ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y07 |
---|---|
管理番号 | 1321292 |
審判番号 | 無効2014-890072 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2014-10-10 |
確定日 | 2016-10-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4789737号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4789737号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標
本件登録第4789737号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成16年2月6日に登録出願、同年7月7日に登録査定され、第7類「業務用食器洗浄機」を指定商品として、平成16年7月23日に設定登録され、その後、平成26年4月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出している。 1 請求人について 請求人は、以下のとおり、50年近く前から水と洗剤とを使用したノーブラシ洗浄機の研究開発に取り組み、自動車の洗浄機を開発販売し、また、食品工場、病院、スーパーマーケットなどの施設で使用する洗剤を使用しない洗浄機、その他の機器を開発販売してきた。 (1)会社の沿革 昭和48年2月に請求人の前身企業Aが東大阪市に設立された。平成7年に企業A、企業B及び企業Cが吸収合併されて新たに企業Dが設立、現在に至る。 (2)洗浄機等の商品の開発・販売及び営業内容 昭和42年にノーブラシ洗浄機の研究開発を開始及びその製造に着手し、昭和48年には水と洗剤だけで汚れを落とすクリーンシステムを完成した。 昭和49年に自動車用洗浄機「ニッポーミニ」を開発及び商品化し、昭和52年には自動車用洗浄機「ニッポーミニ」を全国に販売した。また、単車及び軽自動車用洗浄機「ニッポープロ」を開発するとともに販売を開始し、ヤマハ、ホンダ、スズキ系列の単車ディーラー、JTB指定旅館や全国の郵便局を中心に販売の実績を上げてきた。 昭和53年にトラック用スプレー洗車機「TCA型コイン洗車機」を完成させ、販売及びリースを開始し、昭和58年には「NDB型コイン洗車機」の販売を開始した。 昭和62年には、洗車の自動化に取り組み、門型自動洗車機の開発に着手し、また、食品工場、病院及びスーパーマーケットなどの施設で使用する洗浄機として高温加熱水による殺菌洗浄機である「ねっとう君」の開発に着手した。 昭和63年に乗用車用門型洗車機「NIPPO250」を開発し、テスト販売を開始した。 平成元年には、洗剤を使用せず、120℃の加熱水で汚れを洗い流す洗浄機「ねっとう君」を開発して販売を開始し、病院、食品メーカー、スーパーマーケットなどで好評を得た。また、同年、大型車用門型自動洗車装置「トライアン432」のテスト販売を開始し、その結果、当該大型車用門型自動洗車装置「トライアン432」は日経優秀製品サービス賞を受賞し、高評価を得た。 平成2年に、前記の大型車用門型自動洗車装置「トライアン432」を量産化し、本格的な販売を開始した。また、平成4年には、前記の乗用車用門型洗車機「NIPPO250」の量産化を開始した。 平成12年に、スプレー洗車機をモデルチェンジしたスプレー洗車機「CKS、CKW」を量産化し、また、洗車場経営に本格的に参入を開始した。洗車場1号店としてノーブラシ洗車場「店舗E」をオープンし、洗車場2号店としてノーブラシ洗車場「店舗F」をオープンし、洗車場3号店としてノーブラシ洗車場「店舗G」をオープンした。 平成14年に、門型洗車機「NIPPO0250」をモデルチェンジし、“Eタイプ”で量産を開始した。 平成17年に、神戸市交通局の依頼を受け「スクリーン洗浄機」を開発し、販売を開始した。また、洗車場向け「バキュームクリーナBK-200」を開発し、販売を開始した。さらに同年、洗車場4号店としてノーブラシ洗車場「店舗H」(大阪府門真市)をオープンし、洗車場5号店としてノーブラシ洗車場「店舗I」をオープンした。 平成18年には、門型洗車機「NIPPO250・高さ2.3m対応機」を販売開始した。また、同年、A洗車場を、B洗車場をそれぞれオープンした。 平成19年、洗車場6号店としてノーブラシ洗車場「店舗J」(大阪府茨木市)を、西神洗車場(兵庫県神戸市西区)をオープンした。 平成20年、アーム式の門型洗車機「NIPPO432」を開発した。 平成21年に、大型トラックの下回りを洗浄する「下部洗浄機」及び洗車場の車両の出入りを自動的に開閉するタイマー付きの「チェーンゲート」を開発し、販売を開始した。 平成22年、ゴルフカートを洗浄するための「カート洗浄機CCS」を開発し、販売を開始した。 (3)請求人による自社開発商品についての特許権取得実績 請求人は、自動洗車装置、自動車洗車方法、殺菌消毒洗浄機等に関して内外国において特許権を取得している。 