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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X18
審判 全部無効 外観類似 無効としない X18
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない X18
審判 全部無効 観念類似 無効としない X18
管理番号 1308411 
審判番号 無効2015-890006 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-01-08 
確定日 2015-11-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5292969号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5292969号商標(以下「本件商標」という。)は,「BUI」の欧文字を標準文字で表してなり,平成21年7月10日に登録出願され,第18類「皮革,かばん類,袋物,傘,ステッキ,皮革製包装用容器」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年12月11日に登録査定され,同22年1月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録商標は,次に掲げるとおりである。
1 登録第2007056号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:昭和61年3月1日
設定登録日:昭和62年12月18日
書換登録日:平成21年4月22日
指定商品 :第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」
2 登録第2395328号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成元年7月13日
設定登録日:平成4年3月31日
書換登録日:平成15年6月11日
指定商品 :第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品」及び第18類「かばん類,袋物」
上記引用商標1及び引用商標2は,いずれも現に有効に存続しているものであり,以下,これらを併せて単に「引用商標」ということがある。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)請求人について
請求人は,1983年に著名なファッションデザイナーBarbara BUIが創設した会社であり,ファッション衣料ブランド「BARBARA BUI」及び「BUI」の下に第25類,第18類等に属する商品を製造し,フランスを初めとして世界中で販売している。日本にも2008年春夏コレクションより三喜商事株式会社を日本総代理店として輸入販売している(甲3)。
「BARBARA BUI」は,請求人の社名であり,創設者でチーフデザイナーであるBarbara BUIの氏名に由来する。
(2)「BARBARA」は,フランス語イタリア語スペイン語圏(「バルバラ」と読む)や英語圏(「バーバラ」と読む)で一般的な女性の名前(ファーストネーム)である。Yahoo!JAPANで日本語の頁のみで「BARBARA」で検索すると,約66万件ヒットするほどである。そして,「BARBARA」は,レストランの名前などにも使用されている(甲4)。
一方,「BUI」はBarbara BUIの父親の国籍ベトナムの姓であり(甲5),日本においては,極めてめずらしい姓である。事実,「BUI」又は「BUI+〇」よりなる第25類及び第18類の商品を指定商品とする登録商標は,引用商標及び本件商標以外に見あたらない(甲6)。
(3)引用商標が,「名+姓」からなるものであることは,需要者に容易に理解されるところである。「姓+名」又は「名+姓」は,人を特定する手段であるが,同姓の人が複数いる場合のように特段の事情のない限り,「姓」をもって人を特定する。すなわち,人を特定する手段として重要なのは,姓であり,「名+姓」,「姓+名」は,常に一体としてのみ取扱うものではないのである。
引用商標は,常に「BARBARA BUI」と一体としてのみ把握するものではなく,「BARBARA」及び「BUI」の二つの要素からなるものとして把握するのである。
加えて,「BUI」は,我が国において極めて珍しい姓であるから,需要者の注意を強く惹きつけるものである。
よって,引用商標において「BUI」が要部である。
(4)請求人は,日本において2008年に三喜商事株式会社を「BARBARA BUI」製品の日本における総代理店に指名し,日本に輸入し日本において販売を行っている(甲3)。また,ファッション雑誌への宣伝広告も活発に行われている(甲7)。
衣料製品は3つのライン(「BARBARA BUI」,「BARBARA BUI TRICOT」及び「BUI」)に分けられ,その1つ(ready to wear(既製服))は「BUI」ラインと称している。甲第8号証は,ネット上の「BARBARA BUI」のホームページの一部であるが,3枚目の下に「BUI」の表示が見える。これは2枚目の画面上に表示してあるものであるが,印刷時に表示できないため,スクリーンショットにて印刷したものである。また,4枚目には画面左下側に「BUI」の表示がある。
すなわち,請求人は「BUI」をセカンドライン名として広く使用している。
さらに,Yahoo!JAPANで「BARBARA BUI」にて検索した結果の100件のリストである(甲9)。ヒット件数は約4,200,000件にのぼる。いかに「BARBARA BUI」が日本市場において周知のブランドであるかが明らかである。
すなわち,本件商標を使用したその指定商品に接した需要者は,「BARBARA BUI」を想起,連想する。このことは,「BUI」を対象言語を日本語のみで検索すると,「BARBARA BUI」に関する項目が3つも出て来ることからも明白である(甲10)。
そうすると,本件商標は,引用商標の要部「BUI」と類似し,引用商標と類似する。
