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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W28
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W28
管理番号 1333367 
審判番号 不服2015-907 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-16 
確定日 2017-10-11 
事件の表示 商願2014-5943拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成26年1月29日に立体商標として登録出願されたものである。
その後,指定商品については,原審における同年7月31日受付の手続補正書により補正された結果,第28類「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置」となったものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,その指定商品中,『トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置』の機能の向上や美感に資することを目的として採用されたものと認められる形状からなるものである。そうすると,本願商標を,その指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者が,自他商品の識別標識と認識するよりも,本願指定商品中の商品の形状を表した図形と認識するというのが相当であるから,本願商標は,その指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標がその指定商品に使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。したがって,本願商標は,商標法第3条第2項に該当しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2ないし4に示す事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,平成28年1月26日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し,期間を指定して,意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
(1)本願商標及び本願指定商品について
ア 本願商標は,その具体的な構成としては,背面部をほぼ垂直状とし,上面部を前方に向かって緩やかな斜傾状とした横長略台形状であって,平面後方部に結果表示ランプを設け,左側面下方後方に内蔵モニターを設け,左側面下方前方にインストラクションボタンを設け,輪郭線として緩やかな曲線を多用することにより,近未来的な立体造形物における流線形状から醸し出される標章であって,それ自体が極めて特異なものである。
すなわち,本願商標は,「シュー」(審判注:カジノでディーラーが,札を配るときに用いるケース)の語源である「靴」のイメージと,パイオニアとして先頭を走ることを象徴する「スポーツカー」のイメージを意図的に組み入れた特異な形状からなるものであって,請求人は,その形状自体を自他商品識別標識として採択したものである。
本願商標は,その特異な立体的形状ゆえに取引者・需要者に対し,現代社会から見た美しい未来感や大自然の緩やかな流れを具現した標章という印象を与え,強く記憶に残すものであるから,本願商標の立体的形状は,ありふれたものでは決してない。
イ 本願指定商品は,単なる一般的な「ゲーム用品の範ちゅうに属する商品」ではなく,「バカラのいかさま防止」「ディーラーの間違い発見」「ゲーム結果の自動表示」という用途及び機能を有し,特許取得の独特のコードが印刷されたカードをスキャナで読みとり,パソコンなど通信機能を備えた機器との間でデータを交信する機能をその本質的な要素としている極めて特殊な商品である。そして,通常,バカラゲームを行う各テーブルに1台設置されるものであり,バカラゲームに使用するトランプの不正有無の確認及びゲーム結果の判断及び表示等を行う画期的な構造からなるという用途及び機能から,バカラゲームを行うことができない我が国において普通一般に流通することはない輸出専用品である。
そうすると,本願指定商品が「ゲーム用品の範ちゅうに属する商品」であるとしても,その商品の用途及び機能や輸出専用品であるという特殊性を考慮した上で,本願商標が本願指定商品に使用された場合に,これに接する需要者がいかなる認識をするのか検討する必要があるものである。
(2)従来商品との比較
証拠調べ通知書における別掲2及び3で挙げられているカード容器は,普通一般的なトランプゲーム用のカード容器であり,カードの繰り出し口の構造を,カードをディーラーがなめらかに取り出すことができ,手際よく配ることが要請された開口部を設ける場合があるとしても,本願商標は,バカラ電子シューであり,そのような要請の結果の構造ではないし,本願商標の胴部も,単にカードを収納するための構造ではないし,本願商標においては,ランプやモニター等を有するものであり,全体的な形状をみても,他社商品と識別・区別可能な程度に特異な立体的形状を採用しているものである。
