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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1325037 
審判番号 取消2014-300852 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-10-21 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4860695号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成27年10月14日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成28年(行ケ)第10048号,平成28年 8月25日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 登録第4860695号商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4860695号商標(以下「本件商標」という。)は,「FRM」の欧文字と「ファイナンシャルリスクマネジャー」の片仮名とを上下二段に書してなり,平成16年6月8日に登録出願,第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」及び第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として,同17年4月28日に設定登録され,その後,同27年5月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成26年11月12日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由等を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
被請求人の代表者が平成26年12月22日の時点で陳述した書面であり,その中で,被請求人は,本件商標の取消請求役務の分野における使用状況として,以下の事実を陳述している。
ア 「FRM ファイナンシャル・リスクマネジャー」講座を紹介した冊子を平成19年(2007年)の初版以来,現在まで,被請求人の案内書として一般に広く頒布している。
イ 当該講座名は,被請求人許諾の下,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(以下「コンサルタント協会」という。)が平成16年(2004年)から使用を開始し,現在まで継続的に使用しており,代理店によっても広く宣伝されている。
ウ 平成22年(2010年)12月28日に日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会(以下「プロフェッショナル協会」という。)が設立され,同協会が「FRC ファイナンシャル・リスクコンサルタント」の講座名を使用することになったのに対し,本件商標「FRM ファイナンシャル・リスクマネジャー」は,コンサルタント協会が引き続き使用している。
ここで,請求人は,コンサルタント協会が2010年(平成22年)12月21日付けで発信した「当協会認定資格の名称変更に関するお知らせ」を提出する(甲4)。
この「当協会認定資格の名称変更に関するお知らせ」によれば,コンサルタント協会は,被請求人が同協会の認定教育機関でなくなったことに伴い,2011年(平成23年)1月1日より,当時の3つの資格名称を変更し,その中の一つの資格名称として,「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」(以下「FRM」という場合がある。)を新名称「RMCA-J認定ファイナンシャルリスクマネジャー」に変更し,当該新たな資格名称にて再スタートする旨,そして,現在のFRMの会員の方々に対し,資格名称変更に伴い,これまで名刺やプロフィール等で記載していた従来の資格名称「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」の変更を余儀なくさせることへのお詫びの文章も併せて記載されている。
また,その中で,「注3:新しい資格名称は,上記括弧内の太字の全てを表記して下さい。「RMCA認定」(商標登録完了後は「RMCA-J」)も名称の一部です。」との注意書きも明記されている。(なお,上記の「RMCA認定」の部分は,前後の文脈からして「RMCA-J認定」の単なる誤記と思われる。)
してみると,甲第2号証及び甲第4号証の記載から総合的に判断する限り,被請求人は,2011年(平成23年)1月1日から現在まで,「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称を「FRCファイナンシャルリスクコンサルタント」(以下「FRC」という場合がある。)に変更し,新たに設立されたプロフェッショナル協会を通して新名称「FRC ファイナンシャルリスクコンサルタント」の資格認定や資格の管理を行ってきたと考えられるのに対し,コンサルタント協会は,同時期に,これまで被請求人から使用許諾を受けて使用してきた資格名称「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」の使用を止め,その代りに自社で独自に商標「RMCA-J」の登録出願をし,「RMCA-J認定ファイナンシャルリスクマネジャー」という新しい資格名称に変更した上で,当該新資格名称を使用してきたと考えられる。
したがって,乙第1号証中の被請求人の1.(1)及び(2)並びに2.の後半部分の陳述は,実態とは明らかに矛盾するものであり,信憑性が非常に疑わしいといわざるを得ない。
(2)乙第2号証について
「リスクマネジメント研修のご案内」と題する冊子であり,請求人は,この冊子を初版発行以来現在まで広く継続的に頒布していると陳述している。
しかし,甲第2号証及び甲第4号証から総合的に判断する限り,2011年(平成23年)1月1日から資格名称が変更されたわけであるから,通常,少なくとも新資格名称である「FRC ファイナンシャルリスクコンサルタント」に関する講座についての記載があるはずのところ,そのような記載は一切なく,資格名称変更前の旧名称「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」の資格の講座についての記載しかないということ自体,かなり不自然であるといわざるを得ない。つまり,資格名称を変更して4年近く経過するにもかかわらず,資格名称変更前の旧資格名称を冠した講座を掲載した冊子をそのままの状態で広く継続的に頒布するということ自体に,かなり不自然であり,違和感があることは到底否めない。
加えて,資格取得を目的として開講される講座は,講座名にその資格を冠するものであるが,資格の名称が変更されれば,それに伴い,変更後の新しい資格名称を冠する講座名に変更されるのが通常であるから,2011年(平成23年)1月1日以降に,変更前の資格名を冠する講座を引き続き開講するのは,かなり不自然であり,違和感があることは拭えない。
(3)乙第3号証及び乙第4号証について
これらは,平成25年7月11日と平成26年9月18日に,被請求人が開催したセミナーに参加した者から交付されたものであり,その中で,各参加者は,乙第1号証の冊子,その他の資料を受領した旨を陳述したものである。
この受取証明書と題する書面の中で,参加者は,リスクマネジメント研修(FRMファイナンシャルリスクマネジャー)を検討のためと陳述しているが,甲第2号証及び甲第4号証から総合的に判断する限り,参加者が,被請求人が開催したセミナーに参加した当時,既に「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」なる資格は新名称「FRC ファイナンシャルリスクコンサルタント」に変更されていたわけであるから,当時既に存在しない資格取得をその時点で検討することは自体通常あり得ない筈であり,実態とは明らかに矛盾するものであり,不自然である。
