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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1318264 
異議申立番号 異議2015-900357 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-12 
確定日 2016-08-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5786743号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5786743号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5786743号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年3月30日に登録出願され、第35類に属する別掲2に記載の役務を指定役務として、同年7月24日に登録査定、同年8月14日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第5号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号について(卵形の図形が一般的に使用されている事実)
本件商標の指定役務中、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、「類似商品・役務審査基準[国際分類第10-2015版対応]によれば、類似と推定する商品の範囲もクロス・サーチを行うものである(甲2)。つまり、一般的な食品である「卵、卵加工品、調味料、菓子及びパン」等の商品と類似と推定されるものである。ここで、一般的な食品である「卵、卵加工品、調味料、菓子及びパン」等の卵関連商品について考察すると、卵型の図形は「卵、卵加工品」や卵を原材料に使用した飲食料品において、一般的に使用されており(甲3)、卵の形状をした商品も多数存在している(甲4)。さらに、卵関連の商品については、その販売促進のための印刷物、ホームページ等で卵形の図形を一般的に使用している(甲5)。加えて、食品業界では、アレルギー表示をよりわかりやすく消費者に伝えるため、アレルゲンである食材をイラストでアイコン化しパッケージに表示する例が多く存在し、卵のイラストもそのような使い方をする例が多くある。
また、上記事実を裏付けるものとして、甲第6号証ないし甲第8号証に示す商標が、特許庁の審査において商標法第3条第1項各号により拒絶査定となっている。
以上の事実に鑑みれば、本件商標は卵形の図形からなるところ、その商品の形状、原材料、品質等を表示するにすぎず、一般の需要者・取引者をして何人かの業務に係る商標であると認識することのできないものである。
以上により、本件商標をその指定役務中「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、卵関連商品の形状・原材料・品質等を認識するにとどまり、自他商品識別標識としての機能を有しないものである。
2 商標法第3条第1項第5号について(卵形の図形が極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標である事実)
本件商標は、黒ベタ塗りした鶏卵に似た楕円形、いわゆる卵形の図形からなるものである。これに接する需要者・取引者は本件商標から直ちに鶏卵を想起するものである。すなわち、我が国の鶏卵の消費量は、メキシコ、マレーシアに続き世界第3位であり、一人当たり年間329個消費するとの統計があること(甲9)、また、一般消費者への流通は殼付き卵がほとんどで、鶏卵の形状は見慣れており、馴染みの深いものであることから、これに接する取引者・需要者は、本件商標から単なる楕円形と受け取るのではなく、直ちに卵形であると受け止め、卵に何らかの関係のある商品や役務を想起するものである。つまり、卵形の図形は日本において極めてありふれている図形であるといえ、その構成も極めて簡単であり、特段特徴的なものではない。
したがって、本件商標は極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」と規定し、同3号において「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十6条第1項第2号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨を定めている。
本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの縦長楕円図形の横部分の形状を、下部から上部に向けて収斂するように変形させた形状からなるものである。
そして、この形状は、鶏卵を黒塗りで描いたシルエット図形と認識する場合があるとしても、特定の商品や、その品質及び役務の質を客観的に表したものとはいえないから、本件商標の指定役務中の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との関係で、その役務の質や内容を具体的に、かつ、普通に用いられる方法で表示するものということはできず、また、役務の「提供の用に供する物」として、小売等役務の取扱商品を表示しているともいえないとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その指定役務の質や内容、又は提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
この点に関して申立人は、「一般的な食品である卵関連商品について、卵形の図形は『卵、卵加工品』や卵を原材料に使用した飲食料品において、一般的に使用され(甲3)、また、卵の形状をした商品も多数存在し、さらに、卵関連の商品については、その販売促進のための印刷物、ホームページ等で卵型の図形を一般的に使用しており、卵形の図形は、商品の形状、原材料等を表示するにすぎず、一般の需要者、取引者をして何人かの業務に係る商標であると認識することができない。」旨を主張している。
しかしながら、上記甲各号証の事例は、鶏卵型の図形の内部に「たまご」、「卵」や「新潟県産 赤卵」などの商品の具体的内容を表す文字や修飾語等が表示されており、鶏卵型の図形を含めて当該部分が全体として自他識別機能を果たすとはいえないとみられる事例(甲3の3、4及び5(鶏卵型の図形内に数字を表したものを含む。)、甲3の10、甲6ないし甲8)、商品の内容を具体的に認識させるとはいい難い事例(甲3の6)、鶏卵型の図形の内部に識別力を有する文字や図形を配することで、鶏卵型の図形を含めて当該部分が全体として自他識別機能を果たし得るとみられる事例(甲3の1及び2、甲2の7ないし9、甲3の11ないし14、甲3の16)である。
また、鶏卵型をした菓子等の商品が存在すること(甲4)は、本件商標の自他役務の識別機能を否定する証左ということはできない。
さらに、甲第5号証の事例は、鶏卵型の図形の内部や周囲に、文字、図形、数字ないし文章が表示されているものであって、鶏卵型の図形そのものが、役務の質や内容を表している証左ということはできず、矩形図形の内部に鶏卵の図形を配した事例(甲5の8)や、鶏卵の図形を装飾図形的に表した図形(甲5の11及び12)についても、これが、役務の質や内容を表している図形ということはできない。
してみれば、卵形の図形を構成要素とする図形であっても、その構成態様によっては、自他役務識別機能を発揮するものとみるのが相当であるから、上記証拠をもって、本件商標の自他役務の識別性を否定する申立人の上記主張は、採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第5号について
商標法第3条第1項第5号は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」と規定しているところ、申立人は、本件商標について、「卵形の図形は日本において極めてありふれている図形である。」旨を主張している。
しかしながら、申立人が提出した甲第5号証をみると、これらは、鶏卵の図形が他の文字や図形と組み合わされて使用されているものが主であって、それが単独で使用されているのは、甲第5号証の11及び12にすぎず、これについても、「げんまんE」、「めざましたまご」(甲5の11)、「まるかね商品一覧」(甲5の12)の文字などとともに表示されており、当該図形のみが単独で、標章として、ありふれて使用されている事例ということはできないものである。
そうすると、卵形の図形は、極めて簡単な図形であるともいえないし、円、三角形、四角形やハート型の図形とは異なり、日常生活においてありふれて使用されるとはいえず、輪郭として一般に用いられるものでもないから、これが極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標ということはできないというのが相当である。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
その他、卵形の図形が、本件商標の指定役務について、ありふれて使用されているということを認めるに足りる証拠の提出はない。
してみれば、本件商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当しない。
3 まとめ
以上、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同第5号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標




