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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1315905 
異議申立番号 異議2015-900112 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-04-09 
確定日 2016-06-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5733192号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5733192号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5733192号商標(以下「本件商標」という。)は,「FlipBelt」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年8月22日に登録出願,第18類「体に巻いて使用するかばん類,体に巻いて使用する袋物,体に巻いて使用する携帯用化粧道具入れ,体に巻いて使用するウエストポーチ」を指定商品として,同年12月24日に登録査定,同27年1月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下,「申立人」という。)が本件登録異議の申し立て理由として引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「FLIPBELT」の欧文字を書してなるものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は,登録異議申立ての理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第33号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものである。
2 引用商標の著名性
(1)引用商標について
申立人は,2012年3月,アメリカ・コロラド州において,マラソンランナーが走行中に携行品を紛失若しくは落下するおそれがない携行品収納用ポーチ(身体密着型ボディーバンド)を考案し,FLIPBELTと命名した(甲7)。
そして,アメリカ合衆国において,携行品収納用ポーチ(物品を持ち運ぶための身体密着型ボディーバンド,以下「申立人商品」という。)について,引用商標の使用を2012年3月15日から開始した(甲3,甲4)。
その後,申立人は,引用商標をアメリカ合衆国における商標の使用実績に基づき(甲5),アメリカ特許商標庁へ2012年6月6日に出願した。
なお,甲第5号証が示す商標の使用者はLevel Terrain Apparel LLC(以下「レベルトレイン社」という。)であるが,レベルトレイン社は申立人及び引用商標の商標権者であるミア・ドゥが代表を務める法人である。
(2)引用商標の使用実績と広く認識された事実
引用商標は,2012年3月15日から申立人商品に使用を開始し,2012年3月17日から2015年6月15日までの間のアメリカにおける売り上げは411,096個を記録した(甲6)。
そして,申立人商品は,全米50箇所のスポーツジム及び600の小売店舗において,紹介記事が発行された2014年7月までの期間で総額400万ドルの売り上げを記録した(甲7)。
また,引用商標を使用した申立人商品はアメリカの多数のメディアにおいて商品の紹介記事等に採用され,少なくとも本件商標の出願日である平成26(2014)年8月22日の時点では,アメリカにおいて需要者の間に広く認識されている商標として確立していた(甲8)。
(3)申立人商品の日本における販売
申立人は,自己が代表を務めるレベルトレイン社を通じ,日本における商品販売のため,Oshman’s japan(以下「オッシュマンズ社」という。)の代理店であるMond Marketing Inc.と2013年8月6日に取引を開始した。その後,オッシュマンズ社は,2013年11月に申立人商品の販売を日本で開始した(甲9)。
また,オッシュマンズ社の店舗ブログは,申立人商品を「細身がゆえにスマートフォンや鍵が収納できない悩みを解消すべく〈LEVEL TERRAIN APPAREL〉の創始者であるMIA DOという女性が開発したアイテムだ。」として,2014年1月7日の記事を掲載している(甲10)。
オッシュマンズ社は,現在も申立人商品を「LEVEL TERRAIN APPARELの創設者であるMIA DOという女性が,必要最低限のモノが入れられて,細身でシンプルなデザイン,更に快適で付け心地が良いウエストポーチがないか追求して作成されました。」との解説を添えて販売を継続している(甲11)。
