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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W30
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W30
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) W30
管理番号 1314444 
審判番号 無効2015-890049 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-05-29 
確定日 2016-04-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5744197号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5744197号の指定商品中、第30類「菓子,茶,コーヒー,氷,調味料,香辛料,シャーベットのもと,コーヒー豆,ぎょうざ,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5744197号商標(以下「本件商標」という。)は、「合格とびうめ」の文字を標準文字で表してなり、平成25年12月18日に登録出願、第30類「菓子,アイスクリーム用凝固剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,氷,調味料,香辛料,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,酒かす,米,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として、同27年2月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4692107号商標(以下「引用商標」という。)は、「飛梅」の文字を縦書きしてなり、平成14年6月14日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,イーストパウダー,こうじ,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、同15年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきである。
2 無効原因
(1)本件商標について
ア 本件商標は、「合格」の漢字と「とびうめ」の平仮名を結びつけ横書きした構成であるが、これは、「合格」の文字が、商品区分第30類に数多く登録されている事実(甲3)と引用商標「飛梅」から生じる呼称「とびうめ」との結合でしかない。
本件商標の構成中の「合格」の文字が自他商品の識別機能を有しない文字であることは、第30類に「合格すし」外、14件の「合格」の文字を含む商標の登録例(甲3)等多数あることから明らかである。これら登録商標は、その商標の構成及び指定商品との関係から「合格」の文字のみでは、自他商品の識別がされているものとは認められないもので、「合格」の文字と「商品名」又は「原材料名」等とが結合して、始めてこれら商標に商品識別機能が認められているものである。
イ 本件商標の構成中「合格」の文字は、上記アで述べたとおり、識別力を有する文字ではないので、本件商標においては、識別力を有する文字はその結合している文字「とびうめ」にあり、本件商標の要部は、「とびうめ」であるから、一般取引者・需要者は、「とびうめ」の文字をもって商取引することは、経験則上明らかである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標からは、「ゴウカクトビウメ」、「ゴウカク」及び「トビウメ」の自然的称呼が生じるが、先に述べたとおり、本件商標の要部は「とびうめ」にあるから、本件商標からは、「トビウメ」の自然的称呼が生じる。
他方、引用商標からは、「トビウメ」の自然的称呼が生じ、「トビウメ」の称呼において、本件商標と同一又は類似するものである。
イ 本件商標は、その構成からは、特別の意味観念は生じないものであるが、その構成中に「とびうめ」の文字を含むものであり、上記とおり、本件商標の構成中の「合格」の文字は、それ自体何ら識別力を有するものではなく、また、商標の要部ともなり得ない文字であるから、本件商標の識別機能は、「とびうめ」の文字にある。そうとすれば、該「とびうめ」の文字から、一般取引者・需要者は、容易に漢字「飛梅」を想起し、該文字を、漢字「飛梅」の平仮名表示であると認識し、「飛梅」の観念を想起するから、本件商標は、「飛梅」の観念をも含むものである。
これに対し、引用商標は、「飛梅」と漢字二字で構成されており、「飛梅」の観念を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念においても、同一又は類似するものである。
ウ 本件商標は、その構成中に、引用商標「飛梅」の平仮名表示である「とびうめ」の文字を含むものであるが、平仮名を漢字として表示すれば「飛梅」となり、この漢字以外の表示は見当たらない(広辞苑参照)から、その構成中に、引用商標自体を含むものであるということができる。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観においても、同一又は類似するものである。
エ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と外観、呼称及び観念において同一又は類似するものであって、その登録は認められないものである。
請求人のこの主張を認めた審決(審判番号:無効2009-890018)(甲4)があり、該審決からすれば、本件商標において、「合格」の文字は、自他商品識別機能は、必ずしも高いとは言い難く、本件商標からは、「ゴウカクトビウメ」の呼称のほかに「トビウメ」の呼称をも生じ、また、「飛梅」の観念を生じるものというのが相当である、と判断するのが自然である。
(3)まとめ
本件商標は、引用商標と、その称呼及び観念において同一又は類似するものであり、かつ、その外観においても同一又は類似するものである。また、その指定商品においても同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、その登録は認められず、無効にされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「合格とびうめ」の文字からなるところ、本件商標の指定商品の分野においては、受験生の合格を応援する商品が多数製造、販売されており、職権調査によれば、このような商品に「合格」の文字が、例えば、次のように使用されている実情が認められる。
(1)「『めざせ合格!コアラのマーチ』発売(ロッテ商事)」の見出しのもと、「商品特徴=菓子。シリーズ新アイテム。“コアラは寝ていても木から落ちない”ということから、受験生を応援商品のコアラのマーチ。ビスケットの表面にプリントされた絵柄は、“サクラ咲くコアラ”“合格絵馬コアラ”など、受験関連の絵柄(全14種)が通常商品より高確率で出現。中身は、チョコレート味のコアラのマーチ。パッケージは、縁起のよい紅白2種類の“だるまコアラ”を描いたデザイン。裏面に、お守り風メッセージ欄付き。」の記載がある。(2013年12月6日 日本食糧新聞)
