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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y16
管理番号 1322482 
審判番号 取消2015-300244 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-04-03 
確定日 2016-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2578258号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成27年12月24日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成28年(行ケ)第10015号,平成28年5月18日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2578258号商標(以下「本件商標」という。)は,「犬めくり」の文字を横書きしてなり,平成3年4月5日に登録出願,第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年9月30日に設定登録,同17年7月13日に,指定商品を第6類「青銅製彫刻」,第9類「映写フイルム,スライドフイルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第16類「書籍,カレンダー,その他印刷物,書画,写真」とする指定商品の書換登録がされ,その後,本件商標の商標権については,同25年11月5日に,第16類についての商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成27年4月17日である。

第2 事件概要
1 請求人は,平成27年4月3日付けで本件商標の指定商品について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,不使用による取消審判(取消2015-300244号)を請求し,その理由として,本件商標は,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきである旨主張した。
2 被請求人は,上記1の請求に対し,答弁しなかった。
3 当審は,平成27年12月24日付けで「被請求人は,本件審判の請求に対し,答弁していないから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものである」旨の審決をした。
4 被請求人は,平成27年12月24日付けの審決に対する審決取消請求事件(平成28年(行ケ)第10015号)において,被請求人は本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標の指定商品のうち「カレンダー」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していると主張し,証拠を提出した。
5 被請求人は,当審に対し平成28年8月5日付け回答書において,乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した(なお,被請求人は,これらの証拠について甲号証としているが乙号証に読み替えた。)。
(1)本件商標の商標権者
ア 本件商標は,平成3年(1991年)4月5日に株式会社カミン(以下「カミン」という。」)が出願したものであり,平成5年(1993年)3月12日に登録査定がなされている(乙2)。
本件商標の商標権者であったカミンは,請求人が代表取締役を務めていた株式会社であり,本件商標である「犬めくり」や別件登録商標である「猫めくり」を初めとするカミンカレンダーシリーズを販売していたが,平成26年(2014年)9月17日に破産手続が開始され,異時廃止で同27年(2015年)2月12日に閉鎖となり(乙3),その業務を終了している(乙4)。
イ その後,カミンが保有していた本件商標を含む5件の商標権について,複数の者から購入希望があったことから,本件商標の処分を行うために,代表清算人として弁護士丸山隆が平成27年6月8日付で選任され,同年6月16日にカミンの復活登記がなされた(乙3)。そして,同月30日に本件商標の入札が行われ(乙5),被請求人が落札したことから,被請求人は本件商標をカミンから譲り受けたものである(乙6)。
(2)本件商標の使用の事実
ア カミンは,カミンカレンダーシリーズとして「犬めくり」との商品名を付した日めくりカレンダー(以下「犬めくりカレンダー」という。)を販売している。カミンのホームページによると,犬めくりカレンダーは,『猫めくり』の兄弟編として1992年にスタートした日めくりカレンダー」とのことである(乙7,乙8)。本件審判請求の登録日(平成27年4月3日)(審決注:3日は17日の誤記と認められる。)の3年前である平成24年(2012年)4月3日(審決注:3日は17日の誤記と認められる。)から平成27年(2015年)4月3日(審決注:3日は16日の誤記と認められる。)の間に限れば,例えば,カミンは2013年版と2014年版の犬めくりカレンダーを制作し,販売している(乙9ないし乙18の1?3)。
イ 2014年版の犬めくりカレンダー(以下「本件カレンダー2014」という。)は,2013年9月1日にカミンから発行されたものである(乙9の写真7)。
本件カレンダー2014の商品名は,本件商標と同一の「犬めくり」であり,同カレンダーには,「犬めくり」との記載が多数されている。例えば,本件カレンダー2014の表紙の左側には,犬の写真とともに本件商標「犬めくり」が大きく記載されている(乙9の写真1)。また,本件カレンダー2014のカレンダーを束ねている帯にも大きく「犬めくり」との表示があり(乙9の写真2),内部にも「『犬めくり』受賞作発表」(乙9の写真3),「2015年版『犬めくり』『こいぬめくり』に掲載」(乙9の写真4)との記載がなされている。さらには,本件カレンダー2014の4頁目における「カミンカレンダーシリーズのご案内」では,日めくりの紹介欄に,「犬めくり」が「犬とあそべる365日。猫めくりの兄弟編」と説明されている(乙9の写真5)。そして,本件カレンダーの最終頁の左下に大きく「犬めくり」と表示されている(乙9の写真7)。
ウ 本件カレンダー2014は,カミンの過去のホームページから確認できる範囲では,遅くとも平成25年(2013年)11月20日にはカミン社のホームページにおいて通信販売がなされており(乙14),その他のウェブストアや書店においても販売されていたものである(乙12,乙15の1?4)。
エ 2013年版の犬めくりカレンダー(以下「本件カレンダー2013」という。)は,上記本件カレンダー2014と同様に,「犬めくり」との名称でカミンから2012年10月に発行されたものである(乙13)。本件カレンダー2013は,2012年9月中旬より予約を受け付け(乙16),遅くとも2012年10月3日にはカミンのホームページにおいて通信販売がなされており(乙17),その他のウェブストアや書店においても販売されていたものである(乙13,乙18の1?3)。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標である「犬めくり」は,本件カレンダー2014及び本件カレンダー2013の商品名として使用され,これらのカレンダーは,本件審判請求の登録日(平成27年4月3日)(審決注:3日は17日の誤記と認められる。)の3年前である平成24年(2012年)4月3日(審決注:3日は17日の誤記と認められる。)から平成27年(2015年)4月3日(審決注:3日は16日の誤記と認められる。)の間(以下「要証期間内」という。)に発行・販売されていたものであるから,本件商標は,その指定商品である「カレンダー,その他印刷物」に使用されていたといえる。

