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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W10
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W10
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W10
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない W10
管理番号 1325019 
審判番号 無効2015-890041 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-05-08 
確定日 2017-02-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5719874号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5719874号商標(以下「本件商標」という。)は,「ダブロー」の片仮名と「DOUBLO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成26年7月8日に登録出願され,第10類「医療用機械器具,業務用美容マッサージ器,家庭用美容マッサージ器」を指定商品として同年10月27日に登録査定,同年11月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する国際登録第1133086号商標(以下「引用商標」という。)は,マドリッド協定の議定書に基づく国際登録であって,別掲のとおり,「doublo」の欧文字を書し,2番目の文字「o」の上に赤の二重の弧を配した標章であり,第10類「Static electric therapy apparatus for medical purposes;testing apparatus for medical purposes;high frequency electromagnetic therapy apparatus for medical purposes;radiotherapy apparatus;body-fat monitors for medical purposes;X-ray apparatus for medical purposes;ultrashort wave therapy machines and apparatus for medical purposes;surgical apparatus and instruments;diagnostic apparatus for medical purposes;radiological apparatus for medical purposes; apparatus for use in medical analysis; medical apparatus and instruments;massage apparatus for medical purposes;skin thickness measuring apparatus for medical purposes;dermatologic orthopedic instruments for medical purposes;lasers for medical purposes;low frequency electric therapy apparatus for medical purposes;ultrasonic therapy machines and apparatus for medical treatment;esthetic massage apparatus.」を指定商品とし、中国を指定国として2012年8月21日に国際登録簿に国際登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を審判請求書及び審判弁駁書等において,要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第49号証を提出している。
1 請求の理由
(1)引用商標の周知・著名性
ア 日本における周知性について
引用商標の商標権者は請求人である。請求人は2007年12月に設立された韓国の医療・美容機器メーカーであり,引用商標は医療用機械器具である商品「doublo」に付されている商標である(甲3?甲5)。「doublo」は審判請求人が創作した造語であって何れの言語の辞書にも掲載されていない。
請求人は商品「doublo」を2011年より韓国内にて販売を始め,その評判が良いため,日本のHokusaiという会社ともDISTRIBUTOR AGREEMENTを結び(甲6),日本へ輸出を行ってきた(甲7)。
Google検索にて「doublo」を検索すると、33万8千件のページが見出される(甲8)が,「doublo」が造語であるため引用商標に係る製品を用いている美容サービスに関するページがほとんどであることがわかる。また,「doublo ダブロ」を検索すると日本語のウェブサイトが4,890件見出された(甲9)。