したがって,本件書証は,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に(以下「要証期間」という。)に取消請求役務について使用されていたことの証拠にはなり得ない。
(4)乙第5号証について
被請求人が主張する,現在も引き続き本件商標と同一名称の資格の認定及びその資格取得のための講座を開講しているとされるコンサルタント協会のウェブサイトの「会員制度」に関するウェブページである。
確かに,特定会員の箇所に「FRM:『RMCA-Jファイナンシャルリスクマネジャー資格試験』合格者」との記載があるが,これは,特定会員には,「RMCA-Jファイナンシャルリスクマネジャー資格試験」に合格した者が該当するということを単に表明したにすぎないものであり,また,既述のとおり,「RMCA-Jファイナンシャルリスクマネジャー」の部分は全体として一体不可分であるから,この資格要件の記載部分により,コンサルタント協会が本件商標と同一名称の資格の認定や試験の実施又は講座を開講していたことの証明にはなり得ない。
(5)乙第6号証について
2013年(平成25年)9月22日当時の「資格のケンサク」というウェブサイトの該当ページであり,当該ウェブページ上には「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」という資格試験についての記述があるが,甲第2号証及び甲第4号証から総合的に判断する限り,2013年(平成25年)9月22日には,当該資格の名称が既に「RMCA-Jファイナンシャルリスクマネジャー」に変更されていたわけであるから,コンサルタント協会は「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」なる名称の講座及び資格試験を実施していなかったことは明らかである。
したがって,このウェブサイトは,資格名称の変更後も,その内容が何ら更新されることなく,そのままの状態が単に継続していたにすぎないと考えるのが自然であると思料される。
(6)乙第7号証について
2013年(平成25年)11月27日当時の「LLP北海道リスクマネジメント研究会」というウェブサイトの該当ページであり,当該ウェブページ上には「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」という資格及びその資格試験用の講座についての記述があるが,上記乙第6号証と同様に,甲第2号証及び甲第4号証から総合的に判断する限り,2013年(平成25年)11月27日には,当該資格の名称が既に「RMCA-Jファイナンシャルリスクマネジャー」に変更されていたわけであるから,コンサルタント協会は「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」なる名称の講座及び資格試験を実施していなかったことは明らかである。
(7)乙第8号証について
被請求人のウェブサイトであり,自社が作成したリスクマネジメント用語集の中に「FRM(ファイナンシャルリスクマネジャー)」の記述があるが,これは,当該資格及びその資格取得のための講座がスタートした際に用語集に追加されたものであり,この記載があるからといって,本件商標が要証期間に取消請求役務について使用されていたことの立証にはならない。
3 口頭審理陳述要領書(平成27年7月2日付け)
(1)乙第2号証の配布日について
追加で提出された受取証明書(乙9ないし乙14)の各陳述者は,「リスクマネジメント研修のご案内」と題する案内書を要証期間の特定の日に受領した旨を陳述するものである。
そして,当該受取証明書は,各陳述者が被請求人から要証期間の特定の日に,その特定の頁(第4頁と第10頁)に特定の講座名が記載された案内書を受領した内容となっている。
しかし,該号証を見る限り,そもそもそれには「リスクマネジメント研修のご案内」と題する案内書の表紙部分しか掲載されていないため,それと乙第2号証が同一の内容か否か客観的に確認できないはずなのに,各陳述者は,今から2年ないし3年近くも前に頒布され,受領した案内書に記載された講座名を今でも正確に記憶し,さらにそれが何頁に記載されていたことまで本当に正確に記憶していたのだろうか,甚だ疑問といわざるを得ない。
また,乙第15号証によれば,各陳述者は,「リスクマネジメントにおける会計の役割(1),(2)」及び「実務現場から考えるコンプライアンス利益損失リスク低減のために」という追加講義を受講した若しくは受講を検討した人達ということだが,各陳述者が,乙各号証に表示された案内書の内容,案内書の受領日,乙第2号証と受領日に受領した案内書が同一のものであること等の確認について,客観的な証明が何らなされていない。
(2)乙第9号証ないし乙第14号証について
被請求人は,乙第9号証ないし乙第14号証により,乙第2号証との同一性及び「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」の記載の存在は証明されている旨主張するが,上記(1)にて反論したとおり,これらに係る各陳述書には「リスクマジジメント研修のご案内」と題する案内書の表紙部分しか掲載されておらず,当該陳述書上ではその内容が全く確認できないため,当該案内書と乙第2号証の同一性及び「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」の記載の存在が客観的に立証されたとは到底いえないものである。
(3)商標法第2条第3項各号の該当性について
ア 被請求人は,乙第2号証は講座という知識の教授の業務に関する案内書として提供しているため,商標法第2条第3項第3号に規定する「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」に該当する旨述べているが,そもそも案内書は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」には該当しないことは明らかである。因みに,知識の教授という役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物とは,例えば,受講者に配布されるテキストなどの教材が該当するものと思料される。
イ 被請求人は,乙第2号証は他の講座を受講した者に対し,入り口に並べて閲覧に供していたので,商標法第2条第3項第5号に規定する「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」に該当する旨述べているが,そもそも案内書は「役務の提供の用に供する物」には該当しないことは明らかである。
ウ 被請求人は,乙第2号証は商標法第2条第3項第8号に規定する「役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する旨述べているが,案内書が「広告,価格表若しくは取引書類」のいずれに該当するのかが不明である。
エ なお,商標法第2条第3項各号の「使用」に形式的に該当しても,商標が自他役務識別標識であるという本質上,商標が自他役務の識別機能を発揮し得る状態にて使用されない限り,商標の使用に該当しない旨過去の多くの審決例・判決例において示されているところ,一般的に「○○○」が資格名称だとすれば,「○○○養成講座」は「○○○という資格者を養成するための講座」という意味合いを認識させるにすぎず,講座の内容を単に記述するものであって,自他役務識別標識としての機能を発揮し得ないというべきである。
だとすれば,乙第2号証に係る案内書に記載の「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」及び「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」なる表示は,同様に,単に「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)なる資格者を養成するための講座」という程度の意味合いを認識させるにすぎず,自他役務識別機能を発揮するものではないから,商標的使用に該当するものではないと思料される。
