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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W45
管理番号 1310874 
審判番号 不服2015-9618 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-25 
確定日 2016-02-04 
事件の表示 商願2014-56688拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「障害年金の窓口」の文字を標準文字で表してなり、第45類「公的年金に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供,公的年金に関する助言,社会保険に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供」を指定役務として、平成26年7月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『障害年金の窓口』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『障害年金』の文字部分は、公的年金の種類の一つであり、『窓口』の文字部分は、「窓を通して、人と応対し、それに関する事務をとる所。転じて、外部との折衝を担当する役」の意味を有するから、これらを助詞『の』で結合した本願商標からは、『障害年金に関して事務を行う所(窓口)』程度の意味合いを容易に理解させるものである。そして、障害年金に関する事務・相談等を行う所が、一般に『障害年金の窓口』と称されている実情が窺える。そうすると、これを本願の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、前記意味合いを認識・理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年9月17日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
(1)証拠調べ通知書においては、本願商標中の「障害年金」と「窓口」という語を分断した上で、それぞれの語のインターネット上の使用例が引用されている。しかし、インターネット上等の使用例を根拠に、世間一般において、本願商標が自他役務識別力を発揮するものであるか否かを認定するにあたっては、「障害年金の窓口」という本願商標全体の使用例を根拠とするべきである。商標の構成要素をばらして、それぞれの語が説明文等の文中に使用されているに過ぎない例に基づき、商標全体の自他役務識別力の判断をすることは妥当ではない。
さらに、本願の指定役務の内容とは関係のない公的機関である日本年金機構を指すものであり、したがって、公的サービスであって本願の指定役務におけるものとは異なるものである。
(2)また、請求人は、業界において障害年金の第一人者として著名であり、社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めてきた。こうした請求人に係る役務の質を担保し、一人でも多くの障害を抱える方を救うため、本願商標が登録されることが不可欠であると考えており、請求人による役務の質の毀損を防止し、信用の化体を図り、商標法本来の目的を達成するためにも、本願商標は登録されるべきものである。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号にいう「需要者が何人かの業務にかかる役務であることを認識することができない商標」に該当するものではなく、自他役務識別力を発揮する商標である。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「障害年金の窓口」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「障害年金」の文字は、「一定程度以上の障害の状態になった者に支給される年金。」等の意味の語であり、「窓口」の文字は、「窓を通して、人と応対し、それに関する事務をとる所。転じて、外部との折衝を担当する役。『役所の?』」等の意味を有する語であり(いずれも、株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)、そして、両語を、格助詞「の」で組み合わせたものであるから、本願商標からは、容易に「障害の状態になった者に支給される年金に関する事務をとる所」程の意味合いを看取させるものといえる。
そして、「窓口」の文字が、障害年金を取り扱う業界において、「公的年金に関する申請書類を提出する所」又は「公的年金を申請するために相談を行う所」に使用されている事実が、別掲のインターネット情報から窺い知ることができる。
そうとすれば、「障害年金の窓口」の文字からなる本願商標を、その指定役務、「公的年金に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供,公的年金に関する助言,社会保険に関する手続の代理及びこれに関する情報の提供」に使用しても、「障害年金に関する相談を行う所」であること、すなわち、単に役務の提供をする者の所在程度を表すものと認識させるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が自他役務識別力を発揮するものであるか否かを認定するにあたっては、「障害年金の窓口」という本願商標全体の使用例を根拠とするべきであり、商標の構成要素をばらして、それぞれの語が説明文等の文中に使用されているに過ぎない例に基づき、商標全体の自他役務識別力の判断をすることは妥当ではない旨、主張する。
しかしながら、本願商標のような一連の使用事実がないとしても、本願商標は、その構成された各語から、直ちに「障害の状態になった者に支給される年金に関する事務をとる所」程の意味合いを看取、理解させるものであって、障害年金を取り扱う業界において、「窓口」の語が、「公的年金に関する申請書類を提出する所」であったり、「公的年金を申請するために相談を行う所」を表す表示として、採択、使用されていることは、前記(1)のとおりであり、これらの取引の実情をも勘案すれば、本願商標全体からは、「障害年金に関する申請手続き又は相談を行う所」程の意味合いを表すものと認識、理解させるといい得るものであり、その指定役務との関係において自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいえない。
イ 請求人は、業界において障害年金の第一人者として著名であり、社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めてきた。こうした請求人に係る役務の質を担保し、一人でも多くの障害を抱える方を救うため、本願商標が登録されることが不可欠であると考えており、請求人による役務の質の毀損を防止し、信用の化体を図り、商標法本来の目的を達成するためにも、本願商標は登録されるべきものである旨、主張する。
しかしながら、商標法は、「『商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする』ものであるところ(同法1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、『需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標』を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項1号ないし5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号参照。役務についても同様に解される。)旨、判示されている。
