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審決分類 審判 全部取消 商53条の2正当な権利者以外の代理人又は代表者による登録の取消し 無効としない W03
管理番号 1307498 
審判番号 取消2013-300627 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-07-23 
確定日 2015-11-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5581902号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5581902号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成24年12月11日に登録出願され、第3類「化粧品,香料」を指定商品として、同25年4月9日に登録査定、同年5月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第53条の2の規定により、本件商標についての登録を取り決す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、審判弁駁書により、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 弁駁の理由
本件商標は、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであり、本件審判の請求人は、その商標に関する権利を有する者であるため、本件商標に係る登録は、商標法第53条の2の規定により取り消されるべきものである。
(1)請求人の請求人適格について
請求人は、商標法第53条の2の規定による「商標に関する権利を有する者」である。請求人は、2012年11月16日に本国フランスにて商標「FINESSENCE」を出願し、当該出願は2013年3月8日に登録されている(以下「請求人商標」という。)。そして、この出願を基礎としてパリ条約に基づく優先権主張を行い、マドリッド協定に基づく国際登録の出願をしており、国際登録日は2013年3月19日である。そして、当該国際登録は我が国を指定している(甲1)。
被請求人は、本件商標の登録出願日である2012年12月11日時点において、請求人が同条に規定する「商標に関する権利を有する者」に該当しない旨述べているが、請求人は、本件商標の出願日より前に出願されたフランスにおける商標登録を有しており、それに基づく優先権主張をした国際登録の権利者でもあり、フランスはパリ条約の同盟国であるため、被請求人の主張は失当である。
したがって、請求人は「パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者」に該当する。
(2)本件商標と請求人の商標及び商品の類否について
被請求人も認めているとおり、請求人商標と本件商標は同一の文字を有するため、外観、称呼、観念を総合的に観察して類似の関係にある。また、請求人商標の指定商品は本件商標の第3類の指定商品「化粧品,香料」と同一の商品を含んで指定しているため、商品も同一の関係にある。
したがって、本件商標と請求人商標は、商標が類似し、商品が同一であるため、商標法第53条の2に規定する「商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品と類似する商品を指定商品とするもの」という関係にある。
(3)被請求人と請求人の代理関係について
被請求人も認めているとおり、被請求人は、本件商標の登録出願の日前1年以内に請求人の代理人であった。
被請求人は、請求人の代理店として、本件商標を使用した商品を日本で販売していた。これは、甲第2号証ないし甲第4号証のEメールのやり取りからも明らかである。
また、「出願の日前1年以内に代理人等であった者」に関しても、本件商標の出願日が2012年12月11日であるところ、甲第5号証は2012年7月6日付で請求人と被請求人の取引があったことを示すものであり、当該時期的要件も満たされる。
したがって、被請求人は、商標法第53条の2に規定する「その代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者」に該当する。
(4)本件商標にかかる出願の承諾等について
被請求人は、本件商標にかかる出願を、請求人の承諾及び「正当な理由」なく出願している。
被請求人が、当該出願を請求人の承諾なく行っていることは、被請求人も認めている。しかし、被請求人は当該出願を行ったことについて、「正当な理由」があった旨の主張をするものの、これは全く根拠に欠け、失当である。商標法第53条の2に規定する「正当な理由」がある場合としては、まず、商標に関する権利を有する者が、その代理店等に対しその国においてその商標を放棄したこと、またはその商標の権利を取得する関心がないことを信じさせた場合等があげられる(甲6)。本件において、請求人が我が国における商標権の取得について関心がないこと等を被請求人に信じさせた等の事情は見当たらない。