これらによると,多くの病院や美容サロンが引用商標に係る製品を購入して,それを用いて施術を行っていることがわかる。また、輸入業者が購入する原価が3万ドルであるため(甲6),病院や美容サロンが購入する際には価格は400万円以上であり,この製品を用いた美容の施術も10万?20万円/回という高価な施術である。それにもかかわらず,多くの病院や美容サロンが引用商標に係る製品を購入しており,また,多くの女性がその施術を受けていることがわかる。これは引用商標に係る製品による施術が高い評価を受け,その結果として引用商標が日本において周知になっていることを示している。
「doublo ダブロ」のGoogle検索においても,2014年7月8日より前に引用商標に係る請求人の商品「doublo」の使用が記載されたウェブサイトが存在したことがわかる(甲21)。
甲第10号証に係るサイトでは,一部のウェブサイトのみを記録していること,且つ記録をしているウェブサイトも,記録の頻度は非常に少ないことを考慮すると,甲第11号証?甲第16号証の数十倍以上のウェブサイトが2014年7月8日よりも前に,引用商標に係る請求人の商品「doublo」を掲載していることは確実である。また,引用商標に係る製品は医療機器であって高額であるため,美容クリニックを対象としている。厚生労働省の統計(甲22)によると,2007年の時点で一般診療所が約10万施設存在している。したがって,美容を専門に掲げるクリニックは多くても数千と考えられ,その数を基準とすると甲第8号証?甲第21号証に示した結果から,日本全国において引用商標が2014年7月8日以前に美容クリニックにおいて周知となっていたことは明らかであると考えられる。
イ 海外における周知性について
引用商標は,韓国(甲23),中国(甲2),香港(甲24)において登録されている。また,甲第8号証には日本以外の韓国,中国,香港等のウェブサイトも含まれている。
韓国においては,請求人が韓国国際医療機器・病院設備展示会(KIMES)に出展をして引用商標に係る製品を展示してきた(甲25,甲26)。また,美容関係の雑誌Medical-Sに引用商標に係る製品に関して寄稿し、広告を載せている(甲27,甲28)。さらに,韓国の皮膚美容関係の雑誌D&PSの2012年から2014年の複数の号に広告を掲載している(甲40)。また,韓国における検索サイトNAVERでの「doublo」の検索結果およびそのヘッドラインの日本語訳(甲29)によれば,2014年7月8日以前の韓国語のニュースサイトの「doublo」を含む記事が80件以上見つかった。
また,引用商標に係る製品を請求人から直接に2012年下半期に購入した韓国内のクリニックの一例では,取引明細書と国家機関によるその取引の証明として税金計算書をセットとしている(甲30)。
以上説明をしたように,韓国においては引用商標が周知・著名となっていることは明らかである。
また,請求人は中国や香港においても引用商標に係る製品を積極的に宣伝しており,例えば雑誌に広告を掲載している(甲31,甲32)。そして韓国における美容用医療機器としての評判の高さにより中国や香港においても引用商標は周知となっている。
(2)商標権者の不正の目的について
請求人は,日本への輸出相手としてHokusai.Co.,Ltd.(以下「北斎」という。)と契約を交わし(甲6),複数台の引用商標に係る製品を北斎に販売をした(甲7)。甲第33号証は,契約の交渉段階で北斎の担当者が請求人に渡したHokusai Groupのプロフィールであり,BEAUTYの下にHokusaiとGlobal Scienceとが併記されている。Hokusaiのウェブサイトでは,北斎の事業であるのに会社概要にはグローバルサイエンス株式会社(以下「グローバルサイエンス」という。)が記載されている(甲34)。ここで本店の番地が本件商標権者の住所と少し違うが,会社名称や住所の番地までの表示が同じであるので,本件商標権者とグローバルサイエンスは同一の企業であると考えられる。
また,Global Scienceのウェブサイト(甲35)では,営業・企画・総務・経理・ショールーム・デモルームの所在地,及び開発・メンテナンスの所在地が共に甲第33号証の本店の住所とも本件商標権者の住所とも異なっているが,事業内容等から考えると明らかに本件商標権者と同一の法人である。
さらに,北斎とグローバルサイエンスにおいて笠原征夫という同一人物が両方の取締役となっている(甲36,甲37)。
そうすると,北斎と本件商標権者であるグローバルサイエンスは同一人物が経営している実質的に同一の法人であることは明らかである。なお,甲第6号証では,Hokusai.Co.,Ltd.のPresidentとしてSori Asoという人物がサインをしているが、この人物は北斎の履歴事項全部証明書(甲36)には記載されていないので,偽名である可能性がある。そして,請求人が日本において引用商標を出願していないことを奇貨としてグローバルサイエンスは本件商標を出願したものであることは明らかである。
さらに,売買契約(甲6)は現在は解消された。そして,請求人は株式会社ドクターズ・キッツ(以下「ドクターズキッツ」という。甲38)と売買契約を結んで「doublo-a」という名称の製品をドクターズキッツを通して日本で販売し始めた。すると,グローバルサイエンスからドクターズキッツヘ警告書(平成27年4月2日付け)が送付され,差止と損害賠償を請求してきた(甲39)。
(3)商標法第4条第1項第7号について
引用商標は造語であって,日本での称呼を特定するため「ダブロ」という片仮名記載を付している(甲11?甲14)。また,文中では引用商標を「doublo」と記載している。一方,本件商標は,上段に「タブロー」下段に「DOUBLO」という2段表記であるところ,「doublo」が造語であることを考慮すると,上段は引用商標の称呼の語尾に長音記号を付しただけで実質的に同一であり,下段は引用商標のアルファベット表記を大文字にしただけで実質的に同一である。また,両商標を使用する商品も後述するように類似である。
