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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1326005 
審判番号 取消2016-300219 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-29 
確定日 2017-03-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5289483号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5289483号商標の指定商品中、第9類「業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5289483号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドラ懸」の文字を標準文字で表してなり、平成21年8月10日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機,電気通信機械器具,携帯電話用ストラップ,その他の電気通信機械器具の部品及び附属品,コンピュータプログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができるコンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体,その他の電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体,録音済みコンパクトディスクその他のレコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音声ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる静止画像ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる動画像ファイル,電子出版物」及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、平成21年12月18日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年4月13日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中の「業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジその他の記憶媒体」(以下「本件請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア はじめに
被請求人は、答弁書において「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」を請求に係る指定商品として主張を行っているが、そもそも、そのような指定商品は本件商標の指定商品として存在しておらず、本件審判請求の対象ともしていない。殊更説明するまでもないが、本件審判請求では「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」という2つの指定商品を対象に含めているものの、「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」なる商品は対象としていない。
したがって、被請求人は、本件請求に係る指定商品との関係における本件商標の使用について何ら答弁しておらず、証拠も提出していないものであるから、被請求人の主張は失当である。
以上のとおりではあるものの、被請求人は、本件請求に係る指定商品中の「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」について本件商標の使用を主張したかったものと想像することができないわけでもないから、以下、そのように仮定して弁駁する。
イ 乙第1号証及び通常使用権者による本件商標の使用について
商標権者がDORAKEN株式会社の代表取締役に就任している点については認め、商標権者がDORAKEN株式会社に対して本件商標の使用を黙示で許諾しているという点については不知。ただし、被請求人は、本件商標権に係るいずれの指定商品又は指定役務との関係においても本件商標の使用を裏付ける証拠を提出していないから、商標権者が通常使用権者による本件商標の使用について何ら異義を述べることなく容認しているという被請求人の主張は根拠を欠くものである。
ウ 乙第2号証及び乙第3号証について
(ア)本件商標の特定がなされていない点について
被請求人は、乙第2号証及び乙第3号証において、RPGアプリである「DORAKEN」又は「DORAKEN(ドラ懸)」がインターネットでダウンロードすることができる旨の記載があると主張する。しかしながら、乙第2号証及び乙第3号証では「DORAKEN」又は「DORAKEN(ドラ懸)」の文字を所々に看取することができるところ、そのいずれかにより「DORAKEN」の文字が当該名称のゲームであること、すなわち当該ゲームの内容を表示する文字が記載されていることが認識できるとしても、自他商品の識別標識としての本件商標がどこに示されているのか被請求人は明確に示していない。また、本件商標は「ドラ懸」であり、「DORAKEN(ドラ懸)」ではないため、「DORAKEN(ドラ懸)」の使用をもって本件商標の使用が裏付けられるものではない。