2 被請求人の悪意 (1)経緯 ア 被請求人は、請求人の商品を永年にわたって取次販売してきたものであり、請求人と被請求人とは、平成25年4月24日に代理店契約を締結した(甲4)。 イ 請求人は、平成26年6月13日に商標登録出願前に類似商標調査を行ったところ、本件商標が被請求人名義で登録されていることを発見したので、同月28日に被請求人を訪問し、本件商標の出願・登録の事情聴取及び本件商標の引渡依頼をしたのに対し、被請求人は本件商標の買取りを要求した。 ウ 請求人は、平成26年7月31日、被請求人に代理店契約を解除する旨通知した(甲5)。 エ 被請求人は、平成26年8月18日に請求人に対して、取引継続を要求し、取引継続を条件に商標の返還を申し出た(甲6)。 オ 請求人は、この申出に応じなかった。 (2)まとめ 以上のように、被請求人は、請求人に無断で本件商標の登録を行いながら、本件商標の買取りを要求し、これに応じなかった請求人に対し本件商標を盾に取引継続を要求してきた。被請求人がこのような商標権の買取り及び商標権を盾に代理店契約継続の各要求をしてきたことは、被請求人による本件商標の登録の目的が請求人に対して不当に有利な立場を確保するものであることに他ならず、被請求人は、本件商標を不正の目的及び不正競争の目的をもって登録したものといわざるを得ない。 3 請求人の使用商標 (1)請求人の使用商標の種類 請求人は、本件商標の登録出願前から、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」及び書体は異なるものの「ねっとう君」の文字からなる商標を、商品「業務用食器洗浄機」及びその取扱説明書に使用し、また、当該商品の広告宣伝物たる商品カタログに使用している(甲7?24)。 (2)カタログの印刷部数 「ねっとう君」の商品カタログに関して、平成9年から平成24年までの16年間における印刷部数は以下のとおりであり、需要者が食品工場等の限られた業者であるからすると、1年につき4300部近くの膨大な部数を需要者・取引者に対して配布しているものである。 平成9年 15600部 平成10年 4000部 平成11年 7000部 平成12年 12000部 平成14年 11000部 平成17年 10000部 平成22年 2000部 平成23年 4000部 平成24年 3000部 合計 68600部 (3)商品の販売実績 請求人による商標「ねっとう君」を付した業務用食器洗浄機の平成10年から平成25年までの総販売台数は1425台に上る。 (4)小括 以上のように、請求人は、遅くとも昭和59年から30年以上の永年にわたり、かつ、今日まで引き続いて本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」及び普通に表した「ねっとう君」の文字からなる商標を、少なくとも業務用食器洗浄機について、商品そのもの及びその取扱説明書に、また商品カタログに盛大に使用し、その結果、請求人の商品を表示する商標として需要者及び取引者に広く知られるに至っていることは明らかである。このことは、請求人の商品を永年にわたって取次販売してきた被請求人においても十分に承知していることは明らかである。 この請求人使用の周知商標について、請求人と取引関係にある被請求人が無断で出願し、登録したものである。 4 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当することについて 請求人は、筆書き書体による独特の態様をなす商標「ねっとう君」を、少なくとも業務用食器洗浄機について、永年にわたって使用し、その結果、本件商標の出願前には需要者に広く知られるに至っているものである。 本件商標は、請求人使用の上記周知商標と全く同一の筆書き書体による独特の態様をなす商標「ねっとう君」であり、被請求人は、請求人と取引関係にあるにも拘わらず、請求人が採択し使用している請求人使用の筆書き書体による商標「ねっとう君」を、剽窃的に出願したものである。 このように被請求人が本件商標を登録していることは、請求人による永年にわたる本件商標の使用によって蓄積された請求人の業務上の信用の維持に支障が生じ、ひいては需要者の利益が保護されないという商標法の目的に明らかに反する状況にあるというべきである。 以上のように、被請求人による当該出願は、その経緯及び目的が社会的妥当性を欠くものであって、その登録を認めることは商標法が予定する「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という公正な秩序を乱すものというべきであるから、本件商標は「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当するといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法の精神に反し、公正な秩序を乱すものであって、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 5 本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当することについて 請求人が使用する筆書きで表した独特の態様をなす商標「ねっとう君」及び普通の文字で表した商標「ねっとう君」は、少なくとも請求人の製造及び販売に係る業務用食器洗浄機を表示するものとして、本件商標の出願前に需要者・取引者に広く認識されている商標である。 