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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W0941
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W0941
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) W0941
管理番号 1307555 
異議申立番号 異議2014-900355 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-12-12 
確定日 2015-10-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5701893号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5701893号商標の指定商品及び指定役務中,第9類「コンピュータ用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及び第41類「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5701893号商標(以下「本件商標」という。)は,「スマホゲーム研究所」の文字を標準文字で表してなり,平成26年4月25日に登録出願,第9類「コンピュータ用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物」及び第41類「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授に関する助言・指導及び情報の提供,セミナー・シンポジウム及び会議の企画・運営又は開催に関する情報の提供,電子出版物の提供およびこれらに関する情報の提供,映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送の放送番組の制作に関する情報の提供,スポーツの興行に関する情報の提供,娯楽の提供及びこれに関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として同年8月15日に登録査定,同年9月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第4号について
本件商標は,「スマホゲーム研究所」の文字からなるところ,その構成中の「スマホゲーム」の文字は,インターネットで検索すると「スマートフォンゲーム」の別名として「スマホゲーム」と記載されている。そして,「スマートフォンゲームとは,スマートフォン上で動作するゲームアプリのことである。」と記載されている。そうすると,「スマホゲーム」とはスマートフォン上で動作するゲームの略称である。
そして,商標審査基準の「六,第3条1項4号」の「3.ありふれた氏,業種名,著名な地理的名称(行政区画名,旧国名及び外国の地理的名称を含む。)等に,『商店』『商会』『屋』『家』『社』『堂』『舎』『洋行』『協会』『研究所』『製作所』『会』『研究会』『合名会社』『合資会社』『有限会社』『株式会社』『K.K』『Co.』『Co.Ltd.』『Ltd.』等を結合してなる商標は,原則として,本号でいう『ありふれた名称』に該当するものとする。」と記載されている。本件商標に含まれる「研究所」という記載は上記に含まれているから,商標審査基準における上記内容は,特別顕著性のない用語に上記のような「商店」や「研究所」を加えたとしても特別顕著性が発生することは通常考えられない,ということが規定されているものと思われる。本件における「スマホゲーム」は,上記のようにスマートフォン上で動作するゲームを指し示すものとして,商標権者以外の者によっても一般的に使用されているものであり,商標権者のみがスマートフォン向けの研究開発を行っている特段の事情は見受けられない。
そうすると,「スマホゲーム」というありふれた名称に企業が一般的に事業として行う研究機関の場所を示す「研究所」を加えた本件商標は,上記商標審査基準における「ありふれた氏,業種名,著名な地理的名称等」に「研究所」を結合してなる商標に該当するといっても無理はないといえる。
したがって,本件商標は,「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当し,商標法第3条第1項第4号に該当するものである(甲1?甲12)。
2 商標法第3条第1項第6号について
本件商標は,上記で説明したスマートフォン上で動作するゲームの略称として一般的である「スマホゲーム」という用語に,研究開発などを行う機関を表すものとして一般に採用されて使用される「研究所」の用語を結合したものであり,「スマホゲームの研究開発を行っている研究所」を理解させるにすぎないものであって,これを本件商標の指定商品等の一部である,例えば「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供」について使用しても,「スマホゲームの研究開発を行っている機関から提供される情報の提供」程度を理解させるにすぎず,これに接する需要者・取引者はこの情報のみで商品や役務の出所が商標権者であると認識することは極めて難しいというべきである。
したがって,本件商標は,需要者が何人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標に該当し,商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は,上述したようにスマートフォン上で動作するアプリの略称である「スマホゲーム」という表記を含んでいる。そして,本件商標の指定商品中,例えば「電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」について使用した場合,スマートフォンとなんら関係のないゲーム機などに使用される可能性があり,需要者は上記指定商品がスマートフォンとなんらかの関係があるものと誤って認識するおそれがある。