そして、「障害年金の窓口」の文字は、これに接する需要者に、「障害年金に関する相談を行う所」の意味合いを理解、認識させるにとどまり、その指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能し得ないことは、前記(1)のとおりであって、請求人が、「障害年金の第一人者」であるとか、「社会保険労務士向けのセミナーでも多数講師を務めていること」が、本願商標が、その指定役務との関係において自他役務の識別標識として機能を果たし得るか否かの判断に影響をおよぼすものということができない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成27年9月17日付け証拠調べ通知書をもって開示した事実)
本願商標の指定役務を取り扱う業界において、「障害年金」及び「窓口」の文字の使用例(下線は合議体による。)。
(1)「国分社会保険労務士事務所」のウェブサイトにおいて、「福島障害年金の窓口」の見出しの下、「業務案内」において、「当事務所が請求手続きを代理します」には、「障害年金は請求者が障害を抱えた人や介護をしている家族の方等になります。年金の請求には各種の書類を準備する必要があり、考えているよりも身体的、精神的な疲労は少なくありません。日常で負担を抱えている方にとっては請求作業が二重の負担となるのは想像しにくいことではありません。当事務所はその負担を少しでも減らすことができるものであり、使命であるとも考えています。」、また「業務の進め方」には、「1ご相談者様のご希望の日時・場所で面談を行います(土日祝日、夜間対応可能)/2面談内容をもとに、年金事務所にて年金記録を確認いたします/3保険料納付要件が満たせている場合は、契約書を作成します(着手金発生)・・・6請求書・添付書類をそろえて代理人が年金事務所等へ提出手続きをします。」の記載がある。
(http://kazsr.sakura.ne.jp/business/)
(2)「社会保険労務士森本事務所」のウェブサイトにおいて、「障害年金ガイド」の見出しの下、「注意:障害年金には年金窓口で請求のお手続きが必要です!」として、「こんなことでお困りの方、ぜひご相談下さい (初回相談無料で安心)」には、「・請求の方法がわからない/・誰に相談したら良いのかわからない/・申請書類の書き方がわからない/・障害で手続きにいけない/・自分のケガ・病気が障害年金に当てはまるかわからない」、また、「障害年金手続きを依頼するメリット」には、「1.当事務所に障害年金を依頼するときのメリット/障害年金はご自分やご家族の方も申請できます。/障害年金の請求には病状などの書類審査がございます。/年金窓口に書類の提出を行うと、病状など審査をやり直すことはできません。」、「2.障害年金の申請書類の作成から提出までしっかりサポート/障害年金は制度や要件が複雑で、ご本人様やご家族の方が状況を把握するのは困難となっています。/ご本人様やご家族の方が障害年金に該当しているかどうかを調べて、書類を関係窓口からもい、さらに面倒な申請書類も書かなければなりません。/また障害年金の申請には関係窓口に何度も足を運ばなければなりません。」の記載がある。
(http://www.sr-best.com/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-content/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%B9%B4%E9%87%91%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/)
(3)「荒尾市」のウェブサイトにおいて、「よくある質問」の見出しの下、「障害基礎年金/障害基礎年金はどんなときに受給できますか?」の項に、「厚生年金の障害年金の窓口は、年金事務所か年金事務所が行っている年金相談になります。」の記載がある。
(http://www.city.arao.lg.jp/faq2/pub/detail.aspx?c_id=68&pg=1&mst=6#qa_92)
(4)「社会保険労務士ひらやま年金・労務綜合事務所」のウェブサイトにおいて、「愛知で障害年金の相談窓口」の見出しの下、「障害年金を申請するには、コツがあります。/無料相談実施中/病歴・労務状況など申請書の作成/手続き一切の代理・サポート/障害に関するご相談/初診日証明・診断書の取得」の記載がある。
(http://nenkinsoudan.net/)
(5)「社会保険労務士・行政書士 山口事務所」のウェブサイトにおいて、「障害年金の相談」の見出しの下、「障害年金の相談窓口として近々『障害年金チームかながわ』が発足します/年金相談のほかセミナーも行います/病院、介護関係にかかわる事業所では職員を集めて話を聞いてみたい、お客様サービスとして相談コーナーを設けたいなどいろいろな活用ができます」の記載がある。
(http://www.yama-sr.com/announce_19563.html)
(6)「東広島障害年金相談窓口」のウェブサイトにおいて、「あなたは障害年金もらい忘れていませんか?/ご家族、親戚、知人の方に心当たりの方はいらっしゃいませんか?/疑問をお持ちの方(64歳以下の方)は、『東広島障害年金相談窓口』へ/ご相談ください!」、また、「サポート体制」として、「東広島障害年金相談窓口では、障害年金で疑問をお持ちの方について障害年金の請求・申請等を専門に行っている2名の社会保険労務士が相談をお受けし、どのように請求するのが最適かをアドバイスさせていただきます。」の記載がある。
(http://sasaki-sr.com/)
(7)「NPO法人のぞみ会」のウェブサイトにおいて、「公的サービス」の見出しのもと、「障害年金」の項に、「障害厚生年金の窓口/障害厚生年金については、社会保険事務所、障害共済年金については各共済組合が窓口となります。/以上は一般的な説明で、年金は一人一人違います。詳しくはそれぞれの窓口で相談してください。」の記載がある。
(http://www.npo-nozomikai.jp/info-kouteki.html)
(8)「熊本県難病相談・支援センター」のウェブサイトにおいて、「障害年金」の見出しの下、「【障害年金の申請窓口】」として、「・厚生年金の方で現在も厚生年金加入中の方→事業所を管轄する社会保険事務所/・厚生年金の方で現在は他の年金か未加入の方→現住所を管轄する社会保険事務所/・国民年金の方・20 歳以前の初診で年金未加入だった方→市町村役場の国民年金課/・共済年金の方→各共済組合窓口」の記載がある。
(http://kumamotonanbyou-center.org/vol21.pdf)


審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-15 
出願番号 商願2014-56688(T2014-56688) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W45)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 亨子
大井手 正雄
商標の称呼 ショーガイネンキンノマドグチ、マドグチ 
代理人 福井 仁 

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