• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W20212425
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W20212425
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W20212425
管理番号 1321441 
異議申立番号 異議2015-900269 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-08-21 
確定日 2016-10-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5766317号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5766317号商標の指定商品中,第20類「全指定商品」,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),家庭用紙タオル用ディスペンサー,せっけん及びローション用ディスペンサー,せっけん入れ,歯ブラシホルダー,ちりかご」,第24類「全指定商品」及び第25類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5766317号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成26年7月29日に登録出願,同27年5月1日に登録査定がされ,第20類「枕,装飾用枕,クッション,家具,鏡,額縁,衣服用ハンガー,引き出し用仕切り」,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),家庭用紙タオル用ディスペンサー,せっけん及びローション用ディスペンサー,せっけん入れ,陶磁器製ティッシュボックス用カバー,歯ブラシホルダー,ちりかご」,第24類「敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,布製身の回り品,食卓用リネン製品(紙製を除く。),シャワーカーテン,ふきん,テーブル掛け」及び第25類「被服,ベルト」を指定商品として,同年5月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は,以下の5件(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)であり,いずれも現に有効に存続しているものである。なお,以下に具体的に明示した商品及び役務は,本件商標の指定商品と類似する引用商標の指定商品及び指定役務である。
(1)登録第4711266号商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなり,平成14年9月18日に登録出願,第14類「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ」,第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス,ストロー,盆(金属製のものを除く。),タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。),額縁」,第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,」,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め」を含む,第9類,第14類,第20類,第21類,第25類,第26類,第28類,第34類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同15年9月19日に設定登録され,その後,同25年9月10日に第35類を除いて商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,商標登録の取消し審判により,指定商品中の第28類「釣り具」について取り消すべき旨の審決がされ,同27年7月2日にその審決の確定登録がされたものである。
(2)登録第4987909号商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなり,平成18年3月13日に登録出願,第24類「布製身の回り品,シャワーカーテン」を含む,第24類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同18年9月15日に設定登録されたものである。
(3)登録第5270647号商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなり,平成20年10月29日に登録出願,第14類「宝石箱」,第26類「腕止め」及び第35類「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む,第14類,第26類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同21年10月2日に設定登録され,その後,同23年9月20日受付で指定商品及び指定役務中の第35類「食用油脂の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,放棄による一部抹消の登録がされたものである。
(4)登録第5031591号商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなり,平成18年3月13日に登録出願,第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳」を含む,第24類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同19年3月9日に設定登録されたものである。
(5)登録第5136934号商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなり,平成19年4月1日に登録出願,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製身の回り品・うちわ・せんす・ガーター・靴下止め・ズボンつり・バンド・ベルト・腕止め・身飾品(「カフスボタン」を除く。)・衣服用き章(貴金属製のものを除く。)・衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)・衣服用バックル・衣服用ブローチ・帯留・ボンネットピン(貴金属製のものを除く。)・ワッペン・腕章・頭飾品・つけづめ・つけまつ毛・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式のものを除く。)・傘・つえ用金属製石突き・ステッキ・つえ・つえ金具・つえの柄の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む,第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,同20年6月6日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,結論同旨の決定を求め,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
ア 「NY」の文字部分の識別力について
本件商標は,「ARTISAN」の欧文字を横書きし,その右横に複数の斜線を組み合わせてなるシンプルな図形を表示し,さらに当該図形の右横に「NY」の欧文字を横書きしてなる商標である。
本件商標中の「NY」の文字部分は,商品の品番などの記号・符号として認識され得るものであり,自他商品識別力がないことは明らかである。
また,我が国の国語辞典によると,「NY」というアルファベット2文字は,米国のニューヨーク(New York)を表す略語,記号として使用される場合もある(甲8)。
本件商標に接した取引者又は需要者が「NY」の文字部分から米国のニューヨークを想起,連想した場合であっても,ニューヨークは東京や大阪等と同様に我が国で広く知られた地名であり,商品の産地や商品をデザインした場所として認識されるので,識別力が認められないという結論に差異はない。
イ 「ARTISAN」の文字部分の分離観察について
本件商標中の「ARTISAN」の語は「職人,職工,技工」といった意味を有しており(甲10),本件商標中の「ARTISAN」と「NY」の文字部分は,その間に描かれている図形により,視覚上明瞭に区別される。そして,「ARTISAN」と「NY」の文字部分を常に一連一体に称呼しなければならない特別の事情も見当たらない。そうすると,本件商標中の「ARTISAN」の文字部分は,「NY」の文字と分離して観察される。
さらに,本件商標中の図形部分は,特定の明確な観念が生じないと考えられるので,当該図形部分と「ARTISAN」の文字部分を必ず一体的に観察しなければならない理由も見当たらない。
したがって,本件商標は「ARTISAN」の文字部分のみが分離観察され得るものである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観の類否の検討
本件商標は,別掲のとおり,一般的なゴシック体の欧文字と図形を組み合わせてなり,そして,上記(1)のとおり,「ARTISAN」の文字部分のみが分離観察される場合があると考えられる。
他方,引用商標は,「ARTISAN」の欧文字をゴシック体で書してなる商標であるから,外観において一定の類似性が認められる。
イ 称呼の類否の検討
本件商標は,分離観察される「ARTISAN」の文字部分から,「アルチザン」や「アーティザン」といった称呼を生ずる。
他方,「ARTISAN」の文字から成る引用商標も,「アルチザン」や「アーティザン」といった称呼を自然に生じる。
したがって,本件商標と引用商標は,「アルチザン」(アーティザン)の称呼を共通にするため,称呼において類似する商標である。
ウ 観念の類否の検討
本件商標は,「ARTISAN」の文字部分から「職人」といった観念を生じ,他方,引用商標もその構成文字に相応する「職人」の観念を自然に生ずる。
したがって,本件商標と引用商標は,「職人」の観念を共通にするため,観念上も類似する商標である。
エ 商標の類否
以上より,本件商標と引用商標は,外観において一定の類似性が認められ,また「アルチザン」(アーティザン)の称呼及び「職人」の観念を共通にする類似商標である。
オ 小活
以上のとおり,本件商標と引用商標とは類似する商標であるので,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,被服,かばん,靴等のアパレル製品を中心に,飲食料品や生活用品・雑貨についても幅広く取り扱う大手アパレル企業である。
申立人は,「ARTISAN」の商標を国内外において既に多数の商標を出願・登録している(甲33?35)。
申立人は,2003年3月1日に,引用商標「ARTISAN」を店舗名として使用した小売店の第1号店を小田急百貨店(新宿店 本館1階)にオープンし,日本全国に計75店舗を有する(甲36?49)。
また,ダイレクトメール広告,ポスター広告,カタログ,新聞広告及び雑誌広告に「ARTISAN」シリーズ商標の使用し,引用商標は「ARTISAN COMMECA」等のサブブランド名称と共に2002年12月から現在(2015年9月)に至るまで12年以上にわたり継続的に使用されている。
申立人は,平成17年度に約20億円であった「ARTISAN」ブランドの売上高は,平成26年度には約31億円に達している。
以上のとおり,引用商標は申立人の商標として広く一般に知られている。
したがって,本件商標がその指定商品に使用された場合,申立人の「ARTISAN」ブランドの商品であるかのような出所混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 結び
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に該当する。

