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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y03
管理番号 1315774 
審判番号 取消2013-300942 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-11-06 
確定日 2016-04-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第1859812号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1859812号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1859812号商標(以下「本件商標」という。)は、「Line」の欧文字と「ライン」の片仮名を二段に横書きしてなり、昭和58年4月1日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年5月30日に設定登録され、その後、平成18年8月9日に、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」を指定商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成25年11月21日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
本件商標は、「Line」(審判注:審判事件弁駁書においては、「LINE」と記載されているが誤記である。)の及び「ライン」の文字を二段書きにした商標である。しかし、被請求人提出の資料は、商品の表面の記載では、「Rubotan」、「LIQUID」及び「ルボタン」という他の記載を含む五段書きであって、商品の裏面の記載では「LINE」の記載がなく「ルボタン ライン」の1段書きであり、二段併記していないから、本件商標そのものを使用していないことは明らかである。
(1)商品の表面の記載
商品の表面には、商品が液状であることを示す品質表示である「LIQUID」の表示を挟んで上部に「Rubotan/LINE」、下部に「ルボタン/ライン」と表示されている(乙1の1)。そうすると、この五段は、「LIQUID」を挟んで上部と下部に二分されるのであって、上部下部ともに、称呼が「ルボタンライン」である商標が、上部においては欧文字にて、下部においては片仮名にて、表示されていると把握すべきである。
以上により、商品の表面には、「LINE」、「ライン」が独立して表示されていると把握することはできない。
これを裏付けるように、商品の裏面には、その最上段に他の文字と比較して大きな文字サイズにて、「ルボタン ライン」の記載が一段で存在し、かつ、「ルボタン」と「ライン」とは同サイズの文字である。これは、「ルボタン」と「ライン」とを一息で読ませる意図での表示であり、「ルボタン」と「ライン」とを独立して読ませる表示ではない(乙1の2)。この表示は、この商品に用いられている商標について、その称呼が「ルボタンライン」である標章であり、取引者、需要者に対して、そのように読ませていることを裏付けるものである。
また、化粧品業界において、会社名を使用して商品名としたり、会社名を付して商標登録をする例が多く存在する(甲1及び甲2)ことからすれば、化粧品であるアイライナーにおいては、会社名をも含めて1つの商標と評価することは自然である。そのため、「ルボタン」は、被請求人のグループ会社である「ルボタン株式会社」(以下、「ルボタン社」という。)の社名と一致するものであり(乙4)、化粧品業界の慣例にならった標章の構成であると考えられるから、この点からも、「ライン」の文字部分が、「ルボタン」の文字とは独立して識別力を発揮しているとはいえない。
さらに、ルボタン社が製造する化粧品の名称(商標)をインターネット上の広告などで確認することができる(甲3)ところ、その中には、「ルボタン」の文字が商品名の中央に位置し、「ルボタン」の文字自身が当該商品の商標の一部を構成していることが明らかな商品がある。
この事実によれば、意図的に商品名(商標)として「ルボタン」の文字を含める習慣がルボタン社にも他の化粧品メーカー同様にあるということであり、本件の商品の場合にも、商品名(商標)として「ルボタン」の文字が含まれている。
そうすると、本件の商品の名称(商標)に含まれる「ルボタン」の文字は、「ライン」の文字と一緒になって一の商標を構成しているとみるべきであって、取引者、需要者にもそのように読ませているのであり、商取引において、両文字によって初めて一つの識別力を発揮するように使用されているといえる。そのため、商取引において「ライン」の文字部分のみで独立の識別力を発揮しているとはいえない。
被請求人は、「欧文字『LINE』と片仮名『ライン』が独立して識別力を発揮する構成・態様で表示」されている根拠として、段落が分かれていることを強調するが、商品の表面の記載は、中心線が一致する態様で記載されており、上下段が全体としてまとまった印象を与えるように構成されている。したがって、単に段落が分かれていることのみをもって、実際の商取引の場面において、独立して識別力を発揮する構成・態様であるとすることはできない。現に被請求人が登録している商標自体が二段書きのものであって、一商標が二段表記にて構成され、取引者、需要者が二段書きの商標を一体に認識することは普通である。