被請求人は、請求人使用の周知商標の存在を知りながら、請求人の製造販売に係る業務用食器洗浄機を取次販売する立場にあるにも拘わらず、当該周知商標が未登録商標であることを奇貨として周知商標のうちの筆書き書体による独特の態様をなす商標「ねっとう君」と全く同一の本件商標を商品「業務用食器洗浄機」ついて登録を行ったものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、かつ、被請求人は請求人の商品を取次販売する販売業者であって請求人の業務と競合する者であり、不正競争の目的で商標登録を受けた場合であることが明らかであるから、同法第47条第1項の規定により除斥期間の適用はない。 6 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することについて 請求人が使用する筆書き書体による独特の態様をなす商標「ねっとう君」及び普通の文字で表した商標「ねっとう君」は、少なくとも請求人の製造及び販売に係る業務用食器洗浄機を表示するものとして、本件商標の出願前に需要者・取引者に広く認識されている商標である。 被請求人は、請求人使用の周知商標の存在を知りながら、当該周知商標が未登録商標であることを奇貨として、筆書きで表した独特の態様をなす請求人の周知商標「ねっとう君」と全く同一の本件商標の登録を行ったものである。しかも、被請求人による本件商標の出願及び登録は、被請求人が請求人に対して商標権の買取及び商標権を盾に代理店契約継続の各要求を行ったことから、被請求人が不正の目的をもって出願したものであることは明白である。 そうすると、本件商標は、不正の目的をもって使用するものであることが明らかであるから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 7 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は「平成15年10月頃より請求人に対し、中国、台湾の外国人からの商品の間合せが多くなったこと」、「問い合わせの中にはその特許や商標登録についての質問であること等」を伝えた旨主張するが、そのような問い合わせを被請求人が請求人に伝えたという事実はない。 また、「商標登録しておかないと他人に取得されてしまう危機感を覚えたので、登録する様に請求人に強く訴えた」と主張するが、商標登録の必要性を訴えることの前提として、そもそも上記のような問い合わせの事実がない。そして、被請求人が請求人に商標登録するように強く訴えたという事実もない。 「請求人が全く関心を示さず、会社の自己防衛に対する考えが全くなかった」との被請求人の主張もその前提を欠くものである。 被請求人は「被請求人は請求人に頼ることを断念し」と主張しているが、請求人は商標登録に関して被請求人から頼られたことなど一度もなかったのが事実であり、本件審判請求を行っているように、本来、請求人自身が本件各商標権を取得すべき地位にあったのであり、被請求人に頼られる関係にはない。 また、被請求人は、「請求人、被請求人の商標を守るために独自で商標登録したものであり、当然請求人にもその旨連絡した」と主張する。しかしながら、被請求人は単に一販売代理店として商標を表示した請求人作成に係るパンフレットを顧客に配布し、商標を表示した請求人製造に係る商品を販売すべき立場にあったにすぎない。したがって、被請求人は「請求人の商標を守るために独自で商標登録」するとの主張自体が不合理である。商標の使用者はあくまで請求人であることから、被請求人が、請求人、被請求人の商標を守るために独自で商標登録したとの主張は正当な理由にはならない。 しかも、本件商標の登録前はもとより登録後約10年の期間中、被請求人から商標登録に関する連絡を請求人は一切受けておらず、本件審判請求の数か月前に行った類似商標調査により、請求人は本件商標の存在を初めて知ったのである。当然、請求人は、本件商標の存在を知らなかったために登録異議の申立てを行うこともなかったのである。 以上のように、被請求人は、請求人に対して承諾を得るどころか一切連絡することなく、請求人使用に係る本件商標を剽窃して被請求人の名義で出願及び登録したのである。 このように、本件商標は、被請求人が剽窃して出願し登録したものであり、被請求人に悪意があり、不正及び不正競争の目的があることが明らかである。 (2)被請求人は、請求人に対して、本件剽窃商標権の買取りを要求したことを否認している。しかし、被請求人は、平成26年6月28日、請求人が事態を穏便に収束させるべく本件剽窃商標権の譲渡を依頼する前提として、なぜ本件剽窃出願行為に及んだのかを問い質したのに対し、被請求人は「あんたとこが潰れそうやから取ったんや」と回答し、「なんぼで買うんや」と述べ、その買取りを要求したのである。したがって、請求人は「商標登録には、費用がかかったのでしょう」と言ったことはなく、被請求人から「かかった費用がいただけるのですか」といわれたこともない。 その後、被請求人は、請求人による代理店契約解除を受けて、態度を急変させた。