙第5号証及び乙第6号証からは、要証期間前に、本件商品の販売は既に終了していたものと考えられる。
すなわち、乙第5号証は、第9条第1項及び別紙(3)において、デジタルコンテンツの提供等に関する契約(以下「本契約」という。)の有効期間を平成23(2011)年3月31日までと定め、かつ、本契約の自動更新に関する定めを置いていない。
また、第12条は、本契約が終了したときは、被請求人において本件商品の販売を直ちに終了しなければならない旨が定められている。
このような条項からは、被請求人が、本件商品を適法に販売し得るのは、平成23(2011)年3月31日までであり、同日以降に、本指定商品を販売すると、第12条違反になるものと解される。
したがって、乙第5号証からは、被請求人は、平成23(2011)年3月31日、又は少なくともその直後には、本件商品の販売を終了したものと考えられる。
また、乙第5号証は、第7条第1項、同第3項及び別紙(2)において、被請求人は定期的に支払通知書を作成・送付しなければならないことを定めている。
そうすると、仮に、本契約が要証期間中も有効に存続していたのであれば、被請求人は、要証期間中における支払通知書を容易に証拠提出できたはずである。
それにもかかわらず、被請求人は、要証期間前の支払通知書を証拠提出するのみで(乙6)、要証期間中の支払通知書を一切、提出できていない。
このような事情に鑑みると、要証期間において、本契約は更新されることなく終了しており、本契約の終了により本件商品の販売も終了していたものというべきである。
さらに言うと、被請求人は、要証期間以前の平成23(2011)年10月1日に「株式会社トリワークス」から「株式会社ルクレ」に社名変更している(乙1)。
してみれば、仮に、本契約が要証期間中も有効に存続していたのであれば、「株式会社ルクレ」の名称で新たに締結されたデジタルコンテンツの提供等に関する契約書及び「株式会社ルクレ」の名称で発行された支払通知書が存在するはずである。それにもかかわらず、そのような契約書及び支払通知書は、一切、証拠提出されていない。
したがって、本契約は、平成23(2011)年3月31日に終了しており、その後、本契約は更新されておらず、同日又は少なくともその直後には、本件商品の販売は終了していたとみる方が自然である。
以上のことに、乙第3号証の最下部に「1995-2011 Triworks Corp. JAPAN All rights reserved.」と記載されているとおり、平成23(2011)年以降のアップデートがなされていないという事情も併せ考えると、要証期間前に、既に本件商品の販売が終了しており、乙第3号証は、単に本件商品に関する過去の広告が削除されることなく放置されていたことを示すものにすぎないというべきである。
よって、被請求人の提出した証拠によっては、要証期間において、商標法第2条第3項第8号の使用があったことの証明はなされていない。
ウ 乙第3号証の広告主体について
百歩譲って、要証期間において、乙第7号証が示すように、本件商品を購入することが可能であり、乙第3号証について、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」と見ることができるとしても、以下のとおり、被請求人が、要証期間における乙第3号証の広告主体であることの証明はなされていない。
すなわち、乙第3号証には、その最下部に、「1995-2011 Triworks Corp.」の記載があるのみであり、被請求人が、要証期間における広告主体であることを示す記載は見当たらない。
したがって、乙第3号証からは、要証期間において、乙第3号証のサイトを誰が運営しており、誰の広告であったか不明である。
また、上記のとおり、平成23(2011)年以降に「株式会社ルクレ」の名称で新たに締結されたデジタルコンテンツの提供等に関する契約書及び「株式会社ルクレ」の名称で発行された支払通知書がないことからは、被請求人は、本契約第12条に照らして要証期間において、適法に本件商品を販売し得ないのであり、要証期間における乙第3号証の広告主体は、被請求人でない可能性が十分にあるというべきである。
さらに言うと、被請求人は、平成23(2011)年9月26日には、新たなURL(http://lecre.jp/)の下、事業広告を展開している(甲3)。
被請求人の広告は、同日以降、順次、新たなURLのもとで行われていたはずであるにもかかわらず、乙第3号証の広告は、新たなURLのもとでなされていない。このことに鑑みると、乙第3号証の広告主体は、もはや被請求人ではなく、別の第3者であった可能性も十分にあるものと考えられる。
よって、被請求人が、要証期間における乙第3号証の広告主体であることの証明はない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人の提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者等によって、本件商標がその指定商品に使用されていたことの証明はなされていない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)要旨