以上の点を考えると、本件の商品の記載は、「Rubotan/LINE」、「ルボタン/ライン」で各々1つの商標である。
そうすると、商品の表面に表された五段の構成中の「LINE」や「ライン」の部分のみを独立して捉えて実際の商取引の実態を無視して形式的に登録商標の使用であると考えることはできない。
以上のとおり、商品の表面の表示を根拠に、社会通念上同一の商標を使用したとはいえない。
(2)商品の裏面の記載
被請求人は、本件商標の使用の根拠として、商品の裏面の記載を挙げているのかは定かではないが、仮に根拠としているとしても、上記(1)と同様に、商品の裏面の記載は、「ルボタン ライン」で1つの商標であると評価すべきであるから、商品の裏面の表示を根拠に社会通念上同一の商標を使用したとはいえない。
3 口頭審理陳述要領書における主張
(1)弁駁書の理由の補足
ア 平成26年7月17日に、被請求人が乙第2号証の販売先とする「株式会社マスダ増(以下「マスダ増」という。)」の店舗において、代理人関係者が店員に対し、アイライナーの商品の「ライン」について質問したところ、商品を特定することができず、商品画像を提示したところ、該店員は「ルボタンならある」として商品を特定できた様子であった(甲4及び甲5)。
また、同日に、代理人関係者が、被請求人が乙第3号証の販売先とする「新世界べにや」に架電し、アイライナーの「ライン」という商品の在庫を確認したい旨聞いたところ、「ラインだけでは、どこの会社かわからない。」、「アイラインのことを『ライン』という。」との反応であった。そこで、「ルボタンライン」という商品と言ったところ、「ルボタンならある」という旨の反応であった(甲6)。
これらの事実は、取引者や需要者を基準とした場合、「ライン」の部分を切り離した場合には識別力がなく、「ルボタン」の部分と結合して初めて識別されることを示している。
イ 売上伝票(乙2及び乙3)における商品名の欄には「ルボタン ライン」と記載されており、他方「ライン」が「ルボタン」と結合せずに記載されている資料がないことから、取引者、需要者の認識は、「ライン」ではなく、「ルボタン ライン」である。
ウ 以上のとおり、被請求人の商品に使用していた商標は、「ルボタン ライン」であり、本件商標とは、社会通念上同一の商標ではない。
(2)被請求人の口頭審理陳述要領書に対する意見
ア 乙第1号証の商品写真について
被請求人は、商品写真の裏面ラベル中の「A33」、「A25」及び「A37」の表示をもって、それらの商品の製造時期、すなわち、商標を付した時期を立証するために、上述の各文字の意味の説明として、ロット番号表示規定(乙8)を提出しているが、同規定は、被請求人の内部での基準であり、また、ロット番号は、機械的・自動的に選択されるものではないため、作為的に番号を変更できる余地がある。このような点からすれば、ラベル中に表示された上述の表示と乙第8号証及び乙第9号証の存在のみをもって、これらの商品の製造時期、すなわち、商標を付した時期が特定されるものではない。
イ 乙第2号証及び乙第3号証の売上伝票について
乙第2号証及び乙第3号証における「ルボタン ライン」という商品と乙第1号証の商品とが同一であることの根拠として、被請求人は、乙第5号証ないし乙第8号証をあげているが、乙第1号証及び乙第5号証ないし乙第7号証の商品裏面ラベルは、貼り替えることも可能であるから、仮にラベル自体が、乙第2号証及び乙第3号証の「ルボタン ライン」なる商品と同一であるとしても、商品自体が同一であるとはいえない。
また、乙第1号証及び乙第5号証ないし乙第7号証の証拠については、譲渡の対象になった商品ではなく、その製造時期も特定できず、さらに、乙第5号証ないし乙第7号証におけるバーコードは、商品名や内容成分が変わらなければ、商品表面の文字の字体の変更などがあっても、同一のバーコードを使用することはあり得るから、バーコードが同一であるという事実をもって、商品表面に乙第1号証と同じ記載があったかは定かではなく、それぞれの商品が同一であるということはできない。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証(売上伝票)をもって、乙第1号証の商品と同一の商品が販売されたことが立証されたとはいえず、かつ、乙第1号証の商品の記載と同一の記載がある商品が販売されたことが立証されたとはいえない。
ウ 乙第4号証の会社案内及び商標法第2条第3項について
法律上は、黙示での通常使用権の設定も認められるとされているが、通常使用権の設定があったのであれば、黙示だとしても、例えば、使用料の支払い等、それを前提にした行動などが存在するはずある。それらの事情が確認されていないにもかかわらず、グループ会社であるとの点のみをもって、黙示での通常使用権の設定が認定されるべきではない。
したがって、株式会社エリザベス(以下「エリザベス」という。)による販売をもって、通常使用権者による販売が立証されたとはいえない。また、被請求人がエリザベスに対して販売した点については、それを直接立証する資料が存在せず、仮に販売の事実が認定できたとしても、販売時期が明確にされていない。
なお、乙第1号証及び乙第5号証ないし乙第7号証の証拠については、現時点で被請求人が所持している商品を被請求人代理人の事務所内で撮影したものであり、譲渡の対象になった商品ではないから、被請求人からエリザベスへの譲渡や引渡しの事実、あるいは、エリザベスから他者への譲渡や引渡しの事実の根拠にはならない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。なお、乙号証において、枝番号を有するものすべてを引用する場合は、以下、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証の商品写真は、3点の商品の表裏の写真である。