請求人は、被請求人の申入れに基づき、同年8月4日及び7日に話合いを持ったが、この時点に至り、被請求人は突如、買取り要求発言は本心ではなく冗談だった等との弁解を始めた。 したがって、被請求人が、何らの前提条件を付すこともなく、請求人に対し本件剽窃商標権を譲渡するつもりであったかのように主張するが、当該主張は事実に反する。 (3)被請求人は、本件審判が「販売代理契約の解除の正当事由を補強しようとするための便法」と主張するが、本件審判は、あくまで本件商標の存在が請求人の商標登録出願及び商標の使用に支障を生じさせ、請求人の事業の遂行に混乱を生じさせるものであって無効にすべき必要があるから請求したものである。 一方、販売代理契約の解除は、その発端の一つが本件剽窃商標権に関する交渉の場において、請求人が事態を穏便に収束させようとしたことに対し、被請求人の態度には誠実さが全く見られず、請求人と被請求人との取引関係を継続するには許し難い不信行為があり、請求人と被請求人との信頼関係を著しく破壊することになったことによるものである。 8 結び 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べている。 1 本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第19号には、該当しない。 2 被請求人は、平成15年10月頃より請求人に対し、中国、台湾などの外国人からの商品の間合せが多くなったこと、問い合わせ商品は請求人取扱いの洗車全機種であったこと、問い合わせの中にはその特許や商標登録についての質問であること等を伝え、商標登録をしておかないと他人に取得されてしまう危機感を覚えたので、登録するように請求人に強く訴えた。 しかし、当時請求人は全く関心を示さず、会社の自己防衛に対する考えがなかった。 そこで、やむなく被請求人は請求人に頼ることを断念し、請求人、被請求人の商標を守るために独自で商標登録したものであり、当然請求人にもその旨連絡した。それに対する異議申立は請求人からは全くなかった。 以上の次第で商標を取得したもので、その目的は請求人の商標を守るためでもあり、公の秩序と善良な風俗を害するものでなく、不正競争の目的も全くなかった。 3 その後、請求人より商標を譲渡して欲しいと言われたときは、当然譲渡することを承諾した。その際、請求人より「商標登録には、費用がかかったのでしょう」と言われたので、被請求人は「かかった費用がいただけるのですか」と言ったが、譲渡代金を要求したことは全くない。請求人は、被請求人の前記「言葉尻」をとらえて買取り請求をしたと主張し、話し合いを拒否し、突然販売代理店契約を解除してきたのである。 4 本件請求人の無効審判請求は、販売代理契約の解除の正当事由を補強しようとするための便法であり、許されるものではない。 5 被請求人はいつでも常識的な話し合いには応じる用意がある 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第7号について 商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)商標の構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字、図形、又は、該商標を指定商品あるいは指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、あるいは、社会の一般道徳観念に反するような商標、(b)特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標、(c)特許法以外の法律によって、その使用等が禁止されている商標等が含まれる、と解すべきであり、そして、上記「社会の一般道徳観念に反するような」場合には、ある商標をその指定商品又は指定役務について登録し、これを排他的に使用することが、該商標をなす用語等につき該商標出願人よりもより密接な関係を有する者等の利益を害し、剽窃的行為であると評することのできる場合も含まれ、このような商標を出願し登録する行為は、商標法第4条第1項第7号に該当するというべきである(東京高裁平成14年(行ケ)第94号同年7月16日判決参照)。 本件において、請求人は、本件商標は、請求人が採択し使用している商標を、請求人と取引関係にある被請求人が不正の目的をもって剽窃的に出願し登録したものであることは明白であって、被請求人による当該出願は、その経緯及び目的が社会的妥当性を欠くものであり、よって、本件商標は、商標法の精神に反し公正な秩序を乱すものであるから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである旨主張するので、以下検討する。 2 請求人、請求人使用商標及び請求人と商標権者との関係について 請求人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。 (1)請求人について 請求人は、その前身が昭和42年から水だけを使用したノーブラシ洗浄機の研究開発に取り組んでいたが、同48年に水と洗剤だけで汚れを落とすクリーンシステムを完成させて「企業A」を設立する(昭和48年2月)。