そして,申立人は,オッシュマンズ社に続き2013年12月25日からRON Corporationと取引を開始し,2014年1月10日に販売促進用の商品サンプルを同社に送付した。RON Corporationは,2014年2月5日にSports Authority Japanと交渉し,販売価格40ドルで試験販売を開始した。
さらに,申立人は,2014年8月8日,Azonixと取引を開始し,インターネットショッピングモールの楽天,伊勢丹,三越及び西武の百貨店,ゼビオスポーツ,ビクトリアスポーツ及び石井スポーツのスポーツ用品専売店並びに2014年大阪マラソン,2014年東京マラソン及び2014年名古屋マラソンの各種イベントを販売拠点,販売チャネルとして,試験販売用の申立人商品を供給する合意をした。
(4)小括
以上のとおり,引用商標は,申立人が開発し,本件商標の出願日(平成26(2014)年8月22日)より先の平成24(2012)年3月15日からアメリカにおいて使用を開始し,その後,アメリカ特許商標庁に出願(同年6月6日)した商標である。したがって,引用商標は,申立人が自己の業務にかかる商品について使用するために独自に考案したものである。
そして,引用商標は,本件商標の出願時である平成26(2014)年8月22日の時点において,アメリカ国内及び日本国内では需要者の間に広く認識されていた商標である。
3 本件商標の商標権者とレベルトレイン社との関係
(1)本件商標の商標権者である株式会社Probityは,2014年4月16日に申立人が経営するレベルトレイン社に接触し,申立人商品の販売を申し入れた。その後,本件商標の商標権者の代表取締役とレベルトレイン社との間でEメールによる交渉が開始された(甲12?甲14)。
(2)2014年5月19日から同月20日のEメールによれば,本件商標の商標権者は,レベルトレイン社に対し,ビジネスパートナーより代理店としての関係構築を希望し,レベルトレイン社が提示した契約には内容検討に1から2週間必要である旨の回答を行った。これに対し,レベルトレイン社は,契約は重要であるが,まずは販売を進行させ,契約に基づかない販売事業の展開を進めることが両当事者にとり重要と考えること。本件商標の商標権者はすでにオンラインマーケティングの高い販売能力を持つことから,ウェブサイトにおける販売を提案した。本件商標の商標権者は,レベルトレイン社の上記提案(契約に基づかないでお互いのインタビューを通じた販売事業の展開を進めること)に合意した(甲15?甲18)。
(3)2014年8月11日から同月19日のEメールによれば,レベルトレイン社から本件商標の商標権者に対し,申立人商品の小売販売箇所の拡大を図るため,本件商標の商標権者以外の者とも協力関係を締結する意向を伝えた。これに対し,本件商標の商標権者は,これまで広告宣伝に多額の投資を行いその結果販売数量を増大させた。日本企業がレベルトレイン社に接触したことは,本件商標の商標権者のプロモーションの結果である。本件商標の商標権者の希望はアマゾンと楽天に対しては独占的に卸売りを行うことであり,この提案は日本における申立人商品の売り上げ拡大に貢献する最も適切な方法である。また,本件商標の商標権者にとってもこれまでに投資コストを回収することができる旨回答したが,双方で合意は得られなかった(甲19?甲23)。
(4)本件商標の商標権者が本件商標を平成26(2014)年8月22日に出願した(甲1,甲2)。
(5)レベルトレイン社が本件商標の登録を発見し,平成27(2015)年4月21日付の内容証明郵便を申立人名義で本件商標の商標権者に通知し,本件商標の自発的放棄等を求めた(甲24)
(6)申立人は,本件商標の商標権者の代理人より,平成27(2015)年5月11日付の回答書を受領した(甲25)。
4 本件商標の不正の目的について
申立人は,本件商標は不正の目的をもって使用するものであるから,登録されるべきではないと考える。そして「不正の目的」の認定にあたっては,次のような事実を十分に勘案する必要がある。即ち,基準イ)引用商標が需要者の間に広く知られている事実(使用時期,使用範囲,使用頻度等) 基準ロ)引用商標が造語よりなるものであるか,若しくは,構成上顕著な特徴を有するものであるか 基準ハ)引用商標の所有者が,我が国に進出する具体的計画(例えば,我が国への輸出,国内での販売等)を有しているか 基準ニ)引用商標が近い将来,事業規模の拡大の計画(例えば,新規事業,新たな地域での事業の実施等を有しているか 基準ホ)本件商標の商標権者より,商標の買取り,代理店契約締結等の要求を受けているかである。
そこで,上記の基準を本件に当てはめて以下検討する。
(1)基準イ)について