そして,上記(1)に説明したように,本件商標は,日本及び韓国を中心にしたアジアの各国にて周知であるのに日本に出願がされていないことを被請求人が知って,いわゆる剽窃的に出願を行ったものと考えられる。しかも被請求人と実質的に同一の法人である北斎は,正当な権利者である請求人と代理店契約(DISTRIBUTOR AGREEMENT)を結んで引用商標に係る製品を日本に輸入していたものである。さらに北斎は,代理店契約の締結時には代表者ではない者の名前で締結を行っており,商標法第53条の2の取消審判の請求を回避することを事前に予定しているような行動を取っている。以上の事情より,本件商標は社会の一般的道徳観念に反して出願され登録されたものであることは明らかであり,したがって商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標と引用商標との指定商品・指定役務の対比
本件商標の指定商品のうち「医療用機械器具」は,引用商標に係る商品と同一又は類似である。
イ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標との外観は異なっていて非類似である。
次に,本件商標は下段の「DOUBLO」というアルファベット表記と上段の「ダブロー」という片仮名表記から,「ダブロー」との称呼が生じる。一方引用商標は「doublo」というアルファベット表記から「ダブロ」「ダブロー」との称呼が生じ、両商標の称呼は同じである。
本件商標と引用商標はどちらも造語であり,観念は生じないが,両方とも同じ「doublo」という造語を含んでいるので,観念としては類似しているともいえる。
ウ まとめ
以上より,本件商標と引用商標とは称呼が同一であり,観念が類似であると考えられるので類似の商標であり,指定商品も同一又は類似のものがある。
そして,引用商標は日本において未登録であるが,本件商標の出願時には日本で周知になっており,また韓国を中心としたアジアの国々でも周知・著名となっていたことは明らかである。
したがって,本件商標は商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標は上述のように造語である。そして,引用商標は韓国を中心とするアジア地域において周知・著名であると共に日本においても周知であることは上記(1)において述べたとおりである。
イ 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれについて
本件商標の指定商品のうち,「業務用美容マッサージ器,家庭用美容マッサージ器」は引用商標に係る商品とは商標審査基準においては非類似のものとされている。しかしながら,業務用美容マッサージ器に関しては,引用商標に係る商品と同様に美容クリニックに置かれて同様の目的で使用されるものであるので,需要者である美容クリニックにとっては引用商標に係る商品の派生商品と受け取るものと考えられる。家庭用美容マッサージ器については,引用商標に係る商品の派生商品であり,業務用美容マッサージ器の類似商品であると需要者は受け取るものと考えられる。
そうすると,上記(1)で述べたように引用商標は日本において周知であって,上記(4)イで述べたように本件商標は引用商標と類似であるので,本件商標の指定商品のうち,引用商標に係る商品とは非類似のものに本件商標を使用すると,請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると取引者・需要者が誤認してしまう。
したがって,本件商標は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であることは明らかであり,商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が韓国を中心とするアジア地域において周知・著名であること及び日本においても周知であることは上述のように明らかであり,本件商標が引用商標と類似であることは上記(4)イにおいて説明したとおりである。また,上記(2)において説明したように,被請求人は,不正な目的により本件商標を出願・登録したものであり,本来正当な使用権を有するドクターズキッツに差止請求と損害賠償請求を行っている(甲39)。
したがって,本件商標は不正の目的をもって使用するものであり,商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(7)むすび
上述のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第10号,同第15号及び同第19号の規定に違反して登録されたものであるから,商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)不正の目的について
被請求人は,答弁書において「上記6件のクリニックは,いずれも被請求人の関連会社であるダヴィンチテック株式会社がdoubloを販売した相手方であり,そうだとすると,被請求人及びその関連会社以外の経路でdoubloが日本に上陸していたことを示す証拠は一切ない」と述べるとともに,被請求人は,被請求人が甲第6号証における代理店であったと自認しており,それ故に被請求人が本件商標を出願することの正当性を主張して「不正の目的がない」と主張している。