(2)「受験応援食品が続々『一生勉強 一生青春』『ワッフル 合格くるくる』【大阪】」の見出しのもと、「受験シーズンが本格化するなか、今年も『受験生応援」を掲げた期間限定の食品が続々と登場している。・・・デパ地下には受験生向けの菓子を集めたコーナーも登場した。阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)では、1月9日から洋菓子店十数店舗が参加した企画『受験生応援スイーツ』がスタートしている。『エール・エル』(神戸市)は、『くるくるワッフル 合格くるくる』(1本税込み840円)を販売。粘り勝つという意味を込めたもっちりした求肥(ぎゅうひ)と、サクラサクの願いを込めたさくら餅を、イチゴ入りの生地で巻いた。」の記載がある。(2013年1月19日 朝日新聞朝刊)
(3)「『合格手塩屋』発売(亀田製菓)」の見出しのもと、「◆商品特徴=菓子。期間限定。受験生応援企画商品。こんがり“ぷくっ”と焼き上げて、カツオと昆布のうまみを利かせた特製の“だし塩味”のせんべい。」の記載がある。(2013年1月9日 日本食糧新聞)
(4)「(見て聞いて)受験生のめざましコーヒー カフェイン2倍なのに、飲みやすい【西部】」の見出しのもと、「受験シーズンもいよいよ本番。眠気覚ましのカフェインをたっぷり含みながら、あっさり味で、お茶のように飲めるコーヒーが人気だ。受験勉強にぴったりと熊本市近見1丁目の『るるわ珈琲(こーひー)』が売り出す『合格力茶(ごうかくりょくちゃ)』。紅白のしま模様に、合格の文字入りの絵馬を配した、にぎやかなデザインも受けている。」の記載がある。(2012年1月7日 朝日新聞夕刊)
(5)「お茶飲んで受験必勝、長田茶店が『干支合格茶』??鳥取・米子の神社で開運祈願。」の見出しのもと、「長田茶店(鳥取県米子市、長田吉太郎社長)は『干支(えと)合格茶』を発売した。お茶は学問の神様をまつる米子市の賀茂神社天満宮で開運祈願した。受験生らを応援する気持ちを込めた。」の記載がある。(2006年1月20日 日本経済新聞)
(6)「桜香る『合格コーヒー』受験生の評判上々 青梅の豆専門店/東京」の見出しのもと、「受験シーズンを目前に控え、青梅市のコーヒー豆専門店『からさわ珈琲店』(河辺町5丁目)が『合格コーヒー さくらが咲く!』を考案した。・・・今回の『合格コーヒー』は、赤の『彩り』と、桜の『フレーバー』の合わせ技。」の記載がある。(2007年12月20日 朝日新聞 朝刊)
(7)「受験生向けのりせんべい、新野製菓(新製品)」の見出しのもと、「受験生向けのりせんべい 受験生向けに発売した、かた焼きのりせんべい『合格せんべい』。せんべいの表面に張ったのりに、白字で“合格”や“必勝”と書いた。・・・甘さを抑えた本醸造しょうゆで味付け。受験シーズンの3月末までの販売。」の記載がある。(1997年2月22日 日経流通新聞)
そうとすれば、本件の指定商品の分野において、「合格」の文字は、受験生を応援する商品に広く使用されているものといえ、本件商標の構成中「合格」の文字部分は、自他商品識別標識としての機能は弱いものと言わざるを得ない。
また、本件商標の構成中の「とびうめ」の文字は、「(1)菅原道真が大宰府に左遷されて家を出る時『東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ』と詠んだ梅の木が道真の配所筑紫まで飛んでその庭に生え匂ったという故事。」、「(2)安楽寺(太宰府天満宮)の庭にある、(1)の伝説に基づく梅の木。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」として一般によく知られている「飛梅」を平仮名で表したものと理解されるものである。
そして、本件商標は、「合格」の漢字と「とびうめ」の平仮名の2語を結合したものと理解されるところ、その構成中の「合格」の文字は、自他商品識別標識としての機能が弱いものであること及び同「とびうめ」の文字は、菅原道真の故事に基づく梅の木として一般によく知られている「飛梅」を平仮名で表したものと理解されることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「とびうめ」の文字部分に着目し、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないから、本件商標からは、「ゴウカクトビウメ」の称呼のほかに「トビウメ」の称呼をも生じ、かつ、前記の故事に基づく「飛梅」の観念(以下「『飛梅』の観念」という。)を生じるというのが相当である。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「飛梅」の文字を縦書きしてなるものであるから、「トビウメ」の称呼及び「飛梅」の観念を生じるものである。
3 本件商標と引用商標の類否について
上記1及び2に記載のとおりの構成からなる本件商標と引用商標とは、「トビウメ」の称呼及び「飛梅」の観念を共通にするものであり、その称呼及び観念の共通性を凌駕するほどの特徴的な外観上の相違はないというべきであるから、両者は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
4 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件の指定商品は、前記第1に記載のとおりであるところ、その指定商品中の「菓子,茶,コーヒー,氷,調味料,香辛料,シャーベットのもと,コーヒー豆,ぎょうざ,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。
そして、本件商標の指定商品中、上記以外の商品は、引用商標の指定商品とは類似するとはいえないものである。
5 むすび
したがって、本件商標は、その指定商品中、「菓子,茶,コーヒー,氷,調味料,香辛料,シャーベットのもと,コーヒー豆,ぎょうざ,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中、上記以外の指定商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-02-18 
結審通知日 2016-02-22 
審決日 2016-03-08 
出願番号 商願2013-99634(T2013-99634) 
審決分類 T 1 11・ 261- ZC (W30)
T 1 11・ 262- ZC (W30)
T 1 11・ 263- ZC (W30)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 清川 恵子大澤 恒介 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 2015-02-27 
登録番号 商標登録第5744197号(T5744197) 
商標の称呼 ゴーカクトビウメ、ゴーカクトビ、トビウメ 
代理人 岡崎 廣志 
代理人 丸山 幸雄 
代理人 長谷川 二美 

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