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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1323712 
異議申立番号 異議2016-900119 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-12 
確定日 2016-12-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5825349号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5825349号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5825349号商標(以下「本件商標」という。)は,「ウォーターモンスター」の片仮名を標準文字で表してなり,平成27年8月28日に登録出願,同28年1月5日に登録査定,第30類「プレミックス粉,パン用の食用粉類,その他の食用粉類」を指定商品として,同年2月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
商標異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標:「MONSTER」
2 登録第5057229号商標:別掲1のとおり
3 国際登録第1048069号商標:別掲1のとおり
4 登録第5689430号商標:別掲1のとおり
5 登録第5730813号商標:別掲2のとおり
6 登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY
7 登録第5431413号商標:別掲3のとおり
8 登録第5788675号商標:別掲3のとおり
9 登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY
10 登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY
11 登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY
12 登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE
13 登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO
14 登録第5419513号商標:別掲4のとおり
15 登録第5757485号商標:COFFEE MONSTER
16 登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA
17 登録第5844163号商標:別掲5のとおり
18 登録第5394526号商標:別掲6のとおり
19 登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK
20 登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE
21 登録第5527566号商標:MONSTER DETOX
22 登録第5476620号商標:MONSTER REHAB
23 登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY 24 登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED 25 登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED
26 登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED
27 登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE
28 登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB
29 登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER
30 登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER
31 登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER
32 登録第5409582号商標:MONSTER BLACK
33 登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK
34 登録第5409583号商標:MONSTER GIRL
35 登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA
36 登録第5043703号商標:JAVA MONSTER
37 登録第5431412号商標:JAVA MONSTER
38 登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
39 登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL
40 登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER
41 登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER
42 登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED
43 登録第5562023号商標:JAVA MONSTER GREEN BEANS
44 登録第5613400号商標:MONSTER THRILLER
45 登録第5644852号商標:KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1項第1号によりその登録は取り消されるものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第270号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」の著名性
