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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 008
管理番号 1318211 
審判番号 取消2014-300583 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-08-01 
確定日 2016-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4111622号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4111622号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4111622号商標(以下「本件商標」という。)は、「エピレーザー」及び「EPILASER」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成8年1月8日に登録出願、第8類「レーザーまたは高周波を利用した個人用脱毛機」を指定商品として平成10年2月6日に設定登録され、その後、平成19年9月4日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成26年8月18日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
請求人の調査するところによるも、本件商標はその指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されている事実は発見することができなかった。そして、本件商標について、専用使用権及び通常使用権の登録もされておらず、また、専用使用権者又は通常使用権者による使用の事実もない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人が提出した証拠方法によっては、以下のとおり、本件審判の請求の登録前3年(以下「要証期間」という場合がある。)以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品に使用していることが立証されていない。
(1)乙第1号証
乙第1号証は、本件商標の商標公報の写しであるので、本件商標の使用を何ら立証するものではない。
(2)乙第2号証
乙第2号証は、ウェブサイトの打ち出しであるが、これが本件商標の商標権者又は通常使用権者のものであることを何ら立証していない。本件商標には専用使用権が設定されていないので、専用使用権者による使用がされていないことは明らかである。
商標法上の商品とは、市場において取引の対象となるものであるから、その販売を事業として行う事業者、商標法的に言えば、取引者によって取り扱われるのが商品である。
しかるに、乙第2号証は、「中古や未使用のフリマ」というタイトル、「出品者 ゆうき」、「商品の状態 やや傷や汚れあり」の記述から、被請求人が、本件商標が使用されているとしている脱毛器が掲載されているウェブサイトはインターネット上のフリーマーケットであると解するのが自然である。このことから、上記脱毛器は、これを購入した者が個人として販売しようとしたものであり、取引者が市場において取引の対象として販売したものではなく、商標法上の商品ではない。したがって、本件商標は、指定商品に使用されていない。
以上により、乙第2号証は、不使用による取消しを免れることができる本件商標の使用を立証できない。
(3)乙第3号証
乙第3号証には新潟市秋葉区にあるザ・ゴールド ベルシティ新津店がEPILASERエピレーザーを買取した旨の記述があるが、これを商標権者又は通常使用権者が販売した旨は立証されていない。
また、「2014/10/9 PILASERエピレーザーを買い取りさせていただきました。ザ・ゴールド ベルシティ新津店(新潟市秋葉区)」の記述から、買取が予告登録後であることは明らかである。
さらに、「ザ・ゴールド ベルシティ」が貴金属・ダイヤ・時計・ブランド買取専門店であることからして、本件商標が使用されているとした脱毛器を購入した者が個人として同店舗で買い取ってもらったと推測され、このようなものは商標法上の商品ではない。したがって、本件商標は、指定商品に使用されていない。
以上により、乙第3号証は、不使用による取消しを免れることができる本件商標の使用を立証できない。
(4)乙第2号証と乙第3号証との関係
乙第2号証に掲載されている脱毛器と乙第3号証に掲載されている脱毛器とは異なるものなので、両証拠方法を総合的に勘案して本件商標の使用を立証することはできない。
3 口頭審理の陳述及び上申書
(1)乙第4号証
乙第4号証は、楽天のオークションサイトの打ち出しであり、楽天が本件商標に係る通常使用権者であると被請求人は主張しているが、楽天が通常使用権者であったことを立証する通常使用権設定契約書や通常使用権許諾書の写しの提出はなく、被請求人が楽天に対して黙示の使用許諾をしたものと認められる程の資本的ないしは人的な関係があったとはいえない。
