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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41 |
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管理番号 | 1327066 |
審判番号 | 取消2015-300917 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-12-17 |
確定日 | 2017-03-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5197072号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5197072号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5197072号商標(以下「本件商標」という。)は、「クラス」の片仮名を横書きしてなり、平成17年10月17日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」を指定役務として、同21年1月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年1月6日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定役務につき使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件使用商標について ア 被請求人が提出した証拠(乙1?乙8)において使用されている商標(以下「使用商標」という。)は、いずれもテキストによる文字商標となっており、ゴシック調にデザイン化された本件商標とはその外観において顕著に異なっており、本件商標とは同一性があるとはいえない。 イ 使用商標は、いずれも「クラス」という単独の言葉からなる商標ではなく、全て、他の語と一連一体に構成された態様(「講師名+クラス」又は「講師名+受講形態+クラス」)である。 ウ 被請求人の主張は、いいかえれば、本件商標の「クラス」の文字単独では使用していないと述べているものである。事実、証拠のいずれをみても、本件商標と社会通念上同一の「クラス」の単独の文字からなる商標が、被請求人の商標として、指定役務中、いずれかの役務の出所表示として、すなわち、商標として、使用されているものはない。 (2)本件商標と使用商標との非類似性 本件商標と使用商標は、以下のとおり、非類似であって、社会通念上の同一商標ではない。 ア 本件商標と使用商標の外観について 本件商標は「クラス」の文字からなるゴシック調にデザイン化された商標である。一方、使用商標は、いずれも「講師名+クラス」又は「講師名+受講形態+クラス」の文字のみからなるものであり、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものである。 したがって、本件商標と使用商標の外観は明らかに非類似である。 イ 本件商標と使用商標の称呼及び観念について 本件商標は「クラス」の片仮名からなる商標であるため、本件商標からは「クラス」という称呼及び観念が生じる。 これに対し、使用商標は、いずれも「クラス」の語を含むものであるが「講師名+クラス」又は「講師名+受講形態+クラス」の態様で表示され、全体として1つのまとまった言葉であって、「特定の講師による特定の講義を行うクラス」を観念させるものである。これらの使用商標から、全く意味の異なる「クラス」だけ分離抽出され、当該商標が、「クラス」であると認識されるようなことはあり得ない。 最高裁の結合商標に関する判断基準(最高裁昭和37年(オ)第953号、最高裁平成3年(行ツ)第103号)からしても、使用商標から、「クラス」の文字だけが分離され、これら商標が「クラス」であると認識されると判断される合理的理由は全くない。 (3)商標法上の使用ではないことについて 被請求人が提出した証拠における使用態様(「講師名+クラス」又は「講師名+受講形態+クラス」等の表示)からは、いずれも「伊藤塾」の商標により提供される講座の一カリキュラムの名称にすぎないというべきであり、このようなカリキュラムの名称が講座の出所を表示する機能を有するとはいえない。 (4)被請求人が提出した証拠について 被請求人は、試験種ごとのパンフレット及び別冊子と説明するが、平成25年(2013年)1月6日から平成28年(2016年)1月5日までの期間内(以下「要証期間内」という。)にこれらのパンフレットが「標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供」された事実は立証されていない。また、パンフレットの発行日時についても、被請求人が主張しているにすぎず、事実である客観的立証は何らなされてはいない。 3 口頭審理陳述要領書 (1)本件商標と使用商標との非同一性 ア 「講師名+クラス」又は「講師名+受講形態+クラス」の使用商標について (ア)本件において重要なのは、これらの氏が日本全国でありふれているかではなく、伊藤塾の中でありふれているか否かである。そして、被請求人は、伊藤塾の中で、「山本、横山、原田」という氏を持つ講師が多数在籍する等といった事実を示しているわけではなく、これらの氏が伊藤塾の中においてありふれた氏であることは何ら立証されていない。 一方、使用商標の構成中の「クラス」の文字は、「学級、組」を意味する語として親しまれたものである。そして、本件商標の指定役務を提供する塾などにおいては、受講生を組み分けして、その組を「○○クラス」などと称している実情があるのであって、被請求人提出の乙各号証をみても、このことは明らかである。そうすると、「○○クラス」(講師名+クラス)との使用商標に接する受講生が注目するのは、講師名を表す「○○」の文字部分であることはあっても、「○○」を捨象して、「クラス」の文字のみに着目するとは考えられない。 したがって、使用商標は、「○○クラス」の文字全体を一体不可分のものとして需要者に認識されるか、仮に、要部観察される場合があっても、その要部は、むしろ「○○」の部分なのであり、本件商標とは社会通念上同一の商標ということはできないものである。 (イ)使用商標と本件商標とが社会通念上同一でないことは、両者の外観、称呼及び観念を見ても明らかである。 商標法第50条第1項にいう社会通念上同一の商標とは、少なくとも称呼及び観念で同一であることが前提となる。使用商標として「伊藤塾長クラス」を例にして、本件商標と比較するに、外観においては「伊藤塾長」の文字の有無において大きく異なる。称呼においては、使用商標が「イトウジュクチョウクラス」の称呼が生じるのに対し、本件商標の称呼は「クラス」であるから、「イトウジュクチョウ」の音の有無において大きく異なる。さらに、観念においても、使用商標が「伊藤塾長の組」程度の意味合いを、本件商標が「組」の意味合いを認識させるものであるから、やはり大きく異なるものである。そうすると、使用商標と本件商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても大きく異なるものであり、このような商標を社会通念上同一の商標ということはできない。 なお、被請求人は、「『○○クラス』という使用商標は役務の質を表示するものではないこと」を述べている。しかし、本件においては、使用商標に接する需要者をして、「○○クラス」ではなく、本件商標である「クラス」のみが独立して役務の識別標識として使用されていると認識されるか否かが問題なのであって、「○○クラス」という使用商標が役務の質を表示するものであるか否かが問題ではない。結局、その主張をもって、「クラス」の文字単独での商標の使用が立証されていないことに変わりはない。 イ 使用商標「クラス替え」について (ア)被請求人は、申込規約と講座申込書のいずれの箇所に「クラス替え」の商標が使用されているかを明らかにしていない。少なくとも、請求人が精査をしても、講座申込書に記載された「クラス替え」という商標は発見できない。 しかも、申込規約においても、「クラス替え」の文字は、規約中に「1 講座の変更は以下の場合をいいます。(1)<クラス替え>同一講座の通学時間、通学曜日を変更する場合 やむを得ない事情がある場合は・・・」のように、規約の内容の記述の文言として記載されているのみで、自他役務の識別標識として出所を表すために表示されているものではなく、商標としての使用とは考えられないものである。 (イ)「クラス替え」の言葉は、「クラス」と「替え」の二つの語からなるものであるが、「クラス」は「学級、組」を意味し、「替え」は「かえること」を意味する。 そうすると、「クラス替え」の文字全体として、「学級をかえること」といったまとまった一つの観念を生ずるのであるから、「クラス替え」の文字全体が一体不可分のものとして認識されるものであり、ここから「クラス」のみを抜き出して商標として認識することはありえない。 (ウ)使用商標「クラス替え」と本件商標の外観、称呼、観念を対比してみても、外観においては、「替え」の文字の有無において明らかに異なるものである。称呼においても、使用商標が「クラスガエ」の称呼が生じるのに対し、本件商標が「クラス」の称呼を生じるものであり、「ガエ」の音の有無において明らかに異なるものである。観念においても、使用商標が「クラス(学級)替えをすること」の観念が生じるのに対し、本件商標が「クラス(学級)」の観念を生じるものであるから、明らかに異なるものである。 したがって、使用商標と本件商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれもが相違するものであり、仮に、被請求人が「クラス替え」の文字を商標として使用しても、この使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用ということができない。 (2)商標法上の使用でない点について 被請求人が提出した乙号証によると、カリキュラム名称として「講師名+クラス」等の表示が示されているのであるから、このようなカリキュラムの名称が講座の出所を表示する機能を有するとはいえない。 (3)新たに提出された証拠(乙9?乙15)について これら乙号証の提出によっては、被請求人が商標法第2条第3項第8号の使用を行っていたことは立証されていない。 ア 乙第9号証及び乙第10号証 被請求人の社員の陳述書であるが、具体的にどのパンフレットをいつ展示したのかまでは明らかでなく、単に自己の一般的な業務担当の時期を陳述しているにすぎない。 イ 乙第11号証及び乙第12号証 被請求人は、業者に依頼してパンフレットの頒布のための展示を行っている旨を主張し、その証拠(乙11及び乙12)を提出しているが、当該業者からの回答書(乙12)には、被請求人のパンフレットを展示及び頒布した時期が何ら記載されていない。 ウ 乙第13号証 作成者も作成時期も明らかにされていない。しかも、実施日程との関係のみからでは、被請求人のパンフレットが実際に展示及び頒布されたのか、さらに、仮に展示及び頒布されたとしても時期はいつかなど、その事実は何ら立証されていない。 エ 乙第14号証及び乙第15号証 被請求人が撮影したと主張するだけで、被請求人の会社の具体的に誰が撮影したのかさえ明らかにされていない。しかも、乙第14号証については、写真の右下に「2011.03.27」との日付の表示がされたポスターがあることから、同号証が、2014年3月11日に実際に撮影されたものであるか疑問である。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)使用商標について ア 被請求人における使用商標について 被請求人は、本件商標について、1)「クラス」という商標を使用しており、また、2)「クラス」に担当講師やこれに受講形態を意味する用語を付加し、「○○クラス」という商標を使用している。 イ 「クラス」という商標を使用していることについて 被請求人は、法律資格に関する受験指導校であって、試験種ごとにパンフレットを発行しており、パンフレットは、別冊子である「日程表、申込方法、講座申込書、注意事項」を、その中に挟む形で配布されている。 被請求人には、各試験種ごとに講座があり、担当講師ごとに一つずつ「クラス」という名称を付している(乙1?乙8)(別紙)。 被請求人は、「同一の時間に共同で学習する集団」という意味で「クラス」という名称を継続使用している。 被請求人における「クラス」という商標の使用は、自他識別機能を有する形態での使用であることは明らかである。 さらに、「〈クラス替え〉」という用語(乙1の2、最後から5頁目)及び「クラス名」という名称が使用されている(乙1の2、最後から2頁目)。 ウ 「○○クラス」という使用商標について 被請求人は、同一講座内に複数存在する「クラス」の分類のため、担当する講師ごとに、講師の名前を付して、「○○クラス」という名称を使用している。 また、講座の受講形態(「ライブ」、「インターネット」、「在宅」)をクラスに付して、「○○クラス」という名称を使用している。 「クラス」という使用商標の場合と同様に、試験種ごとにパンフレットを発行し、その中で、「○○クラス」という商標を使用している。 (2)使用商標と本件商標の同一性 ア 「クラス」という使用商標との同一性 「クラス」という商標については、使用商標と本件商標の同一性が認められることは明らかである。 