また,かかる表示が自他役務識別機能を発揮する場合があるとしても,「○○○」と「養成(講座)」の部分は観念的に強い結合関係にあり,常に全体として一体不可分のものとして認識されることから,本件では,「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)なる資格者を養成するための講座」という全体として一体不可分の観念を生じさせる「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」及び「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」なる表示は,全体として一体不可分のものとして認識すべきものであるため,「養成講座」の有無という顕著な差異により,本件商標と社会通念上同一とはいい難いものである。
(4)本件商標が使用された経緯について
乙第15号証は,被請求人の代表者からの陳述書であるが,これは,同一人物より既に乙第1号証として提出されている,本件商標の使用状況を説明する陳述書の内容を補完するものではなく,重要な要証事実の1つである「本件登録商標の使用主体」を全くの別人に変更している点で,両書類は明らかに整合性を欠くものである。
つまり,乙第1号証では,被請求人は,本件商標の使用主体はコンサルタント協会と主張していたのに対し,乙第15号証では,一転してプロフェッショナル協会が本件商標と同一名称の資格名を管理し,被請求人自身が同一名称を講座名として現在まで使用していると主張内容を180度変えたのである。
被請求人が主張するように,被請求人自身が本当に本件商標の使用を継続してきたのであれば,自身が最もよく把握又は認識している重要な要証事実の1つである本件商標の使用主体を間違うはずはない。
したがって,乙第15号証及び乙第1号証の双方とも,その信憑性は極めて疑問といわざるを得ない。
また,被請求人は,乙第2号証に係る案内書を受講希望者に提供し,教室の入り口に並べたり,講演の際に広告物として配布しており,その期間が要証期間と重なることは間違いない旨陳述しているが,それを客観的に裏付ける証拠(例えば,乙第2号証に係る案内書を教室の入り口に並べた状態及び案内書の該当講座記載の頁を映した写真など)の提出がないことから,この陳述内容が客観的に立証されたとは到底いえないものである。
(5)その他の事実について
乙第2号証が要証期間に不特定多数の者に頒布されたことについて,その前提として,要証期間に乙第2号証に記載された「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」という名称の認定資格が存在していたこと及び「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」なる講座が開講されていたことについても,被請求人は何ら客観的に立証していない。
換言すれば,仮に,要証期間に「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」という名称の認定資格が存在しなかったのであれば,論理的には,存在しない認定資格を取得する者を養成するための講座が開講されることはないはずであるから,本件商標の下で役務を提供する準備,用意等が全く整っていない状況下において,仮に,乙第2号証に係る案内書を不特定多数の者に頒布したとしても,この頒布行為は役務の提供という前提を欠くものであるから,不使用取消を免れる等の意図をもってなされた単なる名目的な見せかけの商標の使用行為にほかならないと思料される。
請求人は,インターネット・アーカイブ・デジタル・ライブラリを利用して被請求人のウェブサイト(www.almac.co.jp),被請求人の代表者が設立したプロフェッショナル協会(www.almac.co.jp/jarm/)の各ウェブサイトの過去の状況を調べた結果を提出する(甲5ないし甲17)。
4 上申書(平成27年9月9日付け)
(1)乙第16号証について
乙第16号証は,被請求人の代表者からの陳述書であり,特に第3項において,乙第1号証は平成19年から平成22年末までの事実関係を,また,乙第15号証はその後の事実関係を記載したものである旨陳述されている。
しかし,乙第1号証を何度読み返しても,以下の理由により,乙第16号証において陳述されたように理解することは到底できないものである。
ア 乙第1号証の1.(2)において,被請求人の代表者は「上記講座名は,当社の許諾の下,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会が平成16年から使用を開始し,現在まで継続的に使用しています。」と陳述しているところ,ここでいう「現在まで」とは,乙第1号証の陳述日である「平成26年12月22日」近辺を指すものと容易に理解できる。
したがって,乙第1号証は,平成19年から少なくとも平成26年12月頃までの事実関係について陳述したことになると理解するのがごく自然である。
イ 乙第16号証によれば,コンサルタント協会が「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称を使用しないことを被請求人の代表者が知ったのは平成24年秋頃とのことであるから,被請求人の代表者は,少なくとも,乙第1号証の陳述当時,平成24年秋頃までは「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の使用主体はコンサルタント協会であったと認識していたことになるが,そうすると,乙第1号証は,平成19年から少なくとも平成24年秋頃までの事実関係について陳述したことになるはずである。
以上より,乙第1号証は平成19年から平成22年末までの事実関係を,また,乙第15号証はその後(平成23年以降)の事実関係を記載したものと理解することは不可能であることから,乙第1号証と乙第15号証の各陳述内容は明らかに矛盾するものであり,その信憑性には合理的な疑いがあるといわざるを得ない。
(2)乙第17号証ないし乙第25号証について
ア 乙第21号証の陳述者によれば,被請求人の案内書は,その改定時期により4種類に大別されると理解されるところ,被請求人が「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称の使用中止を決めてから再開されるまでの間(被請求人の代表者の陳述によれば,「平成22年末頃から平成24年秋頃まで」の間),資格名称の変更という極めて重大な変更事項があったにも関わらず,案内書にその事実や事情説明等を反映させる改訂がなされた形跡が全くない。つまり,使用中止を決めた「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」なる資格者の養成講座が1年半近くもの間,案内書に紹介されたままの状態になっていたわけである。
イ 乙第17号証及び乙第18号証には,第10頁の「FRM養成講座」の「講座形態」及び「開講地」の欄にそれぞれ「通学,通信(実施予定)」及び「東京」の記載があるのに対し,講座名使用再開時に改訂されたとされる乙第19号証及び乙第20号証には,第11頁の同講座の「講座形態」及び「開講地」がそれぞれ「-」及び「未定」となっており,現在でもそのままの状態である。
ウ 講座名使用再開時に改訂されたとされる乙第19号証及び乙第20号証において,第16頁の次の頁が第17頁ではなく,第15頁に戻って採番されており,第15頁と第16頁の採番が重複した状態になっている。
エ 乙第21号証によれば,被請求人が「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称の使用を再開したのは2011年(平成23年)10月頃と陳述されているのに対し,乙第16号証によれば,被請求人の代表者は,コンサルタント協会が「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称を使用しないことを平成24年(2012年)秋頃に知ったわけであるから,少なくともその後に「FRMファイナンシャルリスクマネジャー」の資格名称の使用を再開したことになるはずであると思料される。