また、そのオークションサイトで落札された商品は楽天が被請求人から正規のルートで譲り受けたと主張しているが、この譲渡の事実を証する取引書類が何ら提出されておらず、落札された商品を楽天が被請求人から正規のルートで譲り受けたとはいえない。さらに、落札された商品のオークションサイトの出品者が明示されていないところ、個人のみならず製造業者がその在庫を処分するためにオークションサイトを利用することはあるが、この場合にはオークションサイトの開設者に販売するのではなく、そのサイトに掲載しその手数料を開設者に支払うものであるから、落札された商品は楽天によって販売されたものとはなり得ない。加えて、落札された商品は「中古」であり、すなわち、被請求人は、落札された商品を一旦需要者に販売し、その後その商品を買戻し、その商品をオークションサイトで販売(被請求人の主張によれば、楽天が販売)したことになるが、取引の経験則上、製造業者が一旦販売した自己の商品を買戻し、その商品をオークションサイトで販売することは考えられない。
以上により、乙第4号証は、被請求人又は通常使用権者による本件商標の使用を立証するものではない。
(2)乙第5号証
乙第5号証は、本件商標が使用された商品の修理をしたことを示しているが、商標が使用された商品の修理は商標法第2条第3項に規定する商品についての商標の使用に当たらない。
(3)乙第6号証
乙第6号証は、本件商標が使用された商品の修理の問合せに対して被請求人が回答していることを示しているが、修理の問合せに対して回答することは商標法第2条第3項に規定する商品についての商標の使用に当たらない。
4 総括
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠方法によっては、本件商標が要証期間内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって指定商品に使用されていたことが立証されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。
1 本件商標の使用事実
以下のとおり、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、本件審判の要証期間内に、我が国において、その指定商品「レーザーを利用した個人用脱毛機」について、本件商標を使用している。
(1)本件商標の使用者
本件審判の要証期間内に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用している。
たとえば、乙第2号証には、インターネットのウェブページに、被請求人の製造販売に係る「ヤーマン脱毛器エピレーザーDX」の広告が掲載されており、このウェブページが「2014年7月17日06:43:03 GMTに取得された」ものであることが記載され、このウェブページが取得されたのは、本件審判の請求の登録日前である。
また、乙第3号証には、インターネットのウェブページに、被請求人の製造販売に係る「EPI LASER エピレーザー」の購入者から、2013年12月17日に、ザ・ゴールド・ベルシティ 新津店(新潟市秋葉区)が、「EPI LASER エピレーザー」の転売を受けたことが記載されている(第2ページ参照)。
(2)使用に係る商品
本件審判の要証期間内に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は「エピレーザー」という本件商標が付された脱毛器に関する広告をしている。
この行為が、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものであることは明らかである。
たとえば、乙第2号証の第2ないし第4ページには、「ヤーマン脱毛器 エピレーザーDX」の写真が掲載されており、「ヤーマン脱毛器 エピレーザーDX」はレーザーを用いた個人用脱毛機であり、本件商標の指定商品に該当する。
また、乙第3号証の第1ページには、「EPI LASER エピレーザー」の写真が掲載されており、「EPI LASER エピレーザー」はレーザーを用いた個人用脱毛機であるので、本件商標の指定商品に該当する。
(3)使用に係る商標
たとえば、乙第2号証の第2ページ及び第3ページの写真には、商品である「ヤーマン脱毛器 エピレーザーDX」に「EPILASER DX」の文字が刻印され、「EPILASER」という本件商標が商品に付されている。
さらに、乙第2号証の第4ページの写真には、商品である「ヤーマン脱毛器エピレーザーDX」に取り付けられた銘板に「エピレーザーDX」の文字が刻印され、「エピレーザー」という本件商標が商品に付されている。
また、乙第3号証の第1ページの写真には、転売を受けた商品である「EPILASER エピレーザー」に「EPILASER」の文字が刻印され、「EPILASER」という本件商標が商品に付されている。
(4)商標の使用時期
上述のように、乙第2号証に係るインターネットのウェブページには、このウェブページが「2014年7月17日06:43:03 GMTに取得された」ものであることが記載されており、したがって、本件商標が要証期間内に、日本国内において使用されたことは明らかである。
また、乙第3号証に係るインターネットのウェブページには、2013年12月17日に、ザ・ゴールド・ベルシティ 新津店(新潟市秋葉区)が、「EPI LASER エピレーザー」の転売を受けたことが記載されている(第2ページ参照)。
2 口頭審理の陳述及び上申書
(1)本件商標の使用に係る追加の証拠