しかしながら,上記の本件商標を出願することの正当性の主張は,誤った前提を基にした虚偽の主張であり,当該正当性は存在しないので「不正の目的がある」とともに,このような虚偽の主張が不正の目的があることを裏付けるものである。以下にこのことについて説明を行う。
上記の「誤った前提」とは,「被請求人は,本件商標の出願時点において,請求人の代理店であった」という点である。
甲第6号証では,第1条において代理店の期間が2012年8月から2014年12月と規定されているが,第10条において契約の不履行により本契約は終了すると規定されているように,北斎の契約不履行により,2014年4月にはこの契約は終了している。そして,2014年5月より請求人とドクターズキッツとの間で日本における排他的販売権(doubloを含む)をドクターズキッツに与える契約を締結している(甲49)。
すなわち,本件商標の出願日である2014年7月8日には,doubloの日本における排他的販売権はドクターズキッツが有しており,被請求人は代理店ではなくなっていた。ということは,答弁書の「被請求人がHironicとの間で締結した契約を履行することができなくなるから,被請求人がHironicとの間で締結した契約を確実に履行するためには,被請求人が日本国内において商標登録をする必要があったのであり,被請求人に『不正の目的』があったために商標登録をしたわけではない。」は,虚偽の内容の記載である。
実際には,被請求人の関係会社である北斎が販売契約を解除されたが,製品doubloはその後も日本で売れることは確実であり,かつ日本での商標登録がなされていないことを被請求人が知って,製品doubloの新たな販売者から商標権侵害による損害賠償を得るために本件商標を出願したものである。
このことは,被請求人がドクターズキッツに対して警告書(甲39)を出していることにより裏付けられる。
なお,請求人と北斎との代理店契約書(甲6)において,第11条(c)に「いつでも,どの国家又は場所においてもヒロニックは,ヒロニック製品の特許,著作権及び商標の所有者であり,代理店は全てのヒロニックの特許又は商標権を違反しないことに同意する」との条項があり,この条項より被請求人が本件商標を出願,登録することは,契約に違反することであるので,被請求人がどのような理屈を述べようとも,請求人と協議することなく無断で本件商標を出願することは,不正の目的があったからであると考えられる。
以上より,被請求人は不正な目的をもって本件商標を取得して使用しているものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
被請求人は,答弁書において知財高判平成20年6月26日判時2038号97頁を挙げて,本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反しないと述べている。しかしながら,判決の射程はその事件の前提により決まるものであり,前提が異なればその判決の射程から外れるものである。
そして,本件においては特段の事情があるので,商標法第4条第1項第7号の無効理由があるということができる。
なお,上記判決の2年後の平成21年(行ケ)10297号事件では,上述の特段の事情を明示的に検討はしていないものの,商標「ASRock」を不正な目的をもって剽窃的に出願したものと認められるので,出願当時,引用商標及び標章「ASRock」が周知,著名であったか否かにかかわらず,当該商標は「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当すると結論づけられた。
この判例からも本件には商標法第4条第1項第7号の無効理由があるということができる。
(3)商標法第4条第1項第10号について
被請求人は,答弁書において「doublo」を使用しているクリニックの数が,インターネットにおいて確認出来る件数が少ないという理由で商標法第4条第1項第10号に該当しない旨を述べているが,このような医療装置ではクリニックの数というよりもその治療を受けた人々の評判の数によって周知になるものである(甲18?甲21)。さらには,乙第7号証に挙げられているように,甲第11号証?甲第16号証に挙げられたクリニックよりも多数のクリニックがdoubloを購入して使用しており,これらのクリニックはインターネットには現れないが紙媒体等でdoubloの宣伝を行っているはずである。なぜならば韓国で評判になっているからこそ導入しているからと考えられ,高価なdoubloを早く償却するために,その好評判を宣伝に用いるというのが自然な考え方だからである。
さらに,日本ではなく韓国で治療を受けた人の評判もインターネットで挙がっているので,日本のクリニックの数が少ないことがそのまま周知性の低さを表すものとはいえない。美容治療を受けるクリニックの顧客の,韓国でのdoublo経験を聞いたことが,クリニックでdoubloを購入する大きな要因であると考えられる。
なお,これらの評判を掲載するインターネットのページは削除されやすいため,過去の実際の掲載ページは検索された件数よりもずっと多いものと考えられる。そして,韓国を中心としたアジアの国々でも周知,著名となっていたことは明らかであるので,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標が周知であることは,上記(3)で述べたとおりである。また,被請求人は,答弁書において引用商標がハウスマークに該当しないことを述べているが,ハウスマークか否かは商標法第4条第1項第15号の該当性を大きく左右するものではなく,それ以外の条件の方が該当性の判断に影響が大きいものである。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)で述べたように,被請求人には「不正の目的」があり,この点が本号において重要な点である。