したがって,本願商標は,その具体的構成からすると,別掲2及び3の「カード容器」と「同様の形状からなるものと理解させる」とは到底いえないことは明らかである。
(3)本願商標の独占適応性及び著名性について
ア 本願商標の独占適応性
本願商標は,バカラ業界にこれまでなかった初めてのバカラ電子シューであり,その立体的形状は通常採択し得る範囲を大きく超えており,その構造が業界において必要不可欠な構造であるとはいえないし,既に用いられている形状を有するともいえないものである。その特異な立体的形状が必要適切な表示として何人もその使用を欲するものとして認識し,理解しなければならない理由もない。
また,本件バカラ電子シューが輸出専用品であることから,請求人は,バカラゲームを行うカジノ施設を有する海外,少なくとも,米国,欧州,オーストラリア,ロシア,マレーシア,ニュージーランドにおいては,自他商品識別力を有するものとして商標登録されていることからすると,輸出元となる我が国で何人も本願商標を開放しなければならない理由は見当たらず,我が国において請求人に独占使用を認めても公益上何ら問題が生ずることはない。
また,請求人が本願商標を盛大に継続使用したことにより,本願商標を使用した本件バカラ電子シューは,バカラ電子シューのマーケットでは90%以上のシェアを占めるに至っていることからすると,本願商標に接するバカラ電子シューの需要者は,請求人の出所を表示するものとして容易に認識するというのが相当である。
そうすると,本願商標がバカラ電子シューの取引において,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものとはいえない。
イ 本願商標と同一又は類似の立体的形状の有無
本願商標は輸出専用品であり,バカラ電子シューを取り扱う業界における主要国において商標登録されているから,これらの国においては,本願商標は,請求人のみが唯一独占し続けているものである。
したがって,バカラ電子シューを取り扱う業界において,本願商標は,既に用いられている形状を有するにすぎないとは到底いえるものではない。
また,本願商標は前記のとおり,形状自体に特異性があり,バカラ電子シューの形状として通常採択し得る範囲を大きく超えているものであるから,自他商品の識別力を有する程に十分特徴的である。
さらに,バカラシューの取引において,普通に存在するバカラシューの立体的形状に,本願商標のような変更,装飾等が採択されている事実は存在せず,それら変更,装飾等によって,本件バカラ電子シューの機能を効果的に発揮させたり,美感の向上のために施されたものと需要者をして認識されるに止まるとする特段の事情もない。
ウ 商品の形状の一般的認識
本願商標は,前記のとおり特異な形状として採択されたものであり,当該形状は他の同種商品と十分識別・区別可能なほど極めて特徴的といえるものである。
そうすると,需要者は,その特徴的形状を一つの手掛かりにし,次回以降の購入時における商品選択の基準とすることができるものであり,本願商標は,美感等の向上という第一次的要求に加え,再度の需要喚起を図るための自他商品識別力の付与の観点をも併せ持っているものというのが相当である。
エ 需要者について
本願商標が使用される本件バカラ電子シューは輸出専用品であり,我が国において普通に流通するものではない上に,その使用にあたっては専門的な知識や技術的な説明が必要になるものであるところ,需要者の範囲は,日常消費物資や遊戯用具等のように老若男女幅の広い一般消費者が含まれるものではなく,主として,海外のバカラゲームを主催するホテルや娯楽施設においてある程度専門的な知識を有する者であるから,バカラゲームに関する海外の情報について敏感であり,その者の知識,情報量は通常一般のものに比して多いものと考えられる。
そうすると,本願商標は,バカラ電子シューの次回の購入を検討する際に,本願商標に係る指定商品の購入・非購入を決定する上での標識とするに足りる程度に十分特徴的であることからすると,本願商標に接する需要者は,それ自体に強い印象を受け,如何なる出所を表示しているものか容易に理解できる場合も決して少なくはないものである。
オ 輸出行為による著名性獲得
本願商標が使用される本件バカラ電子シューは,バカラゲームを行うことができない我が国において普通一般に流通することはない輸出専用品である。それゆえ,請求人との間で輸出という手段により取引をする需要者は,主として,外国法人又は外国人(以下あわせて「在外者」という。)と取引をする日本法人あるいは在外者であることは明らかである。そして,「輸出」は,商標法第2条第3項第2号の「使用」に規定されている行為である。
請求人の提出に係る証拠のうち,本願商標を使用した本件バカラ電子シューが,バカラゲームを行うことのできる主要国であるマカオ,オセアニア,シンガポール,フィリピン,マレーシア等に輸出している事実及び需要者の認識を示す証拠によれば,本件バカラ電子シューの輸出に係る取引の実情を示すものであることからすると,バカラゲームの大半はマカオを筆頭にアジアでプレーされており,アジアのカジノ大国と呼ばれる国々において本願商標は高いシェアを獲得していることは明らかである。