(1)会社沿革及び取り扱い商品
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,アルコールを含有しない飲料等の企画,開発,製造,マーケティング,販売の事業に従事していたが,2015年6月からは,エナジードリンクの事業に注力している(甲2,甲58の宣誓供述書の段落3)。
(2)「MONSTER ENERGY」ブランド創設と「MONSTER」ファミリー商標
申立人は,2002年(平成14年)にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で,同年4月から製造販売を開始した(甲4,甲7,甲18,甲58の宣誓供述書の段落8ないし12及び同証拠物件RCS-2)。
この「MONSTER ENERGY」のオリジナル版のエナジードリンク製品は,黒色ベースのボトル缶にモンスターの爪痕を象った「M」のロゴマークと「MONSTER」の文字を太字で表示した野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56,甲57及び甲58の宣誓供述書の証拠物件RCS-2),男性若者層を中心に,たちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランド(以下「MEブランド」という。)の各種エナジードリンクには,2002年(平成14年)の発売開始以降,現在まで継続して,「MONSTER ENERGY」をはじめ,構成中に「MONSTER」の文字を包含してなる構成を共通点とする多数の商標(以下「『MONSTER』ファミリー商標」という。)が個別商品名として使用されている(甲11ないし甲16並びに甲58の宣誓供述書の段落11及び同証拠物件RCS-2及び3)。
(3)広告・マーケティング・販売促進活動
申立人は,2002年(平成14年)から現在まで,全世界におけるMEブランドのエナジードリンクに関する広告,マーケティング及び販売促進活動費として総額30億米ドルを超える費用を支出し,その販売促進活動の内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)及び販売店用什器及び備品の供給である(甲34ないし甲45,甲52,甲53,甲56,甲57並びに甲58の宣誓供述書及び同証拠物件)。
(4)国内における販売及び販売促進活動
日本国内では,MEブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて行われ,「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売が,2012年(平成14年)5月8日から開始された(甲5ないし甲7,甲12,甲14,甲58の宣誓供述書の段落13)。
当該商品は,その発売後,同年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲8),その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲9,甲97ないし甲99)。
さらに,2013年(平成25年)5月7日からは「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」が(甲10,甲13,甲15),2014年8月19日からは「MONSTER ENERGY M3」が(甲91,甲93),2014年10月7日からは「MONSTER COFFEE」が(甲92,甲94),2015年7月21日からは「MONSTER ENERGY ULTRA」が(甲147ないし甲149,甲164)発売されている。
これら6種のMEブランドのエナジードリンクは,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等の販売小売店のほか(甲58の宣誓供述書の段落18),アサヒ飲料の通販サイト(甲11ないし甲17)から販売され,また,アマゾンジャパンなどでは日本未発売の輸入品も取り扱われている(甲33,甲172)。
日本におけるMEブランドのエナジードリンクは,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶が販売され,販売総額は,1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58の宣誓供述書の段落18)。
また,2012年(平成24年)5月の国内発売直後から,継続的にテレビコマーシャル放映,日本開催の多数のスポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布などを含む広告・販売促進活動を実施している(甲58の宣誓供述書の段落22,23,30ないし34及び同証拠物件RCS-5ないし8)。
(5)全世界の販売国・地域及び販売額
申立人は,現在までに全世界100以上の国及び地域で,1種類以上の「MONSTER」ファミリー商標を使用したエナジードリンクを販売し,又は販売中である。当該エナジードリンクは,2002年(平成14年)に米国で販売開始以来,130億缶以上販売し,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,世界中で合計240億米ドルを超える収益を上げており,全世界での小売販売額は毎年60億米ドルを超える。2014年度(12月31日締め)の申立人の年間販売額は,2013年度(12月31日締め)の25.9億米ドル及び2012年度(12月31日締め)の23.7億米ドルから28.3億米ドルに増加した(甲58の宣誓供述書の段落14ないし18)。
(6)アパレル製品,ビデオゲーム製品等の販売
申立人は,2002年から現在まで,MEブランドマークを付したアパレル製品等の製造販売をライセンスして世界各地で販売中であり(甲58の宣誓供述書の段落124ないし126及び同証拠物件RCS-36),MEブランドマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,インターネットの通信販売業者により,日本国内でも輸入販売されており(甲47及び甲48),一般消費者の人気も高い。
また,申立人は,ビデオゲーム制作販売会社とも提携し,申立人がスポンサーを務めるカーレーサー等がMEブランドマークを付したウェア等を着用し,レーシングカーを使用して登場する複数のビデオゲーム製品なども商品化しており,日本でも購入可能である(甲58の宣誓供述書の段落137及び138,同証拠物件RCS-46)。