第3 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)乙第2号証は,本件商標の登録原簿謄本であるところ,商標権者は,カミンから,平成27年8月13日受付で「特定承継による本権の移転」により「株式会社中央経済社」に移転され,その後,同28年1月22日受付で「登録名義人の表示の変更」により「株式会社中央経済社ホールディングス」に変更されている。
(2)乙第8号証は,インターネットアーカイブが保存している2013年(平成25年)2月8日付けの「カミン」のホームページの写しであり,「製品情報 カミン カレンダーシリーズ 犬めくり」の見出しの下,「『猫めくり』の兄弟編として1992年にスタートした日めくりカレンダー」の記載がある。
(3)乙第9号証は,「犬めくり2014 Dogs Calendar」についての写真撮影報告書であるところ,カレンダーの表紙(【写真1】表紙)の左側に,犬の写真とともに「犬めくり」の文字(以下「本件使用商標」という。)が縦書きで表示されている。また,カレンダーに付されている帯にも本件使用商標が表示されている(【写真2】表紙(帯付))。さらに,カレンダーの最終頁(【写真7】カレンダー現物(最終頁))の左中央に,本件使用商標と,「2013年9月1日 発行」及び「発行所 株式会社カミン」が横書きで表示されている。
(4)乙第12号証は,「紀伊國屋書店publine」(紀伊國屋書店チェーンの個別商品の売上げを確認されたサイト)の写しであるところ,当該写しの1葉目には,「商品指定在庫一覧」の見出しの下,「タイトル 巻号」の項に「犬めくりカレンダー 2014」,「出版社」の項に「カミン」及び「出版年月」の項に「201310」の記載,並びに,その下の表には,店舗の一覧とともに「売上累計」の「合計」の欄に「154」の記載がある。同じく,当該写しの3葉目には,「商品指定在庫一覧」の見出しの下,「タイトル 巻号」の項に「犬めくりカレンダー(リフィル) 2014」,「出版社」の項に「カミン」及び「出版年月」の項に「201310」の記載,並びに,その下の表には,「売上累計」の「合計」の欄に「371」の記載がある。
(5)乙第15号証の1は,「紀伊國屋書店ウェブストア」のウェブサイトの写しであるところ,「[カレンダー]犬めくりカレンダー<2014>」,「カミン(2013/10発売)」の記載があり,犬の写真とともに本件使用商標が表示されている。
(6)乙第15号証の2は,「楽天ブックス」のウェブサイトの写しであるところ,「犬めくりカレンダー ([カレンダー])」,「発売日:2013年10月」,「出版社:カミン」の記載があり,犬の写真とともに本件使用商標が表示されている。
(7)乙第15号証の3は,「ヨドバシ.com」のウェブサイトの写しであるところ,「犬めくり 2014[カレンダー][単行本]」,「出版社名:カミン」,「発行年月日:2013/09」の記載があり,犬の写真とともに本件使用商標が表示されている。
(8)乙第15号証の4は,「セブンネットショッピング」のウェブサイトの写しであるところ,「カレンダー ’14 犬めくり」,「出版社名 カミン」,「発売日 2013年09月」の記載があり,犬の写真とともに本件使用商標が表示されている。
なお,上記のウェブサイトにおいて販売されていたカレンダーの「犬めくり」の文字と犬の写真は,乙第9号証のカレンダーに表示されていたものと同一のものである。
2 以上の事実を総合すれば,以下のとおり判断することができる。
上記1の認定事実によれば,カミンは,1992年(平成4年)より「犬めくり」の文字(本件使用商標)を付した商品「カレンダー」を発行した。カミンは,2013年(平成25年)9月1日に商品「カレンダー」の表紙に本件商標を付した「犬めくりカレンダー 2014」を発行し(乙9,乙15の1?4),そして,紀伊國屋書店チェーンは,同年10月に当該「犬めくりカレンダー 2014」を525冊譲渡したものと推認できる(乙12)。
また,本件商標の商標権は,平成27年8月13日付けで,カミンから本件商標権者に移転されたことが認められる(乙2)。
そこで,以上を前提に,以下で更に検討する。
(1)使用者について
本件使用商標の使用者は,カミンであり,カミンは,その使用商品「カレンダー」の発行日当時の商標権者である。
(2)使用時期について
本件使用商標は,当該商標を付した商品「カレンダー」が2013年9月1日に発行され,書店チェーンを介して2013年(平成25年)10月に譲渡されたのであるから,本件使用商標の使用時期は,要証期間内といえる。
(3)使用商品について
本件商標の使用商品「カレンダー」は,本件審判の請求に係る指定商品中の「印刷物」の範ちゅうに含まれるものと認められる。
(4)本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は,「犬めくり」の文字を横書きしてなるものであり,他方,本件使用商標は,上記1(3)のとおり,「犬めくり」の文字を縦書き又は横書きしてなるものである。
そうすると,本件使用商標と本件商標は,同一の構成文字からなるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
以上のとおり,本件商標の使用商品の発行日当時の商標権者であったカミンは,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定商品中「印刷物」の範ちゅうに含まれる商品「カレンダー」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付したものを譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号)と認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の当時の商標権者がその請求に係る指定商品中の「カレンダー」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-09-23 
結審通知日 2016-09-27 
審決日 2016-10-20 
出願番号 商願平3-34266 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y16)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
小林 裕子
登録日 1993-09-30 
登録番号 商標登録第2578258号(T2578258) 
商標の称呼 イヌメクリ 
代理人 青木 博通 
代理人 鈴木 修 
代理人 西川 喜裕 

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