商品の表面には、「Rubotan」、「LINE」、「LIQUID」、「ルボタン」及び「ライン」の文字が五段に表されており、二段目には、欧文字「LINE」が太字で大書されている。
したがって、欧文字「LINE」及び片仮名「ライン」が独立して識別力を発揮する構成・態様で表示されており、かかる使用態様は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
商品の裏面は、3点とも、上部に「ルボタン ライン」の表示、並びに「発売元 株式会社エリザベス」、「お問い合わせ先 03(3262)4061」、「製造販売元 株式会社伊勢半」、「東京都千代田区五番町7番地」が表示されている点で共通しており、異なる点は、左から、ラベル中央に、青色で数字「1」、「5」及び「7」が大きく表示されている点、左から「(1)ブラック(アイライナー)」、「(5)カカオ(アイライナー)」、「(7)ブラックツヤナシ(アイライナー)」と表示されている点、並びに最下段に左から「A33」、「A25」及び「A37」の記号が表示されている点である。
(2)乙第2号証の「売上伝票の写し」は、エリザベスの売上伝票の写しである。
「お得意様名」の欄に「(株)マスダ増 森下物流センター」の文字が表示されており、その下段には「KKマスダマス ヨコヤマ ホンテン」とあり、「お得意様住所」の欄には「コウトウク」の片仮名が表示され、「年月日」の欄には、「130313」?「131121」が記載されている。また、例えば、乙第2号証の1において、「商品コード/品名」の欄の一段目には、「4903362100004」、「01」及び「529610」の数字が表示され、二段目に「00」、「AR600」及び「ルボタン ライン」の表示がある。さらに、同第三段目には、「4903362100042」、「07」及び「529610」の数字が、同四段目には「00」、「AR600」及び「ルボタン ライン」の表示があり、それぞれ「数量」、「納品数量」、「単価」及び「金額」の欄に記載がある。
これらにより、エリザベスが平成25年3月13日から同年11月21日までに、東京都江東区の株式会社マスダ増に対し、品名「ルボタン ライン」を販売したことがわかる。なお、「商品コード/品名」の欄の一段目の「01」、及び三段目の「07」は、乙第1号証の商品裏面の数字「1」及び「7」に対応するものであり、一段目に記載の商品が「ブラック(アイライナー)」を意味し、3番目に記載の商品が「ブラックツヤナシ(アイライナー)」であることを意味する。また、このことは、乙第2号証の当該数字が「01」、「05」又は「07」以外にないことからも明らかである。
そして、商品「アイライナー」が、本件商標の指定商品中、「化粧品」に属することは明らかである。
(3)乙第3号証も、売上伝票の写しである。エリザベスが新世界べにや(大阪市浪速区)に対して、2013年(平成25年)3月14日から11月5日までの間に、品名「ルボタン ライン」を販売したことがわかる。
(4)乙第4号証の「会社案内」は、被請求人の会社案内であるが、その9頁に「伊勢半グループの紹介」として、「株式会社エリザベス」が紹介されている。
(5)上記(1)ないし(4)の乙各号証により、被請求人(製造販売元)及び被請求人のグループ会社であるエリザベス(発売元)が、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、商品「アイライナー」について本件商標を使用したことは明らかである。
2 口頭審理陳述要領書における主張
(1)乙第1号証の商品写真について
乙第1号証の商品写真は、要証期間経過後の平成25年12月頃に、被請求人の代理人が同人の事務所において撮影したものであるが、被請求人は、この商品写真だけで、本件商標の使用を証明しようとしているのではなく、乙第2号証及び乙第3号証とともに、本件商標が使用されていることを証明しようとしているのである。
しかし、その証明方法に不足があるため、乙第5号証ないし乙第7号証の商品写真を提出する。
乙第5号証は、商品写真中、左側の商品の裏面ラベルを左側と右側から撮影したものである。その裏面ラベル中、最上部に「ルボタン ライン」の片仮名、その下段に「(1)ブラック(アイライナー)」の文字、ラベル中央部に青色の数字「1」、及びラベル下部に「A33」の文字が表され、それらとともに、バーコード番号「4903362100004」の数字が表されている。
また、乙第6号証は、商品写真中、中央の商品の裏面ラベルを左側と右側から撮影したものである。その裏面ラベル中、最上部に「ルボタン ライン」の片仮名、その下段に「(5)カカオ(アイライナー)」の文字、ラベル中央部に青色の数字「5」、及びラベル下部に「A25」の文字が表されており、それらとともに、バーコード番号「4903362100028」の数字が表されている。
さらに、乙第7号証は、商品写真中、右側の商品の裏面ラベルを左側と右側から撮影したものである。その裏面ラベル中、最上部に「ルボタン ライン」の片仮名、その下段に「(7)ブラックツヤナシ(アイライナー)」の文字、ラベル中央に青色の数字「7」、及び、ラベル下部に「A37」の文字が表されており、それらとともに、バーコード番号「4903362100042」の数字が表されている。