したがって,本件商標は,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標に該当し,商標法第4条第1項第16号に該当するものである(甲13?甲18)。

第3 本件商標の取消理由
当審において,平成27年7月15日付けで商標権者に対し通知した取消理由通知書の取消理由(要旨)は,次のとおりである。
1 商標法第3条第1項第6号の該当性
本件商標は,「スマホゲーム研究所」を標準文字で表してなるところ,その構成中,「スマホ」の文字は,「スマートフォン」を意味するもので,「ゲーム」の文字は,「遊戯,競技,試合」等を意味するもので,また,「研究所」の文字は,「研究を目的とする施設又は組織」等を意味するものである。
そして,甲各号証及び当審において調査したところによれば,上記文字についての使用例については別掲のとおりであって,「スマホゲーム」の文字は「スマートフォン用のゲームソフト」を意味する語として普通に使用され,「研究所」の文字は,本件商標の指定商品の分野に限らず,学問,気象,建築等の広い分野において「研究を目的とする施設又は機関」を意味する語として,一般に使用さている実情がある。
そうすると,本件商標は,全体として,「スマートフォン用のゲームソフトを研究する施設又は機関」程の意味合いを容易に理解するに過ぎず,これを本件商標の指定商品中,「コンピュータ用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及びその指定役務中,「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供」に使用しても,「スマートフォン用のゲームソフトの研究開発を特に行っているところ(施設,機関)が提供する商品及び役務」程を理解させるものであり,これに接する取引者,需要者は,何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができないものとみるのが相当である。
2 結論
したがって,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第6号に該当するものと認める。
(別掲)
(1)「スマホ」の文字の使用例について
ア 「最新標準パソコン用語事典 2011-2012年版」(株式会社秀和システム発行)によれば,「スマートフォン」の項において,「音声通話以外にインターネットアクセス機能やデータ通信機能,スケジュール管理などの機能も併せ持つ多機能携帯電話。略してスマホと呼ばれる場合もある。」の記載がある(甲4)。
イ 「OCNプロバイダ(インターネット接続)」のウェブサイトにおいて,「スマートフォンとは?」の見出しの下,「スマートフォン(smartphone)は,パソコンの機能を併せ持ち,インターネットとの親和性が高い多機能携帯電話のことです。略して「スマホ」「スマフォ」と呼ばれることもあります。」の記載がある。
(http://service.ocn.ne.jp/plan/special/smartphone/)
ウ 「weblio辞典」のウェブサイトにおいて,「IT用語辞典バイナリ」の見出しの下,「スマートフォン」の項において,「スマートフォンとは,通話機能以外にインターネット利用やスケジュール管理などの機能も併せ持った,多機能な携帯電話のことである。・・・なお,最近では,スマートフォンを略して,俗にスマホと呼ぶ場合もある。」の記載がある。
(http://www.weblio.jp/content/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9B%E3%83%B3)
(2)「スマホゲーム」の文字の使用例について
ア 「IT用語辞典バイナリ」のウェブサイトにおいて,「スマートフォンゲーム」の見出しの下,「スマートフォンゲーム/別名:スマートフォン向けゲーム,スマホゲーム,スマホ向けゲームアプリ」及び「スマートフォンゲームとは,スマートフォン上で動作するゲームアプリのことである。一般的には『ゲームアプリ』といえばすなわちスマートフォンゲームを指す。」の記載がある(甲2)。
イ 「PRESIDENT Online」のウェブサイトにおいて,「スマホゲーム ガンホー,コロプラの次は」(PRESIDENT 2014年3月17日号)」の見出しの下,「スマートフォン(スマホ)向けゲームを手がけるコロプラが驚異的な成長を続けている。・・・スマホの普及以降,ダウンロードして遊ぶゲームが主流となり,対応が遅れた。」の記載がある。(甲10)
ウ 「ITmediaニュース」のウェブサイトにおいて,「14年の国内ゲーム市場,過去最大に スマホゲームがけん引 『ファミ通ゲーム白書2015』」の見出しの下,「『ファミ通ゲーム白書2015』によると,国内ゲーム市場規模は過去最高の1兆1925億円。うち6割をスマホ・タブレット向けアプリ市場が占めた。」の記載がある。
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1506/12/news120.html)。
(3)「研究所」の文字の使用例について
ア 「生理学研究所」のウェブサイトにおいて,「所長あいさつ」の見出しの下,「大学共同利用機関 生理学研究所は,『ヒトのからだ,とりわけ脳の働きを,大学と共同で研究し,若手生理科学研究者の育成を行う研究機関』です。」の記載がある。
(http://www.nips.ac.jp/profile/message.html)
イ 「東京大学 大気海洋研究所」のウェブサイトにおいて,「大気海洋研究所について」の見出しの下,「大気海洋研究所 は,海洋と大気の基礎的研究を推進するとともに,地球表層圏に関する科学の深化を通じた社会貢献を目指します。大気海洋科学の拠点として国内外における共同利用・共同研究を推し進めるとともに,大気海洋科学を担う次世代の研究者や海洋・大気・気候・生命圏に関する科学的知識を身につけた人材を育成します。」の記載がある。
