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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30 審判 査定不服 外観類似 登録しない W30 |
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管理番号 | 1321389 |
審判番号 | 不服2016-10432 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-07-09 |
確定日 | 2016-10-27 |
事件の表示 | 商願2015-89278拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「気配り弁当」の文字を標準文字で表してなり,第30類「弁当」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品又は指定役務として,平成27年9月15日に登録出願され,その後,指定商品又は指定役務については,原審における同28年2月13日受付の手続補正書により,第30類「弁当」とされたものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第1913219号の2商標(以下「引用商標」という。)は,「気くばり」の文字を書してなり,昭和59年5月21日登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同61年11月27日に商標登録第1913219号として設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,平成18年5月23日に商標登録原簿記載の商品を指定商品として商標登録第1913219号の2に分割移転の登録がなされ,また,同年11月8日にその指定商品を第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」とする指定商品の書換登録がされたものであり,その商標権は現に有効に存続している。 3 当審の判断 (1)商標の類否判断 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(昭和43年最判参照)。 この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(昭和38年最判,平成5年最判,平成20年最判,知財高裁平成26年(行ケ)第10122号同年10月27日判決参照)。 上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。 (2)本願商標 ア 本願商標は,上記1のとおり,「気配り弁当」の文字を標準文字で表したものであり,その構成中,「気配り」の文字は「不都合・失敗がないように,あれこれと気をつけること。相手を思いやって気をつけること。心くばり。配慮。」の意味を有する語として,「弁当」の文字は「外出先で食事するため,器物に入れて携える食品。また,その器物。」の意味を有する語(以上,広辞苑第6版)として,それぞれ広く一般に親しまれた語であるから,本願商標に接する需要者に,「気配り」と「弁当」の各文字(語)を結合してなるものと容易に認識されるものである。 そして,「弁当」の文字は,本願商標の指定商品を表示する普通名称であるから,商品の出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものといえる。 そうすると,本願商標の構成中の「気配り」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから,本願商標は,その構成中の「気配り」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。 してみれば,本願商標からは,要部である「気配り」の文字部分から「キクバリ」の称呼が生じ,「心くばり,配慮」ほどの観念が生じる。 (3)引用商標 引用商標は,上記2のとおり,「気くばり」の文字を書してなるところ,これからは「キクバリ」の称呼のみが生じ,「心くばり,配慮」ほどの観念が生じるというのが相当である。 (4)本願商標と引用商標の類否 本願商標の要部である「気配り」の文字部分と引用商標とを対比すると,両者は,「配」と「くば」が漢字表記であるか否かの差異を有し,外観において多少相違するとしても,「キクバリ」の称呼及び「心くばり,配慮」の観念を共通にすることから,これらを総合勘案すれば,互いに類似する商標というべきである。したがって,本願商標と引用商標も類似する商標となる。 そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。 (5)小括 以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は,本願商標は「気配り弁当」の文字を同書同大で横書きした標準文字よりなるもので,全体の文字数も5文字と決して多いものではなく,「キクバリベントウ」の称呼も格別冗長にわたるものではないため淀みなく一気に称呼し得るものであり,全体として「食する人を思いやって気をつけて作られた弁当」ほどの意味合いを容易に理解,認識させるものであって,観念的に一体不可分のものとして認識,把握されることからすれば,本願商標を「気配り」と「弁当」の各語に分離抽出して看られるものではない旨主張する。 しかしながら,上記(2)のとおり,本願商標は,その構成文字及び意味合いから,「気配り」及び「弁当」の各文字を結合してなる商標と容易に認識されるものであって,当該各構成文字と本願商標の指定商品との関係からすれば,「弁当」の文字部分からは商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じない一方,「気配り」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められることから,当該文字部分を要部として抽出し,この部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断したものであるから,その判断手法に何ら誤りはない。そして,本願商標と引用商標とが類似するものであることは,上記(4)で述べたとおりである。 イ 請求人は,当庁において,構成中に「弁当」の文字を含む「○○弁当」という商標が,「○○」のみからなる他の商標と非類似と判断され,並存して登録されている例があるとし,これら登録例と同様に判断すべきである旨主張する。 しかしながら,請求人が挙げる事例は,いずれも,判断時期や本願商標及び引用商標の構成態様と異なっている。また,そもそも,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。 ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。 (7)まとめ 以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-08-29 |
結審通知日 | 2016-08-30 |
審決日 | 2016-09-14 |
出願番号 | 商願2015-89278(T2015-89278) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W30)
T 1 8・ 261- Z (W30) T 1 8・ 263- Z (W30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 松江、大島 康浩 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
冨澤 武志 田中 幸一 |
商標の称呼 | キクバリベントー、キクバリ |
代理人 | 吉原 朋重 |