請求人は、請求書において、本件商標の指定商品のうち「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)・音楽・音声・文字データ」について商標法第50条第1項の規定により登録を取り消すべきものであると主張している。
しかしながら、被請求人は、次に述べる理由により、請求人の主張を到底認めることができない。
(2)主体的要件について
本件商標登録の登録原簿上の商標権者である株式会社トリワークスは、乙第1号証に示すように、その商号を平成23年10月1日に株式会社ルクレに変更している。また、本商号の変更に伴い、乙第2号証のとおり、平成28年9月30日に登録名義人の表示変更登録申請書を提出し、本件商標登録の名義人を株式会社トリワークスから株式会社ルクレに変更している。
このため、株式会社ルクレは本件商標登録の商標権者である。
(3)本件商標の使用について
本件商標は、「フィギー」の片仮名を書した態様であり、乙第3号証のとおり、電子メール等の通信機能を有する携帯電話機からアクセス可能なサイトである「ラブハピ」において使用されている。
「ラブハピ」は、電子メール等で使用される静止画像や動画像等(以下「デジタルコンテンツ」という。)を有償で顧客に提供する携帯電話機専用のサイトであり、乙第4号証のとおり、株式会社ルクレヘ社名変更前の株式会社トリワークスが運営を行っていたサイトである(http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000001288.html)。
株式会社トリワークス(現:株式会社ルクレ(商標権者))は、乙第5号証のとおり、2010年12月15日に「ラブハピ」で提供されるデジタルコンテンツに関するライセンス等の契約を同デジタルコンテンツに係る著作権等の管理者と交わすとともに、同年、「ラブハピ」においてデジタルコンテンツを提供するサービスを開始している。
「ラブハピ」でダウンロード可能なデジタルコンテンツは、有名人やキャラクターをモチーフにしたフィギアのようなイラストデータであり、主として携帯電話機から送信される電子メール中の文章に表示して、本電子メールを装飾することを目的として使用されるものである。
乙第6号証は、2011年6月30日に株式会社トリワークスが前記管理者に同ライセンスに対する対価の支払いを行った際の支払通知書であり、同支払通知書内には、デジタルコンテンツを指し示す「フィギー」に対するロイヤリティの内容や、その内容に対する単価等が記載されている。このことから、「ラブハピ」中の「フィギー」のサイトに顧客がアクセスして、本「フィギー」のサイトにおいて販売されているいずれかのデジタルコンテンツが購入されたことを確認できる。
株式会社トリワークスは、インターネット上で「ラブハピ」を紹介しており、その「ラブハピ」を紹介しているホームページの情報の場所を示すURLは「http://a.love-happy.com」であり、2016年3月5日の時点で「ラブハピ」を紹介しているホームページの存在を示すアーカイブは、乙第3号証に示すように、「http://web.archive.org/web/20160305025542/http://a.love-happy.com」である。このURLのうち「20160305」は同ホームページが「2016年3月5日」にインターネット上で公開されていたことを示すものであり、また、同ホームページの右上部にも「2016年3月5日」を示す画像が配置されている。そして、乙第3号証に示すホームページの略中央部に「フィギーが1個10円から」「フィギーって?」という文言が配置されており、画像等のデジタルコンテンツを指し示す総称として本件商標である「フィギー」が用いられている。
したがって、乙第3号証から、少なくとも2016年3月5日以降、本ホームページにおいて、「ラブハピ」が紹介されており、その「ラブハピ」の紹介サイト中に、本件商標と同一の商標である「フィギー」が使用されていることを確認できる。
乙第7号証は、「ラブハピ」におけるデジタルコンテンツの購入方法を示すものである。ユーザーが携帯電話機を利用して「ラブハピ」にアクセスすると「ラブハピ」の初期画面であるトップページが携帯電話機の画面に表示される。このトップページの上部及び略中央上部には「フィギー」の文字が配置されており、トップページ上のアイコンをユーザーの操作により選択するとデジタルコンテンツを紹介する「紹介ページ」やデジタルコンテンツの一覧を表示する「コンテンツDB」が画面に表示される。そして、コンテンツDBにおいて所望するデジタルコンテンツのアイコンを選択すると、同デジタルコンテンツをダウンロード可能な画面を表示させることが可能になっており、この画面上のアイコンを選択することにより、同デジタルコンテンツを購入することができる。
よって、乙第7号証から、「フィギー」なる文字が、商品「携帯電話を用いたコンピュータネットワークを通じてダウンロード可能なデジタルコンテンツ」の商標として使用されていることが確認できる。そして、本件商品は、本件商標に係る指定商品中の「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)」に該当するものと認められる。このように、乙第3号証及び乙第7号証に示すように、商標権者は、登録商標「フィギー」に係る商標と同一の商標を使用している。そして、登録商標「フィギー」をデジタルコンテンツ提供サイト「ラブハピ」からダウンロード可能な画像に使用していることは明らかであり、これらの画像は本件商標の指定商品のうち「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)」に該当する。