上記2のとおり,引用商標のアメリカにおける使用事実及び日本における事情によれば,引用商標は,少なくとも本件商標の出願日である平成26(2014)年8月22日の時点では,アメリカにおいて需要者の間に広く認識されている商標として確立しており,日本においても需要者の間に広く認識されている商標として確立していたことは明らかである。
(2)基準ロ)について
引用商標は,特定の観念を有しない,かつ,本来的に自他商品の識別機能を発揮する造語である。
(3)基準ハ)について
上記2(3)の事実から,申立人は自己が代表を務めるレベルトレイン社を通じ,日本にはすでに申立人商品の販売を実施していた。
(4)基準ニ)について
申立人は,アメリカに加え,ブラジル,カナダ,チリ,中国,オーストラリア,欧州共同体,メキシコ,大韓民国,台湾において引用商標の商標出願を行っている(甲26)。
これらの商標出願若しくは登録の事実が示すとおり,引用商標について近い将来,事業規模の拡大の計画を有していることは明らかである。
(5)基準ホ)について
申立人は,本件商標の商標権者に対する2015年4月21日付通知書において,「本件商標の自発的放棄」を求めた(甲24)ところ,これに対し,本件商標の商標権者が,2015年5月11日付回答書において提示した条件は,異議申立,及び申立人出願の取り下げ,本件商標権の買い取り,買取額は商標権取得にかかった総費用,本交渉などにかかる代理人費用,先に申した小売店の紹介料の合計額,申立人がインターネット販売の独占契約を急に白紙に戻したことによる本件商標の商標権者の損害の負担,という条件を申立人が受諾しなければ交渉の余地はないとするものである。
また,本件商標の商標権者は,本件商標権の取得の経緯は,申立人が独占権を結ぶことを約束しているにも関わらず,商標権の取得もしていないことから自社の利益を保護するために行ったものであり,不正競争の目的はないと主張するが,申立人は本件商標の商標権者と独占権を結ぶことを約束した事実はない。
さらに,本件商標の商標権者が本件商標を出願したのは,レベルトレイン社は本件商標の商標権者を申立人商品の独占販売店として合意締結する意図がないことの表明した2014年8月19日付Eメール交信の僅か三日後の2014年8月22日である。このような交渉の経緯,並びに,事実関係の時間的経緯を鑑みれば,本件商標の商標権者は申立人商品の独占販売代理店の地位を得るべく交渉上有利な法的環境を構築するため,商標出願に及んだものと言わざるを得ない。
5 結語
上記のとおり,本件商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものである。よって,登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人が提出した証拠及びその主張によれば,以下のとおりである。
(1)甲第6号証は,申立人商品の売り上げ個数の一覧表であり,これによれば2012(平成24)年3月17日から2015(平成27)年6月15日の期間において,米国は411,096個,日本は20,346個の売り上げである。
(2)甲第7号証及び甲第8号証は,2015(平成27)年7月16日付け印刷のインターネットのウェブページにおける英語による申立人商品の紹介記事であり,甲第7号証には,申立人商品は,2014(平成26)年7月に全米50箇所のスポーツジム及び600の小売店舗において,総額400万ドルを超える売り上げを記録したとの記載がある。また,甲第8号証の3には「I Want This! $28.99」(私はこれが欲しい! 28.99ドル)の記載が,甲第8号証の5には「THE FLIPBELT FlipBelt V1.1 in Hot...$29.00」(フィリップベルト フリップベルト V1.1 人気商品...29ドル)の記載がある。
(3)甲第9号証は,日本のオッシュマンズ社の代理店と主張するMondo Marketing Inc.に対するレベルトレイン社からの,2013(平成25)年11月6日付けの申立人商品合計280個の送り状であるが,オッシュマンズ社とMondo Marketing Inc.の関係は確認することはできない。
(4)甲第10号証及び甲第11号証は,オッシュマンズ社の2014(平成26)年1月7日付け店舗ブログ及び2015(平成27)年7月13日付け印刷のウェブページであるが,共に申立人商品の紹介記事で有り,記事中には引用商標,レベルトレイン社の社名及び申立人名も記載されている。なお,甲第11号証には,商品の価格として「本体価格 ¥3,200 税込価格性 ¥3,456」の記載がある。
(5)甲第27号証及び甲第28号証は,インターネットのウェブページにおける,日本語による2014(平成26)年7月2日付けの申立商品の紹介記事であり,いずれも本件商標の商標権者により,現在はテスト販売中であり,同年7月よりウェブサイトによって本格販売を開始する旨の記載がある。