そして,世界には巨大カジノグループが存在し,マカオを筆頭としたカジノ大国において複数のカジノを運営しているところ,請求人は,全世界において,これらのグループ全てと取引があり,当該グループのカジノに勤務する人々は本願商標を請求人の出所識別標識として認識し,それゆえ一定の品質が保証されているものとし理解するものである。このことは,本願商標を見れば請求人の商品であると101人ものカジノ関係者が宣誓していることから明らかである。
さらに,前述のとおり,本願商標が諸外国において商標登録されているところ,輸出専用品である本件バカラ電子シューに使用される本願商標に限ってみると,外国における登録例の存在は,著名性の認定に十分考慮されるべき事実である。
そうすると,バカラ電子シューを取り扱う業界において,本願商標は,請求人のみが唯一独占し続けている状況というのが適切な取引の実情の捉え方であり,輸出がなされる各国の需要者は,本願商標を請求人の商品に係る商標であるとして認識し,把握していると見るのが自然である。
カ その他の事情
日本におけるカジノゲーム用品販売代理店の最大手である株式会社マツイ・ゲーミング・マシン(以下「マツイ社」という。)による証明書において,本願商標は,数年に亘り継続的に使用されており,カジノ業界において著名なものとなっていることを把握できるものである。そして,同社が代理店として販売した本願商標を使用した本件バカラ電子シューは,韓国向けの348台であり,これは韓国の主要カジノにおいて90%以上のシェアを占めることを把握できるものである。同証明書には,韓国の主要カジノには日本人観光客が多く訪れていることは顕著な事実であり,これら観光客が本願商標に接する場合に請求人の出所を表示するものとして捉える可能性が高いこと,本願商標についてカジノの雰囲気とマッチしているという評判があること,公平なバカラゲームができるという信頼感と優秀性と相まって,本願商標を目印にプレーするテーブルを選ぶプレーヤーがいることが記載されている。そして,請求人は,マツイ社を経由して,韓国で数年に亘る販売実績があり,今なお同社と取引を行っており,かつその専務が本願商標が国内で有名であるという宣誓を行っているという事実を鑑みると,本願商標の日本での自他商品識別性は十分に確立できているというのが相当である。
また,請求人工場の来訪者に対して本願商標が使用された本件バカラ電子シューについて説明を行っているところ,説明用の映像によれば,本願商標は映像の制作日である2013年3月1日頃から今日に至るまで使用されていることがわかる。また,請求人工場の来訪者リストによれば,カジノグループの社員が多数訪問していることが把握できるが,日本の自社工場に招いて商談を行うことは,いわば私的な見本市を開催していることと同等であり,その場で本願商標を見せながら商談を行うことは国内での周知著名性獲得の十分な根拠といえるものである。
そして,請求人の自社工場に国内外の代理店業者やカジノ関係者を招いて商談を行っているが,商談時点では取引の形態は決まっておらず,出願人からカジノに直接輸出し,販売する場合もあれば,国内外の代理店経由で輸出し,販売する場合もあるため,出願人の工場に訪問した人々は,在外者,日本在住者問わず,我が国における需要者として見るべきである。
さらに,「リゾカジ」と称するインターネットサイト(日本のカジノ情報サイト)は,3万人の会員を誇るカジノ情報サイトであり,同サイトへの月間アクセスは30万近くに上る,日本最大のカジノサイトである。同サイトは,日本語のみのサイトのため,登録会員・閲覧者ともに全て日本人であると推察され,リゾカジの会員はカジノに頻繁に行っており,カジノに行ってきた時のレポートが同サイトにアップされている。そして,会員が行っているカジノにはほぼ100%,本願商標が設置されている。それゆえ,本願商標は,相当数の日本人カジノプレーヤーに認知されていると推察できるものである。
ところで,平成18年商標法改正により,商標法第2条第3項第2号の「使用」に輸出が規定されたところ,「輸出」の「需要者」は,その行為の態様から,主として在外者と解釈されるものである。
そうであるならば,商標法第3条第2項の「使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」の「使用」が「輸出」である場合には,その「需要者」は主として在外者であると解釈することが極めて自然である。
したがって,本願商標については,「輸出」行為によって在外者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至っていることが明らかであることも考慮して,商標法第3条第2項の適用がなされるべきものである。

5 当審の判断
(1)立体商標における商品の形状に係る判示
