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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 003 |
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管理番号 | 1313107 |
審判番号 | 取消2015-300125 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-02-23 |
確定日 | 2016-03-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4019311号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4019311号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 登録第4019311号商標(以下「本件商標」という。)は,「トリートメントドライ」の片仮名を横書きしてなり,平成7年9月20日に登録出願,第3類「せっけん類,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤」を指定商品として,同9年6月27日に設定登録,その後,同19年7月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成27年3月9日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を請求書,弁駁書,平成27年12月18日付けの口頭審理陳述要領書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 また,本件商標は,平成24年2月15日に現権利者に移転登録がなされているが,商標権の譲渡後に新たに不使用期間が起算されるものではないと考えられる(甲3ないし甲5)。 このように,商標法第50条第1項に規定する審判においては,商標権の譲渡及び移転登録があった場合でも,不使用期間については,前商標権者と現商標権者を通しての期間で合算して判断されるべきである。 2 弁駁の理由等 (1)本件審判の請求は,取消2013-300130の審判事件(平成27年1月28日付けの審決が確定している。)とは,その審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)が異なるため一事不再理には該当しない。 (2)被請求人が提出した乙第2号証及び乙第3号証は,いずれも請求人による商標の使用事実であり,本件商標権者又は前権利者を使用主体とするものではない。 なお,被請求人は乙第2号証がインターネット上のホームページである点や,乙第3号証の商品容器写真が,請求人に係る商品である点を根拠に,これらが本件商標の通常使用権者による使用証拠である旨を主張するが,これらは,請求人が通常使用権者であることを裏付ける事実になり得ない。 (3)取消2013-300130の審決(乙1)では,「なお,被請求人は『意匠及商標の使用中止を求める通告書』により,要証期間内である平成24年2月22日付けで,請求人に対し,それまで黙示で認めていた本件商標権の使用中止を求めた事実がある旨述べているが,要証期間は平成22年3月7日ないし同25年3月6日であるから,少なくとも該日付以前の要証期間内において,請求人は,本件商標の通常使用権者であったものと認められる。」と記載されており,この点を換言すれば,同審判事件において,請求人と前商標権者との関係において「平成24年2月22日」より後の期間については,請求人が通常使用権者に該当しないと判断しているものである。 さらに,取消2013-300130の審決の基礎となった平成26年(行ケ)第10037号判決(甲6)では,「第4 当裁判所の判断」において,「少なくとも,平成23年12月までは本件商標の通常使用権者であったものと認められる。」との記載がある。 したがって,取消2013-300130審決及び平成26年(行ケ)第10037号判決をもってすれば,本件審判における乙第2号証及び乙第3号証は,本件の通常使用権者としての使用事実には該当しない。 (4)本件審判においては,商標権者,前商標権者及び専用使用権者による本件商標の使用事実は一切提出されていない。 (5)本件審判は,適法な審判請求を行っており,被請求人は,要証期間の商標の使用事実の主張,立証責任を負うものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を,審判事件答弁書,平成27年7月24日付けの意見書,同年11月27日付けの口頭審理陳述要領書及び平成28年1月7日付けの上申書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標については,請求人による審判請求(取消2013-300130)がなされていたところ,この審判請求に対しては,結論「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決が平成27年1月28日付けにてなされ,すでに確定している(乙1)。 よって,本件審判の請求は,その請求の理由の意味が不明であり,理由がなく,また,一事不再理の原則にも反しており,職権により却下すべきである。 2 意見書(平成27年7月24日付け) 本件商標は,要証期間に,本件商標の前権利者又は通常使用権者が使用した事実がある。 (1)乙第2号証は,本件商標権の通常使用権者のインターネット上のホームページであり,その掲載使用は,平成23年12月で打ち切られたとの証拠はなく,それ以後も(現在に至るまで)継続してなされている。しかして,その掲載使用は,本件の要証期間において,本件商標が,本件商標権の通常使用権者によって使用されていることが証明されている。 (2)乙第3号証は,本件商標権の通常使用権者の商品容器写真であるが,その商品容器写真の現品を,取消2013-300130における平成25年8月26日口頭審理期日において,被請求人が持参し,使用現品であることを直接的に確認されている。 その口頭審理期日は,本件審判の要証期間であって,要証期間において,本件商標が,本件商標権の通常使用権者によって使用されていることが証明されている。 3 口頭審理陳述要領書(平成27年11月27日付け) 本件商標については,請求人による審判請求(取消2013-300130)がなされていたところ,この審判請求に対しては,結論「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決が平成27年1月28日付けにてなされ,すでに確定している。 本件商標については,本件審判の要証期間内である取消2013-300130号審判の要証期間内において,本件商標の通常使用権者である請求人が使用していた事実が,認定,判断されて確定しており,このような事実からも,本件審判の請求は,一事不再理の原則にも反し,違法であって成り立たない。 