そうなると,乙第16号証と乙第21号証の各陳述内容には,使用を中止した資格名称の使用再開時期について,1年間程のズレが生じることになる。
(3)乙第26号証ないし乙第32号証について
これらの書証において,各陳述者の多くは,案内書記載の「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」を申し込み,当該講座を講師から直接又はDVDにて受講した旨陳述している。
しかし,これらの書証に添付された講座申込書写によれば,案内書記載の「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」,「FRM養成講座」の記載は当該講座申込書写のどこにも見当たらない。
添付の講座申込書写は,リスクマネジメント・プロ養成講座の「基礎課程」と「上級課程」のみを対象としていることは誰の目にも明らかであり,これは,被請求人の案内書(乙19及び乙20)の第11頁に記載のリスクマネジメント・プロ養成講座の「基礎課程」,「上級課程」,「CRO養成講座」及び「FRM養成講座」の4つの講座のうち,まさに前二者の講座と完全に一致するものであるから,当該講座申込書から後二者は対象外となっていることは一目瞭然であり,そうであるならば,同案内書の第11頁の後二者の講座の「講座形態」及び「開講地」がそれぞれ「-」及び「未定」のままとなっていることも容易に説明が付く。
さらに,当該講座申込書の最上段にやや小さく「日本リスクマネジメントプロフェッショナル協会認定“シニアリスクコンサルタント”ライセンス対応講座」との一行が明示されている点を指摘したい。つまり,この申込書にて受講可能な講座は,プロフェッショナル協会が認定する「シニアリスクコンサルタント」という資格取得に対応する講座ということであるから,この点からも,この講座の申込書が案内書に記載の「CRO養成講座」及び「FRM養成講座」に対応するものではないことを容易に窺い知ることができる。
したがって,これらの書証によれば,各陳述者が実際に申し込んで受講した講座は,まさに当該講座申込書に記載のとおり,プロフェッショナル協会が認定する「シニアリスクコンサルタント」という資格取得に対応する講座である「リスクマネジメント・プロ養成講座≪基礎・上級課程セット≫」であって,「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」ではなかったことは明らかであり,当該名称の養成講座が実際に開講されたのかは依然として不明といわざるを得ない。
(4)乙第33号証及び乙第34号証について
乙第33号証は,DVDに貼付されたラベル上の「2009?2010」の記載から「2009年?2010年」版と思われるので,要証期間外の証拠と思料される。また,乙第34号証は,ラベル上の「2011」の記載から同様に「2011年」版と思われるが,いずれの書証(写真写)にも,案内書に記載の「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」,「FRM養成講座」の表示はどこにも見当たらないため,当該名称の養成講座が実際に開講されたのかはやはり不明といわざるを得ない。
(5)乙第35号証について
この書証にも,案内書に記載の「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」,「FRM養成講座」の表示が全く見当たらないため,当該講座が実際に開講されたのかは,同様に全く不明といわざるを得ない。
(6)乙第36号証について
この書証は,被請求人が講習会場を借りたことを証明するものであるが,借りた当該講習会場において「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」,「FRM養成講座」が実際に開講されたのかは同様に不明といわざるを得ない。
(7)被請求人提出に係る平成27年8月7日付け上申書の主張内容について
被請求人は,上申書の(1)において,「この『養成講座』とは,この『知識の教授』の役務そのものであるのだから,『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー』又は『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)』の部分とは区別して認識されると解するのが自然である。そして,『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー』又は『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)』の標章は,提供する役務の名称であるのだから,これらは商標的使用に該当する。」と主張する。
しかし,本件のように「FRMファイナンシャルリスクマネジャー養成講座」又は「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」の如く,「○○○養成講座」のように講座名などのタイトルの一部として,資格名称である本件商標を使用しても,それは当該資格名称の取得を目指す者を養成するための講座という講座の内容を単に記述的に表現するにすぎない態様での使用,換言すれば,当該講座を提供する主体(だれが知識の教授を提供するのか)を区別するための目印(商標)としての使用には該当しないと思料される。
(8)まとめ
以上より,本件商標は,要証期間に取消請求役務について,商標権者又は使用権者により,商標的使用態様にて使用された事実が客観的に立証されたものということができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,と答弁し,その理由を答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第36号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標の取消請求役務の分野での使用状況は,被請求人の代表者の陳述書によると,下記のとおりである(乙1)。
(1)被請求人発行の「リスクマネジメント研修のご案内」(乙2)中に,講座名として「FRM ファイナンシャル・リスクマネジャー」の記載があり,被請求人はこの冊子を,平成19年の初版印刷以来,現在まで,被請求人の業務(知識の教授,セミナーの企画・運営・又は開催)の案内書として一般に広く継続的に配布してきた(乙3及び乙4)。
(2)上記講座名は,被請求人の許諾の下,コンサルタント協会が,平成16年から使用を開始し,現在まで継続的に使用してきた(乙5)。この講座名は,下記のように代理店によって,広く宣伝されてきた。
ア 「資格のケンサク」のHP(2013年9月22日のキャッシュ)(乙6)
イ LLP北海道リスクマネジメント研究会のHP(2013年11月27日のキャッシュ)(乙7)
(3)被請求人のホームページ上にも本件商標の記載があり,それは少なくとも2010年9月12日から現在まで継続的に掲載されている(乙8)。
2 口頭審理陳述要領書(平成27年6月18日付け)
(1)乙第2号証の配布日
乙第2号証の書面は要証期間の始期から終期(平成23年11月12日から平成26年11月11日)の間に配布されたことは受取証明書より明らかである(平成24年4月11日,同25年1月19日,同年8月24日)。
(2)乙第9号証ないし乙第14号証について
乙第9号証ないし乙第14号証には下記の記載があり,乙第2号証との同一性,及び「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」の記載の存在は証明されている。
「受取証明書 私は,平成××年×月××日に,株式会社日本アルマックから,その4ページに『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座』,10ページに『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座』という講座名の記載がある『リスクマネジメント研修のご案内』(下図)という名称の冊子を受け取ったことを証明いたします。」
(3)商標法第2条第3項各号の該当性について