イ 「○○クラス」という使用商標との同一性 本件における使用商標は、本件商標たる「クラス」に、そのクラスの担当講師名や受講形態を付したものである。 まず、被請求人の使用商標で、本件商標に付加された講師名の部分は、商標法3条1項5号の「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する」商標に該当するため、それだけでは自他識別機能を有しない部分である。 次に、被請求人の使用商標で、本件商標に付加された講座の受講形態の部分は、役務の質(内容)・提供の方法を表すものであり、商標法3条1項1号の「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する」商標に該当するため、それだけでは自他識別機能を有しない部分である。 したがって、「クラス」という商標に、固有名詞や講座の受講形態を付した使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 2 口頭審理陳述要領書 (1)「○○(講師名)クラス」「○○○○(講師名+受講形態)クラス」の構成からなる各商標が、本件商標と社会通念上同一と認められること ア 字体について 使用商標は、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、字体が異なることは、同一性の妨げにはならない。 イ 本件商標と社会通念上同一であること 「○○クラス」の「○○」部分からは、出所識別機能としての称呼、観念が生じないから、「クラス」の文字部分を使用商標とみることができる。 (2)「クラス替え」という商標が、本件商標と社会通念上同一と認められること 被請求人内部では、「同一の時間に共同で学習する集団」を「クラス」と呼んでおり、同一の情報提供を目的とした複数の「クラス」が存在している。 「クラス替え」という用語は、「同一の時間に共同で学習する集団」である「クラス」を変更できることを意味し、被請求人が提供する共通の役務自体を表わすものであるから、伊藤塾と他の受験予備校を区別するという意味で自他識別機能があり、商標としての使用にあたる。 そして、「クラス替え」という結合商標のうち、「替え」という部分には、それだけで識別機能としての称呼・観念が認められるものではない。 以上により、「クラス替え」という使用商標と、「クラス」という本件商標とは、社会通念上同一と認められる。 (3)被請求人が本件商標を使用していること ア 商標法上の根拠条文について 被請求人の本件商標の使用は、商標法第2条第3項第8号の展示・頒布に該当する。 イ パンフレットの作成日について 被請求人は、パンフレットを発行するにあたり、その裏面右下部に発行年月日を表わす数字を記載している。これにより、パンフレットの発行年月日が、示されている。 また、その裏面には、講座説明会の案内が、校舎ごとに日付順に記載されている。裏面の左上部には、東京校の講座説明会として、「’13 12/2 18:30-20:30 伊藤塾法教育研究所講師」と記載されていることから、このパンフレットが2013年12月2日以前に作成されたことが明らかである(乙1の1)。 さらに、伊藤塾では、定期的に講演会を行っており、パンフレットに過去に開催された講演会を列挙している。乙第1号証の1の65頁には、パンフレット発行当時の直近の講演会として、「第213回 2013年10月12日・・・」と第213回の講演会が掲載されているから、このパンフレットが2013年10月12日以降に発行されたことがわかる(乙1の1)。 また、パンフレットには、予備試験合格者の声を掲載しているが、2013年の予備試験の最終合格発表は、2013年11月7日であるから、このパンフレットが「2013年11月7日」以降に発行されたことがわかる(乙1の1、乙13)。 これらの事実からすれば、乙第1号証の1が、2013年11月27日に発行されたことは明らかである。 他のパンフレットについても、同様である。 ウ パンフレットの展示・頒布について パンフレットである以上、商品の宣伝の道具として展示・頒布することが予定されている。 まず、パンフレットは、被請求人の経営する伊藤塾の校舎で展示・頒布されている。 また、講座申込受付代理店にパンフレット展示用のラックが常設され、被請求人が、当該ラックにパンフレットを展示している。 首都圏や関西圏の代理店については、被請求人がパンフレットの頒布のための展示を行っている(乙9、乙10)。 