4 上申書(平成28年1月7日付け) 本件商標権者は,請求人に本件商標権についての通常使用権を許諾し,同社がこれに基づいて要証期間に本件商標を使用していることは,乙第4号証(知的財産高等裁判所判決)において認められている。 第4 当審の判断 1 登録商標の使用について 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは,同条第2項の規定により,被請求人が,その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合は,平成24年3月9日?平成27年3月8日)に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し,又は,その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り,その請求に係る指定商品について,商標登録の取消しを免れないとされている。 2 本件商標の使用について,被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。 (1)乙第2号証は,請求人である「株式会社サンワード」のウェブサイト(2013年4月11日印刷)であり,同号証の1には,「ハイ・ベック商品ラインナップ」として「ハイ・ベック トリートメントドライシリーズ」に「トリートメント・ドライ」の片仮名が表示された「洗濯用洗剤」の商品が掲載されている。 そして,同号証の2は,「トリートメントドライ」と表示された上記商品を紹介する頁であり,同号証の3は,請求人である「株式会社サンワード」の会社概要であり,本社事業所及び自社工場の住所(東京都武蔵村山市榎2-84-5)の記載がある。 (2)乙第3号証は,「ハイ・ベック トリートメント・ドライ」と表示された「洗濯用洗剤」の商品写真(写し)であり,この商品の「製造元」として,請求人名とその自社工場の住所(東京都武蔵村山市榎2-84-5)の記載がある。 3 上記2によれば,以下のとおり判断できる。 請求人である「株式会社サンワード」は,要証期間に含まれる平成25年4月11日に,自身のウェブサイトに,「トリートメント・ドライ」の文字からなる商標を表示した「洗濯用洗剤」の販売に関する情報を掲載していたものと認められる(乙2)。 そして,上記「洗濯用洗剤」は,本件商標の指定商品中の「せっけん類」に含まれる商品である。 また,本件商標は,「トリートメントドライ」の片仮名からなり,乙第2号証の1及び乙第3号証の洗濯用洗剤の容器に表示された商標は,「トリートメント・ドライ」の片仮名からなるものであるから,本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 そうすれば,請求人は,要証期間に日本国内において,本件商標の指定商品中,「せっけん類」に含まれる「洗濯用洗剤」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示したものである。 しかしながら,被請求人からは,請求人である「株式会社サンワード」が,本件商標の通常使用権者であること証する書面は提出されていない。 そして,請求人は,上記本件商標の使用について,同人による商標の使用事実であり,また,要証期間における被請求人による黙示の使用許諾についても否定しているものであるから,本件商標は,被請求人がいう黙示の使用許諾がされた通常使用権者(請求人)によって,その指定商品について使用されたものということもできない。 よって,請求人は,本件商標の通常使用権者とは認められない。 その他,商標権者等によって,本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証拠はない。 4 被請求人の主張について 被請求人は,「本件商標については,本件審判の要証期間内である取消2013-300130号審判の要証期間内において,本件商標の通常使用権者である請求人が使用していた事実が,認定,判断されて確定しており,このような事実からも本件審判の請求は,一事不再理の原則にも反し,違法である」旨主張する。 しかしながら,取消2013-300130の審判の請求と本件審判の請求とは,「商標権取消し審判の予告登録」が,それぞれ平成25年3月7日と同27年3月9日であるから,商標法第50条第2項が規定する「その審判の請求の登録前三年以内」の対象とすべき期間が異なるものであり,本件審判の請求は,一事不再理というような事情には該当しない。 また,被請求人は,「乙第3号証は,本件商標権の通常使用権者の商品容器写真であるが,その商品容器写真の現品を,取消2013-300130における平成25年8月26日口頭審理期日において,被請求人が持参し,使用現品であることを直接的に確認されている。その口頭審理期日は,本件審判の要証期間であって,要証期間において,本件商標が,本件商標権の通常使用権者によって使用されていることが証明されている。」旨主張する。 しかしながら,取消2013-300130審決によれば,本件商標は,その要証期間(平成22年3月7日ないし同25年3月6日)の内の,平成22年3月7日ないし同24年2月22日の間において,請求人が,本件商標の前商標権者との関係において通常使用権者であったと認められているものである。 そうとすれば,平成25年8月26日の口頭審理期日が,本件審判の要証期間であって,本件商標を使用した現品(洗濯用洗剤)が存在したとしても,該期日において,請求人が,本件商標の通常使用権者であったものと認められていた根拠にはならない。 よって,被請求人の主張は,いずれも採用することができない。 5 まとめ 以上のとおり,被請求人の提出に係る証拠からは,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,その指定商品のいずれかについて,本件商標を使用していることを証明したものということができない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-01-25 |
出願番号 | 商願平7-96595 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(003)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 三男 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 榎本 政実 |
登録日 | 1997-06-27 |
登録番号 | 商標登録第4019311号(T4019311) |
商標の称呼 | トリートメントドライ |
代理人 | 梶原 圭太 |
代理人 | 西村 教光 |
代理人 | 有吉 修一朗 |
代理人 | 遠藤 聡子 |
代理人 | 森田 靖之 |
代理人 | 笠原 克美 |