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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201514815 審決 商標
無効2018890037 審決 商標
不服201811453 審決 商標
無効2018890036 審決 商標
不服20143221 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W25
管理番号 1332326 
審判番号 不服2016-15097 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-16 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 商願2015-74154拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年7月22日に登録出願されたものである。その後,原審における同28年1月18日付け手続補正書により,指定商品は第25類「被服」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において本願の拒絶の理由として引用された登録商標は,以下のとおりであり,その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2353908号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成元年1月24日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同3年11月29日に設定登録されたものであり,その後,同16年1月21日に指定商品の書換登録がされ,同23年7月19日に商標権の存続期間の更新登録が第20類,第24類及び第25類についてされた結果,その指定商品は第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」,第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」となったものである。
(2)登録第4805259号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成12年9月29日に登録出願,第25類「被服」を指定商品として,同16年9月24日に設定登録されたものである。
(3)登録第4871727号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,平成13年2月2日に登録出願,第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同17年6月17日に設定登録されたものであり,同27年6月9日に商標権の存続期間の更新登録が第25類についてされた結果,その指定商品は第25類「被服,仮装用衣服」となった。
(4)登録第5810622号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,平成27年6月3日に登録出願,第35類「織物及び寝具類(まくら・マットレスを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年12月4日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1ないし4をまとめて「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなり,その円輪郭の右下部分にわずかに重なるように「Harvey Ball」の文字を,筆記体で,右上がりに横書きしてなるものである。
本願商標のうち図形部分は,一見して人の笑顔を簡潔,かつ,象徴的に表現したものと認識されるものであり,本願商標中の主要部を構成上占めている。そして,その図形部分に若干重なるように表された「Harvey Ball」の文字部分についても,ごくありふれた筆記体で書されており格別個性的というほどのものではなく,また通常は特段の意味合いを想起させるものではないため,当該文字部分と本願商標の図形部分とは特段の観念上のつながりもなく,両部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。そのため,本願商標の主要部分を占める図形部分は,人の笑顔を簡潔かつ象徴的に描写したものとして,見る者の注意を惹き,強く支配的な印象を与えるものということができる。
(2)引用商標について
引用商標1は,円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるものであり,そのような外観的特徴から,簡潔,かつ,象徴的に人の笑顔を描いたものであることを印象づけるものである。
引用商標2は,円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなる図形を表し,その上部に「LOVE EARTH」の文字を上向き弧状に表してなる。そして,その図形部分と文字部分は間隔を置いて配置されていることから,視覚上分離して認識されるものであるばかりでなく,文字部分は「地球を愛する」程度の意味合いを認識させる,比較的親しまれた英語よりなることから(参照 リーダーズ英和辞典,株式会社研究社,1984年5月発行),人の笑顔を描いた図形部分との直接的な観念上のつながりを看取することはできないため,その図形部分と文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。そのため,人の笑顔を簡潔,かつ,象徴的に描いた図形部分は,文字部分とは切り離して独立して自他商品の識別標識として機能し,当該商標の全体の構成の中において,強く支配的な印象を与えるものということができる。
引用商標3は,円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その中には瞳を思わせる白抜きの点を配し,その下には口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるものであり,それらの外観的特徴から,簡潔,かつ,象徴的に描いた人の笑顔であることを印象づけるものである。
引用商標4は,黄色に塗られた円状輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるものであり,そのような外観的特徴から,簡潔,かつ,象徴的に描いた人の笑顔であることを印象づけるものである。
(3)本願商標と引用商標及びその指定商品の類否について
本願商標と引用商標の図形部分を比較すると,これらはいずれも,互いに円輪郭,円輪郭内部に配された2つの小さい黒塗りの縦長楕円形及びその下方に配した両端上がりの弧線を基本的な構成要素とし,これらによって円形の顔に目と口を有する人の笑顔を,簡潔かつ,象徴的に描写したものと看取される点において外観的な印象を共通にする。各構成要素は,長さ,太さ及び曲率,色彩等においてそれぞれ微妙に差異を有するものの,上記のとおりそれぞれの基本的な構成要素を共通にするものであるため,その構成全体としても見る者に似通った印象を与えるというべきである。本願指定商品「被服」は,専門的なものではなく,一般的な消費者の間で取引,使用されるものであるため,その需要者,取引者が微細,かつ,厳密な注意力をもって商品に付された商標を観察することは期待できないことから,本願商標と引用商標を時と場所を異にして離隔的に観察したときは,本願商標と引用商標の図形部分の微妙な差異によって,本願商標と引用商標を区別することは困難であるといわざるを得ないから,本願商標と引用商標は,外観において類似するものといえる。
また,本願商標の指定商品「被服」は,引用商標1から3の指定商品と同一又はそれに含まれるものであり,引用商標4の指定役務中「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,商品の製造,販売と役務の提供が同一事業者によって行われていることも多く見られ,その商品は役務の提供における取扱商品と一致し,それぞれの需要者の範囲等も一致するから,同一又は類似する商標が使用されるときは相紛らわしい,類似するものである。
(4)請求人の主張について
請求人は,本願商標の構成中「Harvey Ball」の文字部分から生じる外観や称呼などにおいて引用商標とは差異がある旨を主張するが,上記(1)から(3)に記載したとおり,本願商標はその構成要素中の図形部分をもって要部ということができ,引用商標とはその図形部分の外観的特徴が相紛らわしい類似する商標といえるのであり,その主張を採択することはできない。
また,請求人は,本願商標の日本での商標権及び著作権を管理する日本法人であり,引用商標は本願商標を真似て出願されたこと,引用商標は実際に使用されていないため,本願商標を登録しても問題が生じないこと,その他,本願商標に関連する著作権やそれに関連した種々の話題を引用しつつ,知的財産権が適切に保護されるべき旨の主張などをするが,現時点において有効に存続している引用商標に基づいて,商標法第4条第1項第11号の規定を適用することは,請求人の主張するような理由によって,特段妨げられるものではないから,その主張は採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似し,その指定商品も,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)




別掲2(引用商標1)




別掲3(引用商標2)




別掲4(引用商標3)



別掲5(引用商標4。色彩については原本を参照。)



審理終結日 2016-12-12 
結審通知日 2016-12-16 
審決日 2016-12-27 
出願番号 商願2015-74154(T2015-74154) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子豊島 幹太椎名 実 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
阿曾 裕樹
商標の称呼 ハーベーボール、ハーベー、ボール 

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