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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない X43
審判 一部無効 観念類似 無効としない X43
審判 一部無効 外観類似 無効としない X43
管理番号 1323597 
審判番号 無効2016-890030 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-05-11 
確定日 2016-12-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第5465294号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5465294号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「手羽先番長」の文字を毛筆体風に横書きしてなり、平成23年7月22日登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与,求人情報の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かき氷及びソフトクリームの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手羽先の唐揚及び鶏肉の唐揚げの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ハンバーガーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同24年1月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する登録第4480182号商標(以下「引用商標」という。)は、「番長」の文字を標準文字で表してなり、平成12年2月18日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同13年6月8日に設定登録され、その後、同23年6月14日に存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標はその指定役務中、第43類「飲食物の提供」の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 本件商標と引用商標との類否
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり「手羽先番長」の文字から構成されているところ、その構成中の「手羽先」の文字は、「鶏肉で羽の先の部分の肉。」(甲3)の意味合いを有する語として広く知られている語であり、同じく「番長」の文字は、「1.古代、諸衛府の下級幹部。(一部省略)2.学校の非行少年少女仲間の長。」(甲4)の意味合いを有する語であって、最近では、特に「2.」の意味合いを有する語として親しまれている語である。
本件商標の指定役務中の「飲食物の提供」において、「鶏肉」を調理したものも多く提供されているところ、「鶏肉」については、その部位によって「手羽肉」、「ささみ」、「むね」、「もも肉」等様々な呼び名があるが、「手羽肉」については、さらに「手羽元」、「手羽中」、「手羽先」という呼び名が付けられて取引されている(甲5)。
そして、指定役務の「飲食物の提供」においては、「手羽先」の語を他の語と組み合わせて商標、あるいは標章として使用している事実が多数みられる(甲6ないし甲11)。
そうすると、本件商標の構成中、「手羽先」の文字は、「飲食物の提供」との関係で、上記のとおり「鶏肉で羽の先の部分の肉。」を表すものと認識されることは自然であり、本件商標の権利者が提供する「飲食物」との関係では、その飲食物が「手羽先(鶏肉で羽の先の部分の肉)」を使用した飲食物であると認識させるものであるから、「手羽先」の文字部分には識別力がなく、本件商標については、その構成中の「番長」の文字部分のみが識別力を有する文字部分と認識されるとするのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成中の「番長」の文字から、「バンチョウ」の称呼が生じ、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生ずるとするのが自然である。
(2)引用商標
引用商標は、「番長」の漢字で構成されているところ、これより「バンチョウ」の称呼が生じ、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生ずるとするのが自然である。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては相違するものである。
イ 称呼について
本件商標は、その構成中の「番長」の文字部分より、「バンチョウ」の称呼が生じ、引用商標は、「番長」の文字から、「バンチョウ」の称呼が生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「バンチョウ」の称呼を同じくするものである。
ウ 観念について
本件商標は、全体の「手羽先番長」の文字からは、特定の観念を有するとは認められないが、その構成中の「番長」の文字部分より、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生じるものである。