(7)その他
ア 申立人の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの商品情報,スポンサー契約のイベント等に関する情報,MEブランドを付した商品情報等が,申立人が開設運営する複数のウェブサイト及びソーシャルメディアサイトを介して日本を含む全世界の需要者に対して発信されている(甲58の宣誓供述書の段落118ないし123,同証拠物件RCS-32ないし35)。
イ MEブランドのエナジードリンクの開発,導入の成功に急成長を遂げた申立人の業績は,経済界でも高く評価され,数々の表彰を受けている(甲58の宣誓供述書の段落4及び129,同証拠物件RCS-37)。
ウ 「MONSTER」ファミリー商標は,世界115以上の国及び地域で商標登録・出願済みである(甲58の宣誓供述書の段落7)。
エ 申立人の商標権を侵害するアパレル製品,バッグ類,ステッカー等の模倣品が海外で製造され,申立人の商標権侵害物品として,日本の税関で輸入が差止められる案件も増加している(甲59ないし甲90,甲105ないし甲118,甲173ないし甲182)。
(8)以上の事実に照らせば,申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は,本件商標の登録出願日のはるか以前より,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,日本国内の需要者の間においても,申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標の指定商品は,菓子,パン,ピザ等のスナック類などの製菓材料,製パン材料として日常で一般消費者が利用するものであり,スーパーマーケットやデパートの食料品売り場,一般の食料品店,製菓材料店などで販売されるものであるから,申立人の取扱いに係るエナジードリンク等の飲料製品と販売場所及び需要者層が一致ないし重複し,密接な関連性を有する。
本件商標の構成文字「ウォーターモンスター」は,9音からなる冗長なもので,前半の「ウォーター」と後半の「モンスター」に分断されて発音されやすい。また,当該構成文字は,辞書等に掲載されている既成語ではなく,既存の意味ないし観念を生じるものはないから,観念的に不可分一体のものともいえない。さらに前半の「ウォーター」の文字部分は,菓子,パンなどの原材料として本件指定商品と共に用いられることが多い「水」を意味するから,該文字部分は,後半の「モンスター」の文字部分に比べて自他商品識別標識が弱い。
したがって,本件商標は,「モンスター」の文字部分が取引者及び需要者に対して商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから,当該文字部分に基づいて出所識別標識としての「モンスター」の称呼及び観念を生じる。
よって,本件商標は,申立人の使用に係る「MONSTER」と,「モンスター」の称呼及び観念を共通にする類似のものである。
本件商標の登録出願時には,申立人の使用に係る「MONSTER」及びその音訳の「モンスター」の文字は,日本国内及び米国を含む多数の外国において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者,需要者の間で広く認識されていた。
こうした事情の下で,本件商標がその指定商品に使用されたときには,これに接した需要者は,申立人の使用に係る「MONSTER」ファミリー商標と申立人会社を直ちに想起,連想し,当該商品が,申立人の製造,販売に係るエナジードリンクの姉妹製品,あるいは,申立人との共同開発によって誕生した新製品などのように,申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
申立人と何ら経済的又は組織的関係を有しない本件商標権者によって,本件商標が本件指定商品に使用された場合には,2002年(平成14年)から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品役務出所識別標識として広く認識されるに至った「MONSTER」の文字,当該文字を包含するブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の強力な出所表示力が希釈化することが明らかである。また,本件商標権者による本件商標の使用は,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の文字,当該文字を包含するブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の出所表示力が希釈されるおそれが極めて高いものであり,本件商標の使用は,申立人が「MONSTER」ファミリー商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的および精神的損害を与える。
したがって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり,公の秩序を害するおそれがあるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)米国又は世界における「MONSTER」ファミリー商標の使用等の状況について
ア 申立人は,2002年(平成14年)に,エナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」の販売を決定し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲7並びに甲58の宣誓供述書の段落9及び10)。
その商品には,黒色ベースのボトル缶に,別掲3に示す,モンスターの爪痕を象ったとするMの字状の図形を大きく表し,その下部に,図案化した「MONSTER」の文字と小さな「ENERGY」の文字を表示した構成からなる商標(MONSTERエナジードリンクのオリジナル版。甲58の宣誓供述書の段落10ないし12及び同証拠物件(RCS-2)。商標の構成全体として別掲1と同一と認められるもの(以下「使用商標」という。))が表示されている。