ア 乙第4号証は、楽天のオークションサイトの写しであり、「ヤーマンエピレーザーDX脱毛機」のオークションが2013年6月1日10:27に開始され、同年6月3日10:27までに、3,000円で落札されたことが表示されている。被請求人と楽天とは、被請求人が本件商品の製造販売業者であり、ウェブサイトの開設者である楽天は被請求人から正規のルートで本件商品を譲り受けた者であるから、両者の間に何らの関係も認められないとはいえない。また、楽天は、本件商標に係る通常使用権者と解すべきである。
イ 最高裁判所平成15年2月27日判決(フレッドペリー事件)(乙8)によれば、登録商標は出所表示機能と品質保証機能を有しているところ、被請求人は、乙第5号証によれば、要証期間内である平成26年(2014年)5月27日に、顧客の要請に従い、「エピレーザーDx」の修理をし、乙第6号証によれば、要証期間内である2013年8月8日に、顧客の修理要請に対して、「エピレーザーDX」の点検を勧め、本件商標の品質保証機能を果たすことによって、本件商標を使用していることが認められる。
ウ 仮に、本件商標を付した商品の修理が本件商標の使用に該当しないとしても、登録商標には、品質保証機能があるので、特許権とは異なって、登録商標を付した商品を譲渡したときに、商標権は消尽すると解することはできず、登録商標を付した商品の譲受人及び転得者が適法に登録商標を付した商品を適法に転売することができるということを説明するには、商標を付した商品を譲渡する際に、商標権者が商標を付した商品の譲受人及び転得者に黙示的にサブライセンス付きの通常使用権を許諾したものと解するほかに方法がなく、したがって、少なくとも本件商標の転得者である乙第3号証に係るウェブサイトの開設者及び乙第4号証に係るウェブサイトの開設者は、いずれも本件商標権の通常使用権者に該当するので、本件商標は、通常使用権者によって、要証期間内に使用されている。
(2)請求人の主張について
ア 乙第5号証につき、請求人は、修理の対象になった「商品を支配していたのはこれを購入し株式会社コジマ(以下「コジマ」という。)に修理を依頼したものであって、同社に修理を依頼したことによって同社を通じて被請求人に商品の現実の支配が移転されたものではないから、修理後に被請求人からコジマに引き渡されたとしてもこれは商標法の使用である『商品又は商品の包装に標章を付したものの引き渡し』には該当しない」旨主張しているが、この主張は、「引渡し」を所有権の移転と誤って理解し、「引渡し」と「譲渡」を誤認するものである。修理の依頼を受け、コジマから商品の引渡しを受けた時点で、被請求人は商品の上での現実の支配を取得するに至り、修理後の商品をコジマに引き渡すことによって、商品の上での現実の支配をコジマに移転しているから、商標法第2条第3項第2号の文言上、被請求人が本件商標を付した商品の上の現実の支配をコジマに移転し、本件商標を付した商品を引き渡したことは明らかである。
イ 乙第2号証ないし乙第4号証について、請求人は、「『オークション関係者』に対して、被請求人が『本件商標の使用許諾をしたことの立証は何らされていない』旨主張し、被請求人が『オークション関係者』に対して『黙示の使用許諾をしたものと認められる程の資本的ないし人的な関係がこれらの者との間にあったことの立証も何らされていない』」旨主張しているが、被請求人は、本件商標を付した商品を譲渡するに際し、譲受人に対して黙示的にサブライセンス付きの通常使用権を許諾しているという旨を主張しているのであって、「オークション関係者」に対して、明示的に本件商標の使用を許諾したと主張しているわけではないので、「オークション関係者」に対して、被請求人が本件商標の使用許諾をした旨を物証によって証明することを被請求人に求めることは無理を強いるものである。
ウ そして、被請求人が、本件商標を付した商品を譲渡するに際し、譲受人に対して黙示的にサブライセンス付きの通常使用権を許諾し、「オークション関係者」が通常使用権者に該当することは、商標権消尽論を認めた判例は1件もないことから明らかである。
してみれば、商標権者が登録商標を付した商品を譲渡した時点で、商標権者が譲受人に対し、黙示的にサブライセンス付きの通常使用権を許諾したと解する以外に、商標権者が登録商標を付した商品を譲渡した後は、譲受人が当該商標を付した商品を転売しても、その転売行為に商標権の効力が及ばないという解釈を導くことは不可能である。
さらに、請求人は、被請求人が「オークション関係者」に対して「黙示の使用許諾をしたものと認められるためには、被請求人と「オークション関係者」との間に、相当程度の資本的ないし人的な関係があることが必要であると主張している。
しかしながら、黙示の許諾とは、明示的に登録商標の使用を許諾する意思表示がないにもかかわらず、登録商標の使用を許諾する意思表示があったと擬制するものであるから、請求人の主張する解釈は的外れである。
以上のとおり、請求人の主張は、裁判所によって一貫して斥けられてきた商標権消尽論の立場に立つものであり、明らかに失当である。
エ 請求人は、「商標法が取引において商品に商標が使用された結果、当該商品に化体した業務上の信用を保護するものであるから、当該商品は自己の商品として取引の対象となっていなければならない」旨主張し、「商標法は『商標とは業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの』(商標法第2条第1項第1号)と規定しており、この規定から必然的に商標法上の商品が『自己の商品として取引の対象となっている』が必要と解される」旨主張している。