(6)甲第29号証は,オッシュマンズ社のウェブサイト「オッシュマンズセレクト」おける,2014(平成26)年1月7日付けの申立人商品の紹介記事であり,記事中には引用商標,レベルトレイン社の社名,申立人名及び「PRICE 3,200円(+税)」の記載がある。
(7)甲第30号証(枝番を含む。)は,レベルトレイン社が日本における販売店に申立人商品を出荷するときに発行した2013(平成25)年10月15日,2014(平成26)年5月20日,同年6月2日及び同年7月28日付けの送り状である。何れの送り状も「Ship To」(送り先)の欄に日本国内の住所の記載が,「Description」(品目)の欄には「FlipBelt Carbon-L」(なお,「Carbon-L」の記載部分は,色彩と商品のサイズの表示と認められ,送り状により異なる。)等の記載が,「Order」(注文)の欄に納品個数として「1」が記載,「Price」(価格)の欄には甲第30号証の1は「$24.99」の,甲第30号証の2ないし4は「$28.99」の記載がある。
(8)甲第31号証は,レベルトレイン社がアメリカにおける販売店に申立人商品を出荷するときに発行した2013(平成25)年11月6日及び同年11月13日付けの送り状である。いずれの送り状も「Ship To」(送り先)の欄にアメリカ国内の住所の記載が,「Description」(品目)の欄には「FlipBelt Black-S」等の記載がされ,「Order」(注文)欄には,甲第31号証の1は合計で280の,甲第31号証の2は「1」の記載が,「Price」(価格)の欄には甲第31号証の1は「$12.99」の,甲第31号証の2は「$28.99」の記載がある。なお,甲第31号証の1は,甲第9号証と同一の送り状である。
(9)甲第32号証は,レベルトレイン社が引用商標を表示した申立人商品に関する広告宣伝活動費及び売上に関する情報である。
ア 広告宣伝費は,2013(平成25)年1月から同12月の期間において,29,398ドル(約332万円)(113円/米ドルで換算),2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,102,599ドル(約116万円)を使用している。
イ 販売促進行事(イベント)に費やした費用は,2013(平成25)年1月から同年12月の期間において,123,182ドル(約1,392万円),2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,140,951ドル(約1,593万円)である。
ウ 自社の広告ウェッブサイトのアクセス件数は,全世界からの件数は,2013(平成25)年1月から同年12月の期間において,316,559回,2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,995,944回であり,日本からの件数は,2013(平成25)年1月から同年12月の期間において,431回,2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,1,154回である。
エ 販売額は,全世界においては2013(平成25)年9月から同年12月の期間において,1,437,650ドル(約1,625万円),2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,2,573,178ドル(約3億円)であり,日本においては,2013(平成25)年9月から同年12月の期間において,3,709ドル(約42万円),2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,27,037ドル(約306万円)である。
オ 日本における販売代理店であるオッシュマンズ社による商品の販売額は,2013(平成25)年1月から同年12月の期間において,3,674ドル(約42万円)であり,本件商標の商標権者による商品の販売額は,2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,26,960ドル(約305万円)である。
(10)甲33号証は,2014(平成26)年7月から同年10月における引用商標を表示した商品に関する売上高に関する情報であり,「TOTAL REVENUES」(総収益)の欄に「2,573,177.80」の記載がある。
(11)判断