イ 上記ボトル缶には,使用商標,使用商標に加えて,あるいは,使用商標の構成中の「ENERGY」の文字部分に代えて,「KHAOS」,「ABSOLUTELY ZERO」,「EXTRA STRENGTH」,「BLACK ICE」,「Rehab」,「Baller’s Blend」,「Mad Dog」,「MUSCLE」,「M-80」等の文字を表示したものもある(甲6ないし甲8,甲10,甲11,甲13ないし甲17,甲19ないし甲33並びに甲58の宣誓供述書の段落11,同証拠物件RCS-2及び3)。
ウ 申立人は,2002年(平成14年)から現在まで,MEブランドを使用したエナジードリンク製品に関し,全世界での広告,マーケティング及び販売促進活動費として,総額30億米ドル以上を支出した(甲58の宣誓供述書の段落24)。
販売促進活動の主な内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,スケートボーダー等のアマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,並びに米国ラスベガスの公共機関モノレール等に対する支援活動(スポンサー提供),販売店用什器・備品の供給等であり,スポーツ分野では,スケートボーダー,モトクロスライダー,オートバイライダー,カーレーサー,カワサキオートバイのレーシングチーム等に対する支援活動(スポンサー提供)である。
上記支援活動は,スポンサー提供を受けるアスリートのホームページやブログ,経済ビジネス誌,報道ニュース,スポーツファンのホームページ等を通じて,日本国内の一般消費者にも発信され紹介された。
また,ラスベガスの公共交通機関モノレール支援活動では,車両に使用商標を付したモンスター列車が走行し,多くの人々が乗車したことがマスメディア等で報道された(甲34ないし甲45,甲49,甲52,甲53,甲56,甲57及び甲58の宣誓供述書の段落25ないし29)。
エ 申立人は,使用商標を付したアパレル製品の製造販売をライセンスして世界各地で販売しており,インターネットの通信販売業者により日本国内でも輸入販売された(甲47,甲48及び甲58の宣誓供述書の段落124ないし126)。
オ MEブランドのエナジードリンクの申立人の業績は,経済界でも注目され,本件商標の登録出願前に,「Forbes」,「FORTUNE」,「BusinessWeek」,「Newsweek」,「TIME」,「BeverageWorld」等の経済ビジネス誌において紹介された(甲49,甲51ないし甲57)。
(2)日本国内における「MONSTER」ファミリー商標の使用等の状況について
ア 日本国内では,アサヒ飲料がMEブランドのエナジードリンクの独占販売権を取得し,同社は,2012年(平成24年)5月8日から,使用商標及び使用商標に「KHAOS」の文字を加えた商標を表示した2種類のエナジードリンクを発売,その販売は,同年の9月には100万箱を突破し(甲7及び甲8),その後,157万箱の売上を記録した(甲9)。
イ アサヒ飲料は,2013年(平成25年)5月7日に「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」を(甲10,甲13,甲15),2014年8月19日に「MONSTER ENERGY M3」を(甲91,甲93),2014年10月7日に「MONSTER COFFEE」を(甲92,甲94),2015年7月21日に「MONSTER ENERGY ULTRA」を(甲147ないし甲149,甲164)発売し,上記6種類のエナジードリンクは,日本全国のコンビニエンスストアをはじめ,アサヒ飲料の通販サイト(甲11ないし甲17)等で購入することができる。
ウ 申立人は,2012年5月の日本国内における販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶,170億円以上のMEブランドのエナジードリンクを販売した(甲58の宣誓供述書の段落18)。
エ 申立人は,上記飲料の日本国内販売の開始直後から本件商標の登録出願の前まで,発売を記念するイベントを行ったほか,各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行った。
例えば,2012年(平成24年)5月17日から2カ月間にわたり50万缶のサンプルを路上配布したほか,渋谷における路上発表会で4万缶のサンプルを配布,東京晴海埠頭におけるパンクロックイベントで5,500缶のサンプルの配布,愛知県田原海岸におけるサーフィン大会で4,500缶のサンプルの配布,各地で行われたスケートボード競技会のスポンサー提供などを行った(甲58の宣誓供述書の段落22)。
(3)まとめ
上記(1)及び(2)によれば,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標を付した申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」(以下「申立人商品」という。)は,米国で2002年に発売して以来,米国を中心に販売され,販売開始以来130億缶以上販売し,相当程度の売上があるから,米国の取引者,需要者の間において,一定程度知られているものと推認できる。
他方,我が国においては,アサヒ飲料から2012年5月に2種類の申立人の業務に係る「エナジードリンク」が発売され,現在では,6種類の商品が,日本全国のコンビニエンスストアをはじめ,アサヒ飲料の通販サイト等で販売されている。
申立人は,日本における販売額について,2012年5月の国内における販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶,170億円以上のMEブランドのエナジードリンクを販売した旨主張している。
しかしながら,約3年間における170億円という販売額は,我が国における「清涼飲料」の商品の取引全体の売上としては決して高いものということができず,また,申立人商品の市場シェア等を把握できる証拠は提出されていない。
そして,申立人は,日本における宣伝広告について,2012年(平成24年)5月の発売開始にあたり,サンプルを路上配布したほか,ロックイベント,サーフィン大会等でサンプルの配布,スケートボード競技会のスポンサー提供をし,その後も各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行ったものであるが,これらの広告宣伝は限られた範囲のものであって,また,申立人商品の発売等に係るニュースリリース(甲7ないし甲10,甲91,甲92,甲95及び甲96)を行ったとしても,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標を付した申立人商品が,新聞,雑誌等を介して継続して広告された事実を見いだすことはできない。