しかしながら、請求人の該主張からは、商標法上の「商標」を定義している商標法第2条第1項第1号の規定から、なぜ、商標法上の商品が「自己の商品として取引の対象となっている」ことが必要であるという結論が導かれるのか全く明らかでない。
これに対して、被請求人は、業として「レーザーまたは高周波を利用した個人用脱毛機」である「エピレーザー」を生産し、譲渡しており、本件商標「エピレーザー EPILASER」は「エピレーザー」について使用しているから、「エピレーザー EPILASER」が商標法第2条第1項第1号にいう「商標」に該当することは明らかであり、請求人の主張は意味不明である。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、指定商品に該当する「ヤーマン脱毛器 エピレーザーDX」に使用されたことは明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用者等について
(1)被請求人は、本件審判の請求の登録(平成26年8月18日)前3年(要証期間)以内に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用しているとして乙第2号証ないし乙第6号証及び乙第9号証ないし第11号証を提出しているので、該証拠について検討する。
(2)乙第2号証は、「メルカリ-ヤーマン脱毛器エピレーザーDX【健康用品】中古や未使用のフリマ」と題するウェブサイトの写し(Googleに保存されている「http://item.mercariapp.com/jp/m332868876/」のキャッシュであり、2014年7月17日06:43:03GMTに取得されたもの)と認められるところ、その表題及びドメイン名に照らし、該ウェブサイトが被請求人である本件商標権者自身によって開設されたものとは認められないばかりでなく、「中古や未使用のフリマ」の開設者と商標権者との関係も一切明らかでない。
しかも、上記ウェブサイトでは、その表題中の「【健康用品】中古や未使用のフリマ」の表示をはじめ、「出品者」、「カテゴリー」、「ブランド」、「商品の状態」、「配送料の負担」、「配送の方法」、「発送元の地域」等の項目下に商品が説明されていることからすると、上記ウェブサイトは特定の商品を所有している者がその商品を出品し販売することを仲介する、いわゆるフリーマーケットと同様のものにすぎず、例え上記ウェブサイトに本件商標を付した商品が掲載されているとしても、商標権者自身が該商品を取り扱っているものとは認められないものであり、上記ウェブサイトの開設者はもとより商品の出品者は、商標権者とは何らの関係も有しない者であって、本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であると認めることは到底できない。
そうすると、上記ウェブサイトをもって本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用しているものとは認められない。
(3)乙第3号証は、「貴金属・ダイヤ・時計・ブランド買取専門店『ザ・ゴールド』」と題するウェブサイトの写しと認められるところ、当該ページにおける「貴金属・ダイヤ・時計・ブランド買取り専門店」、「ザ・ゴールド ベルシティ新津店」、「本日ご紹介のお品物は」、「EPI LASER」、「エピレーザー」、「?買取させて頂きました?」、「もう使わないでしまったままなら」、「THE GOLDへお持ちください!!」、「所在地:新潟県新潟市秋葉区・・・/ベルシティ1F(旧長崎屋)」、「買取商品はご本人様のものに限らせていただきます。」等の記述からすると、上記ウェブサイトは、不要品の買取りを専門とする者によって開設されたものというべきであるから、例え、上記ウェブサイトに本件商標を付した商品が掲載されているとしても、その開設者は、本件商標に係る指定商品について、業として商品を生産し、証明し又は譲渡する者に該当しないばかりでなく、乙第2号証と同様、商標権者とは何らの関係も有しない者であって、本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であると認めることは到底できない。
そうすると、上記ウェブサイトをもって本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用しているものとは認められない。
(4)乙第4号証は、「ヤーマン エピレーザーDX脱毛機-【楽天オークション】」と題するウェブサイトの写しと認められるところ、「現在価格 3,000円・・・このオークションは終了しました・・・」、「残り時間 終了/2013年06月03日10:27終了(自動延長あり)」、「商品状態 中古」、「商品詳細 ヤーマン 家庭用レーザー美容機 エピレーザーDX 中古品動作確認済です。」、「質問 出品者への質問・相談」、「開始時間 2013年06月01日10:27」等の記載があり、楽天が運営するオークションサイトにおいて、商品名を「ヤーマン 家庭用レーザー美容機 エピレーザーDX」とする中古品のオークションが2013年6月1日10:27に開始され、2013年6月3日10:27までに3,000円で落札されたことが推認される。そうすると、上記ウェブサイトは、楽天がオークションを開設、運営し、そこに特定の商品を所有している者がその商品を出品し、販売する場を提供しているものであり、例え上記ウェブサイトに本件商標を付した商品が掲載されているとしても、商標権者自身が該商品を取り扱っているものとは認められず、また、上記オークションの運営者である楽天はもとより商品の出品者は、商標権者とは何らの関係も有しない者であって、本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であると認めることは到底できない。