その後、昭和50年6月、販売部門を分離し、「企業B」を設立し、同62年5月には、一般市場への洗車機の販売会社として「企業C」を設立、さらに、平成7年には企業A、企業B及び企業Cを合併して、現在の名称である「企業D」が設立され、現在に至っているものである。同社は、昭和55年に設置された「北陸工場」、同62年に開設された「九州営業所」、平成16年に開設された「東京営業所」を有している。また、同社は、平成12年に洗車場経営に本格的に参入開始し、直営のノーブラシ洗車場(店舗E,店舗F,店舗G,店舗H,店舗I,店舗J等)を順次オープンしている。(以上、甲3,7) (2)請求人使用商標について ア 請求人の会社概要の写し(甲3)中の「沿革」の項において、以下の旨の記載がある。なお、該証拠は、作成日が不明であるが、その内容から平成22年頃の作成と推認される。 (ア)昭和49年 洗浄機「ニッポーミニ」を開発、製品化。 (イ)昭和52年 ニッポーミニ、全国市場に展開。単車・軽自動車用洗浄機「ニッポープロ」を開発、販売を開始。 (ウ)昭和53年 トラック用スプレー洗車機「TCA型コイン洗車機」を販売開始。 (エ)昭和58年 「NDB型コイン洗車機」の販売開始。 (オ)昭和63年 門型自動洗車機「NIPPO250」(乗用車用)を開発、販売を開始。 (カ)平成元年 「ねっとう君」を開発、販売開始。大型車用門型自動洗車装置「トライアン432」の販売開始。「トライアン432」が89年日経優秀製品サービス賞を受賞。 (キ)平成4年 「NIPPO250」の量産化開始。 (ク)平成9年 「ねっとう君」ダブル釜“MH397”型を開発、販売開始。 (ケ)平成12年 スプレー洗車機を全面モデルチェンジし、「CKS」「CKW」を量産化。 (コ)平成14年 門型洗車機「NIPPO250」をモデルチェンジし、“Eタイプ”で量産開始。 (サ)平成16年 「ねっとう君」198タイプ・298タイプ“横吹型バーナー”を導入、販売開始。 (シ)平成18年 門型洗車機「NIPPO250」(高さ2.3m対応機)を販売開始。 (ス)平成20年 「ねっとう君」“MH88タイプ2段釜”を開発、販売。アーム式の門型洗車機「NIPPO432」を開発した。 イ 請求人の前身である「企業A」発行の「ニッポー ねっとう君 106型 熱湯瞬間洗浄機」と題する商品カタログの写し(甲7)には、その表紙上部に、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されており、見開き頁の左上にも本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。当該商品は、「とくに、食品業界、薬品業界等に広く、安心して利用になれます。」等の記載から、少なくとも業務用食器洗浄機として使用されるものであると推認できる。 ウ 甲第8号証は、平成4年に請求人が販売を開始した熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(NH-118S型、NH-218S型)の商品カタログ(カタログの内容は平成6年8月現在のもの)の写しとするものであり、当該カタログの表紙中央部に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されており、表紙を開いた右折り返しページの右肩、当該右折り返しページを開いた裏面ページの右上、及び裏表紙の左上に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。そして、裏表紙には、「118-S型」及び「218-S型」の仕様が表として掲載されている。当該カタログは、見開きページの中央ページ及び右ページに食品工場での洗浄効果が紹介されており、当該商品が少なくとも業務用食器洗浄機として使用するものであることが認められる。 甲第9号証は、上記甲第8号証の商品の取扱説明書抜粋の写しとするものであり、その表紙には、本件商標と書体は異なるものの「ねっとう君」の文字からなる商標が顕著に表示され、その他のページにおいて当該商品を「ねっとう君」と指称し、第3ページの商品の概略図にはその右側面に「ねっとう君」の文字を表示したラベルが貼付されている状態が示されている。 エ 「企業A」発行の総合カタログの写し(甲10)において、「会社概要」の表題の下、「企業A」「企業B」「企業C」の各社の概要が記載され、その同一ページを中心に企業Kの売上高推移(1973年?1992年)のグラフ及び沿革の表が表されている。そして、「企業K」として、上記3社のほか、「企業L」「企業M」等とともに「企業N」が記載されている。 また、「NIPPO as No.1」と大きく書されたページには、「コイン洗車機(スプレー式半自動)」、「門型ノーブラシ自動洗車機(トライアン)」及び「ねっとう君(瞬間熱湯洗浄機)」の表題の下、各商品が写真とともに説明されている。「コイン洗車機(スプレー式半自動)」中には、取扱製品種目として「ニッポーコイン洗車機」の記載があり、「TCA型」「NDB型」「NDX型」が説明されている。「門型ノーブラシ自動洗車機(トライアン)」中には、取扱製品種目として「トライアン」の記載があり、「TR250型」「TR432型」が説明されている。