そして、被請求人は、本件における被請求人の出願行為は民法における「事務管理」に該当する旨主張している。しかし、民法第697条等に規定する「事務管理」とは、管理者による管理が本人の意思又は利益に適合したものである場合をいう(甲7)。むしろ、「本人の意思に反したり、あるいは管理者が自分の利益のために他人の事務の管理をした場合には、その行為は不法行為となり、違法性が阻却されない。」とも記載されている。被請求人の引用する乙第16号証の記載においても、「本人に承諾を得た場合であると否とを問わず爾後にその旨を連絡したような場合には、一応正当な理由があるものとして登録商標を取り消すことなく、まず民法の事務管理の規定によって処理されるべきものと考えられる。」とあり、本件においては、被請求人が本件商標を出願してから、請求人にその旨連絡したという事実は見当たらず、むしろ、被請求人は当該出願が登録になった後の2013年6月3日に「私達は日本において『FINESSENCE』の10年間のライセンスを公式に獲得しました。あなたは私の許可無く『FINESSENCE』のラベルを付した商品を販売することは出来ません。」と請求人に伝えている(甲8)。このことから、被請求人が本件商標にかかる出願を請求人の利益のために行ったとはいえない。むしろ、甲第8号証は、当該出願は、請求人が日本における商標登録を行っていないことを奇貨として行ったものであることを明らかにしている。さらに、乙第16号証と甲第6号証は同じ文献からの引用であるところ、甲第6号証には「総代理店契約や一手販売契約が存在していても、商標権は外国の権利者が自ら取得して専用使用権を設定する場合もあり得るから、それだけでは必ずしも正当な理由があるとはなし得ない。」とも記載されている。よって、本件において請求人の出願に「正当な理由」はなかったと認定することが自然であり、被請求人の主張する事務管理の規定によって処理されるべき場合にも該当しない。
また、被請求人は、答弁書における事実認定として、被請求人が本件商標にかかる商品を輸入していたイリス研究所(以下「イリス社」という。)のR氏からの「1年間の総代理店契約を締結する」旨のメールが存在することから、総代理店契約が実質的、有効に存在している旨主張し、被請求人の代表者の営業努力によって本件商標にかかる商品の知名度が高められたことや、請求人の経営に関する変更事項が被請求人に告げられていないこと、それによって被請求人の事業に支障が出ていること、総代理店契約終了の通知も一切なかった旨主張している。
しかし、請求人は、被請求人の事業規模が不十分であると判断したため、日本での更なる事業拡大のために、他の代理店とも契約を結ぶことを決断し、その旨を被請求人に伝えている。甲第9号証は2011年10月20日に請求人の代表者から被請求人の代表者に送られたEメールであり、日本の代理店として独占販売を継続したい場合の条件を提示している。請求人が日本での事業拡大のため、状況に応じてその規模に適した代理店と取引を行うことはごく自然なことであり、当該Eメールからも明らかなとおり、請求人はその旨被請求人に伝えている。また、請求人は、被請求人に対し、2012年11月23日付けEメールにて、新たに日本で代理店として採用した株式会社大香との取引開始を伝え、被請求人にも共に本件商標にかかるブランドのビジネスを協力して行って行くことを求めている(甲10)。
上記のとおり、請求人は請求人の日本における事業展開に関する進捗を被請求人に報告しているものの、被請求人は自社のみが代理店として本件商標にかかるブランドの商品を独占販売することを望んでいたため、このような状況を不快に思い、その後の2012年12月11日に本件商標を出願したことが考えられる。これは、本件商標の登録後、被請求人は2013年6月3日に請求人に対して「私達は日本において『FINESSENCE』の10年間のライセンスを公式に獲得しました。あなたは私の許可無く『FINESSENCE』のラベルを付した商品を販売することは出来ません。」と伝えていることからも明らかである(甲8)。また、2013年6月5日には請求人に対し、新たな代理店である株式会社大香に「私達のライセンスについて大香にも伝える」旨述べている(甲11)。これに対し、本件商標を被請求人が承諾なく出願することは請求人の意思に反していたため、請求人は、2013年6月12日付の通知書において、本件商標の譲渡や放棄、使用の中止を求めている(甲12)。当該通知書への返答として、被請求人は、請求人の代理人から2013年6月12日付で受け取った甲第12号証の通知書において、本件商標の共有に関する提案を行った旨述べている。しかし、本件商標を請求人と被請求人の共有名義にするという内容の提案は、請求人が事業規模に応じて日本における代理店を選択する自由を奪うものである。したがって、そのような提案を行った事実は、当然被請求人の出願の「正当な理由」を主張する根拠となり得ない。