(イ)乙第2号証及び乙第3号証に記載されているプログラムについて
被請求人は、「DORAKEN(ドラ懸)」と称されるアプリがインターネットを介してダウンロード可能であり、「iPhone、iPad、およびiPod touchに対応。」しており、「Android端末」で利用可能であることを主張している。ここでいう「iPhone」とは、米国のアップルインコーポレイテッド又はその関連会社が製造販売しているスマートフォン又は携帯電話機であり、「iPad、およびiPod touch」とは、同社が製造販売するタブレット型コンピュータであり、「Android端末」とは、携帯電話機事業者及び電子計算機事業者が販売するスマートフォン若しくは携帯電話機又はタブレット型コンピュータである。商標法第6条第2項に規定する政令で定める商品及び役務の区分によれば、「スマートフォン又は携帯電話機」は、商標法施行規則別表第九類十二「電気通信機械器具」(一)「電話機械器具」のうち「携帯電話機」と同一又は類似する商品であり、「タブレット型コンピュータ」は、同別表第九類十五「電子応用機械器具及びその部品」(一)「電子応用機械器具」イ 電子計算機及びその周辺機器のうち「電子計算機」と同一又は類似する商品である。すなわち、被請求人の提供するプログラムは「携帯電話機」又は「電子計算機」にインストールされるものである。「携帯電話機」又は「電子計算機」にインストールされるプログラムは、同別表第九類十五「電子応用機械器具及びその部品」(五)「電子計算機用プログラム」と同一又は類似する商品であるから、結局のところ、乙第2号証及び乙第3号証には、「電子計算機用プログラム」と同一又は類似するものが示されているにすぎない。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証は、本件商標の使用を裏付けるものではない。
なお、本件請求に係る指定商品のうち、「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」は、同別表第九類十八「家庭用テレビゲーム機用プログラム」と類似する商品であり、「電子計算機用プログラム」とは非類似の商品である。
(ウ)小括
上記のとおり、乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人が電子計算機用プログラムを提供していることを示しているにすぎず、本件請求に係る指定商品との関係において本件商標が具体的に使用されている事実を示すものではないため、被請求人の主張は失当である。
エ 乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証には、「1日1回冒険に参加できる」「豊富な種類のバトルが用意されている」「ポイントやゲームのアイテムがもらえる」といったゲーム内容に関する記載と共にゲーム動作中の画面が紹介されている。すなわち、乙第4号証は、被請求人が提供する電子計算機用プログラムにより実行されるゲームを紹介する記事であるから、本件商標の使用を裏付けるものではない。
また、乙第5号証は、該ゲーム紹介記事を掲載した雑誌の発行時期を示すウェブサイトにすぎないから、やはり本件商標の使用を裏付けるものではない。
したがって、乙第4号証及び乙第5号証は、本件請求に係る指定商品との関係において本件商標が具体的に使用されている事実を示すものではないため、被請求人の主張は失当である。
なお、ここでも、被請求人は、「『DORAKEN(ドラ懸)』との記載がある」と主張するが、「DORAKEN(ドラ懸)」の使用をもって本件商標の使用が裏付けられるものではないことは、前記(ア)のとおりである。
オ 乙第6号証及び乙第7号証について
被請求人は、乙第6号証及び乙第7号証を根拠として、「商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社は、取引書類に本件商標を付して使用している」と主張するが、乙第6号証及び乙第7号証は、商標権者及び通常使用権者とは全く関係のない第三者が発行した被請求人宛ての請求書である。すなわち、乙第6号証及び乙第7号証は、商標権者及び通常使用権者が、業として本件請求に係る指定商品に関する取引書類に本件商標を自ら付して頒布等したことを示すものではないから、本件商標の使用を裏付けるものではない。
したがって、乙第6号証及び乙第7号証をもって、「商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社は、取引書類に本件商標を付して使用している」という被請求人の主張は失当である。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人は、商標権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明していない。また、被請求人は本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
よって、商標法第50条の規定に基づき、本件請求に係る指定商品についての商標登録は取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標権者及び通常使用権者について
本件商標権者である勝矢洋一は、平成16年5月10日に「株式会社ジーエムティー」を設立した。その後、平成21年9月1日に「株式会社ジーエムティー」は、その商号を「DORAKEN株式会社」に変更した。その間、勝矢洋一は、代表取締役に継続して就任しており、現在も同職に就任している。(以上、乙1)