商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能や美観を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると,商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されたと認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美観に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状として,商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は,商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
さらに,商品等に,需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても,当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば,商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美観の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知財高裁平成22年(行ケ)第10253号 同23年6月29日判決参照)。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は,別掲1のとおり,箱状の立体的形状からなり,上面をなだらかに傾斜させ,角度を付けて傾斜させた前面には弧状の開口部を有し,上面にランプ,側面にボタン,背面にスイッチ及び各種機器との接続口と思しき部分を有し,全体として,曲線を多用した輪郭を有する形状からなるものである。
そして,本願商標の指定商品は,「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置」であるところ,これは,トランプゲームに使用する商品であって,ゲーム用品の範ちゅうに属する商品といえるものである。
ところで,別掲2によれば,諸外国のカジノにおいては,バカラやブラックジャックなどのカジノゲーム(トランプゲーム)を行う際に,トランプを格納して,上から一枚ずつ取り出せるカード容器が用いられている事実が確認できる。
また,別掲3によれば,我が国におけるゲーム用品を取り扱う業界においても,上記カード容器と同様の箱状の立体的形状が,トランプゲームを行う際に,トランプを格納して,上から一枚ずつ取り出せる商品として販売されている事実がうかがえる。
さらに,これらの一般的なカード容器の形状は,(ア)箱状である点,(イ)容器内に格納するカード(トランプ)を前方に押し出す必要性から,容器内のカード収納部の下面が取り出し口に向かってなだらかに傾斜している結果,容器の上面もなだらかに傾斜している点,かつ,(ウ)前面にカードを取り出すための弧状の開口部が設けられている点を有している。
そこで,本願商標の立体的形状と,一般的なカード容器の形状とを比較するに,両者は,上記(ア)ないし(ウ)の箱状である点,上面をなだらかに傾斜させている点,角度を付けて傾斜させた前面に弧状の開口部が設けられている点において共通するものである。そして,本願商標の輪郭が一般的なカード容器に比して,より曲線を多用したものであったとしても,それをもって,需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられているとはいえないものであるから,本願商標は,同種の商品等について,美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものといい得るものであって,商品の美観に資することを目的とする形状というのが相当である。
また,本願商標の立体的形状は,ランプやボタン,接続口等を有している点で,一般的なカード容器の形状と差異を有するものの,一般に,これらのランプやボタン,接続口等は,各種電子機器の機能を発揮させるために搭載されているものであって,本願商標の指定商品が「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置」という,ゲーム用品の一種であるが,電子機器としての機能をも有する商品である。さらに,別掲4のとおり,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,従来のゲーム用品にボタンやランプ等を付加し,電子的な機能を持たせた商品が流通していることをも鑑みれば,本願商標におけるこれらのランプやボタン,接続口等は,いずれも,トランプの識別コードにより,トランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するという,同種の商品等について,機能上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものといい得るものであって,商品の機能に資することを目的とする形状というのが相当である。
してみれば,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者をして,単に商品の形状を表示したものとして理解するにとどまり,自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)商標法第3条第2項について
