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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20202069 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1323759 
異議申立番号 異議2016-900203 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-28 
確定日 2017-01-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5843111号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5843111号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5843111号商標(以下「本件商標」という。)は、「WANDA」の欧文字を標準文字により表してなり、平成24年9月20日に登録出願された商願2013-51168に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成26年1月24日に登録出願され、第9類「コンピュータ用ゲームプログラム,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,穀物の加工品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ぎょうざ・しゅうまい・すし・たこ焼き・弁当及びラビオリの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,即席菓子のもとの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)・電子管・半導体素子・電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。)及び電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,セメント及びその製品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同28年2月17日に登録審決、同年4月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。
1 登録第5442459号商標(以下「引用商標1」という。)は、「WONDA」の欧文字を標準文字により表してなり、平成23年3月23日に登録出願され、第29類「乳飲料」を指定商品として、同年8月18日に登録査定、同年10月7日に設定登録されたものである。
2 登録第5429476号商標(以下「引用商標2」という。)は、「WONDA」の欧文字を横書きしてなり、平成22年12月20日に登録出願され、第32類「コーヒー入り清涼飲料,コーヒー風味の清涼飲料」を指定商品として、同23年6月20日に登録査定、同年8月5日に設定登録されたものである。
3 登録第4236337号商標(以下「引用商標3」という。)は、「WONDA」の欧文字を横書きしてなり、平成8年11月19日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア,茶」を指定商品として、同10年11月13日に登録査定、同11年2月5日に設定登録され、その後、同20年9月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
4 登録第5256390号商標(以下「引用商標4」という。)は、上段に「ワンダ」の片仮名を、下段に「WONDA」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成21年1月22日に登録出願され、第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として、同年7月7日に登録査定、同年8月14日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,穀物の加工品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ぎょうざ・しゅうまい・すし・たこ焼き・弁当及びラビオリの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,即席菓子のもとの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標は、引用商標に類似し、本件商標の第35類の指定役務中、本件申立てに係る指定役務は引用商標の指定商品と類似する関係にあるから、本件商標が本号に該当することは明らかである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
商標法第4条第1項第11号に関する商標審査基準では、「商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。」と定められている。以下、本件商標と引用商標の類否について検討する。
ア 本件商標と引用商標の構成
本件商標は、「WANDA」の文字を標準文字で書してなるところ、当該語は既成の英単語ではない。そのため、その綴りに従って「ワンダ」と称呼するのが自然である。本件商標の権利者が「大連ワンダグループ カンパニーリミテッド」であって、その英語表記が「Dalian Wanda Group Co., Ltd.」であることからも、本件商標を「ワンダ」と称呼するのが合理的である。
そうすると、本件商標は、「ワンダ」の称呼のみを生じる特定の観念を生じない造語であると認められる。