ア 乙第2号証は,講座という知識の教授の業務の案内書として提供しているので,商標法第2条第3項第3号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」に該当する(乙15)。
イ 乙第2号証は,他の講座を受講した者に対し,入口に並べて閲覧に供していたので,商標法第2条第3項第5号の「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」に該当する(乙15)。
ウ 乙第2号証は,講座の案内書として頒布していたので,商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する(乙15)。
(4)本件商標が使用された経緯について
被請求人の代表者の陳述(乙15)は,プロフェッショナル協会の設立以降,その後の本件商標の使用状況(特に要証期間の)を追加して証明したものである。
3 口頭審理陳述要領書2(平成27年7月14日付け)
(1)乙第2号証の「リスクマネジメント研修のご案内」の改訂前と改訂後の案内書を提出する。
・「リスクマネジメント研修」ワードファイル(2007年8月,乙17及び乙22)
・「リスクマネジメント研修のご案内」ワードファイル(2008年6月,乙18及び乙23)
・「リスクマネジメント研修のご案内」(改訂版)ワードファイル(2011年10月,乙19及び乙24)
・「リスクマネジメント研修のご案内」(改訂版)PDFファイル(2012年4月,乙20及び乙25)
なお,「リスクマネジメント研修のご案内」(改訂版)は,2011年当時はワードファイルから,2012年4月8日以降は,PDFファイルから印刷したものを配布している。
(2)乙第9号証ないし乙第15号証の陳述者は,「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー」の講座を受講した人であり,案内書にこの講座名の記載の記憶があることは当然である。陳述者の身分証明書(写し)をつけて,再度陳述書を提出する(乙26ないし乙29)。
さらに他の受講者の陳述書(乙30)と,乙第3号証の受講検討者の受取証明書等を提出する。
(3)乙第1号証は,平成19年から平成22年末までの事実関係,乙第15号証は,その後の事実関係を記載したものであるから,矛盾はなく,その関係を乙第16号証で補足説明している。
(4)乙第9号証ないし乙第15号証(乙26ないし乙29と重複)の陳述者は,すべてこの講座の受講修了者である。
FRM(ファイナンシャルリスクマネジャー)講座の内容は,乙第16号証のとおりで,DVD講座を含む(乙33及び乙34)。
(5)FRM(ファイナンシャルリスクマネジャー)を含む講座の履歴は,乙第35号証のとおりで,陳述者が参加した講座の会場使用費は,乙第36号証のとおりである。
4 上申書(平成27年8月7日付け)
(1)請求人は,「・・・『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座』及び『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座』なる表示は,全体として一体不可分のものとして認識すべきものであるため,『養成講座』の有無という顕著な差異により,本件登録商標と社会通念上同一とは到底言い難いものである。」旨主張している。
しかしながら,本件商標は,第41類の「知識の教授」を指定役務としている商標である。この「養成講座」とは,この「知識の教授」の役務そのものであるのだから,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」又は「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)」の部分とは区別して認識されると解するのが自然である。
そして,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」又は「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)」の標章は,提供する役務の名称であるのだから,これらは商標的使用に該当する。
(2)上記の使用態様が本件商標と社会的同一性があるとされることについては審判先例の認めるところである(昭60-16713,昭58-17839)。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証は,平成26年12月22日付けの被請求人の代表者の「陳述書」である。
これには,本件商標の使用状況について,「当社発行の『リスクマネジメント研修のご案内』中に,講座名として『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー』の記載があり,当社はこの冊子を,平成19年の初版印刷以来,現在まで,当社の案内書として一般に広く継続的に配布しています。」,「上記講座名は,当社の許諾の下,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会が,平成16年から使用を開始し,現在まで継続的に使用しています。」及び「平成22年12月28日,日本リスクマネジメント・プロフェッショナルが設立され,『FRCファイナンシャル・リスクコンサルタント』の講座名は,同協会が使用することとなりました。他方,登録第4860695号『FRM ファイナンシャル・リスクマネジャー』の商標は,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会が,引き続き使用しています。」等の記載がある。
(2)乙第2号証は,「リスクマネジメント研修のご案内」と題する冊子(以下「本件案内書」という。)である。
そして,その4頁には,「2.リスクマネジメント 養成講座」についての記載があり,その中程に,「現在,2011年12月に設立いたしました日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会の認定を受け,以下のラインナップでご提供しております。/・リスクマネジメント・プロ養成講座 基礎過程/・リスクマネジメント・プロ養成講座 上級課程/・CRO(最高リスク管理責任者)養成講座/・FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座(以下「FRM養成講座」という場合がある。)」の記載がある。
その10頁には,「2-1-4 FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」についての「【概要】」が記載され,「【内容】」には,「■リスクマネジメントの基礎とプロセスのあり方」,「■財務リスクマネジメント」,「■経営計画と活動」等の記載がある。
また,その11頁には,「2-2 各講座受講形態」について,「経営管理階層と講座体系の関連」の図が掲載されており,「分野別管理者」に「FRMファイナンシャルリスクマネジャー講座」の記載がある。
なお,乙第19号証及び乙第20号証は,乙第2号証と同様の内容の書面である。
(3)乙第9号証ないし乙第14号証は,平成27年6月16日又は17日付けの「受取証明書」である。
その内容は,これらに記名した者が,平成24年4月11日,同25年1月19日又は同年8月24日に,株式会社アルマックから,その4ページに「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」,10ページに「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」という講座名の記載がある「リスクマネジメント研修のご案内」という名称の冊子を受け取ったことを証明する旨とするものである。
(4)乙第15号証は,平成27年6月3日付けの被請求人の代表者の「陳述書」である。