乙第14号証は、2014年3月11日に、大学の生協で被請求人がパンフレットを設置した後、撮影した写真であり、被請求人のパンフレットが展示されている。 また、乙第15号証は、2014年3月18日に、紀伊国屋書店国分寺店で被請求人がパンフレットを設置した後、撮影した写真であり、被請求人のパンフレットが展示されている。 なお、首都圏や関西圏以外の代理店については、被請求人の校舎がないことから、業者に依頼して、パンフレットの頒布のための展示を行っている。被請求人は、当該業者に、パンフレットの頒布のための展示の事実を問い合わせた(乙11)。これに対して、上記業者から得られた回答書(乙12)によれば、乙第1号証の1ないし乙第8号証の2について、回答書に記載された代理店において、頒布のための展示がされていたことがわかる。 したがって、乙第1号証の1ないし乙第8号証の2については、上記のように、頒布のための展示の事実がある。 第4 当審の判断 被請求人は、平成28年7月27日の口頭審理において、本件商標を請求に係る指定役務中の「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用していると主張しているので、以下検討する。 1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)パンフレットについて 乙第1号証ないし乙第8号証は、「伊藤塾」と表示された「司法試験入門講座」、「司法書士入門講座」、「行政書士合格講座」等の各種国家資格に係る講座に関する受講案内のパンフレット及び受講に関する日程表、申込方法などを掲載した冊子であり、いずれも、伊藤塾が提供する上記国家資格試験に関する「知識の教授」の役務についての広告、価格表又は申込書と認められる。 (2)パンフレットにおける記載について ア 乙第2号証の1(パンフレット)には、以下の記載がある。 (ア)表紙に、「司法試験 入門講座 2015年春生」及び「法律資格・公務員 法科大学院 伊藤塾」、「実績で選ぶなら伊藤塾」、「パンフレット有効期限 2015年7月31日」の記載 (イ)同50頁に、「伊藤塾メソッドの特長」、「専任講師陣」の見出しの下、「伊藤真塾長」、「東京校(渋谷) 伊藤塾長ライブクラス」、「4月生 ’15 4/9(木)開講」、「5月生 ’15 5/1(金)開講」、「在宅インターネットクラス(通信) 各校フレックスクラス」及び「今すぐスタートできます」の記載並びに「東京校(渋谷) 山本ライブクラス」、「4月生 ’15 4/22(水)開講」、「5月生 ’15 5/10(日)開講」及び「山本有司講師」の記載 (ウ)同81頁に、「伊藤塾の運営母体である株式会社法学館では・・・」の記載 (エ)同裏表紙に、「学習を始めるかお悩みのあなたに 司法試験ガイダンスや体験講義など ご活用ください」、「参加者特典 講座を予約された方に 受講料 キャッシュバック券 プレゼント!」の記載のほか、「東京校 ’15 4/5(日) 11:00-13:00 伊藤真塾長 ライブ 無料セミナー」をはじめとするセミナー、ガイダンス、体験講義等のスケジュール一覧の掲載及び「伊藤塾は(株)法学館が運営しています。 15063_150306P」の記載 イ 乙第4号証(パンフレット)には、以下の記載がある。 (ア)表紙に、「司法書士 入門講座 春生」及び「法律資格・公務員 法科大学院 伊藤塾」、「伊藤塾なら わかる できる 続けられる」、「パンフレット有効期限 2015年8月31日」の記載 (イ)同30頁ないし33頁に、「専任講師陣」の見出しの下、「山村拓也講師 山村クラス」、「高城真之介講師 高城クラス」、「小山晃司講師 小山クラス」、「福満賢一講師 福満クラス」の記載 (ウ)同裏表紙に、「ガイダンスや無料体験、受講相談をご利用ください。」、「ガイダンス参加特典:5,000円の受講割引券進呈!」、「無料体験講義・・・校舎での実施日程は、同封のチラシをご覧ください。伊藤塾ホームページで最新の日程をご案内いたします。」及び「伊藤塾は(株)法学館が運営しています。 14785_141127E」の記載 ウ 乙第2号証の2(日程表、申込方法などを掲載した冊子)には、以下の記載がある。 (ア)表紙に、「司法試験 入門講座 2015年春生」、「法律資格・公務員 法科大学院 伊藤塾」の記載、「index」の見出しの下に、「司法試験 入門講座 2015年春生」、「インターネット(在宅インターネット・通学インターネット講義付・通学フレックス共通)」、「伊藤塾長クラス」、「東京校」、「伊藤塾長ライブクラス」、「山本有司ライブクラス」、「横山ライブクラス」などの記載、「【本冊子掲載事項】日程表 申込方法 申込規約 講座申込書」、「有効期限 2015年7月31日」及び「2015年3月現在」の記載 (イ)同3頁ないし17頁に、「伊藤塾長クラス」、「伊藤塾長ライブクラス」、「山本有司ライブクラス」、「横山ライブクラス」などの日程等詳細の記載 (ウ)同20葉目に、「申込規約」の見出しの下に「五 講座の変更について」、「1 講座の変更は以下の場合をいいます。」、「(1)〈クラス替え〉同一講座の通学時間、通学曜日を変更する場合」の記載 (エ)同23葉目に、「伊藤塾 講座申込書」中に「4 パンフレットをご覧のうえ、ご希望の講座(コース)名などご記入ください。」、「講座(コース)名・講座コード」、「受講形態 □通学 □在宅」、「クラス名☆」、「受講料」、「☆クラス名は、日程表に記載されているクラス名をご記入ください。ネットステーション代ゼミ教室の場合は、受講する教室名をご記入ください。」の記載 エ 前記以外のパンフレット(乙1の1、乙3の1、乙5の1、乙6の1、乙7の1、乙8の1)においても、前記ア又はイと同旨の記載がある。 また、前記以外の日程表、申込方法などを掲載した冊子(乙1の2、乙3の2、乙5の2、乙6の2、乙7の2、乙8の2)においても、前記ウと同旨の記載がある。 オ 以上によれば、伊藤塾は、本件商標権者である株式会社法学館が運営する受験指導塾であり、国家資格試験に関する「知識の教授」の役務を提供していること、これに関するパンフレット等の発行年月日は、例えば乙第2号証の1の発行が2015年3月6日であるなど、要証期間内であることが認められる。 また、これらのパンフレット等においては、「伊藤塾長クラス」、「山村クラス」、「高城クラス」などのように講師名(氏)に「クラス」の文字を組み合わせたもの(以下、このような類型をまとめて「使用商標1」という場合がある。)や、「伊藤塾長ライブクラス」、「山本有司ライブクラス」、「山本ライブクラス」などのように講師名(氏)及び受講形態に「クラス」の文字を組み合わせたもの(以下、このような類型をまとめて「使用商標2」という場合がある。)が表示されていることが認められ、これらは、伊藤塾内における講座の名称(クラス名)として使用され、受講申込者は、講座申込書に受講を希望するクラス名等と受講料を記入する仕組みになっていることが認められる。 その他、日程表、申込方法などを掲載した冊子(乙1の2、乙2の2、乙3の2、乙5の2、乙6の2、乙7の2、乙8の2)において、被請求人主張の「クラス替え」、「クラス名」の記載がある。他方、「クラス」の文字単独での使用は見あたらない。 (3)パンフレットの頒布について ア 乙第9号証及び乙第10号証は、平成28年6月21日又は同月22日付けの「陳述書」であり、本件商標権者の営業推進課に所属する社員が署名捺印のうえ、本件商標権者のパンフレットを頒布するために指定代理店に展示、補充している旨述べ、その担当期間を「2011年9月?2015年6月」、「2011年9月?現在」などと記している。 イ 乙第12号証は、平成27年(審決注:平成28年の誤記と解される。)6月17日付けの「回答書」であって、本件商標権者から発せられた平成28年6月16日付けの「ご連絡」(乙11)への回答と認められ、本件商標権者に係る各種パンフレット(乙1?乙8)を日本国内の大学の生活協同組合店舗などに展示、配布した旨を回答している。 2 前記1の認定によれば、当審の判断は、以下のとおりである。 (1)商標の使用者、使用役務及び使用時期について 本件商標権者は、同人が運営する伊藤塾における司法試験、司法書士、行政書士等の国家資格試験合格のための知識の教授の役務に関する広告であるパンフレット及び日程表、申込方法などを掲載した冊子(乙1?乙8)を、要証期間内に発行したことが認められる。 そして、例えば、乙2号証の1によれば、当該パンフレットは、冊子状の印刷物であって、そこには、ガイダンス等のスケジュール一覧の掲載があり、ガイダンス等においては知識の教授を行う担当講師毎の講座の予約が可能であったこともうかがえるうえ、上記スケジュール一覧にはパンフレット発行日である平成27年(2015年)3月6日から1月以内である平成27年(2015年)4月5日に開催されるセミナーを含むことから、当該パンフレットは、その発行日後速やかに頒布されたものと推認することができる。 なお、上記パンフレット等の頒布について、陳述書(乙9、乙10)及び回答書(乙12)も提出され、頒布の事実が述べられているところである。 