対して、引用商標は「WONDA」又は「ワンダ/WONDA」の構成よりなるところ、引用商標も既成の英単語ではない。
ここで、「WONDA」と表記した場合は、「ワンダ」又は「ウォンダ」の称呼が生じると考え得るが、英語で「WON」と表記した場合は「ウォン」ではなく「ワン」と称呼するのが自然の発音であると考えられる。実際に、「勝つ、勝ち取る」等を意味する「WON」(winの過去形)は「ウォン」ではなく「ワン」と称呼される(甲6)。その他にも、例えば「WONDER」、「WONDERFUL」は「ワンダー」、「ワンダフル」と称呼されるものである。
このように、英単語の一般的な発音方式に従えば、「WONDA」は「ワンダ」と称呼するのが自然である。
加えて、引用商標は実際の取引においても「ワンダ」と称呼して使用していることが認められる(甲7)。後述するように、「WONDA」は申立人が製造販売するコーヒーのブランドとして広く一般的に認識されており、引用商標に接する需要者及び取引者においても「WONDA」を「ワンダ」と称呼し、認識することは明らかである。
したがって、引用商標は「ワンダ」の称呼のみ生じる造語であると考えるのが相当である。
イ 本件商標と引用商標の対比
まず、本件商標と引用商標の称呼についてみると、既述したように、いずれも「ワンダ」の称呼が生じるため、本件商標と引用商標は称呼が共通するものである。
次に、外観を比較すると、本件商標は「WANDA」の欧文字よりなり、引用商標の欧文字表記は「WONDA」よりなるところ、その綴りの違いは二文字目の「A」と「O」の一文字に過ぎない。一連の語における中間の文字は、語頭や語尾の文字と比べると然程注意をもって認識するものではないため、「WANDA」と「WONDA」は一見すると非常に紛らわしいと考えられる。特に、一般的な需要者は過去に購入した商品の記憶を手掛かりに再度商品を購入するものであり、時と場所を異にした場合は(いわゆる離隔観察)、これらの商標に接する需要者が商標を間違う蓋然性は高いといえる。したがって、本件商標と引用商標は、外観において相紛らわしく、外観上類似することは明らかである。
さらに、観念についてみると、上述したように本件商標及び引用商標はいずれも特定の観念が生じない造語であるので、本件商標と引用商標を観念上比較することはできない。
以上のことから、本件商標と引用商標は、観念こそ比較はできないものの、称呼が共通するうえに外観が類似すると認められるため、結果として、需要者及び取引者の間で出所の混同が生じるおそれのある、類似の商標であることは明らかである。
ウ 本件商標の指定役務と引用商標の指定商品について
本件においては、本件登録異議の申立てに係る本件商標の指定役務と引用商標の指定商品が類似するものと考えられる。
したがって、本件登録異議の申立に係る本件商標の指定役務が引用商標の指定商品と類似することは明白であり、本件商標は商標法4条1項11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)本件商標は、上述したように引用商標とは称呼が共通し、外観が類似する類似の商標であり、申立人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生じる程度に相紛らわしいものである。
(2)「WONDA」は、1997年に販売が開始された缶コーヒーのブランドであり、現在に至るまで約20年間に渡り継続して販売されている(甲11)。2002年に発売された飲料業界初の朝専用缶コーヒー「WONDA モーニングショット」の大ヒットを皮切りに申立人の主力ブランドとしての地位を確立し、今では前記商品の他にも「WONDA 金の微糖」、「WONDA ゴールドブラック」、「WONDA 極 微糖」、「WONDA EXTRA SHOT」など、様々な種類の「WONDA」を販売している(甲7、甲11)。
申立人は、「WONDA」シリーズの宣伝広告活動を膨大な費用を掛け、継続的かつ大々的に行ってきており、そのうちの一つとして、テレビコマーシャルがある(甲10、甲11)。初代のCMキャラクターとしてタイガー・ウッズを起用した他、その後も仲間由紀恵、横峯さくら、所ジョージ、桑田佳祐など、スポーツ界、芸能界、音楽業界の著名人を次々と起用して、幅広い世代の需要者の人気を集めてきた。2016年現在では、北野たけしを中心として様々なパターンのCMを提供している(甲12)。
その結果、「WONDA」商品の販売実績は年々伸び続け、2015年は「WONDA」発売以来過去最高の4,088万箱(前年比104%)を記録している(甲13)。これは、発売当初の販売実績(1,823万箱)と比べると約2倍であり、2016年の販売目標は前年度を超える4,150万箱を目標としているほどである。
上述の事情に鑑みれば、「WONDA」が申立人の販売するヒット商品の一つであって、缶コーヒーのブランドとして我が国の需要者及び取引者の間で周知・著名となっているといえる。インターネットで「wonda」と検索すると、検出されるサイトの多くが申立人の販売する「WONDA」に関するものであることからも、「WONDA」が一般に広く知られていることが窺える(甲14)。また、本件商標の審査においては、申立人の販売する「WONDA」を引用して一度は本件商標を拒絶していることから(結果的には補正によって解消したものと判断された)、特許庁においても「WONDA」が周知・著名な商標であると認識していることが認められる(甲15)。
以上のことから、「WONDA」が申立人の販売する缶コーヒーのブランドとして、需要者及び取引者の間で周知・著名であることは明らかである。
(3)また、「WONDA」は、缶コーヒー以外にも乳飲料や清涼飲料などの商品を販売している。例えば、「WONDA ロイヤルリッチ」、「WONDA グリーンカフェ」、「WHITE WONDA」などがある(甲16?甲18)。