ア 請求人は,仮に本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,同法第3条第2項の規定により登録を受けることができる旨主張し,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第53号証(枝番を含む。)を提出する。
そこで検討するに,商標法は,商標登録の要件について,第3条第1項で,同項に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる旨定め,同条第2項で,前項第3号から第5号に該当する商標であっても,その使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる旨定めていることからすると,同条第2項により商標登録が認められるためには,前項第3号から第5号までに該当する商標が,その使用の結果,指定商品又は指定役務の需要者の間で,特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識されるに至ったことが必要であるものと解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10002号 同年7月16日判決参照)。
また,出願に係る商標が,指定商品に係る商品の形状を表示するものとして商標法第3条第1項第3号に該当する場合に,それが同条第2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び商品,使用開始時期及び使用期間,使用地域,当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決定すべきものであり,その場合に,使用に係る商標及び商品は,出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
イ そこで,上記を踏まえ,以下検討,判断する。
(ア)本願商標及び使用に係る商品の構成態様
本願商標は,上記(2)において認定したとおりの構成からなるものである。
一方,甲各号証によれば,請求人は,本願商標と類似する形状の商品「バカラ電子シュー」(以下「本件使用商品」という。)を製造及び販売していると認められる。そして,本件使用商品は,本願商標の指定商品「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置」といえるものである(甲1?甲4,甲6)。
そして,本件使用商品と本願商標を比較するに,甲第18号証によれば,前者と後者とは,ランプの数や曲面の形状,カード繰り出し口の形状等において若干相違するものもあるから,両者が完全に同一の形状からなるものということはできない。
また,本件使用商品は,その上面に,看者の注意を惹くように書された「ANGEL EYE」,「ANGEL EYE II(審決注:ローマ数字の2。以下同様。)EX」及び「ANGEL EYE III」の文字の記載が認められる(甲1の20葉目,甲2,甲18,甲24の2ないし5,7,甲37及び甲41)。
ところで,請求人が提出する証拠のうち,甲第1号証によれば,本件使用商品の写真とともに「ANGEL EYE TM」(「TM」の文字は,他の文字に比べて4分の1程度の大きさで書されている。以下同じ。)の文字が記載され,また,甲第2号証によれば,本件使用商品の写真とともに「ANGEL EYE(R)」(「(R)」は,登録商標であることを表示したものと認められる○に「R」文字が小さく付されていることを表す。以下同じ。)の文字が記載されていることから,当該文字が登録商標であることを表示しているものと解される。そして,その他の本件使用商品の広告等においても,本件使用商品を表すものとして「ANGEL EYE」等の文字が記載されているところ,一般に,広告等において商標の記載とともに当該商標に係る商品の写真を併せて掲載することは広く行われていることからすれば,当該広告等において,本件使用商品の形状が需要者に印象づけられるような態様で,広告が実施されているとはいえないものである。
そうすると,これらに接する取引者,需要者は,本件使用商品の「ANGEL EYE」等の文字部分を請求人に係る出所識別標識であると認識し,本件使用商品の写真は単に請求人に係る商品の形状を紹介したものと認識するにとどまるというのが相当であるから,本件使用商品における当該立体的形状部分の自他商品の識別力は,本件使用商品に付された「ANGEL EYE」等の文字との比較において,相対的に小さいものといわなければならない。
したがって,本願商標と使用に係る商標が,仮にその立体的形状部分は本願商標と同一の範囲内のものであると認められるとしても,両者は,立体的形状よりも,看者の注意を惹く程度が著しく,自他商品識別力が強い,「ANGEL EYE」等の文字の有無において異なっているから,全体的な構成を比較対照した場合には,同一性を有しないというべきである。
(イ)使用期間,使用地域及び商品の販売数量
請求人は,本件使用商品を2005年2月17日より,日本から海外へ輸出していることが認められる(甲18)。