上記より,引用商標を使用した申立人商品は,申立人が代表を努めるレベルトレイン社により,米国では2012(平成24)年3月より販売が開始され,日本国内では2013(平成25)年頃から販売が開始され(甲7,甲29),その年間の売上高は,本件商標の出願前1年の2013(平成25)年9月から2014(平成26)年8月の期間で,全世界で約400万ドル,我が国では約3万ドルであったことが認められる(甲32)。また,販売個数については,上記売上高と同じ期間の情報は無いが,申立人商品の小売価格は約30ドルと認められる(甲8の3,5,甲30の2?4,甲31の2)ことから,上記売上高を小売価格で割ると全世界で約13万個,我が国では約1,000個と推認できる。
しかしながら,この売上高,販売個数が,スポーツ用品業界において,どれほどのシェアに相当するのかは確認できない。
次に,引用商標を使用した申立人商品について広告宣伝,販売促進行事(イベント)及び広告のウェブサイトの作成を行っていると主張し,その費用及びアクセス件数を提出(甲32)するが,広告や販売促進行事について,その内容,回数,期間,範囲等を示す証拠の提出はなく,広告のウェブサイトもその内容(引用商標の表示,申立人商品以外の取扱商品の広告も含むのか等)が定かではないことから,アクセス数のみでは引用商品の周知性は判断できないばかりでなく,申立人商品の需要者はランニングを主とするスポーツの愛好者と解されることからすれば,その需要者は我が国及び米国においても相当な人数となることが想定され,本件商標出願の直前である2014(平成26)年1月から同年8月の期間において,全世界から995,944回,日本から1,154回のアクセス回数が当該愛好者数と比較して多いものとも認められない。
さらに,申立人は,引用商標を使用した申立人商品が,アメリカの多数のメディアにおいて商品の紹介記事等に採用されていること(甲8),我が国において2014(平成26)年8月8日,Azonixと取引を開始し,楽天,複数の百貨店,複数のスポーツ用品専売店,2014年大阪マラソン,2014年東京マラソン,2014年名古屋マラソンの各種イベントを販売拠点,販売チャネルとして申立人商品を販売するために試験販売用の商品を供給する合意をした旨も主張するが,甲第8号証として提出された証拠は英文によるインターネットのウェブサイトの6例のみであり,商品の掲載時期も不明であること,我が国において行った楽天,複数の百貨店やスポーツ用品,マラソンイベント等を販売拠点,販売チャネルとすることについても,本件商標の出願日の2週間ほど前に,Azonixと合意に至ったとの主張のみであって,これが実際にいつから,どのような規模で広告及び販売等が実行されたのかを証明する証拠の提出は無い。
他に,引用商標が,本件商標の出願時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国又は外国において広く知られていることを客観的に認め得る証拠もない。
したがって,申立人が提出した証拠によっては,引用商標が,本件商標の出願時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国又は外国において広く知られるに至っていたとは認められない。
2 商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標は,「FlipBelt」の欧文字を標準文字で表した構成態様からなり,引用商標は,上記第2のとおり,「FLIPBELT」の欧文字を横書きして表したものであるから,両者の構成文字は,同一の綴りよりなる類似の商標と認められ,本件商標の指定商品と引用商標が使用される申立人商品は,類似の商品である。
しかしながら,上記1(11)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
そうとすると,本件商標は,商標法第4条第1項第19号の該当性の前提を欠くものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第第19号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-05-31 
出願番号 商願2014-70554(T2014-70554) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 幸一
登録日 2015-01-16 
登録番号 商標登録第5733192号(T5733192) 
権利者 株式会社PROBITY
商標の称呼 フリップベルト、フリップ 
代理人 前田 大輔 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 朝倉 美知 
代理人 中村 知公 
代理人 古岩 信嗣 

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