(5)まとめ
以上のように、商標権者である被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をその請求に係る指定商品に含まれる「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)」に使用した事実は、乙第3号証ないし乙第7号証から明らかであるから、本件商標が取り消されるべきでない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出した証拠、同人の主張及び職権による調査によれば以下の事実が認められる。
ア 商標権者は、「1.インターネットコンテンツサービス業/2.コンピュータのソフトウエアの開発、販売、保守、コンサルティング/3.映像、音声コンテンツ及びコンピュータのソフトウエアの企画、開発、制作、製造、販売」等を目的として、平成7年9月20日に「株式会社トリワークス」の商号で設立され、その後、同23年10月1日に現商号である「株式会社ルクレ」に変更している(乙1)。それに伴い、本件商標に係る商標登録原簿における登録名義人の表示の変更が平成28年10月3日受付でされている(乙2,職権調査)。
イ 乙第3号証及び乙第4号証は、「デジタルコンテンツ提供サービス『ラブハピ』を紹介しているホームページ(写し)」とするものであるところ、乙第3号証は、株式会社トリワークスが運営する「ラブハピ」を紹介するホームページの2016年3月5日時点での存在を示すアーカイブであり、その紙面中央部に「フィギーが1個10円から」「【フィギーって?】」の記載がある。そして、その最下部には、「1995-2011 Triworks Corp. JAPAN All rights reserved.」との記載がある。乙第4号証には、2009年12月14日付けのプレリリースとして、「“アラサー”の新ケータイ術!!大人の女性が使えるデコメサイト『ラブハピ』がサービス開始!!」の表題の下、「株式会社トリワークス・・・は、“アラサー”向けの3キャリア対応サイト『ラブハピ』をOPENいたします。」「■『ラブハピ』サービス概要/“『毎日』が変わると、『メール』が変わる”をキャッチコピーに、『お仕事』『家族』『プライベート』など変化する女性の【毎日】を徹底サポートするデコメサイトです。」「■トリワークスについて/当社は1999年からケータイビジネスに関する企画・制作を手掛けてまいりました。100万人以上もの会員が属する公式サイトを7年間運営するなど、現在に至るまで、様々な実績を重ねております。それらのノウハウを活かし、確かな技術によって誕生したのが『ラブハピ』です。」の記載がある。そして、乙第4号証には、本件商標の表示は見いだせない。
ウ 乙第5号証は、「ラブハピ」で提供されるデジタルコンテンツに関するライセンス等の契約を同デジタルコンテンツに係る著作権等の管理者と交わした契約書(写し)とするものであるところ、該文書は、「株式会社●●●●●●●●」(「●」はマスキングされている部分を表す。以下同じ。)を甲とし、「株式会社トリワークス」を乙とする2010年12月15日付けの「デジタルコンテンツの提供等に関する契約書(写し)」であると認められ、「甲と乙とは、乙が企画・運営するインターネットのサイトおよび携帯電話のサイトにおいて、顧客に対し甲および乙がデジタルコンテンツの提供を行うに当たっての協力について、契約を締結する。」旨の記載の下、「第2条(役割)・・・甲の役割:(a)本件デジタルコンテンツ販売にかかるプロモーション活動 (b)本件デジタルコンテンツにかかる肖像権、著作権、商標権、意匠権、その他知的財産権の管理、権利処理業務 (c)本件デジタルコンテンツにかかる原画・素材等の乙への提供/乙の役割:(a)本サービスの企画・運営 (b)本件デジタルコンテンツの制作 (c)本件デジタルコンテンツの顧客への販売 (d)本件デジタルコンテンツの料金徴収ならびに甲への分配」、「第7条(支払通知書および支払)/(1)乙は、甲に対し本契約有効期間中、支払通知書を提出する。/・・・/(3)支払通知書の提出期日および支払の期日については、別紙に定める。/・・・」、「第9条(有効期間)/(1)本契約の有効期間は、別紙に定めるとおりとする。/・・・」及び「第12条(契約終了後の取扱い)/乙は、本契約が満了又は解除により終了した場合には、本件デジタルコンテンツの販売を直ちに終了するものとし、甲と協議の上、原画・素材等およびその他の情報を乙が管理するサーバーから速やかに消去し、または、提供時の素材で残るものはそれを甲に速やかに返却または甲の指示に従い破棄するものとする。」旨の記載があり、「【別紙】」において、「(2)支払通知および支払の期日/(a)乙は、本契約の有効期間中、キャリアから受領した通知をもとに毎年3月末日、6月末日、9月末日及び12月末日を満了日とする3か月間(以下「四半期」という)毎に甲に対する支払通知書を作成し、各四半期の翌月20日までに書面にて通知する。 (b)乙は、本項(a)の支払通知書に基づいた甲への分配を、支払通知書送付の翌月末日までに銀行振込の方法によって行うものとする。」及び「(3)本契約の有効期間/2010年12月20日から2011年3月31日まで」旨の記載がある。