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と類似する。引用商標の登録日は,本件商標の出願日に先立つ。
(5)したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
(1)上記1のとおり,「BARBARA BUI」は,我が国において著名なブランド「BARBARA BUI」の創設者であるデザイナーの氏名であり,「BUI」はその略称として著名である。また,「BUI」は,我が国において著名な請求人の著名な略称である。
そうとすれば,上記のとおり,本件商標は,「BUI」と類似する。
(2)したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第8号に該当するものであるから,本件商標の登録は無効とすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)指定商品の類否について
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品の「かばん類,袋物,被服等」において共通し,商品は類似する。
(2)商標の類否について
ア 本件商標の構成・称呼・観念について
本件商標は,欧文字の「BUI」を標準文字で表した構成をとるものであり,これは,英和辞典においてその意義は掲載されておらず,特定の意味合いを有しないものである。
また,本件商標は,前記構成より「ビーユーアイ」又は「ブイ」の称呼が生ずる。
したがって,本件商標は,前記外観構成の下,特定の観念を有しない商標であって,「ビーユーアイ」又は「ブイ」の称呼が生ずるものである。
イ 引用商標の構成・称呼・観念について
引用商標は,統一的にややデザイン化した欧文字の「BARBARA BUI」からなり,一連にまとまりよく構成されているものである。また,「BARBARA」は一般的な女性名(ファーストネーム)であり,「BUI」は特定の意味合いを有せず,それ故,引用商標からは特定の観念は生じないものである。さらに,両文字間にスペースがあるとしても,引用商標は,一連に同書同大にまとまりよく構成されていることから,「バーバラブイ」のみの称呼が生ずるものである。
(ア)請求人は,「BUI」は,我が国において極めて珍しい姓であるから,需要者の注意を強く引きつけるものである,よって,「BUI」が要部である旨主張する。しかし,引用商標は欧文字「BARBARA BUI」のみからなるものであるため,これに接する我が国の需要者等は,全体として普通の外国人女性の姓名程度と認識するのが自然であって,殊更「BUI」のみを取り出す理由がない。よって,「ブイ」又は「ビーユーアイ」単独の称呼は生じない。
(イ)請求人は,衣料製品が3つのラインの(「BARBARA BUI」,「BARBARA BUI TRICOT」及び「BUI」)に分けられ,その1つ(ready to wear(既製服))が「BUI」ラインと称し,「BUI」をセカンドライン名として広く使用している旨主張する。しかし,甲第8号証によれば,請求人のホームページにおいて使用されているのはわずか2箇所のみであり,また,引用商標に係る商品の販売数量・売上高・新聞広告・雑誌広告等の提示もない。それ故,到底広く使用しているとはいえないし,略称として広く知られているとはいえない。よって,「BUI」単独では要部となりえない。
(ウ)請求人は,本件商標を使用した商品に接した需要者は,「BARBARA BUI」を連想,想起する旨主張し,その根拠として,「BUI」を対象言語日本語のみで検索すると,「BARBARA BUI」に関する項目が3つも出て来ることからも明白であると主張する。しかし,本件商標が商標法第4条第1項第11号の無効理由該当有無の判断時は,本件商標の査定時である平成21年(2009年)12月11日(乙1)であるところ,甲第10号証の1ないし4は,これらの書証の右下に印刷日が掲載されているとおり,2014年12月5日又は2015年1月8日であり5年後の資料であるから,査定時における状況を示したものではない。したがって,かかる証拠に基づく主張は失当であるし,また,仮に,査定時における状況が甲第10号証の1ないし4に示す状態であったとしても,「BUI」で検索し,50件中「BARBARA BUI」に関する項目がわずか3件ヒットしたのみであって「BARBARA BUI」を連想,想起することに結びつかない。
(3)本件商標と引用商標との類否について
以上によれば,本件商標と引用商標とは,外観上の差異は明らかで,区別できるものである。また,観念上,両者ともに特定の意味合いを有しないものであるから,類似しないものである。さらに,称呼においても,本件商標から生じる「ビーユーアイ」又は「ブイ」の称呼,引用商標から生じる「バーバラブイ」の称呼を対比してもその構成音数,構成音において明らかに差異を有し,語感,語調を異にするものであるから,両者は称呼上十分に区別できるものである。
よって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念上いずれの点からみても非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
請求人は,「BARBARA BUI」は,我が国において著名なブランド「BARBARA BUI」の創設者であるデザイナーの氏名であり,「BUI」はその略称として著名である。また,「BUI」は,我が国において著名な請求人の名称の著名な略称である旨主張する。しかし,「BARBARA BUI」がファッションデザイナーの氏名であるとしても,そもそも「BUI」がその略称として用いられていないこと,及び用いられても使用箇所が2箇所のみであるから周知にすら該当しないものである。
また,請求人の名称は「バルバラ ブイ エス アー」であるところ,「バルバラ ブイ エス アー」の略称として「BUI」を用いられていることの証左はわずか2箇所のみであるから周知にすら該当しないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しないものである。
3 結び