「ねっとう君(瞬間熱湯洗浄機)」中には、取扱製品種目として「ねっとう(熱湯)君」の記載があり、「118型・218型」が説明されているとともに、商品写真の正面には、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。 オ 甲第11号証は、瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君(NH-118S型)」について、その除菌・殺菌効果を確認するために行った試験に関する平成8年12月27日付け報告書の写しであり、この報告書において、熱湯瞬間殺菌洗浄機を「ねっとう君」と指称していることが認められる。 カ 甲第12号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-296S型)及び同(MH-196S型)の取扱説明書抜粋の写しとするものであり、その表紙には、本件商標と書体は異なるものの「ねっとう君」の文字からなる商標が顕著に表示され、その他のページにおいて当該商品を「ねっとう君」と指称し、第3ページの商品の概略図にはその右側面に「ねっとう君」の文字を表示したラベルが貼付されている状態が示されている。 キ 甲第13号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-297SGR型(プロパンガスタイプ)、MH-197SGR型(プロパンガスタイプ))の商品カタログの写しであり、当該カタログの表紙下部に大きく本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。また、表紙中央に上記商品の写真が掲載され、商品の左側面に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」を表示したラベルが貼付されている。さらに裏表紙の左上に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。なお、該カタログには、「カタログの内容は平成10年5月現在のものです。」との記載がある。 甲第14号証は、甲第13号証の商品の取扱説明書抜粋の写しであり、その表紙には、本件商標と書体は異なるものの「ねっとう君」の文字からなる商標が顕著に表示されるとともに商品の写真が掲載されており、商品の右側面に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」を表示したラベルが貼付されている。また、その他のページにおいては当該商品を「ねっとう君」と指称し、第3ページの商品の概略図にはその左側面に「ねっとう君」の文字を表示したラベルが貼付されている状態が示されている。 甲第15号証は、甲第13号証に示す商品と同じ型であって、燃料が異なる熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-197SGR型(都市ガスタイプ)、MH-297SGR型(都市ガスタイプ))の取扱説明書抜粋の写しであり、甲第14号証についての上記と同様の記載が認められる。 甲第16号証は、甲第13号証に示す商品と同じ型であって、燃料が異なる熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-197SR型(白灯油タイプ)、MH-297SR型(白灯油タイプ))の取扱説明書抜粋の写しであり、甲第14号証についての上記と同様の記載が認められる。 ク 甲第17号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-397SR型)の取扱説明書抜粋の写しであり、その表紙には、本件商標と書体は異なるものの「ねっとう君」の文字からなる商標が顕著に表示され、その他のページにおいて当該商品を「ねっとう君」と指称している。 甲第18号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-198SR型、MH-298SR型)の取扱説明書抜粋の写しであり、甲第14号証についての上記と同様の記載が認められる。 甲第19号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-398SR型)の取扱説明書抜粋の写しであり、その表紙には、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が顕著に表示されており、また、他のページにおいては当該商品を「ねっとう君」と指称している。 ケ 甲第20号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-188SR型(白灯油タイプ)、MH-288SR型(白灯油タイプ))の商品カタログの写しであり、当該カタログの表紙下部に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が大きく表示されている。また、表紙中央に上記商品の写真が掲載され、商品の右側面に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」を表示したラベルが貼付されている。