また,本件使用商品は,輸出専用品であり,我が国において流通しているものではないところ,請求人は,「ANGEL EYE」に関する商品(後発のシリーズ商品である「SUPER ANGEL EYE」を含む。)として,本件使用商品を,2005年から2014年の間に,アジア・オセアニア・北米及びヨーロッパの各国に,合計14,841台販売し,同時期の売上高は約27億円,販売促進費用は約1億3千万円であることがうかがえる(甲40及び甲49)。また,マツイ社が販売代理店として,本件使用商品を韓国へ販売していたことがうかがえる(甲44)。
しかしながら,本件使用商品を取り扱う業界の規模が不明であるところ,その販売台数や販売地域をもって,需要者間に認識されたものと評価することはできない。
(ウ)広告宣伝の方法
a 本件使用商標は,請求人の会社案内(甲1)に,「ANGEL EYE TM Baccarat shoe」の見出しの下,本件使用商標の写真とともに,商品の説明が記載されている。
b 請求人のホームページ(甲2)に,「ANGEL EYE(R)」の見出しの下,本件使用商標の写真とともに,商品の説明が記載されている。なお,甲第2号証は,全て英文にて記載されている。
c 海外のカジノ関連雑誌において,本件使用商品のシェアやゲーム産業における賞のノミネート歴及び受賞歴についての紹介記事が掲載されている(甲24)。なお,甲第24号証は,全て英文にて記載されている。
d カジノに関するニュースを内容とする海外のウェブサイトにおいて,カジノの様子を撮影した写真の中に,本件使用商品とおぼしきカードシューが写っている(甲25)。
上記aないしdによれば,本件使用商品がゲーム産業における賞にノミネートされ,または受賞したことがうかがえるものの,該賞の選考基準,表彰までの経緯等が定かでない。また,海外のカジノ関連雑誌に本件使用商品が掲載されていることがうかがえるが,これらの雑誌は,その発行部数,発行地域等が不明である。なお,主張によれば,購読者数は15,000人であるところ,決して多い数とはいえないものである。
(エ)需要者の商標の認識度
本願商標の立体的形状について,「請求人の商品であり,少なくとも5年以上前から盛大に継続使用された結果,カジノ業界で有名なブランドになり,また,同一の形状のバカラ電子シューはなく,カジノにいる人々はこの形状を見れば請求人の商品と分かる。」旨が記載された多数の外国人による証明書(甲27),日本におけるカジノ用品の最大手販売代理店(マツイ社)の証明書(甲29),及び,カジノ業界を精通する有力者とされる者の宣誓書(甲30及び甲31)がある。また,請求人は,2008年から2015年までに,請求人の工場を訪問した主に外国のカジノ関係者198名に対して本件使用商品について説明会を行っている(甲32の3)。
しかしながら,甲第27号証の証明書は,本願商標と同一の態様の商品について証明したものではあるものの,あらかじめ用意され定型化された依頼文書にカジノマネージャー等が署名して作成されたもので,証明者がいかなる具体的な事実に基づき証明しているのかが不明であるばかりでなく,各証明者は,カジノ関係者とはいえ出願人と取引関係にある者等,出願人と何らかの関係を有する者であると推測される。マツイ社による証明書及びカジノ業界を精通する有力者とされる者の宣誓書も,出願人と何らかの関係を有する者であると推測されることから,これら証明書の客観性は直ちに認め難く,証拠力に乏しいものであるといわざるを得ない。
さらに,請求人の国内工場において開催された,本件使用商品についての説明会への来訪者数は,8年間で198名にとどまり,決して多い数とはいえない上,来訪者のうちのほとんどが外国のカジノ関係者であり,日本の企業関係者は,わずかにマツイ社の数名が確認できるにすぎないから,このことが,我が国において,本願商標が請求人の業務に係る商品を表すものとして,需要者の間に広く認識されていることの根拠となるものではない。
(オ)輸出行為による著名性獲得及びその他の事情
請求人は,商標法第2条第3項第2号の「使用」に輸出が規定されているところ,「輸出」の需要者は,主として在外者と解釈されるものであり,そうすると,同法第3条第2項の「使用された結果・・・」の「使用」が「輸出」である場合には,その需要者は主として在外者であると解釈することが極めて自然である,とした上で,輸出専用品である本件使用商品の周知性を立証する証拠として,本件使用商品が諸外国に輸出されている事実,需要者の認識を示す証拠,アジアのカジノ大国と呼ばれる国々において本件使用商品が高いシェアを有すること,カジノ関係者による宣誓書等を提出している。
しかしながら,本願商標が使用された結果,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されるに至っているか否かは,我が国の商標法,我が国の取引の実情の下で,我が国の需要者の視点に立って判断されるべきものである。
そうすると,本件使用商品は,請求人も認めるとおり,そもそもバカラゲームを行うことができない我が国においては一般に流通することのない輸出専用品であって,上記(ア)ないし(エ)の本件使用商品に係る販売数量,シェア,雑誌記事及びウェブサイト記事,需要者の証明書及び宣誓書等の諸点は,いずれも諸外国のカジノにおける本件使用商品の使用の事実を示すものであるから,我が国の市場における使用の事実について述べたものと認めることはできない。
したがって,これらの事実が,我が国の需要者の認識に直接反映されるものとはいい難い。