また,被請求人は,答弁書において引用商標の外国での周知性を否定している。ここで最も情報量の多い甲第29号証については言語上の都合で記載内容が確認出来ない旨述べているが,下線を付されているニュースのヘッドライン部分は日本語訳を添付しており,ニュースの本文には全て「doublo」が存在していることは明白であるので,被請求人の認定は失当である。そして,甲第30号証についても答弁書には何ら記載がなく,韓国における周知性を被請求人が認めているものと考えられる。以上より韓国における引用商標が周知であることは明らかである。また,甲第31号証,甲第32号証に関しては,中国および香港での雑誌の広告であり,多くの人が手にするものなので周知性が十分に推定できる。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
3 審尋に対する回答(要旨)
(1)引用商標を使用した商品の総販売数,販売先(販売国),販売時期
引用商標を使用した商品の,韓国からの輸出金額は,2010年が95万3千ドル,2011年が305万8千ドル,2012年が451万7千ドル,2013年が461万3千ドルであり,年間30?150台の輸出台数となる(甲41)。
(2)引用商標を使用した商品の宣伝広告費用
2012年のMedical insight社における広告計画は4万7,500ドルであり,その実際の振込額は3,000ドル及び5,500ドルである(甲42?甲44)。
(3)パンフレット(甲25)の作成・頒布部数及び頒布先
パンフレットは,KIMES2012にて頒布されたものであって,韓国及び外国から約6万人が来場した(甲45)。
(4)韓国国際医療機器・病院設備展示会(甲25,甲26)の開催規模
2012年は参加会社数は30カ国978社,来場者約6万人,2014年は参加会社数は30カ国1,095社,来場者数約7万1千人(甲45,甲47)。
(5)広告を掲載した雑誌の販売部数,販売地域,購入者層
「Medical-S」の発行部数は6,000部,販売地域は韓国国内で首都圏が70%,地方が30%,購読者層は皮膚科60%,美容整形外科40%であり,「D&PS」の発行部数は6,600部,販売地域は韓国国内で首都圏66%,地方34%,購読者層は皮膚科32%,美容整形外科18%,その他50%である(甲48)。
(6)ドクターズキッツとの売買契約
2014年5月より日本での排他的販売権を,ドクターズキッツに与えている(甲49)。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
知財高判平成20年6月26日判時2038号97頁は,商標法第4条第1項第7号に違反するものとして考えうる類型としては,「商標の構成に着目した公序良俗違反(商標の文字,図形等それ自体が公序に反する場合)」と「主体に着目した公序良俗違反(商標登録を受けるべき者でない者からされた出願である場合)」とがあるところ,主体に着目した問題については,商標法第4条第1項第8号,同第10号,同第15号,同第19号が規定を置いており,このような法の構造からすれば,主体に着目した問題については,専ら当該条項の該当性の有無によって判断すべきであって,原則として,同第7号の問題として判断すべきでない旨判示する。
本件商標は,その商標自体の構成を見たとき,それが公序良俗に違反する等といった事情は一切存在しない。そうすれば,本件商標が商標法第4条第1項に違反するかは,請求人が主張する商標法第4条第1項第10号,同第15号,同第19号の該当性の問題としてのみ捉えるべきであり,同第7号の問題として捉えるべきではない。
したがって,本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反しない。
2 商標法第4条第1項第10号について
請求人は,周知商標(商標登録出願時に我が国の需要者に広く認識されている商標)であることを示す証拠として,美容クリニックのウェブサイト(甲11?甲16),3件のYoutube動画(甲17に掲載されている動画の中では,3件のみが商標登録出願前のものである。),利用者のブログ記事(甲18?甲20)を挙げ,「doublo」を用いた施術が広くなされていたかのごとき主張をする(なお,その他の証拠は,いずれも商標登録出願時以降に関するものであり,周知商標であるか否かとは無関係である。)。
しかし,本件商標登録出願の時点で,実際に「doublo」を使用していたと認定しうるのは,全国に多数ある美容クリニックのうち,5件のみである。
なお,請求人は,審判請求書7頁において,インターネット・アーカイブが一部のウェブサイトのみを記録していること及び記録の頻度が非常に少ないことを考慮すれば,甲第11号証?甲第16号証の数十倍以上のウェブサイトが本件登録商標の出願日である平成26年7月8日よりも前に「doublo」を掲載していることは確実である,等と述べる。
しかし,ウェブサイトが削除されていたとしても,検索エンジンやアーカイブサービスにキャッシュやコピーが残っており,Google等の検索エンジン等で,抹消されたウェブサイトの内容が閲覧できることがままあるにも関わらず,請求人はそのようなウェブサイトを1つも見つけられていないことや,訴外北斎と請求人が代理店契約を締結したのは平成24年7月23日であり(甲6),日本にdoubloが上陸したのはどんなに早くとも同日以降であると考えられるところ,高額な対価を払ってdoubloを導入した美容クリニックが,同日から現在までの約3年という短期間の間にdoubloに関する情報をウェブサイト上から削除したということは極めて考えにくいこと(現に請求人が挙げたクリニックのサイトは,現在もdoubloに関する情報を掲載し続けている。)からすれば,「数十倍以上のウェブサイトが平成26年7月8日よりも前にdoubloについて掲載していたことは確実である。」等とする申立人の主張は誇張も甚だしい。