すなわち、乙第1号証の商品写真中、左側の商品は、商品の色彩が「ブラック」の「アイライナー」、中央の商品は、商品の色彩が「カカオ」の「アイライナー」、そして、右側の商品は、商品の色彩が「ブラック艶なし」の「アイライナー」である。
また、乙第1号証の商品写真中、左側の商品裏面ラベルには「A33」の文字及び「4903362100004」のバーコード番号が、中央の商品裏面ラベルには「A25」の文字及び「4903362100028」のバーコード番号が、そして、右側の商品裏面ラベルには「A37」の文字及び「4903362100042」のバーコード番号が表示されている。
なお、乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人の代理人が平成26年7月2日に当該代理人の事務所において撮影したものである。
(2)乙第1号証に係る商品の製造時期(商標を付した時期)及びエリザベスに譲渡、引き渡した時期について
被請求人は、乙第1号証の商品写真の裏面ラベル中の「A33」、「A25」及び「A37」の表示をもって、それらの商品の製造時期、すなわち、商標を付した時期を立証する。
被請求人の「ロット番号表示規定」(乙8)の第5条第1項に「一般製品」のロット番号の表示方法が規定されている。その規定に基づき、上記裏面ラベル左側の欧文字「A」はバルク調整回数が1回であることを、中央の数字は西暦年号の下1桁を、また末尾右側の数字は月を、それぞれ表していることになる。つまり、それらのロット番号は、商品写真中、左側の商品「ブラックのアイライナー」が平成25年(2013年)3月に、中央の商品「カカオのアイライナー」が同24年(2012年)5月に、そして、右側の商品「艶なしブラックのアイライナー」が同25年(2013年)7月に、バルク調整を終了し、商標が付された容器にそれぞれ充填されたことを意味する。
なお、乙第1号証の商品包装用容器の裏面ラベルが、平成14年(2002年)又は同15年(2003年)等ではなく、同24年(2012年)及び同25年(2013年)のものであることを立証するために、その版下校了の写しを提出する(乙9)。そこには、校了年月日「08・7・4」とあり、また、手書きで「2008.7.4」とあることから、同20年(2008年)に校了されたものであることがわかる。
したがって、上記ロット番号「A33」、「A25」及び「A37」は、校了後である平成25年(2013年)3月、同24年(2012年)5月、及び、同25年(2013年)7月に、それぞれバルク調整を終了し、商標を付した容器に充填されたものであることを意味する。
被請求人は、「ルボタン ライン」を販売名とする化粧品製造販売届書を平成21年(2009年)3月26日に東京都知事に提出している(乙10)。そして、その届出書において、その商品の「秤量、混合、保管」をするのが被請求人の「水海道工場」(茨城県常総市)、その商品の「充てん、包装、表示、保管」をするのが被請求人の「川口分工場」(埼玉県川口市)等であることを届け出ている。つまり、「ルボタン ライン」を販売名とする化粧品は、茨城県常総市に所在する被請求人の水海道工場で秤量・混合され、その後、埼玉県川口市に所在する被請求人の川口分工場で充てん・包装・表示がなされる。
(3)乙第2号証及び乙第3号証の「売上伝票」について
乙第2号証の1の「売上伝票」の表のうち、「1」の段の「商品コード/品名」の上欄の「4903362100004」、「01」及び「529610」の記載中、「4903362100004」の数字は、乙第1号証の商品写真中、左側の商品裏面ラベルのバーコード番号と同一であり、かつ、「01」の数字は、裏面ラベル中央の青色の数字「1」と実質的に同一である。また、乙第2号証の1の「売上伝票」の表のうち、「2」の段の「商品コード/品名」の上欄の「4903362100042」、「07」及び「529610」の数字中、「4903362100042」の数字は、乙第1号証の商品写真中、右側の商品裏面ラベルのバーコードと同一であり、かつ、「07」の数字は裏面ラベル中央の青色の数字「7」と実質的に同一である。なお、「529610」の数字に関しては、エリザベスの「商品・在庫マスタ」(乙11)の15行目から18行目まで、「商品コード」として「529610」が表示されており、「色」として「01」、「05」、「06」及び「07」がある。そして、それらの「商品名」として「AR600 ルボタン ライン」が記載されている。
すなわち、「526910」の数字は、エリザベスの使用する「商品コード」であり、この商品コードは、「ルボタン ライン」の商品を意味する。 また、エリザベスの「商品・在庫マスタ」から、「商品名」が「AR600 ルボタン ライン」である商品が「平成20年(2008年)1月8日」に「商品・在庫マスタ」に登録され、「01」(ブラック)、「05」(カカオ)及び「07」(ツヤナシブラック)の色彩を有する商品「アイライナー」が同年4月9日に初出荷されたことがわかる。
乙第12号証は、エリザベスの2013年8月分ないし10月分の「仕入及び仕入戻し月報」である。この月報は、エリザベスが被請求人から仕入れた商品情報を記録したものであり、エリザベスが仕入れることによって、被請求人の売上になることを示したものである。
これらの商品は、被請求人の川口分工場で充てん・包装・表示された後、埼玉県さいたま市のトナミ運輸株式会社内に所在する被請求人の浦和物流センター(乙13)に納品され、その後、顧客から、発売元であるエリザベスに対し、商品の注文があって出荷をすると、その時点で、商品の所有権が被請求人からエリザベスに移転し、被請求人の売上げになるという仕組みである。
(4)エリザベスが通常使用権者であることについて