そして、上記パンフレット等による広告において、前記1(2)のとおり、使用商標1及び2が講座名として表示されている。 (2)本件商標と使用商標の同一性について ア 本件商標は、「クラス」の片仮名を横書きしてなり、「学級。組。」等の意味を有する語である。 これに対し、使用商標1は、本件商標にはない講師名(氏)を有するものであり、例えば「山村クラス」の場合には、役務「知識の教授」に使用した場合、全体として「山村講師の学級」程の意味合いを認識させるものであって、他の使用商標1についても同様に、「○○講師の学級」程の意味合いを認識させる(各○○の部分は、各講師名に相当するもの)と判断されるものである。 そうすると、使用商標1は、取引者及び需要者に一連一体のものとして認識、把握されるものであって、殊更に「クラス」の文字のみが分離して認識、把握されるものではないというのが相当である。 してみると、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができない。 イ 使用商標2は、使用商標1の場合と同様に、本件商標にはない文字を有するところ、取引者及び需要者に一連一体のものとして認識、把握されるものであって、殊更に「クラス」の文字のみが分離して認識、把握されるものではないというのが相当であるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができない。 ウ 被請求人が主張する「クラス替え」の文字は、申込規約中の講座の変更に係る説明において、また、「クラス名」の文字は、講座申込書の記入事項において、それぞれ講座の申込に関する記述的な語として使用されているものであって、役務「知識の教授」の広告に標章を付しているということができない。 なお、「クラス替え」の文字からは、クラスを替えること、「クラス名」の文字からは、クラスの名称を、それぞれ意味するものとして一連一体のものとして認識、把握されるものであって、これらより「クラス」の文字のみが分離して認識、把握されるものということはできないから、本件商標と社会通念上同一のものと認めることができない。 エ 以上によれば、使用商標1及び2並びに「クラス替え」の文字及び「クラス名」の文字は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標ということができない。 なお、被請求人は、「○○クラス」の「○○」部分からは、出所識別機能としての呼称、観念が生じないから、「クラス」を使用商標とみることができると主張している。 しかしながら、使用商標と主張される上記各表示は、いずれの文字もまとまりよく表示され、表示全体をもって特定の観念を生じるものであるから、「クラス」の文字のみが分離され認識、把握されるものとはいえない。 よって、被請求人の主張を採用することはできない。 (3)小括 以上によれば、本件商標の商標権者が、要証期間内に日本国内において、使用商標1及び2を、その請求に係る指定役務「知識の教授」に使用したことは認められるものの、当該使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。 その他、本件商標が要証期間内に請求に係る指定役務について商標法第2条第3項各号にいう使用がされていることを認めるに足る証拠はない。 3 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をした事実を証明したものということはできない。 また、被請求人は、本件商標をその指定役務に使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-06 |
結審通知日 | 2017-01-11 |
審決日 | 2017-01-31 |
出願番号 | 商願2005-96725(T2005-96725) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y41)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 田中 亨子 |
登録日 | 2009-01-16 |
登録番号 | 商標登録第5197072号(T5197072) |
商標の称呼 | クラス |
代理人 | 東谷 幸浩 |
復代理人 | 林 栄二 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 伊関 祐 |
代理人 | 山本 有司 |
代理人 | 本田 真吾 |
代理人 | 三浦 大 |