(5)乙第5号証は、「エピレーザーDX」に関する修理の依頼書の写しとするものであり、その記載内容からすれば、コジマから、平成26年5月22日に、「電源が切れて使えない」という理由で、品名「エピレーザーDx」の修理が依頼され、商標権者の営業本部第三健康機器事業部の担当者がその原因がアダプターの断線にあると判断し、アダプターを交換することによって、平成26年5月27日に修理が完了したことが推認される。
また、乙第6号証は、商標権者作成による、顧客からの本件商品「エピレーザーDX」の修理に係る問合せに関するパーソナルコンピュータの2013年8月8日付けの画面の写しとするものであり、「顧客問合せ【サポート】」のタイトルの下、「2013/08/08」の日付のほか、「製品名:エピレーザーDX」、「購入日:不明」、「購入店:不明」、「不具合内容:電源を入れてもすぐ切れるようになりました。アダプターが悪いのではないかと思いますが、TM-48712を購入出来ますか?」、「対応内容:もし、本体側の不具合だった場合は、アダプター購入しても解消しない可能性あり。また、修理不可の可能性もあるので、まずは点検をご案内済。」等の記載があり、過去に販売された「製品名:エピレーザーDX」について、その購入者から修理に関する相談があったことが推認される。
そうすると、乙第5号証及び乙第6号証は、商標権者が、本件商品の修理依頼及び問合せに対応したことを認め得るにすぎず、いずれも本件商標の指定商品についての使用を証明するものとはいえない。
(6)被請求人は、本件商標が要証期間内に使用されたことは、乙第2号証ないし乙第4号証からも明らかであるとした上で、検索エンジン「Google」「Yahoo」での「epilaser ヤーマン」の検索結果(乙10,乙11)を提出しているが、該証拠は、検索結果のウェブサイトの見出し一覧にすぎず、本件商標に係る商標法第50条第2項所定の要件を証明するものとは認められないものであり、乙第2号証ないし乙第4号証に係る上記(2)ないし(4)の判断を左右するものではない。
2 本件商標の使用に係る「商品」について
商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法第2条3項、第4項所定の行為がされることを要するものというべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第109号及び第117号、平成13年2月28日判決参照)。
これを本件についてみるに、乙第2号証ないし乙第4号証のウェブサイトは、前示のとおり、被請求人とは全く関係のない者によって開設されたものであるばかりでなく、該ウェブサイトに掲載された商品は、商標権者とは無関係の第三者が個別に販売するためのもの、商標権者とは無関係の第三者からの買取事実を示すために掲載されたもの、又は商標権者とは無関係の第三者が運営するオークションの情報を示すものであり、オークション等業務に係る商品を特定するために、「エピレーザー(epilaser)」の表示を使用したものであって、本件商標が商標権者の業務に係る商品の出所を表示するものとして使用されたと認めることはできない。
そうすると、例え、上記各ウェブサイトに本件商標を付した商品が掲載されているとしても、一般市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものとはいえず、該商品は商標法上の商品ということはできない。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれが本件商標をその指定商品について使用していたものとは認められない。
その他、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品について使用されていたものと認めるに足る証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-06-13 
結審通知日 2016-06-16 
審決日 2016-07-01 
出願番号 商願平8-143 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (008)
最終処分 成立  
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 藤田 和美
酒井 福造
登録日 1998-02-06 
登録番号 商標登録第4111622号(T4111622) 
商標の称呼 エピレーザー、エピ 
代理人 牧 哲郎 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
代理人 大石 皓一 
代理人 牧 レイ子 

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