さらには、アサヒグループに属するアサヒフードアンドヘルスケア株式会社と提携して、チョコレートを販売した実績もある(甲19)。
このような事実から、「WONDA」は缶コーヒーのみならず乳飲料や清涼飲料などの飲料の他、グループ会社と提携して菓子などの食品にも使用されるブランドであることが認められる。また、前記のような販売実績があることから、需要者及び取引者は「WONDA」がコーヒー以外にも使用される場合があることを潜在的に認識していると考えられる。
(4)ここで、本件商標は第35類の小売等役務を指定してなるところ、小売等役務とその小売等役務で取り扱う商品は密接に関連したものであり、両者は互いに類似する商品/役務であることは上記1(2)ウで既述した通りである。そして、本件商標「WANDA」と「WONDA」が、互いに類似することも上記1(2)イで既述した通りである。
そのため、本件商標をコーヒーや清涼飲料、菓子などの飲食料品関係の小売等役務に使用した場合は、これに接する需要者及び取引者は、「WANDA」を周知・著名な「WONDA」と間違えて認識し、当該小売店が申立人の業務に関係するものであると認識する可能性があることは容易に想像できる。
(5)以上の事情を総合的に勘案すると、本件商標が本件登録異議の申立てに係る小売等役務に使用された場合に、それが申立人であるアサヒ飲料株式会社の業務と関係する役務であると需要者及び取引者が誤認する蓋然性は高いと考えられる。「WANDA」と「WONDA」は類似の商標であるうえに、「WONDA」が缶コーヒーのブランドとして需要者及び取引者の間で周知・著名であって、缶コーヒー以外にも乳飲料や清涼飲料、菓子などに「WONDA」ブランドを使用する場合があることに鑑みれば、本件商標を飲食料品の小売等役務の商標として使用した場合は、需要者及び取引者は周知・著名である「WONDA」を容易に連想し、当該小売等役務が申立人の業に係る役務であるかの如く出所について混同が生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標「WONDA」との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、同項第15号に該当するものである。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当する旨主張しているので、以下、検討する。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記第1のとおり、「WANDA」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該文字からは「ワンダ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
これに対して、引用商標1ないし3及び引用商標4の欧文字部分は、「WONDA」の文字からなるものであるところ、該文字からは「ワンダ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標の類否についてみるに、両者は、ともに「ワンダ」の称呼を生ずるものであるから、称呼において共通するものである。
しかしながら、本願商標と引用商標1ないし3及び引用商標4の欧文字部分とは、5文字という短い構成において、注目されやすい前半部において「A」と「O」という差異を有することから、外観において、明確に区別できるとみるのが相当である。
そして、両者は、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念において、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼を共通にする場合があるとしても、外観においては、明確に区別し得るものであり、また、観念においても、相紛れるおそれはないものであるから、その称呼、外観及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人が提出した甲各号証を総合すれば、「WONDA」の文字よりなる商標は、「コーヒー飲料」について使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録審決時において取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえるものである。
しかしながら、上記1のとおり、本件商標は、引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これを本件申立てに係る指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、本件申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-01-05 
出願番号 商願2014-4583(T2014-4583) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W35)
T 1 652・ 261- Y (W35)
T 1 652・ 262- Y (W35)
T 1 652・ 271- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 厚子早川 真規子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 藤田 和美
田中 幸一
登録日 2016-04-22 
登録番号 商標登録第5843111号(T5843111) 
権利者 大連ワンダグループ カンパニーリミテッド
商標の称呼 ワンダ 
代理人 土生 真之 
代理人 飯島 紳行 
代理人 中村 仁 

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