本件商標権者である勝矢洋一は、自ら設立した「DORAKEN株式会社」による本件商標「ドラ懸」の使用について何ら異議を述べることなく容認している事実から、勝矢洋一は、「DORAKEN株式会社」に本件商標の使用を黙示で許諾している。
以上より、「DORAKEN株式会社」は、本件商標権の通常使用権者である。
(2)使用の時期と立証期間
本件審判は、予告登録が平成28年4月13日であることから、平成25年4月13日から同28年4月12日まで(以下「本件要証期間」という。)に使用されていた事実が立証されなければならないことになる。
(3)使用の立証
ア 乙第2号証は、プログラムであるアプリ(アプリケーションの略称)をダウンロード可能なインターネットサイトであるAppStoreの画面を印刷したものである(URLは、乙第2号証に記載のとおりである)。
乙第2号証には、RPG(ロールプレイングゲーム)アプリである「DORAKEN」をiTunesというソフトを使用してダウンロードできる旨の記載がある。また、乙第2号証には、商品の説明(アプリの名称)等に「DORAKEN(ドラ懸)」との記載、カテゴリとして「ゲーム」との記載、販売元として「DORAKEN Inc.」との記載、互換性として「iOS7.0以降。iPhone、iPad、およびiPod touchに対応。」(なお、これらは周知のとおり、OSのバージョン及び携帯型の機器の名称である)との記載がある。
さらに、乙第2号証には「更新:2016年4月6日」との記載があることから、遅くとも2016年(平成28年)4月6日の時点で、同サイトでRPGアプリである「DORAKEN(ドラ懸)」の提供がなされていたことが明らかである(なお、「更新」の文言からすれば上記日付以前より提供がなされていたと考えるのが相当である)。
以上から、DORAKEN株式会社は、本件要証期間中に、請求に係る指定商品における、例えば「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」を、電気通信回線を通じて提供している(商標法第2条第3項第2号)。
イ 乙第3号証は、プログラムであるアプリをダウンロード可能であり、アマゾン社により提供されるインターネットサイトの画面を印刷したものである(URLは、乙第3号証に記載のとおりである。)。
乙第3号証には、RPGアプリである「DORAKEN」をダウンロードできる旨及びAndroid端末(OSとしてAndroidを使用した携帯型の端末)で利用できる旨の記載がある。また、乙第3号証には、商品説明(アプリの名称)等に「DORAKEN(ドラ懸)」との記載、アプリの内容がRPGである旨の記載、開発者として「DORAKEN Inc」との記載がある。
さらに、乙第3号証には、「登録情報」において「オリジナル盤発売日:2013/10/14」との記載があることから、平成25年10月14日から同サイトでRPGアプリである「DORAKEN(ドラ懸)」の提供がなされていたことが明らかである。
以上から、DORAKEN株式会社は、本件要証期間中に、本件請求に係る指定商品における、例えば「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」を、電気通信回線を通じて提供している(商標法第2条第3項第2号)。
ウ 乙第4号証は、雑誌「DIME」2016年4月号の一部を抜粋して印刷したものである。また、乙第5号証は、同雑誌の発売日(2016年2月16日(火))を示す書類である。
乙第4号証には、「DORAKEN(ドラ懸)」との記載があり、同記載の下にアプリ「DORAKEN(ドラ懸)」のゲーム内容の紹介がなされている。また、乙第4号証には、アプリ「DORAKEN(ドラ懸)」の特徴やDORAKEN株式会社の社員によるアプリ「DORAKEN(ドラ懸)」の紹介の記載がある。
以上から、DORAKEN株式会社は、本件要証期間中に、請求に係る指定商品における例えば「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」に関する雑誌の広告に本件商標を付して頒布を行ったことが明らかである(商標法第2条第3項第8号)。
エ 乙第6号証は、本件の商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社に対する株式会社メタップスからの請求書である。乙第6号証には、請求内容として「広告掲載料」との記載があり、さらに「DORAKEN」との記載がある。
乙第7号証は、本件の商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社に対する株式会社アドウェイズからの請求書である。乙第7号証には、項目として「DORAKEN」との記載がある。
本件商標「ドラ懸」と「DORAKEN」とは、平仮名、漢字及びローマ字を相互に変更するものであり同一の称呼を生じるものであることから、「DORAKEN」は本件商標「ドラ懸」と社会通念上同一と認められる商標である。
以上から、商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社は、取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して使用している(商標法第2条第3項第8号)。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件商標権者及び通常使用権者によって、本件審判の請求の登録前3年以内において、日本国内で本件請求に係る指定商品の少なくとも一部について使用されたことが明らかである。