さらに、裏表紙の左上に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が表示されている。なお、該カタログには、「カタログの内容は平成22年4月現在のものです。」との記載がある。 甲第21号証は、甲第20号証の商品の取扱説明書抜粋の写しであり、その表紙には、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が明確に表示されるとともに商品の写真が掲載されている。また、商品の概略図が表されたページにおいて、その左側面に「ねっとう君」の文字を表示したラベルが貼付されている状態が示されており、その他のページにおいては、当該商品を「ねっとう君」と指称している。 甲第22号証は、甲第20号証に示す商品と同じ型であって、燃料が異なる熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-188SGR型(プロパンガスタイプ)の取扱説明書抜粋の写しであり、甲第21号証についての上記記載と同様の記載等が認められる。 甲第23号証は、甲第20号証に示す商品と同じ型であって、燃料が異なる熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-288SGR型(プロパンガスタイプ)の取扱説明書抜粋の写しであり、甲第21号証についての上記記載と同様の記載等が認められる。 コ 甲第24号証は、熱湯瞬間殺菌消毒洗浄機「ねっとう君」(MH-388SR型)の取扱説明書抜粋の写しであり、その表紙には、本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」が明確に表示されるとともに商品の写真が掲載されており、その商品の正面に本件商標と同一の筆書き書体による商標「ねっとう君」を表示したラベルが貼付されている。また、他のページにおいては当該商品を「ねっとう君」と指称している。 (3)請求人と被請求人との関係について ア 甲第4号証は、「企業N」を甲、「企業D」(請求人)を乙とする平成25年4月24日付け販売代理店契約書の写しであると認められ、「甲(買主)」欄には、「企業N/●●住所●●/●●電話番号●●」の記載とともに、被請求人氏名と同一の「人物O」の署名・捺印がある。該契約は、「甲と乙は、相互の信義と信頼に基づきその利害関係を尊重して、乙の製品の販売促進に協力し、公正なる取引を行い相互の事業発展を図ることを目的とする。」(第1条)、「甲は乙より乙の製造する製品を買い取り、甲の顧客に継続的に乙の製品を販売することを原則とする。」(第2条)ものであり、「甲、乙に下記各号に該当する理由ある場合は通知催告をしないでこの契約をただちに解除することができる。・・・その他、本契約に違反したとき。・・・」(第15条)となっている。 なお、甲欄の企業Nの住所は被請求人の住所と、同じく電話番号は甲第10号証における企業Nの電話番号(上記(2)エ参照)と、それぞれ符合する。 イ 甲第5号証は、請求人から被請求人宛ての平成26年7月31日付け通知書(写し)であり、「1.当社は,貴殿と当社製品の取引関係を従前から有し,平成25年4月24日には当社と貴殿との間で販売代理店契約(以下「本件契約」といいます。)を締結しました。・・・当社の代理店として当社製品を販売される立場にあります。/2.当社と貴殿は取引上の信頼関係の下,継続的に取引を行っているところ,先般,貴殿が当社の許諾を得ることなく,無断で従前から扱っている当社の社名を含む当社製品の名称を商標出願し,以下の各登録商標を取得していることが判明しました。(1)登録番号 第4789737号(審決注:本件審判請求あり)・・・(2)登録番号 第4850873号・・・(3)登録番号 第4850874号・・・(4)登録番号 第4850875号・・・/3.・・・/4.ところで,当社は事態を穏便に収束させるべく,平成26年6月28日,貴殿を訪問し上記各登録商標の取得経緯を確かめると共に同登録商標の引き渡しを依頼したところ,貴殿は当社に無断で取得した点を認めず買取りを要求されました。/5.貴殿は,当社に無断で当社が従前から使用する製品名の冒用出願を行い,しかも当社に,その登録商標の買取りを要求する行為をとられました。上記各行為は,当社と貴殿との間において取引関係を継続し難い不信行為といわざるを得ず,当社と貴殿との信頼関係を著しく破壊するものです。 当社は,本書をもって本件契約を解除します。 今後の貴殿との取引には応じかねますので,この旨通知致します。」との記載がある。 ウ 甲第6号証は、被請求人から請求人宛ての平成26年8月18日付け書面(写し)であり、「・・・8/11日に再度『お取引の件』のFAXを頂戴していながらご連絡が遅くなり申しわけございません どの様な言訳も出来るものではございませんが・・・ 今後もこれ迄同様御社とのお取引を続けて参りたい所存でございます・・・ 商標の件はお返しいたします。勝手を申しますが今一度お時間をいただけませんでしょうか。尚・・・ 発注させていただいている分だけでも納期内に納品いただけませんでしょうか お願いします」との記載がある。 