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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W27 |
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管理番号 | 1312099 |
異議申立番号 | 異議2015-900275 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-08-26 |
確定日 | 2016-02-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5774931号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5774931号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5774931号商標(以下「本件商標」という。)は,「ZOLLANVARI」の欧文字と「ゾランヴァリ」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり,平成27年1月28日に登録出願,第27類「洗い場用マット,畳類,敷物,壁掛け(織物製のものを除く。),人工芝,体操用マット,壁紙」を指定商品として,同年5月20日に登録査定,同年6月26日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項第2号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。 1 証拠について (1)ガラタバザールのウェブサイト(甲1) ガラタバザールは,東京都中野区に所在する株式会社いぐれっくが「楽天市場」,「amazon」及び自社サイト(本店・支店)上にて運営するウェブ上の通信販売サイトである。遅くとも平成19年2月16日のウェブサイト画面に既にイランのゾランヴァリ社製の絨毯を表示する商標として「ゾランヴァリ」を使用しており,以後も継続して使用している。 (2)アリヤギャラリーのフェイスブック(甲2) アリヤギャラリーは,大阪府大阪市に所在するアリヤトレーディング株式会社が運営するウェブ上の通信販売サイトである。遅くとも平成24年10月10日から現在に至るまで継続的にゾランヴァリ社製の絨毯を表示する商標として「ゾランヴァリ」を使用している。 (3)インテリアShiroyamaのウェブサイト(甲3) インテリアShiroyamaは,大分県大分市に所在するしろやま家具有限会社が「楽天市場」にて運営するウェブ上の通信販売サイトである。遅くとも平成21年2月9日から継続的にゾランヴァリ社製の絨毯を表示する商標として「ゾランヴァリ」を使用している。 (4)オリエンタルムーンのウェブサイト(甲4) オリエンタルムーンは,福島県いわき市に所在する有限会社オリエンタルアートが「楽天市場」及び自社サイト上にて運営するウェブ上の通信販売サイトである。遅くとも平成19年10月16日のウェブサイト画面に既にゾランヴァリ社製の絨毯を表示する商標として「ゾランヴァリ」を使用しており,以後も,同27年3月末まで継続して使用してきた。 2 同法第3条第1項第2号への当てはめ (1)前記1のとおり,本件商標登録が行われる数年前から「ゾランヴァリ」「ZOLLANVARI」は,国内の多数の輸入業者が取り扱うゾランヴァリ社製の絨毯を表示する商標として普通に使用されてきた。 (2)前記1の4業者(甲1?4)は,ウェブサイトにおける全国規模の通信販売を行い,「ゾランヴァリ」「ZOLLANVARI」を全国規模で通用させてきた。これに対して,株式会社絨毯ギャラリーは,店舗における対面販売を主として行ってきたにすぎないから,本件商標が,同社が取り扱うゾランヴァリ社製の絨毯を表示するという認識が需要者の間に広まっていたとはいえない。 (3)以上の結果,「ゾランヴァリ」「ZOLLANVARI」は,ゾランヴァリ社(イラン)製絨毯について,同業者間で普通に使用されるようになった結果,もはや自己の商品と他人の商品とを区別することができなくなっていた。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第2号に該当する。 第3 当審の判断 1 本件商標の商標法第3条第1項第2号該当性について (1)認定事実 証拠並びに申立人及び商標権者の主張によれば,以下の事実が認められる。 ア ゾランヴァリ社及び商標権者について イラン・イスラム共和国のゾランヴァリ社は,同国製の絨毯であるギャッベ(ギャベ)の製造販売を行っている企業であり,ドイツ,スイス,アメリカなどに販路を持ち,日本においては,本件商標権者が輸入総代理店となり,長年にわたって同社の絨毯を輸入販売している(甲4の2,平成28年1月14日及び同年2月8日付けの各回答書に添付の第6?8号証)。 イ ガラタバザールのウェブサイトには,ギャッベ(ギャベ)について,「イラン・南西部,ザクロス山脈に近いシラーズ地方の遊牧民の織物。一般的にギャッベ(Gabbeh)は2センチ以上の長い毛足を持つ分厚い絨毯のことを指します。」との記載があり(甲1の3),また,ゾランヴァリ社の商品であるギャッベ(ギャベ)の紹介がされ,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示とともに,「スマック(Sumak)は,縦糸と横糸に飾り糸を絡めて織る,キリムの織りの技法のひとつです。……ゾランヴァリ社のスマックです。」(甲1の1,4,10),「『ゾランヴァリ』社ついて,少しご紹介しますね」及び「今回は,そのゾランヴァリ社から,新しく到着したミニギャッベを掲載しました。」(甲1の2),「今年も,ゾランヴァリ社のバルーチスマックが入荷してきました。」