そうすると,申立人が提出した証拠からは,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
さらに,「MONSTER」の欧文字及び「モンスター」の片仮名が,単独で申立人の業務に係る商品に使用されていた事実を確認することができず,これらの文字が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることもできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は,「本件商標の登録出願時には,申立人の使用に係る『MONSTER』及びその音訳の『モンスター』の文字は,日本国内において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者,需要者の間で広く認識されていた。こうした事情の下で,本件商標がその指定商品に使用されたときには,これに接した需要者は,申立人の使用に係る『MONSTER』ファミリー商標の構成と申立人会社を直ちに想起,連想し,当該商品が,申立人の製造,販売に係るエナジードリンクの姉妹製品,あるいは,申立人との共同開発によって誕生した新製品などのように,申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。」旨主張している。
しかしながら,前記1(3)のとおり,申立人が提出した証拠からは,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,米国の取引者,需要者の間において一定程度知られているものと推認できるものの,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
そして,本件商標は,「ウォーターモンスター」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成各文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく表され,これからは「ウォーターモンスター」の称呼を生じ,「ウォーター」の文字は,「水」の意味を有する英語の「water」の読みであり,「モンスター」の文字は「怪物,化け物」の意味を有する英語の「monster」の読みであるから,「水の怪物」程の観念を生じるものである。
その他,本件商標の構成態様において,ことさら「モンスター」の文字部分が識別標識として着目されるとすべき特段の事情は見あたらない。
そうすると,本件商標は,たとえ,その構成中に「モンスター」の片仮名を含んでいるとしても,これを,本件商標権者がその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者が,使用商標及びMEブランドを始めとする「MONSTER」ファミリー商標や申立人を連想,想起するとは考え難く,該商品が申立人又は申立人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,「本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている『MONSTER』ファミリー商標の出所表示力が希釈されるおそれが極めて高いものであり,本件商標の使用は,申立人が『MONSTER』ファミリー商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的および精神的損害を与える。」旨主張している。
しかしながら,前記1(3)のとおり,「MONSTER」ファミリー商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず,申立人提出の証拠からは,本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用をした場合,申立人の「MONSTER」ファミリー商標との関係において,その獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするなどの社会的妥当性を欠く事情を具体的に示す証拠はなく,他に,本件商標をその指定商品について使用することが,社会一般道徳及び公正な取引秩序を乱し,国際信義に反するものものとすべき事情も見あたらない。
また,本件商標は,その構成態様が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字よりなるものでもない。
したがって,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ということができず,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(登録第5057229号,国際登録第1048069号及び登録第5689430号商標)





別掲2(登録第5730813号商標)





別掲3(登録第5431413号及び登録第5788675号商標)





別掲4(登録第5419513号商標)





別掲5(登録第5844163号商標,色彩の詳細は原本参照。)





別掲6(登録第5394526号商標)




異議決定日 2016-11-28 
出願番号 商願2015-82920(T2015-82920) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W30)
T 1 651・ 271- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 亨子
登録日 2016-02-12 
登録番号 商標登録第5825349号(T5825349) 
権利者 千葉製粉株式会社
商標の称呼 ウオーターモンスター、モンスター 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 安藤 順一 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 

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