また、被請求人は、本件商標の登録出願は被請求人が善意で行った旨述べているが、当該主張に全く根拠はなく、むしろ、上記の請求人とのやり取りから、被請求人は、請求人が他の代理店と取引を開始することを不快に思い、本件商標にかかるブランドによって日本で得られる利益を自ら独占するため、当該出願をしたと考えることが自然である。甲第13号証は、被請求人の代表者が請求人との関係が変わることにつき、請求に対して不快感を述べているEメールである。当該Eメールは2011年10月5日に送信され、本件商標はそれより後の2012年12月11日に出願されている。このような事実からも、本件商標は被請求人において本件商標が日本で出願されていないことを奇貨として悪意で出願されたといわざるを得ず、善意で出願したという被請求人の主張は全く成り立たない。
したがって、被請求人は、本件商標にかかる出願を、請求人の承諾及び「正当な理由」なく出願しているといえる。
3 まとめ
以上のことから、本件商標に係る登録は、商標法第53条の2に規定する要件を満たし、同条により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 被請求人及び被請求人のビジネスと請求人との関係
被請求人は、登記簿謄本(乙1)に示すように、平成21年11月2日に設立され、事業は主に「精油及び化粧品及び雑貨類の輸出入業及び販売」を行っている。
被請求人は、2009年(平成21年)11月よりフランスのイリス社のR氏との親交に基づき、FINESSENCEという名称が付された精油、アロマスプレー、アロマデフュージュン等のアロマ製品を同年12月に日本へ輸入して以来、現在に至るまで日本で販売を行ってきている(乙3ないし乙9)。
その後、被請求人は、商品カタログを作成し(乙10)、日本のアロマセラピー専門誌に広告を掲載(乙11)すると共に、東京を含む各地の展示会、展覧会に出展し、日本での商品の周知、販促に努めた結果、2011年3月21日付で被請求人の代表者はR氏から「1年間の総代理店契約を締結する」旨の回答をメールにて得ている(乙12)。
総代理店契約は契約書面の形ではなされてはいないが、明らかにイリス社の代表のR氏と被請求人の代表者との間の意思の合意によるものであり、契約そのものは実質的、有効に存在している。
この点は、イリス社のビジネスをその後継承する請求人である「ラボラトアレ フィニサンス ソシエテ パル アクシオン シンプリフィエ」(以下、「フィニサンス社」という。)の代表であるD氏との間のメールにおいて、D氏が認めている(乙13)。
したがって、少なくとも2012年3月21日に至るまでは、被請求人は、イリス社の日本における実質的な総代理店であった。
しかしながら、その後、2012年8月頃、イリス社は、請求人であるフィニサンス社に経営権が承継された模様であるが、この「経営権の承継・会社名の変更」につき、現在に至るまで、被請求人の代表者は文書または口頭のいずれの形式においても正確な連絡をイリス社のみならずフィニサンス社から受けていない。
イリス社及びフィニサンス社が被請求人を日本における総代理店として認めていたのであれば、この間の経営権の承継に関してはイリス社又はフィニサンス社は正式に文書をもって、誠実に被請求人に連絡をすべきであったと思われる。
この「経営権の承継・会社名の変更」は、被請求人の日本におけるイリス社製のアロマ商品ビジネスに重大な影響を持つ。なぜならば、イリス社の名称は、被請求人の顧客に対して供給される商品のラベルに印刷されており、被請求人の顧客からは「倒産した会社の製品は扱えない」として被請求人へのビジネス上のクレーム、販売契約の廃棄の事態に至っているからである。
このような状況下において、被請求人とフィニサンス社との間では、2012年3月以降、被請求人の代理店契約の問題に関しては明確にされないままであり、フィニサンス社から被請求人に対して「?日付けで総代理店契約は完了している」旨の書面又は口頭による通知、連絡等は一切ない状態のまま現在に至っている。
2 商標法第53条の2に規定する取消しの要件についての検討
(1)登録商標がパリ条約の同盟国等において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る)を有する者の当該権利に係る商標であることについて
請求人は、商標「FINESSENCE」に関し、2012年11月16日付でフランスにおいて商標登録出願を行い(商標登録出願番号123961711)、2013年3月19日付で商標登録に至っている(以下「本国商標」という。乙14)。
本国商標の指定商品は以下のとおりである。以下、日本語訳で示す。
・第3類 洗濯物の使用のための準備や他の物質を漂白洗浄、研磨、精練及び研磨剤、石鹸、香水、エッセンシャルオイル、マッサージや美容トリートメント、化粧品、ヘアローション、歯磨き、メイクアップ除去、赤い唇、顔のマスク、シェービングクリーム、オイル、ローション、アロマセラピーの準備。