以上のように,本件商標登録出願の時点で,実際に「doublo」を使用していたと認定しうるクリニックは,多くとも5件のみであるのだから,本件商標は,商標登録出願時に我が国内の需要者に広く認識されている商標であったとはいえず,商標法第4条第1項第10号に違反するものではない。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,上記2で述べたように,日本国内において著名な商標とはなっていないし,ハウスマークではないから,本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれのある商標ではない。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反しない。
4 商標法第4条第1項第19号について
(1)「不正の目的」がない
請求人が審判請求書8頁で主張するように,被請求人が実際には北斎と実質的に同一の法人であるとするならば,被請求人は請求人との間で平成23年7月23日に代理店契約(甲6)を締結したまさにその法人であるといえる。
また,そうでなくとも,被請求人は,Hokusai Groupの系列会社であり(甲33,甲36,甲37),北斎の関連会社に当たるから,代理店契約(甲6)において定義される代理店に該当することとなる。
そうであるとするならば,被請求人は,本件商標の出願時点において,請求人の代理店であったのであり,「不正の目的」として想定される「外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として,高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの」,「外国の権利者の国内参入を阻止する目的で出願したもの」,「国内代理店契約を強制する目的で出願したもの」には該当しない。
実際にも,仮に被請求人が商標登録出願をせずに放置していた場合,他の国内業者が濫用的に商標登録をする可能性があり,そうすると,被請求人は国内で「doublo」を販売できなくなることとなる。その場合,契約書に記載された売上目標(甲6の1頁)の達成が不可能となり,被請求人がHironicとの間で締結した契約を履行することができなくなるから,被請求人がHironicとの間で締結した契約を確実に履行するためには,被請求人が日本国内において商標登録をする必要があったのであり,被請求人に「不正の目的」があったために商標登録をしたわけではない。
以上より,被請求人には,「不正の目的」はない。
(2)引用商標は外国において広く認識されていた商標とはいえない
請求人は,審判請求書7頁において,引用商標が,韓国,中国,香港で周知であることを縷々述べるが,少なくとも香港に関する証拠(甲31)については,いつ書かれたものか,また,この雑誌が実際に香港で発行されたのかが不明であるし,中国に関する証拠(甲32)は,これだけで周知であったことの証明には到底ならない。
また,韓国に関する主張については,甲第29号証の記事に関して,言語上の都合で記載内容が確認できないため,認否を留保したい。
(3)小括
以上のとおり,引用商標は,本件登録商標出願時において,外国における需要者の間に広く認識されていた商標とはいえないし,仮に広く認識されていたとしても,そもそも被請求人には「不正の目的」は無かったため,本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反しない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第10号,同第15号及び同第19号に違反しないから,同法第46条第1項第1号に該当せず,無効とはならない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号,同第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人の提出した証拠及びその主張によれば,次の事実を認めることができる。
(ア)請求人は,2007年12月設立の韓国の医療・美容機器メーカーであり,引用商標は医療用機械器具である商品「doublo」に付されている商標である(甲3?甲5)。
(イ)請求人は,商品「doublo」を2011年より韓国内にて販売を始め,日本の北斎という会社とも代理店契約を結び(甲6),日本へ輸出を行ってきた(甲7)。
(ウ)甲第11号証?甲第15号証の美容クリニックは本件商標の出願時(2014年7月8日)よりも前に,引用商標に係る請求人の商品「doublo」を使用して施術を行っている。
(エ)甲第16号証の美容クリニックのウェブサイトの記録時点は,本件商標の出願(2014年7月8日)の直後(2014年7月11日)であり,本件商標の出願よりも前に,引用商標に係る請求人の商品「doublo」を使用して施術を行っている。
(オ)2014年7月8日より前に引用商標に係る請求人の商品「doublo」の使用が記載されたウェブサイトが存在した(甲21)。