これには,本件商標の使用経緯として,「『NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会』が,平成16年から資格名として使用を開始し,平成22年まで,使用しておりました。」,「平成22年11月15日,私は『NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会』の専務理事を辞任し,同年12月28日,『日本リスクマネジメントプロフェッショナル協会』を設立,・・・『日本リスクマネジメントプロフェッショナル協会』は,『FRMファイナンシャルリスクマネジャー』の資格名は使用せず・・・『FRCファイナンシャルリスクコンサルタント』の資格名を使用することを示しました」,「『日本リスクマネジメントプロフェッショナル協会』が,『FRMファイナンシャルリスクマネジャー』の資格名を管理すること,当社はこの認定の下,当社の行う講座名として,『FRMファイナンシャルリスクマネジャー』を使用してゆくこととし,現在まで講座名として使用しております。」等の記載がある。
(5)乙第16号証は,平成27年7月13日付けの被請求人の代表者の「陳述書」である。
これには,本件案内書の改訂の情報として,「1 『リスクマネジメント研修』ワードファイル:2007年8月27日」,「2 『リスクマネジメント研修のご案内』ワードファイル:2008年6月18日」,「3 『リスクマネジメント研修のご案内』(改訂版)ワードファイル:2011年10月12日」及び「4 『リスクマネジメント研修のご案内』(改訂版)PDFファイル:2012年4月9日」の記載がある。
また,請求人が,乙第1号証と乙第15号証は矛盾するとの主張に対して,「乙1号証は,平成19年から平成22年末までの事実関係,乙15号証は,その後の事実関係を記載したものです。」との記載があり,さらに,FRMの称号と講座を復活させた理由として,「NPO法人日本リスクマネージャー&コンサルタント協会が使用していないことを平成24年秋ころに元受講生からの電話連絡で知ったこと」との記載がある。
(6)乙第17号証ないし乙第20号証は,本件案内書の初版から第4版の写しであり,乙第22号証ないし乙第25号証は,それぞれの文書データが添付されており,ファイルの種類,プログラム,作成日時等が記録されている。
ア 上記案内書について,被請求人に残る文書データの記録をみると,平成19年8月に,ワード文書として,「リスクマネジメント研修 養成講座のご案内と社員研修のご提案」と題する案内書(乙17及び乙22。以下「平成19年案内書」という。)が作成されている。
同案内書には,被請求人が開講する講座のラインナップとして,「リスクコンサルタント養成講座基礎課程」,「リスクコンサルタント養成講座上級課程」,「CRO(最高リスク管理責任者)養成講座」,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」の4講座があることが記載され(3頁),また,「2-1-4 FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」の表題の下,その講座の概要等を説明する記載がある(9頁)。
イ 次に,平成20年6月には,ワード文書として,「リスクマネジメント研修のご案内」と題する案内書(乙18及び乙23。以下「平成20年案内書」という。)が作成されているが,その内容は,表紙記載の表題を除き平成19年案内書をそのまま踏襲するものである。
ウ さらに,平成23年10月には,ワード文書として,「リスクマネジメント研修のご案内」と題する案内書(乙19及び乙24)が作成されており,当該案内書が本件案内書(乙2)に相当するものである。
同案内書の内容は,平成20年案内書をおおむね踏襲するものであるが,被請求人が開講する講座のラインナップについては,「現在,2011年12月に設立いたしました日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会の認定を受け,以下のラインナップでご提供しております。」との説明の下,「リスクマネジメント・プロ養成講座基礎課程」,「リスクマネジメント・プロ養成講座上級課程」,「CRO(最高リスク管理責任者)養成講座」,「FRMファイナンシャル・リスクマネージャー養成講座」の4講座があることが記載されている(4頁)。また,「FRM(ファイナンシャル・リスクマネージャー)養成講座」の概要等を説明する記載(10頁)は,平成19年案内書及び平成20年案内書と同様である。
なお,平成24年4月には,本件案内書に係る上記ワード文書をそのままPDF化したデータが作成されている(乙20及び乙25)。
(7)乙第21号証は,平成27年7月13日付けの被請求人の事業推進担当者の「陳述書」である。
これには,本件案内書の初版から第4版までの作成(改訂)に関する補足説明が記載されている。
(8)乙第26号証ないし乙第29号証は,被請求人が開講する講座の受講者4名(以下「本件受講者」という。)の「陳述書」である。
これは,それぞれ,陳述書,本件案内書の受取証明書,「リスクマネジメント・プロ養成講座《基礎・上級課程セット》」と題する受講申込書及び陳述者の運転免許証の写しを内容とするものである。
陳述書は,4名とも同一の記載内容であり,これらには「私は,・・・平成25年7月11日(同年8月24日講義時に再受取)に,・・・『リスクマネジメント研修のご案内』を株式会社日本アルマックから,東京都千代田区神田で開催のセミナー内で受け取り・・・」,「私は,平成25年8月24日から平成25年12月21日まで,『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座』として講師による講習である『シニアリスクコンサルタント』の講座に加えて,下記のDVD講義を受講しました。その時の講座名は,『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座』でした。」の記載がある。
2 請求人が提出した証拠について
(1)甲第2号証は,平成22年12月28日付けの被請求人の「新協会設立につきまして」と題するお知らせである。
これには,「このたび、リスクマネジメントを更に日本社会へ普及させるため『日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会』が設立されることになりました。・・・なお,これまでNPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会でライセンス認定・管理しておりましたシニアリスクコンサルタント(R),CROチーフリスクオフィサー(R)の各ライセンスは『日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会』で行うことになりました。またFRM(ファイナンシャルリスクマネジャー)はFRC(ファイナンシャル・リスクコンサルタント)に名称を変更してそちらに移行させていただきます。」との記載があり,最下部に,資格認定機関として「日本リスクマネジメント プロフェッショナル協会」の名称,及び,リスクマネジメント教育機関として被請求人の名称が記載されている。
(2)甲第4号証は,コンサルタント協会による2010年12月21日付けの「当協会認定資格の名称変更に関するお知らせ」である。
これには,「・・・資格名称を変更し,2011年1月1日から新たな資格名称でスタートをきることとしました。・・・名称変更等に伴い,多大なるご負担を強いる形になってしまったことを深くお詫び申し上げます。」との記載とともに,名称変更の詳細として「FRM ファイナンシャルリスクマネジャー(○の中に「R」)→新名称『RMCA-J認定ファイナンシャルリスクマネジャー』」の記載がある。
(3)甲第5号証ないし甲第13号証は,2006年11月から2014年10月までの被請求人のウエブサイトの写しである。