よって、本件商標は、本件請求に係る指定商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)本件審判の請求について
商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
本件審判は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類に属する本件請求に係る指定商品についての登録の取消しを請求されたものであり、これに対し、被請求人は、本件要証期間内に商標権者及び通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」(答弁書において「携帯液晶画面ゲームおもちゃプログラム、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」と記載されているが、前記の表示の趣旨の記載であると認定する。)について本件商標を使用しているから、本件審判の請求は成り立たない旨答弁し、乙各号証を提出しているので、以下検討する。
(2)被請求人の提出する証拠について
ア 乙第1号証
本件商標権者は、「DORAKEN株式会社」の代表取締役に就任している者であり、同社は、平成16年5月10日に設立された「株式会社ジーエムティー」が、同21年9月1日にその商号を「DORAKEN株式会社」に変更したものであって、「1.データベース及びウェブシステムの開発,2.ネットワーク、サーバの構築、保守、コンサルティング,3.インターネットセキュリティのコンサルティング」等を目的とする法人であることが認められる。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、アプリケーションをダウンロード可能なインターネットサイトであるAppストアの画面を印刷したとするものであり、2016年5月18日に紙打ち出ししたものと認められ、「iTunesプレビュー」の見出しの下、「お使いのコンピュータでiTunesが見つかりません。DORAKEN.incによる無料App換金できるRPG【DORAKEN】をダウンロードするには、iTunesを入手してください。」との記載があり、「換金できるRPG【DORAKEN】」の表題の下、「開発:DORAKEN.inc」「Appを購入、ダウンロードするにはiTunesを開いてください。」「説明 『DORAKEN(ドラ懸)』は、稼いだゴールドを換金できるオンリーワンの懸賞(お小遣い)RPGアプリで、以下の特徴があります。」「このAppはiPhone、iPadの両方に対応しています。」「カテゴリ:ゲーム」「更新:2016年4月6日」「販売元:DORAKEN Inc.」「互換性:iOS7.0以降。iPhone、iPad、およびiPod touchに対応。」との記載がある。また、「スクリーンショット」に表示された画像中には「DORAKEN」の文字が表されている。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、プログラムであるアプリをダウンロード可能なアマゾン社の提供するインターネットサイトの画面を印刷したとするものであり、2016年5月18日に紙打ち出ししたものと認められ、「換金できるRPG【DORAKEN】」の表題の下、「DORAKEN.inc」「発売元:Amazon Services International,Inc.」「Android端末ですぐにご利用いただけます」「オリジナル盤発売日:2013/10/14」「開発者による最終更新日:2016/5/13」「商品説明 『DORAKEN(ドラ懸)』は、ここでしかできないオンリーワンの懸賞(お小遣い)RPGアプリで、以下の特徴があります。 【1】本格的なRPGを楽しみながら、稼いだG(ポイント)を換金でき、お小遣いをGETできる!! ・・・」「仕様 ・・・開発者:DORAKEN inc. ・・・必要なOS環境:Android 2.3 ・・・」との記載がある。
エ 乙第4号証及び乙第5号証
乙第4号証の1葉目は、雑誌「DIME」2016年4月号の39ページの写しであり、「DORAKEN(ドラ懸)」の表題の下、アプリ「DORAKEN(ドラ懸)」のゲーム内容等が紹介され、説明の画像には「DORAKEN」の文字が表示されており、また、記事中には「今年でサービス9年目になる老舗懸賞ゲームが『DORAKEN』だ。本格的なRPGで、積極的な課金ユーザーも多いのが特徴。」との記載がある。
オ 乙第6号証及び乙第7号証
乙第6号証は、株式会社メタップスからDORAKEN株式会社勝矢洋一宛ての2015年7月3日付け請求書であり、項目欄に「6月度I-CPI広告掲載料 DORAKEN 【IO-IC15008-M】」、数量欄に「15,172件」、単価欄に「80」の記載がある。
乙第7号証は、株式会社アドウェイズからDORAKEN株式会社御中勝矢洋一宛ての2015年6月30日付け請求書であり、ID欄、項目欄、商品欄、数量欄、単価欄の順に、1件目が「30038」「DORAKEN」「AppDriver」「688」「100」、2件目が「30038」「DORAKEN」「AppDriver」「12,600」「80」、3件目が「12177」「DORAKEN」「AppDriver」「19,466」「80」と、それぞれの記載がある。