(カ)韓国においては,請求人が韓国国際医療機器・病院設備展示会(KIMES)に出展をして引用商標に係る製品を展示してきた(甲25,甲26)。その開催規模は,2012年は参加会社数は30カ国978社,来場者約6万人,2014年は参加会社数は30カ国1,095社,来場者数約7万1千人である(甲45,甲47)。
(キ)美容関係の雑誌Medical-Sに引用商標に係る製品に関して寄稿し,広告を載せている(甲27,甲28)。「Medical-S」の発行部数は6,000部である(甲48)。
(ク)韓国の皮膚美容関係の雑誌D&PSの2012年から2014年の複数の号に広告を掲載している(甲40)。「D&PS」の発行部数は6,600部である(甲48)。
(ケ)請求人は中国や香港においても引用商標に係る製品を積極的に宣伝しており,例えば雑誌に広告を掲載している(甲31,甲32)。
イ 判断
(ア)日本国内における周知性
上記によれば,請求人の商品の利用者(購入者)は,日本国内では6者にとどまり,商品価格が高い商品であるとしても,販売数としては決して多いものとはいえない。
その他,日本国内において,引用商標に係る宣伝又は広告に関する証拠の提出はない。
そうすると,引用商標が,日本国内において,本件商標の登録出願時及び査定時において,需要者間に広く認識されているものとは認めることができない。
(イ)外国における周知性について
韓国における請求人の商品の利用者(購入者)は,10者にとどまり,商品価格が高い商品であるとしても,販売数としては決して多いものとはいえない。
また,韓国における展示会(KIMES)に引用商標に係る製品を展示したと主張するが,該展示会は4日間という短い開催期間であり,そこで頒布したとするパンフレット(甲25)の具体的な頒布状況は不明である。
当合議体からの審尋に対する回答において,引用商標を使用した商品の韓国からの輸出実績は,2010年が95万3千ドル,2011年が305万8千ドル,2012年が451万7千ドル,2013年が461万3千ドルであると主張するが(甲41),該輸出に係る商品及び商標の使用については把握できず,販売先(輸出先)も不明である。
さらに,宣伝広告費については,2012年2月に3,000ドル及び5,500ドルを送金していると主張するが,宣伝広告費としては決して高い金額とはいえない。
また,引用商標に係る広告を掲載した雑誌(甲27,甲28,甲31,甲32,甲40)について,その販売部数は,「Medical-S」が6,000部,「D&PS」が6,600部,その他については不明である。
以上からすれば,引用商標を使用した商品の韓国における利用者は10者であり,商品に関するパンフレットの頒布,宣伝広告費及び雑誌への広告実績を考慮しても,引用商標が韓国において周知となっているものと認めることはできない。また,韓国からの輸出実績については,引用商標との関係が不明であって,その周知性を認める根拠とすることはできない。
その他,中国及び香港においても,引用商標は周知となっている旨主張するが,提出された証拠は2件の広告記事(甲31,甲32)のみであり,これによって,中国及び香港における周知性を認めることはできない。
そうすると,引用商標が,外国において,本件商標の登録出願時及び査定時において,需要者間に広く認識されているものとは認めることができない。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は,「ダブロー」の片仮名と「DOUBLO」の欧文字を上下2段に横書きしてなるものであり,上段の片仮名は,下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものであるから,これより「ダブロー」の称呼が生じる。また,各文字は,辞書等に掲載がなく,その意味合いを特定することができない一種の造語とみるのが妥当であるから,これより特定の観念は生じない。
一方,引用商標は,「doublo」の欧文字を書し,2文字目の「o」の文字の上部に2重の円弧状の線を配してなるものであり,該欧文字に相応して「ダブロ」の称呼が生じ,該文字は,辞書等に掲載がなく,その意味合いを特定することができない一種の造語とみるのが妥当であるから,これより特定の観念は生じない。
そこで,両者を比較してみるに,外観においては,全体を比較すれば,相違するものの,それぞれの欧文字部分において,その綴りを同じくするものであって,近似した印象を与えるものであるから,要部において,外観上類似する。
つぎに,称呼においては,本件商標から生じる「ダブロー」の称呼と,引用商標から生じる「ダブロ」の称呼とは,語尾において長音の有無に差異を有するのみで,それぞれ一連に称呼したときには,聴き誤るおそれがあり,類似する。
なお,観念においては,両者とも,特定の観念を生じないから比較することはできない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において,比較することができないとしても,外観及び称呼において類似するものであるから,これらを総合して判断すると,両者は類似の商標といえる。
(3)小括
以上によれば,本件商標と引用商標とは,類似する商標であるとしても,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間で広く認識されていたものとはいえないことから,商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきである。