そして、引用商標は、「番長」の文字より、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念を同じくするものである。
エ 指定役務について
本件商標の指定役務には、「飲食物の提供」が含まれており、引用商標の指定役務は、「飲食物の提供」である。
オ 小括
そうとすると、本件商標は、引用商標と外観において相違するものの、「バンチョウ」の称呼及び「学校の非行少年少女仲間の長」の観念において同じくするものである。
そして、本件商標と引用商標の指定役務は、「飲食物の提供」において、同一である。
(4)被請求人は、答弁書において、本件商標の構成が外観上まとまりよく一体的に表され、その構成文字全体に相応して生ずる称呼も格別冗長ではないから本件商標を一体不可分のものとして認識し、把握するものというのが自然である、と述べている。
しかし、本件商標の構成については、「手羽先番長」の漢字を容易に認識できるものであり、そのうちの「手羽先」については指定役務中の「飲食物の提供」との関係で「鶏肉の手羽先」を表すものであることから、本件商標については「番長」の文字部分を識別力がある文字部分と認識し、この文字より「バンチョウ」の称呼を生ずるとするのが自然である。
さらに、被請求人は、「番長」の言葉の特異性として、「学校の非行少年少女仲間の長。」の意味での「番長」は一般的な存在ではなくなっており、近年においては「『番長』の言葉の前に結合する言葉について長けている存在」としての意味を有するものとなっている(乙6ないし乙8)、と述べ、また、「学校の非行少年少女仲間の長。」の意味での「番長」の語の使用例(乙9及び乙10)も述べている。しかし、証拠として添付している使用例の「おしゃれ」、「言うだけ」、「直線」の各語と「番長」の語とを全体として認識し、その意味合いを説明しているが、本件商標の場合には、指定役務中の「飲食物の提供」という役務との関係で、「手羽先」という語の意味合いが「鶏肉の手羽先」を表すものと認識され、それに続く「番長」の語とは一体的に認識されるとは考えられないから、本件商標については、その構成中の「番長」の文字より「バンチョウ」の称呼が生じ、それについては「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生ずるとするのが自然である。
2 むすび
本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。
1 本件商標
(1)本件商標の構成態様からの検討
本件商標は、特徴的な毛筆体の漢字で「手羽先番長」と一連に横書きし、各文字は、同じ書体、大きさ及び間隔で、極めてまとまりよく一体的に表記されており、特段「番長」が目立った態様で表されているものでもない。
しかも、構成全体から生じる「テバサキバンチョウ」の称呼も、構成音数が8音と格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標の文字は、実際に紙に毛筆で書したものをデータ化したものであり、一人の人間の癖が構成文字全体に表されることにより、本件商標全体としての統一感が一段と際立っているものである。
したがって、本件商標の構成中の「手羽先」の文字が、本件商標の指定役務中の「飲食物の提供」との関係で提供される飲食物を表すものであるとしても、上記のように該文字の構成が外観上まとまりよく一体的に表され、その構成文字全体に相応して生じる称呼も格別冗長というものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものでもあることから、かかる構成においては、これに接する取引者、需要者が、「手羽先」の文字部分をあえて捨象し、「番長」の文字部分のみに着目して取引にあたるというよりは、むしろ、「手羽先番長」の文字部分を一体不可分のものとして認識し、把握するものというのが自然である。
(2)「番長」との言葉の特異性からの検討
本件商標の構成中、「番長」の文字は、確かに甲第4号証に示されている意味のうち、「学校の非行少年少女仲間の長。」の意味で認識されることが現代においては一般的である。しかし、該意味は、過去の犯罪事例を紹介しているウェブサイト「少年犯罪データベース」にて「番長」の言葉を検索しても分かるように(乙1)、1957年から該言葉が登場し始め、1986年を最後にその存在は現れなくなっている(乙2)。つまり、近年において、「学校の非行少年少女仲間の長」の意味での番長は、一般的な存在ではなくなっているということがわかる。
一方、言葉の意味は、その時代によって変化することは自明であるところ、近年においては、「おしゃれ番長」(乙3及び乙4)、「言うだけ番長」(乙5及び乙6)又は「直線番長」(乙7及び乙8)等、「番長」の言葉の前に何かしらの言葉を結合した新たな造語が散見され、これらはいずれも、「番長」の前に附属する言葉(ここでいう「おしゃれ」、「言うだけ」及び「直線(直線のスピード)」)について長けている存在としての意味として用いられている(乙3ないし乙8)。