使用許諾契約は、契約自由の原則、特に、契約方式自由の原則に基づき、黙示の意思表示によって成立することが許容されているところ、エリザベスは、乙第4号証の会社案内にあるとおり、被請求人を中心とする伊勢半グループの一員である。
したがって、被請求人による黙示の使用許諾により、エリザベスが本件商標の通常使用権者であることは明らかである。
また、乙第1号証の商品ラベル裏面には、「発売元」として、「株式会社エリザベス」の表示が、また「製造販売元」として、被請求人である「株式会社伊勢半」の表示がある。
したがって、これらによっても、被請求人が製造販売元であって、その関連会社であるエリザベスが発売元である商品「アイライナー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる欧文字「LINE」が要証期間内に使用されたことは明らかである。
(5)商標法第2条第3項の規定との関係について
被請求人である商標権者は、要証期間内である平成24年(2012年)5月、同25年(2013年)3月、及び同年7月に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品「アイライナー」(以下「使用商品」という。)の包装に付し、本件商標の通常使用権者であるエリザベスに対し、要証期間内に、使用商品の包装に本件商標を付したものを譲渡し又は引き渡し、かつ、本件商標の通常使用権者であるエリザベスは、顧客であるマスダ増及び新世界べにやに対し、本件商標を付した使用商品を、要証期間内に、譲渡し又は引き渡したことは明らかである。
したがって、かかる行為は、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当するものである。
(6)請求人の主張に対する反論
請求人は、被請求人の提出した乙各号証は、「Rubotan\LINE」及び「ルボタン\ライン」がそれぞれ一つの商標と評価でき、「LINE」及び「ライン」が独立して表示されていないから、社会通念上同一の商標ということはできないと主張している。
しかし、乙第1号証の1として提出した商品写真中、商品の包装瓶の正面中央に、その上段に表された「Rubotan」の欧文字と、書体を異にし、かつ、全て大文字で表された欧文字「LINE」が、肉太に大書されているから、これに接する取引者、需要者は、当該「LINE」をもって、独立した識別標識として認識、理解し得るところであり、それが欧文字「Line」及び片仮名「ライン」を上下二段に併記してなる本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
また、請求人は、化粧品業界においては、会社名を冠した商標が多数使用されており、それらの商標は全体として一つの識別標識として機能している旨、主張しているが、請求人の甲第2号証の1以降の甲号証の多くは、さほど識別力が強くない語と、識別力が強い商号商標とを組みわせたものであり、さほど識別力が強くない語を含む、これらの商標を容易に登録するための便法として利用されている方法にすぎず、むしろ、商標の構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成全体によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあることは、経験則の教えるところである。
したがって、会社名を冠した商標は、必ずしもその全体構成が一つの識別標識として機能するとは限らず、会社名以外の構成部分が独立して識別力を発揮する場合があることは明らかである。
(7)まとめ
以上述べたとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、商標権者及び通常使用権者が、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品「アイライナー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明している。
3 上申書における主張
(1)乙第15号証は、平成26年7月25日付けの、池田印刷株式会社代表取締役による証明書である。これにより、要証期間内に、乙第1号証等の商品の表面ラベルが被請求人に納品されたことを立証する。
乙第1号証等の商品の表面ラベルは、多くの販売業者等のウェブサイトにおいて展示され又は表示されている(乙16ないし乙21)。取り分け、ビバショップ(BIBA SHOP)下北沢における商品写真及び「リキッドアイライナーの長寿製品で多くの方々に愛用されています。」との説明文(乙19)、要証期間内の2012年11月19日付けのブログ写真及び「右に見えるのは『ルボタンライン』というアイラインを引く化粧品です。」とのブログ(乙20)、並びに大阪 桂や「桂やおすすめ商品」における商品写真及び「特に7番のつや消しは昔から舞台関係者の間で使用されてきました。」との説明文(乙21)から、乙第1号証等のラベルを付した使用商品が長年に亘り製造販売されていることが容易に推認できる。
(2)乙第22号証は、エリザベスの代表取締役による平成26年8月13日付けの証明書であり、乙第12号証の1ないし3として添付された「13年8月分仕入及び仕入戻し月報(写し)」、「13年9月分仕入及び仕入戻し月報(写し)」及び「13年10月分仕入及び仕入戻し月報(写し)」が、エリザベスによって作成されたものであることを立証する。