(http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/about/index.html)
ウ 「建築研究所」のウェブサイトにおいて,「一般の方へ」の見出しの下,「建築研究所では,所内にある高度な実験施設を活用しながら,住宅や一般建築,都市の安全・安心の確保や省エネ性能の向上などにつながる研究開発に取り組むとともに,開発途上国からの研修生を受け入れ,世界の地震防災に貢献するための研修なども行っています。」の記載がある。
(http://www.kenken.go.jp/ipan.html)

第4 商標権者の意見
商標権者は,前記第3の取消理由に対し,何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号について
本件商標についてした前記第4の取消理由は,妥当なものと認められるものである。
したがって,本件商標は,その指定商品中,第9類「コンピュータ用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及びその指定役務中,第41類「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供」については,商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。
しかしながら,本件商標は,申立てに係るその余の指定商品及び指定役務について,需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標とはいえないから,同号に該当しない。
2 その他の申立ての理由について
(1)商標法第3条第1項第4号について
商標法第3条第1項第4号は,商標登録を受けることができる商標から除かれるものとして,「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を規定している。
ここで,同号が対象とする,ありふれた「名称」とは,個人又は企業がその名称として相当多数の者が採択し,使用している表示(標章)をいい,単に事物の普通名称であることのみをもって,ありふれた「名称」として,本号に該当するものではない。
これを本件商標についてみると,本件商標は,「スマートフォン用のゲームソフトを研究する施設又は機関」程の意味合いを容易に理解し,認識するものである。
しかし,「スマホゲーム研究所」の文字が,大学,企業等の研究所の名称として相当多数の者が採択し,使用している事実は確認できず,また,その事実について,申立人からの立証もない。
そうすれば,本件商標は,「ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ということはできず,商標法第3条第1項第4号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
商標法第4条第1項第16号は,「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずおそれがある商標」を規定している。
そして,本件商標は,「スマートフォン用のゲームソフトを研究する施設又は機関」程の意味合いを理解させるとしても,これは,商品の品質又は役務の質を表示するものではない。
また,当審において職権をもって調査するも,「スマホゲーム研究所」の文字が,本件商標の申立てに係る指定商品及び指定役務を取り扱う業界において,商品の品質又は役務の質を表すものとして普通に用いられているという事実を発見することができなかった。
以上のとおり,本件商標は,その指定商品及び指定役務に使用しても,商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれのないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第9類「コンピュータ用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及びその指定役務中,第41類「インターネットを介した携帯電話・携帯電子計算機端末による通信を用いて行うコンピュータゲームの提供及びこれらに関する情報の提供」について,商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
また,本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については,商標法第3条第1項第4号,同第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく,取り消すべき理由がないものと認められるから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-09-18 
出願番号 商願2014-32776(T2014-32776) 
審決分類 T 1 651・ 16- ZC (W0941)
T 1 651・ 272- ZC (W0941)
T 1 651・ 14- ZC (W0941)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 榎本 政実
井出 英一郎
登録日 2014-09-12 
登録番号 商標登録第5701893号(T5701893) 
権利者 グリー株式会社
商標の称呼 スマホゲームケンキュージョ、スマホゲームケンキューショ、スマホゲーム、スマホ 
代理人 小林 彰治 
代理人 八田国際特許業務法人 
代理人 田中 克郎 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 廣中 健 

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