そして、被請求人は、「乙第6号証には、請求内容として『広告掲載料』との記載があり、さらに『DORAKEN』との記載がある。乙第7号証には、項目として『DORAKEN』との記載がある。以上から、商標権者である勝矢洋一及び通常使用権者であるDORAKEN株式会社は、取引書類に本件商標を付して使用している。」旨答弁するのみで、本件商標と本件請求に係る指定商品との関係等、その立証趣旨を明らかにしていない。
(3)本件商標の使用について
ア 上記(2)において認定した事実によれば、商標権者が代表取締役を務める「DORAKEN株式会社」が本件商標の通常使用権者であると認めて差し支えがないものであり、本件要証期間内に通常使用権者が「ダウンロード可能なRPG(ロールプレイングゲーム)アプリケーション」(以下「本件使用商品」という。)について「DORAKEN(ドラ懸)」又は「DORAKEN」の文字からなる商標(以下「本件使用商標」という。)を使用したことを認めることができる。
そして、本件使用商標における「DORAKEN(ドラ懸)」中の「ドラ懸」の文字の使用により、本件商標の使用が認められるものである。
しかしながら、本件使用商品は、以下の理由により、本件請求に係る指定商品中の「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」の範ちゅうに属する商品ということはできない。
イ 乙第2号証において「このAppはiPhone、iPadの両方に対応しています。」及び「互換性:iOS7.0以降。iPhone、iPad、およびiPod touchに対応。」との記載があり、乙第3号証において「Android端末ですぐにご利用いただけます」との記載がある。ここでいう「iPhone」とは、米国のアップルインコーポレイテッド又はその関連会社が製造販売しているスマートフォン又は携帯電話機であり、「iPad、およびiPod touch」とは、同社が製造販売するタブレット型コンピュータであり、「Android端末」とは、携帯電話機事業者及び電子計算機事業者が販売するスマートフォン若しくは携帯電話機又はタブレット型コンピュータであると認められる。
そして、商標法第6条第2項に規定する政令で定める商品及び役務の区分及び商標法施行令第1条に規定する経済産業省令(商標法施行規則の一部を改正する省令(平成18年10月27日経済産業省令第95号)により改正されたもの)で定める各区分に属する商品及び役務によれば、「スマートフォン」又は「携帯電話機」は、商標法施行規則別表「第九類/十三 電気通信機械器具/(一)電話機械器具」中の「携帯電話機」の範ちゅうに属し、「タブレット型コンピュータ」は、同別表「第九類/十六 電子応用機械器具及びその部品/(一)電子応用機械器具/イ 電子計算機及びその周辺機器」中の「電子計算機」の範ちゅうに属する商品であり、また、「携帯電話機」又は「電子計算機」にダウンロードされるプログラムは、いずれも、同別表「第九類/十六 電子応用機械器具及びその部品/(五)「電子計算機用プログラム」の範ちゅうに属する商品である。
他方、被請求人は、本件商標の本件使用商品についての使用をもって、本件請求に係る指定商品中の「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」についての本件商標の使用をしていることを主張しているところ、該商品は、上記商標法施行規則別表「第九類/十九 家庭用テレビゲーム機用プログラム」の範ちゅうに属する商品といえるものである。
そうすると、本件使用商品、すなわち、通常使用権者の提供するアプリケーション(プログラム)は、「携帯電話機」又は「電子計算機」にダウンロードされるものであり、上記商標法施行規則別表「第九類/十六 電子応用機械器具及びその部品/(五)「電子計算機用プログラム」の範ちゅうに属する商品であるから、同別表「第九類/十九 家庭用テレビゲーム機用プログラム」の範ちゅうに属する商品である「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用プログラム」とは、別異の商品であるといえる。
したがって、本件請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしたということはできない。
ウ なお、審判長は、請求人提出の弁駁に対する意見及び既に提出の乙各号証以外の証拠方法の提出を求める旨の審尋を行ったところ、被請求人からは、「本審判において使用の事実に関する証拠をこれ以上提出する予定はない。」旨の回答があった。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-12-26 
結審通知日 2017-01-04 
審決日 2017-01-20 
出願番号 商願2009-60817(T2009-60817) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
酒井 福造
登録日 2009-12-18 
登録番号 商標登録第5289483号(T5289483) 
商標の称呼 ドラケン 
代理人 杉浦 正知 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 本宮 照久 
代理人 杉浦 拓真 
代理人 高田 泰彦 
代理人 永井 浩之 
代理人 柏 延之 
代理人 宮嶋 学 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 朝倉 悟 
代理人 中村 行孝 
代理人 副田 圭介 

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