(3)乙第5号証ないし乙第7号証、乙第9号証及び乙第10号証に表示されている株式会社伊勢半の住所が「東京都千代田区五番町7番地」であるのに対し、乙第4号証及び乙第13号証に表示されている株式会社伊勢半の住所が「東京都千代田区四番町6-11」と相違しているのは、前者が登記上の住所であるのに対し、後者が実際の本店所在地であるからである。乙第23号証は、NPO法人神田学会が運営するウェブサイト「KANDAアーカイブ」の「百年企業のれん三代記」第38回「株式会社伊勢半」に関する記事であり、記事中、3頁の「昭和34〔1959〕年に五番町、そして平成10〔1998〕年に今の四番町に本社を移しています。」との記事、及び4頁の写真(【『KISS ME』が掲げられた五番町当時の本社】)を提出する。
すなわち、昭和34年に現在の登記上の住所に移転をし、その後、平成10年に本社を四番町に移転しているが、登記上の住所は、五番町のままになっている。
したがって、各乙号証の株式会社伊勢半は同一人である。

第4 当審の判断
1 被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標をその請求に係る指定商品中、「化粧品」の範ちゅうに属する「アイライナー」に使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第23号証を提出しているところ、その乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、商品の写真であるところ、乙第1号証の1には、いずれも「Rubotan」、「LINE」、「LIQUID」、「ルボタン」及び「ライン」の文字を五段に横書きしてなる標章(以下「使用商標」という。別掲参照)が付された3個の商品が、また、乙第1号証の2には、それぞれ「ルボタン ライン」、「(アイライナー)」の文字が表示され、左から青字で「1」、「5」及び「7」の数字並びに最下部に「A33」、「A25」及び「A37」の記載があるラベルが貼付されている。
(2)乙第2号証は、「お得意様名」を「(株)マスダ増 森下物流センター」とする、2013年3月13日から同年11月21日までの日付が付されたエリザベスの「売上伝票」の写しであり、「商品コード/品名」の欄には「4903362100004 01 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙2の1、2、4及び5ないし12)、「4903362100028 05 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙2の3、7ないし9及び12)並びに「4903362100042 07 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙2の1ないし10)の記載がある。
(3)乙第3号証は、2013年3月14日から同年11月5日までの日付が付された「お得意様名」を「新世界べにや」とするエリザベスの「売上伝票」の写しであり、「商品コード/品名」の欄には「4903362100004 01 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙3の1ないし13)、「4903362100028 05 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙3の1、2、4ないし6、9、12及び13)並びに「4903362100042 07 529610」及び「AR600 ルボタン ライン」(乙3の1のないし13)の記載がある。
(4)乙第4号証は、株式会社伊勢半の「会社案内」の抜粋の写しであり、企業沿革の項に「1998 千代田区四番町に新本社ビル竣工、五番町ビルより本社機能を移設。」(8頁)、「伊勢半グループの紹介」の項に「ELIZABETH 株式会社エリザベス」の表示がある(9頁)。また、「ISEHAN GROUP DATA」の項に「株式会社伊勢半」として「本社 東京都千代田区四番町6-11」、「業務内容 メイクアップ化粧品、基礎化粧品、医薬部外品など化粧品全般の製造・販売」の記載があり、「株式会社エリザベス」として「本社 東京都千代田区四番町6-11」、「電話 03-3262-4061」の記載があり、さらに、裏表紙には、「株式会社 伊勢半 東京都千代田区四番町6-11」の記載がある。
(5)乙第5号証は、乙第1号証の商品写真中、左側の商品の裏面の写真であり、青字の「1」の数字、「ルボタン ライン」、「(1)ブラック<アイライナー>」の表示及び「発売元」として、「株式会社エリザベス」、「お問い合わせ先」として「03(3262)4061)」、製造販売元として「株式会社伊勢半 東京都千代田区五番町7番地」の表示(乙5の1)、及びバーコード番号として「4903362100004」(乙5の2)の記載がある。
(6)乙第6号証は、乙第1号証の商品写真中、中央の商品の裏面の写真であり、青字の「5」の数字、「ルボタン ライン」、「(5)カカオ<アイライナー>」の表示及び「発売元」として、「株式会社エリザベス」、「お問い合わせ先」として「03(3262)4061)」、製造販売元として「株式会社伊勢半 東京都千代田区五番町7番地」の記載(乙6の1)、及びバーコード番号として「4903362100028」(乙6の2)の記載がある。
(7)乙第7号証は、乙第1号証の商品写真中、右の商品の裏面の写真であり、青字の「7」の数字、「ルボタン ライン」、「(7)ブラックツヤナシ<アイライナー>」の表示及び「発売元」として、「株式会社エリザベス」、「お問い合わせ先」として「03(3262)4061)」、製造販売元として「株式会社伊勢半 東京都千代田区五番町7番地」の表示(乙7の1)、及びバーコード番号として「4903362100042」(乙7の2)の記載がある。