・第4類 アロマテラピーのための香りのキャンドル。
・第5類 医薬品および獣医製品、創傷ケア、火傷、虫刺され、ノック、バンプ、刺激と、一般的には、皮膚や粘膜のすべての病気のための医療製品、にきびの製品に対するケア製品;エッセンシャルオイルの薬用植物と動物や昆虫に対して忌避製剤;乗り物酔いに対する吸入し、吸入は気道、衛生的な製品のための薬、消毒、害虫破壊するための準備をクリアする。
・第32類 ノンアルコール飲料、ハーブ、果物。
一方、本件商標の登録出願は、2012年12月11日であり、その登録出願時点においては、未だ、請求人による商標登録はなされていない。したがって、本件審判の請求は本要件を欠くものである。
また、本件商標の登録出願時点において、本国商標の登録はされていないことから、被請求人には、本件商標が「パリ条約の同盟国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る)を有する者の当該権利に係る商標」であることの認識はない。
被請求人は、請求人の日本における業務上の信用を守り、かつ、被請求人自身のビジネスを第三者による模倣等から守るために善意で本件商標の登録に及んだものである。
(2)当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品又はこれらに類似する商品等を指定商品とするものであることについて
本件商標は、前記第1のとおり、本国商標と同一の「FINESSENCE」の文字を有しているものであるから、本国商標に類似する。また、本件商標の指定商品及び区分は、第3類「化粧品,香料」であり、被請求人の登録(審決注:請求人の登録、の誤記と思われる。)に係る指定商品と同一又は類似である。
(3)その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであることについて
被請求人は、上記のとおり、2012年3月21日までは実質的に請求人の日本における総代理店であったものであり、「本件商標登録出願日である2012年12月11日前の1年以内に代理人であった者」に該当する。
しかしながら、本件商標の登録出願時点において請求人側のフランス本国における商標登録はされていないことから、本件商標の登録出願時点において被請求人に本件商標が「パリ条約の同盟国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る)を有する者の当該権利に係る商標」であることの認識はない。
被請求人は、上記のように2009年11月から日本において、イリス社との良好な信頼関係に基づき、イリス社のアロマ製品の輸入販売を行ってきており、被請求人の独自のノウハウを駆使して日本における「FINESSENCE」ブランドの振興、隆盛に尽力してきたものである。
被請求人は、あくまでも請求人のために請求人の日本における業務上の信用を守り、かつ、被請求人自身のビジネスを第三者による模倣、侵害等から守るために善意で本件商標の登録に及んだものである。
現在、被請求人は、請求人に対して本件商標の共同所有、共同管理に関する提案を行い、交渉中である。すなわち、被請求人は、請求人の代理人から2013年6月12日付で本件に関する通知書を送付されているが、当該通知書に対する回答書(乙15)において、本件商標の共有に関する提案を行っている。
なお、このような事態に関しては、網野誠著「商標(第6版)」の本件登録取消審判に関する解説の929ページには、「代理店等が、外国の権利者のために他人に登録されたり侵害されたりするのを防ぐために事務管理の目的で出願したような場合には、本人に承諾を得た場合であると否とを問わず爾後にその旨を連絡したような場合には、一応正当な理由があるものとして登録商標を取り消すことなく、まず民法の事務管理の規定によって処理されるべきものと考えられる。」旨の説明がある(乙16)。本件の場合はこの説明に該当するものと考えられるから、本件商標の登録に関する請求人による承諾はないが、「正当な理由」があるものと判断される。
その結果、本件審判の請求は、商標法53条の2の取消しの要件を欠くものである。

第4 当審の判断
商標法第53条の2は、「登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定しているところ、ここにいう「商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)」とは、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の商標法による商標権を指すものである(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」参照)。
そこで、本件商標の登録が、商標法第53条の2が規定する要件に該当するか否かについて、以下検討する。
