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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W25
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W25
審判 査定不服 観念類似 登録しない W25
管理番号 1315727 
審判番号 不服2015-11044 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-10 
確定日 2016-05-11 
事件の表示 商願2013-86224拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成25年11月1日に登録出願されたが,その指定商品については,原審における同26年7月17日付け手続補正書及び当審における同27年6月10日付け手続補正書により,最終的に,第25類「被服,ティーシャツ,ウォーキングショーツ,ショーツ,スウェットパンツ,スウェットシャツ,水着,浴衣,ジャケット,フリースジャケット,フリース製シャツ,フリース製スウェットシャツ,スポーツ用のウェットスーツ(潜水用のものを除く。),ベルト,ジーンズ製ズボン,スラックス,ズボン及びパンツ,ワイシャツ類及びシャツ,織物製シャツ,ニットシャツ,トップス,ボトムス,ホルターネック型の上着,ブラウス,タンクトップ,スカート,ドレス,サロン,水着用カバーアップ,下着,ジャンパー,ジャンプスーツ,オーバーオール,パーカ,靴下,帽子,履物」と補正された。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)ないし(4)のとおりであり,その商標権はいずれも現に有効に存続している。
(1)登録第880458号商標(以下「引用商標1」という。)は,「フアントム」の片仮名を横書きしてなり,昭和43年11月18日登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同45年11月19日に設定登録され,その後,平成13年4月11日に指定商品の書換登録がなされた結果,指定商品については,第25類「履物」とされた。
(2)登録第1011003号商標(以下「引用商標2」という。)は,「PHANTOM」の欧文字を横書きしてなり,昭和43年12月20日登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同48年5月1日に設定登録され,その後,平成5年2月1日の商標権一部取消し審判の確定登録,同16年8月25日に指定商品の書換登録がなされた結果,指定商品については,第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具」,第9類「ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター」,第25類「運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」及び第28類「運動用具」とされた。
(3)登録第2490442号商標(以下「引用商標3」という。)は,「PHANTOM」の欧文字と「ファントム」の片仮名を上下二段に書してなり,平成2年12月15日登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同4年12月25日に設定登録され,その後,同16年1月28日に指定商品の書換登録及び同24年10月9日に区分を減縮する存続期間の更新登録がなされた結果,指定商品については,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とされた。
(4)登録第2661854号商標(以下「引用商標4」という。)は,「PHANTOM」の欧文字と「ファントム」の片仮名を上下二段に書してなり,平成2年12月15日登録出願,第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同6年5月31日に設定登録され,その後,同17年1月19日に指定商品の書換登録がなされた結果,指定商品については,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,ボタン類,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とされた。
(以下,これらをまとめていうときは,「引用商標」という場合がある。)

3 当審の判断
(1)商標の類否判断
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(昭和43年最判参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(昭和38年最判,平成5年最判,平成20年最判,知財高裁平成26年(行ケ)第10122号同年10月27日判決参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
ア 本願商標は,別掲のとおり,図形と文字との結合商標である。
そして,当該図形部分は,左に開いた三日月状の図形とこれを左右反転させた図形をややスペースを空けて左右対称になるように配したものであり,直ちに特定の事物を想起させない図形であるから,これからは特定の称呼及び観念が生じないものである。
一方,当該文字部分は,「phantom」の文字を横書きしてなるところ,この構成文字が「幽霊,お化け」を意味する英語(講談社ハウディ英和・和英辞典第4版)として知られていることを踏まえれば,これからは,「ファントム」の称呼を生じ,「幽霊,お化け」の観念を生じる。
イ 本願商標は,上記アのとおり,図形部分と文字部分とは視覚上明確に分離されており,構成上からは図形部分と文字部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見出せない。また,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生じないものであるのに対し,文字部分からは,「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念を生じるものであるから,両者は,称呼及び観念的にも密接な関連を見いだせない。そうすると,本願商標は,その構成中,図形部分と文字部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって,本願商標を構成する「phantom」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
(3)引用商標
ア 引用商標1は,上記2(1)のとおり,「フアントム」の片仮名を横書きしてなるところ,「ファン」「フィルム」「フェルト」等は,「フアン」「フイルム」「フエルト」と書く慣用もあることから(内閣告示第二号「外来語の表記」留意事項その2(細則的な事項)5注2参照),「フアントム」と表記されていても,これよりは「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念を生じるというのが相当である。
イ 引用商標2は,上記2(2)のとおり,「PHANTOM」の欧文字を横書きしてなるところ,これからは「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念が生じる。また,引用商標3及び引用商標4は,上記2(3)及び(4)のとおり,「PHANTOM」の欧文字と「ファントム」の片仮名を上下二段に書してなるところ,下段の「ファントム」の文字は,上段の「PHANTOM」の文字の読みを特定しているものというべきであるから,それぞれ「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念を生じるというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標の類否
上記(2)のとおり,本願商標は,その構成中の「phantom」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
そこで,本願商標の要部である「phantom」の文字部分と引用商標とを対比すると,両者は,外観において相違するとしても,「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念が同一であるから,これらを総合勘案すれば,互いに類似する商標というべきである。したがって,本願商標と引用商標も類似する商標となる。
そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
(5)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,引用商標1から生ずる称呼は「フアントム」のみであり,観念は生じない旨主張するが,上記(3)アで認定したとおり,引用商標1からは「ファントム」の称呼及び「幽霊,お化け」の観念を生じるというのが相当である。
イ 請求人は,本願商標の図形部分は,英文字「h」を図案化したロゴであって,本願商標の指定商品が取り扱われる業界においては,請求人を示すものとして広く浸透しているといえ,また,同構成中の「phantom」は商品の素材を表すものであり,需要者に対し商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないことからすれば,当該ロゴ部分が,取引者,需要者に対し商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえること,また,本願商標は外観上まとまり良く一体的に表された一個のロゴマークとして看取されるものであって,本願商標に接する取引者・需要者は,本願商標を一体不可分の商標として認識し把握すると解するのが自然であることから,本願商標に接する取引者・需要者は,本願商標を全体として捉えるか,分離観察が行われたとしても,当該ロゴ部分が,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるため,「phantom」の文字部分のみをもって称呼・認識されることはない旨主張する。
しかしながら,本願商標の図形部分が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において広く知られていると認められる証拠の提出はない。
また,「phantom」の文字が商品の素材の名称として使用されている例があるとしても,それだけでは直ちに,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,当該文字が商品の素材の普通名称となっているとは認めることができないばかりでなく,このような事情を認めるに足りる証拠の提出もない。そして,本願商標は,その構成中の「phantom」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものであることは,上記(2)で認定したとおりである。
ウ 請求人は,当庁において,本願商標のような需要者において広く知られている商標と他の構成要素とが結合した商標について,著名商標以外の構成要素が共通しても並存登録を認めた例があるとし,これら併存登録例と異なる取扱いを受ける理由は存在しない旨主張する。
しかしながら,本願商標の図形部分が,本願商標の指定商品を取り扱う業界において広く知られていると認められる証拠の提出がないのは上記のとおりであり,かつ,請求人が挙げる事例は,いずれも本願商標の構成態様とは異なっている。また,そもそも,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた商標登録の例などがあるからといって,本願商標も必ず登録されるものであるということにはならない。
エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(7)むすび
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)




審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-21 
出願番号 商願2013-86224(T2013-86224) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W25)
T 1 8・ 261- Z (W25)
T 1 8・ 262- Z (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 椎名 実神前 博斗吉野 晃弘 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
冨澤 武志
商標の称呼 ファントム 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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