3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について 上記2(1)及び(2)によれば、請求人は、昭和48年に「企業A」として設立し、その後、平成7年に企業B及び企業Cを合併して、現在の名称である「企業D」が設立され、北陸工場、東京営業所及び九州営業所並びに店名に「ニッポー」の文字を冠した直営の洗車場を有し、長きにわたって洗車機、洗浄機の開発、製造及び販売を行ってきたこと、「ニッポーコイン洗車機」及び「ニッポー洗車機」と呼ばれる製品を始め、「ニッポー」又は「NIPPO」の文字を含む製品名の洗車機、「トライアン」と呼ばれる門型自動洗車機並びに「ねっとう君」と呼ばれる瞬間熱湯洗浄機が継続的に販売されてきていることが認められる。また、請求人が洗車機又は洗浄機について使用する「ニッポー」、「NIPPO」、「トライアン」、「ねっとう君」の各商標は、該商品を取り扱う分野における取引者、需要者において、一定程度の周知性をもって認識されていたとみるのが相当である。 そして、本件商標は、「ねっとう君」の文字を筆書き書体による独特の態様からなるところ、請求人使用商標のうち「ねっとう君」は、本件商標と同一の態様からなる商標といえるものである。 ところで、上記2(3)に同(1)及び(2)を併せみれば、被請求人は、遅くとも平成5年頃から、「企業N」の商号をもって請求人の製品の取次販売をしていたこと、そして、この関係は、その後も継続され、両者間で平成25年4月24日付け「販売代理店契約」(甲4)が締結されたことが認められる。 そうすると、本件商標の登録出願をした平成16年2月6日当時、本件商標が請求人の使用する商標として一定程度の周知性を獲得していたことを被請求人は認識していたと推認されること、答弁書の主張内容に照らせば本件商標を請求人以外が商標登録した場合には請求人は事業に支障を来すことを被請求人は知っていたと推認されること、本件商標の登録出願を行うに際して請求人から承諾を得て承諾書を作成するなどの慎重な行動をしていなかったこと、被請求人は代理店契約を締結する際に本件商標の商標登録を得ていることを請求人へ告知しなかったことなどを総合すると、被請求人の本件商標の登録出願は、請求人が本件商標の商標登録をしていないことを奇貨として、従来から取引関係にある業務用食器洗浄機の取引において、不正に有利な立場を確保することを目的としてなされたと解され、剽窃したものといわざるを得ないものである。 したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、公正な競業秩序を害するものであって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきである。 4 被請求人の主張について 被請求人は、請求人に対し、平成15年10月頃より中国、台湾などの外国人から請求人取扱いの洗車全機種について商標登録についての質問を含む商品の間合せが多くなったことを伝え、商標登録をしておかないと他人に取得されてしまう危機感を覚えたことから、登録するように強く訴えたが聞き入れられなかったので、請求人、被請求人の商標を守るために独自で商標登録したものであり、請求人にその旨連絡したが、請求人からは異議申立がなかったので、その経緯からして、公の秩序又は善良の風俗を害するものではない旨主張する。 しかしながら、被請求人は上記主張事実を裏付ける証拠を全く提出しておらず、主張の前提となる事実を確認することができないこと、請求人の商標を守るために独自で商標登録したとするが、本件商標権の買取を要求していることと矛盾すること、また、請求人が永年使用し一定程度の周知性が認識されている請求人使用商標と類似する本件商標が被請求人の商標として守られるべき法的根拠はないと解されること及び上述した理由から、被請求人の主張は採用することができない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、その余の請求人の主張について判断するまでもなく、その登録は同法第46条第1項の規定により、無効とされるべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2016-06-23 |
結審通知日 | 2016-06-27 |
審決日 | 2016-08-29 |
出願番号 | 商願2004-10147(T2004-10147) |
審決分類 |
T
1
11・
22-
Z
(Y07)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 堀内 仁子 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
小松 里美 酒井 福造 |
登録日 | 2004-07-23 |
登録番号 | 商標登録第4789737号(T4789737) |
商標の称呼 | ネットウクン、ネットークン、ネットウ、ネットー |
代理人 | 夫 世進 |
代理人 | 前澤 龍 |
代理人 | 清原 直己 |
代理人 | 蔦田 璋子 |
代理人 | 黒崎 建人 |
代理人 | 有近 康臣 |
代理人 | 蔦田 正人 |
代理人 | 中村 哲士 |
代理人 | 平野 保 |
代理人 | 富田 克幸 |
代理人 | 三山 峻司 |