第4 本件商標の取消理由
1 審判長は,平成27年12月25日付けで本件商標権者に対し,理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は,要旨次のとおりである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲のとおりの構成よりなるものであって,外観上,図形部分と「ARTISAN」と「NY」の文字部分の結びつき,及び当該両文字部分の相互の結びつき,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまではいえないものである。
そして,一般的には,欧文字の2字の標章が商品の品番・等級等を表示する記号・符号(以下「記号等」という。)として類型的に使用される実情があり,また,「NY」の語が,「アメリカ合衆国のニューヨーク州」(甲8)を意味する略語として知られていることを考慮すれば,その構成中の「NY」の欧文字部分は,これに接する取引者,需要者において,これを記号等の一類型として把握し,又は,商品の産地・販売地等を表す語として認識されるにとどまるものであって,自他商品の識別機能を有しないか,極めて弱いといえるものである。
そうすると,本件商標は,その構成中の「NY」の欧文字部分が商品の出所識別標識としての機能を有しないか,極めて弱いといえるものであるから,本件商標の構成中の「ARTISAN」の欧文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。
よって,本件商標の「ARTISAN」の欧文字部分を抽出し,他人の商標と比較することが許されるものである。
したがって,本件商標は,その構成中の「ARTISAN」の欧文字部分が独立して着目され得るものであり,当該欧文字部分から「アルチザン」の称呼及び「職人,職工,技工」(甲11)の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は,それぞれ「ARITISAN」の欧文字を書してなるものであるから,その構成文字に相応して,「アルチザン」の称呼及び「職人,職工,技工」(甲11)の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標の類否について検討するに,外観については,本件商標は,その構成中に,独立して自他役務の識別機能を果たす「ARITISAN」の欧文字を有するものであり,引用商標は「ARITISAN」の欧文字からなるものであるから,両商標は,「ARITISAN」の欧文字において,外観上,互いに相紛らわしいものである。
次に,称呼及び観念については,「アルチザン」の称呼及び「職人,職工,技工」の観念を共通にする類似する商標である。
そうとすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念において,類似の商標と認められる。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本件商標の指定商品中,第20類「枕,装飾用枕,クッション,家具,鏡,額縁,衣服用ハンガー,引き出し用仕切り」,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),家庭用紙タオル用ディスペンサー,せっけん及びローション用ディスペンサー,せっけん入れ,歯ブラシホルダー,ちりかご」,第24類「敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,布製身の回り品,食卓用リネン製品(紙製を除く。),シャワーカーテン,ふきん,テーブル掛け」及び第25類「被服,ベルト」と,上記2に具体的に商品及び役務を明示した引用商標の指定商品及び指定役務とは,同一又は類似するものである。
3 まとめ
したがって,本件商標は,上記の指定商品については,商標法第4条第1項第11号に該当し,これに違反して登録されたものといわなければならない。

第5 商標権者の意見
審判長は,上記第4の取消理由に対して,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者は,何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
本件商標についてした上記第4の取消理由は,妥当なものと認められるものである。
したがって,本件商標は,その指定商品中「結論掲記の指定商品」について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,その余の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標


異議決定日 2016-05-30 
出願番号 商願2014-63676(T2014-63676) 
審決分類 T 1 652・ 261- Z (W20212425)
T 1 652・ 262- Z (W20212425)
T 1 652・ 263- Z (W20212425)
最終処分 取消  
前審関与審査官 齋藤 貴博小松 里美 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
早川 文宏
登録日 2015-05-22 
登録番号 商標登録第5766317号(T5766317) 
権利者 ジェイエス エーディーエル,エルエルシー
商標の称呼 アルティザンエヌワイ、アーティザンエヌワイ、アルチザンエヌワイ、アーチザンエヌワイ、アルティザン、アーティザン、アルチザン、アーチザン 
代理人 森本 久実 
代理人 駒崎 健 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 安彦 元 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