別掲2 本件商標の指定役務
第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物及び靴飾りの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,根付その他の身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつ及びおむつカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,入浴剤及び消臭剤(工業用のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ティッシュペーパーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び壁紙の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,絵の具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,お守り・おみくじ・お札及び破魔矢の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯電話機の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,コンピュータの部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯情報端末の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電池の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類並びにそれらの部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貯金箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,あんどん及びちょうちんの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の美術品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,金属製造形品(貴金属製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製造形品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,石製・コンクリート製又は大理石製の造形品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,磁器製・陶器製・土器製又はガラス製の造形品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,風鈴の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花瓶その他の花器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,提手付簡易買物袋の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,装飾用磁石の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書画・額縁及びアートフレームの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真及び写真立ての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,レコード及び録音済み記録媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具・建具及び畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ティッシュペーパー箱カバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,あんか・懐炉及び湯たんぽの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,あんか用・懐炉用及び湯たんぽ用ケースの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ペットボトル用カバー及びペットボトル携帯用ホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,孫の手の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,はがきの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」


異議決定日 2016-08-08 
出願番号 商願2015-28964(T2015-28964) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W35)
T 1 651・ 15- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小俣 克巳 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
清棲 保美
登録日 2015-08-14 
登録番号 商標登録第5786743号(T5786743) 
権利者 奥箱根観光株式会社
代理人 村上 晃一 
代理人 穂坂 道子 
代理人 新井 宏 

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