これによると,甲第6号証(2006年12月6日)には,「●各受講コースの詳細はこちらです。あなたの受講講座は・・・」の記載に続いて,講座名として「基礎講座(リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座・基礎課程と同じ)」,「リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座・上級講座」,「CRO(最高リスク管理責任者)養成講座」,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」の記載があるが,甲第7号証(2009年12月31日)以降は,講座名として「リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座上級課程」,「リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座基礎講座」,「CRO(最高リスク管理責任者)養成講座」(甲7),「リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座・基礎課程」,「リスクコンサルタント(マネジャー)養成講座・上級課程」,「CRO養成講座」(甲8及び甲9),「リスクマネジメント・プロ養成講座・基礎課程」,「リスクマネジメント・プロ養成講座・上級課程」,「CRO講座」(甲10ないし甲13)等の記載があるものの,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」の記載はない。
(4)甲第14号証ないし甲第17号証は,2011年10月から2014年10月までのプロフェッショナル協会のウエブサイトの写しである。
これには,「日本リスクマネジメント・プロフェッショナル協会とは・・・リスクマネジメントの実務を推進するプロフェッショナルライセンス,『シニアリスクコンサルタント(R)』,『CROチーフリスクオフィサー(R)』,『FRC(商標登録予定)』を管理するとともに,当協会が主催するセミナー,およびリスクマネジメントに関る勉強会・セミナーの開催,リスクマネジメントに関する情報提供を会員の皆様に行っております。」の記載があるが,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」に関する記載はない。
3 本件案内書について
上記1によれば,被請求人は,遅くとも平成19年8月には,自社が開講する講座について,受講希望者向けに講座の概要等を説明するための資料として,FRM養成講座についての記載がある案内書を作成し,その後,平成20年6月及び平成23年10月に同案内書を改訂したが,これらの改訂後の案内書においても,FRM養成講座についての記載はそのまま残されていることが認められる。そして,このような事実からすれば,被請求人は,要証期間である平成23年11月12日以降においても,FRM養成講座についての記載がある本件案内書を,受講希望者らへの案内資料として保有し,これを受講希望者らに配布するなどして使用していたことが推認されるものといえる。
4 取消請求役務についての使用の有無について
請求人は,仮に本件案内書の配布行為が認められるとしても,要証期間内に,被請求人がFRM養成講座を実際に開講し,又は,開講の準備を整えていたとの事実が認められないことからすれば,本件商標と社会通念上同一の商標を,取消請求役務について使用したものとは認められない旨主張するので,以下検討する。
(1)要証期間内に,被請求人がFRM養成講座の名称を使用した講座を開講していた事実が認められるか否かについて
ア 証拠上認められる客観的事実について
(ア) 前記2(1)のとおり,平成22年12月にプロフェッショナル協会が設立され,同協会が,コンサルタント協会に代わって,被請求人が開講する講座に対応する資格の認定・管理等を行うこととなった際,被請求人は,関係者らに対し,甲第2号証の書面をもって,従前コンサルタント協会が認定・管理していたFRMの資格について,その名称をFRCに変更した上で,プロフェッショナル協会において認定・管理していく旨を通知している事実が認められる。他方,その後,被請求人が,関係者らに対し,上記通知に係る事項を訂正したり,変更したりする旨の通知をした事実をうかがわせる証拠はない。
しかるところ,甲第2号証の書面の上記内容は,被請求人がそれまで開講してきたFRM養成講座についても,上記資格名の変更に対応した名称に変更することを意味するものといえるから,被請求人が甲第2号証の書面による通知を行い,その後これを訂正・変更する通知も行っていないということは,特段の事情がない限り,被請求人が,平成23年以降は,FRM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことを示す事情ということができる。
(イ) また,次のような事情も,被請求人が平成23年以降FRM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことをうかがわせる事情ということができる。
すなわち,被請求人が開設するホームページの記載をみると,平成18年(2006年)の時点では,被請求人が開講する講座名として,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」の記載がある(甲6)のに対し,平成23年及び平成24年の時点では,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座」の記載はない(甲8,甲9)。また,平成25年,平成26年の時点においても,「リスクマネジメント・プロ養成講座・基礎課程」,「リスクマネジメント・プロ養成講座・上級課程」,「CRO講座」等の記載はあるものの,FRM養成講座の記載はない(甲10ないし甲13)。
このように,被請求人が開設するホームページをみる限り,平成23年以降,被請求人がFRM養成講座の名称を使用した講座を開講している形跡は何らみられず,かえって,被請求人のホームページでは,被請求人が開講する他の講座については継続して紹介されているのに対し,FRM養成講座については,被請求人が当該講座を開講していたことが明らかな平成18年当時には紹介されていたのに,平成23年以降には全く紹介されていないことからすれば,平成23年以降は,被請求人において,FRM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことがうかがわれるものといえる。
(ウ)以上のとおり,証拠上認められる客観的・外形的な事実をみる限り,本件案内書中にFRM養成講座の記載があること以外には,被請求人が平成23年以降にFRM養成講座の名称を使用した講座を開講している形跡は見当たらず,むしろ,そのような講座を開講していないことが積極的にうかがわれるものといえる。
イ 被請求人代表者の陳述について
(ア)被請求人代表者の陳述書には,次のような変遷が認められる。
すなわち,被請求人代表者は,本件審判手続において最初に提出した平成26年12月22日付け陳述書(乙1)では,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」の講座名について,「上記講座名は,当社の許諾の下,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会が,平成16年から使用を開始し,現在まで継続的に使用しています。」,「平成22年12月28日,日本リスクマネジメント・プロフェッショナルが設立され,『FRCファイナンシャルリスクコンサルタント』の講座名は,同協会が使用することとなりました。」,「他方,登録第4860695号『FRMファイナンシャル・リスクマネジャー』の商標は,NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会が,引き続き使用しています。」と述べる一方,平成24年以降,被請求人がFRMの名称を使用して講座を開講している事実については,何ら触れていない。
ところが,被請求人代表者は,本件審判手続においてその後に提出した平成27年6月3日付け陳述書(乙15)では,被請求人が甲第2号証の書面による通知の後にFRM養成講座の名称の使用をしている旨を述べている。
しかるところ,乙第1号証の陳述書における被請求人代表者の上記陳述の内容は,上記陳述書の作成時(平成26年12月)ころまでのFRMの名称の使用主体が被請求人ではなく,コンサルタント協会であるとの認識を述べるものである。