なお,請求人はこの点につき,マツイ社から入手した証明書には,韓国の主要カジノには日本人観光客が多く訪れており,彼らが本願商標を高く評価している旨が記載されており,また,請求人は,継続して取引を行っている同社が,本願商標が国内で有名であるという宣誓を行っていることからすれば,本願商標の日本での自他商品識別力は十分に確立できている旨主張するが,韓国のカジノを訪れる日本人観光客の正確な数は不明であり,マツイ社の証明書も,いかなる具体的な事実のもとで証明したかが定かでないし,一社のみの証明書をもって,直ちに,本願商標が日本において十分な自他商品識別力を有するに至っているものということもできない。
また,請求人は,上記(エ)の自社工場での説明会が,いわば私的な見本市といえるものであり,工場に訪問した人々は,在外者・日本在住者問わず,我が国における需要者としてみるべきである旨主張するが,前述のとおり,その来訪者数は8年間で198名にとどまるものであり,見本市といえる程に多い数とはいい難い。
さらに,請求人は日本のカジノ情報サイトを示す資料(甲52,53)を提出し,同サイトの会員数が3万人,月間アクセスが30万近くに上ること,日本語のみのサイトであるため,登録会員・閲覧者ともに全て日本人と推察されること,同サイトの会員がカジノに頻繁に行っているところ,会員の行っているカジノにはほぼ100%本願商標が設置されていることから,本願商標は,相当数の日本人カジノプレーヤーに認知されているといえる旨述べている。しかしながら,当該ウェブサイトの会員数およびアクセス数や,会員が訪れるカジノのほぼ全てに本願商標が設置されている事実のみをもって,直ちに,我が国における需要者の間で本願商標が広く知られているということはできず,本願商標が相当数の日本人カジノプレーヤーに認知されているという主張は,明確な根拠がなく,請求人の推察にとどまるものといわざるを得ない。
(カ)小括
上記(ア)ないし(オ)からすれば,本件使用商品が請求人により2005年から使用開始され,諸外国のカジノにおいて一定程度使用されていることがうかがえる。
しかしながら,本件使用商品の形状は本願商標と完全に同一とはいえないものもあり,また,仮に形状が同一であるとしても,本件使用商品には識別力の強い「ANGEL EYE」等の文字が付されており,その立体的形状部分のみで自他商品の識別標識としての機能が発揮されているとはいえないから,両者が同一性を有しているものとは認められないこと,及び,本件使用商品の製造販売台数,雑誌記事,カジノ関係者による宣誓書等を考慮しても,直ちに,諸外国のカジノを行う需要者の間で,本件使用商品が広く知られているものとはいい難いことを勘案すれば,本願商標が,諸外国のカジノ業界において,請求人の業務に係るものとして広く認識されているものとはいえない。
そして,そもそも,本件使用商品は輸出専用品であって,我が国において一般に流通しておらず,請求人の提出に係る各証拠は,そのほとんどが諸外国のカジノにおける本件使用商品の使用の事実を示すものであって,我が国の需要者の認識に直接反映されるものとはいえないものであるから,これらの証拠をもって,我が国において,本願商標が請求人の業務に係る商品を表すものとして,需要者の間に広く認識されているということはできない。
その他,請求人の提出した証拠を総合して勘案しても,本願商標が,その指定商品に使用された結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
以上のことからすれば,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標が,「シュー」の語源である「靴」のイメージと,パイオニアとして先端を走ることを象徴する「スポーツカー」のイメージを意図的に組み入れたものであり,特異な立体的形状ゆえに,需要者に美しい未来感や大自然の緩やかな流れを具現した標章というイメージを与え,強く印象を残すものである旨主張する(甲38及び甲39)。
しかしながら,請求人がどのような意図をもって本願商標を採択したとしても,本願商標に接する取引者,需要者が,そのような意図に沿ってのみ本願商標を理解,認識するとはいえない。
イ 請求人は,本願商標は,米国,欧州,オーストラリア,ロシア,マレーシア等の諸外国においてすでに登録を受けており,我が国において請求人に独占使用を認めても公益上何ら問題が生ずることはない旨主張する(甲26)。
しかしながら,本願商標は,我が国商標法のもとで,その登録の可否が判断されるのであって,諸外国における登録例をもって本願商標に関する自他商品識別性の判断について,同一に解釈しなければならない事情が存するものとは認められない。
ウ したがって,請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(証拠調べ通知において開示した,カジノにおいて,上面をなだらかに傾斜させ,かつ,角度を付けて傾斜させた前面に弧状の開口部を有する箱状の立体が,カード容器として使用されている事実)
(1)株式会社データハウス発行「カジノ教本≪愛蔵版≫」の「BACCARAT バカラ」の章(126頁)に,「カードを入れるシュー。フランスではサボ(木靴)と呼ぶ」との記載とともに,以下のカード容器の写真が掲載されている。