エ 乙第6号証は、株式会社トリワークスから乙第5号証における著作権等の管理者にライセンスに対する対価の支払いを行った際の支払通知書であるとするものであり、該文書は、「株式会社トリワークス」から「株式会社●●●●●●●●」宛ての2011年6月30日付けの「御支払通知書(写し)」であると認められ、「内容」欄に、「フィギーコンテンツロイヤリティ」、「●●●●●様 4月分(2月販売分)」、「5月分(3月販売分)」、「6月分(4月販売分)」、「●●●様 4月分(2月販売分)」、「5月分(3月販売分)」、「6月分(4月販売分)」の記載があり、各月分に対応した「単価」、「数量」、「合計」の記載がある。そして、「備考」欄には、「お支払予定日:2011/7/29」、「お支払方法:銀行振込」の記載のほか、「お振込先」が記載されており、また、「※2011/1-3月支払留保分¥4,736もご一緒にお振込いたします。」との記載がある。
オ 乙第7号証は、「ラブハピ」におけるデジタルコンテンツの購入方法の説明図(写し)とするものであるところ、下方の青色の太線内に「TriWorks Corp. JAPAN. All rights reserved.」の文字が記載されており、「【遷移イメージ】」の表題の下、「ラブハピトップページ(非会員)」欄に「限定デコメ『フィギー』」の記載があるほか、本件商標の要証期間の使用に係る日付などの記載は見いだせない。
(2)ア 被請求人は、商標権者が要証期間に本件商標をその請求に係る指定商品に含まれる「コンピュータネットワークを通じてダウンロード可能な画像(動画・静止画を含む)」に使用したと主張している。
そして、上記(1)において認定した事実によれば、商号が「株式会社トリワークス」の名称であった商標権者は、各種デジタルコンテンツを提供するウェブサイトである「ラブハピ」を2009年12月から開始し、2010年12月15日に、「ラブハピ」で提供されるデジタルコンテンツの提供等に関する契約を同デジタルコンテンツに係る著作権等の管理者と交わし、その後、「ラブハピ」において「フィギー」と名付けられたデジタルコンテンツ(以下「本件デジタルコンテンツ」という。)を提供するサービスを開始したこと、及び本件デジタルコンテンツのロイヤリティとして、2011年1月ないし3月支払留保分及び同年4月ないし6月分(2月販売分ないし4月販売分)が商標権者から上記デジタルコンテンツに係る著作権等の管理者に支払われたことが推認される。
また、乙第3号証によれば、要証期間といえる2016年3月5日時点の商標権者が運営する「ラブハピ」を紹介するホームページにおいて本件商標と社会通念上同一の商標といえる表示である「フィギー」の文字が使用されていたといえる。
イ しかしながら、乙第5号証の本契約は、その契約の有効期間を平成23(2011)年3月31日までと定め、かつ、本契約の自動更新に関する定めを置いておらず、また、本契約が終了したときは、商標権者において本件デジタルコンテンツの販売を直ちに終了する旨が定められている。さらに、本契約には株式会社トリワークスが定期的に支払通知書を作成・送付しなければならないことが定めているにもかかわらず、本件デジタルコンテンツのロイヤリティに係る平成23(2011)年4月販売分として商標権者から上記デジタルコンテンツに係る著作権等の管理者に支払われた後の支払通知書等の証拠は一切提出されていない。
以上のことから、商標権者は、平成23(2011)年3月31日、又は少なくともその直後には、本件デジタルコンテンツの販売を終了したものと考えるのが相当であり、乙第3号証は、単に本件デジタルコンテンツに関する過去の広告が削除されることなく放置されていたことを示すものにすぎないといわざるを得ない。
よって、被請求人の提出した証拠によっては、要証期間において、商標法第2条第3項第8号に係る本件商標の使用があったということはできない。
ウ なお、審判長は、請求人提出の弁駁に対する意見及び既に提出の乙各号証以外の証拠方法の提出を求める旨の審尋を行ったところ、被請求人からは、「本審判において使用の事実に関する証拠をこれ以上提出する予定はない。」旨の回答があった。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-08-04 
結審通知日 2017-08-10 
審決日 2017-08-22 
出願番号 商願2010-85498(T2010-85498) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 庄司 美和 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
網谷 麻里子
登録日 2011-05-13 
登録番号 商標登録第5412004号(T5412004) 
商標の称呼 フィギー 
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