この点,被請求人代表者は,乙第16号証の陳述書において,乙第1号証の陳述書における上記供述は,平成19年から平成22年末までの事実関係,乙第15号証は,その後の事実関係を記載したものであるなどと説明する。しかし,このような説明は,コンサルタント協会が,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー」の講座名を現在まで継続的に使用している旨を明確に述べる乙第1号証の陳述書の内容とは明らかに整合しない説明であり,このような説明によって,上記矛盾が解消されるものではない。
したがって,被請求人代表者の上記陳述には,不合理な変遷がみられるものというべきである。
(イ)被請求人によるFRM養成講座の名称を使用した講座の開講について
被請求人によるFRM養成講座の名称を使用した講座の開講を客観的に裏付ける証拠としては,例えば,当該講座名が記載されたテキスト,受講や資格取得を証明する文書,受講に当たっての契約書や申込書など,種々の文書が当然想定されるところであるのに,上記FRM養成講座に関して,これらの文書は何ら証拠として提出されていない。
(ウ)以上によれば,被請求人代表者の上記(ア)の陳述は,当然想定されるはずの文書等の客観的な裏付けを欠くものである上に,その内容において不自然な点があり,しかも不合理な変遷もみられるものであるから,その信用性には疑義があるといわざるを得ない。
ウ 本件受講者の陳述書について
本件受講者の陳述書(乙26ないし乙29)において,陳述者らは,いずれも,ア)要証期間内である平成25年8月24日から同年12月21日までの間に,講師による講習である「シニアリスクコンサルタント」の講座に加えて,DVD講義を受講したこと,イ)その講座名が「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」であったことを述べている。
しかしながら,上記陳述者らが講座の受講申込みに当たって被請求人に提出したものとして本件受講者陳述書に添付された申込書をみると,その表題は,「リスクマネジメント・プロ養成講座《基礎・上級課程セット》」とされ,上記陳述者らが「○」を付して申込みをしたコースの名称は,「【基礎課程(スクーリング)+上級座学(スクーリング)+上級実務(DVD)】コース」とされている。このように,当該申込書からは,上記陳述者らが受講申込みをした講座が,「リスクマネジメント・プロ養成講座」の基礎課程及び上級課程であることが確認されるのみであり,FRM養成講座の名称を使用した講座であることは確認できない。また,そのほかにも,上記陳述者らが受講した講座の名称が「FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座」であったことを示す文書等の証拠は提出されておらず,上記陳述者らの陳述のうち,上記イ)の点については,客観的な裏付けがない。
また,上記陳述者らの上記イ)の陳述内容は,単に,同人らが受講した講座について,「その時の講座名は,『FRM(ファイナンシャル・リスクマネジャー)養成講座』でした。」との結論を述べるのみで,同人らがそのように認識した理由の説明もなく,具体性に乏しいものといわざるを得ない。
加えて,本件受講者の陳述書の記載内容をみると,4名の各陳述書が全て同一の文面となっており,また,被請求人のもとにあるはずの上記申込書の写しが添付されていることからすると,これらの陳述書は,被請求人において画一的に作成した文面を各陳述者らに示して確認をとる方法で作成されたものであることが推察される。しかるところ,このようにして作成された陳述書においては,作成を依頼した者からの誘導に沿う方向で確認が行われ,その記載の細部についてまで逐一吟味が行われないこともあり得ることであるから,この点からも,本件受講者の陳述書中の上記イ)の陳述部分に過大な証拠価値を認めることはできないというべきである。
以上によれば,本件受講者の陳述書は,被請求人が,FRM養成講座の名称を使用した講座を開講しているとする被請求人代表者の陳述に沿う証拠ではあるものの,その証拠価値には限界があり,少なくとも客観的な裏付けもなく,これを主たる証拠として上記事実を認定することができるようなものとはいえない。
エ 以上の検討を総合すれば,要証期間内に,被請求人がFRM養成講座の名称を使用した講座を開講していた事実については,これに沿う証拠として,ア)被請求人代表者の陳述及びイ)本件受講者の陳述書があるものの,前記イのとおりア)の信用性には疑義があり,また,前記ウのとおりイ)の証拠価値には限界があることからすると,これらの証拠をもって当該事実を認定することはできず,かえって,前記アのような客観的・外形的事実からすれば,被請求人は,甲第2号証の書面による通知どおり,平成23年以降はFRMの名称の使用を止め,FRM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことが推認されるものといえる。
(2)上記(1)を前提とした本件配布行為の評価について
上記(1)のとおり,被請求人が,甲第2号証の書面による通知どおり,平成23年以降はFRMの名称の使用を止め,FRM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことを前提とすれば,平成23年10月の改訂後に本件案内書中にあるFRM養成講座についての記載は,被請求人が顧客である受講者らに対し,現に提供し,又は,提供を予定する「リスクマネジメント研修」の役務についての紹介や説明として記載されているものではなく,過去に提供していた「リスクマネジメント研修」の役務についての記載が,上記改訂時に削除されないまま,形式上残存しているというにすぎないものとみることができる。
そうすると,本件案内書自体は,被請求人の提供に係る「リスクマネジメント研修」の役務に関する広告に当たるとしても,本件案内書中の上記FRM養成講座の記載は,当該役務に関して付されているものとはいえないというべきであるから,仮に,要証期間内に,上記FRM養成講座の記載がある本件案内書が受講希望者らに配布された事実(本件配布行為の事実)が認められるとしても,これをもって,被請求人の上記役務に関する広告に上記FRM養成講座の記載に係る標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するとはいえない。
その他,被請求人は,「リスクマネジメント研修」の役務以外に,本件取消請求に係る「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」の役務について,本件商標を使用していることを立証していない。
5 むすび
以上からすれば,被請求人による本件案内書の配布行為をもって,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件取消請求に係る「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」の役務(取消請求役務)について,本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものとは認められない。
また,被請求人は,取消請求役務について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定役務中の「結論掲記の指定役務」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-11-29 
結審通知日 2016-12-01 
審決日 2016-12-19 
出願番号 商願2004-52751(T2004-52751) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2005-04-28 
登録番号 商標登録第4860695号(T4860695) 
商標の称呼 エフアアルエム、ファイナンシャルリスクマネジャー 
代理人 名越 秀夫 
代理人 中川 拓 
代理人 新井 悟 
代理人 宮城 和浩 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
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