上記より、「番長」の言葉は、甲第4号証に示されているように過去「交代勤務のために編成された各集団の統率者」や上記「1.」の意味である「古代、諸衛府の下級幹部」、「はじめ律令制で、兵衛400人の上番ごとの長。のち近衛府などの舎人の長。」、「随身になると騎馬で前駆。」など、いわゆる「リーダー」や「先導する存在」程の意味として使用されており、その後1950年代中期ごろから1980年代半ばまでは、現実に多く存在していた「学校の非行少年少女仲間の長」との意味が強く、さらに近年においては、上記のような「『番長』の言葉の前に結合する言葉について長けている存在」としての意味も有するものとなっている。
さらに、「番長」の言葉は、甲第4号証に示されている「学校の非行少年少女仲間の長」の意味合いを有する「裏番長」(裏の番長との意)(乙9)や「女番長」(女の番長との意)(乙10)等の言葉としても過去より一般に使用されていることが自明である。
このように「番長」の言葉が、他の語を結合させて用いられる場合が多くあるとの事実からすれば、「番長」の言葉と他の言葉の結合度がいかに強いものであるかがわかる。
したがって、本件商標のように「手羽先番長」と表した場合、「手羽先」と「番長」との言葉は強く結合されることから、これに接する取引者、需要者は、「手羽先」の文字部分をあえて捨象し、「番長」の文字部分のみに着目して取引にあたるというよりは、むしろ商標全体として「手羽先界のリーダー」、「手羽先界の番長」又は「手羽先について長けている存在」程の意味を有する一つの造語として捉えるというのが自然である。
(3)過去の登録例からの検討
特許庁における審査においては、引用商標と同じ「飲食物の提供」を指定役務とした「番長」の文字を有する登録商標が引用商標と併存している(乙11ないし乙21)。これは、上記のように「番長」とその前に結合する言葉との一体性の強さから、「番長」部分をあえて捨象することは不自然であり、「○○番長」の文字全体を一体不可分のものとして認識し、把握することが自然であるとの判断が一貫して働いているものといわざるを得ない。
(4)小括
本件商標の上記構成、称呼及び意味合い、並びに過去の登録例を検討する限り、本件商標に接する取引者、需要者があえて「番長」の文字部分に着目し取引に資するということは考えられず、むしろその構成全体をもって一体不可分のものと認識し、把握するとみるのが自然であり、他に「番長」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、特徴的な毛筆体にて「手羽先番長」の文字を書してなり、その文字部分より「テバサキバンチョウ」の称呼が生ずる。また、該文字より、「手羽先界のリーダー」、「手羽先界の番長」又は「手羽先について長けている存在」程の観念が生ずる。
2 引用商標
引用商標は、「番長」の文字を標準文字で書してなるところ、これより「バンチョウ」の称呼が生ずる。また、引用商標は、「番長」の文字のみからなり、他の言葉を伴っていないことからも「学校の非行少年少女仲間の長」程の観念が生ずる。
3 本件商標と引用商標の類否について
(1)外観について
本件商標は、特徴的な毛筆体にて「手羽先番長」の文字を書してなるところ、引用商標は、「番長」の標準文字からなるものであることから、外観が異なることは一見して明らかである
(2)称呼について
本件商標は、「手羽先番長」の文字より「テバサキバンチョウ」の称呼が生ずるものである。
一方、引用商標は、「番長」の文字より「バンチョウ」の称呼が生ずるものである。
そうすると、本件商標が8音で構成されるのに対し、引用商標は4音で構成され、全体として4音もの差があることから、両商標が称呼において類似していないことは明らかである。
(3)観念について
本件商標は、「手羽先番長」の文字より、「手羽先界のリーダー」、「手羽先界の番長」又は「手羽先について長けている存在」程の意味が生ずる。
一方、引用商標については、「学校の非行少年少女仲間の長」程の観念が生ずる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「番長」部分の文字が共通しているとしても、その観念は、著しく相違し、両商標が観念において類似していないことは明らかである。
(4)小括
以上より、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないため、同法第46条第1項第1号の無効理由により無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「手羽先番長」の文字を毛筆体風に横書きしてなるところ、その構成態様は、同じ書体をもって、まとまりよく一体的に表されているものであって、その外観上、「番長」の文字部分だけが独立して看者の注意を引くように構成されているものではない。
そして、本件商標は、その構成文字全体から「テバサキバンチョウ」の称呼を生じるものであり、該称呼は、格別冗長ではなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、その構成中、「番長」の文字は、「(古くはバンジョウ。交代勤務のために編成された各集団の統率者の意)1.古代、諸衛府の下級幹部。府生の下位。はじめ律令制で、兵衛400人の上番ごとの長。のち近衛府などの舎人の長。随身になると騎馬で前駆。2.学校の非行少年少女仲間の長。」(甲4:広辞苑第六版)の意味を有するものであるから、押し並べて、「各集団の統率者」程の意味合いを認識するものというべきであるところ、「番長」の文字は、「おしゃれ番長」、「女番長」等のように他の語とともに用いられた場合には、「おしゃれに関する統率者」、「女子不良グループの統率者」程の意味合いを想起させるものであり、その構成文字全体をもって一体のものとして看取されるといい得るものである。