及び「高品質のギャべをプロデュースしている会社として世界的にも有名なゾランヴァリ社ですが」(甲1の5),「ゾランヴァリ社ギャッベ・ルリバフト」(甲1の6),「『ルリバフト』ギャッベは,イラン・ゾランヴァリ社のギャッベ」(甲1の8),「ギャッベ(ギャベ)ゾランヴァリ社ルリバフ」(甲1の9),「ゾランヴァリ社のギャッベ」(甲1の11,14),「ギャッベ(ギャベ)ゾランヴァリ社」(甲1の12,13),「ギャッベ ギャベ ゾランヴァリ社」,「ゾランヴァリ社のギャッベは,手紡ぎ,草木染め,そしてもちろん手織りの最高級品。」及び「当店ではゾランヴァリ社のギャベも現地のバザールで買い付けしており」(甲1の15ないし21)との記載がある。 ウ アリヤギャラリーのフェイスブックには,1葉目に「高級ゾランヴァリギャッベ明るい色彩……」の表示とともに,「商品説明」及び「産地:シラズ,イラン,ゾランヴァリ」との記載がされ,2葉目に「ゾランヴァリキャッベのトップクオリティーイラン製」の表示並びに「商品説明」及び「産地:シラズ,イラン,ゾランヴァリ」との記載とともに,「高級ギャッベのゾランヴァリ工房」との記載がある(甲2)。 エ オリエンタルムーンのウェブサイトには,ゾランヴァリ社の商品であるギャッベ(ギャベ)の紹介がされ,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示とともに,「イランの大手ギャッベブランド・ゾランヴァリ社では」(甲4の1),「現在ゾランヴァリ社は,ドイツ,スイス,アメリカなどに海外支社を持ち,欧米が主な販路で日本での認知度はまだまだですが」(甲4の2),「唯一のギャッベのトップブランドゾランヴァリ社の最高品質ギャッベ(ギャベ)」及び「通常のギャッベとは比べ物にならないほど織り目の細かなゾランヴァリ社の最高級ギャッベは,……」(甲4の3,4),「イラン直輸入!ゾランヴァリ社手織りウール100%草木染めギャッベ(ギャベ)」(甲4の9)との記載がある。 (2)「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示は,商品「ギャッベ(ギャベ)」ないし「絨毯」について慣用されているか ア 慣用商標について 商標法第3条第1項第2号にいう,その商品又は役務について慣用されている商標とは,同種類の商品又は役務について同業者において普通に使用されるに至った結果,自己の商品又は役務と他人の商品又は役務とを識別することができなくなった商標をいうものと解される。そこで,以下,検討する。 イ 「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示について 前記(1)によれば,ゾランヴァリ社製の絨毯であるギャッベ(ギャベ)の紹介(説明)に関連して,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示とともに,「そのゾランヴァリ社から,新しく到着したミニギャッベを掲載しました。」,「今年も,ゾランヴァリ社のバルーチスマックが入荷してきました。」,「高品質のギャべをプロデュースしている会社として世界的にも有名なゾランヴァリ社」,「ゾランヴァリ社のギャッベ」,「産地:シラズ,イラン,ゾランヴァリ」,「高級ギャッベのゾランヴァリ工房」,「イランの大手ギャッベブランド・ゾランヴァリ社では」,「現在ゾランヴァリ社は,ドイツ,スイス,アメリカなどに海外支社を持ち」との各記載がされていることから,これらの「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示に接する取引者,需要者は,当該表示がゾランヴァリ社の商品である「絨毯」(ギャッベ(ギャベ))と他社のそれとを区別する表示(商標)として使用されていると認識するというのが相当である。 そうであれば,甲各号証(枝番を含む。)において,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示が,ゾランヴァリ社製のギャッベ(ギャベ)について多数使用されているからといって,そのことをもって当該表示が,同業者において普通に使用されるに至った結果,自己の商品と他人の商品とを識別することができなくなっているということはできないというべきである。 したがって,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示は,商品「絨毯(ギャッベ(ギャベ))」に慣用的に使用された結果,自他商品又の識別力を失った商標となっているということはできず,ゾランヴァリ社の商品である「絨毯(ギャッベ(ギャベ))」に使用され,自他商品識別力を発揮している商標というべきである。 そして,当審の職権による調査によっても,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示が,ゾランヴァリ社の商品である「絨毯(ギャッベ(ギャベ))」の表示として慣用的に使用されている事実は発見できず,また,同社以外の同種商品の表示として慣用的に使用されている事実も発見できなかった。さらに,本件商標の指定商品のうち,「絨毯(ギャッベ(ギャベ))」以外の商品についても,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示がそれらの商品の表示として慣用的に使用されている事実も発見できなかった。 (3)小括 してみれば,「ZOLLANVARI」及び「ゾランヴァリ」の表示は,本件商標の指定商品のいずれにおいても慣用されている商標ということはできないから,本件商標は,商標法第3条第1項第2号に該当しない。 2 まとめ 以上のとおり,本件の商標登録は,商標法第3条第1項第2号に該当するとは認められないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2016-02-17 |
出願番号 | 商願2015-7163(T2015-7163) |
審決分類 |
T
1
651・
12-
Y
(W27)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
田村 正明 早川 文宏 |
登録日 | 2015-06-26 |
登録番号 | 商標登録第5774931号(T5774931) |
権利者 | 株式会社絨毯ギャラリー |
商標の称呼 | ゾランバリ |
代理人 | 藤田 隆 |