1 請求人が、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者であるか否かについて
(1)請求人は、2012年11月16日に本国フランスにて、商標「FINESSENCE」を出願し、当該出願は2013年3月8日に登録されていること、この出願を基礎として、パリ条約に基づく優先権主張を行い、マドリッド協定に基づく国際登録の出願をしており、その国際登録日は2013年3月19日であること、該国際登録は我が国を指定していることを述べ、甲第1号証を提出している。
甲第1号証の1葉目及び2葉目は、国際登録第1159360号に関する、世界知的所有権機関(WIPO)が提供する標章の保護の経過情報(Simple search)であるところ、「1159360-FINESSENCE」、「Date of the registration 19.03.2013」、「Basic application FR,16.11.2012,123961711」、「Basic registration FR,08.03.2013,123961711」及び「Designation(s) under the Madrid Protocol JP」等の記載がある。
また、甲第1号証の3葉目ないし5葉目の称呼検索(詳細表示)には、「国際登録番号 1159360」、「国際登録日又は事後指定日 平成25年(2013)3月19日」、「先願権発生日 平成24年(2012)11月16日」、基礎出願の欄には、「国又は機関 FR(フランス共和国)」、「出願番号 123961711」及び「出願日 平成24年(2012)11月16日」並びに基礎登録の欄には、「国又は機関 FR(フランス共和国)」、「登録番号 123961711」及び「登録日 平成25年(2013)3月8日」等の記載がある。
そして、甲第1号証の6葉目の一部抄訳には、「1159360-FINESSENCE」、「国際登録日 2013年3月19日」、「国際登録の権利者氏名 ラボラトアレ フィニサンス ソシエテ パル アクシオン シンプリフィエ」、「基礎出願 フランス 2012年11月16日 123961711」、「基礎登録 フランス 2013年3月8日 123961711」及び「マドリッド協定議定書に基づく指定国 日本」の記載がある。
(2)フランス商標法第II章 標章権の取得 第L712条1には「標章の所有権は,登録によって取得される。標章は,共有することができる。登録の効果は出願日に始まり,存続期間を10年とし,その期間は回数に制限なく更新することができる。」旨規定されている(特許庁ホームページ 外国産業財産権制度情報参照)。
(3)上記(1)及び(2)によれば、請求人がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者であると主張する根拠となる商標権は、2012年11月16日にフランス共和国において出願され、2013年3月8日に登録された登録番号123961711の商標であると認められるところ、フランス商標法においては、「標章の所有権は登録によって取得される」と規定(第L712条1)されているのであるから、該商標権は、フランス共和国における登録日である2013年(平成25年)3月8日に取得されたといえる。
一方、本件商標は、前記第1のとおり、その登録出願日は平成24年12月11日であるから、これは、請求人のフランス共和国において登録された商標の登録日より前の日付である。
そうとすれば、請求人は、本件商標の登録出願日の時点において、商標法第53条の2に規定する同盟国、加盟国及び締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者ではないというべきである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第53条の2の要件を充足するものではないから、本件商標の登録は、同法第53条の2の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標) (色彩は原本確認 )





審理終結日 2015-06-05 
結審通知日 2015-06-09 
審決日 2015-06-25 
出願番号 商願2012-103938(T2012-103938) 
審決分類 T 1 31・ 6- Y (W03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
梶原 良子
登録日 2013-05-17 
登録番号 商標登録第5581902号(T5581902) 
商標の称呼 フィニサンス、ファイネッセンス、フィネッセンス、フィンエッセンス、フィン、エフアイエヌ 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 渡邊 隆 
代理人 木村 高明 
代理人 志賀 正武 
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