そうとすれば、本件商標の構成中の「手羽先」の文字部分が、「鶏肉で羽の先の部分の肉」(甲3)を表す語であるとしても、上記構成からなる本件商標は、これを一体のものとして把握されるとみるのが相当であるから、本件商標からは、その構成全体をもって、「手羽先に関する統率者」程の意味合いを想起させるものといえる。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「テバサキバンチョウ」の一連の称呼のみを生じ、「手羽先に関する統率者」程の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「番長」の文字を標準文字により表してなるところ、該文字は、上記(1)に記載のとおりの意味合いを有する語であるところ、「番長」の文字のみで用いられた場合には、「学校の非行少年少女仲間の長。」の意味合いを想起させるものというのが相当である。
そうとすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「バンチョウ」の称呼を生じ、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の構成は、上記のとおりであるところ、両商標の外観を対比すると、その構成態様の相違及び構成前半部における「手羽先」の文字の有無という、外観上、判然と区別し得る差異を有するものである。
次に、両商標の称呼を対比すると、本件商標から生じる「テバサキバンチョウ」の称呼と引用商標から生じる「バンチョウ」の称呼とは、前半における「テバサキ」の音の有無という顕著な差異を有し、構成音数を異にするものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、明確に聴別し得るものである。
さらに、両商標の観念を対比すると、本件商標は、「手羽先に関する統率者」程の観念を生じるのに対し、引用商標は、「学校の非行少年少女仲間の長」の観念が生じるものであるから、観念において、明確に区別し得るものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきものである。
(4)小括
したがって、本件商標の指定役務中の請求に係る役務が、引用商標の指定役務と同一であるとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 請求人の主張について
請求人は、「飲食物の提供」においては、「手羽先」の語を他の語と組み合わせた商標、あるいは標章として使用している事実が多数みられることから、本件商標中の「手羽先」の文字は、指定役務中の「飲食物の提供」との関係で、「鶏肉で羽の先の部分の肉。」を表すものと認識されることは自然であり、その飲食物が「手羽先(鶏肉で羽の先の部分の肉)」を使用した飲食物であると認識させるものであるから、「手羽先」の文字部分には識別力がなく、本件商標については、その構成中の「番長」の文字部分のみが識別力を有する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、上記1(1)の認定のとおり、毛筆体風にまとまりよく一体的に表されてなる外観を有し、「番長」の部分が特に強調された外観のものではないから、「番長」の文字部分のみが独立して看者の注意を引くとはいい難く、かつ、「番長」の文字は、他の語と共に用いられた場合においては、その構成文字全体をもって一体のものとして把握されるというのが相当である。
また、請求人は、「手羽先唐揚専門店」(甲6)、「手羽先二郎 万代」(甲7)、「元祖手羽先唐揚げ/風来坊」(甲8)、「手羽先唐揚げ 居酒屋つばさや」(甲9)、「手羽先の武蔵」(甲10)、「手羽先 呑平」(甲11)」の例を示しているところ、「手羽先唐揚専門店」及び「手羽先唐揚げ」の文字は、「手羽先の唐揚げを提供する専門店」及び「手羽先の唐揚げ」を認識するものといえるとしても、本件商標やその他の例の「手羽先」の文字部分は、「鶏肉で羽の先の部分の肉。」を認識するも、直ちに具体的な役務の質を表したものとはいい難いとするのが相当である。
そうすると、本件商標は、取引者、需要者をして、一体不可分のものとして認識されるというべきであるから、上記請求人の主張を採用することはできない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)



審理終結日 2016-10-18 
結審通知日 2016-10-21 
審決日 2016-11-02 
出願番号 商願2011-52071(T2011-52071) 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (X43)
T 1 12・ 262- Y (X43)
T 1 12・ 263- Y (X43)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 中束 としえ
平澤 芳行
登録日 2012-01-20 
登録番号 商標登録第5465294号(T5465294) 
商標の称呼 テバサキバンチョー 
代理人 樋口 頼子 
代理人 辻田 朋子 
代理人 久野 恭兵 
代理人 下田 一徳 
代理人 弁護士法人 衞藤法律特許事務所 

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