(2)「オンラインカジノ体験攻略 必勝!カジノオンライン」のウェブサイトにおいて,「3枚目のカードを引く条件と、バカラのカウンティング」の見出しのもと,「『シュー』とは,・・・勝負に使う大量のカードを配布するための専用のケースのことをいいます。」との記載とともに,以下のカード容器の写真が掲載されている。


別掲3(証拠調べ通知において開示した,我が国におけるゲーム用品を取り扱う業界において,上面をなだらかに傾斜させ,さらに角度を付けて傾斜させた前面に弧状の開口部を有する箱状の立体が,トランプゲーム用のカード容器として製造販売されている事実)
(1)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「おもちゃ」の見出しの下,「バカラ,ブラックジャック・・・カジノゲームの名脇役 4デック用 カードシュー A6003」の記載とともに,以下の商品の写真が掲載されている。


(2)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,カテゴリー「おもちゃ>ゲーム>カードゲーム・トランプ」の見出しの下,「6デッキ カードシュー Casino ディーラー 仕様【並行輸入品】」の記載とともに,以下の商品の写真が掲載されている。


(3)「MONTE CARLO(モンテカルロ)」のウェブサイトにおいて,「<実用版>カードシュー・シューター -8デック用」の見出しの下,「ミニバカラ,大バカラゲーム,本格的な8デックブラックジャックゲームなど,本場カジノゲームにおいて,カジノディーラーの左手に置き,8組のトランプを収納して1枚づつスライドしながらめくれる専用カードシューです。・・・アクリル透過製の『スーパークリア』のため,収納したトランプも見えてイカサマを防止し,信頼のおけるゲーム運営ができます。」の記載とともに,以下の商品の写真が掲載されている。


(4)「楽天市場 HERITAGE(ヘリテイジ)」のウェブサイトにおいて,「バカラ,ブラックジャック・・・カジノゲームの名脇役 8デック用 カードシュー M8508」の見出しの下,「8デック収納可能なアクリル製のカードシュー(カードシューター/ディーリングシュー)。カードシューは,カジノでディーラーがトランプを配る際に使う道具。ホームパーティで使えば,いつもとはまた違った雰囲気が味わえます。」の記載とともに,以下の商品の写真が掲載されている。


(5)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「8デック用 アクリルディーラーシュー」の見出しの下,「ディーラーシューは,カジノでディーラーがトランプを配る際に使う道具。・・・ディーラーシュー内部には,カードを押し出すためのローラー式の重りがあり,カードを配布する毎に重りが徐々にカードを押し出す仕組みになっています。
透明なアクリル製で,カードの残量も一目で分かり,またゲームの不正防止にも役立ちます。・・・本格的なカジノの雰囲気を味わえるアイテムです。」との記載とともに,以下の商品の写真が掲載されている。


別掲4(ゲーム用品を取り扱う業界において,従来の商品に様々な機能を付加した商品に,ボタンやスイッチ等が搭載されている事実)
(1)「楽天市場 AS shop」のウェブサイトにおいて,「自宅でのダーツ練習にも最適!! エレクトロニックダーツボード」の見出しの下,「・電池式で場所を選ばず,どこでもプレイできるエレクトロニックダーツボードです。・得点を自動で計算するので初心者やビギナーさんにも使いやすい!!・定番のカウントアップやクリケットからゴルフやボウリングなど全18種類のゲームがこのダーツボードひとつで楽しめます。また,オプション設定も100種類以上あり,ゲームを盛り上げる効果音が内蔵されています。」との記載とともに,以下のとおり,複数のボタンが搭載されたダーツボードの写真が掲載されている。


(2)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて,「アモスアルティマが進化した最新配牌式全自動麻雀卓 アモスレックス」の見出しの下,「商品説明」として,「自動で4人の配牌がセットされ,懸賞牌も捲れて天板場にあがってきます。」「どの場の築牌を取ればよいかを積棒表示部のランプが点灯しアシスト。」「アンテナ付きICチップを内蔵した点棒を,電波で認識して計測」「全部で9種類有るゲーム選択や3人打ちの空き場の配牌枚数の変更など全てスイッチで切替できます。リセットもボタン式スイッチで操作性向上。」等の記載とともに,以下のとおり,複数のボタンやスイッチ等が搭載された麻雀卓の写真が掲載されている。


審理終結日 2016-08-15 
結審通知日 2016-08-19 
審決日 2016-10-25 
出願番号 商願2014-5943(T2014-5943) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W28)
T 1 8・ 13- Z (W28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小林 裕子
平澤 芳行
代理人 飯島 紳行 

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