(8)乙第8号証は、「ロット番号表示規定」の表題の書面の写しであり、被請求人の主張によれば、使用商品の裏面最下部の「A33」、「A25」及び「A37」は製造時期を示すものであり、そのことを証するものであるところ、「ロット番号の表示方法」として、「第5条 一般製品」には「A57」の表示において、「A」は「バルクの調整回数を表す。」、「5」は「西歴年号の下1桁を表す。」及び「7」は「月を表す。」と記載されている。
(9)乙第9号証は、「株式会社伊勢半」の文字がある「裏面ラベル版下校了」の写しとされるものであるところ、「ルボタン ライン」の文字が上部に表示された、乙第5号証の商品の裏面ラベル3枚を含む4枚のラベルが表示されており、その下部には、手書きで「2008.7.4」の記載がある。
(10)乙第10号証は、被請求人が東京都知事宛に提出した、平成21年3月26日付け「化粧品製造販売届書」の写しであるところ、「販売名」の項に「ルボタン ライン」と記載されている。
(11)乙第11号証は、エリザベスの「商品・在庫マスタ 生産・開発用」の写しとされるものであるところ、「商品名」欄の15、16及び18行目には「AR600 ルボタン ライン」、「色」欄には、それぞれ「01」、「05」及び「07」の記載がある。
(12)乙第12号証は、被請求人の主張によれば、エリザベスが被請求人から仕入れた商品情報を記録した2013年8月分ないし同年10月分の「仕入れ及び仕入れ戻し月報」の写しであるところ、各乙号証には「AR600 ルボタン ライン」の記載がある。
(13)乙第15号証は、池田印刷株式会社代表取締役の押印がされた平成26年7月25日付けの「証明書」であるところ、株式会社伊勢半の依頼により商品の表面ラベル及び裏面ラベルを作成・納品しており、平成25年3月、5月及び12月に表面ラベルを10,000枚づつ,計30,000枚、裏面ラベルを、それぞれ7,000枚、2,000枚及び5,000枚の合計14,000枚納品した旨の記載があり、該書面に表示されている商品の写真は、「Rubotan」、「LINE」以外の文字が不鮮明であるもののその形状、色彩等から乙第1号証の1と同一の商品といえるものである。
(14)乙第16号証ないし乙第21号証は、使用商品を紹介するウェブサイトであるところ、各乙号証には、品名や商品の名称として「ルボタンライン」の記載がある。
(15)乙第23号証は、NPO法人神田学会が運営する「KANDAアーカイブ:百年企業のれん三代記」の表題のウェブサイトであるところ、「第38回 株式会社伊勢半」の見出しの下、その第3頁目には「昭和34(1959)年に五番町、そして平成10(1998)年に今の四番町に本社を移しています。」及び「株式会社伊勢半 千代田区四番町6-11」の記載がある。
2 上記1において認定した事実によれば、次のことが認められる。
(1)使用商品の表面には、「Rubotan」、「LINE」、「LIQUID」、「ルボタン」及び「ライン」の文字を五段に横書きしてなる商標(使用商標)が表示されていること、使用商品の裏面には、「ルボタン ライン」の文字、「(アイライナー)」の文字、左から最下部に「A33」、「A25」及び「A37」の表示がある(上記1(1)、(5)ないし(8))。
また、使用商品の裏面に、製造販売元として被請求人の名称及び住所、発売元としてエリザベスの名称、電話番号が表示されていること、該電話番号は、会社案内におけるエリザベスの電話番号と同一である(上記1(4)ないし(7))。
(2)使用商品の裏面のバーコード番号「4903362100004」、「4903362100028」及び「4903362100042」の商品が、2013年3月13日から同年11月21日の間に「マスダ増」に、2013年3月14日から2013年11月5日の間に「新世界べにや」にエリザベスから販売された(上記1(2)、(3)及び(5)ないし(7))。
(3)使用商品の表面及び裏面のラベルは、平成25年3月、5月及び12月に、池田印刷株式会社から被請求人に納品された(上記1(13))。
3 判断
(1)使用に係る商品について
本件商標の使用商品は、「アイライナー」であり、該商品は本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧品」の範ちゅうに属するものである。
(2)使用権者及び使用時期について
ア 上記2(1)によれば、使用商品の表面及び裏面用のラベルが、被請求人に平成25年3月、5月及び12月に納品され、その裏面用ラベルには、製造販売元として被請求人の名称及び住所が記載されているところ、該ラベルを付した使用商品が平成25年3月、5月及び12月に製造されたと認められることから、同時期に被請求人が使用商品の包装に使用商標を付していたといえる。
イ 上記2(1)によれば、エリザベスは、被請求人を中心とする伊勢半グループに属する会社であること、使用商品の裏面には、発売元としてエリザベスの名称、電話番号が表示されているところ、該電話番号は、会社案内のエリザベスの電話番号と同じであるから、使用商品の発売元であるエリザベスは、伊勢半グループに属するエリザベスと同一人といえる。
そして、使用商品の裏面に製造販売元の被請求人の表示と並べて発売元としてエリザベスの表示がされていることも勘案すれば、エリザベスと被請求人の間に、本件商標のエリザベスによる使用について黙示の使用許諾があったといえるものであり、エリザベスは、本件商標の通常使用権者と認めることができる。