以上の理由により,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第8号に該当しないものである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,前記第1のとおり,「BUI」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「ビーユーアイ」又は「ブイ」の称呼を生じ,該文字は,特定の意味を有しないものであるから,観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲のとおり,いずれも「BARBARA BUI」の欧文字を書してなるところ,該「BARBARA」と「BUI」の文字の間に一字程度の間隔を有しているとしても,ややデザイン化され,同書,同大に,全体としてまとまりよく表されているものであるから,これよりは,「バーバラブイ」又は「バルバラビュイ」の称呼を生じるものである。
そして,その構成中「BARBARA」の文字部分は,「女子の名」(新グローバル英和辞典:株式会社三省堂)の意味を有するものであるとしても,「BUI」の文字は,特定の意味合いを有しない造語といえることから,これらの語を結合した「BARBARA BUI」の文字からは,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討するに,両商標の外観は,「BARBARA」の文字部分の有無において顕著な差異を有するから十分区別することができ,外観上,互いに相紛れるおそれはないものである。
そして,称呼においては,本件商標より生じる「ビーユーアイ」又は「ブイ」の称呼と引用商標より生じる「バーバラブイ」又は「バルバラビュイ」の称呼とは,その構成音数及び構成音において,明らかな差異を有するものであるから,称呼上,明確に区別できるものである。
観念においては,両者は,ともに特定の観念を生じないものであるから比較することができないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
なお,請求人は,「BARBARA BUI」は請求人の社名であり,創設者でチーフデザイナーであるBarbara BUIの氏名に由来し,「BUI」はBarbara BUIの父親の国籍ベトナムの姓で,日本においては極めてめずらしく,需要者の注意を強く惹きつけるものであり,セカンドライン名として広く使用しているから,引用商標において「BUI」は要部である旨主張する。
しかしながら,請求人の提出に係る甲第3号証によれば,創立者は「バルバラ・ビュイ(Barbara BUI)」であること,また,甲第10号証の3によれば,「BARBARA BUI」の文字がデザイナーの氏名であること,さらに,甲第7号証の雑誌及び甲第10号証の2ないし4のインターネットのオフィシャルサイト等の証拠からは,「BARBARA BUI」の文字が,洋服や靴のブランド名であることが認められるものである。
そして,請求人の提出に係る甲第5号証によれば,「BUI」の文字が,ベトナム国の氏姓を表すものであるとしても,それが直ちに需要者の注意を強く惹きつけるものということができず,また,甲第8号証によれば,「BUI」の文字は,請求人のウェブサイト中に2箇所に表示されているのみであり,さらに,甲第10号証の1において,「Yahoo!JAPAN」のサイトで「BUI」を検索した結果の中にわずか3件のみ,「BARBARA BUI」関連の記載があるだけであり,これらの証拠のみでは,「BUI」の文字が請求人のセカンドライン名として広く使用されているものということができない。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
請求人の提出に係る甲第3号証によれば,創立者は「バルバラ・ビュイ(Barbara BUI)」であること,請求人の提出に係る甲第7号証によれば,「Barbara Bui」又は「バルバラ・ビュイ」の文字がデザイナーの氏名又は,洋服や靴のブランド名であること,甲第10号証の3によれば,「BARBARA BUI」の文字は,「バラバラ ビュイ(Barbara Bui)」はベトナム系フランス人のデザイナーであり,自らの名を冠したブランド「バルバラ ビュイ(BarbaraBui)」をスタートしたこと,さらに,甲第10号証の4によれば,「BARBARA BUI」の文字が,トップデザイナーの氏名であることは認められるものである。
しかしながら,「BUI」の文字の使用事実を示す証拠は,請求人のウェブサイト中にある2箇所(甲8)と,「Yahoo!JAPAN」のサイトでの「BUI」の欧文字の検索結果(甲10の1)中の3件のみであり,これらの証拠のみでは,「BUI」の文字が,請求人のブランド名又は創設者若しくはデザイナーの氏名「BARBARA BUI」の略称を表すものとして使用されているとは認められないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
3 結論
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効にすることができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(引用商標1及び引用商標2)



審理終結日 2015-06-16 
結審通知日 2015-06-19 
審決日 2015-07-03 
出願番号 商願2009-52346(T2009-52346) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (X18)
T 1 11・ 262- Y (X18)
T 1 11・ 261- Y (X18)
T 1 11・ 23- Y (X18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 亨子
榎本 政実
登録日 2010-01-08 
登録番号 商標登録第5292969号(T5292969) 
商標の称呼 ビイユウアイ、ブイ 
代理人 高橋 俊一 
代理人 古木 睦美 
代理人 高松 俊雄 
代理人 三好 秀和 
代理人 佐藤 雅巳 

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