また,上記のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間で広く認識されていたものとはいえないことから,本件商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する需要者,取引者をして,引用商標を想起又は連想し,商品の出所について誤認,混同を生じるということはできないから,同第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」にも該当しないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
(1)不正の目的
請求人は,「被請求人による『被請求人がHironicとの間で締結した契約を確実に履行するためには,被請求人が日本国内において商標登録をする必要があった』旨の主張は,2014年4月には,該契約は終了しており,虚偽の主張である。また,日本での商標登録がなされていないことを被請求人が知って,製品『doublo』の新たな販売者から商標権侵害による損害賠償を得るために本件商標を出願したものであって,このことは,被請求人がドクターズキッツに対して警告書(甲39)を出していることにより裏付けられる。さらに,該契約の中に『いつでも,どの国家又は場所においてもヒロニックは,ヒロニック製品の特許,著作権及び商標の所有者であり,代理店は全てのヒロニックの特許又は商標権を違反しないことに同意する』との条項があり,この条項より被請求人が本件商標を出願,登録することは,契約に違反することであるので,請求人と協議することなく無断で本件商標を出願することは,不正の目的があったからであると考えられる。」旨を主張している。
しかしながら,被請求人の関連会社である北斎と請求人との間における代理店契約が本来の契約満了日に満たない時点で終了したこと,及び,ドクターズキッツが請求人と契約を結んでいることを,平成27年4月2日の時点において,被請求人が知っていたとする事実を証する証拠の提出はなく,被請求人による上記主張が虚偽の主張であるということもできず,また,請求人の国内参入を阻止するためにドクターズキッツに対して警告を発したともいい難い。
してみれば,これら被請求人による主張及び警告行為を,直ちに,不正の目的を推認する根拠とすることはできない。
また,契約に違反し,請求人に無断で出願することは,不正の目的があったからであるとの主張は,既に契約が終了しているとの主張と矛盾するものであり,失当である。
(2)小括
本件商標と引用商標は,類似の商標であるが,前記1(1)イのとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,日本国内及び外国で,需要者間に広く認識されている商標であるとは認められない。
また,上記(1)のとおり,不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
請求人は,「本件商標は,引用商標が日本及び韓国を中心にしたアジアの各国にて周知であるのに日本に出願がされていないことを被請求人が知って,いわゆる剽窃的に出願を行ったものであるとし,被請求人と実質的に同一の法人である北斎が,代理店契約の締結時には代表者ではない者の名前で締結を行っていること,被請求人がドクターズキッツに対して警告書(甲39)を出していること等は,商標法第4条第1項第7号に該当すべき特段の事情に当たる。」旨を主張している。
しかしながら,前記1(1)イのとおり,引用商標は,日本及び韓国を中心にしたアジアの各国における需要者間に広く認識されている商標とは認められないものであり,被請求人が剽窃的に本件商標の出願をしたものとはいえない。
また,請求人が商標法第4条第1項第7号に該当すべき特段の事情とするものは,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合まで,「公の秩序や善良の風俗を害する」特段の事情がある場合と解するのは妥当でない。
その他,本件商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成のものであるとか,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような特別の事情があるともいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおりであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第10号,同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすべきでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標(色彩については、原本参照。)


審理終結日 2016-08-31 
結審通知日 2016-09-06 
審決日 2016-09-29 
出願番号 商願2014-56920(T2014-56920) 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (W10)
T 1 11・ 271- Y (W10)
T 1 11・ 25- Y (W10)
T 1 11・ 22- Y (W10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2014-11-21 
登録番号 商標登録第5719874号(T5719874) 
商標の称呼 ダブロー、ダブロ、ドウブロ、ドーブロ 
代理人 横塚 章 
代理人 特許業務法人前田特許事務所 

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