また、エリザベスが、使用商品を平成25年3月14日から同年11月21日の期間に、「マスダ増」及び「新世界べにや」に包装に使用商標を付した使用商品を譲渡又は引き渡したことが認められるところ、上記期間は、要証期間内である。
(3)本件商標と使用商標について
ア 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「Line」の欧文字と「ライン」の片仮名とを二段に横書きした構成からなるものであるところ、その構成中の下段の「ライン」の文字部分は、上段の「Line」の欧文字の表音と認められることから、「ライン」の称呼が生じ、「Line」の欧文字が「線、系列」等の意味を有する平易は英語であるから、「線、系列」の観念を生じるものである。
イ 使用商標について
使用商標は、別掲のとおり、「Rubotan」の欧文字を最上段に大きく、その下部に該文字よりやや大きく「LINE」の欧文字を配し、その下部に「LIQUID」の欧文字、「ルボタン」及び「ライン」の片仮名を上段の二段に比べ小さく三段に表してなるものである。
そして、その構成中の「LIQUID」の文字部分は、上段の2つの欧文字より極めて小さな文字で、異なる書体で表されており、商品が「液状」であることを表示する語と認識されるものであるから、それ自体は自他商品の識別力がないものであることからすれば、使用商標において自他商品の識別標識として機能するのは、「LIQUID」の文字部分を捨象した部分といえる。使用商標は、その構成中の、上部二段の「Rubotan」と「LINE」の欧文字部分は、書体及び大きさが多少異なってはいるものの、何れも通常に用いられる書体からなるものであって、下段二段にその表音といえる片仮名が同書、同大をもってまとまりよく併記され、該文字部分全体から生じる「ルボタンライン」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものであることを勘案するならば、上部二段の「Rubotan」及び「LINE」の欧文字部分と下部二段の「ルボタン」及び「ライン」の片仮名部分が自他商品識別のための要部というべきであり、しかも、その全体として特定の意味合いを想起させない造語といえるものである。
してみれば、使用商標の識別標識として機能する商標は、「ルボタンライン」の称呼のみを生じ、特定の親しまれた意味合いを想起させない造語といえるものである。
ウ 本件商標と使用商標の同一性について
本件商標から、上記アのとおり、「Line」の欧文字と「ライン」の片仮名とを二段に横書きした構成からなるものであり、「ライン」の称呼が生じ、「線、系列」の観念を生じるものである。
他方、使用商標のうち、識別標識として機能するのは、上記イのとおり、「Rubotan」及び「LINE」の欧文字部分と「ルボタン」及び「ライン」の片仮名からなるものであり、これより、「ルボタンライン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
そこで、本件商標と使用商標とを比較するに、両商標は、その構成文字において明らかな差異があり、また、その称呼及び外観においても、同一とはいえないものである。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
イ その他の乙号証について
被請求人の提出したその他の乙各号証、例えば、商品の裏面の写真、売上伝票等の取引書類、化粧品製造販売届書及び使用商品を紹介するウェブサイトにおいて「ルボタン ライン」又は「ルボタンライン」の文字が使用されていた事実は認められるものの、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを認め得る証左は見い出せない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、被請求人(商標権者)及び通常使用権者は、要証期間内に、使用商標を請求に係る指定商品中「化粧品」の範ちゅうに属する「アイライナー」に使用したと認められるものの、その使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないものであり、本件商標と社会通念上同一の商標の使用を証明したということはできない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を使用をしていたことを証明していないものといわざるを得ず、また、被請求人は、その使用をしていないことについて正当な理由があると述べるものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録
を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)




審理終結日 2015-07-29 
結審通知日 2015-07-31 
審決日 2015-08-21 
出願番号 商願昭58-28415 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y03)
最終処分 成立  
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 1986-05-30 
登録番号 商標登録第1859812号(T1859812) 
商標の称呼 ライン 
代理人 古関 宏 
代理人 工藤 一郎 
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